【自動車産業ニュース】
トヨタ全工場再開 6月まで稼働5割
2011年4月18日
トヨタ自動車は18日、東日本大震災の影響で操業を停止していた国内14工場での車両生産を再開。被災した東北地方の2拠点を含め、約5週間ぶりに国内17の全生産拠点でラインが動き始めた。宮城県大衡村のトヨタ子会社、セントラル自動車の宮城工場にも、被災した地元の従業員たちが生産現場に戻った。ただ、部品調達の問題で稼働率は5割程度にとどまっており、生産の全面回復の見通しは立っていない。
セントラル宮城工場前では、午前6時半ごろから従業員がマイカーで出勤。午前8時ごろ、従業員ら約800人が朝礼で黙とう、ガンバロー三唱をして作業に取り掛かった。また同日朝、岩手県金ケ崎町でもトヨタ子会社の関東自動車工業岩手工場が操業を再開した。
セントラル宮城工場は震災で工場設備が損傷して生産を停止したため、復旧に取り組む社員ら約100人を除き、大半は自宅待機を余儀なくされていた。生産再開後も4月中は操業率は震災前の25%程度にとどまる。その後、相模原工場(相模原市)から主力車「カローラ」の生産を移管して、大型連休後には50%程度に引き上げる。
4月に入社したばかりの男性社員(18)は「正直言って内定取り消しの不安があった。入社式は今月11日に延びたが、普通に働けるのがうれしい」と話していた。別の男性社員(22)は「今は期待でいっぱい。(生産再開で)地域を盛り上げていきたい」と話した。
震災後、自動車業界全体で電子部品などで調達が困難に。トヨタは「プリウス」を生産する堤工場(愛知県豊田市)など3拠点でハイブリッド車を中心に先行して生産を再開、全拠点での再開のタイミングを計っていた。しかしトヨタには安定的な調達が難しい部品は依然約150品目あり、6月3日までは稼働率は5割程度。その後も電子部品メーカーの復旧状況や電力事情に左右される見通し。
この日は、日産自動車のいわき工場(福島県いわき市)と栃木工場(栃木県上三川町)も再稼働。これでトヨタ、日産、ホンダの主要メーカーが全生産拠点再開にこぎ着けた。
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愛知の町工場「5割操業では夏以降倒産」 トヨタ全工場再開も
2011年4月18日 15時06分
東日本大震災の影響による自動車メーカーの生産停止で、部品製造業者の資金繰りが深刻化している。18日はトヨタ自動車が国内の全生産拠点で操業を再開したが、6月3日まで稼働率は通常の5割程度。名古屋市内の4次下請け会社を経営する40代男性社長は「半分では赤字が続く。新たに融資がなければ、持ちこたえられない」と窮状を打ち明けた。
男性の会社は自動車のシート周りの部品を製造。トヨタやホンダ、三菱自動車など各社に使われているが6割はトヨタに依存している。今年2月は1030万円を売り上げたが、地震が起きた3月は注文が止められ、895万円に減少。4月はさらに210万円に落ち込む見通しだ。
「材料を仕入れた直後に、取引先から部品の注文をキャンセルされるのがつらい。生産の計画が立たない」。工場内は部品が詰まった500箱もの在庫が積み上げられている。材料の鉄板を巻いた重さ1トンのコイルも機械にかけられることなく、並んでいる。
会社は2008年のリーマン・ショックで経営が悪化し、手持ちの運転資金は底をついた。銀行と話し合い、現在、借金の返済は利息分だけに減らしている。10人の社員は勤務時間を短縮し、給料は20万円から15万円に下げた。「メーカーの5割操業が続けば、赤字の下請けが増える。夏以降は零細企業の倒産が出てくるはず」と漏らす。
愛知県によると、中小企業からの資金繰りの相談数は震災前が月20件ほどだったが、3月16日からの1カ月は自動車関連を中心に95件に急増。うち69件(72%)が震災による経営の悪化を訴えた。
県は震災後、利率が低い融資制度を緊急で導入し、すでに7件計8050万円を融資している。担当者は「予想以上に震災の影響が広がっている。利用する企業は今後、増えるだろう」と説明した。
男性もこの制度の申請を考えているが、経営状況が不安定で審査に通るか分からない。「愛知は零細企業が多く、倒産が増えれば、地元の雇用への影響が大きい。元気を取り戻し、東北地方が復興する力にもならないといけない」と融資を期待している。
自動車は1台に2万点の部品が使われる。「うちのような町工場が部品を供給できなくなっただけでも、メーカーの生産ラインはしばらく止まる」。下請けが倒産すれば、生産への影響が出かねないと危機を強調した。(中日新聞)
◆日経平均1015円安の8605円/ トヨタ系関自やセントラル宮城、操業停止/福島第1原発爆発 高濃度放射能漏れ2011-03-15 | 社会(経済)