名古屋能楽堂 3月定例公演
日時:平成27年3月7日(土)13:30開場 14:00開演
演目:狂言「柑子(こうじ)」(和泉流)/シテ 野村又三郎
能「定家(ていか)」(観世流)/シテ 久田三津子
*能『定家』の物語 / 能楽『定家』が描く愛欲地獄
*柑子
主人は昨晩、酒宴の席で土産にもらった三つ成りの柑子(ひとつの枝に3つの柑子(柑橘の果実)のなった様、縁起が良い)を太郎冠者に預けたことを思い出し、それを出せと太郎冠者に命じた。
ところが太郎冠者はひとつは転げ落ちて門から出そうになった、「好事(こうじ)門を出でず」と呼び止めたところ、木の葉でとまったのでそれを皮を向いて食べたという。
呆れた主人は過ぎたことはしようがないが、では残った2つを出せという。
太郎冠者は懐に入れて歩いていると太刀の鍔に押されてつぶされてしまった、しょうがないのでそれも食べた、という。
ますます呆れた主人は、しょうがないから最後の一個だけでも早く返せという。
太郎冠者はそれについては悲しい物語があるなどと言い出す。昔、俊寛ら三人が鬼界ヶ島に流された折、俊寛だけが赦免されず、「人と柑子は変はれども 思ひは同じ涙なり」と歌って泣く。主人ももらい泣きしてしまうが、はたと気づいて、そうではない残りの柑子を出せというと太郎冠者は哀れに思ったので、自分の六波羅(腹とかける)に納めたと言って怒られる。
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