元特捜部長有罪 検察改革を緩めぬよう
中日新聞 社説 2012年3月31日
大阪地検の証拠改ざん隠蔽(いんぺい)事件で、元特捜部長らに有罪判決が出た。不正をもみ消した大汚点であり、「組織の病弊」とまで裁判官に指摘された。動きだした検察改革をさらに進めてほしい。
検察官は法と証拠に忠実に向き合わねばならない。証拠品であるフロッピーディスクのデータを改ざんした大阪地検の元検事は、その基本を踏み外した。有罪判決を受けた元特捜部長らも改ざんを知りつつ、隠蔽を図った。幹部も基本を逸脱したのだ。
判決が「検察組織の信頼を損ねた責任は重い」となじったのは、当然である。とくに元特捜部長は「ミステークでいく」と部下に述べ、上層部にも不祥事を正確に伝えなかった。組織防衛のためであったとしても、前代未聞の犯罪のもみ消しは許されない。
そもそも厚生労働省の元局長を犯罪者にでっち上げた郵便不正事件は、空中楼閣の出来事だった。事件の構図を勝手に見立てて、強引に供述調書が作成された。証拠品までも改ざんし、その事実を封印するのは、法治国家ではあり得ない。暗黒時代を思わせる。
大阪地裁は「犯行は組織の病弊が生み出したともいえる」とまで述べた。たしかに特捜検察の問題点は、大阪に限らない。
小沢一郎民主党元代表が強制起訴された裁判では、有罪立証の柱だった元秘書の供述調書が証拠採用されなかった。「違法な取り調べがあり信用できない」と裁判官が判断したためだ。
そればかりか、元秘書を取り調べた際の捜査報告書に、架空のやりとりが記載されていたことも判明した。法と証拠に忠実であるべき姿勢とは明らかに乖離(かいり)する。
最高検察庁が陣頭指揮を執って、すでに検察改革は進められている。独自捜査への偏重が無理な捜査につながったとして、特捜部の体制を縮小したり、外部の有識者を参与に入れた監察部門が新設された。職員が上司を評価する取り組みも試験的に実施した。
取り調べの録音・録画の試行も始められ、特捜事件のほぼすべてで実施、そのうち約四割が全面可視化である。現場からは「自白が得られにくい」などの不満があるというが、適正捜査を志す以上、後退はあり得まい。
「検察の理念」と題する職務指針もつくられ、「独善に陥ることなく、謙虚な姿勢を保つべきである」と記された。この精神が徹底され、改善を積み重ねる努力こそ、信頼回復の近道だろう。
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◆小沢氏裁判 公判(弊ブログindex)/最終弁論・最終陳述(第16回公判)〜小沢氏全発言(初公判) 2012-03-26 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
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◆小沢【有罪】に向けた裏取引 検察と裁判所は表裏一体/肉を切らせて骨を断つ/「検証する」-笠間検事総長 2012-03-06 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
小沢「有罪」裏取引 <背後に潜む一大謀略>
2012年3月6日(火)10時0分配信 日刊ゲンダイ
検察の組織的犯罪が決定的となった。小沢元代表を強制起訴に導いた「虚偽報告書」が、東京地検の手で1年間も放置されていた。とうに不正を把握していながら、小沢弁護団が公判で指摘するまで、シラを切り通すつもりだった腐った隠蔽体質。フザケたことに検察サイドは、今回のデタラメすら「小沢有罪」に向けた裏取引に利用しようと企んでいる。
<突然、発覚した「虚偽」報告書隠蔽の実態>
東京地検が捜査報告書の虚偽記載に気づいたのは、昨年1月上旬。きっかけは、石川知裕衆院議員(38)ら小沢の元秘書3人の弁護側が、例の石川録音テープの中身を証拠開示したこと。10年5月に元特捜部の田代政弘検事(45=現・新潟地検)による再聴取のやりとりがバッチリ記録されており、田代検事が作成した報告書と比べれば、内容が食い違うことは一発で分かる。
問題は、東京地検が不正を把握した時期だ。大阪地検特捜部の証拠改ざん事件を受け、最高検が再発防止策を発表した直後だった。改ざん事件を機に設立された「検察の在り方検討会議」のメンバーで、元検事の郷原信郎弁護士は「我々が検察再生の議論を重ねる中、東京地検は組織防衛のために偽造報告書を隠蔽したとしか思えません」と、こう憤慨する。
「田代検事個人の不正なら、東京地検も即座に処罰できた。ところが、いまだに田代検事を処罰せず、組織に抱えたままです。この事実こそ、今回の不正が組織ぐるみだったことを物語っています。田代検事の上司など複数の幹部が不正に加担した“組織犯罪”だから、発覚を恐れた。当時、明るみに出れば、東京地検は特捜部解体まで追い込まれたでしょう。隠蔽は、そのためです」
市民団体から「虚偽有印公文書作成容疑」での刑事告発を受け、東京地検はアリバイ的に田代検事の聴取を重ねてきた。しかし、組織的隠蔽の露呈により、田代逮捕で一件落着を図る可能性が高まっている。上司だった特捜部の吉田正喜副部長や佐久間達哉部長(いずれも当時)らも無傷では済まないだろう。
常識で考えれば、これで小沢はまた一歩、「無罪」に近づいたようにみえる。だが、検察組織は非常識。小沢周辺も警戒を強めているという。
「この国の検察と裁判所は表裏一体です。検事の一斉処分となれば“これだけ詰め腹を切らせた以上、もう恥をかかせるな”と暗黙の了解で、裁判所への無言の圧力になる。虚偽報告書の隠蔽発覚は、読売新聞が2日付1面でスクープしたもの。記事は複数の検察幹部によるリーク情報を基に書かれていました。『小沢無罪』説が強まる中、検察がわざわざ身内の不祥事をさらけ出すのは異例だし、不気味です」(民主党関係者)
肉を切らせて骨を断つような「小沢有罪」に向けた裏取引――前出の郷原氏は「ここで徹底的にウミを出さないと、検察組織は再生できない」と言ったが、検察は懲りていない。注目の判決は来月26日前後とされる。検察の重圧に屈せず、東京地裁は常識的な判断を下せるのか。大善文男裁判長の胆力が問われる。
(日刊ゲンダイ2012年3月3日掲載) *強調(太字・着色)は来栖
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大阪地検証拠改ざん隠蔽事件 元特捜部長らに有罪判決
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