ようやく始動した小沢一郎
日刊ゲンダイ2011年12月23日
野田政権は自民と同じ 小沢はマニフェストに戻る
<歴代自民党政権よりはるかに劣る無能内閣>
9月に裁判がスタートしてからというもの、一時、おとなしかった小沢一郎・元民主党代表がようやく、精力的に動き始めた。
「遅すぎるよ!」と噛みつきたくはなるのだが、とはいえ、そのタイミングや影響力はさすがだ。
11月ごろから、野田政権に対する批判を強め、今月21日には106人もの国会議員を集めて消費増税に反対する大勉強会を立ち上げた。これまで3つに分かれていた小沢グループを統合したもので、入会申込者も含めると総勢136人になる。
「野田首相はビビったと思いますよ。民主党所属の国会議員408人の3分の1になるし、60人が団結していれば、野党が不信任案を出した場合に可決できる。その意味で、3桁の勢力を押さえれば、ゆうゆうキャスチングボートを握れるのです」(政治ジャーナリスト・野上忠興氏)
しかも、暮れも押し迫り、野田は「消費増税を含む一体改革」の民主党案をまとめるために追い込まれている。そこへドンピシャのタイミングで、大軍勢を率いた小沢が「反対」のノロシを上げたのである。
野田政権はもうグラグラで、素案の先送りや政府案と民主党案と切り離し、はたまた、あいまい表現でごまかす案まで議論百出で、右往左往。それでも野田は年内決着にこだわっているから、どうなるか見モノだ。できなきゃ求心力は完全消滅だし、強引に突っ込めば、世論は怒り、党内は騒然となる。野党は安心して倒閣へ。ただでさえ、問責閣僚を抱えて通常国会は火ダルマ必至のドジョウは、ニッチもサッチもいかなくなる。
「もはや末期症状ですよ。疲れ切っている野田首相は最近、官僚の報告を聞いている時に居眠りしてしまう場面が増えている。能力的にも体力的にも限界が近づいている証拠です」(官邸事情通)
周到な小沢はそれを見越していた。満を持して行動を再開したのである。
小沢周辺によると、野田への見切りは早かったようだ。ジャーナリストの渡辺乾介氏が言う。
「野田首相は人事で挙党一致のパフォーマンスをやりましたが、基本的には菅政権の政策を引き継ぐ反マニフェストの裏切り者政権であることには変わりがない。そういう政権の本質はとっくに見抜いていたはずです。しかし、臨時国会中は復興関連の法案を通さなければいけないので、待った。水面下で力をためて、臨時国会後に動き出したのです。新聞・TVは裁判で身動きできない小沢氏に対して、“求心力の低下”とか書いていましたが、ピント外れもいいところ。それがよく分かったのではないですか」
財務省の言いなりで増税路線をひた走る野田政権は、民主党のマニフェストの対極に位置する政治家だ。つまり、自民党政権みたいなものだが、違うところがひとつだけある。歴代自民党政権よりもはるかに実務能力が落ちることだ。
「だって、臨時国会の法案成立の割合は3割くらいなんですよ。それも通ったのは復興関連ばかり。復興がなければ、ほとんどゼロです。国対がまったく機能していないせいで、恐らく、審議日程のカレンダーも描ききれていないのでしょう。こんな政権は前代未聞です」(永田町事情通)
法案もマトモに通せないような無能政権だから、ますます、官僚に頼る。代わりに「消費増税」を押し付けられて、狂気の道をひた走る。それが野田政権の正体だ。
民意にも見放され、党内からも総スカンの野田に対し、野党が協力するわけがない。つまり、この政権は必ず近く瓦解する。そんな政権とあろうことか、消費増税で歩調を合わせるのか。
小沢周辺は所属議員に対し、こう説得をしてきたはずだ。賛同が広がったのは、当然のなりゆきなのである。
<無罪の可能性が高まったのも大きい>
前出の渡辺乾介氏は「検察審査会によって強制起訴された裁判の展開も大きかった。これまでの証言によって、無罪の可能性が大いに強まった」ことも指摘した。
前田恒彦・元検事は裁判で「(検察が描いていた小沢への)ゼネコン献金は夢物語。検察幹部の妄想だった」と言い切った。同じく田代検事は石川知裕衆院議員への聴取で、事実と異なるやりとりを調書に記載したことを認めて、騒然となった。さすがに小沢に批判的だった大メディアも無罪を想定し、軌道修正を始めている。
ま、それでも小沢憎しで凝り固まっている法務・検察官僚は強引に小沢を有罪に持ち込むかもしれない。だから、小沢は来年4月の判決を待たずに行動に出た。そういうことだ。
「小沢氏は一時、離党も視野に入れたと思います。しかし、野田政権のテイタラクを見て、やめた。自分たちが民主党の本家である、向こうが出て行け。こんな思いだと思う。マニフェストを錦の御旗にし、正面から挑む主戦論に切り替えたのだと思います。野田政権に民主党の原点回帰を迫り、代表選で勝負を挑む。それでも野田政権が消費増税に突っ走るのであれば、野党の不信任案に同調することもあり得る。その場合は民主分裂、政界再編選挙になります」(政治評論家・浅川博忠氏)
おそらく、政治は年明け早々、大混乱になるのだろうが、それで政治が少しでもマトモになってくれるのであれば大歓迎。小沢にはとことん、暴れて欲しい。
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〈来栖の独白〉
>ま、それでも小沢憎しで凝り固まっている法務・検察官僚は強引に小沢を有罪に持ち込むかもしれない。
私も、そうなるのではと憂慮している。辛い。正義ではなく、メンツや利権が優先する「世の中」だから。
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◆小沢系勉強会[新しい政策研究会]の出席者一覧/小沢一郎氏 冷温停止宣言に「永久に水かけ続けるのか」 2011-12-22 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
◆「小沢一郎氏 裁判」=検察官による「虚偽捜査報告書作成事件」 郷原信郎氏2011-12-21 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
◆小沢一郎氏裁判 第10回公判〈後〉前田恒彦元検事「私が裁判官なら小沢さん無罪」「検察、証拠隠しあった」2011-12-17 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
◆小沢一郎氏裁判 第9回公判〈前〉/証人 田代政弘検事「特捜部は恐ろしいところだ」=報告書に虚偽の記事2011-12-15 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
八ツ場ダム建設正式決定=公約ほご、批判不可避−野田政権
政府・民主党は23日、野田佳彦首相も出席して首相公邸で三役会議を開き、八ツ場ダム(群馬県長野原町)の建設継続を正式決定した。同党は衆院選マニフェスト(政権公約)に建設中止を明記、政府も政権交代後、いったんは中止方針を打ち出したが、撤回した。党側は2012年度予算案への本体工事費の計上に反対するものの、最終判断は政府に委ねるとして建設容認に転じた。
ただ、一連の調整過程では、反対論を強硬に展開した前原誠司政調会長と政府の乖離が浮き彫りとなった。関連予算の計上に「党として反対」しながら建設を認める対応も分かりにくく、野党の厳しい追及は避けられそうにない。「コンクリートから人へ」と掲げたマニフェストの主要項目をほごにしたことへの批判も免れず、首相の政権運営にも影響しそうだ。(時事通信2011/12/23-20:14)
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<八ッ場ダム>政府・民主三役会議で建設再開を正式決定
(毎日新聞 12月23日 20:15)
政府・民主三役会議が23日、首相公邸で開かれ、八ッ場(やんば)ダム(群馬県)の建設再開を正式に決定した。民主党側はダム本体工事費の12年度予算案への計上に反対したが、最終決定は政府側に委ねることを容認した。これにより、民主党の09年衆院選マニフェスト(政権公約)の目玉公約だった八ッ場ダムの建設中止は正式に撤回されることになり、主要公約はことごとく未達成に追い込まれた。
会議には、政府側から野田佳彦首相、藤村修官房長官、党側から輿石東幹事長、前原誠司政調会長、樽床伸二幹事長代行らが出席した。
前原氏は「予算案に計上するなら党として反対する。閣議決定させることはできない」と反発しており、党として本体工事費の計上に反対する意向を改めて伝えた。輿石氏は「政調会長一人に責任を負わせるわけにはいかない」と前原氏に同調、樽床氏も再開反対の意向を伝えた。
ただ、政府側は22日に示した官房長官の裁定に沿って進める方針を譲らなかったことから、党側が折れ、最終決定は政府側に委ねることになった。前田武志国土交通相は22日に建設再開方針を既に地元自治体などに伝えており、党側がこれを事実上追認した。
予算の執行にあたっては裁定を踏まえることも確認した。裁定は(1)利根川水系の河川整備計画を策定(2)建設予定地の生活再建法案の次期通常国会への提出を目指す−−の2点を踏まえて判断するとしているが、2点は建設再開の前提ではなく、国交省は早期に建設を再開する方針とみられる。【野口武則、青木純】
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板垣 英憲(いたがき えいけん)「マスコミに出ない政治経済の裏話」
野田佳彦首相が「八ッ場ダム建設継続」を決断、米国の要請に応じ、米建設業に門戸開放
2011年12月23日 00時51分18秒 | 小沢一郎「15年戦争」
■民主党がマニフェストに掲げてきた「コンクリートから人へ」は否定されたのか。やはり既定方針通り「八ッ場ダム建設継続」が決まった。「コンクリートから人へ」が、仮に正しいとしても、当初反対していた地域住民を長年かけて説得し、地域住民を立ち退かせて建設を進め、後は「本体工事」のみとなっていたにもかかわらず、これを政権交代したからといって、中止するのは、無慈悲であり、傲慢であり、暴力的であった。「コンクリートから人へ」というのなら、本来は、新しい法律が出来たときと同様に「不遡及の原則」を適用すべきであった。
すなわち、新政策の実施は、政権交代した以降に適用すべきであり、それ以前に決定されて、実施中の事業計画には、原則適用しない。縮小するくらいが、せいぜいである。だから、前原誠司政調会長が2009年9月16日、鳩山由紀夫内閣の国土交通相(沖縄及び北方対策担当兼務)に就任して、いきなり、「八ッ場ダム建設中止」を宣言したのは、基本的に間違いであったというほかない。この意味で、野田佳彦首相指導の下、前田武志国土交通相(羽田孜派、京都大工学部卒業、同大学大学院修了後、建設省に入省。三重工事事務所所長、建設省河川局建設専門官などを歴任。国土庁の専門調査官なども務めた建設官僚)が、『八ッ場ダムは建設継続」を決めたのは、大英断である。しかも、「不遡及の原則」をするだけであるから、民主党が「マニフェスト」に掲げている「コンクリートから人へ」の政策を完全否定することには、決してならない。
読売新聞YOMIURIONLINE12月22日午後4時3分、「八ッ場ダムは建設継続、国交相が群馬知事に伝達」という見出しをつけて、以下のように配信した。
「前田国土交通相は22日午後、大沢正明・群馬県知事に電話し、建設継続か中止かを検証中の八ッ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)について、建設を継続するとの方針を伝えた。 県によると、前田武志国交相は同日夜、建設予定地の長野原町を訪れ、大沢知事や高山欣也町長らに建設継続を決めた経緯などを直接説明する」
■おかしいのは、前原誠司政調会長の「こだわり」である。マニフェストを盾に、あくまで「建設中止」にこだわるというのなら、なぜ「消費税増税」に賛成するのか。マニフェストには、衆院議員任期中は、「消費税増税はしない」と明記している。だからこそ、小沢一郎元代表が「国民との約束は守らなくてはならない」として、反対しているのである。小沢一郎元代表は、元来、「消費税増税論者」である。それでも反対しているのは、マニフェストで「消費税増税はしない」と約束していることと、「この不景気のさなか、いまはタイミングが悪い」と正論を堅持しているからである。これに比べると、前原誠司政調会長が、あくまでも「こだわり」を捨てないのは、「個人的なメンツ」に基づくものであるとしか言えず、「公のため」ではない。公私混同している。
■前原誠司政調会長の「こだわり」を「情報の4重構造」によって分析してみると、面白いことに気づく。つまりは、前原誠司政調会長という政治家の正体が見えてくる。
?表の情報・・・前原誠司政調会長が2009年9月16日、鳩山由紀夫内閣の国土交通相に就任して、いきなり、「八ッ場ダム建設中止」を宣言し、一見「マニフェスト遵守」
?裏の情報・・・京大学法学部で高坂正堯教授(国際政治学)のゼミ出身で、外交官志望だった。日米外交と安全保障をライフワークとしており、入閣に際しては、外務大臣か防衛大臣を嘱望していたのに、アテがはずれ。欲求不満を抱いていた。それどころか、国土交通相が「国土防衛」に果たしている重要なポストであることをよく理解していなかった。単なる土建屋のためのポストではない。
?陰の情報・・・前原誠司政調会長の恩師・高坂正堯教授が深く関わっていた「原子力発電利権」の継承者であるとの自覚から、経済産業大臣にも興味があった。「3.11」、東日本大震災・大津波被災・福島第1原発事故の復旧復興に当り、菅直人政権下で、「利権の分配」が行われたとき、「原発推進利権」を割り当てられている。しかし、前原誠司政調会長は、自らが国土交通大臣のとき、副大臣だった馬淵澄夫衆院議員が、「ポスト前原」の国土交通大臣に就任した途端、「八ッ場ダム建設中止」を棚上げして、コスト評価の検証に舵を切り、元の木阿弥にしようとしてきたことに、不快感を抱いてきた。小沢一郎元代表が、その馬淵澄夫元国土交通大臣を「近い将来の総理大臣」として評価しているのが、気に食わないのである。誠に、私怨的というほかない。
?闇の情報・・・米国CIA要員であると見られてきた前原誠司政調会長は、「米国と北朝鮮の2重スパイ」嫌疑をオバマ政権からかけられ、いまでは、「オバマ政権に切られた」と言われている。これに対して、親中派だった小沢一郎元代表が、親米派としてオバマ政権に信頼されて、米国建設業(ゼネコン)の受け入れを承諾しているという。「八ッ場ダム建設継続」は、TPP参加の一環として「建設業界の門戸開放」を唱える米国からの強い要請に応じての決断であったともいえる。
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ようやく始動の小沢一郎/小沢憎しで凝り固まっている法務・検察官僚は強引に有罪に持ち込むかもしれない
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