イラク北部モスルとされる博物館で倒した像を男らがハンマーで打ち付けているビデオ画像(提供画像・ロイター=共同)
産経ニュース 2015.2.27 11:18更新
【イスラム国】メソポタミア文明の遺産を次々と破壊 黒服の男がハンマーや電気ドリルで粉々に 「イスラム国」が映像公開
【ロンドン=内藤泰朗】イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」は、イラク北部モスルの博物館で、メソポタミア文明の収蔵品を次々と破壊する映像をインターネット上で公開した。事態を重くみた国連教育科学文化機関(ユネスコ)は26日、文化財の破壊を差し止めるため国連安保理の緊急招集を要請した。
26日までに公開された映像では、黒服などを着た多数の男たちがモスルの博物館に収蔵された文化的価値の高い多数の像を、イスラム教が崇拝を禁じる偶像だとして、床にたたきつけ、ハンマーや電気ドリルで粉々に破壊した。英BBC放送は、映像が事実であることを確認したと伝えた。
男の1人は「(偶像は)アラー(神)が破壊を命じている。何十億ドルの価値があろうと知ったことではない」と述べ、破壊を正当化した。
さらに、博物館近くの遺跡でも、紀元前7世紀ごろのアッシリア帝国時代の翼を持つ雄牛の格好をした、守護神の石像が破壊される様子が記録された。
ユネスコのボコバ事務局長は26日、この映像について「強い衝撃を受けた」との声明を発表した。
モスル周辺には、アッシリアの古代都市ニネベの遺跡や文化財が多数残る。「イスラム国」は昨年6月にモスルや周辺地域を制圧後、聖人らの廟を相次いで爆破。今年、モスルの図書館に所蔵されていた哲学や科学、詩などイスラム関係以外の書物を焼き払ったとされる。
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