〈来栖の独白〉
【報道スペシャルINsideOUT「政権交代の原点 小沢一郎、語る」】について、毎日新聞は以下のような報道をした。
[小沢・民主元代表:「発信」続々 反対繰り返し、消費増税法案けん制
民主党の小沢一郎元代表がマスメディアへの露出を増やしている。10日は、BS11の番組収録で「お金がないから増税というのは国民に対する背信行為。財源を見いだす努力をやった上での話でないといけない」と消費増税に反対する考えを繰り返した。野田佳彦首相が目指す3月中の消費増税法案の国会提出をけん制する狙いだ。
元代表は今月に入り、共同通信のインタビューで、消費増税法案の採決で反対する考えを明言。9日にはインターネットの番組に出演。10日に始まった自らが主宰する「小沢一郎政治塾」では、13日に講演する。
小沢グループには当選1回の衆院議員が多い。元代表が連日のようにメディアを通じて造反を示唆するのは、消費増税を争点とした衆院解散・総選挙を避けたい思惑がある。
ただ、発信の手法は、記者会見などで質問を受けようとはせず、自らの主張をしやすい番組に出演するのが特徴だ。【葛西大博】毎日新聞 2012年2月11日 東京朝刊]
それについて、私は、
>自らの主張をしやすい番組に出演するのが特徴だ。
そうではないだろう。巨大メディアは、「編集」する。そのままを伝えない。小沢氏は常々「そのままを伝えてくれない」、だから「(メディア出演は)意味がない」と言う。その小沢氏が自らを打ち叩いて出演した。
番組の中で言っていた。「民主党にも自民党にも国民は失望している。議会制民主主義、民主主義の危機だ。現状では、どの党も過半数をとれない。そうなれば、何も決まっていかない。非常に不安定な状態が続く」と。「国民の生活が第一。」と信じる小沢一郎さん。憂国の思い、政治家としての危機感が、氏を突き動かしている。氏の語ることは、いつも、どの場においても同じだ。ブレというものは一切ない。
と(来栖の独白2012/02/11 Sat.)思った。
時々拝見し、記事を転載させて戴いたこともある新恭さんの『永田町異聞』に、本日も爽快な記事が投稿されていた。転載させて戴き、さらに考えたいと思う。
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(1)2012.2.10(金)報道スペシャルINsideOUT「政権交代の原点 小沢一郎、語る」1/3 http://www.youtube.com/watch?v=8hPD2JfLK7E&feature=youtu.be
(2)2012.2.10(金)報道スペシャルINsideOUT「政権交代の原点 小沢一郎、語る」2/3 http://www.youtube.com/watch?v=CfGh4ZFuVfA&feature=youtu.be
(3)2012.2.10(金)報道スペシャルINsideOUT「政権交代の原点 小沢一郎、語る」3/3 http://www.youtube.com/watch?v=D-J8lI3zCLA&feature=youtu.be
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永田町異聞
2012年02月11日(土)
記事作成ロボットになるなかれ
誰がつくり、使い始めたのか、「社畜」という言葉がある。企業に飼いならされ、自分の意思と良心を捨て、奴隷と化したサラリーマンのことを揶揄しているという。
マスメディアの記者たちは、自らに問いかけてほしい。
「社畜」になっていないだろうか。締め切りに追われ、原稿を催促され、時間のゆとりと思考の自由を奪われて、型にはまった記事を書き続けるマシーンに成り果てていないだろうか。
小沢一郎氏が出演したBS11の番組(10日)に関する記事が日経新聞に掲載されていた。筆者は番組を見ていないので、小沢氏の発言内容を知るにはこの記事が頼りだ。
記事は小沢氏の発言として、次の2つを紹介している。
(野田首相の増税路線について)「国民に対する背信行為であり、有権者への冒涜だ」。
「野田さんにもう一度政権交代の時の原点を思い起こしてほしい。最後まで期待する」。
番組に関する内容はこれだけしかない。選挙のさいに約束したことを守らない現政権を批判するのはまっとうなことだ。
しかし記者は、まっとうな小沢を書きたがらない。デスクや部長や編集局長らが納得しないからだ。
独り歩きする小沢の悪党イメージをからめて書けば、まずボツにはならないだろう。そこで、権力闘争と裁判闘争にくっつけるのが手っ取り早いと考えたに違いない。以下のような記事になった。
◇…消費増税で、小沢元代表の敵対姿勢が目立つ。グループ内の求心力維持に躍起だが、政治とカネをめぐる裁判闘争を抱えて焦りもにじむ。
「国民に対する背信行為であり、有権者への冒涜だ」。10日、BS11番組。元代表は首相の姿勢を厳しく批判した。
年明け以降は公の場で発言する機会を増やしている。最近は支持議員との会合に積極的に顔を出し、昨年末に発足した週一回の勉強会には欠かさず出席。9日には101人を集め、首相の消費増税路線をけん制した。
展望を描けない現状への危機感も見てとれる。17日の公判では、判決のカギを握る元秘書の供述調書の証拠採否が決まる。不採用なら裁判の展開が元代表に有利に働く可能性がある。逆に「万が一、有罪になればグループは瓦解する」(若手)との声が出ている。(以下省略)◇
「グループの求心力維持」。「焦りもにじむ」。「展望を描けない現状への危機感」。こうした言葉を随所にちりばめることによって、いかにも追い詰められ焦っている小沢氏がグループの勢力を維持することばかりに躍起になっている印象を抱かせる。
「小沢一郎記事作成」ソフトというものでもあれば、前掲の発言内容と、いくつかのキーワードをパソコンにインプットするだけで、簡単に出来上がりそうな記事である。
そこで思い出すのが「ニュース制作ロボット」の話だ。
7、8年前だっただろうか、米国のメディア研究者二人が制作したショートムービー「EPIC2014」が、話題になった。
ニュース制作ロボットがメディアを席巻し、NYタイムズを事業縮小へ追いやるという架空の近未来劇だ。ストーリーを簡単に紹介しておこう。
◇グーグルとアマゾンが合併し、グーグルゾンが誕生。そのコンピュータは、あらゆる情報ソースから事実や文章を抜き出して、それらをふたたび組み合わせることで、新しい記事を自動的に作り出す。これがニュース制作ロボットだ。
ニューヨーク・タイムズは、グーグルゾンのロボットが著作権法に違反するとして、訴訟を起こすが、敗訴する。
グーグルゾンはニュース制作ロボットを進化させた「EPIC」を公開した。混沌としたメディア空間を秩序立て、情報配信するシステムだ。個人ブログの文章や画像、映像レポート、フリジャーナリストの取材が記事作成に貢献する。
この万能ニュース制作マシーンに対し、NYタイムズはインターネット上で歯が立たず、最終的にはエリート層と高齢者向けの紙媒体のみを発行する。◇
記者があらかじめプログラミングされたかのごときステロタイプな記事を書いているようでは、ニュース制作ロボットが誕生したら歯が立たない。このショートムービーにはそんな皮肉と警告がこめられているのではないか。
マスメディア共通の問題だが、たまたま日経の記事を取り上げたついでに、元日経新聞記者、大塚将司氏が「世界」3月号の誌上対談で次のように語っているのを紹介しておこう。
「日経などは、思想・理念的な問題というより、もっとつまらない次元で、例えばあそこの社長とうちの部長がすごく親しいから、あそこの(会社の)問題はあまりやらないほうがいいんじゃないかとなったりします。どこでもそうです。社畜の世界になっている」
これでお分かりのように、「社畜」は大塚の発した言葉である。部長の顔色をうかがう記者たちの姿が目に浮かぶ。
記者が「社畜」であれ、「ニュース制作ロボット」であれ、読まされる側は人間の心から紡ぎだされたものと信じて誘導され、情報の罠にかかってしまいやすい。この怖さを記者の多数がほとんど意識せずにいることが、なおのこと怖い。
新恭(ツイッターアカウント:aratakyo)
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◆小沢一郎が語った「原発/衆愚の中からは衆愚しか/マスコミは日本人の悪いところの典型」 〈悪党?〉2011-09-19 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
『悪党 小沢一郎に仕えて』石川知宏 元小沢一郎秘書・衆議院議員著(朝日新聞出版)
--第3部〈対決〉より部分抜粋転写--
p220〜
小沢 役所は、クリーンで、コストの安い、安全なエネルギーであるみたいな宣伝文句を言っていたんだけども。いまの現実もその当時も、あまり変わりないのは、結果的に原発からできる高レベル放射性廃棄物の処理の方策が、いまだ適当な策がないんだよ。ボクは当初から、役所の宣伝文句は別として、過渡的なエネルギーとしては仕方がない。石油もないからね。石炭だってないし、事実上。だから過渡的なエネルギーとしては仕方ないけども、いずれ新しい、クリーンで、しかも日本で大量に生産できるエネルギーっちゅうものを考えなければダメだというふうに思ってきたし、オレは言ってきたんだ。
石川 はい。
小沢 だからいま、六ケ所村かな、ガラス固化で地中に埋めるという技術をフランスから導入したけどね、もう40年近く前から言ってきたことなんだ。だけどそれは技術として完成していないんだよ。ガラスに固めて埋めたってね、地震でつぶれっかもしれないしね。だから、高レベル放射性廃棄物っつうのはいまの事故でよくわかったけどもコンクリから鉄骨から、なにからみんななんだよ。だから本当は宇宙に飛ばすのが1番いいんだけども、とにかくこの処理はどこの国もまだ確実な方法は見つかっていないんだよ。まあ、見つかるわけないんだけどな。
石川 この間、三陸に被災地の慰問に行った時、三陸は地盤が固いと聞きました。津波被害を受けなかった地区では地震によって倒壊した家屋は少なかったそうです。岩手に原発がないというのは、先代(小沢佐重喜)だったり、ほかの岩手選出の政治家、小沢先生も含めて、誘致運動を止めたということでしょうか。当時は福島にあれだけ原発を持ってきているのに。
小沢 いや、止めたわけではない。結果として、だな。別に岩手がいいというオファーが強くあったわけでもなかったし、ぜひともほしいということもないし。だから、結果として何もなし。1つはね、むしろ電力会社の方がリアス式海岸があまり適してないと考えた節もあるな。オレも積極的にあれこれ運動はしなかった。
石川 やはり青森に六ケ所村があって、福島に原発があって・・・。
小沢 うん、岩手にはないわな。
石川 世間では「岩手は小沢一郎が思い通りに動かしている」と常に言われています。岩手に原発がないのは、「小沢先生ががんばったから」という都市伝説のような噂もあるらしいのですが、結果的には誘致する機運がなかったということでしょうか。
小沢 オレもあまり積極的に引っ張ってこようという気はなかったな。まあ、あの、みんなアレなんだよ。交付金狙いだから。だから、事故が起きない限りはカネをいっぱいもらうからいいっちゅうことになったけど、いまにして考えれば事故が起きて現地の人も大変だし、国全体が大変なんだ。
p226〜
石川 ロシアは北方領土、中国は尖閣諸島に目をつけています。歴史からいうと第1次世界大戦後に列強が中国に入り込んでいったように、いま日本が周辺諸国から攻め込まれようとしています。これだけ好き放題にやられてしまっているのは、やはりリーダーの責任でしょうか。
小沢 リーダーのせいではあるけれど、それ以前に日本人自身の問題だな。よく言うように、国民のレベル以上のリーダーは出ねえんだよ。衆愚の中からは衆愚しか生まれない。だから国民のレベルアップをしないとリーダーも育たない。その意味でどうしたらいいのか。そういうことをもう少し日本人は自分で考えなきゃいけないな。
石川 はい。
小沢 いまの震災を例にすると、マスコミを含めてバカみたいに、やれ挙国一致だ、やれいま政権を変えるのはどうだ、ってアホみたいな議論をしている。これは日本人的な議論だ。欧米では違うんだよ。危機だからこそ強力な政権とリーダーを作らなければならないっちゅうのが彼らの考え方だよ。日本人はみんな丸く丸くなろうとする。丸くなって、談合ばかりしていたって解決しねえんだよ。原発事故にしても誰も責任をとらない。誰が責任者なのか、誰が決めているのか。わけがわからない。そこをマスコミが一緒になってもっと仲よくなれって。何を考えているんだよ。
石川 まあ、そうですね。
小沢 マスコミは日本人の悪いところの典型なんだ。国家の危機を経験してきた欧米人は、危機のときだからこそ強いリーダーを選ぶ。第2次大戦前のイギリスはチェンバレンという首相がいて、ヒトラーと妥協して「チェンバレンの平和」と言われたんだな。それが結局はヒトラーの勢力を増大させてしまった。そのときにイギリス人は最も批判の多かったチャーチルを首相に選んで、チェンバレンを降ろした。危機だからこそ変えた。危機じゃなかったらチャーチルは総理にならなかった。発想が違うんだよ、ゆでガエルみたいな日本人とな。
(中略)
p229〜
石川 産経新聞には私も先生もたたかれてきましたが、小沢一郎が総理にふさわしい人1位になっていました。国民の期待が高まれば、先生はそれに応える思いがあるのでしょうか。
小沢 おう、そういや、この言葉が好きで机に取っておいたんだ。「人事を尽くして天命に遊ぶ」。「天命を待つ」「天命に従う」が普通の言葉なんだよ。これは自分で自分に期待感がこもるだろ。自分のいいように天命が回ってくりゃいい、と。それじゃ、本当のアレじゃない。「天命に遊ぶ」ってのは、確か戦前の左翼が言ったんだよ。だからあまり言うなと忠告する人もいるけど、オレは最高に気に入っているんだ。期待するでも何でもない。待つんじゃねえんだよ。
石川 では、チャーチルのように70代でも総理に・・・。
小沢 そんなスケベ根性を起しちゃダメだっつってんだよ。人事を尽くすことが大事。それぞれが自分の立場、職責で全力を尽くせば世の中はよくなるんだよ。見え透いた根性を起すからみんなおかしくなるんだよ。
石川 なるほど。私も政治家として肝に銘じます。
小沢 お前も、まだまだだな。いまの民主党の欠陥は、俗に言う「雑巾がけ」、基礎的な鍛錬、基礎的な勉強もしないで偉くなっちゃったヤツばっかなんだよ。だから危機が起きるとどうしたらいいかわからなくなるんだよ。基礎的な修行を積み、経験を積み、知識を積み、そしてこういう時はこう、ああいう時はこうと、自分の価値判断基準、政策判断の基準っつうのが自然と作られてくる。それがピョンと偉くなっちまったもんだから。
石川 福田康夫政権で大連立騒動の時に私は先生に反対しに深沢まで行きましたけど、あの時は「先生は何でそんなことするんだ」という考えでした。
小沢 そうだったかな。
石川 でも、先生の言うとおりに「やっぱり大連立にしておけばよかった」と書く報道機関が最近になって多くなった気がします。
小沢 いい加減だからな。マスコミが時代遅れなんだよ。マスコミがダメだから日本がおかしくなっている。もっと合理的に論理的に、先見性を持ったオピニオンリーダーじゃなくちゃダメなんだよ、マスコミは。逆だもん。官僚と一緒になって足引っ張っているだけだから。意見を封殺する。
石川 大連立は、やはり民主党に経験を積ませないといけないと思ったからでしょうか。
小沢 うん。それが大きいね。それと政権交代への近道でもあった。わからねえんだからしょうがねえ。だからちゃんと相談したんだから、役員会で。1人でやっていて、誰も文句言わなかった。菅なんか何も言わなかったよ。
石川 そうでした。
小沢 これが権力の差よ。オレが総理だったら、あの時、誰も文句言わないよ。当時は野党の党代表だったから、みんな後になってワーワー言いだして。
石川 はい。
小沢 その程度だ・・・みんな。はあー(大きくため息)。
石川 歴史が動こうとしているときにお時間いただいてありがとうございました。あしたも裁判です。
小沢 そうか。
(2011年5月31日、チュリス赤坂内の小沢一郎事務所にて) *リンクは来栖
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報道スペシャルINsideOUT「政権交代の原点 小沢一郎、語る」/ 記者は、まっとうな小沢を書きたがらない
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