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いよいよ目前か、 北朝鮮が核弾頭をミサイルに搭載する日

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いよいよ目前か、 北朝鮮が核弾頭をミサイルに搭載する日
「国際激流と日本」 古森 義久
JBpress 2012.02.22(水)
 北朝鮮の核兵器開発問題に関する重大な危機がひたひたと迫ってきた。米国や日本にとっても、これまでの北朝鮮核武装阻止の努力を粉々に砕きかねない事態の切迫なのだ。その危機は東アジア全体の安全保障情勢を根底から変えることにもつながっていく。
  その危機とは、北朝鮮がついに核弾頭を中距離や長距離のミサイルに装備するという事態である。この事態こそ、北朝鮮核問題に関して米国や日本が恐れながらも現実と見ることを拒んできた真の危機だと言える。
  「北朝鮮の核武装」といっても、開発した核兵器を兵器として潜在敵に対して使用できる能力がなければ、現実の意味はない。今のところ北朝鮮は核爆弾は持っていても、それを運搬する手段までは開発していないのだ。
  だが、中距離や長距離のミサイルにその核弾頭を装備して発射できるとなれば、真の核武装となる。その意味では、北朝鮮核武装の「真実の時」がいまやすぐそこまで迫ってきたのである。
■あと1〜2年のうちに核弾頭を弾道ミサイルに装着
  そもそも北朝鮮の情勢を一体どう読めばよいのか。その作業はますます重要、かつ難題となってきた。
  金正日総書記の死後、後継の金正恩政権は当然、波乱が予想される。未経験の若者がカルト的独裁の父のパワーをうまく継げるのかどうかは、まったく予断を許さない。その新リーダーを支える当面の集団指導体制も行方が読み難い。特に新指導部は対外的にどんな政策をとるのか。
  日本へのその影響も重大である。なにしろ日本は日本人拉致や核兵器開発で北朝鮮の動きには激しく揺さぶられてきたのだ。
  北朝鮮の動きでは、いま日米両国では、金正日総書記亡き後の政権の政治動向に集中的な関心が向けられている。金正恩氏に果たして統治の能力があるのか。同氏が実権を振るえない場合、誰が真の権力者となるのか。そんな疑問の読みである。その作業の中では、核兵器の動きへの関心はやや脇に押しやられた感じさえある。だが、米国のオバマ政権の内外の専門家の間では、北朝鮮が長年の目標としてきた核弾頭の弾道ミサイルへの装着をこの1〜2年のうちについに達成するだろう、という予測がひそかに強まってきた。
 北朝鮮の核開発を防ぐための「6カ国協議」の再開がいまや予想されるまでに至ったが、水面下では皮肉なことに、その6カ国協議がまさに防ごうとしてきた事態が起きつつあるのだ。しかも、その6カ国協議が、結果的に北朝鮮がウラン濃縮の核弾頭開発の秘密作業を進めるための隠れミノとなってきたという実態が暴かれそうなのである。ちなみにこの協議は、北朝鮮のプルトニウム軍事転用による核兵器開発を防ぐことに主眼を置いてきたのだ。
■「北朝鮮の非核化」はもう不可能に
  さて、北朝鮮の核弾頭の小型化、軽量化の成功による弾道ミサイルへの装着という危機への警告をいま正面から発するようになったのは、米国議会調査局で40年も朝鮮半島情勢を追ってきたラリー・ニクシュ氏である。
  ニクシュ氏は現在はワシントンの「戦略国際問題研究所(CSIS)」の研究員を務める。同氏は一連の最近の調査報告で次のように断言するのだ。
  「北朝鮮は、高濃縮ウランの核弾頭を軽く小さくして、ミサイルへの搭載を可能にすることに全力を挙げている。その目的を、早ければ今年中、遅くとも2014年末までに達成する見通しが確実となってきた。そうなると北朝鮮は韓国と日本の全域、さらにはグアムやハワイ、アラスカという米国領土をも核ミサイルで攻撃する能力を保持することになる」
  「北朝鮮は核弾頭をまず短距離の『ノドン』『スカッド』両ミサイルに装備するだろう。それに成功すれば、中距離の『ムスダン・ミサイル』、さらにはもっと長距離のミサイルに装備して、米国領への攻撃能力を確実とする。この事態はこれまでのいわゆる北朝鮮核開発問題を根底から変え、北朝鮮が公然たる核兵器保有国となって、東アジアの安全保障を激変させる。そして、北朝鮮から完全に核兵器を奪うという『北朝鮮の非核化』はもう不可能となる」
  もっとも米国側ではかねてロバート・ゲーツ前国防長官も「北朝鮮は米国にも届く核弾頭装備の大陸間弾道ミサイルを5年以内に配備することを目論んでいる」と述べていた。
■北朝鮮の核弾頭開発が大詰めを迎えている根拠
  さてニクシュ氏は何を根拠として北朝鮮の核弾頭の軽量化、小型化が近いことを断言できるのか。同氏は次の諸点を挙げている。
(1)北朝鮮がパキスタンの核専門家、A・Q・カン氏から得た技術
  カン氏が北朝鮮とウラン濃縮による核兵器開発で緊密な協力をしてきたことは広く知られており、パキスタンがすでに完成させた「ガウリ・ミサイル」搭載のウラン濃縮の小型核弾頭の設計図を北朝鮮にも提供した可能性が高い。
  2008年、同種の小型核弾頭の詳細な設計図が、カン氏に関係するスイスの専門家に保持されていることが明らかとなった。その設計図が北朝鮮にも確実に渡ったことが、2011年9月に国際原子力機関(IAEA)により報告された。パキスタンは弾頭小型化のための核実験を始めて3年後に、実際にガウリ・ミサイルへの核弾頭装備を実行している。
 (2)北朝鮮が米国専門家に見せたウラン濃縮技術
  北朝鮮は米国の核専門家、シグフリード・ヘッカー氏を2010年11月、寧辺の核施設に招き、ウラン濃縮のための遠心分離の技術を見せた。同氏はその技術の水準が予想よりずっと高く、ウラン爆弾の製造能力の高さに驚いた。
  北朝鮮はウラン核弾頭のミサイルへの装備の見通しが確実となったからこそ、米国側にこの種のウラン濃縮の実態を見せたとみられる。
 (3)北朝鮮が技術を提供したイランの「シャハブ・ミサイル」の開発
  北朝鮮はイランとの間で1990年代からミサイル開発、2000年代から核兵器開発のための協力を進めてきたが、2008年以降、両国の核弾頭開発のペースが速まった。特に「ノドン・ミサイル」とほぼ同一とされるイランの「シャハブ3型ミサイル」への核弾頭搭載の試みは国際原子力機関(IAEA)の警告の対象ともなってきた。
  そのシャハブ・ミサイルの開発の前進が最近さらに伝えられている。北朝鮮・イランの核弾頭小型化の共同作業が顕著な成果を挙げてきたと見られる。
 (4)米国と韓国の政府の対応
  米国の国防情報局(DIA)の局長は、2011年3月の上院軍事委員会で「北朝鮮はすでに核弾頭の製造により新たに兵器化されたミサイルを保有したと見られる」と証言した。
 韓国でも2010年10月に大統領補佐官が「北朝鮮は核弾頭のミサイル装備と配備を極めて早いペースで進めており、その核の脅威はすでに警戒すべき水準に達した」と言明した。
  2011年12月には米韓両軍は米国ネブラスカ州で初めて北朝鮮の核攻撃の脅威を前提とした合同演習を実施した。いずれも核弾頭のミサイル搭載を示唆する動きだと言える。
■「日本には対北朝鮮戦略がないように見える」
  ニクシュ氏はさらに、北朝鮮が弾道ミサイルへの核弾頭装着を宣言して明示すれば、6カ国協議の目標である「北朝鮮の非核化」はもう絶対に実現しないだろうとも予測する。そして韓国、日本、米国にとって北朝鮮の軍事能力の重みが根底から変わり、安全保障政策の基本が再考され、再編成されるようになるというのである。
  ニクシュ氏は、この悪夢のシナリオに対する各国の動きも予測する。特に日本の反応の予測が興味深い。
  「北朝鮮の核弾頭ミサイル装備の実現に対しては、各国の中でもおそらく日本のショックが最大となるだろう。敵性国家による核攻撃の能力や意図の誇示という現実は、戦後の日本が想像もしなかった事態となる。大震災の復興になお追われるいまの日本の政権には、そもそも一貫した安保政策が窺われず、特に対北朝鮮戦略がないように見える」
  ニクシュ氏はその上で、日本にとっては、北朝鮮の核ミサイルを抑止するための非核の爆撃機やミサイルという長距離攻撃能力を保持することも選択肢になる、と述べる。しかし、現状では憲法上の制約などを理由とする反対論の勢いがなお強いだろう、とも指摘するのだった。
  確かにわが日本では、北朝鮮の核武装への対応が現実的な国政上の課題とはなっていない。そんな現状では、ごく近い将来のある日、突然に北朝鮮が核弾頭を日本に届くミサイルに装備したという実態を突きつけられたならば、「何をしてよいか分からない」という反応となることも容易に想像できる。
  しかし日本の国家や国民にとっての安全保障を真剣に考えれば、すぐそこに迫った北朝鮮核武装の「真実の時」を仮想だけとしては済ませられないのである。
<筆者プロフィール>
古森 義久 Yoshihisa Komori
 産経新聞ワシントン駐在編集特別委員・論説委員。1963年慶應義塾大学経済学部卒業後、毎日新聞入社。72年から南ベトナムのサイゴン特派員。75年サイゴン支局長。76年ワシントン特派員。81年米国カーネギー財団国際平和研究所上級研究員。83年毎日新聞東京本社政治部編集委員。87年毎日新聞を退社して産経新聞に入社。ロンドン支 局長、ワシントン支局長、中国総局長などを経て、2001年から現職。2005年より杏林大学客員教授を兼務。『外交崩壊』『北京報道七00日』『アメリカが日本を捨てるとき』など著書多数。
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「中国に屈従か、核武装か」/韓国で核武装論が頭をもたげてきたのも不思議ではない2012-02-21 | 国際/防衛/(中国・・・)
 「中国に屈従か、核武装か」と韓国紙社説は問うた
「米国の核の傘消滅」を覚悟、国論分裂で“内乱騒動”も
日経ビジネス2012年2月21日(火)鈴置 高史
 韓国の最有力紙が驚くべき社説を載せた。「中国を頼るか、日本と結ぶか、あるいは核武装するか、国の針路を定めよう」と国民に呼びかけたのだ。「米国の衰退により核の傘を期待できなくなる」と悲壮な覚悟を固めたうえでの問いかけだ。
■ブレジンスキー氏の近著が引き金
 この社説は朝鮮日報の2月11日付「『中国を頼るか、日本と手を結ぶか』を問う米国と韓国政治」だ。同紙は韓国で最大部数を誇る保守系紙である。
 「核の傘」が社説のテーマに選ばれたのは米大統領の国家安全保障担当補佐官を務めたブレジンスキー氏が最近、著書を出版したのがきっかけだ(注1)。この社説は同書の以下の部分を引用したうえで、韓国人に今、国の針路を決めねばならないと訴えた。
 「米国の衰退は韓国に苦渋の選択を迫る。中国による東アジアの覇権を受け入れ中国にさらに接近するか、歴史的な反感にもかかわらず日本との関係をさらに強化するかの選択だ」、「日本や韓国は米国の核の傘を期待できなくなる。日韓両国は新たな核の傘を求めるか、自前の核武装を迫られる」。
■平和ボケした呑気な日本人
 この社説を日本人が読んだら、ほとんどの人が「韓国人は何を焦っているのだろう」と違和感を抱くに違いない。普通の日本人は「米国の衰えと中国の台頭は現実であるにしろ、米国の核の傘が消えることは当面ない」と信じこんでいるからだ。「オバマ大統領は2011年11月、豪州での『アジア重視』演説を通じ、中国の膨張を抑える決意を表明したではないか」と反論する人も多いだろう。
 ただ、それは平和ボケした日本人の呑気すぎる発想かもしれない。「予算の徹底的な削減を目指し米国が兵力を相当数減らす以上、『アジア重視』は絵に描いた餅に終わる」、あるいは「重要なアジアでも抑止力を減らさざるを得ないからこそ、口先で『アジア重視』とブラフをかけた」という見方が安全保障専門家の間にはある。
 また「『アジア重視』と言っても対象は南シナ海とインド洋。むしろ、中国の中距離ミサイルの射程に入っている北東アジアから米国は駐屯軍を減じるだろう。在沖縄の海兵隊のグアム移転がいい証拠だ」と考える専門家もいる。
■「米国に捨てられる」韓国の恐怖
 呑気すぎる日本人とは対照的にあまりに悲観的な韓国人――。韓国側にも特有の背景がある。まず、地政学的要因だ。社説はブレジンスキー氏が米中の覇権交代時期を20年後と見ていると紹介したうえで「中国と陸地や海でつながっている韓国は5年後、10年後には巨大化した中国の圧力を、軍事を含めあらゆる面で感じることになる」と予想した。
 すでに韓国近海では中国の大漁船団が白昼堂々と不法操業している。拿捕に向かう韓国の海上警察の警備艇は大船団に囲まれ威嚇される毎日で、2人の海上警察官が中国の漁民に殺されている。何とか漁民を逮捕しても「中国人に手を出すとは生意気だ」とばかりに在北京韓国大使館が空気銃で撃たれる。
(注1)ブレジンスキー氏の近著の書名は以下の通り。
“ Strategic Vision: America and the Crisis of Global Power ”
 2つ目は歴史だ。1950年1月、アチソン国務長官は「米国が責任を持つ防衛ラインは、フィリピン―沖縄―日本―アリューシャン列島である」と演説した。北朝鮮は、米国は太平洋の島嶼だけを防衛するのだと判断、南侵を開始した。3年間も続いた内戦――朝鮮戦争ある。韓国人は米国に見捨てられたと嘆いた。今も「いざとなれ米国は容易に韓国を裏切る」と信じる人が多い(注2)。
■米韓同盟の矛盾噴出
 3番目は、中国の急速な台頭により米韓同盟の矛盾が表面化したことだ(ニュースを斬る「中国ににじり寄る韓国」を参照)。韓国の主要敵は北朝鮮。冷戦時代は中国も敵国だったが、92年の国交正常化以降、あらゆる面で関係を深め今や最大の貿易相手国に。北朝鮮への圧倒的な影響力も考えれば、中国はもう敵に回せない。
 だのに、米国は中国との対決姿勢を強める。もし米中が、例えば黄海で軍事的に衝突したら、韓国はどう振る舞えばいいのだろう。中国から「在韓米軍基地を使わせるな」と強力な圧力がかかるのは確実だ。多くのアジア人が歓迎したオバマ大統領の「アジア重視」も、米中対決の度を増す材料である以上、韓国にとっては「ありがた迷惑」な話なのだ。
 では、この社説は、韓国はどの道を進むべきと主張しているのか。「日本と手を結ぶ」に関してはブレジンスキー氏の「米国の強い支援がない場合、日本が中国に対抗できるかは疑わしい」との意見を引用し、現実的な選択ではないと示唆した。「中国を頼る」とは「中国の覇権的国際秩序の中で付属品のように屈従し延命すること」と表現。「自前の核武装」に関しては何の意味付けも示されなかった。
■「進むべきは核武装」
 社説の見出しは「中国か日本か」だが、事実上、示した選択肢は「中国の核の傘に入るか、核武装による自主防衛か」である。そして中国の傘下に入ることについては強い嫌悪感を表明していることから「進むべきは核武装」と読みとった人が多いことだろう。ズバリ「核を」と書かなかったのは、韓国が北朝鮮に核開発中止を要求する名分を失うからと思われる。
(注2)「米国に容易に見捨てられる」との韓国人の恐れに関しては拙著『朝鮮半島201Z年』の187−188ページに詳しい。
 北朝鮮が2008年に核実験した際に韓国では核武装論が小さな声で語られた。しかし当時は社説に取り上げられることはなかった。まだ、米国の核の傘の存在を確信していたからだ。
 この社説は韓国人に相当の説得力を持って読まれたようだ。明示的ではないにしろ「中国を頼るか否か」を巡り、国論の分裂が現に始まっているからだ。
 2月、最大野党で左派の民主統合党は党代表を先頭に駐韓米国大使館に押しかけ「政権をとったら米韓自由貿易協定(FTA)を破棄する」とオバマ大統領あての正式な文書を突きつけた。
 「不平等条約である」というのが理由だが、このFTAは同党が政権党だった2007年に「米韓同盟強化」をうたいあげ、一部の反対を押し切って結んだ協定だ。米国政府もさぞ驚いたことだろう。この5年間で韓国における米韓同盟の値打ちはすっかり落ちた。
■「中韓」が成立、「米韓」は破棄?
 4月の国会議員選挙、12月の大統領選挙を前に民主統合党は財閥問題により有利な立場に立った(「『財閥の娘たち』がパン屋を突然閉めた理由」を参照)。同党はさらなる追い風を巻き起こそうと、米韓FTAをテコに反米感情を掻き立て、票を集める作戦に出たのだ。2002年の大統領選挙でも左派は「反米作戦」を見事に成功させている。
 韓国の左派すべてが親中派というわけではない。ただ、反米色を強めるほどに反射的に中国に身を寄せることになる。例えば「反米を言いつのる左派系新聞は中国漁船の不法操業問題をほとんど報じなくなった」(保守派)。「左派は北朝鮮の弱体化を見越し、後援者を北京に取り換えようとしている」と見る人もいる。
 一方、中韓FTA。韓国は中国に押し切られ、1月に政府間交渉を始めることを受け入れた(ニュースを斬る「中国ににじり寄る韓国」を参照)。中国と近くなり過ぎることを恐れる韓国の現政権は、農産物の関税や投資協定などでハードルを上げ、妥結までの時間を稼ぐ作戦だ。だが、FTAを政治的な武器に使いたい中国は、韓国をさらに脅し、あるいは懐柔して強引に発効に持ち込む可能性が高い。
 韓国は同盟国の米国とのFTAを破棄する半面、中国とは結ぶという奇妙な事態に陥るかもしれない。それは経済に留まらず政治的にも軍事的にも米国から離れ「中国に屈従する」第一歩となろう。
■「クーデター扇動者を逮捕せよ」
 親米色の濃い保守派は強い危機感を抱く。今年の2つの選挙で左派が勝てば、韓国という国が一気に中国に傾くとの恐怖からだ。彼らは国民に「米国の力は決して衰えない」と力説し、精神的な雪崩現象を食い止めようと必死だ。
 左右対立はついに「クーデター論争」に至った。在野の保守運動指導者、趙甲済・元月刊朝鮮編集長はブログでこう書いた。「選挙で北朝鮮に従う左派が勝ち、国軍を指揮しようとすれば、国軍は黙っていない。内戦的構図が生じる」(1月30日付)。
 左派のハンギョレ新聞は直ちに反撃した。「趙甲済氏は、野党が政権をとればクーデターが起きると主張している。内乱扇動罪で逮捕すべきだ」(ネット版、同日付)。ちなみに、韓国では1961年と79年の2度に渡って「左傾化阻止」などを名分とした軍事クーデターが成功している。
■19世紀末、再び?
 韓国の政治状況は「清を頼るか、ロシアか、日本か」を巡り激しい党派抗争に陥り結局は日本に併呑された19世紀末や、「米国か、ソ連か」の選択で妥協できず、南北に分裂した第二次世界大戦直後に似て来た。
 朝鮮半島の内部抗争は周辺大国の勢力均衡が崩れる時に起きる。異なる大国を後ろ盾に各党派が「どの国と結べば侵略を防げるか」を言い争うからだ。「分裂を防ぐためにも大国に抗する軍事力を持とう」と考える人が出るのも当然だ。朝鮮日報の社説に垣間見られるように韓国で核武装論が頭をもたげてきたのも不思議ではない。
<筆者プロフィール>
鈴置 高史(すずおき・たかぶみ)
 日本経済新聞社編集局長付編集委員。
 1954年、愛知県生まれ。早稲田大学政経学部卒。
 77年、日本経済新聞社に入社、産業部に配属。大阪経済部、東大阪分室を経てソウル特派員(87〜92年)、香港特派員(99〜03年と06〜08年)。04年から05年まで経済解説部長。
 95〜96年にハーバード大学日米関係プログラム研究員、06年にイースト・ウエスト・センター(ハワイ)ジェファーソン・プログラム・フェロー。
 論文・著書は「From Flying Geese to Round Robin: The Emergence of Powerful Asian Companies and the Collapse of Japan’s Keiretsu (Harvard University, 1996) 」、「韓国経済何が問題か」(韓国生産性本部、92年、韓国語)、小説「朝鮮半島201Z年」(日本経済新聞出版社、2010年)。
 「中国の工場現場を歩き中国経済のぼっ興を描いた」として02年度ボーン・上田記念国際記者賞を受賞。
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原発保有国は潜在的核武装国/保有31カ国の下心/日本の原発による発電量は世界第3位2011-05-14 | 政治〈領土/防衛/安全保障〉


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