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広島3人殺害/中村国治被告;無罪確定へ/最高裁 金築誠志裁判長;無罪推定の原則を貫く姿勢

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広島3人殺害:無罪確定へ「疑い濃い」異例の言及…最高裁
 毎日新聞2012年2月24日 20時34分 更新:2月24日 21時37分
  広島市西区で01年、保険金目的で母と2人の娘を殺害したとして殺人や詐欺、現住建造物等放火罪などに問われ、1、2審で無罪とされた中村国治被告(41)の上告審で、最高裁第1小法廷(金築誠志<かねつき・せいし>裁判長)は22日付で検察の上告を棄却する決定を出した。小法廷は「被告が犯人である疑いは濃いが、自白内容の不自然さは否定できない」と、異例ともいえる言及をした。無罪が確定する。
  検察の死刑求刑に対し1、2審が無罪としたのは78年以降、佐賀県北方町(現武雄市)の3女性連続殺人事件(87〜89年)と、富山県高岡市の暴力団組長夫妻殺害事件(00年)の2例が確認されているが、ともに2審で確定。検察が上告して最高裁で無罪が確定するのは初とみられる。
  中村被告は01年1月、実家で実母(当時53歳)を絞殺後に放火し長女(同8歳)と次女(同6歳)を焼死させ、3人の生命保険金など約7300万円を詐取したとして起訴された。被告と犯行を結びつける物証はなく、唯一の証拠である捜査段階での自白の信用性が争われた。保険金目的の動機などを自白したが、公判では「警察の取り調べに迎合した」と完全否認に転じ、1審・広島地裁と2審・同高裁は信用性を否定して無罪とした。
  小法廷は(1)自白内容が母の死因など客観的な証拠と一致(2)逮捕前から起訴まで自白を維持(3)妹に「極刑になる」と手紙を送っている−−などを挙げ「信用性は相当に高いという評価も可能」とした。
  しかし、保険金目当てなのに契約や額について漠然とした認識しかなかったことや、放火時にまいたとされる灯油が被告の服に付着していなかったことなどを不自然として信用性を否定した2審判決の評価を「論理則、経験則に違反するとはいえない」と支持した。
  横田尤孝(ともゆき)裁判官は検察幹部として事件に関与したため審理を回避し裁判官4人全員一致の意見。【石川淳一】
  ◇解説 無罪推定の原則鮮明に
  「被告が犯人である疑いが濃い」とまで言及しながら1、2審の無罪判断を支持した最高裁の決定は「下級審の事実認定を心証で覆してはならない」という立場に徹した形だ。同じ小法廷は13日、裁判員裁判で初の全面無罪となり2審が逆転有罪とした覚醒剤密輸事件を巡る判決で、「控訴審は事後審査に徹すべきだ」との初判断を示しており、無罪推定の原則を貫く姿勢を鮮明にしたといえる。
  13日の判決は「控訴審は原則として1審の事実認定を尊重すべきだ」との初判断を示し再逆転無罪とした。国民参加の裁判員裁判を意識した判決だが、今回の事件は同制度施行後に起きていれば、まさに国民が「死刑か無罪か」の究極の選択を迫られるケースだ。
  「証拠に基づかず破綻している」とした2審判決に対し、検察は「健全な社会常識から被告が犯人だと優に認定できる」と異例の上告に及んだが、認められなかった。山口県光市の母子殺害事件の第1次上告審判決が主張を認めて高裁に差し戻した後、死刑求刑事件の検察側上告は10回連続で退けられている。
  検察には厳しい判断だが、死刑求刑したメンツにこだわるかのような上告を戒めたともいえる。1審段階で十分な認定を得るための捜査・公判活動が一層求められており、それを実現するために捜査機関と検察がどうすればよいかという論議も急務だ。【石川淳一】
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「母娘3人殺害事件」2審(広島高裁)も無罪 楢崎康英裁判長2009-12-14 | 死刑/重刑/生命犯 問題 
元会社員、二審も無罪=「確実な証拠ない」−母娘3人殺害・広島高裁
 広島市西区で2001年、保険金目的で母親を絞殺し、家に放火して娘2人も焼死させたなどとして、殺人や詐欺などの罪に問われた元会社員中村国治被告(39)の控訴審判決が14日、広島高裁であった。楢崎康英裁判長は「状況証拠から被告に嫌疑を抱くこと自体は不合理ではないが、刑事裁判において、犯人であると認定できる有力かつ確実な証拠は存在しないと言わざるを得ない」と述べ、無罪(求刑死刑)とした一審広島地裁判決を支持し、検察側控訴を棄却した。
 最高裁によると1978年以降、再審事件を除き、死刑求刑に対し一、二審とも無罪が言い渡されたのは今回で3件目。これまでの2件はいずれも検察側が上告を断念し、無罪が確定している。
 楢崎裁判長は、被告の捜査段階の自白を「犯行と結び付ける唯一の証拠」とした上で、信用性などを検討。5リットル余りの灯油をまいて火を付けたと自白したのに、本人の衣服や火災直後に運転した車のハンドルに灯油が付着しておらず、殺人、放火の実行犯ではないのでは、という重大な疑問が生じるなどと指摘した。
 自白の内容を認めるような実の妹に対する手紙の存在などについても触れ、「不可解だが、犯行を具体的に述べているものではなく、裏付けがあって初めて信用できる。自白と切り離して、その信用性を判断するのも相当ではない」と述べた。(時事通信2009/12/14-21:10)

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20100127150122.pdf
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