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小沢一郎氏裁判 第8回公判〈前〉証人 池田光智元秘書「検察官のいう通りにいたほうがいいのかと」

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小沢一郎氏裁判 第8回公判
産経ニュース2011.12.8
 弁護人「まずは職業を教えてください」
 証人「学生をしております」
 弁護人「秘書を辞めてですか」
 証人「はい」
 弁護人「なんの勉強を」
 証人「税理士の勉強をしております。専門学校に週5回通っています」
 弁護人「生活費はどうしていますか」
 証人「妻が働いておりましてお願いしているのと、足りない分は両親にお願いして生計を立てております」
 弁護人「奥さまの仕事はパートですか」
 証人「はい」
 弁護人「家族構成は?」
 証人「34歳の妻と、5歳の娘の3人です」
 弁護人「専攻は?」
 証人「政治学を専攻していました」
 弁護人「法学・民法の授業は受けましたか」
 証人「一般教養で民法総論とかいう科目がありましたが、あまり学校に行かず、あまり授業を受けた記憶がございません」
 弁護人「会計学は?」
 証人「学んだ経験はございません」
 弁護人「石川さんはどういった存在ですか」
 証人「(早稲田大の政治サークルの)鵬志会の4つ上の先輩で、入学時は5年生でした。小沢事務所で、すでに働いていました」
 弁護人「上下関係にきびしいサークルだったと聞きますが」
 証人「(石川議員は)雲の上のような存在で、伝説的先輩という印象でした」
 弁護人「伝説的とは?」
 証人「すでに小沢事務所で活躍されていましたし、さまざまな武勇伝があり、すごい人だと思っていました」 弁護人「サークルは文化系というより体育会系?」
 証人「はい」
 弁護人「事件で禁錮1年猶予3年の判決を受けていますが、どう感じました?」
 証人「内容そのものは納得いかない部分もありましたが、執行猶予がついていた。家族にも迷惑をかけており、できれば早く終わらせたいという心境でした」
 弁護人「では、なぜ控訴を?」
 証人「判決の内容に事実でないことがあった。私の大久保(隆規元秘書)さんへの報告・了承など、意思疎通や共謀が認められた判決で、やはり違うと思って対応しました」
 弁護人「秘書業務は何が中心でしたか」
 証人「東京では主に(小沢被告関係の)5団体の経理事務、資金集め、選挙活動が中心でした」
 弁護人「選挙活動とは?」
 証人「衆参、地方を含め、現地の事務所に入り込んでサポートします」
 弁護人「資金集めは?」
 証人「政治資金パーティーの開催、寄付金のお願いなどの活動です」
 弁護人「経理事務は?」
 証人「事務所にいた女性スタッフに日頃の支出、入金作業をお願いし、私は月1回、請求書の送付や領収書の処理などを指示し、あとは女性が行っていました」
 弁護人「仕事上、政治活動と経理事務の割合は?」
 証人「政治情勢にもよりますが、経理はほとんど女性に任せていたので『10対1』で選挙が大事でした」
 弁護人「小沢さんの関心事項はなんでしたか」
 証人「政局や政治などさまざまでしたが、私から見て選挙のことが何より大事で、そのことに強い関心を持たれていたと思います」
 弁護人「それ以外のことについては?」
 証人「事務所業務や運営については、ほとんど関心を持たれてなかったと思います」
 弁護人「石川さんは何を中心に業務の引き継ぎを行いましたか」
 証人「とくに人間関係のことで、一緒に外回りをして、人脈関係の引き継ぎを中心にやっておりました」
 弁護人「具体的には?」
 証人「相手の性格とか、こう接しないといけないというのを細かく引き継ぎました」
 弁護人「事務的なことは?」
 証人「合間合間に思い出したように少しずつ教えていただきました」
 弁護人「5団体の収支報告書の作成については?」
 証人「まとめて時間をとった感じでなく、時間が合うときがあれば一緒に作業をしてお手伝いをしながら教えていただきました」
 「(小沢一郎)東京後援会と(小沢一郎)政経研究会は一緒に(収支報告書を)作った記憶がありますが、陸山会と誠山会は時間もなく、部分的に手伝ったという感じです」
 弁護人「引き継ぎはいつごろ行いましたか」
 証人「17年1月から3月のうちに受けました」
 弁護人「4月以降は?」
 証人「(収支報告書の作成)作業がなくなり詳しく聞いたことはありませんでした」
 《池田元秘書は平成17年に政治団体の経理を担当する東京・赤坂に異動。石川知裕衆院議員=同=から業務の引き継ぎを受けていた。池田元秘書は、石川議員にまとめて疑問点を尋ねるため、ノートに質問事項を羅列していた》
 弁護人「なぜ、まとめて聞いていたのですか」
 証人「いちいち、ひとつひとつ聞くのは煩わしいこともありましたし、なかなか上下関係が厳しく、聞ける際にまとめて聞こうと」
 弁護人「(問題の東京都世田谷区)深沢の土地の平成17年の収支報告書への計上について、石川さんから、どのような指示を受けていましたか」
 証人「平成17年1月7日に登記したので、それにあわせて陸山会の資産に土地を記載することと、支出を計上することをいわれました」
 弁護人「その石川さんの指示は、普段と何か違うようなことはありましたか」
 証人「当然の処理で、問題があるとは思いませんでした」
 弁護人「話を聞いた時間は、どのくらいですか」
 証人「4、5分だったと思います」
 弁護人「(疑問点を石川議員に尋ねる)池田さんのノートには、土地に関する記載もある。どうして確認しようとしたのですか」
 証人「1月7日に登記したことを確認しようとしたのだと思います」
 弁護人「収支報告書の作成の際、小沢さんに、土地代の計上について報告しましたか」
 証人「いいえ」
 弁護人「なぜですか」
 証人「石川さんから指示を受け、当然の処理をしているので、報告する必要はないと思っていました。仮に報告する必要があるのであれば、(自身に指示を出した)石川さんが、すでにしているはずですし」
 弁護人「小沢さんからの4億円は石川さんから、どう説明を受けましたか」
 証人「(小沢被告の関係5団体のいずれかに)『入っているからな』とか『あるからな』といわれましたのと、『いずれ返さなければならないからな』の2点をいわれました。(時間にして)数十秒だったと思います」
 弁護人「その1回きりですか」
 証人「はい」
 弁護人「4億円は、どのような性質のものだと思っていましたか」
 証人「代議士個人のお金を預かっていると思っていました」
 弁護士「なぜ個人のものだと思ったのですか」
 証人「(小沢被告から)借り入れがあるとか、利息があるとかなど、まったく(石川議員から)聞かされていませんでしたし、契約書もなかったので、単なる預かり金があると思っていた」
 弁護人「小沢さんから、『返せ』といわれれば…」
 証人「当然、返さなければならないと思っていました」
 弁護人「返済の原資は何をあてようと思っていましたか」
 証人「(政治5団体の)どこにいくら入っているか分からなかったので、政治団体全体で4億円を下回らないように注意していました」
 弁護人「捜査段階でも池田さんは『預かり金』と説明したのですか」
 証人「いいえ。うまく説明できませんでした」
 弁護人「いつから、そう説明するようになったのですか」
 証人「保釈後です。弁護人に相談して認識を説明したところ、『それは預かり金ではないか』といわれ、そのように認識するようになりました」
 弁護人「石川さんから4億円がどこにあるのか。説明はありましたか」
 証人「具体的な説明もなく、後に通帳を見てもよく分かりませんでした」
 弁護人「5団体で、通帳はいくつあるのですか」
 証人「20個(口座)くらいあったので、確か(通帳は)事務所に100とか200とか、数え切れないくらいありました」
 弁護人「4億円の趣旨について、石川さんから何か引き継ぎを受けましたか」
 証人「特に聞いていません」
 弁護人「深沢の土地に関係があるとは?」
 証人「聞いていません」
 弁護人「(石川さんに)なぜ(4億円の趣旨を)尋ねなかったのですか」
 証人「当時、岩手から東京に来て間もなく、全体の状況が分からないので受け身でした。また、代議士個人のお金なので、よく分からない自分が詮索するのもいかがなものかと、積極的に聞きませんでした」
 弁護人「りそなの4億円については、石川さんからどのように引き継ぎを受けていましたか」
 証人「陸山会が土地を購入する際に銀行から4億円の定期で小沢先生の名前を経由して4億円をお借りした、と」
 弁護人「返済時期については」
 証人「1年後に半分の2億円を返済しなければいけない、(返済)するようにと。残り2億は、その後に返済するような説明でした」
 弁護人「小沢さんの4億円と一緒に説明を受けたのか」
 証人「別のときです」
 弁護人「りそなの融資に関する説明は時間にして、どのくらいですか」
 証人「4、5分です」
 弁護人「小沢さんを経由する理由は聞いていないのですか」
 証人「便宜上とか、そんな感じだったと思います」
 弁護人「あまり記憶に残っていないと?」
 証人「はい」
 弁護人「定期預金は小沢さんの4億円が原資になっているとの認識はありましたか」
 証人「いいえ」
 弁護人「なぜ、定期を崩したのか」
 証人「定期は政治団体のお金を集めて作ったと聞いていたので…。2億返済するのに際して、(石川議員は)『1年後にまた他団体から集めないといけない』と気にしていたが、私は定期を崩せばいいと内心思っていた。そのときから(石川さんと)認識がずれていたのかもしれません」
 弁護人「どうして定期預金を担保にりそなから融資を受けたのか。石川さんは何といっていましたか」
 証人「金利が安いと聞いていました」
 弁護人「5団体の収支報告は、どのようにしていましたか」
 証人「毎年12月の銀行がしまる暮れに、その年の1年間の収入と支出、差額を報告していました」
 弁護人「報告は何か書類を見せながらやっていたのですか」
 証人「概算の表を作っていました」
 弁護人「一覧表は(小沢被告に)渡していましたか」
 証人「手渡していません」
 弁護人「収入と支出の差額は何のために説明したのですか」
 証人「事務所がきちんと回っているのかを示すためです」
 弁護人「小沢さんの関心は、そこにしかなかったのですね」
 証人「はい」
 弁護人「一覧表は12月以外にも示すことはありましたか」
 証人「1回きりです」
 弁護人「年末にまとめるための日々のデータ入力は、いつやっていたんですか」
 証人「月に1回くらい、女性スタッフがまとめて打ち込んでいました。それを私が12月にまとめ、小沢代議士に報告していました」
 弁護人「同じ年に、形式の違う一覧表が作成されています。これは何のためですか」
 証人「(小沢被告の)政治団体間の(資金の)移動があり、さっきの表には実態と違う大きな数字が入っています。代議士に収入と支出を報告に行ったら、(小沢被告が)『ちょっとおかしい』という感じで。純額で報告しろ、といわれて作り直しました」
 弁護人「先ほどの表では収入が1億1861万円、こちらの表では3895万円となっている。だいぶ少ないですね」
 証人「政治団体間の移動を除いた金額なので」
 弁護人「(小沢被告は)純粋に外部からの収入を知りたかったと?」
 証人「そうです、はい」
 弁護人「同じ日に作り直して、報告し直したんですね」
 証人「はい」
 弁護人「収支報告書の原案を、小沢代議士に報告しましたか」
 証人「いいえ。一覧を報告するようにとしか石川さんからも聞いていませんし、3月に収支報告書を見せるように、とも言われていませんでした。石川さんが在籍していた当時、報告に立ち会ったこともありませんでした。小沢代議士が知りたい情報は伝えているので、改めて形式的なものを報告する必要がありませんでした」
 弁護人「小沢さんの知りたい情報とは?」
 証人「収支のプラスマイナスで、資金がちゃんと回っているか、ということです」
 弁護人「大久保さんにも報告をしていないんですか」
 証人「はい。していません」
 弁護人「なぜですか」
 証人「会計責任者だが名義上で、大久保さんから聞かれることもなく、興味もない様子だったので」
 弁護人「どうして大久保さんが名義上の責任者と認識したんですか」
 証人「(大久保元秘書が)会計業務に携わったこともなく、全く畑が違う。そういう意味です」
 弁護人「小沢代議士の政治団体以外でも、会計責任者に名目だけの人がいるケースがありましたか」
 証人「テレビのニュースでも聞いたことがありました。地元に長くいた際には、地方の名士が選挙の責任者、会計責任者となり実務は別の人、ということもあったので、ありえるのかなと漠然と思っていました」
 弁護人「政経研究会の最終更新は18年3月28日の午前9時23分になっています。陸山会の収支報告書の完成は、これより前ですか後ですか」
 証人「後だと思います」
 弁護人「なぜ政経研究会の収支が、陸山会に影響するんですか」
 証人「そのころに、今問題になっている、数字が合わないところに気づきました」
 証人「寄付を確定させる処理をして、政経研究会の支出を陸山会の収入にしました。それと同時か、その直後に、陸山会の収支報告書が完成したと思います」
 弁護人「そうすると、17年分の陸山会の収支報告書は完成させたその日に提出したんですね」
 証人「はい、そうです」
 弁護人「どうしてこの時期に返済したのですか」
 証人「3月か4月ごろに寮が完成して、区切りが付いたので、その話を小沢代議士に報告する際に、返済することになりました」
 弁護人「マスコミによる詮索を意識しましたか」
 証人「マスコミは関係なく、区切りと言うことで返済しました」
 弁護人「返済したことで、陸山会など5団体の資金に不都合は生じましたか」
 証人「事務所を回す上では、問題はありませんでした」
 弁護人「小沢さんに4億円を戻したことは、19年の収支報告書に記載していませんね」
 証人「はい」
 弁護人「なぜですか」
 証人「個人のカネを戻したという認識で、記載する必要はないと考えました」
 弁護人「その説明は小沢さんにしましたか」
 証人「していません」
 弁護人「大久保(隆規元秘書)さんには?」
 証人「していません」
 弁護人「どうして説明しなかったのですか」
 証人「通常の処理をしたと思っていましたし、記載内容については、小沢代議士も大久保さんも興味を持っていなかったので、必要ないと思いました」
 弁護人「小沢さんの4億円を定期にして、預金担保融資を受けるとの説明を石川さんから受けていませんか」
 証人「記憶にありません」
 弁護士「小沢さんの4億円は預金で、りそな4億円は余剰金で返済する。石川さんと池田さんの認識にズレがあったということですか」
 証人「はい」
 弁護人「どういった点で認識にズレがあったのですか」
 証人「私がよく理解していなかったことと、石川さんの説明も具体的でなかった。私はある定期預金から返せばいいと考えましたのですが、石川さんは定期預金を崩しては駄目だと」
 弁護人「小沢さんの4億円はどこにあったのですか」
 証人「私はいずれかの団体の預金の中に含まれていると思っていました」
 弁護人「それでは返済する際に、よく分からず困りはしませんか」
 証人「結局、分からなかったので、残高から推測して返すことにしました」
 弁護人「どうして石川さんに聞かなかったのですか」
 証人「石川さんには17年の収支報告書を作る際、16年分も含めてうかがったが、石川さんも記憶が曖昧(あいまい)な感じで、よく教えてもらえなかったので…」
 弁護人「18年3月の時点で、すでに分からなかったということですか」
 証人「はい」
 弁護人「土地購入代金について、どのように認識していましたか」
 証人「購入にあたり(銀行から)借り入れたと石川さんから聞いていたので、そのお金で支払ったのだと認識していました」
 弁護人「文案を作成したときに事実と異なると考えましたか」
 証人「借入金で買ったという認識だったので、そのまま回答しました」
 弁護人「『銀行融資で支払ったことは事実と異なる』と調書にありますが、どうしてこういう調書になったのですか」
 証人「事実関係として、銀行からの借り入れよりも前に土地代金の支払いがされていると検事から聞きました。客観的にみて事実と違うと。私は虚偽の回答をしたつもりはないのですが、事実と違うことを認めたのでそういう調書になりました」
 弁護人「取り調べは毎日あったのですか」
 証人「はい。1日も休まずにありました」
 弁護人「1日どれくらいの時間取り調べを受けましたか」
 証人「午後1時から夜遅くまで。午後11時を過ぎるときもありました」
 弁護人「どう感じましたか」
 証人「初めての経験でした。長時間の拘束だったので、つらい思いでした」
 弁護人「収支報告書を大久保さんに報告したと認めていますが、事実ですか」
 証人「していなかったので、事実と違います」
 弁護人「なぜ異なる調書になっているのですか」
 証人「弁護士から、大久保さんが報告を受けているという話を聞いたので、同調して進めていました」
 弁護人「西松(建設の違法献金)事件のとき、収支報告書について、小沢さんのことをどう供述しましたか」
 証人「年に1度、(収支の)差額を報告していたと伝えました」
 弁護人「収支報告書の原案についてはどうですか」
 証人「小沢代議士に見せていないといいました」
 弁護人「このとき、××検事(法廷では実名)は納得しましたか」
 証人「はい。押しつけ的なことはなかったので、理解いただけたと」
 弁護人「21年3月20日に作成された調書については、署名を拒否しています。どうしてですか」
 証人「私が西松(建設)からの寄付金を認識して、虚偽の収支報告書を作りましたという内容でしたので、違うと拒否しました」
 弁護人「××検事はどんなふうに署名を求められましたか」
 証人「気が狂わんばかりに怒鳴り散らされました。しかし、最後は頭を何度も下げられ、署名してくれと懇願されました」
 弁護人「頭を下げて懇願されるというのは異常なように思われますが、どう感じましたか」
 証人「とにかくなりふりかまわない印象です。気が萎えそうになりがらも、怖いと思いました」
 弁護人「3日間呼び出されましたね」
 証人「はい」
 弁護人「年末のクリスマスの忙しい時期だと思いますが」
 証人「西松の時も苦しかったので、できれば受けたくありませんでした。23日にクリスマスをやって、家族に内緒で取り調べを受けたので、早く終わらせたかったです」
 弁護人「担当検事は誰ですか」
 証人「××検事です」
 弁護人「取り調べの手法はどうでしたか」
 証人「かなり急いでいるようでした。早く調書作りたい感じで、質問よりも調書作りが主でした。仮定の話もよくされました」
 弁護人「××検事が『可能性についてよく話をした』ということですが、具体的にはどういうことですか」
 証人「記憶にないところを否定すると、『可能性についてまで否定すると、嘘をつくのと同じだ』とよく言われていました。そういう可能性の話をされて、同調してしまったこともありました」
 弁護人「逮捕前の任意の取り調べの段階で、西松建設事件の(大久保隆規元秘書に平成17年の架空計上の報告をしたという)供述を維持したのはなぜですか」
 証人「このとき、西松建設事件の裁判が始まったかどうかの時期で、前回と違う供述をすれば、裁判や大久保さんに迷惑がかかると思いました。争点にもなっていないと聞いていたので、確認ということで『はい、はい』という感じで認める形になりました」
 弁護人「小沢さんには報告はしていたんですか」
 証人「一切報告していません」
 弁護人「平成21年12月25日付の調書に『平成16年の収支報告書の支出のうち、3億5000万円は(世田谷区)深沢の土地代金です』と記されていますが、こういう供述をされたのですか」
 証人「これは一覧表に含まれる支出です」
 弁護人「一覧表の話なのですか」
 証人「このときは一覧表の話しかしていませんでした。××検事もそう認識していたと思います」
 弁護人「一覧表に3億5000万円が含まれていると供述したんですか」
 証人「きちんとした資料を見せられない中で、××検事から『そういう大きい金額の記載があると小沢代議士も質問するのではないか』と言われました。私は記憶がないといったが『記憶がないでは駄目だ。嘘を言っているのか』とよく言われた。そういう質問があったかもしれないといったら、そういう調書ができあがったのだと思います」
 弁護人「具体的に××検事はどういう質問をしたのですか」
 証人「『入っていれば小沢さんも気づくんじゃないのか』と」
 弁護人「どう思ったんですか」
 証人「そういう数字が入っている資料があるのかなと思いました。あまりかたくなでも変かなと思い、入っているならそういう話かもと思いました」
 弁護人「事実と違う調書にサインすることに小沢さんに迷惑がかかると思わなかったのですか」
 証人「この程度のことなら、何か問われることはないと思いました。だったら早く終わりたいと思い、サインしました」
 弁護人「21年12月25日の別の調書ですが、『簿外で借りた4億円』という表現がありますが」
 証人「そんな言葉は使っていません。検事さんが作った言葉だと思います。簿外の意味が分からなくて、私が『収支報告書に入らないお金という意味ですか』と××検事に聞きました。『そうです』ということでしたので、サインしました」
 弁護人「裏金だという説明はありましたか」
 弁護人「どこで逮捕されましたか」
 証人「私の実家にいたときに、夜9時ごろに逮捕され、連行されたと思います」
 弁護人「手錠ははめられましたか」
 証人「東京に来てからだと思いますが、はっきり覚えていません」
 弁護人「事前の連絡はありましたか」
 証人「翌日昼1時にお伺いすることになっていたのですが、逮捕については特にないです」
 弁護人「どう思われましたか」
 証人「びっくりしました」
 弁護人「手錠をかけられてどう思いました」
 証人「人生の終わりだと思いました」
 弁護人「裸にされ身体チェックもされたのですか」
 証人「全部脱がされました」
 弁護人「どう思いました」
 証人「屈辱的でつらい思いをしました」
 弁護人「逮捕容疑は理解できましたか」
 証人「口頭で言われて、中身はよく理解できませんでした」
 弁護人「逮捕時に調書を作成していますね。どのような経緯で作成したのですか」
 証人「罪状を読み上げられたので、異議を申し上げ、弁護士にあわせてほしいと申し上げたが、そういうのは後でいいと言われました。サインは拒否できないとも言われました」
 弁護人「調書作成時間は何分ですか」
 証人「数分です」
 弁護人「この調書がどういう内容とイメージしていましたか」
 証人「それまで土地の記載が問題になっていたので、それだと思いました」
 弁護人「そういう調書になっていますか」
 証人「今でも分かりません」
 弁護人「弁解録取書というのは分かりましたか」
 証人「よく分からないです」
 弁護人「ここには『詳しいことはよく思い出して話します』と記されていますが、あなたの言葉ですか」
 証人「××検事が作ったのでサインしました。××検事から逮捕時に『詳しいことは明日以降に聞くから』という言葉もありましたので、それを書かれたんだと思います」
 弁護人「逮捕翌日の裁判官の勾留質問では、大久保さんへの報告と共謀を否定していますね」
 証人「はい」
 弁護人「なぜですか」
 証人「実際に報告していなかったし、共謀の意識もなかった。逮捕された以上は、本当のことを話したいと思いました」
 弁護人「××検事は共謀を否定したことについて聞かれましたか」
 証人「『なんであんなことをいったんだ』とぼやくように言っていました」
 弁護人「21年12月25日付の調書の訂正は求めましたか」
 証人「正直に話そうと思い、訂正を申し入れました。ですが、『このときの記憶が正しい』と言って供述を維持するように言ってきました」
 弁護人「逮捕後の××検事の取り調べで、何か印象的なものはありましたか」
 証人「私が非常に苦しかったので、1月以降取り調べに応じない時期がありました。それについてかなりしつこくやられました。両親や妻を呼んで、みんなに迷惑がかかるぞと脅しをかけられ、できるだけ逆らわないようにしました」
 弁護人「××検事の取り調べは夜遅くまで続きましたか」
 証人「夜は午後11時まで。朝はだいたい午前10時からでした」
 弁護人「どんな心理状況でしたか」
 証人「夕食以降厳しくなって、最後のほうになると疲れて朦朧としています。早く終わらせたかったです」
 弁護人「休憩時間はどれくらいですか」
 証人「昼食と夕食、それにトイレぐらいでした」
 弁護人「××検事は弁護士について何か言っていましたか」
 証人「弁護士の言うことを聞いたら、悪いことになると。ろくなことはないと毎日念仏のように言っていました」
 弁護人「弁護士からはどんなアドバイスがありましたか」
 証人「事実と違う調書にはサインするなということでした。ですが、終わった取り調べの内容をこちらから報告することが多く、対応は具体的に受けたことはないです。励ますことが主でした」
 弁護人「実際には事実と違う調書にサインしていますね」
 証人「多少自分に不利でも、情状面もあるので、できるだけ抵抗しない方が悪くならないのではと思い、サインしました」
 弁護人「毎日一緒に取り調べられていると、検察官にはどういう感情を抱くのですか」
 証人「検察官は厳しいときもあれば、優しいときもありました。『処分を決めるのは私たち』ともおっしゃっていたので、確かに目の前の人たちが決めるから、弁護士よりも検察官のいう通りにいたほうがいいというか…。何を信じていいのかという心境でした」
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