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TPP 米側からの市場開放圧力が高まりそう/小沢一郎氏 交渉力・国内態勢に懸念/米国追従が過ぎないか

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「第2の普天間」を懸念=TPP、日米の調整不足露呈−APEC
 【ホノルル時事】野田佳彦首相が環太平洋連携協定(TPP)交渉参加方針を表明したアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議。「日本の主導的な役割を果たしたい」との首相の訴えは、複数の参加国首脳から歓迎の意向が示された。一方、首相はTPP首脳会議に出席できず、日米首脳会談での首相発言をめぐっては、双方の説明が食い違った。日米間の調整不足が露呈し、今後の外交交渉も難航する米軍普天間飛行場移設問題と同様、先行きを危ぶむ声が出ている。
 首相は13日夕(日本時間14日午後)、ホノルル市内のホテルで開かれた内外記者会見で、今回の外遊について「わが国は交渉参加に向けて関係国との協議に入る旨を紹介し、いくつかの(APEC)参加国・地域から歓迎の意が表明された」と成果をアピールした。
 12日の日米首脳会談は冒頭の10分間、首相とオバマ大統領の2人だけで行われ、首相同行筋は「両首脳の信頼関係が構築された証しだ」と強調した。
 ただ、会談後に米ホワイトハウスは、首相が「全ての物品およびサービスを貿易自由化交渉のテーブルに乗せる」と表明したと報道発表し、外務省は慌てて事実無根だと抗議した。しかし、日米外交筋は「通商交渉はまず全品目を交渉対象とするのが常識だ」とし、米側の認識には一定の理解を示した。同筋は「今回の抗議騒動で、米国はTPPへの日本の本気度に疑問を持つだろう」と懸念する。
 実際、日本のTPP交渉参加に対し、米議員団は8日、カーク米通商代表部(USTR)代表に書簡を送り、農産品、保険、医療など多くの分野で深刻な障壁があると指摘した。米議会が日本の交渉参加に同意するか否かは、「日本が市場開放に向けた高い基準を満たす意志があるかどうか」に懸かっており、今後、米側からの市場開放圧力が高まりそうだ。
 しかし、TPP交渉参加に対する政府の情報開示は不十分で、日本国内世論は依然として二分されたままだ。TPPへの正式参加には国会での協定承認が必要となるが、慎重派の抵抗は必至。政府筋は「承認に時間がかかれば、米国の失望感は膨らむ。TPPは第2の普天間問題となる要素をはらんでいる」と語る。(時事通信2011/11/14-20:11)
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小沢氏 TPP国内態勢に懸念
NHKニュース11月14日 16時55分 
 民主党の小沢元代表は、岐阜市で開かれた会合であいさつし、野田総理大臣が、TPP=環太平洋パートナーシップ協定の交渉参加に向けて、関係国との協議に入ると表明したことについて「国内の態勢が、きちんと取れているのかという心配がある」などと述べ、懸念を示しました。
 この中で小沢元代表は、政府がTPPの交渉参加に向けて協議に入ることについて「TPPに対応する国内の態勢が、きちんとできているのかという心配や、国際社会の中で、特にアメリカと対等の交渉をして、ちゃんと国民の利益を守れるのかという心配がある」と述べ、懸念を示しました。また、小沢氏は消費税率の引き上げについて「政権交代のときに『こうします』と言った約束や責任をきちんと果たすなかで、初めて理解されることであり、選挙で国民に一生懸命訴えた初心は、決して忘れてはならない」と述べ、増税の前にむだの削減などで、努力する必要があるという考えを示しました。さらに、小沢氏は今後の政治活動について「今日の政治状況を見ると、本当にこのままでは日本の将来は大変だという気持ちでいっぱいだ。日本の政治をしっかりとしたものにすることが、いまだ私が果たしえない夢であり、これを夢に終わらせないために、レールだけでも敷いていきたい」と述べました。
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風雲TPP〈中〉民主党内、半数が慎重派 集約へ鹿野氏キーマン/小沢氏「米国と誰が交渉できるんだ」2011-10-26 | 政治(経済/社会保障/TPP)
 風雲TPP:/中 民主党内、半数が慎重派 集約へ鹿野氏キーマン
 「拙速に議論を進めないでほしい」。民主党内を揺るがす環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉への参加問題。「TPPを慎重に考える会」会長の山田正彦前農相は25日昼、前原誠司政調会長を国会内の事務所に訪ね、詰め寄った。
 会談は約40分間。山田氏は11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で野田佳彦首相が交渉参加を表明するのを見送るよう求めた。だが、前原氏は「先送りは簡単ではない。首相はAPECまでのつもりだ」と反論、平行線に終わった。山田氏は会談後、「党内は完全に二分されている。無理をすればどうなるか」と記者団に不満を示した。
 民主党は経済連携プロジェクトチーム(PT)で11月2日までに意見集約を図る方針だが、議論は今月14日の第1回総会から荒れた。PT役員の大半が推進派だったことや総会の位置づけに批判が続出。鉢呂吉雄座長は「慎重派の役員を増やす。取りまとめ案は役員会で作るが、総会でしっかり決める」と譲歩せざるを得なかった。
 推進派が慎重派に配慮せざるを得ないのは、TPPの国会による承認を見据えれば、民主党内が分裂するような事態は避けなければならないからだ。交渉不参加の表明を求める署名簿には党所属国会議員の約半数にあたる200人(25日現在)がサインした。山田氏は「党内の半分は慎重論」と主張する。
 党支持率が低迷する中、選挙基盤の弱い若手や地方出身議員にとってTPP反対論が強い農業や医療関係の団体の組織票は貴重だ。推進派は「反対派は自分の選挙のために大声で反対することしか考えない。政権与党としての責任を果たそうとしない」と苦り切る。
 前原氏ら推進派はTPPが国益に沿わない場合は撤退する「条件付き参加」を落としどころとして探るが、同じ推進派でも玄葉光一郎外相が「(離脱は)簡単な話じゃない。論理的にはあり得るが、どういう国益を損なうかよく考えなければならない」と述べるなど足並みは乱れている。
 慎重派も一枚岩ではない。小沢一郎元代表に近い中堅・若手の衆院議員グループ「一新会」は25日、国会内で会合を開き、会として統一行動を取らないことを決めた。昨年10月、菅直人首相(当時)がTPP参加検討を表明した際には強硬に反対する姿勢を示したが、小沢元代表にも近い輿石東幹事長はTPP議論をまとめる側。グループ内には慎重派が多いが、野田政権と決定的な対立になるのを避けたとみられる。小沢元代表に最近面会した側近議員によると、元代表は「TPPはやらざるを得ないが、米国と誰が交渉できるんだ」と述べ、政府の交渉力に危惧の念を示したという。
 「議論をどうまとめるのか見えない」(PT幹部)中、推進派は鹿野道彦農相に期待を寄せる。官邸関係者は「鹿野さんが懸念しているのはTPPが党を二分すること。反対ではない。党を二分する事態は避けられると鹿野さんが踏めば、TPPは行ける」と語る。慎重派には民主党代表選で鹿野氏を支持した議員が多く、「『鹿野氏が言うなら仕方ない』と思ってもらうしかない」(推進派議員)との戦略だ。
 鹿野グループは民主党代表選の決選投票で野田首相に投じた。鹿野氏は野田首相誕生のキーマンでもある。首相と鹿野氏のコンビはどう決着をつけるのか。残された時間は少ない。
毎日新聞 2011年10月26日 東京朝刊
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中日春秋
2011年11月8日
 ライオンとロバが、共同で狩りをした話がイソップにある。終わって、獲物を三つに分けた後、ライオンが独特の分配法を表明する▼「一つ目は百獣の王たるわしがもらう。二つ目は平等なパートナーとして、わしが取る。さて三つ目だが、もしお前が逃げていかないなら、ひどい目に遭うぞ!」。つまり、獲物は全部ライオンのもの…▼恐らくは、「不当に大きな取り分」を指す英語の成句、<ライオンズ・シェア>の由来でもある。民主党内にも強硬な反対論がある中、野田首相が近々、環太平洋連携協定(TPP)への参加表明の意向だと聞いて、ふと思い出した次第▼協定の中身は無論だが、大いに不安があるのは、わが政府の「交渉力」だ。原則、関税撤廃の協定であっても「例外を設けることは可能」などと政府は言うが、これまで大抵の要求をのまされてきた米国相手に、本当にその“取り分”をへつるような、したたかな交渉ができるのか▼実際、例えば米軍普天間飛行場移設問題では、時の首相があれほど「国外・県外」を主張し、世論も望んだのに、官僚はそっぽを向き、政府は肝心の米国と交渉らしい交渉さえできなかったではないか▼自分より強い者と共同でことを行うのは考えもの、というのがイソップのご高説。確かに、協定が成ってみたら米国の<ライオンズ・シェア>だった…ではたまらぬ。
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[TPPと普天間]米国追従が過ぎないか
沖縄タイムス 2011年11月14日 09時32分(12時間34分前に更新)
 化けの皮がはがれる、とはこういうことなのだろうか。野田政権の「米国追従」が日増しに鮮明になっている。失望と危機感を抱かずにはいられない。
 野田佳彦首相は12日、オバマ米大統領と会談し、環太平洋連携協定(TPP)交渉への参加方針と、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた環境影響評価書を年内に提出することを報告した。
 オバマ政権から課されていた「宿題」をこなすと、今度は「さらなる進展を期待」され、それへの「確約」を繰り返す。これは到底、外交交渉といえるレベルではない。
 「こんな姑息(こそく)なまねまでして前原氏は沖縄でいったい何をしたいのか」。県民の多くがそう訝(いぶか)しんだに違いない。
 今月4日、民主党の前原誠司政調会長が「極秘」に来県した。仲井真弘多知事との面談も取り沙汰され、真意を問う声が県内で高まっている。
 前原氏は当初、5日の来県を予定していたが、4日昼になって在京メディアに「沖縄行きを中止する」とわざわざ通知した上で、直後の夕刻に沖縄入りするという不可解な行動を取った。メディアや県民を欺く来県は、民主党県連の喜納昌吉代表代行が4日午後に搭乗した羽田発那覇行きの飛行機に、前原氏が同乗していたことから、あっけなく発覚した。党の「身内」から情報が漏れる脇の甘さは何ともお粗末である。
 前原氏はなぜ、TPPをめぐる党内論議の渦中に、県民の不審を買うリスクを負ってまで、「極秘来県」を敢行したのだろうか。
 前原氏の行動は一見、知事への義理を重んじたように映る。が、その意識は沖縄を飛び越え、米国を向いている、と解した方が腑(ふ)に落ちる。
 元外交官の孫崎享氏は10日付の本紙文化面で、TPP論議と普天間問題の既視感を指摘している。よく分からない「抑止力のために海兵隊は必要」との論理で日米合意に戻った普天間問題と同様、よく分からない「日本経済の活性化のためTPPに参加しなければならない」との論が展開されている、というのだ。米国基準のTPP参加を促す推進派は、鳩山由紀夫元首相の「最低でも県外」方針に非難や冷笑を浴びせた「安保マフィア」と重なる。
 9月の日米首脳会談で、普天間問題の進展やTPP参加への努力を迫られた野田首相は、この「宿題」を果たすため、閣僚の「沖縄詣で」やTPP参加への見切り発車を決意したのではないか。
 多極化する時代に「対米外交がすべてに優先する」という凝り固まった価値観にとらわれていては選択を誤る。これからの時代を託す政治家の理念としては単層で危うい。
 県議会は、普天間飛行場の辺野古移設に向けた環境影響評価書の年内提出について、政府に断念するよう求める意見書を14日の臨時議会に提案し、全会一致で採択される見通しだ。
 この動きを、ぜひとも県内の市町村議会に広げ、思考停止状態の中央政治家に県民の強い民意を突きつけておく必要がある。


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