中国の死刑 “去年は数千人か”
NHK NEWS WEB 2012年(平成24年)3月27日[火曜日]
3月27日 9時28分国際的な人権団体「アムネスティ・インターナショナル」は、去年1年間の世界各国の死刑の執行状況についての報告書を発表し、中国では去年だけで数千人に対して死刑が執行されたとみられるとしています。
「アムネスティ・インターナショナル」は、日本時間の27日、去年1年間の世界各国での死刑の執行状況について報告書を発表しました。
このうち中国では、去年だけで数千人に対して死刑が執行されたとみられるとしています。
そして、中国では死刑の適用が廃止された罪もあるものの、依然として汚職や麻薬の売買などの罪には死刑が適用されており、公正な裁判が行われないまま死刑が執行されるケースも多いと指摘しています。
また報告書は、中東各国で死刑執行が増えているとして、少なくともイランで360人、サウジアラビアで82人、イラクで68人に、それぞれ死刑が執行されたとしています。
一方で報告書は、日本で去年19年ぶりに死刑が執行されなかったことを注目すべき動きだとして取り上げています。
ただ、アムネスティの担当者は国連本部での記者会見で、「死刑制度そのものが重大な人権侵害だ」として、日本政府に対して引き続き死刑執行の停止だけでなく、死刑制度そのものの廃止を求めていく考えを強調しました。
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「死刑囚頼み」の臓器提供制度、「5年以内に改める」―中国政府
サーチナ【社会ニュース】 2012/03/23(金)10:03
中国政府・衛生部の黄潔夫副部長は22日、全国規模で臓器提供制度の改革テストを実施していることを明かし、「死刑囚頼みの臓器提供体系を5年以内に完全に改める」と発言した。中国網が23日伝えた。
黄副部長は「全国人体器官寄付テスト事業総括会議」の席で、現在16の省・直轄市で臓器移植制度構築のテスト事業を進めていることを紹介するとともに、「死刑囚による臓器提供を取りやめるという公約は、政府レベルの決心を示すものだ」と語った。
記事は、1984年に政府が、遺体の引き取り手がない者、家族が引き取りを拒否した者、生前に提供を承諾した者の臓器を、家族の同意の上で医療器官に提供するとを規定したことを紹介。一方、国民の臓器提供意識が不足しているため、移植用臓器の大多数を死刑囚に頼ってきたこと、近年の「法治の進歩、人権意識の高まり」から死刑囚が減り、提供される臓器が大きく減少したことを伝えた。
黄副部長は「唯一の臓器提供源の状況変化は、従来の体系に大きな難題を突き付けた」と語ると同時に、死刑囚の臓器は真菌や細菌の感染率が高く、移植後の生存率が世界先進レベルより低い原因となっていることも明らかにした。
衛生部の統計によると、中国では毎年150万人が臓器移植を必要としている一方で、臓器不足が原因で毎年わずか1万人しか移植手術を受けられないという。「150:1」という数字について浙江省赤十字会の高翔副会長は、米国が5:1、英国が3:1であることと比較して「外国に比べて明らかに臓器が不足している」と語った。
記事は、政府・国務院が「人体器官移植条例」の年内改正を立法計画に盛り込んでおり、改正によって「国民による臓器提供奨励」などの内容が加えられる予定であることを伝えた。そして「数年後、科学的でオープンな国家レベルの臓器提供体系が作られ、国民による臓器提供が中国における臓器移植の主要源となるだろう」とした。(編集担当:柳川俊之)
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◆臓器移植「供給源は死刑囚」−中国2012-03-08 | 死刑〈国際〉
臓器移植「供給源は死刑囚」=衛生次官が認める−中国
【北京時事】中国の黄潔夫衛生次官は、北京で開会中の全国政治協商会議(国政助言機関)の分科会討論で、臓器移植問題について「市民は(臓器を)提供したがらないので、死刑囚の臓器が移植の主要な供給源となった」と述べ、死刑囚の臓器を利用した移植が行われていることを認めた。7日付の中国紙・法制晩報が伝えた。
黄次官の発言は、中国で親族間の生体移植や脳死判定に基づく移植がなかなか進まない現実を示唆したものとみられる。ただ現在では国内のドナー(臓器提供者)不足のため、死刑囚の臓器のほか、金銭を介した臓器売買も深刻な問題となっている。
こうした現状に対応するため、黄次官は臓器移植法に当たる「人体器官移植条例」(2007年施行)について年内に改正作業を終え、赤十字会が主導する形で臓器の提供・分配システムを整えると明らかにした。(時事通信2012/03/07-20:42)
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今週の本棚・新刊:『ゆれる死刑 アメリカと日本』=小倉孝保・著
(岩波書店・2520円)
先進民主主義国のうちほとんど例外的に死刑を残す日米両国で、関係者を多数取材したルポ。両国の死刑をここまで多面的に描いた日本語による一般書は、おそらく初だろう。
日本の死刑の実態は、近年、刑場が公開された程度で、まだまだベールに包まれている。米国では死刑囚の面会取材が可能で、最後の食事のメニューも分かる。刑の執行には被害者遺族やメディアが立ち会う。死刑囚が編集する文集があったり、主流の薬物注射による執行は残虐かを巡る議論があったり。世論は過半が死刑制度支持だが、15の州は死刑を廃止した。他方、死刑判決は有色人種に多く出るし、報酬の高額な弁護士を雇えば死刑を免れる可能性は高くなる。判決の基準も分かりにくい。いずれにせよ、米国では、死刑が銃所持にも似て国民の権利行使の一つの表れであり、執行も廃止も、受刑者含む国民自身の判断を論理的な前提にしているとの印象を受けた。
さて、日本。世論調査結果は、死刑支持が8割を占める。人種の溝が小さく、人に物事を判断してもらうのが好き、何事も「水に流す」国で、死刑が米国並みの公開度になったら、どうなるだろうか。(生)
毎日新聞 2012年3月25日 東京朝刊
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【中国】死刑執行、去年は数千人か 死刑囚頼みの臓器提供/『ゆれる死刑 アメリカと日本』小倉孝保著
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