愛知の立てこもり:被告の無期懲役確定へ 最高裁決定
愛知県長久手町で07年、拳銃を所持して自宅に立てこもり、県警特殊部隊(SAT)隊員ら4人を死傷させたとして殺人罪などに問われた会社役員、大林久人被告(54)の上告審で、最高裁第3小法廷(那須弘平裁判長)は22日付で、検察側と被告側双方の上告を棄却する決定を出した。無期懲役とした1、2審判決が確定する。
検察側は死刑を求めていたが小法廷は「綿密な計画性は認められず、被害者や遺族に謝罪の態度を示している」と指摘。減刑を求めた弁護側の主張も「上告理由に当たらない」として退けた。
1、2審判決によると大林被告は07年5月、元妻に拳銃を見せて復縁を迫り、駆け付けた男性警察官の首を撃って重傷を負わせた。長男と次女にも発砲してけがをさせ、元妻らを救出するために自宅前の路上にいたSATの男性隊員(当時23歳)を射殺した。【伊藤一郎】毎日新聞 2011年3月24日 21時54分
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◆逮捕の瞬間から2007-05-18 | 社会
毎日新聞 ヘッドライン
<愛知立てこもり>大林容疑者を緊急逮捕 29時間ぶり決着
愛知県長久手町の元暴力団組員、大林久人容疑者(50)が人質を取って自宅に立てこもり、拳銃を発砲して県警機動隊特殊急襲部隊(SAT)隊員の林一歩(かずほ)警部(23)=18日付で2階級特進=ら4人を死傷させた事件で、県警は18日午後8時48分、自宅から出てきた大林容疑者の身柄を確保、殺人未遂容疑で緊急逮捕した。
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〈来栖の独白〉
NHKテレビニュースで、容疑者が自宅から出て来、逮捕されるところを映し出していた。殉職警部とその遺族を悼む一方で、逮捕の瞬間を私はある種感慨をもって見つめた。ペットボトルやビニール袋を持った両手を緩慢に上げる容疑者の姿が、やがて消えた。何人もの警察官達に囲まれ、見えなくなった。
この瞬間から、この人は、二度と「独り」になることはない。絶えず、誰かに周囲を固められる。身体は自分のものであって、自分の自由にはならない。「身柄」と呼ばれるものとなる。それでもまだ容疑者・被告身分には、自由の片鱗が漂うかもしれない。が、刑が決まれば、その確定力は圧倒的である。
私は自由な民間人であるが、弟藤原清孝との交流の中で、国家の権力といったものを折に触れ感じた。
弟がまだ未決だった頃、面会中、何かで刑務官が席を外したことがあった。面会室で二人きりになった私と弟は、急にどぎまぎして会話ができなくなった。刑務官が戻ってくるのを待って、やっと会話を再開した。いつの間にか、第三者の介入に馴れてしまっていたのだ。
そんな独りきりになれないことに慣れていた筈の弟だが、刑が確定して直ぐの頃、辛そうに言った。「確定してからは、廊下を歩くのも、これまでのような一人の刑務官ではなく、二人が前後を固めるようになった」と。
独りになれないことは、少なからぬ重圧である。東野圭吾さんの言葉を借りるなら、「これも、刑の一部」ということだろう・・・。
愛知県長久手町で07年、拳銃を所持して自宅に立てこもり、県警特殊部隊(SAT)隊員ら4人を死傷させたとして殺人罪などに問われた会社役員、大林久人被告(54)の上告審で、最高裁第3小法廷(那須弘平裁判長)は22日付で、検察側と被告側双方の上告を棄却する決定を出した。無期懲役とした1、2審判決が確定する。
検察側は死刑を求めていたが小法廷は「綿密な計画性は認められず、被害者や遺族に謝罪の態度を示している」と指摘。減刑を求めた弁護側の主張も「上告理由に当たらない」として退けた。
1、2審判決によると大林被告は07年5月、元妻に拳銃を見せて復縁を迫り、駆け付けた男性警察官の首を撃って重傷を負わせた。長男と次女にも発砲してけがをさせ、元妻らを救出するために自宅前の路上にいたSATの男性隊員(当時23歳)を射殺した。【伊藤一郎】毎日新聞 2011年3月24日 21時54分
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◆逮捕の瞬間から2007-05-18 | 社会
毎日新聞 ヘッドライン
<愛知立てこもり>大林容疑者を緊急逮捕 29時間ぶり決着
愛知県長久手町の元暴力団組員、大林久人容疑者(50)が人質を取って自宅に立てこもり、拳銃を発砲して県警機動隊特殊急襲部隊(SAT)隊員の林一歩(かずほ)警部(23)=18日付で2階級特進=ら4人を死傷させた事件で、県警は18日午後8時48分、自宅から出てきた大林容疑者の身柄を確保、殺人未遂容疑で緊急逮捕した。
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〈来栖の独白〉
NHKテレビニュースで、容疑者が自宅から出て来、逮捕されるところを映し出していた。殉職警部とその遺族を悼む一方で、逮捕の瞬間を私はある種感慨をもって見つめた。ペットボトルやビニール袋を持った両手を緩慢に上げる容疑者の姿が、やがて消えた。何人もの警察官達に囲まれ、見えなくなった。
この瞬間から、この人は、二度と「独り」になることはない。絶えず、誰かに周囲を固められる。身体は自分のものであって、自分の自由にはならない。「身柄」と呼ばれるものとなる。それでもまだ容疑者・被告身分には、自由の片鱗が漂うかもしれない。が、刑が決まれば、その確定力は圧倒的である。
私は自由な民間人であるが、弟藤原清孝との交流の中で、国家の権力といったものを折に触れ感じた。
弟がまだ未決だった頃、面会中、何かで刑務官が席を外したことがあった。面会室で二人きりになった私と弟は、急にどぎまぎして会話ができなくなった。刑務官が戻ってくるのを待って、やっと会話を再開した。いつの間にか、第三者の介入に馴れてしまっていたのだ。
そんな独りきりになれないことに慣れていた筈の弟だが、刑が確定して直ぐの頃、辛そうに言った。「確定してからは、廊下を歩くのも、これまでのような一人の刑務官ではなく、二人が前後を固めるようになった」と。
独りになれないことは、少なからぬ重圧である。東野圭吾さんの言葉を借りるなら、「これも、刑の一部」ということだろう・・・。