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「被災者のため役立ちたい」仮釈放の鈴木宗男元議員/松木謙公・石川知裕両衆院議員などが駆けつけた

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「被災者のため役立ちたい」 仮釈放の鈴木宗男元議員が会見
産経ニュース2011.12.6 15:47
 受託収賄など4つの罪で服役し、仮釈放された新党大地代表・鈴木宗男元衆院議員が6日午後、国会内で記者会見を行い、今後の活動について「東日本大震災の被災者のために私の立場で少しでもやれることをやっていきたい」と述べた。
 服役中は「永田町の動きが気になった」と告白。刑期を終えてから5年間、選挙に出ることができないが、「政治は国民の気持ちを正直に体現するのが基本だ。政権交代で国民の理解を得られるように、私の経験を少しでもいかせることがあればと考えている」と述べ、新党大地代表として民主党政権に協力していく意向を示した。
 収監からちょうど1年の仮釈放について「1年ぶりに自由な空気を吸えた」と笑顔をみせたが、被災者について語るときは涙ぐむ場面もあった。会見には無所属の松木謙公、石川知裕両衆院議員や民主党議員も駆けつけた。
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仮釈放早々 永田町で「ムネオ節」鈴木元議員、首相政策を批判
産経ニュース2011.12.6 18:51
 受託収賄などの罪で服役していた新党大地代表の鈴木宗男元衆院議員が6日、仮釈放された。国会内で開いた記者会見で引き続き新党大地の代表にとどまり、政治活動を再開する意向を表明した。鈴木氏の「帰りを祝う会」も行われ、民主党の小沢一郎元代表や鳩山由紀夫元首相ら与野党から100人以上の国会議員が駆けつけた。
 収監からちょうど1年で仮釈放となった鈴木氏は会見冒頭、「1年ぶりに自由な空気を吸うことができました」と笑顔を見せた。だが、消費税増税に関し「政権交代で当時の鳩山代表は4年間は消費税の議論はしないと言った。約束を守るのが民主主義だ」と野田佳彦首相を批判。東日本大震災の話題では涙を見せるなど、100人以上の報道陣を前に約1時間、“ムネオ節”を炸裂させた。

「記者会見」抜粋
〈前段略〉
 −−原発の事故、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の交渉参加、石川知裕代議士の裁判の判決もあった。政治家・鈴木宗男としてコメントをいただけないか
 「私は生涯政治家であるとの考えには変わりはありません。それは21歳で学生の時から中川一郎先生の秘書になって、35歳で国会に出て、49歳で大臣をやり、50歳で官房副長官、51歳で自民党総務局長等々やりながらですね、おかげさんで昨年の8月4日には本会議において衆議員の永年表彰。私から政治を取ったらなにも残ってませんから。生涯政治家であるという私自身の考え、あるいは姿勢は変わるものではありません。しっかり役割を果たし参りたい。私に与えられた環境、立場でやっていきたいと思います」
 「3月11日の大震災ですが、私自身もさくら市の社会復帰促進センターでちょうどあの時間、仕事を。仕事というのは私は病棟というところに配役になっていて、お年寄りの介護だとか体の不自由な人の介護、入浴だとかお世話なんですよ。あるいは食事の配当などやっておりまして、ちょうど私はその時お年寄りの世話でした。あの社会復帰促進センターは粘土質ですから地盤が固いんですが、それでもですね相当な揺れで、私はお年寄りの車いすを押してお風呂に入れる直前だったんですが、そこで地震にあったんですけどね、お年寄りを倒しちゃいけない。事故になりますしね、けがさしちゃいかんと思って必死になって押さえておりましてね、その後から大災害だということになってきて、私はやっぱり1番辛かったのは何もしてやれない自分がここにいるということ」
 「この点本当に申し訳ない。これが1番の苦痛というかですね、辛かったですね。私は何ができるかと思って、たまたまラジオから避難されている人たちが靴下足りないとかですね、下着が足りないということですから。私は事務所に電話してとりあえず私の持っていた靴下5足、それしか遅れるものなかったもんですから5足の靴下。あと事務所では毛布だかとか食料品を集めて出して東北のいろんな人間関係で送ることができまして。お礼の手紙なんかもきましたけどね。副代表が一生懸命ボランティア活動したりですね、頑張ってくれましたんでね、良かったかなという思いを持ってます」
 「原発については、残念ながら技術的なことは私もそんなに正しくは知りませんけども、1つ言えることは技術的には、間違いなく制御棒は降りて原発は止まったことは事実ですね。しかし残念ながらあの津波によってバックアップ体勢が全部破壊されたということ。想定がないと言っても、私はやっぱり想定するのが、この政治だとかあるいはこの責任ある立場だとか、さらには少なくとも原子力というのはリスクがあることも事実なわけですから、私のこの想定外という言葉で済まされる話でない」
 「これを思ったときですね、これまたあの福島原発周辺の皆様方にとっては大変な痛手だし申し訳ないしね、特にこれは自民党政権時代進めてきた話ですから、あの安全神話が本当にこのわれわれも、私自身も現職としてですよ、当時の通産省や科学技術庁の説明を聞きながら、正しかったのかどうかというのはこれもまた自問自答したときですね、これまた被害に遭われた人たち、故郷を離れざるを得なかった人たちには申し訳ないなという思いを持ちました」
 「ただ、その中でやっぱり少しでも放射能漏れを防ごうと思って頑張った人もいた。この人たちの体を張っての努力はこれまた私は東電関係者も技術屋さんの一部もそうでありますし、また消防士、自衛官、警察官もそうでありますけども、こういった人たちの努力もまた国難に立ち向かったわけですから高く評価するとき、改めてやっぱりこの政治の判断は重いもんだし、やっぱりしっかりしなくてはいけない。何があっても大丈夫だという態勢をとってやるのが責任ある政治の姿でないかなということを思いましたね」
 「TPPについては、私は反対です。なぜか。1つは、民主主義は手続きが1番です。次に中身です。私は、今の野田佳彦首相も前政権の菅直人さんの尻拭いといえば表現がどうか分かりませんが、何となく後を引いている。菅さんが言った話をですね、政権継承したという流れの中でですね、受け継いでいるような感じも持っております」
 「例えばオバマ米大統領はこのTPPで、110億ドルの輸出創出と7万人の雇用創出と言っております。アメリカはいいかもしれませが、日本は何のメリットがあるんでしょうか。野田首相は守るべきものは守ると言いますが、FTAなどですね、2国間交渉になれば、守るべき個別案件はありますよ。しかしTPPは、私は個別案件は該当しないと思いますね。すべて段階的関税撤廃ですよ。今、日本のおいしい米、評価の高い米にしたって、1000%の関税をかけているから生きているんですよ。小麦だとかミルクだとか大豆どうするんですか。300%、400%の関税で日本の農家は生きているんですよ」
 「同時に日本の農家は与えられた条件の中でこれ以上ないというぐらいの努力をしてます。その農家の皆さんに十分な説明もなく、これで行くんだというのは私は手続きからしても問題だ。急ぐ話ではない。同時にTPP加盟国でも日本とアメリカで9割貿易占めるんですよ。日本がこれだけのメリットがありますという具体的な数字を出せると思ったら大間違いですね。車が今約2兆4000億円ぐらいですが輸出量が。それに関する関税が部品など入れて850億円です。その850億円が無くなるんだと言って車業界が言いますけれども。850億円で3兆円の農業を無くしていいんですか。私はここら辺は堂々と出てもっと政治家も勉強して、きちっと納得のいく議論もして本当の国益は何かという観点に立って詰めるべきだとこう思っています。そういった意味で手続きもなく、中身も十分説明もなくてですね、ただTPPだ、消費税だというのは問題があると思っています」 「私は特に消費税の議論は、政権交代で当時の鳩山由紀夫代表は4年間は消費税の議論はしないと言ったんです。これによって国民も政権交代に舵を切った部分もあるんですから、約束は守る。これは民主主義の約束事だとこう思います」
(以下略)
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なぜ最高裁はこのタイミングで鈴木宗男衆議院議員 の上告を棄却したか?2010-09-09 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
 眼光紙背2010年09月08日16時14分佐藤優の眼光紙背:第79回
 9月8日午後、7日付で最高裁判所第一小法廷が鈴木宗男衆議院外務委員長(新党大地代表)の上告を棄却した。鈴木氏の弁護人は異議を申し立る意向を表明しているが、過去の例でこの種の異議が認められたことはない。近く懲役2年の実刑が確定し、鈴木氏は刑務所に収監される。
 最高裁判所は最高政治裁判所でもある。それは、2002年に鈴木宗男追放キャンペーンの中心に立った竹内行夫外務事務次官(当時)が現在、最高裁判所裁判官をつとめている事実からも明白だ。所属する小法廷が異なるなどということは、本質的問題でない。司法試験にも合格していないので、法曹資格ももたず、かつ極めて政治的動きをする人物を行政機関である外務省から受けいれている最高裁判所という組織自体が、「司法権の独立」という名目からかけ離れた組織だということを筆者は指摘しているのだ。
 このタイミングで最高裁判所の司法官僚が鈴木氏の上告棄却を決定したことは、きわめて合理的だ。それには2つの理由がある。
 第1の理由は、9月10日に大阪地方裁判所で行われる村木厚子元厚生労働省局長の裁刑事判で、無罪判決が予想されているからだ。そうなれば特捜検察は正義の味方であるという神話が裁判所によって覆される。当然、世論の特捜検察の取り調べに対する疑念と批判がかつてなく強まる。そうなると、「国策捜査」によって事件が作られたという鈴木氏の主張を完全に無視することができなくなる。
 第2の理由は9月14日の民主党代表選挙で小沢一郎前幹事長が当選する可能性があるからだ。最高裁判所の司法官僚にとっては、これも頭痛の種だ。小沢氏は鈴木氏の政治的能力を高く評価している。そもそも鈴木氏を衆議院外務委員長に抜擢したのは小沢氏だ。小沢政権になれば鈴木氏が政府の要職に就くなど、政治的影響力が高まるのは必至だ。そうすれば排除が困難になる。
 この結果にいちばん喜んでいるのは外務官僚だ。鈴木氏が収監されることにより外交機密費(報償費)の不正使用や、外交秘密文書の破棄に対する責任を追及する政治家がいなくなると外務官僚はほっとしている。しかし安心するのはまだ早い。鈴木氏は小沢氏に外務官僚に関するヤバイ情報をすべて引き継いでいるはずだからだ。
 いずれにせよ、今回、最高裁判所が鈴木氏の上告を棄却したことは、普通の国民の目には見えにくいが、「誰が日本国家を支配するか」を巡って、資格試験に合格したエリート官僚と国民によって選ばれた国会議員の間で展開されている熾烈な権力闘争を反映したものだ。(2010年9月8日脱稿)
■プロフィール:
佐藤優(さとう・まさる)…1960年、東京都生まれ。作家・元外交官。日本の政治・外交問題について、講演・著作活動を通じ、幅広く提言を行っている。
近著に「特捜神話の終焉」、「誰が日本を支配するのか!?検察と正義の巻」、「誰が日本を支配するのか!?政治とメディアの巻」、「誰が日本を支配するのか!?沖縄と国家統合の巻」など。
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鈴木宗男議員上告棄却/小沢一郎氏/石川知裕議員/安田好弘弁護士2010-09-08 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
 最高裁の決定要旨
 衆院議員鈴木宗男被告の上告を7日付で棄却した最高裁の決定の要旨は次の通り。2010/09/08 13:53【共同通信】
 【結論】
 弁護人の上告趣意のうち、判例違反の点は事案を異にする判例を引用するもので適切でなく、その余は、憲法違反の点を含め、実質は事実誤認、単なる法令違反の主張で、刑事訴訟法405条の上告理由に当たらない。
 【職権判断】
 受託収賄罪の成否について職権で判断する。
 北海道開発庁長官だった被告が、港湾工事の受注に関し特定業者の便宜を図るように北海道開発局港湾部長に働き掛ける行為は、職員への服務統督権限を背景に、予算の実施計画作成事務を統括する職務権限を利用して、職員に対する指導の形を借りて行われた。
 被告には港湾工事の実施に関する指揮監督権限はないとしても、働き掛けた内容は、実施計画で概要が決定される港湾工事について、競争入札を待たずに工事業者を事実上決定するものだった。
 このような働き掛けが金銭を対価に行われることは、北海道開発庁長官の本来的職務として行われる予算の実施計画作成の公正、その公正に対する社会の信頼を損なうものである。従って働き掛けは、北海道開発庁長官の職務に密接な関係のある行為というべきだ。
 弁護人は、談合にかかわる行為は、正当な職務としておよそ行い得ない違法な類型であるから、職務に密接な関係のある行為とはなり得ないと主張するが、密接関係行為に当たるかは本来の職務との関係から判断されるべきだ。違法行為であることで、その判断は直ちには左右されないと解するのが相当である。
 また受注業者の指名が港湾部長の職務権限に属することを認定せずに、指名について港湾部長を指導することが北海道開発庁長官の職務権限に属するとした二審の判断が判例(1995年2月22日大法廷判決)に違反すると主張する。
 しかし収賄罪の構成要件である「職務に関し」は、収賄公務員の職務との関連性。他の公務員に働き掛けることの請託を受けて収賄した場合であっても、働き掛けを受ける公務員の職務との関連性は構成要件そのものではない。一般的には、その職務関連性をそれ自体として認定する必要はないというべきである。
 そうすると、働き掛けを行うよう請託を受け、その報酬として金銭の供与を受けた行為が受託収賄罪に当たるとした二審の判断は正当である。
 【金築誠志裁判官の補足意見】
 受託収賄罪における北海道開発庁長官の職務権限につき、意見を補足的に述べる。
 弁護人引用の判例は、内閣総理大臣の職務権限に関するもの。内閣総理大臣については、直接に行政事務を行うことを認めるのは相当ではないとする見解が有力で、指揮監督権限は行政全般にわたる反面、極めて一般性・抽象性が高い。働き掛けを受ける公務員の職務関連性を認定することで、職務権限を認定せざるを得ない面があり、一般化は相当でない。
 働き掛けた事項が相手先の公務員の職務と無関係であれば、働き掛けに職務関連性を認めることが困難となろうが、働き掛けを受ける公務員に収賄公務員の職務関連性以上のものが要求されると解すべきではない。少なくとも働き掛けを受ける事項と職務との間に密接な関係があれば足りると解すべきである。
 港湾部長は、港湾工事の計画作成・実施に関して職務権限を有し、慣行的、常態的に本命業者の指名を行っていた。組織的に事実上職務行為化した行為とも評価でき、港湾部長の職務と密接な関係を有する行為であることは明らかだ。
 官製談合での本命業者の指名は、収賄罪の職務にはなり得ないと主張するが、収賄罪での職務が適法なものに限られないことは加重収賄罪の存在からも明らか。慣行化した官製談合の違法性、それによる信頼棄損と、慣行を利用してわいろを収賄することの違法性、それによる職務の公正に対する信頼棄損とは、別個の評価が可能。今回のような行為に関するわいろ収受が、職務の公正に対する信頼を害する程度が低いとは到底いえない。職務密接関係性を否定することは相当ではない。
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『暴走する「検察」』(別冊宝島編集部 編)より抜粋
一貫性の無い捜査
「見込み捜査がはなはだしい。だから、捜査がどこを向いているのかわからない」「行き当たりばったり。場当たり的で一貫性がない」
 特捜部が初めて鈴木宗男事件の強制捜査に踏み切った直後の5月中旬、検察外部だけでなく特捜部内部からも、捜査指揮に対する不満や、首を傾げる声が出始めた。
 複数の検察関係者と検察OBは、次のように証言する。
「そもそも国後島『友好の家』建設の入札を妨害したとして、公設第1秘書ら7人を偽計業務妨害容疑で逮捕したことからして不自然だった。特捜部には、世論の流れから鈴木代議士を逮捕しなければいけないという焦りがあったが、鈴木代議士を引っ張るネタがなかった。そこで無理やり異例ともいえる容疑を探し出し、鈴木代議士の側近の身柄を取ろうとした。
 ところが、それでも鈴木代議士の犯罪につなげることはできなかった。そこで狙いをつけたのが、鈴木代議士の側近中の側近といわれた佐藤優氏だ。佐藤氏は最初は背任容疑で逮捕されたが、本当に背任罪の構成要件を満たしていたのかどうかはかなり疑問だ。しかも、特捜部はこの佐藤氏の線からも鈴木代議士を追い込めなかった」
「特捜部が偽計業務妨害容疑で三井物産を狙ったのも、標的は鈴木代議士だった。北方事業は鈴木代議士の利権事業という見方をしていたのだ。特捜部が描いた絵は、三井物産から鈴木代議士に金が渡り、鈴木代議士が三井物産に何か便宜を図っていたという構図だった。
 しかし、鈴木代議士は三井物産と2、3回、会ってはいるが、手土産一つもらっていない。当然、現金は出てこなかった。ここでも鈴木代議士の疑惑を事件化できなかった。明らかに事件の筋読みを間違えたわけだ。
 たしかに、特捜部が手がけた一連の事件を通してみると一貫性に欠ける。この疑問を、ある法務検察関係者はこう解説する。
「特捜部長だった伊藤鉄男さんは穏やかな性格で、本来、特捜部長の器ではなかった。次の部長につなぐまでの、いわゆるリリーフ的存在だった。
 特捜部の場合、事件の捜査指揮は特捜部長が執るが、同時に東京地検の検事正と次席検事、それに最高検の担当検事と相談しながら詰めていく。ところが今回の場合、検事正はどうしたわけか、捜査にほとんど口をはさまなかったようだ。当然、特捜部長と次席検事、最高検の間で話が進められたわけだが、この次席検事と最高検との間で捜査方針が食い違っていた。伊藤さんは次席検事と最高検との間で揺れ、強い捜査指揮権を出せないまま、最終的には次席検事の意向が優先されてしまったようだ。ところが、当時の東京地検首脳は大きな問題を抱えていた。冷静に事件捜査の見通しを立てられる人材が不足していたことだ」
外務省に敗れた
 捜査関係者らの声を集めると、まだまだ首を傾げたくなるような話が出てくる。背任罪と偽計業務妨害罪で起訴されたロシア支援室の前島元課長補佐に関してもそうだ。「前島氏が取り調べのなかで、最終的にどうして容疑を認めてしまったのかわからない。彼こそ、捜査の“被害者”という見方が検察内部でも強かった。逮捕時から、容疑の確定にかなり無理をしていた。だから、もし前島氏が否認を貫き通していたなら、捜査はどうなっていたかわからない。特捜部はなんとしても認めさせようと、かなり厳しい取り調べを続けていたようだ。しかし、当初否認していた前島氏が、一転して認めた裏には、検察との取引があったという説も出ている」
 たしかに、特捜部の取り調べは厳しい。過去に取り調べを受けたことのある元会社役員は、「とにかく人格を全否定されるんです。罵倒されるのは序の口で、女房はもちろんだが、孫のことまで持ち出す。それまでいちおう社会的な地位があったので、それには耐えられなかった」「調書が知らないところでできあがっていて、しきりに署名するよう強要されたことを覚えている」と話す。
 前島氏の場合も、同様な取り調べが行われたのだろうか? それとも特捜部から何らかの形で取引を求められたのだろうか? いずれにせよ、前島氏に対する同諍論が検察内部にあることは事実だ。
 ところで、この背任事件については最初から、外務省の大物である東郷和彦・元欧亜局長の関与が指摘されていた。前述の前島氏らは国際学会への派遣費用などを外務省の関連団体「支援委員会」に不正に支出させていたとして背任罪に問われているが、東郷氏はこの支出に関し、東亜局長として前島氏が起案した決裁書にサインするなどしていた。新聞報道などによると、前島氏も特捜部の調べに対し、「東郷氏の指示で違法な決済書類を作成した」と供述したとされており、東郷氏に対する疑惑が深まっていた。
 ところが、東郷氏は疑惑が取り沙汰されて以来、日本を離れてヨーロッパに滞在。特捜部の参考人聴取も、病気療養を理由に出頭を引き延ばしていた。最終的に、検事がヨーロッパに出向いて参考人聴取したが、その結果、私的な流用はなかったとして立件は見送られた。
 しかし、捜査関係者はこう言う。
「どうして東郷氏の逮捕に踏み切らなかったのか? 佐藤、前島両氏を背任罪で起訴しておきながら、それを指揮した疑いの強い東郷氏の立件を見送ったことは理解できないし、公正さを欠く。失態といっても過言ではない」
 また、別の検察関係者はこう話す。
「今回の捜査では当初、『支援委員会』が、税法上不要な消費税分を事業費に上乗せして受注業者に支払っていた問題を狙っていた。消費税の上乗せ分は、2億6000万円を超える。当初、支援委員会による背任事件として立件を検討したこともある。もし、そのまま捜査を始めていればもっと違った展開になり、捜査もスムーズにいったかもしれない」
 外務省が、検察当局の本格的な捜査を受けたのは初めてのことだ。特捜部の事情聴取を受けた職員の数は100人を超える。
 しかし----。
「そもそも、今回の鈴木宗男事件の発端は外務省との癒着問題だった。それが捜査を終えてみると、外務省の本丸には切り込めなかった。佐藤氏ら外務省を摘発はしたが、局長や課長クラスの刑事責任は追及できなかった。鈴木宗男疑惑の中心にあった外務省との癒着、疑惑はほとんど解明されなかったという結果を見ると、検察の敗北と言わざるをえない」(東京地検関係者)


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