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「南京事件はなかった」という河村市長を黙らせたのは誰だ?/日本のマスコミが「問題」に仕立て上げた

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「南京事件はなかった」という河村市長を、黙らせたのは誰だ?
[Business Media 誠]2012年03月27日 窪田順生の時事日想:
「南京事件」についていくらバッシングを受けても発言撤回や謝罪をしなかった河村たかし名古屋市長が突然、口を閉ざした。そこにはどんな力が働いたのか。
  〈物事には必ずコインのように表と裏がある。それはビジネスも然り。詐欺や裏取引、あるいは法の網を巧妙にかいくぐったグレー商法……。もちろん、それらは断罪されてしかるべきだが、そんな「裏」から若きビジネスパーソンが学ぶことは多い。人々が何を欲し、社会には何が足りないのか。つまり、日本経済の「裏」を知ることができるからだ。
  火曜日の時事日想は、テレビ、全国紙、週刊誌といういわゆるニュースの現場を経験してきただけではなく、実話誌などで裏ビジネスなどの取材を続けてきた筆者が、巷にあふれる事象を「裏」から読み解いていく〉
  世の中には口にするのも憚(はばか)られるというか、ちょこっとふれただけでも袋だたきにされるテーマがある。
  最近では「南京事件」がこれにあたる。2月、名古屋市と友好都市である中国・南京市の使節団が表敬に訪れた際、河村たかし名古屋市長が「いわゆる南京事件はなかったのではないか」と口にして大騒ぎになったのでよくご存じだろう。
  SKE48の出演イベントは延期し、中国の全人民代表会議は「南京大虐殺否定罪」を制定しようという話も出た。あらゆる方向へと飛び火をしたこともあり、マスコミはさっさと発言撤回をして謝っちまえみたいな論調が目立ったが、案の定というかやはりここにも「裏」がある。
  市長のことは国家議員時代から連載コラムや著書を手伝っている縁でよく知っている。みなさんからすると、「みゃーみゃー」とうるさくて、いかにもポロッと「失言」してしまいそうなイメージかもしれないが、ああ見えて意外と思慮深い。理由もなく遠路はるばる訪れた客人にケンカを売るような非礼はしないはずだと思って、本人に直接事情を聞いてみた。
■南京市幹部が「ニコニコ」していた理由
 「昨年から南京市とさらに友好を深めるため、南京事件についての討論会を開こうということで調整中だったんですよ。『30万人の虐殺はなかった』というワシの考えは信書で既に先方に渡している。そういう流れのなかの発言で、これから互いに意見交換をしようという第一歩だった。だから、あちらの使節団もぜんぜん怒っとりゃあせんでニコニコしとったよ」
  その場に同席していた者や、市長の信書を南京の共産党幹部に渡した者にも裏をとると、確かに事実だった。マスコミが騒いでいるように「失言」が元凶であれば昨年、「南京事件はなかったのではないか」という信書を受け取った段階で南京市側は猛抗議していなくてはならない。
  なぜそれをやらなかったのか。そこには南京の事情がある。実は南京は電子情報、石油化学、自動車、鉄鋼の4つを主要産業としており、多くの外資系企業が進出しているものの、日本企業がケタ違いに少ない。要するに、日本企業に来て欲しい南京としては、あまり些細なことで事を荒立てたくないというのがホンネなのだ。
  事実、尖閣諸島沖で中国漁船衝突事件が起きて日中友好イベントが各地でキャンセルされるなか、南京だけは地元市民が現地の日本人留学生約100人を招き中秋節を祝う月見の宴を開いている。
  河村たかしの発言に「ニコニコ」していたのは、南京のみなさんが人がいいからではなく、そのような目的があったからだ。
■取材申し込みに珍しく「かんべんしてちょうよ」
  じゃあなんであんな大騒ぎに? と首をかしげる人も多いだろう。中国で長くビジネスをしている経営者は、その疑問にこう答える。
  「中国の反日感情の強い人々は、常に日本のニュースをチェックして何か問題がないか探している。彼らが騒げば、中国共産党としては正式に抗議をしなくてはならない。抗議をしないと、その不満は自分たちに向けられてしまう。共産党としてはそれが一番怖い」
  つまり、中国共産党も南京市もさして気にしていなかったものを、日本のマスコミが「問題」に仕立て上げたという構図だ。発言した背景や文脈を無視し、一部分だけ切り取って大騒ぎする。これまでも多くの政治家を葬り去ってきた“殺人フルコース”を河村たかしも食らってしまったというわけだ。
  当初は「発言は撤回しない」と気丈にふるまっていた市長だが、先日インタビューを申し込んだらこんなことを言われた。
  「いろんなところから『言わんでくれ』と言われとるから個別インタビューは受けないということにしとる。かんべんしてちょうよ」
  珍しく奥歯にもののつまったような弱気な発言に、何があったのかと地元メディアに聞いたところ、市長を黙らせた人々の正体が見えてきた。
  「市に寄せられたのは、よくぞ言ったという激励の意見の方が多いのですが、猛烈なクレームもあった。その多くは中国ビジネスをしている企業からです」
■河村たかしの代わりに頭を下げた日本人経営者
  この話を裏付けるような出来事があった。3月14日、新華社南京によると、日本企業の社長が南京大虐殺記念館を訪れて深々と頭を下げ、生存者支援のためにとして100万円を寄付してこのような発言をしたというのだ。
  「河村市長の発言に、長年、日本と中国の友好交流に力を入れてきた日本の企業家たちはひどく心を痛めた」
  この企業は中国の白物家電大手ハイアールと関係が深いことから「自作自演」などネット上では叩かれたが、南京でビジネスを展開している企業からすれば「よくぞやってくれた」というのがホンネではないか。
  先ほど南京には日本企業の進出は少ないと言ったが、それでも名だたる大企業が中国国内を生産拠点にしている。例えば、マツダは2007年に南京工場を稼働以来、昨年9月には生産能力を24万台に増強している。シャープも十年以上前から南京で液晶パネルの生産を行っており、2009年のシャープのリリースに『「南京クリスタルバレー」が構築されるのを期待しております』と力の入れようがうかがえる。これらの企業からすると、「もう余計なことは言うな」と河村市長の口を抑えたくなるのは当然かもしれない。
■ロスの高校生たちが学ぶ「日本は40万人虐殺した」
  広島長崎の原爆で亡くなった人を上回る「30万人虐殺」についてはいまだに議論があるが、ひとつ言えるのは、河村たかしを黙らせたり頭を下げさせたところで、問題の本質はなにも解決されないということだ。マスコミは報じないが、実は河村たかしが南京市と討論会をやろう と思い立ったのには、彼なりの「大義」がある。「かんべんしてちょうよ」とインタビューを断る数日前、市長は私にこんなことを言った。
  「一昨年、姉妹都市のロスから“ミス二世”のキレイな女の子が表敬訪問に来たんですけど、彼女に『日本は南京に残忍なことをした。市民を40万人も殺したんですよね』と言われた。市で調査したら、あっちの高校の副読本に確かにそう書いてある。中国より米国の方が増えてんだ。こういうところをハッキリさせんで真の友好なのか」
  今の子どもたちが大人になる頃、この数字は50万人に膨れ上がるかもしれない。取引先を守るというのは商売人の鉄則だが、未来を見越して動くというのもまだビジネスなのではないだろうか。(一部敬称略)
 窪田順生氏のプロフィール:
 1974年生まれ、学習院大学文学部卒業。在学中から、テレビ情報番組の制作に携わり、『フライデー』の取材記者として3年間活動。その後、朝日新聞、漫画誌編集長、実話紙編集長などを経て、現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌でルポを発表するかたわらで、報道対策アドバイザーとしても活動している。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。近著に『死体の経済学』(小学館101新書)、『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)がある。
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河村たかし名古屋市長の発言をよそにハリウッドスターを使った南京大虐殺映画で進む「米中ビジネス」 2012-02-27 | 政治〈領土/防衛/安全保障〉 
 河村名古屋市長の発言で緊張する日中関係をよそにハリウッドスターを使った南京大虐殺映画で進む「米中ビジネス」
現代ビジネス2012年02月27日(月)近藤大介「北京のランダム・ウォーカー
 1937年12月、日本軍による南京占領のさなか、一人のアメリカ人男性と、教会に逃れてきた中国人女性たちが助け合って、南京から決死の脱出を図る---そんなストーリーの映画『金陵十三钗』が、昨年末から1月の旧正月にかけて、中国全土で最大のヒット作となった。この異色の戦争映画を監督したのは、日本人にもお馴染みの張芸謀(ジャン・イーモウ)である。
 私が観た映画館は、300席ほどある大スクリーンだったが、ほとんどは中国人の若いカップルだった。彼らは手を取り合って、時におののきの声を挙げながら、日本軍による中国人女学生への集団レイプシーンや、射殺、刺殺シーンなどを見入っていた。
 私は、観終わって映画館を出るなり、まるで大量のバリウムでも呑み込んだかのような、重だるい気分に陥った。あれから75年も経つというのに、この国の人の「歴史」に対する「臨場感」はどうだろう。「歴史」でもなく「過去」でもなく、いまそこにある「現実」として、「悪の日本」を突きつけてくるのだ。
■社長の口から飛び出した「南京の二の舞にならないからな」
 テレビでも相も変わらず、「鬼子」(日本軍人の蔑称)が出てくるドラマがとぎれることがない。テレビの方は製作費節約のため、「鬼子」に扮した中国人役者が意味不明の日本語を発するので、余計胸苦しくなってくる。
 このような環境に暮らす中国人は、当然ながらその意識下に、「日本=悪」という先入観を植え付けられている。
 1月下旬のある日、ある中国側との商談が行き詰まった際、中国側の社長は次第に激昂していき、われわれ(日本側)に向かって捨て台詞を吐いた。
「オレたちは1937年の南京の二の舞には決してならないからな!」。
 1937年の南京の戦場と、2012年の北京の商場と、一体何の相関関係があるのだろう? そんな疑問が思わず喉元まで出かかったが、この地はそのような思想の持ち主が支配している社会なのだと思い直し、冷静に言葉を選んで応対した次第である。
 われわれ北京在住の日本人というのは、普段からそれほど、まるで重い十字架を背負ったような、肩身の狭い思いをしながら暮らしているのだ。
 それが2月20日、今度は日本の名古屋から、強烈な一矢が飛んできた。河村たかし名古屋市長が、名古屋を訪問中の姉妹都市・南京の代表団に向かって、「南京大虐殺はなかった」と断言した一件である。
 日本は、憲法第21条で、「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」と規定した誠に民主的な国家であるから、名古屋市長の河村たかし氏が、得意の名古屋弁で何を「表現」しようが、それは彼の自由である。だが、姉妹都市である南京の代表団を名古屋に招待しておいて、彼らの面前で口にするとは、「それを言っちゃおしまいよ」という奴である。
 南京大虐殺は、もしかしたら「南京中虐殺」だったかもしれないし、または「南京小虐殺」だったかもしれない。だが1937年12月に、激しい市街戦の後に日本軍が南京を占領したのは史実であるから、そこで少なからぬ中国人が犠牲になったのは間違いない。かつ、前述のようにそのことを心のオリ(恨)として引きずりながら、75年後の現在も生きているのが、中華民族であり、南京の人々である。実際、南京出身の中国人と話すと、親族の誰かがかつて日本軍に殺されたという人が実に多い。その人々を前にして、敢えて「地雷を踏む」ことで、日本が一体何の国益になるというのか?
■混乱を望まない中国政府
 「河村発言」は、北京の日本人駐在員たちに、驚くほどのスピードで伝播した。中国駐在の日本人ビジネスマンというのは、常に最悪のケースを想定しながら行動する習慣が身についている人種である。今回のこの発言がもとで、北京で抗日デモが起こる、日本製品の不買運動が起こる、日系の工場でストライキが起こる、日本人に暴行が加えられる・・・いくらでも想定されるケースはあった。ある北京在住の日本人エコノミストから電話をもらったが、彼は「今回の震源地は名古屋だから、中国のトヨタが危ない」という持論を述べた。
 広州に出張中だった丹羽宇一郎大使も、北京へとんぼ返りし、2月22日の夕刻には、北京駐在の全日本メディアを召集し、「あれは政府見解とは異なる」と抗弁した。ちなみに丹羽大使も名古屋の出身だが、河村市長とは面識がないという。
 北京の日本大使館のある幹部は、怒り心頭の面持ちで語った。
「河村市長は、日中国交正常化40周年の今年を盛り上げようと、われわれ日本人が官民挙げてどれだけ頑張っているか分かっているのでしょうか。3月9日からは、40周年の大きな記念事業として、『南京ジャパン・ウィーク』を企画しているが、それも暗雲垂れ込めてきました。いまや中国を怒らせて国益を損なうのは、われわれの方なのに・・・」
 このタメ息混じりの最後の言葉は、意味深である。先週のこのコラムでも述べたが、いまや「中国が日本を必要とする時代」から、「日本が中国を必要とする時代」へと、時代は大きく様変わりしてきている。何せ日本にとって中国は最大の貿易相手国だ。野田政権は、「震災復興内閣」を政権の看板に掲げているが、日本の復興の少なからぬ部分が、世界一の巨大市場である中国頼みである。逆に中国は、仮に日本を敵に回して国交断絶しようが、「日本依存度」はすでにかなり低まっているため、さほど影響はない。
 だが幸いいまのところ、こちらでは中国人の大きな抗日の動きには至っていない。これには、いくつかの要因が考えられる。
 最大の要因は、中国政府が混乱を望んでいないことである。中国では毎年3月の初旬から中旬にかけて、1年でたった2週間だけ、中国の国会が開かれる。この季節は、中国政府が混乱を恐れて、警備を最も強化する時期である。いまがちょうどその時期に差しかかっているのだ。そのため中国メディアも「河村発言」に対する非難は書き連ねながらも、その一方で、「国民よ、冷静さを保とう」と呼びかけたりしている。
 第二に、野田政権の対応が早かった。藤村官房長官は2月22日の会見で、「1995年のいわゆる『村山談話』以来、政府の立場は一貫して変わっていない」と明確に述べた。またそのことを、中国メディアはきちんと報じた。これによって中国人は、「また日本でかつての石原慎太郎みたいな'妄言地方政治家'が出たな」くらいの軽い驚きと怒りで、矛先を収めたというわけだ。
■蒼井そらの貢献?
 第三に、これは誰も指摘していないことだが、昨今の蒼井そらの「貢献」も大きかったと私は思っている。先週のこのコラムでも述べたが、中国の約1000万人の青年が日々、蒼井そらが中国語で書くミニブログを読んで日本を理解している。いまや彼女の中国における影響力たるや、一昔前の日本におけるヨン様の影響力に匹敵するほどなのだ。
 それで、「そら様」は「河村発言」に対して何とコメントしているのか気になって、彼女の中国語のミニブログを開けてみた。すると、スタイリストから着せられた服が気に入ったの、気に入らなかったの、といったたわいもないことを、写真付きで喜々として述べているに過ぎなかった。「河村発言」に怒り心頭の中国の青年たちも、きっとこうした「そら様」のほんわかしたミニブログを読んで、怒りを鎮めたに違いないと思ったのである。
 最後に、冒頭の張芸謀の新作映画の話に戻るが、この映画は、『HERO』以来、ハリウッド進出を求めてやまない彼の悲願を多分に感じさせる作品だ。だから主役にわざわざ、日中戦争や南京大虐殺とは何の関係もないハリウッド・スターのクリスチャン・ベールを起用し、アメリカ人が馴染みやすいようにアレンジしたのだろう。
 また、張監督が南京大虐殺をテーマにしたのも、「米中はかつて戦友であった」というメッセージを、中国がアメリカに送りたかったからではなかろうか。北京オリンピック開幕式の芸術監督を務め、中国人民政治協商会議(国の諮問機関で国会と同等の地位を与えられている)の委員でもある張芸謀監督は、いまや単なる一映画監督の枠を超えて、「中国政府代弁人」と見るべきである。
 実際2月18日には、この秋に中国のトップに就く予定の習近平副主席がハリウッドを訪問した。そこで習副主席は、現在、年間20本しか輸入を許可していないハリウッド映画の輸入を、34本に拡大し(日本はわずか2本!)、かつアメリカ側の取り分を現在のチケットの13%から25%に引き上げると発表した。その代わり、アメリカのドリームワークス社が上海に、約1億5000万ドルを投資して中国との合弁会社を設立することになった。
 超ドメスティックな名古屋城の主が吼えている間に、中国は日本を踏み台にした米中ビジネスを、着々と進行させているのである。
*近藤 大介(こんどう・だいすけ)
 1965年生まれ。埼玉県出身。東京大学卒業後、講談社入社。『月刊現代』副編集長、『週刊現代』副編集長などを経て、現在は講談社(北京)文化有限公司副総経理。2008年より2009年まで、明治大学講師(東アジア論)。『日・中・韓「準同盟」時代』、『東アジアノート』他、著書多数。
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河村名古屋市長の南京発言と歴史の真実/当時、南京の人口は多めに見積もっても20万人しかいなかった 2012-03-09 | 政治〈領土/防衛/安全保障〉 
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「南京大虐殺」発言 名古屋市の河村たかし市長 2012-02-23 | 政治〈領土/防衛/安全保障〉 
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