〈来栖の独白〉
近頃の支持率低下に追い打ちをかけるように、野田政権は原発の「冷温停止」宣言で決定的な失点をした。被災地の皆さんのみならず全国民、専門家、国内外からの不評、この上ない不信を買った。まるで四面楚歌。
ところで、死刑の問題であるが、いくら法務省でも年内の死刑執行はないだろう、と考えていた私だが、総理や細野原発相の会見を目にして、不意に「死刑執行があるかもしれない」「年内に、あるかもしれない」と胸が騒いだ。
鮮やかによみがえったのは、麻原彰晃死刑囚が逮捕拘引される姿を車中に目にしたときのことだ〈1995年5月16日〉。あのときも「近日中にどこか(どこかの拘置所)で死刑執行がある」と俄かに強く感じた。果たして、そのように推移した。村山政権・前田勲男法相による命令で、1995年5月26日(金曜日)、大阪拘置所において藤岡秀次死刑囚に、東京拘置所において須田房雄・田中重穂死刑囚に、執行された。
先般、オウム裁判が終結した。
昨年7月末に死刑執行があって以来、本年の執行は、まだない。平岡氏法相就任以降、4か月。法務官僚にとって、企案書を上げるに時間は十分だろう。上がっているに違いない。
政権の最大使命とは、その存続である。政治家の最大目標は、選挙に勝利することである。
メディアはまるでゴミでもたまったかのように死刑確定者の数を(「多い」「多い」と)報道し、国民世論も、死刑執行を待ち望んでいるかの風潮だ。
政権にとって唯一の起死回生策として、法相はこれに応えるかもしれない。「個別の問題は個別の問題として慎重に判断していきたい」と、うまい言い回しをしている。
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◆平岡秀夫法相 死刑執行について「個別の問題は個別の問題として慎重に判断していきたい」2011-12-14 | 死刑/重刑/生命犯 問題
死刑執行、慎重に判断=「制度の勉強続けたい」−平岡法相
平岡秀夫法相は14日午後、山口市で記者会見し、死刑制度について「従来私自身悩んできた問題」とした上で、「(法務省内に設置した死刑制度に関する)勉強会で勉強を続けていきたい」と強調した。勉強会が続いている間の死刑執行については「個別の問題は個別の問題として慎重に判断していきたい」と述べるにとどめた。 2010年7月に死刑が執行されて以降、死刑は執行されておらず、11年に死刑執行がなければ、1992年以来19年ぶりとなる。(時事通信2011/12/14-20:56)
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◆日弁連、死刑廃止で統一見解 オウム裁判終結で懸念2011-12-18 | 死刑/重刑/生命犯 問題
◆「死刑執行、教祖から」と江川紹子氏は云うが・・・/【63年法務省矯正局長通達】に見る行刑の苦難2011-12-04 | 死刑/重刑/生命犯 問題
◆麻原彰晃死刑囚(=意識混濁・拘禁症状)の「Xデー」/ オウム中川智正・遠藤誠一被告側が訂正申し立て2011-11-28 | 死刑/重刑/生命犯 問題
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政権の起死回生策として、法相はこれに応えるかもしれない
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