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小沢一郎インタビュー「野田政権の出方次第で「ありとあらゆる選択肢がある」

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野田政権の出方次第で「ありとあらゆる選択肢がある」【小沢一郎インタビュー】
日刊ゲンダイ2011年12月29日 掲載
 2011年の政治は腹が立つことばかりだった。大震災・原発に対する不可解対応。菅政権は倒れたが、次の野田政権は増税路線一直線。国民にしてみれば、「フザケンナ!」だが、こうした政治状況に、もっとも怒っているのはこの人ではないか。ふがいない民主党政権に対し、小沢元代表はどう動くのか。

大震災は国を変えるチャンスだった<民主党は次の選挙で全滅だ>
 民主党は09年総選挙のマニフェストで「地域主権の確立」を掲げました。僕は、東日本大震災は災いを転じてそれを実現する最大の機会だったと思います。
  地方に金を渡して、好きなように道路や橋、堤防を造ってくれ、と言えばいい。あれだけの惨状を目にすれば、中央の官僚だって反対できない。中央の官僚がいちいち査定し、補助金を出すのではなく、地方が考えて自分たちの予算を自由に使う。そうすれば、地域主権が実現して、それが地方経済の活性化をもたらす。地方が自分で考えて、予算を作れば、事業のスピードが違うし、本当に必要な予算で、地元の企業に発注する。国、地方を通じて行政の無駄がなくなり、効率的になります。ユーロ危機で日本の輸出がメタメタになる中、内需拡大策にもなる。
  それなのに、民主党政権はそうしなかった。政治家が「とりあえず、被害のひどい福島、宮城、岩手の3県だけでもやろう」と決断すれば、地域主権確立の突破口になったのに本当に残念です。
  依然として、中央省庁が被災状況を査定して霞が関に持ち帰り、紋切り型の事業にばかり予算を付けている。それに、中央が補助金を渡すシステムだと、地方の大きな事業は中央の大手企業が取ってしまうんです。被災地の仮設住宅にしても大手プレハブメーカーが受注して、東京から人を送って造った。これでは地方経済に役立たない。
  復興庁も「絶対反対」とは言いませんが、新しい役所をつくって、役人のポストを増やしてどうするのか。各省庁の機能を効果的に使えばいいんです。屋上屋を架せば、官僚支配の肥大化になる。そんな法律を通すのに膨大な時間をかけて、発足は春ですよ。それよりも早く地方が自由に使える金を配った方がよっぽどよかった。
  結局、民主党政権は中央省庁の権限を奪えず、従来の国の統治機構を変えられないままでいる。官僚の抵抗はありますが、政治の側に覚悟がないからです。明治以来の中央集権の官僚機構を根底から変える。そうした強い理念がないのだと思います。その点、大阪の橋下徹市長とは考えが一致している。旧体制、すなわち既存の官僚機構、国の統治機構をぶっ壊す。それをやり遂げなければ、真に国民のための政治はできない。彼はそう考えていると思います。それなら僕も賛成です。我々民主党が主張していたことなのに、お株を奪われた格好です。
  裁判でずっと座っているのはきついですよ。しかし、僕が検察・法務官僚に屈してしまうと、日本の民主主義は崩壊してしまう。
  この問題は僕個人の問題ではなく、政権交代を目前にした野党第1党の党首に対して、何の証拠もないのに、検察が強制捜査を行ったということなんです。それが許されるなら、日本は法治国家でも民主主義国家でもない。
  これまでの田代検事、前田元検事らの証言などで、国民の皆さんも「やっぱり国家権力の乱用だった。最初から小沢を起訴して裁判にかけようと意図して捜査した」ということが分かってきたと思います。犯罪をなくすのが警察、検察の仕事なのに、犯罪人をつくろうとしたのか、それがあなたたちの仕事なのか、と言いたい。
  公判が進んでいる以上、「日本は民主主義国家なんだ」という結論をきちんと出さなければいけない。僕自身がみんなにそれを示さなければならない。そういう覚悟で闘っています。
  野田政権のTPP交渉も疑問です。国内と国外で言うことが違う。向こうではアメリカにいいことを言って、日本に帰ってくると言い訳をする。こういう二枚舌の手法、姿勢が一番いけない。国内だけでなく海外からも信頼されなくなる。「何だ、アイツ。自分で言ったくせに、発表を訂正しろとか、ふざけるな」となっちゃう。
  野田首相が本当にTPP参加が正しいと思っているのであれば、「政治生命をかけてもやる」と言えばいいんです。そうやって、政治家が覚悟を決めなければ、外交になりません。
  僕は1980年代にタフな日米交渉を経験した。通信や建設の市場開放に関する協議です。当時は1週間か10日間、朝から晩までギャンギャンやりあった。でも、最後はお互い「いい仕事をしたね」と握手して別れた。
  政治家が筋道の通った話をすれば、相手も分かってくれるものです。その前提として、政治理念やビジョンが必要なことは当然です。それがないと、官僚の言いなりになる。官僚の代弁者みたいになってしまう。彼らは事なかれ主義だから、それだと真の交渉はできないんです。官僚に対しても同様です。自分の理念を語り、筋道の通った政治方針をきちんと示す。そのうえで、「責任はオレが取る」と言えばいい。
  なぜ、それができないのか。よい言い方をすると、やり方を知らないのです。知恵と胆力ですね。今の民主党議員はその辺の基礎的訓練ができていない。ディベートの技術は勉強したのかもしれないが、制度論とか、政治の哲学、理念、それに基づく国家統治などを本気で議論してきたとは思えない。だから、どうしたらいいのかがわからない。官僚の言う通りにしか動けない。
  官僚の言いなりで、国家の統治機構の改革に手をつけなければ、いつまでたっても、マニフェストで国民に約束した「国民の生活が第一。」の政策を実行する財源なんか出てきません。自民党政権時代と同じことをやっていたら、金なんか余るわけがない。財源がないから増税だ、ということになってしまう。でも、先の総選挙から4年間、制度改革には手をつけずに、ただただ消費税増税なんて、国民は絶対に許さない。だから、僕は反対しているんです。
 <安定政権を作るためには何でもやる>
  こんなやり方では民主党は次の総選挙で全滅すると思います。しかし、起死回生の方法はある。2年前の夏の原点に返って、一つでも二つでもマニフェストを本気になって実行するしかない。国民は今も自民党がいいとは思っていません。「民主党が今度は本気になったな」と思ってもらえればまた勝てる。僕はまだ、野田政権が原点に戻ることを期待しています。
  例えば、先ほど話した地域主権を、せめて暫定的にでも震災地域でやる。「子ども手当」もやるべきです。これは子どもは社会みんなで育てるという理念の話であって、財源や名称の問題ではない。
  では、野田政権が原点に戻る決断をしなかった場合はどうするか。その時は、ありとあらゆる選択肢を考えます。どんな選択をしてでも、政治を落ち着かせなければならない。その一点につきる。
  金正日亡き後の朝鮮半島の緊張、ユーロ崩壊の危機、加えて、2012年は各国の指導者が代わり、カオスの年になる。どんなことをしても、差し迫った危機に対応できる能力と安定感を備えた政権をつくらなければいけません。 *強調(太字・着色)は来栖
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検察が不起訴にした政治家を国民の手で強制起訴した事で政治がどのような影響を受けたか噛み締めるべき2012-01-03 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
小沢一郎氏裁判/国民の代表である政治家と「全面戦争する」と言う特捜=国民主権を認めない組織〈検察〉2011-12-19 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
小沢一郎氏茶番裁判 特捜検察の恐るべきデタラメ/検察、警察はデッチ上げで犯罪、犯人を捏造している2011-12-17 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
小沢一郎氏裁判 第10回公判〈後〉前田恒彦元検事「私が裁判官なら小沢さん無罪」「検察、証拠隠しあった」2011-12-17
小沢一郎氏裁判 第10回公判〈前〉/前田恒彦元検事「上司から『特捜部と小沢の全面戦争だ』と言われた」2011-12-16
小沢一郎氏裁判 第9回公判〈後〉/証人 石川知裕議員女性秘書が語った深夜に及ぶ違法な取調べの実態2011-12-16
小沢一郎氏裁判 第9回公判〈前〉/証人 田代政弘検事「特捜部は恐ろしいところだ」=報告書に虚偽の記事2011-12-15
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小沢氏起訴議決検察審査会=11人の愚か者が下衆(げす)の感覚によって国民生活の足を引っ張る判断をした2010-10-07 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア


小沢一郎氏「お見舞いに歩くのが政治家の仕事なのか?お悔やみを申し上げるのが政治家の仕事なのか?」 

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小沢氏、初の沿岸被災地入り 岩手で民主県連役員会出席
 民主党の小沢一郎元代表は3日、岩手県陸前高田市で開かれた党岩手県連の役員会に出席し、「東日本大震災が発生した非常事態の中でも旧態依然の中央集権支配が続き、地方への予算配分も十分でない」と政府の震災対応を批判した。小沢氏が震災後、岩手県の沿岸被災地に入ったのは初めて。
 小沢氏は役員会後、記者団の取材に応じ、昨年末に消費税増税の「政府案」が決まったことについて「自分の主張は変わらない」と述べ、消費税引き上げに反対する立場をあらためて強調した。
 役員会では約80人を前に「皆さんの生活を一日も早く取り戻さないといけない。被災地の要望に応えられるよう努力したい」とあいさつした。
 小沢氏は陸前高田市のほか、久慈、宮古、釜石、大船渡各市で開かれた党県連役員会にも出席。首長らから復興に関する要望書を受け取った。陸前高田市では仮設住宅を訪れて被災者を激励した。
河北新報2012年01月04日水曜日
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小沢・民主元代表:東日本大震災後、初の沿岸訪問 「頼もしい」「今更」 住民、期待や不満 /岩手
 震災後初となった小沢一郎・民主党元代表の3日の沿岸訪問。被災地の住人からは「頼もしい」といった期待や、「今更来ても遅い」といった不満が入り交じる声が上がった。
 小沢元代表はこの日、達増拓也知事や県選出の国会議員らと共に、久慈から陸前高田まで沿岸5市で開かれた同党県連の緊急役員会に出席。宮古市では「私たちの主張した地域主権が(政権交代から)2年余たっても、まだ緒にも就いていない」と持論を展開。「皆さんの抱えた課題を解決するには、本来我々の掲げた政策理念を実行しなければいけない」と訴えた。
 夫婦で参加していた、宮古市大通の無職、伊藤隆さん(75)は「小沢さんのように力のある政治家がいて頼もしい。予算を確保して、復興が進むよう国に働きかけてほしい」と期待を込めた。
 小沢元代表は夕方には、陸前高田市竹駒町の仮設住宅を訪問。集会場に集まった約30人の住人を前に「皆さんの生活を一日でも早く元に戻せるよう全力で頑張っていく」と力を込めると、記念写真を求められるなど歓迎を受けた。
 一方で、住人の女性(58)は「今更来ても遅い。震災直後の惨状を見れば、党内で足の引っ張り合いをしてる場合じゃないと気づいてもらえたはず」と不満を漏らした。【宮崎隆】
毎日新聞 2012年1月4日 地方版
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〈来栖の独白2012/01/04 Wed.〉
 東日本大震災と政局ということについて、短く感じたことを述べてみたい。
 昨年の民主党代表選、或いは先ごろの多数の民主党議員の離党・新党結成の折、「東日本で被災して多くの国民が苦しんでいるときに、政治家は、勢力・権力争いに明け暮れて・・・」との批判をメディア上で何度も目にした。上の記事でも、「今更来ても遅い。震災直後の惨状を見れば、党内で足の引っ張り合いをしてる場合じゃないと気づいてもらえたはず」と不満を漏らす女性の声が載っている。生活に切羽詰った被災者たちの感情として当然かなとも思うが、果たして、そうか。いや、これほどに困窮を極めた今日だからこそ、政治にしっかりしてもらわなくてはいけないのではないか。そんな気がする。
 小沢一郎さんは、以下(↓)のように言う。以下のように言いながら、小沢一郎という政治家のやさしさ、熱さは、公判を含めた過密日程の間隙を縫って被災地を訪れた。
 “マスコミ自体も、政治が何をすべきか、政治家が何をすべきかと(報じない)。お見舞いに現地を歩くのが政治家の仕事なのか? お悔やみを申し上げるのが政治家の仕事なのか? というふうに私はあえて憎まれ口をきくけれど、やはり政治の役割というのは、そういうことではないと思う。このような深刻な事態をどのようにして克服していくか、そのためには政治の体制はどうあるべきなのか、政治家はどうあるべきなのかと考えるのが、本当に国民のための政治家のあり方だと私は思っている。そういう意味で、今後もいろいろとご批判は頂きながらも、私の信念は変わらないので、その方向で頑張りたいと思う。”
 これは、媚びない姿勢がなくては言えない言葉だろう。またその前提として、日々の生活に窮する民の惨状を知り、それゆえに、政治の果たす役割が「国民の生活が第一。」と見極めた確かな眼がなくては、言えない言葉だと思う。確かな眼とは、「本物の政治家の眼」ということだ。
 当然のように、このような政治家が国民に理解されることは稀である。剛腕などと云われ、嫌われる。「災害があればいち早く現地に駆けつける」という動きの良さもないので、不可解である。ポピュリズムとは対極にある。
 この種の政治家は、国民からの人気がないばかりではない。既得権益といった旧弊にとらわれないので、官僚からも嫌われる。おまけに要領が悪いゆえ、エンタメ(メディア)に貢献するところなく、嫌われる。
 国民(検審)・官僚・メディアから嫌われれば、行き着く先は決まっていよう。かくて小沢一郎氏は、地元から帰京すれば、10日、11日の裁判(東京地裁 公判)が待っている。被告人質問である。
 東日本大震災という未曽有の苦難のなかで、この国はかくも、有為な政治家の手足を縛った。
 ところで、ここからは余談になるので後日に稿を改めたいと思うが、昨年より深く憂慮している一事がある。4月にも判決といわれている、小沢一郎さんの裁判である。
 陸山会事件登石郁郎裁判長の判決で思い知らされたが、裁判長には裁判長で、縛りがかけられているということだ。登石裁判長の下した判決は、郷原信郎氏のような専門家は無論のこと、私のような素人がみても、おかしな判決だった。なぜ、このような恥ずべき判決文を書かなければならなかったのか。まかり通ったのか。
 新藤宗幸氏はその著『司法官僚』〔裁判所の権力者たち〕(岩波新書)の中で、次のようにいう。
“司法官僚は全国の判決や訴訟指揮の情報を集める。それをもとに行使される人事権は全国3500名の裁判官たちに絶大な影響力をもつ。10年ごとの再任の有無、昇級、転勤を司法官僚が決める。事務総局が召集する「合同」と呼ばれる研究会も下級審の裁判内容を遠隔操作する結果を生む。
 裁判とは社会で周縁においやられた人々の、尊厳回復の最後の機会である。必死の訴えをする人々に遭遇したとき、裁判官は全人格的判断をもって救済に当たるべきだ。しかし、人々の目にふれぬところで、裁判官の内面までゆがめ、その存在理由をあやうくしているシステムがあるのだとすれば大問題である。
 政権交代とは闇を打破る時代のことであろう。本書の提言にかかる裁判所情報公開法などによって司法の実態にも光が当てられ、真の改革が着手されるべきだ。 ”
 ここでも“官僚”である。上の文脈によれば、小沢氏裁判で「無罪」と書いて大善文男裁判長個人に利するところがあるか。無い(だろう)。地方の簡裁か家庭裁判所へ飛ばされるのがオチであろう。
 前田元検事は「主任検事から『この件は特捜部と小沢の全面戦争だ。小沢をあげられなければ特捜の負けだ』といわれた」と証言している。裁判所にとって、被告人に利するか、はたまた長く利益を分かち合ってきた検察との仲を保つかを天秤にかけるなら、答えは歴然としていよう。
 そのことは、検察と一体となり走狗となって「小沢 クロ」と書いてきたメディアとっても同様である。ここで「小沢 無罪」が出たなら、メディアは、どう書けばいいのか。
 ことほど左様に、司法には司法の事情があり、裁判所と検察には判検(一体)の、検察とメディアには検察とメディアの、それぞれ譲れぬ事情がある。
 深く憂慮に堪えない。小沢氏無罪は、難しい。
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『誰が小沢一郎を殺すのか?』の著者カレル・ヴァン・ウォルフレン氏と小沢一郎氏が対談〈全文書き起こし〉2011-07-30 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア より抜粋
■お悔みを申し上げるのが政治家の仕事なのか?
上杉: まずは「3.11」の震災について、その震災後のことについてお話を頂ければと思う。今ウォルフレンさんからお話いただいたので、小沢さんの方から。「3.11」の国を揺るがすような大震災以降、どうも既存メディアでは小沢さんの影が見えなかったのでは、何もしていないのではないか、という声もあった。果たして小沢さんはどのような活動をされていたのか。「3.11」の発災以降のことも含めて、お話をいただければと思う。
小沢一郎衆院議員(以下、小沢): 今度のいまだかつて経験したことのないような大災害、私も被災県の岩手県の出身だけれども、特に福島県の原発の損壊と放射能汚染の問題、それが非常に深刻な事態だと、私は当初から機会ある度に訴えてきた。このような時にあたって、今ウォルフレンさんが指摘されたが、世界でも非常に評価されるような日本人の長所が発揮されていると同時に、日本人の欠点も露呈されているというのが、正直なところではないかと思っている。長所というのは、それは一般的に言われているように、こんな大災害にもかかわらず、みんな一生懸命力を合わせて復興のために頑張っていること。その忍耐と努力と、そして能力というのは、当然日本人として誇っていいことだと思っている。
 ただ、放射能汚染といういまだかつて(ない)、ある意味においてはチェルノブイリやスリーマイル以上に、非常に大きな危険性を秘めているこの原発の事故と放射能汚染の拡大――。これほどの大きな深刻なことになると、単なる個人的な力の発揮ということ以上に、本来もっと国家として前面に立って、そして英知を集めて思い切って対策を講じていく仕組みと姿勢が必要だと思う。けれども、どうもその意味において、政治の面だけではなくて、一般の国民の中からもそういった強い要求というか、動きというものがなかなか出てこない。まさに非常に日本的な現象だと思っている。ほかの国ならば、こんなに黙って現状を見過ごしているような国民は多分ないだろうと思う。大きな大きな国民運動にまで広がりかねないと思うが、そういう(大きな運動にならない)ところがちょっと日本の国民性というか不思議なところであって、「まあまあ」という中で個人が一生懸命頑張っている。
 上杉さんがマスコミの話をしたけれども、マスコミ自体も、政治が何をすべきか、政治家が何をすべきかと(報じない)。お見舞いに現地を歩くのが政治家の仕事なのか? お悔やみを申し上げるのが政治家の仕事なのか? というふうに私はあえて憎まれ口をきくけれど、やはり政治の役割というのは、そういうことではないと思う。このような深刻な事態をどのようにして克服していくか、そのためには政治の体制はどうあるべきなのか、政治家はどうあるべきなのかと考えるのが、本当に国民のための政治家のあり方だと私は思っている。そういう意味で、今後もいろいろとご批判は頂きながらも、私の信念は変わらないので、その方向で頑張りたいと思う。
■財源があろうがなかろうが、放射能を封じ込めろ
上杉: 引き続いて、お二方に質問を。自由報道協会の面々は発災直後から現地に入り、取材活動をずっと行ってきた。その取材の中で相対的に、結果としていま現在、県単位で見ると岩手県の復興が意外と進んでいるという報告が上がってきている。おべんちゃらではなく。(小沢氏の)お膝元の岩手県の復興が進んだという見方もできるが、一方で岩手県だけがそういう形で支援が進めばいいのかという疑問もある。そこで、これはウォルフレンさんと小沢さんお二方に伺いたい。仮に現在の菅政権ではなく、小沢一郎政権だったらどのような形で国を復興させたのか。また、もし小沢一郎総理だったら、具体的な方法としてどのような形で今回の震災に対応したのか。ご自身のことでお答えにくいかもしれないが、まず小沢さんから。
小沢: 岩手県の震災復興の進捗具合が大変良いとお褒めいただいているが、別にこれは私が岩手県にだけ特別何かしているということではない。ただ、それぞれの国民あるいは県民の努力と同時に、地域社会を預かっている知事はじめ、それぞれの任務にある人たち、トップが先頭に立って、そしてその下で皆があらゆる分野の活動で一生懸命やっている。岩手県が他の県に比べて良いとすれば、そういう体制がきちんとされているので、復興の進捗状況が良いと言われている理由ではないかと思っている。
 私の場合は、かてて加えて原子力ということ、放射能汚染ということを強く主張している。これはもちろん東京電力が第一義的に責任を持っていることは間違いのないことだけれども、日本が政府として国家として、原子力発電を推進してきたことも事実だし、原発の設置運転等については許認可を与えている。そういう意味から言っても、また今日の放射能汚染が依然として続いているという非常に深刻な事態を考えると、東京電力が第一義的責任者だといって済む状況ではないのでは。東京電力にやらせておいて、政府はその後押しをしますよ、支援しますよというシステムでは、本当に国民・県民の生活を守っていくことはできないのではないか。
 やはり政府、国家が前面にその責任をもって、最も有効と思われる対策を大胆に(行う)。これはお金がいくらかかる、かからないの問題ではない。メディアも含めてすぐ財源がどうだなんていう話が、また一般(財源)の時と同じような繰り返しの話ばかりしているが、そんな問題ではない。極端な言い方をすれば、財源があろうがなかろうが、放射能汚染は何としても封じ込めなければいけない話で、それは国家が政府が、前面に立って全責任でやる。私はそういうシステムを、仕組みをもっともっと早く、今でも遅くないから構築すべきだと思っている。今なお、東京電力が第一義的責任というやり方をしていたのでは、多分解決しないのではないかと思っている。
■菅さんは一人で何でもできると思い込んでいる
上杉: ウォルフレンさん、同じ質問だが、もし菅総理ではなくて小沢一郎総理だったら、この震災に対してはどうなっていたか。
ウォルフレン: いろいろな面があると思うが、まず3月11日にあの災害が起きた当時、私は阪神・淡路大震災の時と比べて政府の対応はどうだったかと、直感的に思った。当時の政府の対応と比べて、今回はずっと早く迅速に動いたという気がした。私はそのストーリーを書き、世界中に報道された。その時に私が言ったことは、「半世紀続いた一党体制が崩れて、新しい民主党という政党のもとに政権が建った。その政権は本当に国民のことを、人のことを大事に考えて中心に置いている」という書き方をした。ところが、せっかくの初動後の時間が経過するに従って、壮大な画期的な改革をする機会が与えられたにも関わらず――それはキャリア官僚の体制の上に政治的なコントロールを敷くということだったが――そこに至らないでズルズル時間が経ってしまった感じがする。
 なぜ、そうなってしまったのかを考えたわけだが、1993年という年以降、政治の改革をしようと集まった政治家たちが、新しい民主党という党をつくった。そして官僚体制に対して、政治がきちんとコントロールしよう、今までなかった真摯な政府をつくろうという人たちだったのに、どうなってしまったのかと思った。何が起きてしまったのか、正直いって私自身は分からない。ただ、ひとつ考えられるのは、首相が一人で何でもできると思ってしまっているのではないか、ということ。数日前に日本に来て、その間多くの方々といろいろ話をして感じたのは、どうも菅さんは、時々いいアイデアもあるのかもしれないが、それを自分一人でやるだけの政治力があると思い込んでしまっているのではないか、ということだ。
 菅さんにしても、誰であっても、一人ではとてもできないことではないか。災害に対処しながら、また原発事故に対処しながら、今までの官僚体制に政治がコントロールしていく――それを同時にやるのは大変なことだ。細かいことは存じ上げないが、原発事故が起きたということは、多くの人たちが新しいところで生活を始めなければならない。再定着が必要になってくるわけだから、政治家一人ではとても負えるものではない。民主党をつくった人たちが、官僚制度の上に政治的なコントロールを敷こうと、そして本当に政府をつくろうと、同じ志を持った民主党の政治家たちがお互いに、一緒に協力をしていかなければできないことなのだ。
 災害が起きる前年、去年の秋だったけれど、少なくとも三人(小沢氏、鳩山由紀夫氏、菅直人氏)のトロイカ体制という話を聞いた時に、ある意味では当たり前だが、私はすごく良いアイデアだと思った。明治維新ひとつをとってみても、一人で誰がやったというわけではない。志を同じくした人たちが、一緒にやったことだった。戦後の復興にしても同じ。皆で一緒にやって初めてできたこと。半世紀に渡って一党支配の体制を崩した新しい政党が、新しいシステムをつくる。それにはトロイカであれ、グループであたっていかなければならないと、私は去年思ったものだ。
 小沢政権ができた場合に、この災害にあたってどう対応されたかのは分からない。けれども、私は小沢さんは「官僚を制する」というよりは、「官僚と一緒に仕事をする」能力がある方だと思っているし、権限の委譲もできるし、官僚の下に置かれることは絶対にない方だと思っている。小沢政権ができた場合には、きちんと然るべき人たちと協調体制のとれた対応をとっていかれるのではないかと思う。
■現状を維持しようとする日本の免疫システム
上杉: (ウォルフレン氏が書かれた)『誰が小沢一郎を殺すのか?』という本のタイトルも衝撃的だが、その中で小沢一郎さんに対して、日本国内の権力構造が"人物破壊"のキャンペーンを張っているとウォルフレンさんは指摘している。「世界的に類を見ない人物破壊」――少し聞きなれない言葉だが、ウォルフレンさん、せっかくだから小沢さんが横にいらっしゃるので、この本で書ききれなかったこと、そしてぜひ聞いてみたいことを質問してはどうか。
ウォルフレン: 前にも言ったように、私は特別小沢さんを知っているわけではないし、友人ということでもない。小沢さんよりはむしろ、菅さんの方をよく知っているし、それよりさらに鳩山さんを知っている、ということが正しいかと思う。私が関心を持っているのは、政治体制をきちんと制する、その現象をもたらすためのタレント・才能を持った方、こういう有能な人を抹殺するというメカニズム、そのシステムに非常に関心を持っているわけだ。
 この(日本の)マスコミの問題というのは、不思議な逆説的な現象を呈している。マスコミの主流派は「政治的なリーダーシップが欠如している」「なぜ、そういう政治家が出てこないのか」と言うが、出てくるとその人を抹殺しようとする。なんて奇妙なシステムだと思っている。私はマスコミ自体が悪いからそうなっているとは言わない。ただ、どうも「既存の秩序を守る」――それが自分たちの義務であるかのようにマスコミが思っているのではないか。20年〜25年、私はいろんな官僚やシニア編集者の方々と会い、話し合う機会があった。彼らはどうも秩序が覆ることや、それが脅かされることに対して、恐れを感じている。現体制を何としても守りたい、という気持ちがあるのではないか。
 また検察の小沢さんに対するやり方というのは、外から見ると、本当に馬鹿げていると言わなければならない。だから「日本には免疫システムがあるのだ」というふうに言うわけだ。私があえて「民主党政権になっても、小沢さんが首相にはならない」と予測したのは、2009年の春だったと思うが、先ほど言った"現状を維持しようという免疫システム"が存在しているから、そう思ったのだ。名前を忘れてしまったけれど、自民党のある人が私に漏らした。「検察が小沢さんに対してああだこうだ言っていることを代議士全部にやったら、国会は空っぽになってしまう」と言っていた。それで12月になって検察が十分な証拠が集まらなかったと言ったら、朝日新聞の論説のところで「証拠はないけれども彼は有罪だ」という言い方をした。どうやってそんなことが言えるのかと思う。
 検察審査会というものがある。いつ、どのようにできたか知っている日本の方は少ないと思うが、これはアメリカの占領下でできたシステムだ。どうやって検察審査会ができたのか、経緯を知らない方も多いと思うので、少し説明する。アメリカの占領軍は、日本の法務省を信頼しなかった。信用できないと思った。だから市民による、検察体制を審査しようというものをつくった。そういう新しい制度をつくって、日本にデモクラシー、民主政治を根付かせようとした。法務省関係者は非常に抵抗したが、抵抗しきれずに最終的には検察審査会なるものができたのだ。ところが、その検察審査会が今まで発動されたのは、交通事故とか軽犯罪とかそういうことだけだった。小沢さんのことにあたっては、どこから取り出してきたのか知らないけれども、"魔法の何か"を使った。それで、客観的に物事を見ることが大事だと思うわけだ。私は小沢さんのファンでもなければ、小沢さんの特別な友達でもないが、日本の政治状況を客観的に見るということでやっている。
民主党の主張を実現する最大のチャンス
上杉: 小沢さんに対して質問は?
ウォルフレン: 本(『誰が小沢一郎を殺すのか?』)を読んで下さったのだろうか? 本を読んで、何か私の書いていることに過ちがあったら、指摘していただきたい。過ちから学ぶことが多いものだから。
小沢: もう読ませていただいた。本の中でも、私があまり露骨に言えないことを正確に言っていただいた。非常にわが意を得たりというか、よくここまで客観的に、公正に見て書いていただいたと思っている。
上杉: この本にも書いてあり、先ほどのウォルフレンさんの言葉の中にもあったが、日本は総理をつくるという形でマスコミ、国中が持ち上げる。持ち上げておいて、そういうリーダーができるとつぶすという、非常に不思議な国だと言っている。小沢さんとしては、その実感はあるか?
小沢: やはり日本社会の、日本人の特殊性ではないだろうか。歴史的な何千年の経過の中で、強力なリーダーというのはほとんど必要なかった。平和で豊かな国だったから。「和を以て貴しと為す」という言葉に代表されるような、いわゆる悪く言えば「談合社会」、良く言えば「コンセンサスの社会」というのが出来上がっていて、それは結局、結論は誰も責任をとらなくてもいい仕組み。
 だから今の状況を見て申し上げたいことは、われわれ(民主党)は官僚主導の政治から、政治家主導、国民主導の政治に変えるんだ、そして国民の皆さんの生活を第一にしていく政治を実現するんだと、皆さんに訴えて政権を任せてもらった。ところが現実には、自民党の時よりひどいじゃないかという批判もあるくらいに、官僚機構に乗っかっているだけ。こういう非常事態においては、まさにわれわれが主張した国民主導の政治を実現するために、国の統治の機構、中央集権から地方分権、いろいろな制度を含めて、震災に対処するという大義名分があるから、思い切ってやればできる絶好の機会。ウォルフレンさんも言っているが、われわれの主張を実現する最大のチャンスだ。
 ところが結果としては、今言ったように、「今まで以上に悪いじゃないか」と酷評される。そのゆえんは何かというと、国民主導、政治家主導の政治というのは、政治行政の政策を決定し実行する時に、国民そして国民の代表である政治家が、自分自身の責任で決定し実行するということだ。それがなければ国民主導とか政治家主導なんていうのは、ただの言葉でしかない。政治家が責任を取らないなら、何で官僚が言うことを聞くのか? 「俺が責任を取るから、こうこうこういう方針でやってくれ」と言えば官僚はついてくる、無茶苦茶な話でない限りは。だから、「それは俺は知らない、そっちで決めたんだ、あれはどうしたんだ」と、そういうことをやっていたのでは、われわれの主張はまったく国民に対してウソを言ったことになってしまう。なので私は、遅かりしだが、今からでも遅くないから、こういう危機にあたってこれをうまく活用して、本当の政治家主導の政治を実現して、「国民の生活が第一」というわれわれの訴えたキャッチフレーズに恥じることのないような震災対策、政治を実現しなくてはならない、そう思っている。
■トロイカ体制なくして菅総理なし
上杉: まさしくこの「3.11」の国難の後に、政治的な団結そして主導が望まれるわけだが、ウォルフレンさんの先ほどの言葉から代弁して質問する。当初、民主党政権に交代したときには、トロイカ体制ということで小沢さん、菅さん、鳩山さんの3人に期待したとあった。この震災においては、トロイカ体制どころか党内バラバラ、与野党との連携もできていない状況になっている。当事者である小沢さん、そのトロイカ体制すらできない理由は一体どこにあるのか。
小沢: それは菅さんに聞いてもらわないといけない。ウォルフレンさんも仰ったように、一人で全部できるわけがないから、神様じゃないから、いろんな皆さんの知恵と力を借りてやる。そのことはその通りだ。しかし、それぞれの部署、それぞれの責任ある立場にある人、なかんずく日本の政治機構の中では総理が絶大な権限を持っている。だから菅さんは、僕や鳩山さんのことは別に相手にしなくてもいいが、自分の責任でちゃんとやれればそれでいい。けれども、なかなかその時々に思いついたことを仰るが、すぐに撤回したり、あるいは自分の言葉に責任を持たない。それがやはり最大の問題ではないだろうか。
 何度も言うが、政治家、特にトップのリーダーは自分の言ったこと、自分の言動に責任を持たなければ誰もついてこないし、国民も全然信用しない。政治家の言うことなんかみんなウソっぱちだという話になってしまう。私はそれは今日の日本にとって非常に不幸なことだし、また将来の日本にとってもそういう事態が続くと、日本には永久に民主主義は根付かないということを非常に恐れている。こういうような形で、ぜひマスメディアもオピニオンリーダーというならばきちんと、それらしい論評と報道をしてもらいたいと思っている。
上杉: 今度はお二人に伺いたい。いま小沢さんの口からも、菅直人首相――今回の震災後、一応日本という国を率いているが、どうも海外からの評価では原発対応を含めてあまりうまくいってない、酷い、うんざりしているような状況を作り出しているというのが現状だ。その菅さんは6月2日、大手メディアの報道によれば、不信任案採決の直前に一定の目処ということで退陣を事実上表明されたが、いまだ総理の座に居座っている。菅さんについて、ウォルフレンさんが最も親しい一人というが、一体なぜ辞めないのか、そして彼は何をすべきなのか教えていただきたい。
ウォルフレン: 菅さんを知っていると言ったが、それほど知っているわけではないから、なぜこういうことになっているかは私にも分からない(笑)。菅さんが総理になったこと自体、小沢さんはもちろん鳩山さんも含めて、そういう(トロイカ)体制があったからこそ、総理になれたということ。そもそも93年に一緒にスタートしたが、特に小沢さんなくしては民主党はまとまらなかっただろうし、民主党がなければ菅政権などあり得なかった。菅さん自身、小さな存在の政治家でしかなかっただろうと思う。私は公約を実行するためには、いま小沢さんが仰ったように、やはりキャリアの官僚制度に対してきちんと政治家がコントロールすること、一緒にやっていくしかないと思う。
■今の状況を予測していたから、不信任案賛成の結論に至った
上杉: 同じ質問で、菅さんはなぜ辞めないのか、そして何をすべきなのか、ウォルフレンさんよりは(菅さんに)親しい小沢さんに伺いたい。
小沢: 菅さんの性格とか人間性は、私は知りません。私の常識ではなかなか理解できないという程度。ただ問題はすべて、日本社会、日本人のあいまいさ。あの時に辞めると言ったとか言わないとか。今度は菅さんは国会でも「私は辞めるなんて言ったことない」なんて後で言う。何事もクローズとあいまいさがいけない。私はそういう点でえらく批判されるけれど、まったく逆で、会談するにしても何するにしても、オープンで話して平気だし、記者会見で言うことと個人的にしゃべることは同じだ。
 そういう、きちんとしたオープンで明確なお互いの意見の交換、やりとり、詰めを日本人は嫌う。皆いい加減な言葉でごまかしてしまう。何の会議でも、皆さんの会社でも同じだと思うが、そうすると誰も傷つかない。結論を出さなければ。何となくということで、誰が決めたんだ、何となくあの会議で決まったということになる。だから、何となくの結論に意に沿わない菅さんは、「俺はそんなこと言った覚えはない」ということになるわけだ。そういう意味では私は単なる感情論や、何となくそうだろうという憶測の類で、大事なことを話し合ってはいけないと、そう思っている。日本人的常識では、菅さんはもう辞めるみたいなことを言ったんだろうけど、その常識が通用しない相手だとどうしようもないわけで、今のようになってしまうわけだ。私が制度的に総理を、内閣を辞めさせるには不信任案の通過しかないという結論に至ったのは、まさにこういう状況を予測していたからだ。
 私はそういう意味でもう少し、日本社会にオープンな、公正客観的な、そして正確な、必ず議論をし結論を出すという習慣を、日本人自身が身につけなければいけないのではと思っている。日本の会議というのは、民主党も自民党と同じだが、絶対に多数決しない。多数決の決を採れと言っても採らない。そうするとカドが立つとか波風がどうのこうのと言う。だから自民党では、何度も言うが、意見がまとまらない、どうしても反対者がいるときは、反対者に最後の会議に欠席してもらって、全会一致ということにするわけだ。民主党では、そもそもその決も採らないので、私は民主主義ということを一体理解しているのだろうかとさえ思うくらいだ。そこははっきりと自分の意見を言い、はっきりとした結論を得て、そして皆で得た結論には従う、そういう習慣を早く日本人は身につけなければいけないと思っている。
■選挙や政治活動への公権力の直接行使は後進国的
上杉: いま小沢さんも言及された「オープンなところで」ということでは、実は自由報道協会の会見――今回は公開討論会だが、過去最多の参加は小沢さんの4回。菅直人総理はずっと申し込んでいるが、0回だ。そういう意味でも、どちらがオープンかということは実績として皆さんご存じだと思う。ところが日本のメディア、記者クラブになると、「密室政治の権化」みたいな形の小沢一郎という像が出てくる。ウォルフレンさん、この全くの逆転状況はどうして起きていると思うか。
ウォルフレン: マスコミはいろんなことを言うと思う。私がこの本を書いたのは、皆さんに説明したいこともあるが、私自身も自分なりに結論を見出したいということもあった。なぜ一人の政治家に対して、かくも長い間――世界中そんなことはどこにもないが――こういう抹殺のキャンペーンを、しかも成功裏に続いているかというのが分からない。あえて言うならば、現状を維持できなくなるとか、壊れることへの恐れではないかと思う。「ウォルフレンさん、どうしたら良いと思いますか? 日本は何をしたら良いと思いますか?」とよく聞かれるが、本を読んでくださってからお聞きになれば、お答えしたいと思う。
 今ちょっと閃いたアイデアがある。結構良いアイデアかもしれない。国民は民主党に政権を託した。それは民主党のトップの人たちが集団で公約したことを実行してくれると思ったからだ。日本の国民が選んだのは政治家であって、検察やマスコミを有権者が選んだわけではない。日本の皆さんは法務大臣に対して陳情書を一緒に書いたらいいと思う。法務大臣、政治家であるあなたを私たちは選んだのだと。だから選ばれた権限を持って、小沢一郎のこの裁判を終わらせてほしいと、そして彼がリーダーとしてやるべきことを出来るような道を開いてほしいと、法務大臣に訴える。新聞は無視するだろうから、相当声を上げないといけない。そういう陳情書を出すということ、それから「そうだそうだ」と声を上げないと物事は起こらないと思う。ちょっと閃いたアイデアだが、効果が出るかもしれない。
上杉: 法務大臣への陳情は、皆さん気が向いたら勝手にやってください。私がここで煽ったりするとまたいろんなことを言われるので。今ウォルフレンさんの言葉であったが、いわゆる日本のシステムの問題、そして検察のことにも触れられた。その検察の問題に関して、当事者ということでお答えにくいかもしれないが、一連の検察のシステム、それに対する国の対応などは、小沢さんからご覧になってどうか。最近、石川知裕(衆議院議員)さんの検察側から出されていた証拠、検事の調書が不採用になったという非常に珍しいことがあった。それも含めてお答えいただければと思う。
小沢: 個別の問題については差し控える。私ども(民主党)のマニフェストというか主張の一つだが、いわゆる民主主義の根幹である選挙――これは主権者が唯一主権を行使する場だ。この選挙によって選ばれる政治家は、主権者たる国民自身を代弁して代表して活動するわけだ。その選挙とか政治活動については、欧米社会で見られるように、やはり独立した第三者的機関が、選挙や政治活動の管理・指導を行うというシステムを、私は作るべきだと思っている。直接、警察や検察が選挙のことや政治活動について公権力を行使するという仕組みは、私はいわば後進国的な要素を強くするばかりであって、健全な民主主義の発展のためにはよろしくないと思う。
 例えば選挙でも何でもそうだが、本当に些細なことまで言えば、個人の皆さんも年がら年中ずっと、朝から晩まで監視されていたとしたら、ちょっとした道交法違反とか軽犯罪法違反とかに触れない人は、まずいないだろうと思う。そういうことを考えてみれば、まさにスピード違反だろうが、駐車違反だろうが、立小便だろうが、公権力がとにかく介入することになれば何でもできるわけだ。1億2000万人を全員監視するわけにはいかないが、特定の人間にターゲットを絞ってやったら、誰もこれから免れる人はいないのではないだろうか。全員罪人になってしまう。
 選挙というものは、1億の主権者が参加する大事な民主主義の原点だ。1億人も参加するから、投票するほうも投票されるほうも、いろいろな問題点は些細なことを含めればたくさんあるはず。根本的な買収とか供応とかは別にして、ちょっとしたことで全部公権力が介入することになったら、今の日本がそうだけれども、狙われたらアウトだ。こういう中では民主主義は定着しないと思っていて、そのため制度的にしっかりと選挙や政治活動を監視する国民を代表する第三者機関、選挙委員会という仮の名をしているけれど、そういうものを作って、きちんと選挙の公明性、公正を確保していくというふうに、仕組みを変えないといけない。(今は)全部官僚機構で、あらゆる国民の生活の隅々まで官僚支配が行き届いている。これを打破するには、国民自身が自ら政治家を選んで、その政治家に思い切った活動をさせるというのが、私は民主主義の基本的なことであろうと思う。そういうようなことも一つの国民主導の政治への大きな改革であると考えている。
■今そこにある、もうひとつの危機
上杉: ウォルフレンさん、最後に一言。
ウォルフレン: 一言だけ言わせてほしい。無関心になってしまうのは容易いことだと思う。大災害があった、復興しなければならない、原発の事故を起こした、大変だ――。それだけではない、もっと大きな危機があるんだということ。国際的な金融の動きをフォローしていれば、そしてアメリカ国内で起きていることに目を向けているならば、何かが終わりに来ていることを感じるはずだ。第二次世界大戦後の国際金融システム、われわれが暮らしてきた間ずっとあった体制が、終わろうとしている。ということは日本に大きな影響があるということだ。
 日本はきちんとした政治的な主導なくして、何の目的もなしに漂流することはできないはずだ。言葉だけで大変なことが起きると言ってるのではなくて、本当に深刻な問題なのだ。でも日本の皆さんには、より良い将来があって然るべきだと思う。最終的に申し上げたかったこと、結論として言いたかったのはそのことで、先ほどからも随分お話したし、この本にも随分書いてあるので、買っていただくことができるかなと思う(笑)。
小沢: 今のウォルフレンさんが指摘されたことは、大変重要なことだと思う。まだ日本人はそれをあまり深刻に受け止めていないけれど。報道でお分かりのように、アメリカでもヨーロッパでも、財政、金融の危機的な状況が今出て、みんな深刻になっているところだ。これはちょっと話が違うけれども、「ミスター円」と呼ばれた榊原(英資)氏が『世界同時不況がすでに始っている!』という本を書かれていて、私も読んだ。今日の日本社会の無責任体制の社会の中で――これは政治家だけの問題じゃない――政治経済あらゆる分野での総無責任体制の中で、経済が大恐慌でも起きた日には、全くもう混乱して無秩序な体制、社会に陥ってしまうのではないかという心配を、一方においてしている。内では原発の放射能汚染の問題、そして(外では)世界全体を覆っている財政金融を中心とした経済の問題、これをやはり日本人はもっともっと深刻にとらえて、その対処の仕方をあらゆる社会の分野で整えていかなくてはならないと思う。(了)(協力・書き起こし.com) *強調(太字、着色)・リンクは来栖
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未曾有の大震災の直前に小沢一郎を排した、この国の不幸/小沢一郎の日本再造計画2011-05-05 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア  
小沢一郎裁判/三権協調・菅政権の有力閣僚・国家権力に寄生する巨大メディア・・・によって2011-12-30 
小沢一郎氏 裁判/大善文男裁判長は将来が約束されたエリート判事 登石郁郎裁判長以上に体制寄り2011-10-06

小沢一郎/「今年は選挙になる。俺は、やる」TPP、大不況、安全保障、裁かれる不条理/[最後の大構想]後編

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「今年は選挙になる。俺は、やる」TPP、大不況、安全保障・・・そして裁かれる不条理[独占激白120分]
小沢一郎「最後の大構想」後編
週刊ポスト2012/01/13・20号 レポート/渡辺乾介(政治ジャーナリスト『嫌われる伝説』著者)
 新年一番。小沢一郎の目が妖しく、厳しく光った。言う。「今年は選挙になる」。世界的経済危機に、日本はどうなるのか。「このままではぐちゃぐちゃになる」。すべては国民の意思次第だ。再度言う。「国民生活第一の原点に政治を立て直す」。総選挙でやるしかない。三度言う。「やる。やる。やる」インタビュー第2回はその核心に迫った。

アメリカの真の狙いは郵貯と医療
 野田政権は増税に舵を切った。しかし、国民に痛みを求めるに相応した国の方向性も社会の未来像も示せず、尚且つ政治手法は疎にして雑。政策を打ち上げても実現の手順はおぼつかない。なぜ増税か。「そうしないと財務省が困る」というのでは、国民が納得しないのは理の当然というものだ。
 小沢一郎・民主党元代表は増税と聞いて、言下に「できない」ときっぱり言った。
 昨年から2年越しの危機が世界と日本を覆っている。一つは、日本の震災復興と原発事故からの立て直し。二つは、欧州発の金融混乱を引き金にした世界恐慌の恐れがあることだ。そういう中で、今年はアメリカ、フランス、ロシアの大統領選挙、アジアでは中国の指導者交代、韓国の大統領選があり、世界の指導者が選挙に追われて、危機乗り切りのための強いリーダーシップを発揮し難い状況にある。
 その国際社会に、日本がTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)参加と消費税増税を国際公約として掲げることが、世界危機に対する有効な方策になるのか。
 TPP問題ひとつとっても、野田首相にまとめられるとは思えない。なぜなら、TPPは突き詰めればアメリカ中心の国際社会のままでいくのか、それとも大きな枠組みを変えることになるのかという、優れて文明論の岐路に立つ問題だからだ。そういう国家、政治の世界観が問われている自覚はこの政権には窺えないばかりか、与党内政局の混乱が増幅する気配である。
 小沢が答える-----。
小沢:アメリカと対等に交渉する能力があるなら、別にTPPは心配ない。だけれども、今の政府は対等に交渉なんかできない、結局アメリカに言われるままになっちゃうんだろう、というのが国民の不安です。
 TPPだけじゃなく、沖縄の普天間基地をはじめとする安全保障問題だろうが、全部同じなんです。経済問題も同じ。とにかく日本人は自立しなきゃいけない。まして政府はきちんと日本の国益を主張できなきゃいかんということですよ。
---TPP参加論者たちは、小沢さんはもともと市場開放論者だったじゃないかという物言いをする。
小沢:そう。僕は解放論者ですよ。
---かつてもウルグアイ・ラウンド(※注1)の時も、いち早く開放して有利な交渉権を獲得しようとした。
  〈※注1/1986〜95年にかけて行われた農産物、サービス貿易分野を中心とする多国間貿易交渉。自民党政権から交渉を引き継いだ細川政権は93年、コメに高い関税をかける代わりに一定量を輸入する部分開放を決断。国内農業対策として10年間で6兆100億円の対策費が支出された。〉
小沢:僕はそう主張した。だけど、日本政府はそれを言えなかったわけだ。あの時は自民党内で話が全部でき上がっていた後だから、そこから動かす余地はあまりなかったんだけれども、僕は自由貿易に原則賛成した上で交渉すればいいという意見だった。今だって政府に交渉能力があるんだったら何も心配ないです。
---しかし・・・。
小沢:ないから、心配になる。
---アメリカの言いなりになると、どういう問題が考えられるか。
小沢:協定書に載っている通りですよ。23分野(※注2)かな。でも、実はマスコミが一番騒いでいる農業なんて、アメリカにとっては大したことではないんですよ。
  〈※注2/TPP協定の交渉には農業、金融、電気通信、政府調達、環境など23分野の作業部会が設けられている(主席交渉官会議を含めると24部会、21分野とする数え方もある)。〉
---それでアメリカが儲かるなんてことはない。
小沢:日本の農林水産業の年間総生産高は13兆円です。だから、金額だけでいえばたいしたことない。ただし、それに関わってる日本の農家は直接的な打撃を受ける。その対策は十分に講じなければならない。
 でも、アメリカの狙いはそれじゃないんです。案の定、アメリカは挙げてきたでしょう。郵貯とか医療とかですよ。アメリカは自分の都合のいいところの規制撤廃を求めてくる。既にその国の市場に入り込んでいる分野は黙っている。
---実際、牛肉などはオーストラリアの方がアメリカより全然安い。
小沢:日本の牛肉だってちゃんと売れている。今は放射能問題があったりするけれど、アメリカ産とは肉の質が違うからね。
 市場開放に備えるためにも、国内対策として農業戸別所得補償の創設をマニフェストに入れた。その対策をきちんとやれば、農業はやっていけるんです。けれども、ノーガードでTPPに参加したら、もろに生産者にしわ寄せがいく。
---先を見据えて農業戸別所得補償制度も考えて政権政策の基本にしたのに、それを棚上げにした。TPP参加の手順が何もない。
小沢:何を考えているんだか、わからないですね。
日米は本当に同盟といえるのか
---憲法の前文には、「国際社会において、名誉ある地位を占めたい」という一節がある。しかし、TPP論者の主張は、欧米依存症ないしはアメリカ恐怖症の人たちが煽っている印象だ。対米、対中の狭間でどちらつかずで揺れたまま。結局、両方に相手にされなくなる。
小沢:アメリカだってもうイライラして、日本なんか相手にしてない。だから、たとえばTPPでも「野田首相はオバマ大統領にこう言った」とアメリカが発表したでしょう。すると、日本政府は「そんなこと言っていない」なんて言う。(※注3)
  〈※注3/昨年11月の日米首脳会談後、米政府は「野田首相がTPPについて『すべての物品及びサービスを貿易自由化交渉のテーブルに載せる』と述べたと発表した。これが日本国内で批判されると、日本政府は発言内容を「事実無根」と否定したが、米大統領副報道官は「米国の声明は正しい」と訂正する考えはないことを明言した。〉
 この日本の二枚舌が、アメリカ政府にしてみれば「なんだあの野郎、ふざけるな」となり、日本国内でも一体どっちなんだという混乱、不信を招いてしまう。
 今までずっとそういう手法でやってきたんだけれど、そういう二枚舌、中途半端が一番いけない。
---特に民主党政権で目立つのは、国際公約を乱発する手法です。国際交渉の経験がない人ほど外圧を怖がって、その場しのぎの発言をしている。
小沢:TPPや消費税増税の話ですね。普天間の問題だって、もう15〜20年ぐらいになるでしょう。その間、日本は問題を解決する方法をなにも提示していない。だから、アメリカだって頭にくるに決まってますよ。
 海兵隊は撤退してくれ、沖縄のきれいな海は埋められませんというのは当然です。その代わり、撤退することで生じる(日米安保の)空白はどうするのかを議論しなきゃ解決できない。日本ができることはやりますと言わなければならない。
 沖縄は日本の領土じゃないですか。極東の安全と対中脅威論からいえば、琉球列島は非常に重要な海洋線になる。そこは日本がちゃんと守りますと言えばいい。それから、有事や非常時の情報収集やアメリカ軍との連携に必要な設備の設置とか、日米両国の世界戦略的な話をすれば、アメリカだって納得する。
 それを全然なにも言わないで、なにもかもアメリカにおんぶに抱っこしようとする。嫌なことはなにもしたくないというのではだめですよ。
---あなたは国際社会を見る政治家の視点として、「日米中正三角形論」を唱えてきた。最近、TPPの旗振り役の与党幹部が、「そんなことは有り得ない」と批判していた。
小沢:日本の世界戦略なんて考えたことがないんだろうなあ。(苦笑)
 中国は日米同盟関係についてはなにも文句は言わないです。だから、日米同盟は中国など気にせずにやればいい。ただし、その日米同盟は本当に同盟といえるものなのかということを、僕はずっと言ってきた。同盟関係じゃないんじゃないか。
 日米にもし健全な同盟関係ができたとしても、中国は文句を言ってこない。一方、中国は歴史的にアメリカの十倍以上も長く付き合っているんだから、大事な国であることは間違いない。日米同盟と日中の友好親善はなにも矛盾しない。中国はちゃんとわかってますよ。
---あなたは毎年、長城計画で日中、ジョン万次郎の会(※注4)で日米の草の根交流を続けている。なにもやってない人が陰口を言う。
   〈※注4/小沢氏は自民党時代から日米、日中間の草の根交流事業を行っている。「ジョン万次郎の会」(90年〜)では、日米両国で毎年交互に「日米草の根交流サミット」を開催。「長城計画(86年〜)では、両国の若者の相互訪問や中国からのホームステイ受け入れを実施している。〉
小沢:困ったもんです。アメリカも苛立っている。野田さんの訪米も延期になった。中国だって相手にしないでしょう。あの人は今までなにを言ってきたんだという感じで見ていますね。
不景気にはむしろ減税すべき
---経済危機の中で国民に増税や重税を強いるというのは、戦前の世界恐慌で政府が金解禁など政策を誤って昭和恐慌を招いた歴史の失敗を繰り返す。
小沢:このままやればそうなる。もしやったら大変なことになる。2012年は絶対に深刻な不景気です。
---世界経済は非常に厳しくなる。
小沢:一般論で考えて、豊かな生活を体験した欧州の国民がレベルをダウンするというのは、経済が破綻するまで無理です。ということは、財政再建はできない。
 日本だって、原発事故で電気を節約するといったって、生活レベルを下げて電気製品を使わなくなるわけじゃないでしょう。今は所得が減っているから買い物を控えているだけでね。
---不景気のとき減税をしなきゃいけないという考えは今も変わらないか。
小沢:やるとすれば減税ですね。あるいはもっと財政出動をしなきゃいけないかもしれない。すでにいった、原発の封じ込め(人間・小沢一郎 前篇参照)、何十兆円かかったってやらなきゃいけない。
---93年の『日本改造計画』でも、新進党、自由党の選挙公約でも、一貫して所得税・住民税を半減して経済を変えると唱えてきた。
小沢:だから所得税を少しずつ下げてきたけれども、その分住民税をばーんと上げた。だからお年寄りは困っている。政府がそういう姑息なことをやる。それで政治が不信を買うんです。
---今の日本の危機の根源は、政治が国民の信頼を失っていることにある。民主党政権の姿形、とりわけこの2代(菅直人、野田佳彦)は非常にみっともないようにみえる。
小沢:そうだね・・・。いや、あまり肯定するわけにもいかんけれど(笑)。
---これほど政権公約を変質させたり、反故にしたりすれば、外国であれば政権が一日ももたない。
小沢:日本では市民のパワーが政治の転換に結び付かない。しかし、2年前の総選挙で一歩を踏み出したから、今度は勇気を持ってやると思う。今のままでは民主党は次の総選挙で手痛いしっぺ返しを食らうよ。
---しかし、有権者に選択肢がない。自民党といわれても・・・。
小沢:だから僕は、カオスの状態になるといっている。過半数を取れる政党がなく、政治がゴチャゴチャになっているときに大不況になってみなさい。もう悲劇ですよ。そうなると日本人はすぐに情緒的に走るから、過激な議論になっちゃう。
 たとえば田母神俊雄氏の議論(※注5)もそうでしょう。僕は彼の言ってることがすべて間違いというわけではないが、軍人としていうべき話じゃないと思う。けれども、ああいう真面目に考える人ほど過激な議論をする。だから非常に憂慮すべき事態だと思う。
  〈※注5/2008年10月、現職の航空幕僚長だった田母神俊雄氏が論文で「大東亜戦争は侵略戦争ではない」「自衛隊は領域の警備もできない、集団自衛権も行使できない」など、従来の政府見解や憲法解釈を否定、批判した問題。田母神氏は航空幕僚長を解任され、その3日後に退官した。〉
---与野党の政治家、特に党幹部や政権中枢の人がもっともらしく財政再建を至上命題にして、「子孫にツケを残すな」という言い方をする。それを言う前に、政府や役所の無駄の排除、そして官僚利権の温床に命懸けで切り込むべきなのに、官僚と闘う覇気もない。財政再建論というのは、行政利権の聖域を死守しようとする官僚との闘いに臆した政治家の、持ちつ持たれつの方便、黙契ではないか。
小沢:論理的に詰めるとそうなるけれども、僕は(政権交代して)急に偉くなった人たちがみんな、基礎的な訓練をしていないからだと思う。政策であれ、政府内の調整であれ、外交であれ、基礎的な訓練をしていないから自分で判断ができない。同情的に言えばね。
---ずいぶん優しい。(笑)
小沢:だから、官僚と結託して自分も利権を拡大しようなんて、大それたことを考えるほどではないと思う。どうしたらいいかがわからないんですよ。
渡辺:まだ政権の日が浅いからか。それとも人の問題か。
小沢:(即答)人だね。
---自民党には、そうした訓練の場やシステムがあったということか。
小沢:でも、今はないようだね。時々、自民党の古い連中が言うんですよ。「我が党も民主党と一緒になってしまった」ってね。(笑)
---政権党時代の自民党にはそれがあった。
小沢:良くも悪くも、だけれどもね。僕らも当選したときは、4、5期生の人がああだこうだと教えてくれた。民主党にはそれがまったくない。今の自民党も一緒だね。
---あなたが一人前の政治家になったと感じたのはいつ頃だったか。
小沢:自信がついたのは、自民党の総務局長と衆議院の議運委員長として党務や国会活動を経験してからですね。そして役人に驚かなくなった。中央省庁の役人は、課長で何百億円って金(予算)を動かす。最初、新人議員の頃は、本当に偉い人たちだと思ったよ。
 今の1期生や2期生が役人に頭が上がらないのも無理はない。それを払拭するには時間がかかります。
---それが基礎的な訓練。
小沢:そう。僕は総務局長や議運委員長になるまでに、初当選から15年ぐらいだった。それでいくと民主党は若いんですよ。
僕は政権交代の生贄でもある
---こんな見方はどうか。今の政府・与党中枢には、小泉路線に郷愁を抱く政治家が少なくない。小泉政権時代に議員になった者も多く、彼らは小泉内閣の親米外交、アメリカの対テロ戦争支持に事実上協力し、いうなれば小泉氏にかわいがられた関係にあった。しかし、あなたは対テロ戦争、自衛隊派遣に反対し、小泉内閣の格差拡大政策を厳しく批判して、いわば小泉氏とは政治的に対極関係にあった。小泉氏は04年の年金制度改革の際、国民に年金保険料アップと支給額2割カットを押し付けて、これで百年安心の年金制度だと説明した。その裏で、年金債務が膨らんで550兆円になっている。消費税増税に年金財政の累積債務解消の狙いが含まれていることはすでに伺ったが(人間・小沢一郎 前篇参照)TPP参加問題も含めて、現在の民主党政権は、形を変えた小泉路線の踏襲ではないかとさえ思う。
小沢:小泉氏も明確な政策があったわけではない。彼はそのときどきの判断でエイヤッとやるから何の論理もない。だから「自衛隊の行くところが安全なところだ」なんて、でたらめを平気で言える。度胸があるといえばあるし、他人から何を言われようが平気の平左だ。
 ただ、小泉・竹中改革と呼ばれるものは小泉氏や竹中氏の発想だけで出たわけではない。政界だけじゃなくて、官界や経済界にも小泉流の新自由主義に賛成する人がいたから、エイヤッでやることができたんじゃないかな。
---その勢力は現在も健在だ。民主党内の小沢路線と、政府・与党内に沈殿している小泉路線との二重構造が排除、解消されない限り、早晩、政権は政策的に立ち行かなくなる。
小沢:僕の主張を批判する人たちはなにもわかっていないんです。じゃあ、あんたはどういう政策なんだ、僕の路線や哲学とは何なんだ、小泉改革とは何なんだ、ということが全然わかっていないでしょう。そんな人たちをまともに相手にしたってしょうがない。
 ただ、小泉氏は主張する能力はあったから、その意味で僕は彼の資質を認めるんです。けれども、彼は、向米、親米で、僕が反米だとかいう種類の表面的な論評は馬鹿げているね。
---小泉路線に郷愁を抱く人たちは、政権交代まではあなたの訴えた政治主導、「国民生活が第一。」の理念に従った。しかし政権をとると、次第に政策の転換を図り、いわゆる「政治とカネ」を奇貨(きか)として、あなたを政治的に封じ込めた。
小沢:僕の問題は僕個人のことじゃないんです。それは政権交代の生贄でもあるし、権力闘争の結末でもあるわけです。僕の問題のように、国家権力が濫用されると大変なことになるということを、政治家はみんな真剣に考えなきゃいけない。検察・法務・司法官僚に狙われたら、明日は我が身なんですからね。
 例えばイギリスでは、国会議員がスパイ容疑で逮捕された時、与野党の議員は、国会議員を何の確証もないのに逮捕するのはけしからんと反対して釈放させた。それほど国民の代表として、民主主義のあり方というものに真剣なんだけれども、日本の場合はそこが全然違います。
 この問題は政権交代の可能性が高いといわれていた09年の総選挙の直前に起きた。現に何の確証もなかったのに、政権交代するであろうとみられている野党第一党の党首に強制捜査をかけたんですよ。こんなことが民主主義社会で許されるはずがない。(犯罪の)確証があれば別ですけれども、結局、検察が2年近く捜査しても何も不正はなかった。それでもなお強制起訴して裁判にかけるというのは、民主主義に対する挑戦、破壊行為です。少なくとも民主主義国家、法治国家では絶対に許されない。
 そこをみなさん考えてください。僕は一生懸命耐えて、頑張るけれども、そんなことを許していたら民主主義が成り立たない。官僚に睨まれた人はみんなおしまいになっちゃう。
---官僚に睨まれた者がそれだけ怖い目に遭うかという話でいえば、アメリカに逆らった政治家は潰されるという言われ方もする。
小沢:そう、それもあるんですよね。
---アメリカに睨まれたから、あなたはこうなったという見方もある。そう感じることはないか。
小沢:そりゃ、ありますよ。それがメインの理由とは思わないけれどもね。アメリカも勝手な国だから、自分の気に沿わないとみんなやっつけちゃう。そういう面はあると思う。今のアメリカ政府の人たちは、多分、僕の真意をわかっていないんじゃないかな。彼らも勉強不足なんです。特にアメリカのキャリア官僚はね。
---アメリカの官僚は、日本の官僚ほど優秀ではないかもしれません。
小沢:日本の官僚はよく指導すれば優秀なんです。放っておくからダメなんだね。
体制が変わると困る大メディア
---あなたは裁判の初公判で、民主主義を踏みにじる日本憲政史上の一大汚点、法治国家で許されない暴力行為だと、強い口調で裁判の打ち切りを主張した。
小沢:冒頭の意見陳述だね。
---怒りの激しさが伝わる内容であったが、党内では「小沢封じ」といい、今度は司法まで加わった小沢攻撃という未だ異常な状態になている。先ほど、生贄という言葉を使ったが、日本の危機を双肩に乗せて裁判を闘っているように見える。
小沢:個人の自立、国家の自立、そして議会制民主主義の定着、それらを実現するためには、僕は屈するわけにはいかない。ここで屈したら、永久に日本に民主主義が定着しない。だから僕は一人の戦いだけれども、最後まで応援してくれる人もいっぱいいるから、頑張らないといけない。それは自分自身のためではなくて、日本の民主主義のためだと思っています。
---日本分析が鋭いオランダ人ジャーナリストのK・V・ウォルフレン氏は、こうした一政治家に対する執拗な攻撃は世界でも例を見ない「人物破壊」だと看破している。世界の人たちは、この小沢裁判を日本の民主主義、議会主義、法治主義の程度を量る尺度として見ているのではないか。
小沢:そう思いますね。日本は果たして民主主義国家なのかという疑いの目をもって見ています。
---いわゆる既得権益派には、あなたがいくら無罪を主張しようと、最高裁まで引っ張って政治的な動きを封じてしまえという魂胆があるかもしれない。世界に誰がこの異常さを説明するのか。
小沢:このまま推移すれば、やっぱり日本自身が天罰を受ける。それは仕方がない。国民が自ら立ち上がらなきゃどうしようもないことですからね。リビアやシリアとは違って、日本では立ち上がったからといって殺されるわけじゃないでしょう。本当におかしいと思ったら、僕のような政治的なケースの問題も、あるいは原発の問題でも、やっぱり国民みんなが立ち上がらないといけないと思う。
---大メディアは、ロシアで何百人がデモしたとかは報じても、あなたの真意を理解しよう、支持しようという人たちが全国各地で千人を超えるデモをしても、1行も書かないで無視する。
小沢:そうなんだよね。
---新聞がそうした民主主義の危機を伝えず、封印していることが問題だ。
小沢:大新聞、テレビというのは旧体制の中でも、一番既得権益を持っているところだから、今の体制を変えられるのは怖いんですよ。だから、小沢一郎は抹殺しろとなっちゃうわけです。
---政治と司法、メディアの人物破壊がいかに熾烈であろうとも、この戦いの審判というのは、究極、国民自身が下すしかない。
小沢:国民の公正で冷静な判断があってこその民主主義です。それがないと民主主義は根底から成り立たないのです。
                *
 本誌の小沢一郎インタビューは1990年11月、若き自民党幹事長当時を第1回目として以来、足掛け23年間、本号で22回目を数える。その間、小沢氏は与党にあっても野党に転じても日本政治の渦中に身を置き、名実共に中枢政治家として一本道を歩んできた。ざっと160ページ、23万文字。終始、国の在り方、政治が何をすべきか、日本の自由と民主主義の成熟を願う一念を熱く語り続けてきた。
 順風と逆風が激しく交錯し、毀誉褒貶(きよほうへん)の定かならぬのも余年変わらないとはいえ、世界経済が危機にある中、その政治人生の夢と希望を賭けた政権交代が国民の願いに反してよたりへたりする姿に、罵声をぶつけ、地団駄踏む音がびんびんと聞こえるようなインタビューだった。(このインタビューは2011年12月14日に行われた)  *リンクは来栖

                                         
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小沢一郎氏 2012年は最後のご奉公、文字通り「最後」と語る/人間・小沢一郎「最後の大構想」 前篇 2011-12-29 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア  
『誰が小沢一郎を殺すのか?』の著者カレル・ヴァン・ウォルフレン氏と小沢一郎氏が対談〈全文書き起こし〉2011-07-30 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
カレル・ヴァン・ウォルフレン氏は小沢一郎裁判をどう見ているのか2011-10-27 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア )
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小沢一郎元代表の「暗黒裁判」は、米CIAと東京地検特捜部、マスメディアの共謀共同事件だ2011-10-07 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
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小沢一郎氏 初公判 全発言/『誰が小沢一郎を殺すのか?』2011-10-06 | 政治/検察/メディア/小沢一郎 
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小沢一郎が語った「原発/国家のリーダー(衆愚の中からは衆愚しか)/マスコミは日本人の悪いところの典型」2011-09-19 | 政治/検察/メディア/小沢一郎                   

小沢一郎氏/政界再編に動く覚悟「日本の政治、カオスになる状況だけは絶対に避けなければいけない」

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小沢一郎元代表 大いに語る「野田じゃダメだ」「政界再編に動く」覚悟
日刊ゲンダイ2012年1月4日 掲載
この年だけど、黙ってみているわけにはいかない <2012年は世界中がカオスになる>
  2012年はどういう年になるのか。世界恐慌の足音は日増しに高まっているし、消費税増税に入れ込む野田政権はひたすら、自爆の道を突き進んでいる。未曽有の政治的混乱は避けようがなく、どう考えてもロクな年になりそうにないのだが、小沢一郎・元民主党代表の「見立て」も同じだった。「カオス」の年の“展望”と“覚悟”を聞いてみた。
  今年は何が起こるのか。こう問うと、小沢はいきなり、「マヤ暦を研究した方がいいんじゃないか」と言った。
  マヤ暦とは2012年に人類が滅亡するという終末論のひとつだ。もちろん、小沢は象徴的な意味合いで「マヤ暦」を持ち出したのだが、実際、大混乱の年になりそうだ。
 〈だって、世界中の指導者が代わる可能性があるわけでしょう。アメリカ、フランス、ロシア、韓国は大統領選挙があるし、中国は国家主席が代わる。EUもグチャグチャでしょう。世界中がカオスの年になる。もちろん日本も例外ではありません〉
  こう言う小沢は、具体的に政局のシミュレーションを語り始めた。
 〈国会議員はみんな正月に地元に帰った。消費税増税や年金問題について、散々怒られて帰ってくると思う。野田政権は政権発足後、毎月、10%ずつ支持率が落ちている。そういう政権が消費税増税を打ち出した結果、どうなるか。僕は、本当の世論は大新聞の世論調査結果よりもはるかに厳しいと思っています。それを国会議員たちは実感して国会に帰ってくる。その頃、新聞にはもっと厳しい野田内閣の支持率が出る。この調子で下がれば、1月は20%になっているかもしれない。現実はもっと厳しいから、ほとんど支持者がいない状況です。そんな時に選挙になったら、民主党はほぼ全滅ですよ。かといって、自民党も過半数を得られない。今年は選挙の年になるとみていますが、このままでは、自民も民主も安定した政権をつくれません〉
  政治は何も決められずに漂流していく。小沢は、「それを避けるために、野田政権は確固たる信念を持ち、政権交代の原点に戻るべきだ」と言う。しかし、それができれば苦労はしない。野田が原点回帰などやるわけがない。その時は、党分裂、政界再編の動きにならざるを得ないのではないか。
 <消費税増税に国民は賛成するか?>
 〈「国民の生活が第一」という民主党政権の原点を野田政権が忘却のかなたに追いやるなら、国民サイドから動きが起きてくると思います。正月早々消費税増税の路線を明確にした場合、国民は“よかった”と言うだろうか。政権運営は極めて難しくなる。その場合、あらゆる選択肢があります。せっかく政権交代したのに、このままではオシマイ、全員アウト。そういう状況になった時は、民主党内も野田政権ではダメだ、となるんじゃないか〉
  小沢氏はそう言ったうえで、付け加えた。
 〈世界が混乱する中で、日本の政治もカオスになる状況だけは絶対に避けなければいけない。僕は、民主党が潰れても、自民党なり他の政党が安定した政権をつくってくれるのであれば、心配はしない。しかし、そうならないのなら、この年だけれど、もうひと働きしなきゃいけない。このまま日本がカオスになり、泥沼に落ち込むのを黙って見ているわけにはいかない。過半数をとって安定する政権、体制を考えなければいけないと思う〉
  安定政権とは衆参で過半数を得ている政権を指す。小沢はそれを目指すという。つまり、政界再編だ。小沢は民主党の惨敗、自民党のメルトダウンを見越している。その前後に、政界再編の流れが出てくる。その時のリーダーは誰なのか。
 〈きちんと自分の政治理念を掲げ、自分の責任でそれを訴え、自ら決断、実行していくリーダーです。ただし、その理念には高い見識と志が不可欠。ただ、郵政改革だけすればいい、といった次元ではない。日本をつくり替える理念です。今は平時ではない。真のリーダーが必要なのだが、なかなかいないですね〉
  自身が先頭に立つ覚悟を固めているのは間違いない。裁判は1月に小沢自身への質問が行われる。「春に晴れて無罪になったら動く?」と聞いたらこう言った。
 〈世界も日本も僕の裁判とは関係なく進んでいく〉
  大政局は春まで待たずに動き出す。

小沢一郎/「今年は選挙になる。俺は、やる」TPP、大不況、安全保障、裁かれる不条理/[最後の大構想]後編2012-01-06 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア 
  小沢一郎「最後の大構想」後編 週刊ポスト2012/01/13・20号
小沢一郎氏 2012年は最後のご奉公、文字通り「最後」と語る/人間・小沢一郎「最後の大構想」前篇 2011-12-29 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
【小沢一郎インタビュー】野田政権の出方次第で「ありとあらゆる選択肢がある」2012-01-04 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア

小沢一郎氏「お見舞いに歩くのが政治家の仕事なのか?お悔やみを申し上げるのが政治家の仕事なのか?」2012-01-05 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア 
 小沢・民主元代表:東日本大震災後、初の沿岸訪問 「頼もしい」「今更」 住民、期待や不満 /岩手
 震災後初となった小沢一郎・民主党元代表の3日の沿岸訪問。被災地の住人からは「頼もしい」といった期待や、「今更来ても遅い」といった不満が入り交じる声が上がった。
 小沢元代表はこの日、達増拓也知事や県選出の国会議員らと共に、久慈から陸前高田まで沿岸5市で開かれた同党県連の緊急役員会に出席。宮古市では「私たちの主張した地域主権が(政権交代から)2年余たっても、まだ緒にも就いていない」と持論を展開。「皆さんの抱えた課題を解決するには、本来我々の掲げた政策理念を実行しなければいけない」と訴えた。
 夫婦で参加していた、宮古市大通の無職、伊藤隆さん(75)は「小沢さんのように力のある政治家がいて頼もしい。予算を確保して、復興が進むよう国に働きかけてほしい」と期待を込めた。
 小沢元代表は夕方には、陸前高田市竹駒町の仮設住宅を訪問。集会場に集まった約30人の住人を前に「皆さんの生活を一日でも早く元に戻せるよう全力で頑張っていく」と力を込めると、記念写真を求められるなど歓迎を受けた。
 一方で、住人の女性(58)は「今更来ても遅い。震災直後の惨状を見れば、党内で足の引っ張り合いをしてる場合じゃないと気づいてもらえたはず」と不満を漏らした。【宮崎隆】
毎日新聞 2012年1月4日 地方版
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〈来栖の独白2012/01/04 Wed.〉
 東日本大震災と政局ということについて、短く感じたことを述べてみたい。
 昨年の民主党代表選、或いは先ごろの多数の民主党議員の離党・新党結成の折、「東日本で被災して多くの国民が苦しんでいるときに、政治家は、勢力・権力争いに明け暮れて・・・」との批判をメディア上で何度も目にした。上の記事でも、「今更来ても遅い。震災直後の惨状を見れば、党内で足の引っ張り合いをしてる場合じゃないと気づいてもらえたはず」と不満を漏らす女性の声が載っている。生活に切羽詰った被災者たちの感情として当然かなとも思うが、果たして、そうか。いや、これほどに困窮を極めた今日だからこそ、政治にしっかりしてもらわなくてはいけないのではないか。そんな気がする。
 小沢一郎さんは、以下(↓)のように言う。以下のように言いながら、小沢一郎という政治家のやさしさ、熱さは、公判を含めた過密日程の間隙を縫って被災地を訪れた。
 “マスコミ自体も、政治が何をすべきか、政治家が何をすべきかと(報じない)。お見舞いに現地を歩くのが政治家の仕事なのか? お悔やみを申し上げるのが政治家の仕事なのか? というふうに私はあえて憎まれ口をきくけれど、やはり政治の役割というのは、そういうことではないと思う。このような深刻な事態をどのようにして克服していくか、そのためには政治の体制はどうあるべきなのか、政治家はどうあるべきなのかと考えるのが、本当に国民のための政治家のあり方だと私は思っている。そういう意味で、今後もいろいろとご批判は頂きながらも、私の信念は変わらないので、その方向で頑張りたいと思う。”
 これは、媚びない姿勢がなくては言えない言葉だろう。またその前提として、日々の生活に窮する民の惨状を知り、それゆえに、政治の果たす役割が「国民の生活が第一。」と見極めた確かな眼がなくては、言えない言葉だと思う。確かな眼とは、「本物の政治家の眼」ということだ。
 当然のように、このような政治家が国民に理解されることは稀である。剛腕などと云われ、嫌われる。「災害があればいち早く現地に駆けつける」という動きの良さもないので、不可解である。ポピュリズムとは対極にある。
 この種の政治家は、国民からの人気がないばかりではない。既得権益といった旧弊にとらわれないので、官僚からも嫌われる。おまけに要領が悪いゆえ、エンタメ(メディア)に貢献するところなく、嫌われる。
 国民(検審)・官僚・メディアから嫌われれば、行き着く先は決まっていよう。かくて小沢一郎氏は、地元から帰京すれば、10日、11日の裁判(東京地裁 公判)が待っている。被告人質問である。
 東日本大震災という未曽有の苦難のなかで、この国はかくも、有為な政治家の手足を縛った。
 ところで、ここからは余談になるので後日に稿を改めたいと思うが、昨年より深く憂慮している一事がある。4月にも判決といわれている、小沢一郎さんの裁判である。
 陸山会事件登石郁郎裁判長の判決で思い知らされたが、裁判長には裁判長で、縛りがかけられているということだ。登石裁判長の下した判決は、郷原信郎氏のような専門家は無論のこと、私のような素人がみても、おかしな判決だった。なぜ、このような恥ずべき判決文を書かなければならなかったのか。まかり通ったのか。
 新藤宗幸氏はその著『司法官僚』〔裁判所の権力者たち〕(岩波新書)の中で、次のようにいう。
“司法官僚は全国の判決や訴訟指揮の情報を集める。それをもとに行使される人事権は全国3500名の裁判官たちに絶大な影響力をもつ。10年ごとの再任の有無、昇級、転勤を司法官僚が決める。事務総局が召集する「合同」と呼ばれる研究会も下級審の裁判内容を遠隔操作する結果を生む。
 裁判とは社会で周縁においやられた人々の、尊厳回復の最後の機会である。必死の訴えをする人々に遭遇したとき、裁判官は全人格的判断をもって救済に当たるべきだ。しかし、人々の目にふれぬところで、裁判官の内面までゆがめ、その存在理由をあやうくしているシステムがあるのだとすれば大問題である。
 政権交代とは闇を打破る時代のことであろう。本書の提言にかかる裁判所情報公開法などによって司法の実態にも光が当てられ、真の改革が着手されるべきだ。 ”
 ここでも“官僚”である。上の文脈によれば、小沢氏裁判で「無罪」と書いて大善文男裁判長個人に利するところがあるか。無い(だろう)。地方の簡裁か家庭裁判所へ飛ばされるのがオチであろう。
 前田元検事は「主任検事から『この件は特捜部と小沢の全面戦争だ。小沢をあげられなければ特捜の負けだ』といわれた」と証言している。裁判所にとって、被告人に利するか、はたまた長く利益を分かち合ってきた検察との仲を保つかを天秤にかけるなら、答えは歴然としていよう。
 そのことは、検察と一体となり走狗となって「小沢 クロ」と書いてきたメディアとっても同様である。ここで「小沢 無罪」が出たなら、メディアは、どう書けばいいのか。
 ことほど左様に、司法には司法の事情があり、裁判所と検察には判検(一体)の、検察とメディアには検察とメディアの、それぞれ譲れぬ事情がある。
 深く憂慮に堪えない。小沢氏無罪は、難しい。
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『誰が小沢一郎を殺すのか?』の著者カレル・ヴァン・ウォルフレン氏と小沢一郎氏が対談〈全文書き起こし〉2011-07-30 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア より抜粋
■お悔みを申し上げるのが政治家の仕事なのか?
上杉: まずは「3.11」の震災について、その震災後のことについてお話を頂ければと思う。今ウォルフレンさんからお話いただいたので、小沢さんの方から。「3.11」の国を揺るがすような大震災以降、どうも既存メディアでは小沢さんの影が見えなかったのでは、何もしていないのではないか、という声もあった。果たして小沢さんはどのような活動をされていたのか。「3.11」の発災以降のことも含めて、お話をいただければと思う。
小沢一郎衆院議員(以下、小沢): 今度のいまだかつて経験したことのないような大災害、私も被災県の岩手県の出身だけれども、特に福島県の原発の損壊と放射能汚染の問題、それが非常に深刻な事態だと、私は当初から機会ある度に訴えてきた。このような時にあたって、今ウォルフレンさんが指摘されたが、世界でも非常に評価されるような日本人の長所が発揮されていると同時に、日本人の欠点も露呈されているというのが、正直なところではないかと思っている。長所というのは、それは一般的に言われているように、こんな大災害にもかかわらず、みんな一生懸命力を合わせて復興のために頑張っていること。その忍耐と努力と、そして能力というのは、当然日本人として誇っていいことだと思っている。
 ただ、放射能汚染といういまだかつて(ない)、ある意味においてはチェルノブイリやスリーマイル以上に、非常に大きな危険性を秘めているこの原発の事故と放射能汚染の拡大――。これほどの大きな深刻なことになると、単なる個人的な力の発揮ということ以上に、本来もっと国家として前面に立って、そして英知を集めて思い切って対策を講じていく仕組みと姿勢が必要だと思う。けれども、どうもその意味において、政治の面だけではなくて、一般の国民の中からもそういった強い要求というか、動きというものがなかなか出てこない。まさに非常に日本的な現象だと思っている。ほかの国ならば、こんなに黙って現状を見過ごしているような国民は多分ないだろうと思う。大きな大きな国民運動にまで広がりかねないと思うが、そういう(大きな運動にならない)ところがちょっと日本の国民性というか不思議なところであって、「まあまあ」という中で個人が一生懸命頑張っている。
 上杉さんがマスコミの話をしたけれども、マスコミ自体も、政治が何をすべきか、政治家が何をすべきかと(報じない)。お見舞いに現地を歩くのが政治家の仕事なのか? お悔やみを申し上げるのが政治家の仕事なのか? というふうに私はあえて憎まれ口をきくけれど、やはり政治の役割というのは、そういうことではないと思う。このような深刻な事態をどのようにして克服していくか、そのためには政治の体制はどうあるべきなのか、政治家はどうあるべきなのかと考えるのが、本当に国民のための政治家のあり方だと私は思っている。そういう意味で、今後もいろいろとご批判は頂きながらも、私の信念は変わらないので、その方向で頑張りたいと思う。(中、後段 略)
........................................
検察が不起訴にした政治家を国民の手で強制起訴した事で政治がどのような影響を受けたか噛み締めるべき2012-01-03 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
未曾有の大震災の直前に小沢一郎を排した、この国の不幸/小沢一郎の日本再造計画2011-05-05 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア  
小沢一郎裁判/三権協調・菅政権の有力閣僚・国家権力に寄生する巨大メディア・・・によって2011-12-30 
小沢一郎氏 裁判/大善文男裁判長は将来が約束されたエリート判事 登石郁郎裁判長以上に体制寄り2011-10-06

小沢一郎氏裁判 12回公判/〈NHK 前〉「4億円原資は両親からの不動産や現金の相続、印税、議員報酬」

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小沢氏“政治以外は秘書に”
NHKニュース1月10日11時8分
 政治資金を巡って強制的に起訴された、民主党の小沢元代表本人への被告人質問が、東京地方裁判所で行われ、小沢元代表は「政治以外のことはすべて秘書に任せていた」と述べ、収支報告書の作成には関与していなかったと、改めて主張しました。
 民主党の元代表、小沢一郎被告は、資金管理団体が土地を購入する際に提供した4億円を巡り、元秘書らと共謀して、収支報告書にうその記載をしたとして、検察審査会の議決によって強制的に起訴されました。小沢元代表は、去年10月の初公判で無罪を主張し、全面的に争う姿勢を示しています。スーツ姿で法廷に現れた小沢元代表は、裁判長から「水が必要なら言ってください」と言われると、「ありがとうございます」と述べて一礼しました。午前中は弁護団の質問が行われていて、小沢元代表は、ことばを選びながら一つ一つの質問に答えています。この中で小沢元代表は、秘書たちとの日頃の関係について聞かれると、「会社の上司と部下のような関係ではなく、人間の信頼関係で成り立っている。政治活動の手足となって働いてもらうなかで秘密を知ることにもなるので、お互い信頼関係のなかで仕事をしている」と述べました。そのうえで、「政治以外のことはすべて秘書に任せていた。任せた仕事をいちいち検証したり干渉したりしていたら仕事が回らなくなるし、私の関心は天下国家の話であって、それに全力を集中している」と述べ、収支報告書の作成にも関与していなかったと改めて主張しました。
小沢氏裁判(1)秘書との関係は
NHKニュース1月10日11時46分
 政治資金を巡る事件で強制的に起訴された、民主党の小沢元代表本人への被告人質問が、午前10時前から東京地方裁判所で始まりました。濃紺のスーツにネクタイをした小沢元代表は、法廷に入ると裁判官に一礼し、弁護士の横に座りました。まず、小沢元代表の弁護士が秘書との関係について質問しました。法廷での主なやり取りの概要は次のとおりです。
[弁護士]小沢さんにとって、秘書はどのような存在か?どういうことを期待している?
[小沢元代表]政治活動は1人ではできない。手助けをするスタッフが必要です。政治家と秘書との関係は、他の違った世界、例えば官公庁とか民間企業などのように、規律されている関係ではなくて、全く人間の信頼関係で成り立っている。秘書は政治活動の手足となると同時に、機会によっては秘密を知ることになるので、お互い信頼関係のなかで仕事する間柄です。
[弁護士]秘書は政治団体の仕事もするか?
[小沢元代表]はい。
[弁護士]平成16年〜19年ごろ、大久保元秘書を陸山会の会計責任者に選任したのは小沢さんか?
[小沢元代表]年月日までは分かりませんが、そうです。
[弁護士]大久保元秘書は会計に携わっておらず、収支報告書の作成にも関与していなかったのは事実か?
[小沢元代表]そのとおりだと思います。
[弁護士]そのような人を会計責任者にしたことに問題はないのか?
[小沢元代表]責任者にしても問題はない。それは私の事務所だけではない。俗に世間で経理担当とか金庫番と呼ばれる人は多くいるが、私の事務所では、そういう人は40数年経っているが、一人もいません。それは主として金銭の出入り、収入と支出を記載して、1年のまとめを報告するだけの単純な事務作業です。私の事務所では、その時々によって部署替えをしますが、順繰りに経理担当になってもらっていた。法改正で議員本人が代表になり、会計責任者はその次に位するものなので、大体年長者をあてていたので、大久保(元秘書)だったと思います。
[弁護士]秘書の方にはどの程度任せていたのですか?
[小沢元代表]私の仕事のことを言えば、それ以外ということになります。私は専ら政治のことに集中して活動をしていましたから、それ以外の経理の問題であれ、陳情の世話をしたり、連絡をしたりという仕事があるわけですが、地元での私に代わっての政治活動、あとは立場上、自分の選挙というよりも、全国の仲間の応援に行って、少しでも手助けするのと、私の政治の大きな仕事以外はすべて任せておりました。
[弁護士]政治団体のことも任せていたのですか?
[小沢元代表]はい、そうです。
[弁護士]事務的なことでも、重要なことは報告させていたのではないですか?
[小沢元代表]私は、任せたことについては、一切、彼らの自主的判断で仕事をしてもらうようにしています。任せた仕事をいちいち検証し、干渉していたのでは回りませんし、私の関心は、口はばったいですが、天下国家の話でありまして、それに全力を集中する日常を送っているつもりであります。
小沢氏裁判(2)土地取引について
NHKニュース1月10日12時4分
[弁護士]平成16年9月終わりから10月にかけての本件土地取引について、全体としてどの程度の記憶があるのでしょうか?
[小沢元代表]その当時は、秘書の数が外国人も含め、大勢になっていたと思います。さらに、若い人たちが同じくらいの時期に3人くらい結婚するということだったと思います。そういうなかで、彼らの寮も必要だなということで、購入の話が進んだと思います。
[弁護士]その後の契約やお金の支払い登記とかについて記憶はありますか?
[小沢元代表]私は、世田谷区深沢8丁目によい土地が見つかったという報告を受けたと思います。その土地を購入することに合意したと思います。いざ買うという段階になって、大久保元秘書からか石川議員からか、事実関係ははっきりしませんけども、「購入の代金は、全部の政治団体の金を使えばあるが、そうすると団体の政治活動の運営に支障を来します」という話だったと思います。それで、自分の手元の金を用立てようということになったと思います。あとは、売り主とどうするかは、担当のことなので、土地の購入資金がないということに対して、手元の資金を用立てようと思って出した。その段階で、私の行為というか、作業はすべて済んだわけで、その他の実務的なことは、一切、任せておりましたので、分かりません。
[弁護士]土地の購入にいくらかかると聞いていましたか?
[小沢元代表]いくらくらいという明確な数字を、誰が、どう言ったかは分かりませんが、土地を購入し、寮を建てると、建築費を入れると、あらあら4億円くらいと聞いたと思います。
[弁護士]お金を出すとき、どんな情景だったと記憶していますか?
[小沢元代表]それはもう、全く記憶しておりません。たまたま自分自身の手持ちのお金があったので、そうなったと思います。
[弁護士]小沢さんが不動産購入代金を出すのではなく、代金は政治団体が出して、小沢さんは政治団体の運営費を出すということは考えなかったのか。不足する分を出そうとは思わなかったのですか?
[小沢元代表]後になって思えば、そういう選択肢もあったと思います。検察官の事情聴取のときも同じ話がありましたが、言われてみれば、なるほどそうだなと思いましたが、当時はこのくらいだと、じゃあ手元にあるものを用立てようと、単純に思っただけです。
[弁護士]その際、「ちゃんと戻せよ」と言った記憶はありますか?
[小沢元代表]ことばは記憶にないが、政治団体に寄付したわけではないので、いずれ返してもらうというか、戻るのは当然だと思っていたと思います。
[弁護士]資金を用立てる話があったのはいつですか?
[小沢元代表]覚えていません。
[弁護士]平成16年10月ごろではないですか?
[小沢元代表]この公判を通じて、10月うんぬんとあったので、そのころだったかなと思いますが、自分の記憶としては全く分かりません。
[弁護士]売買契約ができたという話は聞きましたか?
[小沢元代表]ありません。
[弁護士]石川議員に現金4億円を手渡したのですか?
[小沢元代表]はい。それは渡したと思います。
[弁護士]資金を出すやり取りからどのくらい経過してから渡したのですか?
[小沢元代表]自分自身の記憶はありません。
[弁護士]石川議員に現金で渡したのですか?
[小沢元代表]現金で所有していたので、現金で渡したと思います。
[弁護士]4億円は、10月12日ころ、元赤坂タワーズで石川議員に渡したのですか?
[小沢元代表]はい。 
小沢氏裁判(3)4億円出どころは
1月10日 13時10分
[弁護士]手元にあった4億の現金は、どういうことから小沢さんの手元に存在したのか?
[小沢元代表]私の場合、現金でずっと以前から所有していました。元の現金の多くは、両親からの不動産と現金の相続により取得したものです。自分で本を出して、印税などの収入もかなり得ました。40数年間、議員報酬も得ていました。自分なりにそれなりの現金を持っていました。
[弁護士]相続した不動産はどこの不動産か?
[小沢元代表]1か所ではなく、40何年も前の個人的なことなので、言う必要もないと思いますが、文京区湯島の自宅、ほかに都内の土地、また、水沢の自宅等々でございます。
[弁護士]湯島の自宅を売って、世田谷のを買って、差額が手元に残ったか?
[小沢元代表]はい。たまたまバブルのはしりで、湯島は母の意向で転居したが、高く売れました。世田谷はまだそれほど高い値段ではなかったので、相当額の資産が残りました。
[弁護士]それの差額は手元に置いていた?
[小沢元代表]はい、あります。
[弁護士]それ以外は?
[小沢元代表]ある銀行に預金していたもので、金融危機のときに解約して、そのときのお金を手元に置いていた。それと合わせて、親から譲り受けたものと合わせて手元に置いていました。
[弁護士]それは、小沢さんがみずから銀行で、それらの資産について精査しようとしましたか?
[小沢元代表]はい。手持ちのお金だったので、この事件が起きて、事情を話すことになったので、手元のものは、客観的に話すことは不可能なので、金融機関に何か記録が残っていないか、調査を要請したが、古いことなので記憶にないと言われた。それでも頼んで、断片的に情報を入手した。しかし、入金出金欄にあるもので、私にも分からないものが多く、金融機関に聞いても分からないことが多かった。また、それでも、最小限自宅の売買で最後に残ったお金は、銀行の帳簿にもあったし、私が病気になったあとに家族名義で作った口座にあったお金は確認できた。それは、世間で知られているものよりも多いものです。
[弁護士]小沢さんはそれらの銀行関係の書類を持っていたんですか?
[小沢元代表]何十年も前のことなので、私の記憶はまったくございません。
[弁護士]検察の捜査でそのようなことを聞かれたか?
[小沢元代表]検察の捜査では、資料だけでなく、銀行なども捜査したような口ぶりだった。それは強制したような感じで言われた。
[弁護士]検察は具体的なことを聞いてきたのですか?
[小沢元代表]どこで受け渡しがあったのかとも聞かれた。最終的に「ここじゃなかったんですか?」などというように、現実に受け渡した行員の話もとってきた、というようなことを言われたので、「ああそうか」と言ったと思います。
[弁護士]検事から、不正に秘匿した金とは、聞かれませんでしたか?
[小沢元代表]ありました。それが目的で聴取をしたと感じました。
[弁護士]金のやり取りについては、いわゆる不正な金が入っていたり、入るあてがあったのではという類の質問をされました?
[小沢元代表]検事はおかしな、ばかげた推論をするものだと思いました。ゼネコンからそのような不正な金は一切もらっていないと言いました。何問か質問がありましたが、私はそんなこと全くありませんと答えました。水谷建設の話も出た記憶がありますが、「私の秘書ももらったこともないと確信しています」と検事にも答えたと記憶しています。
[弁護士]検事が調べても、不正な金が何も出なかったのか?
[小沢元代表]私と家内の資産、ほとんどすべてを調べ尽くしていると感じた。(前田元検事の)証言で、ゼネコンを捜査しても何の不正な金もないと証言しています。いずれにしても、そのような不正な金は一切もらっていないと答えました。私の答えに、検事は特別の反論はありませんでした。
[弁護士]ゼネコンからの金はもらってないのか?
[小沢元代表]はい。
[弁護士]新進党の解体など、政党の離合集散の過程で、残った金が小沢さんの手元に来て、それが4億の原資になったということはあるか?
[小沢元代表]政党の金はすべて公金なので、そのような個人でどうこうできるものではないと思います。
[弁護士]実際は?
[小沢元代表]新進党で100億以上の金があった。各グループ、党は人数に応じて公正に分配しました。
[弁護士]自由党が合併したあとは?
[小沢元代表]持参金を持っての合併でもないという意見があったので、同じ志を持つ同志のために使うことになりました。私自身は個人で一切、手をつけていません。
小沢氏裁判(4)銀行融資について
1月10日 13時45分
[弁護士]4億円を石川議員に渡したあと、平成16年10月29日ころに、石川議員が元赤坂に来て、銀行への融資申込書と手形を持ってきて、署名したということはありますか?
[小沢元代表]はい。署名したことは事実ではありますが、場所はそこじゃなかったかなというイメージです。サインはしました。
[弁護士]場所は?
[小沢元代表]チュリス赤坂ではなかったかなと。また、銀行員も一緒ではなかったかなと。正確ではありませんが。
[弁護士]石川さんは、どのような説明をしていましたか?
[小沢元代表]別に説明はなかったと思います。世田谷区深沢8丁目の土地を購入することだろうと。お互いにそう思っていましたので。私は金を用立てて、土地を買う了解をし、金が足りないというから、手持ちの金を出して、そこで終了。手続きや契約は、すべて担当者の裁量の問題で、そのときも特別な話はしませんでした。
[弁護士]石川さんからことばは?
[小沢元代表]ありません。
[弁護士]銀行関係で必要な書類だとは理解していましたか?
[小沢元代表]それは、金融機関のあれだと。
[弁護士]金額は覚えているか?
[小沢元代表]正確に覚えてないですね。
[弁護士]前の融資とのつながりは?
[小沢元代表]以前も融資の形でやるようにあって、銀行と話がついたんだろうなと思いつき、そのときにも手形を債務者として書いたことがあったと思うので、何の確認もなく、何の疑問も抱きませんでした。
[弁護士]渡した4億円は、どう利用されたと思いますか?
[小沢元代表]任せていたので、どう利用されてもよいのですが。手形に私がサインするということで、融資は私が用立てた4億円を元にしてやるのかなぁと、ほんの軽い認識だったと思います。
[弁護士]預金担保ということは分かっていましたか?
[小沢元代表]たぶんそうかなと感じたということです。
[弁護士]そのときに、石川さんに何のために必要なのかとか、説明を求めたことはないのですか?
[小沢元代表]はい、ありません。私のところには、買うということと、足りなくなるので私が用立てて出したということで、あとは担当者の仕事ですので、彼らから報告もありませんし、私から聞くこともありませんでした。
[弁護士]ほかのことでも報告はないのですか?
[小沢元代表]彼らも、私の関心事はそのようなことではありませんので、私が聞きたがっていることではないという感覚は持っていたと思いますし、任された仕事についての、私の従来からの考えを理解していたと思います。
[弁護士]融資が不動産購入のためのものだと思いましたか?
[小沢元代表]そのことだと思いました。
[弁護士]石川さんがいた時間はどのくらいですか?
[小沢元代表]ほんの一時だったと思います。私がサインして、それで終わりだったと思います。
[弁護士]そのときに、不動産売買について説明は?
[小沢元代表]ありません。
[弁護士]無事決済したとか、登記を延ばすとか、そういう話もなかったですか?
[小沢元代表]はい。それらはすべて彼らの裁量の範囲内でやることですし、私もそう思っていましたから、彼らもそれで進めたと思います。
[弁護士]平成17年10月ごろに、池田元秘書が銀行に対する融資申込書と手形を持ってきて、署名を求めたことはありましたか?
[小沢元代表]その件はまったく覚えておりません。
[弁護士]平成18年に入ってから、銀行からの借り入れの利息について、池田元秘書に尋ねたことはありましたか?
[小沢元代表]そのような経緯はなかったと思います。
[弁護士]利息がもったいないから早く返せと言ったことはありましたか?
[小沢元代表]ないと思います。
[弁護士]収支報告書では、平成17年分について、小沢さんからの借り入れが4億円から2億円に減り、陸山会の定期預金も4億円から2億円に減っていましたが、それは気付いていましたか?
[小沢元代表]いえ、分かりませんでした。
[弁護士]預金担保による融資という方法は知っていましたか?
[小沢元代表]はい。分かっております。
[弁護士]どういうものですか?
[小沢元代表]現実に、金融機関は長い期間のつきあいがある相手なら融資してくれると思いますが、現実には預金担保で融資するのが普通だろうと思っておりました。借りるほうにしてみれば、金利が担保だと安くなるので、そういう理解はしていたと思います。
[弁護士]本件でなぜ定期預金担保にしたかは分かりますか?
[小沢元代表]全く分かりません。
小沢氏裁判(5)虚偽記載の指示は
1月10日 14時38分
[弁護士]収支報告書は3月末に提出するものですが、それを出す前に、小沢さんが見て確認することはありますか?
[小沢元代表]今まで一度もありません。
[弁護士]どうしてですか?
[小沢元代表]基本的には担当者に任せておりまして、彼らがきちんとした報告書を作っていると思っていたからです。もう一つは、最終的には国民に付託されるという意味で重要ですが、収入と支出というものを1年間トータルで報告するだけでいいものでありまして、法廷で専門家の方がおっしゃっていたように、単純なものです。私としては、秘書がそのような事務的なものは完璧にやっていると思っているので、今まで収支報告書を見たことはありません。
[弁護士]収支報告書とは別に、収支を報告させていましたか?
[小沢元代表]原則として、年末にだいたいのトータルのことを報告すると、経理担当者との間でなっていたと思いますが、現実には資料といいますか、数字、資料を持って説明されたということは、石川(議員)の場合もありません。単純な計算でありますので、政治団体がうまくいっているかどうかというたぐいの会話は交わしていると思いますが、その程度のことで毎年終わっていると思います。
[弁護士]石川議員が数字をまとめた資料を作っていましたか?
[小沢元代表]そこまでちゃんとやっていたか、聞いてないから分かりませんでした。本人の証言で、計算していたと聞いたように思いますが。彼らがトータルの計算書を作っていたことは知りませんでした。
[弁護士]本人とは誰ですか?
[小沢元代表]石川(議員)です。
[弁護士]収支報告書を直接見ていないにしても、内容や特別重要なことについて報告させていたのですか?
[小沢元代表]ありません。特別重要なことはありません。収入や支出を1年間まとめて報告するだけですので。
[弁護士]きょうまで一度も説明を受けていないということですか?
[小沢元代表]ありません。
[弁護士]年末に個人的経費を精算するということはありましたか?
[小沢元代表]ありました。
[弁護士]具体的にどのようなものですか?
[小沢元代表]毎日のように会合があったり、出張したりというのがあるので、それは政治団体で公に出してもよいと思うものと、これは個人で出そうというものがあるので、それを政治団体で立て替えていた場合には、年末に個人としての分を政治団体に返還する作業をしていました。
[弁護士]金額はどのくらいですか?
[小沢元代表]1000万前後だったでしょうか。
[弁護士]小沢さんが、石川議員や大久保元秘書、池田元秘書に対して、平成16年分の収支報告書に用立てた4億円を載せないようにと指示をしましたか?
[小沢元代表]ありません。
[弁護士]逆に、石川議員、大久保元秘書、池田元秘書から記載しないでおいたと報告はありましたか?
[小沢元代表]それもありません。
[弁護士]平成16年分の収支報告書に載せないと指示しましたか?
[小沢元代表]ありません。
[弁護士]石川議員、大久保元秘書、池田元秘書から、平成16年の収支報告書には載せず17年にずらしたと報告はありましたか?
[小沢元代表]ありません。
[弁護士]指示や報告はないという証言ですが、それは絶対にないという意味なのか、あったかもしれないが覚えていないという趣旨ですか?
[小沢元代表]ないと思います。

小沢一郎氏裁判 12回公判 NHK全/(1)秘書との関係は〜(11)秘書の裁量
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『小沢一郎 語り尽くす』TPP/消費税/裁判/マスコミ/原発/普天間/尖閣/官僚/後を託すような政治家は 2011-11-20 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
 小沢一郎 すべてを語る TPP、消費税、政治とカネ、原発… 聞き手;鳥越俊太郎(サンデー毎日2011/11/27号)
 「僕なら米国と率直に話し合いをし、普天間問題にケリをつけられる」。意ならずも法廷に立たされた小沢一郎元代表(69)は健在だ。TPPから消費税、原発、あの「4億円」――。?剛腕?とジャーナリスト・鳥越俊太郎氏(71)が縦横無尽に語り尽くす。
 《抜粋》
                        

*マスコミ報道は日本の悲劇だ
鳥越:マスコミからも批判が出ました。ただ、その中でどうしても引っかかるのは(陸山会による土地購入の原資になった)4億円のカネの出所の説明が二転三転していると思えることです。胆沢ダム(岩手県奥州市)建設をめぐり、建設業者からの裏金が渡って原資の一部になった、それがはっきり言えないので説明が二転三転した―― マスコミを含めて、いろいろな人が指摘しています。僕らには真相が分からないのでお聞きしたい。あの4億円の出所、原資は何ですか。
小沢:僕のお金です。今のお話も全部、多分そうじゃないかという類いの話。マスコミも国会も忘れているのは、僕も後援会も秘書たちも、2年近くにわたって国家権力によって強制捜査されているということ。僕の知らないことや忘れたことまで(東京地検特捜部は)全部分かっています。捜査機関が強制捜査したにもかかわらず、不当・違法な金銭の授受はないことが明らかになったんですから、個人が勝手に説明する以上に確かな説明じゃないだろうか。あとはまったくのプライベートな話。何も悪いことがないのにプライベートを全部、説明しなきゃならないという理屈はおかしい。
鳥越:すると4億円の出所についても検察の事情聴取はあったと?
小沢:ぜ〜んぶ(笑)検察は知っています。預金通帳から何から、銀行の原簿まで持っています。強制捜査ですよ、鳥越さん。
鳥越:一部説明をしていましたが、お父さんからの遺産も……。
小沢:もちろんそれもあります。親からの相続は(4億円の中では)大きかった。僕自身だって稼いでいます。印税だけでも1億何千万円もありますし。
鳥越:あの本(『日本改造計画』)は売れましたから。
小沢:本はそれだけじゃないですから(笑)。
鳥越:そこに建設業者からの裏献金が紛れ込んでいることは?
小沢:絶対ありません。第一義的には、後援会のお金と私有財産は絶対混同しないようにずっと心がけてきていますし、もし違法献金があるなら、これだけ調べたら必ず出てくるでしょう。検察は噂の類いから全部、全員を呼んで調べているんですから。それでも出ないんですから。ないものは出るはずがありません。カネがなくなっちゃうということだから、用立てしたということ。
鳥越:そのお金の流れが、何となく不審を感じたところかもしれない。
小沢:「(土地を)買うと、事務所の運転資金、運営費がなくなっちゃう」と。それでは、僕の手持ちのカネを当面、用立てようと。
鳥越:それを抵当にして、また銀行からお金を借りている。
小沢:事務的な話です。(事務所に)まったく任せていますから。強制捜査した結果として何もないにもかかわらず、どうして「違法なカネに違いない」ということが、マスコミをはじめ無関係の人に分かるのでしょう。                            
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この国が恐ろしいのは、総ての権力が同じ方向を向いて走り、正義より自分たちの足元ばかり気にしている点だ2011-10-03
【これでいいのか暗黒ニッポン】秘書3人の「とんでもない有罪判決」に誰もが口をつぐんだ
 ならば、小沢一郎を贈収賄で逮捕したらどうか。秘書3人に対する東京地裁判断によれば、小沢はゼネコン談合の元締めで、見返りに1億円の闇献金を受け取った重罪人だ。しかし、判事も検察も、「アイツは大悪人」と吠え立てる新聞・テレビや野党でさえも、そうはいわない。「法と証拠」に基づく公正な裁判だと誰も信じていないからだ。目的は「小沢の政界退場」のみ。日本は恐ろしい国になった。
*裁判長は「検事の身内」
 小沢一郎・民主党元代表の元秘書3人の判決内容は1週間も前から司法記者クラブにリークされていた。
 「全員有罪で禁固刑が出される。判決文は相当長いものになる」
 という内容で、もちろん政界にも広く伝えられていた。日本の司法が、いかに政治勢力、行政権力、報道権力と癒着し、最初から出来レースで進められているかを示す“証拠”だ。
 情報通り、9月29日、登石郁郎裁判長は3時間以上にわたって判決文を読み上げ、石川知裕被告以下3人全員に執行猶予付きの禁固刑を下した(3人はただちに控訴)。
 「異例の法廷」だった。検察が提出した証拠のうち、石川被告らの調書11通を「不正な取り調べが行われた」と認定して不採用にしており、一時は「無罪判決確実」とみられた。なにしろ、もともと物証のほとんどない裁判で、検察の頼りは、脅しや不正によって作り上げた調書ばかりだったのだから当然である。村木事件で証拠のFDをを改竄して冤罪事件を起した前田恒彦元検事が取り調べを担当し、石川知裕は別の検事が不正な取り調べを行った模様を録音していた。
 この奇怪な判決文を書いた裁判長の経歴に、ヒントがあるかもしれない。
 登石裁判長は93年から3年間、法務省刑事局付検事として勤務した経験を持つ。裁判所と法務・検察の人事交流(判検交流)は毎年、数十人規模で行われており、かねてから「99・9%有罪」という日本の「検察負け知らず裁判」の温床だと批判されてきた。
 そうした声も意識したのだろう。裁判官が法務省に出向する場合、ほとんどが民事局で、刑事局は少ない。法廷で顔を合わす検事と隣の席で仕事をするのは、いかにも癒着に見える。が、登石氏はその数少ない1人だった。その“貴重な人材”が検察の威信をかけた裁判うを担当し、現場の検事からは「これで勝った」と喝采が出たのは偶然なのか。
 結果を見て思えば、登石裁判長は最初から判決を決めていたのではないか。だからこそ証拠不採用で「検察に対しても厳しい姿勢」を演出し、癒着との批判をかわそうと考えたなら筋は通る。
 判決のおかしさは、「小沢は大悪人」と呼ぶマスコミや野党、そして検察にもよくわかっている。だから、はっきりと「談合の見返りに裏献金を受け取った」と認定されているのもかかわらず、これを「贈収賄事件」という者が出てこない。
 新聞の論調も判決直後は威勢がよかったが、その後は「野党が証人喚問を要求」などと、ずいぶん及び腰である。
 「さすがに判決文を読んで、社内やクラブ内でも、これはヤバイんじゃないかという声が多かった。報道も慎重にしている」
 民法司法クラブ記者は声を潜めて語る。そう思うなら、「慎重に小沢批判」ではなく、堂々と裁判所批判」をすればいいが、そんな度胸はどこにもない。
*「同じ罪状」は枚挙に暇なし
 裁判とは、「法と証拠」に基づいて進められるべきものだ。それをしないのは独裁政権か、民主主義以前の社会である。日本はどちらだったのだろうか。
 「法」の観点から、専門家は判決に強い疑義を提起している。
 小林節慶応大学法学部教授(憲法)は刑事裁判の原則に反すると指摘する。
「判決は憲法31条に基づく『推定無罪』の原則をないがしろにしている。今回は逆に、『疑わしい』ことを理由に有罪判決が出ている」
 判決文には「推認される」「〜と見るのが自然」など、裁判官の心証だけで重要な争点が事実と認定されている箇所が非常に多い。
 落合洋司弁護士は、その推定のずさんさに、元検察官らしい視点で大きな危険を見出す。
 「裁判官が石川、池田両被告の調書11通を不採用にしたことで、3被告の共謀を示す証拠と証言が何もなくなった。ところが、判決は『会計責任者だから知っていたはず』『強い関心を持っていたはず』といった程度の推論を重ねて共謀を認定している。『合理的で疑い得ない立証』は不十分です。こういった手法が採用されれば、冤罪が生み出される危険が懸念されます」
 次々と発覚する冤罪事件の共通する原因は、検察の「自白調書主義」と裁判官の「検察絶対ドグマ」だった。それが全く改められなかったのだから、検察関係者たちが「画期的判決」と膝を打ったのも道理だ。
 法律論でいうなら、もうひとつ完全に無視されたのが「法の下の平等」だ。
 公判では、陸山会の土地購入が正しく報告されていたかという容疑(これ自体が形式犯罪でしかないが)とともに、西松建設からのダミー献金事件も併せて審理された。
 ここでも検察側の立証は完全に腰砕けになり、検察自身が証人に立てた西松建設元部長が、「政治団体はダミーではなく実体があった」と証言した。ところが判決は、「政治団体としての実体はなかった」とし、違法献金だったと認定した。
 では百歩譲ってそれが正しいとしよう。
 問題の西松建設の政治団体からは、小沢氏以外にも自民党の森喜朗・元首相、二階俊博・元経済産業相、尾身幸次・元財務相、民主党の山岡賢次・国家公安委員長、国民新党の自見庄三郎・金融相をはじめ多くの政治家が献金やパーティ券購入を受けている。当然、彼らも小沢氏と並んで違法献金を立件されなければならないはずだ。
 ところが検察は、森氏や尾身氏ら自民党実力者には捜査さえ行なわず、二階氏については会計責任者を事情聴取しただけで不起訴にした。
 それに、このケースのような企業や業界が作る政治団体は、どこも同じような運営をしている。これがダミーというなら、恐らく政治家の9割以上が違法献金を受けていることになる。
 また、陸山会(小沢氏の政治資金管理団体)が違法だと断じられた政治団体による不動産取得についても、町村信孝・元官房長官は政治資金で不動産を購入し、堂々と政治資金収支報告書に記載していた。しかも町村氏の場合、買った不動産は後に自宅として格安で買い取ったのである。さらに、みんなの党の江田憲司・幹事長はじめ、素知らぬ顔で小沢批判を繰り返す政治家のなかに、20人以上の「不動産購入者」がいる。
 今回、大問題のように論じられている収支報告書への「期ずれ記載」や「不記載」に至っては、まさに枚挙に暇がない。2011年の政治資金収支報告書の修正は現在までに約500件にも達している。すべて会計責任者を禁固刑にすべきだ。
 そもそも、小沢氏が問われた個人的な運転資金の貸付など、どの政治家も報告書に記載していない。小沢氏だけが正直に書き、それが「書き方が違う」と断罪されているのである。
*「4億円の原資」真相証言
 「証拠」の面では、判決はもっとデタラメだ。
 登石裁判長は、水谷建設から小沢氏側への1億円闇献金を認定した。
 ダム建設工事に参入するため、当時の社長が04年10月5日、石川被告にホテルの喫茶店で5000万円を渡し、さらに05年4月19日に、大久保被告に5000万円を渡したという。
 そう推定された根拠は、当時の社長が「渡した」と証言したことと、当日の喫茶店の領収書があっただけ。一方で、元社長の運転手の業務日誌にはホテルに行った記録はなく、社長から報告を受けていた同社の元会長も、「会社から裏金が出たことは事実だが、渡されたとは確認していない」と証言し、元社長による横領の疑いを強く匂わせた。
 例によって裁判長は、元社長の証言と領収書を「信用できる」、受け取りを否定する被告らの証言は「信用できない」として、あっさり裏金を認定した。
 よく考えてもらいたい。表ざたにできない違法な献金を、社長が1人で紙袋に入れて持っていき、政治家本人もいない、しかも衆人環視の喫茶店で、秘書に「はい、どうぞ」と渡すことなど考えられるだろうか。
 「裏献金を渡す場合、渡すほうも受け取るほうも、カネが行方不明になることを1番恐れる。あとから、“そんなカネは知らん”となっても誰も真相解明できないからだ。だから受け渡しの際には双方とも複数の幹部が同席して秘密を共有し、相互監視する。密室でやることはいうまでもない」
 自民党のベテラン秘書はそう解説する。この通りの場面がバレた珍しいケースが、自民党を揺るがした日歯連事件だった。
 ところで、そもそも検察は、土地購入に充てられたとされる「4億円」の原資に闇献金が含まれていたかどうか立証していない。それなのに地裁が無理に闇献金を認定した理由は、この4億円を「原資を明確に説明することが困難」(判決文)としないと、なぜ収支報告書に記載しなければならないか、という動機が説明できなくなるからだ。
 それにしても、不記載とされたのは「4億円」を借り直したり、返済したりした1部のやり取りだけで、現に報告書には「小澤一郎借入金 4億円」と記載されている。検察や裁判所の見解によれば、小沢氏の事務所では、表に出せないカネを報告書に堂々と記載するのだという。どう繕っても無理筋の解釈なのだ。
 本誌は検察もマスコミも明らかにできなかった4億円の原資について、10年2月12日号で明らかにした。小沢氏の父・佐重喜氏の代から取引していた旧安田信託銀行(現・みずほ信託銀行)神田支店の当時の担当者への直接取材に成功し、小沢氏が父から相続した個人資金を「ビッグ」という貸付信託で運用し、解約時には元利合わせて少なくとも3億6000万円の払い戻しを受けていたという証言を得た。しかも、当時の貸付信託では利息分の記録が残らず、検察が「4億円の原資が足りない」と考えたのは、利息を見落としていたからだろう、というプロならではの指摘もあった。
*小沢の罪状は国家反逆罪か
 今回の事件が小沢事務所ぐるみの贈収賄であるなら、ただちに小沢氏本人を含めて容疑者を逮捕すべきだ。それこそが政治浄化につながる。が、第1章でも触れたように、新聞・テレビもこれが本当に贈収賄だとは思っていない。「ゼネコン裏金 認定」(朝日)などと報じながら、なぜか政治資金規正法違反より重大な公共事業をめぐる贈収賄事件を独自に検証しようとしないのがその証拠だ。
 わかりやすいのがTBSである。同局は検察が小沢氏への事情聴取に乗り出した昨年1月、「ウラ金献金疑惑、居合わせた人物が核心証言」と銘打って、水谷建設元社長が石川被告に5000万円を手渡した場に同席したという人物の証言を“スクープ”した。ところがその後、この証言は2度と放映されていない。以前、本誌が「放映しないのか」と問い質した際も、「何ともいえない」と尻込みした。つまり、ガセネタだという自覚があるのだろう。
 今回、思いがけず裁判所がそれを追認してくれたのだから、今こそTBSは封印した“スクープ”をまた出せばいい。今度はお墨付きがあるのだから、「これが真相だ」と押し切れるかもしれない。が、そうはしようとしない。
 ここに、この事件の最もどす黒い裏がある。
 つまり、マスコミ、政界、そしていまやそれらを完全に掌握してコントロールする霞が関の巨大権力の目的は、政治浄化でもなければ犯罪の立件でもない。「小沢の政界退場」さえ実現できれば、あとはどうでもいいのである。
 新聞や野党の言葉をよく見ればわかる。「小沢は議員辞職せよ」とはいっても、「贈収賄で逮捕せよ」とは決して言わない。小沢氏が、それら既存権力に20年にわたって嫌われ続けてきた経緯と理由は、ここで述べる紙数はない。が、小沢氏を支持する国民も、そうでない国民も、同氏がマスコミ、既存政党、官僚から恐れられ、嫌われていることは否定しないだろう。
 かのロッキード事件での「コーチャン証言」をご記憶だろうか。検察は、田中角栄元首相に賄賂を渡したとされたロッキード社元会長のコーチャン氏に、免責と引き替えに調書を取る「嘱託尋問調書」という超法規的手段を用い、田中氏を有罪に導いた。さすがに最高裁は同調書には証拠能力がないとしたが、田中氏は公判の長期化で復権の機会がないまま死去し、公訴棄却された。
 一方、後に発覚したグラマン事件では、米国証券取引委員会が岸信介元首相、福田赳夫元首相らに賄賂が渡されたことを告発したが、日本の検察は政界捜査を断念した。
 官僚出身で親米派だった岸、福田氏らは当時の「国家権力」にとって重要な人物であり、一方で「叩き上げ」「列島改造」の田中氏は時のエスタブリッシュメントにとっては目障りで、アメリカからも脅威とみられて警戒されていた。
 裁判は「法と証拠」に基づくものだとすでに述べたが、その根拠にあるべき最も重要なものは「正義」である。国家権力が法を曲げて個人に牙をむくことは、あってはならないが起こりうることだ。しかし、先進国家では誰かが「正義」を奉じてそれを暴き、止めようとするものである。
 この国が恐ろしいのは、すべての権力が同じ方向を向いて走り、正義より自分たちの足元ばかり気にしている点だ。これは一政治家に対する好悪、一事件の真偽を超えた問題である。
 恐らく、このような裁判がまかり通り、誰も「おかしい」と口を開かなくなれば、小沢氏自身も「有罪確定」とみて間違いない。その罪状は何だろう。「国家反逆罪」だといわれればわかりやすいが、そんな気の利いた言葉は、荒涼とした今の権力からは出てこない。
 その法廷で裁かれるのは、この国の「正義」なのかもしれない。
※週刊ポスト2011年10月14日号
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ロッキード事件に酷似 陸山会事件公判 (川村尚)証人が具体的に述べれば述べるほど低下するリアリティ2011-04-28 
小沢一郎氏裁判 第4回公判 石川知裕証言 4億円土地購入「新事実」が続々2011-11-02 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア

小沢一郎氏裁判 12回公判 NHK全/(1)秘書との関係は〜(11)秘書の裁量

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小沢氏裁判(1)秘書との関係は
NHKニュース1月10日11時46分
 政治資金を巡る事件で強制的に起訴された、民主党の小沢元代表本人への被告人質問が、午前10時前から東京地方裁判所で始まりました。濃紺のスーツにネクタイをした小沢元代表は、法廷に入ると裁判官に一礼し、弁護士の横に座りました。まず、小沢元代表の弁護士が秘書との関係について質問しました。法廷での主なやり取りの概要は次のとおりです。
[弁護士]小沢さんにとって、秘書はどのような存在か?どういうことを期待している?
[小沢元代表]政治活動は1人ではできない。手助けをするスタッフが必要です。政治家と秘書との関係は、他の違った世界、例えば官公庁とか民間企業などのように、規律されている関係ではなくて、全く人間の信頼関係で成り立っている。秘書は政治活動の手足となると同時に、機会によっては秘密を知ることになるので、お互い信頼関係のなかで仕事する間柄です。
[弁護士]秘書は政治団体の仕事もするか?
[小沢元代表]はい。
[弁護士]平成16年〜19年ごろ、大久保元秘書を陸山会の会計責任者に選任したのは小沢さんか?
[小沢元代表]年月日までは分かりませんが、そうです。
[弁護士]大久保元秘書は会計に携わっておらず、収支報告書の作成にも関与していなかったのは事実か?
[小沢元代表]そのとおりだと思います。
[弁護士]そのような人を会計責任者にしたことに問題はないのか?
[小沢元代表]責任者にしても問題はない。それは私の事務所だけではない。俗に世間で経理担当とか金庫番と呼ばれる人は多くいるが、私の事務所では、そういう人は40数年経っているが、一人もいません。それは主として金銭の出入り、収入と支出を記載して、1年のまとめを報告するだけの単純な事務作業です。私の事務所では、その時々によって部署替えをしますが、順繰りに経理担当になってもらっていた。法改正で議員本人が代表になり、会計責任者はその次に位するものなので、大体年長者をあてていたので、大久保(元秘書)だったと思います。
[弁護士]秘書の方にはどの程度任せていたのですか?
[小沢元代表]私の仕事のことを言えば、それ以外ということになります。私は専ら政治のことに集中して活動をしていましたから、それ以外の経理の問題であれ、陳情の世話をしたり、連絡をしたりという仕事があるわけですが、地元での私に代わっての政治活動、あとは立場上、自分の選挙というよりも、全国の仲間の応援に行って、少しでも手助けするのと、私の政治の大きな仕事以外はすべて任せておりました。
[弁護士]政治団体のことも任せていたのですか?
[小沢元代表]はい、そうです。
[弁護士]事務的なことでも、重要なことは報告させていたのではないですか?
[小沢元代表]私は、任せたことについては、一切、彼らの自主的判断で仕事をしてもらうようにしています。任せた仕事をいちいち検証し、干渉していたのでは回りませんし、私の関心は、口はばったいですが、天下国家の話でありまして、それに全力を集中する日常を送っているつもりであります。
小沢氏裁判(2)土地取引について
NHKニュース1月10日12時4分
[弁護士]平成16年9月終わりから10月にかけての本件土地取引について、全体としてどの程度の記憶があるのでしょうか?
[小沢元代表]その当時は、秘書の数が外国人も含め、大勢になっていたと思います。さらに、若い人たちが同じくらいの時期に3人くらい結婚するということだったと思います。そういうなかで、彼らの寮も必要だなということで、購入の話が進んだと思います。
[弁護士]その後の契約やお金の支払い登記とかについて記憶はありますか?
[小沢元代表]私は、世田谷区深沢8丁目によい土地が見つかったという報告を受けたと思います。その土地を購入することに合意したと思います。いざ買うという段階になって、大久保元秘書からか石川議員からか、事実関係ははっきりしませんけども、「購入の代金は、全部の政治団体の金を使えばあるが、そうすると団体の政治活動の運営に支障を来します」という話だったと思います。それで、自分の手元の金を用立てようということになったと思います。あとは、売り主とどうするかは、担当のことなので、土地の購入資金がないということに対して、手元の資金を用立てようと思って出した。その段階で、私の行為というか、作業はすべて済んだわけで、その他の実務的なことは、一切、任せておりましたので、分かりません。
[弁護士]土地の購入にいくらかかると聞いていましたか?
[小沢元代表]いくらくらいという明確な数字を、誰が、どう言ったかは分かりませんが、土地を購入し、寮を建てると、建築費を入れると、あらあら4億円くらいと聞いたと思います。
[弁護士]お金を出すとき、どんな情景だったと記憶していますか?
[小沢元代表]それはもう、全く記憶しておりません。たまたま自分自身の手持ちのお金があったので、そうなったと思います。
[弁護士]小沢さんが不動産購入代金を出すのではなく、代金は政治団体が出して、小沢さんは政治団体の運営費を出すということは考えなかったのか。不足する分を出そうとは思わなかったのですか?
[小沢元代表]後になって思えば、そういう選択肢もあったと思います。検察官の事情聴取のときも同じ話がありましたが、言われてみれば、なるほどそうだなと思いましたが、当時はこのくらいだと、じゃあ手元にあるものを用立てようと、単純に思っただけです。
[弁護士]その際、「ちゃんと戻せよ」と言った記憶はありますか?
[小沢元代表]ことばは記憶にないが、政治団体に寄付したわけではないので、いずれ返してもらうというか、戻るのは当然だと思っていたと思います。
[弁護士]資金を用立てる話があったのはいつですか?
[小沢元代表]覚えていません。
[弁護士]平成16年10月ごろではないですか?
[小沢元代表]この公判を通じて、10月うんぬんとあったので、そのころだったかなと思いますが、自分の記憶としては全く分かりません。
[弁護士]売買契約ができたという話は聞きましたか?
[小沢元代表]ありません。
[弁護士]石川議員に現金4億円を手渡したのですか?
[小沢元代表]はい。それは渡したと思います。
[弁護士]資金を出すやり取りからどのくらい経過してから渡したのですか?
[小沢元代表]自分自身の記憶はありません。
[弁護士]石川議員に現金で渡したのですか?
[小沢元代表]現金で所有していたので、現金で渡したと思います。
[弁護士]4億円は、10月12日ころ、元赤坂タワーズで石川議員に渡したのですか?
[小沢元代表]はい。 あ
小沢氏裁判(3)4億円出どころは
1月10日 13時10分 
[弁護士]手元にあった4億の現金は、どういうことから小沢さんの手元に存在したのか?
[小沢元代表]私の場合、現金でずっと以前から所有していました。元の現金の多くは、両親からの不動産と現金の相続により取得したものです。自分で本を出して、印税などの収入もかなり得ました。40数年間、議員報酬も得ていました。自分なりにそれなりの現金を持っていました。
[弁護士]相続した不動産はどこの不動産か?
[小沢元代表]1か所ではなく、40何年も前の個人的なことなので、言う必要もないと思いますが、文京区湯島の自宅、ほかに都内の土地、また、水沢の自宅等々でございます。
[弁護士]湯島の自宅を売って、世田谷のを買って、差額が手元に残ったか?
[小沢元代表]はい。たまたまバブルのはしりで、湯島は母の意向で転居したが、高く売れました。世田谷はまだそれほど高い値段ではなかったので、相当額の資産が残りました。
[弁護士]それの差額は手元に置いていた?
[小沢元代表]はい、あります。
[弁護士]それ以外は?
[小沢元代表]ある銀行に預金していたもので、金融危機のときに解約して、そのときのお金を手元に置いていた。それと合わせて、親から譲り受けたものと合わせて手元に置いていました。
[弁護士]それは、小沢さんがみずから銀行で、それらの資産について精査しようとしましたか?
[小沢元代表]はい。手持ちのお金だったので、この事件が起きて、事情を話すことになったので、手元のものは、客観的に話すことは不可能なので、金融機関に何か記録が残っていないか、調査を要請したが、古いことなので記憶にないと言われた。それでも頼んで、断片的に情報を入手した。しかし、入金出金欄にあるもので、私にも分からないものが多く、金融機関に聞いても分からないことが多かった。また、それでも、最小限自宅の売買で最後に残ったお金は、銀行の帳簿にもあったし、私が病気になったあとに家族名義で作った口座にあったお金は確認できた。それは、世間で知られているものよりも多いものです。
[弁護士]小沢さんはそれらの銀行関係の書類を持っていたんですか?
[小沢元代表]何十年も前のことなので、私の記憶はまったくございません。
[弁護士]検察の捜査でそのようなことを聞かれたか?
[小沢元代表]検察の捜査では、資料だけでなく、銀行なども捜査したような口ぶりだった。それは強制したような感じで言われた。
[弁護士]検察は具体的なことを聞いてきたのですか?
[小沢元代表]どこで受け渡しがあったのかとも聞かれた。最終的に「ここじゃなかったんですか?」などというように、現実に受け渡した行員の話もとってきた、というようなことを言われたので、「ああそうか」と言ったと思います。
[弁護士]検事から、不正に秘匿した金とは、聞かれませんでしたか?
[小沢元代表]ありました。それが目的で聴取をしたと感じました。
[弁護士]金のやり取りについては、いわゆる不正な金が入っていたり、入るあてがあったのではという類の質問をされました?
[小沢元代表]検事はおかしな、ばかげた推論をするものだと思いました。ゼネコンからそのような不正な金は一切もらっていないと言いました。何問か質問がありましたが、私はそんなこと全くありませんと答えました。水谷建設の話も出た記憶がありますが、「私の秘書ももらったこともないと確信しています」と検事にも答えたと記憶しています。
[弁護士]検事が調べても、不正な金が何も出なかったのか?
[小沢元代表]私と家内の資産、ほとんどすべてを調べ尽くしていると感じた。(前田元検事の)証言で、ゼネコンを捜査しても何の不正な金もないと証言しています。いずれにしても、そのような不正な金は一切もらっていないと答えました。私の答えに、検事は特別の反論はありませんでした。
[弁護士]ゼネコンからの金はもらってないのか?
[小沢元代表]はい。
[弁護士]新進党の解体など、政党の離合集散の過程で、残った金が小沢さんの手元に来て、それが4億の原資になったということはあるか?
[小沢元代表]政党の金はすべて公金なので、そのような個人でどうこうできるものではないと思います。
[弁護士]実際は?
[小沢元代表]新進党で100億以上の金があった。各グループ、党は人数に応じて公正に分配しました。
[弁護士]自由党が合併したあとは?
[小沢元代表]持参金を持っての合併でもないという意見があったので、同じ志を持つ同志のために使うことになりました。私自身は個人で一切、手をつけていません。
小沢氏裁判(4)銀行融資について
1月10日 13時45分 
[弁護士]4億円を石川議員に渡したあと、平成16年10月29日ころに、石川議員が元赤坂に来て、銀行への融資申込書と手形を持ってきて、署名したということはありますか?
[小沢元代表]はい。署名したことは事実ではありますが、場所はそこじゃなかったかなというイメージです。サインはしました。
[弁護士]場所は?
[小沢元代表]チュリス赤坂ではなかったかなと。また、銀行員も一緒ではなかったかなと。正確ではありませんが。
[弁護士]石川さんは、どのような説明をしていましたか?
[小沢元代表]別に説明はなかったと思います。世田谷区深沢8丁目の土地を購入することだろうと。お互いにそう思っていましたので。私は金を用立てて、土地を買う了解をし、金が足りないというから、手持ちの金を出して、そこで終了。手続きや契約は、すべて担当者の裁量の問題で、そのときも特別な話はしませんでした。
[弁護士]石川さんからことばは?
[小沢元代表]ありません。
[弁護士]銀行関係で必要な書類だとは理解していましたか?
[小沢元代表]それは、金融機関のあれだと。
[弁護士]金額は覚えているか?
[小沢元代表]正確に覚えてないですね。
[弁護士]前の融資とのつながりは?
[小沢元代表]以前も融資の形でやるようにあって、銀行と話がついたんだろうなと思いつき、そのときにも手形を債務者として書いたことがあったと思うので、何の確認もなく、何の疑問も抱きませんでした。
[弁護士]渡した4億円は、どう利用されたと思いますか?
[小沢元代表]任せていたので、どう利用されてもよいのですが。手形に私がサインするということで、融資は私が用立てた4億円を元にしてやるのかなぁと、ほんの軽い認識だったと思います。
[弁護士]預金担保ということは分かっていましたか?
[小沢元代表]たぶんそうかなと感じたということです。
[弁護士]そのときに、石川さんに何のために必要なのかとか、説明を求めたことはないのですか?
[小沢元代表]はい、ありません。私のところには、買うということと、足りなくなるので私が用立てて出したということで、あとは担当者の仕事ですので、彼らから報告もありませんし、私から聞くこともありませんでした。
[弁護士]ほかのことでも報告はないのですか?
[小沢元代表]彼らも、私の関心事はそのようなことではありませんので、私が聞きたがっていることではないという感覚は持っていたと思いますし、任された仕事についての、私の従来からの考えを理解していたと思います。
[弁護士]融資が不動産購入のためのものだと思いましたか?
[小沢元代表]そのことだと思いました。
[弁護士]石川さんがいた時間はどのくらいですか?
[小沢元代表]ほんの一時だったと思います。私がサインして、それで終わりだったと思います。
[弁護士]そのときに、不動産売買について説明は?
[小沢元代表]ありません。
[弁護士]無事決済したとか、登記を延ばすとか、そういう話もなかったですか?
[小沢元代表]はい。それらはすべて彼らの裁量の範囲内でやることですし、私もそう思っていましたから、彼らもそれで進めたと思います。
[弁護士]平成17年10月ごろに、池田元秘書が銀行に対する融資申込書と手形を持ってきて、署名を求めたことはありましたか?
[小沢元代表]その件はまったく覚えておりません。
[弁護士]平成18年に入ってから、銀行からの借り入れの利息について、池田元秘書に尋ねたことはありましたか?
[小沢元代表]そのような経緯はなかったと思います。
[弁護士]利息がもったいないから早く返せと言ったことはありましたか?
[小沢元代表]ないと思います。
[弁護士]収支報告書では、平成17年分について、小沢さんからの借り入れが4億円から2億円に減り、陸山会の定期預金も4億円から2億円に減っていましたが、それは気付いていましたか?
[小沢元代表]いえ、分かりませんでした。
[弁護士]預金担保による融資という方法は知っていましたか?
[小沢元代表]はい。分かっております。
[弁護士]どういうものですか?
[小沢元代表]現実に、金融機関は長い期間のつきあいがある相手なら融資してくれると思いますが、現実には預金担保で融資するのが普通だろうと思っておりました。借りるほうにしてみれば、金利が担保だと安くなるので、そういう理解はしていたと思います。
[弁護士]本件でなぜ定期預金担保にしたかは分かりますか?
[小沢元代表]全く分かりません。
小沢氏裁判(5)虚偽記載の指示は
1月10日 14時38分 
[弁護士]収支報告書は3月末に提出するものですが、それを出す前に、小沢さんが見て確認することはありますか?
[小沢元代表]今まで一度もありません。
[弁護士]どうしてですか?
[小沢元代表]基本的には担当者に任せておりまして、彼らがきちんとした報告書を作っていると思っていたからです。もう一つは、最終的には国民に付託されるという意味で重要ですが、収入と支出というものを1年間トータルで報告するだけでいいものでありまして、法廷で専門家の方がおっしゃっていたように、単純なものです。私としては、秘書がそのような事務的なものは完璧にやっていると思っているので、今まで収支報告書を見たことはありません。
[弁護士]収支報告書とは別に、収支を報告させていましたか?
[小沢元代表]原則として、年末にだいたいのトータルのことを報告すると、経理担当者との間でなっていたと思いますが、現実には資料といいますか、数字、資料を持って説明されたということは、石川(議員)の場合もありません。単純な計算でありますので、政治団体がうまくいっているかどうかというたぐいの会話は交わしていると思いますが、その程度のことで毎年終わっていると思います。
[弁護士]石川議員が数字をまとめた資料を作っていましたか?
[小沢元代表]そこまでちゃんとやっていたか、聞いてないから分かりませんでした。本人の証言で、計算していたと聞いたように思いますが。彼らがトータルの計算書を作っていたことは知りませんでした。
[弁護士]本人とは誰ですか?
[小沢元代表]石川(議員)です。
[弁護士]収支報告書を直接見ていないにしても、内容や特別重要なことについて報告させていたのですか?
[小沢元代表]ありません。特別重要なことはありません。収入や支出を1年間まとめて報告するだけですので。
[弁護士]きょうまで一度も説明を受けていないということですか?
[小沢元代表]ありません。
[弁護士]年末に個人的経費を精算するということはありましたか?
[小沢元代表]ありました。
[弁護士]具体的にどのようなものですか?
[小沢元代表]毎日のように会合があったり、出張したりというのがあるので、それは政治団体で公に出してもよいと思うものと、これは個人で出そうというものがあるので、それを政治団体で立て替えていた場合には、年末に個人としての分を政治団体に返還する作業をしていました。
[弁護士]金額はどのくらいですか?
[小沢元代表]1000万前後だったでしょうか。
[弁護士]小沢さんが、石川議員や大久保元秘書、池田元秘書に対して、平成16年分の収支報告書に用立てた4億円を載せないようにと指示をしましたか?
[小沢元代表]ありません。
[弁護士]逆に、石川議員、大久保元秘書、池田元秘書から記載しないでおいたと報告はありましたか?
[小沢元代表]それもありません。
[弁護士]平成16年分の収支報告書に載せないと指示しましたか?
[小沢元代表]ありません。
[弁護士]石川議員、大久保元秘書、池田元秘書から、平成16年の収支報告書には載せず17年にずらしたと報告はありましたか?
[小沢元代表]ありません。
[弁護士]指示や報告はないという証言ですが、それは絶対にないという意味なのか、あったかもしれないが覚えていないという趣旨ですか?
[小沢元代表]ないと思います。
小沢氏裁判(6)捜査の影響は
1月10日 14時38分 
[弁護士]収支報告書というのは、総務省に提出したあと、公開されるものですが、記載されたことがマスコミに取り上げられることもあるということですか?
[小沢元代表]あると思います。
[弁護士]どういうことが取り上げられますか?
[小沢元代表]それは人によって違うが、私の場合、何のことでもいろいろと批判の記事が出る。常に攻撃の的になっていたので、ほかの人なら批判されないことでも、私の場合常にマスコミの批判の的になっていました。
[弁護士]批判は政治活動に影響はありましたか?
[小沢元代表]あったと思うが、そのようないわれない批判を乗り越えてきました。有権者も真実をだんだんに理解してくれるようになったと思います。
[弁護士]本件土地がマスコミに取り上げられると困ると思いましたか?
[小沢元代表]特別困るとは思っていませんでした。
[弁護士]何か、不当なことをしているとは思っていましたか?
[小沢元代表]不動産購入はたくさん例があることです。
[弁護士]そうすると、釈然とはしないが、特別困ったことはなかったということですか?
[小沢元代表]私自身はいわれなき批判と何十年と戦ってきたので、それで臆することはありません。しかも何ら不正なことはしていません。
[弁護士]土地の購入をやめようとは思わなかったのですか?
[小沢元代表]理由なき批判にいろいろ屈していたのでは、天下国家の政策論についても、こうあるべきと、政治家として考えたことはどのような批判があっても貫かないといけないというのが私の生きざまで、それによって左右されることはありません。
[弁護士]不動産購入への批判の受け止め方ですが、小沢さんと秘書では違うということがありますか?
[小沢元代表]秘書の立場では、批判を緩和したい、マイナス面を避けようという配慮があるかもしれません。そういう点では、私とは若干違う状況にあろうかと思います。
[弁護士]当時の政治状況を前提にして、陸山会に4億円を貸し付けたことを報告書に載せたくない事情はあったんでしょうか?
[小沢元代表]いいえ、特別ありません。
[弁護士]4億円を隠す事情はあったんでしょうか?
[小沢元代表]私自身はありません。
[弁護士]収支報告書に載せる時期を1年ずらしたいという事情は?
[小沢元代表]私自身としては、そのようなことは感じていません。
[弁護士]平成16年と17年に明らかになることで、事情が違うことはありますか?
[小沢元代表]私自身は、そういうことは全くありませんでした。
[弁護士]小沢さんとしては、全く考えなかった?
[小沢元代表]はい。
[弁護士]西松建設事件当時の日本の政治状況はどうでしたか?
[小沢元代表]最初の意見陳述でも申し上げましたが、総選挙が間近で、政権交代が起こる可能性が大きいと言われていた状況だったと思います。
[弁護士]そうしたなかの捜査で、影響がありましたか?
[小沢元代表]私どもとしては、突然のことで、いわれなき追及でしたが、マスコミを中心に、2〜3か月にわたって連日の報道でした。したがって、せっかく長年かけて頑張ってきた政権交代ができなくなってはいけないということで、私は5月の連休明けに代表を辞任しました。
[弁護士]陸山会事件の捜査が行われていた当時の政治状況は?
[小沢元代表]政権交代のあとで、鳩山内閣で党の幹事長をさせていただいていた。同時に鳩山さん自身の問題もあって、そのときには参議院選挙を間近に控えており、衆議院選挙で圧勝させていただいた勢いで、何としても参議院選挙も過半数を取らないといけない。私たちの問題でそれができなくなるのでは、何とも残念。ここは2人とも身を引こうと、辞めたと思います。
[弁護士]その結果、参議院選挙はどうなりましたか?
[小沢元代表]私たちが身を引くことで、菅さんに代わり、支持率が急回復したが、菅さんがどういうことか、消費税やTPPの話をみんなに諮ることなく持ち出した結果、参議院選挙は惨敗しました。
小沢氏裁判(7)協議や報告はない
1月10日 15時47分 
午後からは、検察官役の指定弁護士が小沢元代表への質問を行っています。法廷での主なやり取りの概要は次のとおりです。
[指定弁護士]平成16年分と17年分の収支報告書に関してお尋ねします。平成16年分と17年分の収支報告書の作成につき、協議をしたり、報告を受けたりしたことはありますか?
[小沢元代表]ありません。
[指定弁護士]それは、報告を受けた事実が絶対にないという意味か、それとも報告を受けたかもしれないが、その記憶がないということですか?
[小沢元代表]ありません。
[指定弁護士]収支報告書を作成するための会計処理について、平成16年と17年分について協議をしたり、報告を受けたことは?
[小沢元代表]ありません。
[指定弁護士]それも絶対にないということか、記憶がないのか?
[小沢元代表]ありません。
[指定弁護士]平成16年分、17年分以外について聞きますが、作成にあたって協議や報告は?
[小沢元代表]ありません。
[指定弁護士]それも絶対にないのですか?
[小沢元代表]はい。
[指定弁護士]平成16年、17年分の収支報告書について、裁判が始まったあとの現在、内容を見ていないですか?
[小沢元代表]見ておりません。
[指定弁護士]裁判が始まってからも?
[小沢元代表]はい。担当がきちんとしていると思いますので。
[指定弁護士]記者会見で、収支報告書は「間違いがあっても、訂正をすれば足りる」ということを話されているが、その訂正の要否を判断するために、見たこともないのですか?
[小沢元代表]ありません。
[指定弁護士]平成16年10月の深沢の土地の契約の締結について、当時、報告を受けていないですか?
[小沢元代表]受けていないと思います。
[指定弁護士]広い範囲で、もう少し時間がたってからでも受けていないですか?
[小沢元代表]個別のことについては報告は受けていません。
[指定弁護士]移転登記が平成17年1月7日になっていますが、1月7日に登記をすることについて、事前・事後に報告を受けていないですか?
[小沢元代表]担当者の裁量の範囲内のことなので、報告を受けていません。
[指定弁護士]10月29日に代金の決済をして、4億円の支払いをしたことについて、報告を受けていないですか?
[小沢元代表]ないと思います。
[指定弁護士]それも絶対にないという意味か?
[小沢元代表]たぶんそうだと思います。
[指定弁護士]本登記が未了のままで仮登記をしたということについては報告を受けていないですか?
[小沢元代表]はい。
[指定弁護士]絶対に受けていないと断言できますか?
[小沢元代表]そう思います。
[指定弁護士]定期預金を担保に銀行から借り入れた4億円で決済をするというスキームについて、存じていましたか?
[小沢元代表]知りません。
[指定弁護士]それも忘れたのではなく、当時からそうだったと断言できますか?
[小沢元代表]サインを求められたときに、現金を担保に融資を受けるのかなと思いましたが。
[指定弁護士]石川議員から説明はありましたか?
[小沢元代表]ありません。
[指定弁護士]10月29日の陸山会への送金はあなたの指示ですか?
[小沢元代表]私は全く知りません。
[指定弁護士]当時そのことを知っていましたか?
[小沢元代表]知りません。
[指定弁護士]渡した4億円を収支報告書に記載するかどうか、石川議員から報告を受けましたか?
[小沢元代表]全くありません。
[指定弁護士]記載するかどうか、収支報告書の提出前に知っていましたか?
[小沢元代表]知りません。
[指定弁護士]それも忘れたのではなく知らなかったのですか?
[小沢元代表]知りません。
[指定弁護士]土地取得の事実を平成17年分の収支報告書に記載することを知っていましたか?
[小沢元代表]存じておりません。
[指定弁護士]報告を受けていないですか?
[小沢元代表]はい。
[指定弁護士]それも報告を受けていないと断言できますか?
[小沢元代表]はい。
[指定弁護士]平成16年分の資産報告書についてお尋ねします。提出前に内容を確認したことはありましたか?
[小沢元代表]一番最初のころは、私自身の資産ですから話をしていましたが、それ以後はしていません。
[指定弁護士]一番最初というのはいつのことか?
[小沢元代表]存じていません。
[指定弁護士]すみません、聞き方が悪かった、裁判に証拠として提出されている平成16年分の資産報告書についてはどうでしょうか。内容を確認したというのは平成16年分よりも以前の話ですか?
[小沢元代表]はい。前のことだと思います。
[指定弁護士]平成16年分の資産報告書は見ていませんか?
[小沢元代表]はい。
[指定弁護士]裁判が始まった現在は見ていますか?
[小沢元代表]見ていません。資産が同じなら、そのとおりでいいので。
[指定弁護士]この裁判が始まってから、改めて内容を確認したということは?
[小沢元代表]すみません、資産報告書というのはどれのことですか?国会へのもののことですか?
[指定弁護士]そうです。国会に提出するものです。
[小沢元代表]それは見ておりません。
小沢氏裁判(8)規正法への認識は
1月10日 16時13分 
検察官役の指定弁護士は、政治資金規正法に対する認識などについて質問しました。法廷での主なやり取りの概要は次のとおりです。
[指定弁護士]陸山会についてお尋ねします。これは、平成17年10月に陸山会に転貸しされている2億円を返済し、2億円を借り換えするために、陸山会が銀行に提出したものと思われますが、これは当時の陸山会の規約に間違いありませんか?
[小沢元代表]分かりません。
[指定弁護士]平成17年当時の陸山会の代表者はあなたではありませんか?
[小沢元代表]申し訳ない。分かりません。
[指定弁護士]規約では会計責任者と理事を置くことが定められていますが、平成17年当時の理事が誰かは分かりますか?
[小沢元代表]分かりません。
[指定弁護士]石川さん、池田さんの名前が書かれていますが?
[小沢元代表]知ってはいるが、分かりません。
[指定弁護士]規約では、会計責任者は代表の指示を受け収支報告書を作成するとなっていますが?
[小沢元代表]結果としてそうなっていなかったということです。
[指定弁護士]そういうことではなくて、規約の規定どおり行われていなかったということですか?
[小沢元代表]結果として、指示はしていませんでした。
[指定弁護士]代表者は会計責任者を監督するというのは、規約だけじゃなくて、政治資金規正法の建て前でもないのですか?
[小沢元代表]はい。監督する立場にあることは分かっていました。
[指定弁護士]具体的にはどう監督するのですか?
[小沢元代表]陸山会の経理担当者は、要するに1年間の収支と支出を1年間きちんと記録して、収支報告書を提出するだけの単純作業なので、私はそれを担当者にすべて任せてよい内容だと思います。
[指定弁護士]平成17年だと、誰が経理の実務の担当者ですか?石川さんか池田さんか?
[小沢元代表]石川か池田か分かりません。
[指定弁護士]あなたは、会計責任者の大久保さんが収支報告書作成に全く関与しなくてもよいとしていたのですか?
[小沢元代表]実務を担当するものが法律に沿ってきちんと経理していればよいと思っていました。最終的には代表に責任があり、形式的には会計責任者にも責任はあるが、ふつうに読み書きと計算ができれば十分にできる。実務担当者がきちんとしていると思っていました。
[指定弁護士]私が聞きたいのは、大久保さんが全く関与していないのを、あなたがよしとしていたのかどうかということですが?
[小沢元代表]法改正で、代表が政治家本人となりました。会計責任者はその下の立場に当たるので、秘書の中でも年長者のものをあてていました。実務をやることは期待していませんでした。
[指定弁護士]期待していないというのと、実務を一切やらなくてもよいというのは、ずいぶん違うと思いますが?
[小沢元代表]同じことじゃないですか。それはことばのあやだと思います。
[指定弁護士]あなたは大久保さんに対し、指導や監督は?
[小沢元代表]具体的にしていません。
[指定弁護士]あなたや、あなたの事務所の(収支報告書への)関わり方は、政治資金規正法上ふさわしいと、今でも思っているのですか?
[小沢元代表]ふさわしいかどうか分かりませんが、担当者に任せて十分正確にできる内容でした。お前はいいと思っていたのかどうかと聞かれると、格別いいとはいえませんが、事務的なことであって。収支報告書が大事でないとは言っていませんが、事務的なことは秘書に任せても十分なことで、私は直接関心を持つものではなく、私にはもっともっと関心を持つことがあったということです。
小沢氏裁判(9)不動産について
1月10日 16時41分
[指定弁護士]平成16年の土地購入以前に陸山会が所有していた不動産について尋ねます。不動産の一覧表を示します。私が調べた、陸山会が所有していた不動産のリストなのですが、ここに載っていないものがあるとか、陸山会のものではないということはありますか?
[小沢元代表]うーん、ちょっと待ってください。これは陸山会の所有のものだと思います。現在は違うものもありますが。
[指定弁護士]不動産の購入にあたっては、小沢さんが了解をするのですか?
[小沢元代表]そうですね。
[指定弁護士]購入するかどうか決める前に下見をしたものはありますか?
[小沢元代表]ありません。
[指定弁護士]全部秘書が決めたのですか?
[小沢元代表]はい。
[指定弁護士]登記簿の名義は小沢さん個人になっていると思いますが、個人資産と陸山会の資産のしゅん別のために確認書を作ったというのは間違いないですか?
[小沢元代表]はい。
[指定弁護士]深沢8丁目の土地の購入にあたっての確認書です。同趣旨のものは他の物件でも作っているのですか?
[小沢元代表]はい。
[指定弁護士]実際に作るのは、個別に命じてサインをしているのですか?
[小沢元代表]違います。
[指定弁護士]秘書が契約過程で自動的に作るのですか?
[小沢元代表]まず契約書は政治団体できちんと作るように。これは、念のため、確認書を作って疑念を抱かれないように、当初の段階に言っていたと思います。
[指定弁護士]最初に指示したのはいつですか?
[小沢元代表]分かりません。最初のころというのは、一覧表の最初のころですか?
[指定弁護士]はい。購入にあたり、個人資産を一時的にでも用立てたことはありますか
[小沢元代表]ありません。
[指定弁護士]4つの物件は、不動産担保融資で分割返済しています。この取引に記憶はありますか?
[小沢元代表]記憶にありません。
[指定弁護士]これらの物件は不動産担保ローンで買っているが、預金担保融資のほうが金利が安いのに、なぜこのような取引にしたのですか?
[小沢元代表]私に聞かれても分かりません。担当者が銀行と相談して決めたことではないでしょうか。
[指定弁護士]担当者から資金を用立ててほしいという依頼はなかったですか?
[小沢元代表]ないと思います。
[指定弁護士]政治団体名義では資金を貸してくれず、しかたなくて個人名義で借りたんですよね?
[小沢元代表]その物件について記憶はないが、過去にも私が債務者のような形になって借りたという記憶はあります。
[指定弁護士]契約を秘書から提案するのは考えられないのですが?
[小沢元代表]それは銀行との相談では。
[指定弁護士]あなた自身がこうしたスキームに積極的なので、こういう取引になったのでは?
[小沢元代表]そうではない。私に限らず政治家は金融機関からの信用がないので、そのような取引になったのでは。
小沢氏裁判(10)土地購入の経緯
1月10日 20時39分
[指定弁護士]大久保さん、そのほかの人に、土地を探すようにという指示はしたのですか?
[小沢元代表]直接の指示はしていないと思います。ただ、秘書や書生、その家族が増えるので、それぞれが必要性を感じていたと思います。
[指定弁護士]あなたが指示したのではなく、大久保さんから土地の購入の話を持ちかけられたということですか?
[小沢元代表]そのように区切って質問されるとあれですが、必要だという意識は共通で持っていました。
[指定弁護士]探していたというのは、大久保さんが?
[小沢元代表]個別の指示はしていません。共通の意識は持っていただろうと答えただけです。
[指定弁護士]大久保さんが1人で話をしてきたのですか?
[小沢元代表]大久保(元秘書)1人か、石川(議員)も一緒だったのか、記憶にありません。
[指定弁護士]秘書の方から多額の土地を購入する話をするというのが、一般の感覚では信じられないのですが、予算は伝えてあったのですか?
[小沢元代表]伝えておりません。
[指定弁護士]物件を見たことはありましたか?
[小沢元代表]話を聞いてから、散歩の途中で見たことはありました。
[指定弁護士]土地を見て、進めるようにと指示したのですか?
[小沢元代表]「指示」と、指定弁護士はそういうことばを使いますが、いい土地があって、それでよかろうという会話はあったと思います。
[指定弁護士]土地購入の相談をされたという場面と、お金が足りないと言ってくる場面と、2つの場面がありますが、これは別々の場面ですか?
[小沢元代表]別々だと思います。
[指定弁護士]大久保さんと石川さんが来て、お金が足りないと言ったのですか?
[小沢元代表]ということだったと思います。
[指定弁護士]金の相談のことですが、できるだけ具体的に、どのような相談だったのでしょうか?
[小沢元代表]相談というより、現実に、かき集めれば何とか購入できるけれども、土地代金に使っちゃうと、政治団体の運営に支障を来すという趣旨の話だったと思います。
[指定弁護士]だからどうしたいという話はありませんでしたか?足りないから土地購入を断念するとか、借りたいとかそういう話はなかったのですか?
[小沢元代表]具体的には記憶にありませんが、そういう話があったので、私としては、たまたま持っている手持ちの金を活用したらよかろうとなったと思います。
[指定弁護士]石川さんが公判で証言したとき、小沢さんに石川さんから「貸してくれますか」と言ったという証言があるのですが、記憶にありませんか?
[小沢元代表]記憶はありませんが、そういう会話があったかもしれないし、なかったかもしれないし、覚えてません。
[指定弁護士]貸してくれませんかということばが出たとおっしゃっていましたが、そんなやり取りは記憶にありませんか?
[小沢元代表]そうだったかもしれませんが、記憶にありません。
[指定弁護士]いずれにしても、用立てると表明されているのでは?
[小沢元代表]だったと思います。
[指定弁護士]用立てると表明したのはいつごろか、時期は必要では?
[小沢元代表]いいえ、そんなことないと思います。要するに、取り引きに必要ない。
[指定弁護士]「いつでも用立てる」とは言っていませんか?
[小沢元代表]言ってないと思います。
[指定弁護士]契約をする事務担当者は、手付け金や残額を支払う必要がある。いつごろまでにお金が得られるかが分からないと、契約を詰めにくいのでは?
[小沢元代表]そんなことはないと思います。私が手持ちの金を用立てると言ったのだから、彼らもそのように理解したと思います。
[指定弁護士]今の、「手持ちの金」と言ったんですか?
[小沢元代表]と思いました。
[指定弁護士]お金を渡したのは、10月11日ごろ?
[小沢元代表]年月日は分かりません。
[指定弁護士]石川議員の証言や銀行の入金記録を見ると、12日ごろまでには石川議員に現金が渡っている。これを否定する記憶というのはないわけですね。
[小沢元代表]はい。
[指定弁護士]私の最初の質問に、「売買契約が結ばれていたとは聞いていない」と話していたが、10月11日ころ、石川議員にお金を渡すときに、契約を結んだという話はなかったのか?
[小沢元代表]個別の具体的な話は一切なかったと思います。
[指定弁護士]契約の金を受け取るときに、決済がいつか尋ねなくて、石川議員の報告が全くない?私の感覚ではおかしいが。
[小沢元代表]そうではない。用立てると言って、渡すんだということで、私の行為は完結しているのだから、石川(議員)も同じような理解だったと思います。
[指定弁護士]契約を担当する人が、いわばオーナーに対して、どう進んでいるか隠す理由はないですよね?
[小沢元代表]隠す理由はない。
[指定弁護士]契約結んで、農転許可手続きを進めている、代金をいつ、代金に充てるかどうかは別として、取り引きに使う金をあなたから受け取る際、なぜ黙っているのか、おかしい。
[弁護士]異議あり。重複している。
[指定弁護士]重要な所だから。
[裁判長]異議を棄却します。
小沢氏裁判(11)“秘書の裁量”
1月10日 20時39分
[指定弁護士]10月5日に契約書を結んだのは明らか、農地転用の届け出している。12日ごろに、あなたの所に現金を取りにいっているのも明らかだと思う。12日に取りに行ったときに、事務担当者から報告はなかったですよね?
[小沢元代表]隠す必要はありませんが、報告しなきゃいけない必要もありません。政治家と秘書は本当の信頼関係で結ばれなければ成り立たない訳です。報告を受ける物理的ひま、精神的ひまもない。それ以上、関心を持ってやるべき大きな仕事がある。任せたことは自分でやれ、自分の判断でというスタイルでしたから、報告する必要がないと思っていたのではないでしょうか。
[指定弁護士]4億円を深沢の土地購入資金とは分かっていた?
[小沢元代表]はい、分かっていました。
[指定弁護士]それを担保に金を借りるのは、あなたに何らかの認識は?
[小沢元代表]ありません。どういう手続きを取るかは彼の裁量の範囲、事務的な手続きです。
[指定弁護士]石川議員の裁量で決められる?
[小沢元代表]預けた以上、具体的にどうするかは石川(議員)の裁量の範囲です。
[指定弁護士]秘書は、あなたが多額の資金があることが公になることを避けたいと思っていた?
[小沢元代表]とやかく言われることではないと考えていたと思いますが、ただ、メディアに余計な詮索をされることがないほうがよいというのは、秘書としては自然に考えて行動していることではないでしょうか。
[指定弁護士]あなた自身は公になることをいとう気持ちはあったのですか?
[小沢元代表]自分の懐具合を話す意志も、必要もないが、きちんと土地を購入するために、手持ちの現金を用立てしたもので、何らとやかく言われることはない。どっちみち公になる可能性が高く、そうなってもそれを意図的に避けようという気持ちはありませんでした。
[指定弁護士]きょう最後の質問です。石川さんがこの法廷で、巨額の資金を持っていることが公になることを恐れて、多数の口座に入れたと証言しているが、なぜそうしたのか、あなたがこれについて思い当たることは?
[小沢元代表]ですから、秘書の心構えとして、少しでも議員にマイナスにならないようにというのは、この問題だけではなく、あらゆる問題において、そうなのではないかと思います。
[裁判長]きょうはここで終わります。

小沢一郎氏裁判 第12回公判《前》/「4億円はどういうことで?」「両親からの相続・印税・議員報酬」

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産経ニュース2012/01/10 Tue.
 裁判長「それでは被告人の入廷をお願いします」
 《裁判長がそう宣言すると、傍聴席から向かって左のドアから小沢被告が入廷する。ダークスーツに白いシャツ、ピンクがかった赤色のネクタイ姿。左胸には金バッジが光る。入廷の際に一礼、裁判長に対し一礼した後、ゆっくりと弁護団の待つ席に向かい、「よいしょ」とつぶやきつつ座った》
 裁判長「それでは開廷します」
 《裁判長が小沢被告に証言台に向かうよう指示する。小沢被告はゆっくりと証言台に移り、係員がペットボトル入りの飲み物を渡すと「すみません。すみません」とお礼を言う。裁判長が黙秘権などについて説明した後、弘中弁護士が立ち上がり、質問が始まる》
 弁護人「本件で証人出廷した石川(知裕衆院議員)さんは被告人の秘書だったということでよろしいでしょうか」
 被告「はい。そうです」
 弁護人「大久保(隆規)さん、池田(光智)さんもそうですね」
 被告「はい。そうです」
 弁護人「石川さんは書生をしていたと証言されましたが、書生とはどういう仕事ですか」
 被告「それは秘書というまでの、年齢的にも経験的にもいっていないもので、特に学生のときからというのもありますし、俗に言えば、(秘書の)見習い期間ということでしょうか」
 弁護人「どういう方を書生に?」
 被告「それは人づてに政治家の事務所で勤めたいという希望のあるものを、そのときの秘書を通じ、面接したりして決めたと思います」
 弁護人「具体的な仕事は?」
 被告「ほとんど自宅におりまして、事務所の掃除やら、自宅の掃除、私の身の回りのことやらをしておったと思います」
 弁護人「散歩に同行することもあったといいますが」
 被告「えー、そういう場合もありまして、警護の方も一緒におるのですが、急な連絡があると困りますので、書生や秘書がたいがい一緒におります」
 《言葉を選ぶようにゆっくりと話していく小沢被告。弘中弁護士はその後、書生が小沢被告の自宅内に住み込みで働いていたことを確認。社会保険はなく、給与は「ほんの小遣い程度」(小沢被告)だったことなどを聞く》
 弁護人「書生の期間は何年ぐらい?」
 被告「そのときの状況によって違いますが、学生のときからしているものは3、4年になる場合があるだろうと思います」
 弁護人「書生から秘書になることが多いのですか」
 被告「はい。多くの場合は修行期間を終え、いわゆる秘書として仕事につくことが多いと思います」
 弁護人「途中で辞める人も?」
 被告「はい。私も朝6時に起きますが、その前に起きて掃除や私の身の回りの世話をしなければならない。夜は夜で遅くまでですので、特に最近の若い人にとってはつらく、途中で辞めたものもおりました」
 弁護人「修行を終え、すべてを分かった段階で秘書になると?」
 被告「なかなか人間ですので、すべて分かる、見通せるということはできませんでしたが、そうやって一緒に仕事を手伝ってもらっているという関係では、全面的に信頼できる人間とそう思っています」
 弁護人「小沢さんにとって秘書というのはどういう存在ですか」
 被告「政治活動は一人ではできません。そういう意味でどうしてもスタッフ、手伝いをしてくれる人が必要でございます。政治家と秘書の関係は(民間など)他の社会の中でのいわゆる何らかの法律関係、約束、ルールで規律されている関係ではございません。まったくの人間の信頼関係で成り立っているというのが本当のところでございます」「活動の手足となると同時に、機会によっては天下の機密を見たり聞いたりすることもありますので、本当の信頼関係の中で仕事をしていくものであります」
 弁護人「平成16、17年、本件のころですが、大久保さんが陸山会の会計責任者でしたね」
 被告「年月日のことをいわれると覚えていませんが、たぶんそうだと思います」
 弁護人「小沢さんが選任をされたんですね」
 被告「はい。そうです」
 弁護人「大久保さんは会計に関与していなかったと証言されましたが、それは事実ですか」
 被告「はい。事実だったと思います」
 弁護人「問題があるとは思われませんでしたか」
 被告「問題はないし、私たちの事務所だけのことではないと思います。世間では、経理の担当、金庫番などといわれるようですが、私の事務所ではそういう言葉でいわれるような人は四十数年間たちますが、一切おりません」「主として金銭の手配、収支報告書を提出するという仕事ですが、みなさまご案内の通り、収入と支出を記載して1年のまとめを報告するだけの単純な事務作業でして。(法廷で)専門家の方の証言もあったかと思いますが、私どもも部署替えを行ったりしますけれど、だいたい順繰りに経理の担当をすることになっておりましたし、今でもそうだと思います」「ただ、資金管理団体は法改正があり、議員本人が代表をすることになっていますので、(会計責任者は)私の次に位するものでありますので、だいたい年長者をあてていたということだったと思います」
 弁護人「外国人の秘書も置いていましたね」
 被告「はい」
 弁護人「どういう趣旨ですか」
 被告「いろいろありますけど、外国の人が私に会いたいといったときの通訳や、外国からのメールの返信をしたり、また、日米、日中の草の根交流を続けておりますが、それらのプロジェクトを担当するとかの類の仕事をしてもらっておりました」
 《どういった意図があるのだろうか。弘中弁護士はその後、中国籍や韓国籍、英国籍の秘書がいたことを確認。小沢被告は「外交上、いいイメージを与える効果が大きかった」などと述べる》
 弁護人「秘書の方にはどの程度の仕事をまかせていましたか」
 被告「私はもっぱら政治のことに集中して活動をしてきましたから、それ以外のこと。例えば経理や、(議員)会館に陳情に来た方のお世話をしたり、応対したり、連絡をしたりといった類の仕事。また、地元の日常の、私に代わっての政治活動や、全国の仲間の応援に行って少しでも手伝いをする。私の政治の大きな仕事以外はすべてを任せておりました」
 弁護人「政治団体の事務処理も任せていた?」
 被告「はい。そうです」
 弁護人「任せるということですが、重要なことは報告を受けたりしていましたか」
 被告「私は任せたことについてはすべて一切、彼らの自主的判断で仕事を任せております。任せた仕事をいちいち自分が検証し、干渉していたのでは任せる意味はない。私の関心と仕事は、天下国家の話でして、それに邁進(まいしん)する日常を送っているつもりでございます」
 弁護人「陸山会は本件の土地以外にもマンションなどを持っていますね」
 被告「はい。と思います」
 弁護人「どういう目的のためか把握していますか」
 被告「はい。それは分かっております」
 弁護人「それでは順番に聞きます。まず元赤坂タワーズですが、利用目的は?」
 被告「私の個人的な仕事場で、政策の勉強や執筆などにあてておりました」
 弁護人「聞いた中に、賃借ではなく購入している物件がありますが、これはどうしてですか」
 被告「部屋を借りるということは、後援会…ではない、陸山会で家賃を払うという形態になります。また、毎月の手当てに住宅費や交通費を加算して(秘書に)支払うちゅうことで、結局、政治団体からなる資金を、全く外に流出してしまいます。ローンの金利を払っても購入して、(物件を)売却すれば資金を政治団体の資金として使うこともできる、そういう意味です」
 弁護人「(東京都世田谷区)深沢の自宅近くに秘書の寮がありますが、これは便利で必要だったということですか」
 被告「はい。どこの政治団体でも同じですが、特に私どもの場合、昼夜の別なく、週末うんぬん関係なしにすぐ作業にとりかかることができます。色んな方から緊急連絡もあるので、そばにいるのが便利と思いました」
 弁護人「陸山会の所有物件で、登記は小沢さん名義になっていますね」
 被告「いつだったか忘れたが、資金管理団体の代表には政治家が就任しなければいけない、と法改正されて。団体名では登記できず、代表者名で登記した、ということと思います」
 弁護人「小沢さん個人の資産と陸山会の資産は、明確に区別していたんですか」
 被告「はい。私どもとしては一番批判の対象になるところで、必ず、契約は政治団体(陸山会)との契約になっています」
 被告「それからその上に、疑惑を招かないよう『確認書』も作成しています。『私個人のものでないよ』ということで、作るように秘書に言っておいたつもりであります。法律的な契約と、任意の、念のための確認書で、公私の区別をつけてきました」
 《陸山会との間で作成した「確認書」について、小沢被告は平成19年2月の会見でその存在を明らかにし、不動産をめぐる不明確な会計を否定した。しかしその後、今回起訴された問題の土地については、会見の直前に、急遽確認書が作成されたことが明らかになり、小沢被告は「秘書に指示していたが、抜け落ちていたから改めて書いた。何も悪いことではない」と釈明している》
 弁護人「確認書の作成は法的義務ではなく、任意、念のためだったということですね」
 被告「はい」
 《ここから、弘中弁護士は世田谷区深沢の自宅の所有権利関係について確認する。小沢被告は自宅の敷地が登記上自らの所有、妻の所有、元々の地主の所有に分かれているが、地続きでつながっていることを説明。自分の所有が母屋、秘書寮が妻、事務所や駐車場などが地主の土地であり、妻や地主の土地利用については、陸山会などが賃料を支払っているとした。妻に対しても秘書寮の家賃を支払っている理由について小沢被告が答える》
 被告「家内といえども別人格。政治団体で使う以上、使用料、賃料を支払うのは当然と思います」
 《続いて弘中弁護士は問題となっている平成16年10月の土地購入について切り出していく》
 弁護人「契約とか支払いとか、登記の記憶はありますか」
 被告「寮によい土地が見つかったと報告を受けたと思います。土地の購入で合意しました」
 「大久保(隆規・元公設第1秘書)か石川(知裕・衆院議員)か事実関係がはっきりしないが、代金が資金管理団体の有り金をはたけば買えるが、政治活動の運営に支障をきたす、という話があったと思う」
 「それじゃ、手元の金を用立てようとなったと。あとはどのような形で活用し、どうするかは担当秘書の仕事なので。土地購入の了解と資金がないということで、手持ちの金を用立てようといって出した段階で、私の作業は済んでいます。実務はまかせていたので分かりません」
 弁護人「(購入費用は)いくらということだったんでしょう」
 被告「明確な数字を誰が言ったかは覚えていない。土地を購入して、寮を立てる建築費を入れると4億円と聞いたと思います」
 弁護人「金を用立てるときにどういう言葉を使いましたか」
 《小沢被告は少し笑いながら「まったく記憶していません」とはっきりした口調で応えた》
 弁護人「大久保さんか石川さんから聞いたとき、購入費用を資金管理団体から出して、不足分を出そうとは思いませんでしたか」
 被告「後になって考えればそういう選択肢もあったかと。検察官からもそのような話があったと記憶しております」
 《「『なるほど』と単純に思った」と続けた》
 弁護人「(担当秘書に対し)『ちゃんと戻せよ』という言葉はありましたか」
 被告「言葉は全然記憶にありません。ただ、資金管理団体に寄付したわけではないので、いずれ戻る、返してもらえるのは当然と思っていた」
 弁護人「やり取りをした時期は覚えていますか」
 被告「覚えていません」
 弁護人「(裁判)記録では平成16年9月末か10月ごろとなっている」
 被告「公判での手続きでも10月うんぬんとあったので、そのころかなと。私としては分かりません」
 弁護人「売買契約が完了したという話を聞いたことは?」
 被告「ありません」
 弁護人「石川さんに4億円を渡したのですね」
 被告「はい」
 弁護人「元赤坂タワーで現金を渡した?」
 被告「そう思います。現金で保有していましたから」
 弁護人「場所は元赤坂タワーですか」
 被告「(そうだ)と、思います」
 弁護人「渡したときの状況は?」
 被告「覚えていません」
 弁護人「石川さんに現金を渡しましたか」
 被告「間違いないと思います」
 弁護人「このときに、陸山会と金銭消費貸借関係ができたと思いましたか」
 被告「正式な貸し借りという意識はありません。資金管理団体は私が代表だし、私が用立てるので。知らない人と貸し借りするわけではないので」
 《質問は購入資金となった4億円の原資に移る。ゼネコンからの裏金との指摘もある原資について、小沢被告はこれまで「政治資金」「銀行融資」などと、たびたび説明を変遷させており、詳細不明のままになっている》
 弁護人「次のテーマは4億円という手元の現金です」
 被告「はい」
 弁護人「(4億円は)どういうことで存在したのでしょう」
 被告「私の場合は、私だけじゃないかもしれない。ずっと以前から現金で所持していた。多くは両親からの不動産、現金を相続したもの。自分自身も本を出してみたりして、印税などでかなりの額を手にしました。40年間の議員報酬をいただいていたので、それなりに保有していました」
 弁護人「相続したという不動産はどこのものですか」
 被告「これも1カ所ではなく、40年前のことで言うことはないと思って言っていませんでしたが、(東京都文京区)湯島の自宅や都内の土地、郷里の(岩手県奥州市)水沢の土地等々」
 弁護人「湯島の不動産を売って、(東京都世田谷区)深沢の土地を買った差額は手元に残りましたか」
 被告「バブルの走りで、湯島の自宅は高く売れました。これは母親の意向なんですが。世田谷区の土地はこれほどの金額ではなかったので広く買え、相当額を手にしました」
 弁護人「差額は現金で所持していましたか」
 被告「もちろんあります」
 弁護人「他にまとまった金額は?」
 被告「銀行に預金していたものが。金融危機のあたりに解約して手元に置いておきました。親から譲り受けた現金も手元に置いておきました」
 弁護人「今回、小沢さんの方で、銀行の資料を精査して確認されたことは?」
 被告「はい。かなりの部分は手持ちで持っていましたが、事件が起きて事情を話すことになったので、手持ちの金を客観的に証明不可能なので、金融機関に何か残っていないか要請しましたが、古いので記録がないとかで出してもらえませんでした」「それでも、しつこく頼んで、断片的に入手した記録の中でも、入金出金の数字でも記憶にないものもありました」「銀行も分からないということで、金融機関の帳簿上の数字は明らかにすることができないが、最小限、自宅の売買で最後に残ったお金は銀行の帳簿にありましたし、私が病気になったあと、家族名義で預金していたものもありました」「問題になったもの(4億円)よりも多くありました」
 弁護人「検察官の質問時に銀行の資料は手元にありましたか」
 被告「何年も前から何十年も前のことなので、記憶がありません。質問されて、どういうことか頭をひねる中で、こうだったんじゃないかといわれたこともありました」
 弁護人「検察官は具体的に金額を上げましたか」
 被告「はい。それもありました。どこで受け渡しがあったのかも聞かれました。記憶がないので、あれかな、これかなとやり取りをしましたが、『(検察官は)最終的にここじゃなかったのか』と。そうかもしれないと答えたことがありました」
 弁護人「調書を見ると、具体的に銀行から(金を)おろしたとの記載があるが、これは小沢さんの方から口に出したのですか」
 被告「はい。検察はすべてを知っている風情でした。私は全く記憶していなかった。検察官の誘導で『そうだったかもしれません』と答えたと思います」
 弁護人「この金はおかしいという追及はありましたか」
 被告「ありました。不正な金が入る当てがあったんじゃないかと。本当におかしな、ばかげた質問があったように思います。水谷(建設からの不正献金疑惑)の話も出たように記憶していますが、私どもの秘書がそんなものをもらったことはないと確信していると言いました」
 《弘中弁護士の質問は、元秘書の石川知裕衆院議員が平成16年10月、大手銀行に融資を申し込んだ後、融資申込書と約束手形の用紙を赤坂の事務所に持ち込み、小沢被告に署名を求めた状況に及ぶ。小沢被告を追及する指定弁護士側によると、小沢被告は「おう」と言って承諾し、「それで、どこに署名すればいいんだ」と石川議員の指示に従って、自分の住所と氏名を署名したとされる》
 弁護人「4億円の現金を渡した後、石川秘書は(小沢被告が活動拠点としていた)元赤坂タワーズ(の事務所)に来て、融資を受ける手形に署名を求めましたか」
 被告「署名をしたことは事実ですが、場所はそこじゃなかったんじゃないかと…。(陸山会が入居する)チュリス赤坂ではなかったかな…」
 《小沢被告はしきりに首をひねり、つぶやくように話す》
 弁護人「サインを求める際、石川秘書はどのように説明しましたか」
 被告「説明はなかったと思います。土地購入のことと、お互いにそう思っていたことなので」
 弁護人「金額は記憶していますか」
 被告「金額は…」
 《記憶を追っているのか、長い沈黙が続く。小沢氏はしきりに首をかしげている》
 被告「正確に覚えてないですね」
 弁護人「渡した4億円はどのように活用されると思っていましたか」
 被告「私が渡した4億円で融資を受けたのかなと思っていました」
 弁護人「その時、石川秘書に何のために融資を受けるのかと尋ねたことはありましたか」
 被告「ありません。土地を買うと、そして金が足りないということだったので、私は金を出した。後は担当者の仕事。私から聞くことも、報告を受けることもありませんでした。(石川議員ら)私の関心事ではないので、私が聞きたがっているという感覚を持っていなかったと思います」
 弁護人「土地の登記を伸ばしたとかの話は出ましたか」
 被告「ありません。全ては彼らの裁量の範囲内でやることで、彼らの判断で仕事をしたと思っております」
 《弘中弁護士は会計事務担当が、平成17年に石川議員から池田光智元私設秘書に変わってからの状況についても質問する》
 弁護人「(池田元秘書に)利息がもったいないから(金を)早く返せと指示したことはありますか」
 被告「なかったと思います」
 弁護人「政治資金収支報告書を見たことはありますか」
 被告「ありません」
 弁護人「収支報告書を出す前に小沢さんが確認することは?」
 被告「一度もありません」
 弁護人「どうしてですか」
 被告「担当者に任せていて、きちんと報告書を作っていると確信していました。収支報告書は大事なものだが、1年間の収支のトータルを報告すればいいだけのことで単純なものですから、秘書が当然事務的にやっていると思っているので、収支報告書を見たことはありません」
 弁護人「収支報告書とは別に、収支の報告をさせていた?」
 被告「原則として、年末にトータルのことを経理担当者が報告することになっていましたが、現実には資料を持って説明されたことは一度もありません。単純な計算なので、政治団体がうまくいっているかというような会話を二言三言交わしておった程度で終わっていました」
 弁護人「重要な事項は説明させていましたか」
 被告「いえ、ありません。特別重要なことはないと思います」
 《弘中惇一郎弁護士は、焦点となっている東京都世田谷区深沢の土地購入について、政治資金収支報告書に記載する時期を1年ずらすという報告を秘書から受けていたか、小沢被告自身が時期をずらすよう指示したどうかの2点について、繰り返し質問していく》
 弁護人「(秘書の)石川(知裕衆院議員)さんから『(収支報告書に記載する時期を)平成17年にずらしておく』という報告を受けたことは」
 被告「ありません」
 弁護人「17年1月になって、深沢の所有権移転が完了したと報告受けたことは」
 被告「ありません」
 弁護人「報告を受けておらず指示もしていないというのは、絶対にないということか、なかったと思うということか」
 被告「ないと思います!」
 《小沢被告は強い口調が法廷に響く。弘中弁護士は質問を変え、収支報告書の問題についてマスコミが追及し始めたことについて尋ねていく》
 弁護人「収支報告書はしばらく公開されるものだが、(報道した)マスコミに問題があったと思うか」
 被告「あったと思う」
 弁護人「どんな風に?」
 被告「何のことでも批判するような記事が出た。常に攻撃の的になっていた。他の人でも攻撃されないことでも、常に批判の的になっていました」
 弁護人「政治活動に影響は」
 被告「それはありました。でも、いわれのない批判を乗り越えて頑張ってきた。有権者や国民も、徐々に理解してくれるようになったと思っています」
 弁護人「深沢の土地が(マスコミに)取り上げられて困った?」
 被告「特別に困るとは思っていなかった」
弁護人「批判されると困る?」
 被告「そういうことは全くない。不動産の購入というのは他の政治団体でもたくさん例があるが、私の場合はいま言った通り(何をしても批判される)。いわれなき批判と何十年戦ってきた。臆することはないし、何ら不正もしていない」
 弁護人「批判されるのが嫌なら、深沢の土地購入をやめるということは考えなかったのか」
 被告「それも一つだが、いわれなき批判に屈することはない。天下国家の政治問題、政策論、こうしなきゃいけないと決めたことは貫き通すのが私の考え、生きざまなので。愉快ではないが、私の行動が左右されることはない」
 弁護人「秘書たちについては」
 被告「マスコミの批判を少しでも緩和したいという気持ち、マイナス面は避けようという配慮はあっただろう。私とは若干違う心境があるかもしれない」
 弁護人「陸山会に個人の金、4億円を貸し付けたことを収支報告書に記載したことについては」
 被告「格別の事情はありません」
 弁護人「隠す必要があったとは?」
 被告「私自身は何も(隠す必要は)ありません」
 弁護人「土地購入の記載を1年ずらした、という気持ちは」
 被告「私自身がですか? 私自身はそのようなことは感じていません」
 弁護人「平成17年と18年になるのと、何か事情が違うと考えるか」
 被告「私自身は全く考えていませんでした」
 《続いて弘中弁護士は、今回の事件の捜査が、小沢被告の政治活動に与えた影響について質問していく》
 弁護人「平成15年から20年ごろまでの政治状況について尋ねたいのですが」
 被告「時系列的には分かりませんが…」
 弁護人「では順を追って。平成15年9月に自由党と民主党が合併しました」
 被告「合併は分かりますが、(時期は)記憶では…」
 弁護人「合併後の衆院選で大幅に議席を増やして、(民主党の)代表代行に就任されましたね」
 被告「はい」
 弁護人「16年5月に(当時の民主党代表だった)菅(直人)さんが年金(未納)問題で辞任し、岡田(克也)さんが後任に。7月に参院選があり小沢さんが副代表になった。その後17年9月に岡田さんの後任として前原(誠司)さんが就任、18年3月にいわゆる『ガセメール問題』を受けて前原さんが辞任し、小沢さんが代表に就任しましたね」
 被告「年月日は分かりませんが、そういう流れです」
 弁護人「19年4月の地方選で勝利、7月の参院選でも勝利し、20年9月には無投票で代表に3選しましたね」
 被告「はい」
 弁護人「そういうなかで21年3月に西松建設事件の捜査、立件があった。この時期の政治状況について」
 被告「意見陳述でも申し上げましたが、まさに総選挙が間近だった時期。本格的な二大政党対決の中で、政権交代が起こる可能性が大きいというときでした」
 弁護人「西松事件の影響は?」
 被告「私どもとしては突然のこと。いわれなき追及でありました。しかしマスコミ中心に、2、3カ月の間、連日の報道があった。せっかく長年かけて頑張ってきた政権交代ができなくなってはいけない。それで、5月の連休明けに代表を辞任しました」
 弁護人「その後は」
 被告「代表代行として選挙担当に。選挙の対応を取り仕切っていました」
 弁護人「それで約半年後、22年1月に陸山会事件。これが起きたときの政治状況は?」
 被告「政権交代の後ですよね? 鳩山(由紀夫)内閣のもとで党幹事長をさせていただいていた。捜査が始まりまして、同時に鳩山さん自身の問題もあり、参院選が間近に控えていて、衆院の大勝利の余波でなんとしても議席を勝ち取りたい、と。われわれの問題で足を引っ張っては残念なことになるので、2人とも身を引こうということになりました」
 弁護人「その後は」
 被告「菅(直人)さんが(首相に)なりましたが、TPPや消費税の話をほとんど皆にはかることなく持ち出して、参院選では惨敗しました」
 《ここで弁護側の質問が終了。裁判長が小沢被告に席に戻るよう促し、一時休廷を告げるとともに、午後は1時半から再開することを告げた》
 《一礼して席に戻った小沢被告は再びペットボトルに口をつけると、弘中弁護士と顔を寄せ合い、話し込んでいた》
---------------------

 《昼の休廷を挟み審理が再開。検察官役の指定弁護士を務める大室俊三弁護士の小沢被告に対する被告人質問》
 指定弁護士「平成16年、17年の政治資金収支報告書作成について(秘書らと)協議したり、内容について報告を受けたことはありますか」
 被告「ありません」
 指定弁護士「記憶がないのではなく、事実として協議、報告がなかったんですね」
 被告「ありません」
 《大室弁護士は続けて、収支報告書以外の会計処理について協議・報告があったか▽公判開始後の現在は収支報告書を確認したか▽16年10月の土地購入契約の締結報告を受けたか▽登記未了のまま土地代金を支払い終えたことについて報告を受けたか−など、質問を並べていく。すべての問いに「ありません」「知りません」と力強く否定する小沢被告に対し、「記憶がないのではなく、絶対に事実がないのか」を確認。小沢被告はいずれも自信たっぷりに頷く》
 《指定弁護士は続けて、今回の事件に関わる各証拠文書の「小沢一郎」名義の署名・押印部分を1枚ずつ表示。小沢被告本人が署名・押印を行ったか確認していく》
 被告「なんですか、こりゃ?」
 指定弁護士「(東京都世田谷区深沢の)土地の購入申込書です。自分で名前を書きましたか」
 被告「私ではないと思います」
 指定弁護士「ハンコもあなたではない?」
 被告「違います」
 《不動産関連の一連の書類が1枚ずつ示され、小沢被告は署名・押印を行っていないことを繰り返し説明。小沢被告の実印が押印された登記用委任状が表示されたところで、印鑑管理について言及される》
 指定弁護士「この印鑑はあなたのものですね」
 被告「これはそうだと思います」
 指定弁護士「誰が、どこで管理していますか」
 被告「(表示されている)これは実印ですか?」
 指定弁護士「多分違うと思いますが」
 被告「あー、実印も銀行印も、秘書が使えるように、実際には私の机のカギがかかっていないところにあり、自由に持ち出せます」
 指定弁護士「(陸山会の事務所がある)チュリス赤坂の机ですね」
 被告「以前は議員会館だったかもしれないが。いつからかはわかりません」
 《実印を使用する際の承認についても小沢被告は「全くない」とし、「今も自由に使えるようにしている」と強調する》
 《続いて、16年の土地購入について、小沢被告が陸山会との間で作成した「確認書」が示される。小沢一郎名義で土地購入契約が締結されているが、これが陸山会代表の「小沢一郎」によるもので、「小澤一郎」個人の所有でないことを確認した本登記日の平成17年1月7日付の書面だ。小沢被告は平成19年2月の会見でその存在を明らかにし、不動産をめぐる不明確な会計を否定したが、実際には確認書がこの会見の直前に作成されていたことが判明している》
 《確認書の署名はやや乱雑で、「沢」の字の「さんずい」が「にすい」に見えるなど、これまで表示された証拠とは筆跡が異なるようだ》
 被告「これは何の書類ですか」
 指定弁護士「中身を読んで見てください」
 被告「…あ、分かりました」
 指定弁護士「これは自分で(署名を)書きましたか」
 被告「そう思います」
 指定弁護士「押印は」
 被告「していません」
 《続いて指定弁護士は16年10月の銀行への融資申込書を示す》
 指定弁護士「『借入申込人』の名前はあなたが書きましたか」
 被告「多分そうだと思いますが、この法廷で問題になっている土地購入時の融資ですよね?」
 指定弁護士「そういう趣旨のはずです」
 被告「そうであれば、私の署名だと思います」
 指定弁護士「前提を抜きにして、筆跡と記憶で自分の署名かどうか分かりませんか」
 被告「筆跡だけでは確実とはいえないが…。多分私の筆跡だとは思いますが」
 《大室弁護士は別の日付の融資申込書を示し、これまでと同じように押印の有無を尋ねる。単調な質問の繰り返しに飽きたのか、淡々と答えていた小沢被告の返答に不満の色がにじむ》
 被告「えー? 印鑑なんか、わたしゃ押しません」
 《最後に、大室弁護士は国会議員が自らの資産内容について議長宛に提出する各年度の「資産等報告書」を表示。署名が自らのものであるか問われ、小沢被告は「ちがうと思います」と5回続けて繰り返した》
 《大室弁護士は大善裁判長を向き「前提的な質問は以上で終えます」と述べ、本格的な質問に入っていく》 

小沢一郎氏裁判 12回公判《後》「元赤坂タワーズで石川さんに渡した4億円は、どんな金」「個人の金です」

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 ◆小沢一郎氏裁判 第12回公判《前》/「4億円はどういうことで?」「両親からの相続・印税・議員報酬」 からの続き

 ・産経ニュース2012/01/10Tue.
 《指定弁護士は小沢被告のこれまでの経歴について尋ねた》
 指定弁護士「最終学歴は?」
 被告「日本大学大学院法学研究科です。中退しました」
 指定弁護士「何を学んでいましたか」
 被告「特別なテーマはありません。司法試験を目指して勉強していました。大学は経済学部でしたが」
 指定弁護士「何年在籍しましたか」
 被告「1年間です」
 指定弁護士「昭和44年12月に衆議院議員になった」
 被告「12月27日」
 《小沢被告は「これだけは覚えています」と力を込めた》
 指定弁護士「それまでに職歴は?」
 被告「ありません」
 指定弁護士「秘書などは」
 被告「ありません」
 《続いて、指定弁護士は小沢被告の政党遍歴や党の役職について確認した》
 指定弁護士「民主党代表の時期は」
 被告「いつかは…(分かりません)」
 指定弁護士「平成18年4月では」
 被告「よく分かりません」
 《小沢被告は笑みを浮かべながら「時間のことは分かりません」と応じる。指定弁護士は矛先を変え、民主党代表就任前の1日の行動パターンについて確認を始めた》
 指定弁護士「朝、自宅にいるとき午前6時に起きた後、自宅に秘書が集まる」
 被告「はい」
 指定弁護士「自宅にいる限りですか?」
 被告「顔を合わせます」
 指定弁護士「その後、秘書は出勤しますか」
 被告「出勤するか、続けて相談するか分かりませんが、(私の前からは)去っていきます」
 指定弁護士「その後、あなたは予定がないときは自宅に?」
 被告「毎日出ますよ」
 指定弁護士「どこに?」
 被告「国会のある永田町。議員会館や赤坂の事務所などそこらに出かけます」
 指定弁護士「議員会館の自分の事務所にはどんなときに行きますか」
 被告「お客さんと会うとき。議員会館で会って差し支えない人、地元の人との面会です」
 指定弁護士「(東京都港区の)チュリス赤坂の個人事務所は」
 被告「いろんな人と会います。国会の方がよい場合、チュリスの方がよい場合。人や日程によりますがお客さんと会います。全く違う所(で会うこと)もあります」
 指定弁護士「元赤坂タワーズの事務所にも行きますか? それはどういう場合ですか」
 被告「執筆活動のまねごとや政策的な資料の勉強。心臓病で入院して以来、昼休みを取ることを心がけていますので、休憩のときです」
 指定弁護士「朝、自宅で秘書と打ち合わせるということだが、それ以外では?」
 被告「議員会館が多いですね」
 指定弁護士「16年6月に、『翌年秋に代表選がある』と秘書に伝えたことはありますか」
 被告「ありません」
 指定弁護士「16年6月以外に同様の話を秘書にしたことはありますか」
 被告「代表選の日程が確定すれば、支持者固めのために仲間に秘書が連絡するが、確たるものがなければありません」
 指定弁護士「軽々には秘書には言わない」
 被告「はい」
 指定弁護士「政治資金規正法などの制定に関わっているが、趣旨は理解していますか」
 被告「直接は関与していないが、ただ、できるだけオープンにと主張していました」
 《小沢被告が起訴された要因となった政治資金規正法に踏み込む指定弁護士。これまで落ち着いて回答を続けた小沢被告が語気を強める機会が増え始める》
 指定弁護士「(政治資金規正)法の狙いは基本的に理解しているということでよいですか」
 被告「法も時々によって改正というか、変わりますので、いろんな趣旨が盛り込まれる。統一したものは他の法律でもないことが多いので、正確に把握しているわけではありません」
 指定弁護士「会社経営や顧問など収入がある仕事をしたことはありますか」
 被告「会社経営はありませんが、支持者の知り合いから顧問を頼まれたことはあります」
 指定弁護士「(午前中の公判で証言した)議員報酬や印税以外に収入は?」
 被告「顧問料や新聞、テレビの出演料。インタビュー料というんですか。これらがかなりありました」
 指定弁護士「チェリスの事務所には陸山会、誠山会、小沢一郎政経研究会、小沢一郎東京後援会、民主党岩手県第4区総支部の事務所がありますね」
 《いずれも小沢被告の関係政治団体だ》
 被告「正確には分かりませんが、そうだと思います」
 指定弁護士「今回の裁判で出てきた宮城一政会は政治団体ですか」
 被告「そうだと思います」
 指定弁護士「運営は秘書が?」
 被告「地元と思います」
 指定弁護士「陸山会や誠山会とは性格が異なりますか」
 被告「地域地域で支援してくれていると思います」
 《検察官役の指定弁護士の口調は徐々に熱を帯び始める。速記者の交代に合わせて上着を脱ぎ、さらに質問を続けた》
 指定弁護士「法廷で出てきた改革国民会議はどのような政治団体でしょう」
 被告「あー。新生党か自由党か、その時期に作られた団体と思います。(私ではなく)最も親しい友人がやっていたのでよく分かりません」
 指定弁護士「あなたか秘書がやっていた?」
 被告「違います」
 指定弁護士「17年の代表は分かりますか」
 被告「分かりません」
 指定弁護士「あなた自身、政治団体に関係は?」
 被告「していません」
 指定弁護士「資金のやり取りは」
 被告「ありません」
 指定弁護士「改革フォーラム21はどうでしょう」
 被告「それも時期は分からないが、それはいわゆる一般の政治団体ということと思う。一番の友人、同志でもあった人物がやっていた。設立された時期や、内容は詳しくは分からない」
 指定弁護士「21年当時の代表は」
 被告「21年というと…。選挙のときですか」
 指定弁護士「そうです」
 被告「前の参議院議員の平野(貞夫)さんが代表か会計責任者だったと思います」
 《ここで、検察官役の指定弁護士は平成17年当時の陸山会の規約を小沢被告に提示し、確認を求めた》
 指定弁護士「17年10月にりそな銀行に提出した規約で間違いないですね」
 被告「分かりません」
 指定弁護士「当時、代表ですよね」
 被告「分かりません」
 指定弁護士「ごらんになったことは」
 被告「目を通したかも分からないが…」
 指定弁護士「役職には会長や理事、会計責任者がある。17年10月の理事は?」
 被告「分かりません」
 指定弁護士「石川(知裕・衆院議員)さん、○△(法廷では実名)さん、池田(光智・元私設秘書)さんとありますが」
 被告「(本人らは)知っていますが、分かりません」
 指定弁護士「○△さんは?」
 被告「父の代の秘書です」
 指定弁護士「規約の7条には、会計責任者は会長の指示に従い事務をするとあるが」
 被告「結果として携わっていない」
 指定弁護士「質問に対しては」
 被告「ですから、指示していないので」
 指定弁護士「代表者は監督する、とあるのは政治資金規正法の趣旨にありますか」
 被告「はい。立場があるのは分かっていました」
 指定弁護士「具体的にはどう監督しますか」
 被告「繰り返しになりますが、経理の担当は1年間、毎日の収入と支出を記録して、収支報告書の提出する。単純な作業なので担当に任せてよいと思います」
 指定弁護士「17年3月当時、担当の石川さんは作成に関与していないと証言している。大久保(隆規・元公設第1秘書)さんは小沢氏が関与しないことをよしとしていたと証言した」
 被告「石川か池田か。私は実質担当するものが法の趣旨に乗っ取ってやればいいと思っていた」
 「最後の責任は代表者か会計責任者にあると思うが、現実には極端な言い方をすれば、読み書き、計算ができれば可能なので、担当に任せていた」
 指定弁護士「実務をやっている人に関与しないことをよしとしていた、と大久保さんが証言している。一切関わらないこととは違う。了解していたのか」
 被告「同じことではないでしょうか。実務をやらないのであれば。言葉のあやですね」
 指定弁護士「大久保さんや実務の担当者に監督は?」
 被告「具体的にはしていない」
 指定弁護士「政治資金収支報告書の作成はそれでよいと思っていたか」
 被告「分からないが、担当者に任せて十分正確にできる内容。大事でないと言っているわけではないが、任せても十分できる」
 「私にはもっともっと大事な関心、力を集中してやらなければならない政治上のことがあるということであります」
 《指定弁護士は小沢被告の認識についてただしていく。小沢被告はいらだちを見せつつ、興奮した口調で応える》
《指定弁護士によって、収支報告書をめぐる認識をただされ、いらだちをあらわにしていた小沢被告は落ち着きを取り戻した様子だ。指定弁護士は小沢被告が抱える秘書について質問する》
 指定弁護士「平成17年当時、秘書は何人いましたか」
 被告「調べてみないと正確に答えられませんが、書生等々を合わせて十数名はいたと思います」
 指定弁護士「そのうち東京に勤務する人は何人くらいですか」
 被告「うーん。大部分は地元の後援会がやってくれていたので、地元は減らして東京にシフトするようになりました。どのくらいというと、うーん、7、8割は東京にいたと思います」
 指定弁護士「東京勤務の人は全員が秘書なのですか」
 被告「言葉の定義にもよります。まだ学生の身分の者もおりますし、議員会館の通行証を持っていたのは5、6割でしょうか」
 指定弁護士「十数名の中には外国人秘書も含んでいますか」
 被告「はい」
 指定弁護士「秘書には公設と私設がありますが、平成17年10月当時、公設秘書は何人いましたか」
 被告「法律で定められた数しかいません」
 指定弁護士「東京には何人いましたか?」
 被告「うーん。ひとりひとり名前を挙げてアレすれば分からないこともないですが、即座には思い浮かびません」
 指定弁護士「大久保(●(=隆の生の上に一)規元公設第1秘書)さん以外にもいた?」
 被告「大久保以外にもいたと思います」
 指定弁護士「そうですか、ふーん。公設と私設で上下の別はありましたか」
 被告「私は区別したことはありません。(秘書側は)公設になりたいというのはあったと思いますが」
 指定弁護士「公設秘書が私設秘書に対して命令することは?」
 被告「秘書は皆、イコールであります。皆、仲間として仲良く頑張るというのが、私どもの事務所の方針です」
 指定弁護士「税務の視点から見ると、政治家個人と政治団体の会計は別にしないといけませんね」
 被告「はい」
 指定弁護士「秘書にも徹底していましたか」
 被告「そのつもりです」
 指定弁護士「どう指導していましたか」
 被告「訓示を垂れるとか、説教するとかはありません。自分自身で範を示せば、周りの人もしっかりやってくれるという意識が先行していました」
 《ここで指定弁護士側は質問を陸山会の土地購入へと移す。法廷の大型モニターに、陸山会が購入した不動産をリストアップした一覧表が映し出される。10件余りのマンション名などが記載されているようだ》
 指定弁護士「ここに載っていないもの。あるいは陸山会のものではないというものはありますか」
 被告「ふーん。ちょっと待ってください」
 《小沢被告は、顔を手元の小型モニターに近づけ、しばらくの間、じっと見入っている》
 被告「これは陸山会のものと思います」
 指定弁護士「池田(光智元私設秘書)さんがつけていたノートに『伊豆 土地がある』という記載がありますが、収支報告書には載っていません。心当たりはありますか?」
 被告「間違いだと思います。伊豆は陸山会と関係ないですから」
 指定弁護士「(土地の)購入に当たっては、あなたが了解されていたわけですね」
 被告「そうですね」
 指定弁護士「あなた自身が下見をしたものは?」
 被告「ありません」
 《今度は、大型モニターに小沢被告の署名が入った土地購入についての確認書が映し出される》
 指定弁護士「土地購入では、あなた個人と陸山会を峻別しなければならず、確認の書類を作ったと?」
 被告「はい」
 指定弁護士「(世田谷の)土地を購入するに当たって作成したこの確認書と同じようなものを、他にも作っていましたか」
 被告「はい。契約書は政治団体で作るようにと。念のため、確認書を作って疑念を抱かれないようにしておけといっておきました」
 指定弁護士「初めてそういう指示をしたのはいつですか」
 被告「それは分かりません。最初のころからそうしていました」
 指定弁護士「(過去に)個人の資産を一時的にも用立てたことはありましたか」
 被告「ありません」
 指定弁護士「(一覧表に記載された中の)4物件(の購入資金)は預金担保でなく、不動産担保で借り入れている。記憶にありますか」
 被告「ありません。記憶にありません」
 指定弁護士「預金担保にした方が金利が安いはずなんですが」
 被告「それは私に聞かれても分かりません」
 指定弁護士「さくら銀行から借りたことがありますね」
 被告「さくら…、はっはっはっ」
 《何がおかしいのか、小沢被告は低い声で笑い声を上げる》
 指定弁護士「記憶にない?」
 被告「分かりません」
 指定弁護士「さくら銀行では陸山会では借りられず、小沢一郎の個人名義でないと借り入れられなかった経緯があったということですが」
 被告「私が債務者になって借りた記憶があります」
 指定弁護士「奥様が連帯保証人になっていますが」
 被告「そうですか。政治家は金融機関から信用ありませんから、そういうことになったのだと思います」
 指定弁護士「(世田谷に購入した土地の)秘書寮は奥様の名義で建てられたと思いますが…」
 被告「家内の名義です!」
 《単なる名義貸しだったのではないかというニュアンスを含んだ指定弁護士の質問の仕方に不快感を示す小沢被告。指定弁護士が疑っているわけでないという意味を込め、「(質問は)真実性を否定するものでない」と告げると、小沢被告は「ふはははははっ」と高笑いした》
 指定弁護士「建物を建てたのは、秘書側から要望があったのですか」
 被告「そばに秘書がいてくれるのはいいことだと思いましたし、他の職場と比べ、(政治家の秘書は)仕事はきつく、給与は安い。給与を上げればいいじゃないかということになるが、人件費がかさむので、その分、住まいがあればいいと思ったことは事実です」
 指定弁護士「秘書が自分の寮を建ててほしいと借金まで依頼するとしたら不自然です。(寮の建設と土地購入は)あなたから持ち出した話ではないのですか」
 被告「今、言った通りです。私が主導したということではありません」
 《ここで裁判長が休廷を告げた。退廷を促された小沢被告は、ひと際大きな声で「はい」と返事をして、ペットボトル入りの飲み物を持って、弁護団の待つ座席に戻った》
 《証言台に座った小沢被告に対し、指定弁護士側は陸山会の所有するマンションなどの不動産について、改めて追及していく》
 指定弁護士「(陸山会が所有する)元赤坂タワーズ902号室、これはあなたが個人的に使用していたのか」
 被告「そうですね。政策勉強など、個人的な仕事で使っていた」
 指定弁護士「秘書が使用することは」
 被告「ありません。部屋の鍵やなんかは秘書が持っていたが」
 指定弁護士「この部屋には金庫がありましたね。この金庫の鍵は」
 被告「私が持っていた」 指定弁護士「(同じく陸山会所有だった)プライム赤坂204号室、これはシンクタンクが使用と」
 被告「そうです」
 指定弁護士「(秘書の)池田(光智)さんのノートに、『□○さん(法廷では実名)に7万円で賃貸』と記載があるが」
 被告「分かりません。何かコンサルタント会社と聞いているが」
 指定弁護士「□○さんについては?」
 「もちろん知っている。党の職員で、ずっと以前から、新生党のころから私どもの仕事を手伝ってくれた人。合併して民主党の職員になった」
 指定弁護士「(シンクタンクが使用と)午前中に言っていたことと矛盾しないか」
 被告「矛盾しないと思う。池田の認識がどうだったか知らないが」
 指定弁護士「賃料をとって貸していた?」
 被告「分かりません」
 指定弁護士「グラン・アクス麹町、ラ・セーナ南青山などのマンションを処分しているが」
 被告「処分したのはもっとあると思うが…。外国人のスタッフが入っておったところは全部処分したと思う。日中・日米草の根交流の事務所にしていたが、いつだったか忘れたが、ジョン万次郎財団(正式名称は「ジョン万次郎ホイットフィールド記念 国際草の根交流センター」)に寄付した」
 指定弁護士「処分したのは外国人秘書がいなくなったからか」
 被告「いなくなったということもあり、私の事情もあり、替わりを雇わなかったので。不動産の所有を禁止するという政治資金規正法が自民党政権で無理やり通ったので、処分した方がよかろうと」
指定弁護士「今は外国人秘書はいない」
 被告「はい」
 指定弁護士「陸山会の財産は秘書が管理しているんですよね。(陸山会が所有する)チュリス赤坂の事務所で」
 被告「はい、と思います」
 指定弁護士「チュリスに個人の金は置いていない」
 被告「ありません」
 指定弁護士「元赤坂タワーズで石川さんに渡したという4億円は、どんな金」
 被告「個人の金です」
 指定弁護士「政治資金はあったか」
 被告「ないです」
 指定弁護士「元赤坂タワーズに政治資金は入れない」
 被告「はい」
 指定弁護士「りそな銀行に開設した口座は陸山会の金を入れるためのものか」
 被告「と思います」
 指定弁護士「ここに個人の金を入れることは」
 被告「ない。というか、そういう指示を直接することはないと思う」
 指定弁護士「個人資金を政治資金と峻別するのが方針と。(双方を)ぐじゃぐじゃにすることはない?」
 被告「はい、ありません」
 指定弁護士「平成17年5月2日、りそな銀行の陸山会口座から4億円引き出されている。これは土地購入とは別のものということか」
 被告「陸山会の口座かどうか正確には分かっていないが、(引き出されたという)事実は分かっている」
 指定弁護士「石川さんはあなたの指示で改革国民会議のビルに行ったと言っている。あなたの指示か」
 被告「はい」
 指定弁護士「石川さんへの指示は、改革国民会議から金を持っていき、後で元に戻せという指示か」
 被告「ちょっと説明を。さっきは名前出すのをはばかられたが、私の最大の友人であり同志である八尋(護)さんという人がおりました。改革国民会議、改革フォーラムの責任者だったが、病で倒れた。彼から、改革国民会議の金を一度預かってくれないかという話があった」
 被告「言いつけたのは石川だろうと思う。金を取りにいって預かっておいて、と。陸山会に入れろ、預金に入れろという指示はしていないが、しばらくしたら(改革国民会議の事務所がある)紀尾井町に戻すように言った」
 指定弁護士「どうしてあなた自身が預かって元赤坂タワーズで保管しなかったのか」
 被告「分からない。八尋さんの指示だったし、彼の指示通りにした。石川は手元に金を置くよりも銀行にと思ったんだろうと。これを陸山会の口座に入れて、また返せといった具体的な指示はしていない」
 指定弁護士「八尋さんの要請は、陸山会で預かってという内容?」
 被告「それはない。八尋さんの金なので」
 指定弁護士「他と混同させないというあなたの方針からすれば陸山会で預かるのはおかしいのでは」
 被告「そういう意味ではない。結果として短期間で返している。混同には当たらない」
 指定弁護士「あなた個人の現金がたくさんある元赤坂タワーズで預かればよかったのでは」
 被告「それは八尋さんの意思で。一度銀行で保管して、という意思だったと思う」
 指定弁護士「あなたも、りそな銀行に口座を持っていますね? 八尋さんの要請ならば、なぜあなた個人の口座を利用しなかったのか」
 被告「何も不都合なことはないが、たまたま石川に頼んだところ、たまたま陸山会の口座に入れていたということだと思う」
 指定弁護士「峻別するという方針の例外ということか」
 被告「適切だったかどうかはご判断に任せるが、きちんと払い戻して陸山会と混同していない。指摘は当たらないと思う」
 《自分の金と政治資金はきっちり峻別していた、と繰り返し主張する小沢被告。指定弁護士側は質問の矛先を変える》
 指定弁護士「平成21年7月21日と8月17日、92人の個人に約5億円の寄付をしたとの記載が政治資金収支報告書にあるが、民主党の立候補者に対して寄付したということか。4億4900万円、この原資の大半は(旧新生党の資金がプールされている)改革フォーラム21から?」
 被告「3億いくらぐらいだったと思うが。かなりの部分はその通りです」
 指定弁護士「実際には3億7千万円ですか。この金を陸山会の銀行口座へ移動したことは」
 被告「確認していないので分からない」
 指定弁護士「改革フォーラム21から、3億7千万円の現金がわたるまでの経過を」
 被告「改革フォーラム21の責任者である平野(貞夫前参院議員)さんと話したところ快く引き受けてもらい、(小沢被告が代表の政党支部の)民主党岩手県第4区総支部を通じて寄付する形をとったが、手続きが遅れて自分の手持ちの金を出して後から返還を受けた、という経過でございます」
 指定弁護士「あなたの現金と陸山会の現金を引き出してあわせて出した?」
 被告「はい。秘書が手渡した」
 指定弁護士「あなたが立て替えた3億7千万円は、陸山会に入ったというより直接候補者にいったということか」
 被告「いや…そういう論理になりますかね? 時間にズレが出たので、手持ちの現金と陸山会の現金を合わせて寄付した。すぐに返還されたので、私個人うんぬんではないと思う。陸山会として寄付したんだから、陸山会のお金としてやったんじゃないですかね?」
 指定弁護士「収支報告書には、総支部から陸山会に金が入ったとある。池田さんと相談したか」
 被告「特別相談したというのはないが、池田も承知していたと思う」
 指定弁護士「池田さんはこの法廷で『(小沢被告から)そういう形で何か(寄付を)できるか、と聞かれたので、上限もあるので、借り入れとかそういう形ならできる』と説明したと言っているが」
 被告「政治団体は受け入れ限度額があるから、実行にするにあたり相談はしたと思う」
 指定弁護士「相談は実行後ではないか?」
 被告「いえ、平野さんと話してその後にした」
 指定弁護士「いつ池田さんと話したか」
 被告「(ムッとしたように)分かりません」
 指定弁護士「平成21年10月中旬ごろでは?」
 被告「え? 10月? 選挙後?そんなことはないと思います。選挙前だったと思います」
 指定弁護士「やってから相談したのではないか?」
 被告「理屈の上で改革フォーラム21から陸山会が金を受け入れるには限度額があるので、総支部を経由してやらなくていけない」
 《政治資金規正法では、政治団体間の寄付の上限を年間5千万円までと規定している。改革フォーラム21から陸山会に3億7千万円を直接移動させることはできないため、除外規定のある政党支部を介したことを認める発言だ》《こうした資金を迂回をさせる手法は同法に違反するとして、大阪の市民団体が昨年2月、小沢被告らを東京地検に刑事告発している。小沢被告が脱法性を認識していたことを裏付ける発言として注目されそうだ》 指定弁護士「総支部のお金が動いたことは?」
 被告「分かりません」
 指定弁護士「現金は、平野さんとあなたが資金調達して経理処理したのではないか」
 被告「そうではないと思います!」
 《政治団体を通じた「不可解な会計処理」を執拗に追及する指定弁護士側。小沢被告は淡々と答えているが、時折いらだったような様子も見せた》
 《指定弁護士は引き続き、捜査段階の任意の事情聴取で、平成21年に政治団体「改革フォーラム21」から党支部を経由して受けた3億7千万円の寄付について小沢被告が捜査段階で「全く関与していない」と供述していた点について追及していく》
 指定弁護士「事情聴取で全く関与せず、全く覚えていないと話していませんか」
 被告「多分後で訂正しています。勘違いしたせいです」
 指定弁護士「(平成22年1月の聴取で、寄付の)処理について『今年3月提出の収支報告書に記載されることになります』と供述していませんか」
 被告「うん、陸山会に入る金だから、当たり前のこととして申し上げました」
 指定弁護士「(政治資金)収支報告書の記載を、どう確認するんですか」
 《指定弁護士側は、各年度の収支報告書一切を確認していない、という小沢被告のこの日の供述の矛盾を突こうとする》
 被告「確認なんかしていません。当然そうなる、と思っただけです」
 指定弁護士「陸山会で、収支報告書の作成前に金の流れが分かるんですか」
 被告「(民主党岩手県)第4(区総)支部も陸山会も私が代表で、私は当然分かっていました。当たり前です」
 指定弁護士「でも、最初の取調べでは『全く知らない』と。22年1月の取調べですよね」
 被告「年月はわかりませんが」
 指定弁護士「一昨年の1月ですよ」
 被告「そう言われれば。年月のことはよくわからないんですよ(笑い)」
 指定弁護士「寄付は21年7月のことですが、わずか半年前のことで、何と何を勘違いしたんですか」
 被告「分かりません。思い出せませんが、改革フォーラム21の寄付であると気づかなかった、ということだと思います」
 《指定弁護士はさらに寄付金の認識について質問を繰り返すが、小沢被告は「え?」「はあ?」と理解できない様子。弁護側からも「誤導がある」と再三の抗議があり、指定弁護士は「もう、いいです」と質問を変える》
 指定弁護士「個人資産について尋ねていきます。資産公開法に基づく資産等報告書ですが、(小沢被告が)見たことがないというので、一度目を通して見てください」
 《モニターに各年の資産報告書など数枚を表示させる。小沢被告は真剣な表情で確認している》
 指定弁護士「資産報告書と補充報告書の違いは、補充報告書が資産の変動があったときに提出するという理解でいいでしょうか」
 被告「そういう言葉で言われると分かりませんが。資産を国会に報告するものだと思っています」
 指定弁護士「違いを説明してください」
 被告「言葉尻では、(補充報告書が)資産が増えたときかなあ。分かりません」
 指定弁護士「報告書の提出に刑罰規定はないが、虚偽の記載があれば政治家として強いリスクを負うと理解していいですか」
 被告「それは内容によるんじゃないですか」
 指定弁護士「著しい虚偽記載があれば、問題になるということでいいですか」
 被告「非難されるような虚偽であれば、それはそうです」
 《小沢被告が土地購入の原資として提供した4億円は、それまでの資産報告書に記載されていない「タンス預金」だったことから、「不透明だ」とする批判も出ている》
 被告「報告書を書くのには関与していませんが、ただ資産が増えたときは(秘書に)報告(書を提出)させただろうと思います」
 指定弁護士「(資産変動の秘書に対する)情報提供はあなたが?」
 被告「そうですね、私の関係のことなら」
 《指定弁護士は、土地購入の原資となった銀行融資の担保として設定された小沢被告名義の「定期預金」が報告書の記載にない点を追及する。現金で保有するタンス預金は資産等報告書への記載義務はないが、定期預金であれば記載しなければならない》
 指定弁護士「弁護側は、銀行借り入れの担保の定期預金4億円について、預金者があなたであると主張していますね」
 被告「最初から申し上げているように、手続き的なことは一切関与していないので分かりません」
 指定弁護士「資産が増えたら秘書に話をする、と先ほど話していましたよね?」
 被告「…え?」
 《弁護側が「小沢氏が秘書に伝えているのは自分が把握している資産の変動で、定期預金については把握していない」と異議を唱える。協議の最中、小沢被告が口をはさむ》
 被告「報告書の作成については、全部知らないと言っています。『被告人』には理解できません!」
 《自らを「被告人」と呼ぶ小沢被告の“ジョーク”で資産に関する議論は打ち切りに…。指定弁護士はお茶を口に含んでから、土地購入の経過について再び尋ねていく》
 指定弁護士「平成13年にかけて、寮の確保は差し迫っていた?」
 被告「人数の増加は覚えていないが、(東京都世田谷区)深沢8丁目を購入せんとする時期は一番、秘書、書生、秘書の家族が多くなってきた時期だった」
 指定弁護士「寮(の建設)が必要という要請はいつから」
 被告「何が何でも、ということではない。何度も申し上げるが、昼夜、土日もない、安月給で働かせて『すまんな』という思いがあった。近所にいるのは便利なのでそうしたいな、と」
 指定弁護士「(寮の確保が)具体化した最初は?」
 被告「分かりません」
 指定弁護士「購入は16年10月ごろですが、あなたの関わりがいつ始まったか記憶は?」
 被告「ありません」
 指定弁護士「寮の確保のため、借りる、給料に上乗せする、ということを検討したことは」
 被告「それも、賃貸で借りるというのを後援会(陸山会)でやると、政治団体から資金が出る。ローンを組めるなら(家賃を払わず)資産を確保するのがいいかと思ったのは事実。これは一般でも同じ感覚を持っているのが普通。近所に住まん、ということを踏まえてそう思っていた」
 指定弁護士「具体的に深沢8丁目の土地に寮を確保するときに借りる、ということを検討したことは」
 《ここで、指定弁護士が多用する「検討」という言葉について、弁護側から「待った」がかかった。弁護側は「思い浮かべた」や「議論した」などさまざまな意味があると指摘。指定弁護士は苦笑いを浮かべながら改めて質問した》
 指定弁護士「借りることを選択肢に協議したことはありますか」
 被告「大久保(隆規・元公設第1秘書)と?」
 指定弁護士「はい」
 被告「それはなかった」
 指定弁護士「あなたが選択肢として考えたことは」
 被告「買うことができれば買った方が、という感覚はあった」
 指定弁護士「大久保さんでも他の人でも、(寮を建てる土地を)探すよう指示したことは」
 被告「していないと思います。その当時、秘書の人数が増えたので、必要性を感じておりました」
 指定弁護士「指示していないが、大久保さんから持ち込まれた、と」
 被告「1つ1つ区切って質問されると、アレですが。彼らも私も共通の認識があった」
 指定弁護士「探すよう言ったか、大久保さんが持ってきたか」
 被告「個別の指示はしていません!」
 指定弁護士「深沢8丁目の土地は大久保さんが見つけた?」
 被告「と思います」
 指定弁護士「(話を)持ってきたのは大久保さん?」
 被告「石川(知裕・衆院議員)もいたか定かではないが…」
 指定弁護士「4区画で3億5千万円という金額が秘書から出てきたが、予算は(あらかじめ)伝えていましたか?」
 被告「伝えておりません」
 指定弁護士「物件はごらんになられましたか」
 被告「話を聞いてから、散歩の途中で見たと思います」
 指定弁護士「印象は?」
 被告「いい土地だと思う、と。よかろうというのはありました」
 指定弁護士「見に行った後、『よい』と大久保さんに言いましたか」
 被告「そういうことではない。大久保から話が来てから見た、ということ」
 指定弁護士「見て、『よい』と言う前に話は進んでいたということですか」
 被告「じゃないかと」
 指定弁護士「土地の選定と購入資金の話をしたのは別の場面でしょうか」
 被告「あー。会話は別々ですよ」
 指定弁護士「(購入に向けて交渉を)進めてみようとしたら資金が足りないので、石川さんや大久保さんからお金の相談があったということですか」
 被告「そうだと思います」
 指定弁護士「(資金面で)どのような相談がありましたか」
 被告「これも言葉尻ですが、現実に後援会の金を調べたと思いますが、(関係政治団体の資金を)かき集めれば購入できるが、使うと政治団体、政治活動の運営に支障を来すということだった」
 指定弁護士「その後、ローンで(資金を)借りたいとか、(資金が足りないので)やめようとかにはなりませんでしたか」
 被告「具体的には記憶にないが、そういう話があったので、じゃ、たまたま手持ちがあったので活用したらよかろう、と」
 指定弁護士「石川さんの証言では、あなたに『資金を貸してくれますか』といったとありますが、(当時の)記憶はありますか」
 被告「記憶はありませんが、会話があったともなかったとも分かりません」
 指定弁護士「石川さんは『貸してくれますか』という質問をしましたかという問いに『ある』と証言しています」
 被告「あったともなかったとも記憶はありません」
 指定弁護士「いずれにしても4億円を用立てる、と」
 被告「そうだと思います」
 指定弁護士「そのとき、いつごろまでに用立てる、というのは」
 被告「いいえ、そんなことは言っていません。必要なときに出すということです」
 指定弁護士「いつでも出せる、ということは」
 被告「言っていないと思います」
 指定弁護士「(資金調達の目処がなければ)手付けや決済時の残額の支払いなどがあり、契約の流れをつかみにくいと思うのですが」
 被告「そんなことはありません。手持ちを用立てる、と言ったので、(石川議員は)そう理解したと思います」
 指定弁護士「手持ちを用立てるとは言いましたか」
 被告「と思います」
 指定弁護士「石川さんの証言では(平成16年)10月12日ごろにお金が渡っている」
 被告「年月日は分かりません」
 指定弁護士「それ(石川議員の証言)を否定する記憶はありませんね?」
 被告「はい」
 指定弁護士「いつ契約をしたかについては聞いていませんか」
 被告「はい」
 指定弁護士「10月12日、石川さんに会って現金を渡す際に(土地の売買)契約は済んでいます」
 被告「そんな話、個別の具体的な話はなかった」
 指定弁護士「担当者の石川さんから(契約)予定日などの報告はあったと思うが」
 被告「そうは思いません。そのときに渡すということで話は完結している」
 指定弁護士「普通、契約担当者であれば、進行中の案件について隠す理由はないですよね」
 被告「理由はないです」
 指定弁護士「10月5日、(現金を渡す)1週間前に契約は済んでいる。(10月)12日に現金を受け取った際に黙っているのは…」
 《ここで再び弁護側が立ち上がり、質問が重複していると主張。「同じ質問を3回もしている」と声を荒らげるが、指定弁護士は「大事な部分」と取り合わない。大善文男裁判長は指定弁護士の意向を汲み、弁護側の主張を却下した》
 指定弁護士「事務担当者の報告はあってしかるべきだ」
 被告「隠す必要はありません。とはいえ報告の必要もない。最初から言っているが、政治家と秘書は人間の信頼関係がないと成り立たない。いちいち聞いたり、報告を受けたりする物理的、精神的なヒマはない。私は関心を持って全力を尽くさないといけない仕事がある」
 《小沢被告は政治家の“美学”を披露。秘書の心意気についても「秘書は私の姿勢を知っているので、そのようなことを報告する必要はないと思っていたのでは」と解説した》
 指定弁護士「お金を渡すときには、土地を買うと?」
 被告「感じていました」
 指定弁護士「代金を支払うとか、定期(預金)を組んで、それを担保にお金を借りることについての認識は?」
 被告「どのように進めるかは彼の裁量だ」
 指定弁護士「借りようが、どうするかは石川さんが決めること、と」
 被告「預けた以上は石川の裁量だ」
 指定弁護士「定期(預金)でお金を借りるとの説明はありませんでしたか」
 被告「はい」
 指定弁護士「そのまま支払われると思いそうですが、あなたは?」
 被告「(現金を預けた)そのときにおいては、どうするかは石川の判断次第。詮索することでもない」
 指定弁護士「(現金が)しばらく保管されるとは思いませんでしたか」
 被告「分かりません」
 指定弁護士「口座で保管したり、現金で保管したりという考えは?」
 被告「関心もありません、考えもありません」
 指定弁護士「政治団体で保管することは?」
 被告「全く分かりません」
 指定弁護士「個人口座の入金は?」
 被告「一切考えません」
 指定弁護士「どの口座に入金されるか、念頭に浮かべましたか?」
 被告「考えておりません」
 《「分からない」「考えない」「関心もない」と否定を繰り返す小沢被告。指定弁護士はいらだちを募らせたのだろうか。石川議員を呼び捨てにして、こう尋ねた》
 指定弁護士「あなた自身が入金して、石川が引き出すという方法を考えなかったのですか」
 被告「現金で持っていましたので」
 指定弁護士「(4億円の現金を)銀行員に取りに来てもらうことは」
 被告「考えません」
 指定弁護士「物騒ではないですか?」
 被告「物騒とは思いません」
 指定弁護士「石川さんが多数回に分けて入金したことは今はご存じですか」
 被告「確か証言か何かであったかと」
 指定弁護士「『多額の現金所持は銀行に突っ込まれる』という(石川議員の)証言は?」
 被告「覚えているように思います」
 指定弁護士「秘書が『あなたが多額の資産を持つこと(が発覚するのを)を避けたい』と思っていたとの認識がありますか?」
 被告「あのー、現金を持つことはとやかく言われることではないと秘書も考えていると思います」
 指定弁護士「お金をたくさん持つということについて、あなたの認識は?」
 被告「自分の懐具合を積極的にしゃべって歩く意思もないですけど、ちゃんと了とした土地の購入で何らとやかく非難されることではないので、どっちみち公になる可能性が強いのだから、特段それを意図的に避けようとするわけではありませんでした」
 《指定弁護士は石川議員が4億円を複数回に分散させて銀行口座に入金した動機を考えるよう促した》
 指定弁護士「では、なぜ石川さんがそういう行動を取ったのだと、そういう思いになったのだと思いますか」
 被告「秘書として、議員にマイナスにならないように、との心構えを役目と考えたからだと思います」
 《指定弁護士側はこの日の質問をここで切り上げた》
 《証言台から素早い足取りで弁護側の席に戻った小沢被告は指定弁護士側をじっと見つめていたが、大善裁判長が次回公判の予定を説明すると大きくうなずいた》


小沢一郎氏裁判 13回公判《前》/4、5億円の現金を手元に置くのは以前からそうしていた/使い勝手がいい

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小沢氏被告人質問 2日目始まる
NHKニュース1月11日 11時11分
 民主党の小沢元代表の裁判で、2日目の被告人質問が行われ、小沢元代表は、土地を購入する際に提供した4億円を手元に保管していたことについて、「億単位の金が手元にあることは、私の感覚ではそれほど離れたことではない」などと述べ、不自然なことではないと強調しました。
 民主党の元代表、小沢一郎被告(69)は、資金管理団体が土地を購入する際に提供した4億円を巡り、収支報告書にうその記載をしたとして、検察審査会の議決によって強制的に起訴され、2日目の質問が東京地方裁判所で行われています。11日は、まず、検察官役の指定弁護士が質問に立ち、小沢元代表が4億円を銀行に預けずに手元に保管していたことについて、「億単位の金を手元に置いておくのは想像できない」と聞くと、小沢元代表は「現金を手元に置くというのはずっと以前からそうしていた。4億から5億円の金がいつからあったか分からないが、かなり前からあった」と述べました。そのうえで、「何かの必要があるときにすぐに対応できる。感覚の違いというが、現金が手元にあるのは安全でもあるし、私の感覚としてはそれほど離れたことではない」と反論しました。また、4億円がパックにされ、新聞紙に包まれた状態で秘書に渡されたことについて、指定弁護士が質問すると、小沢元代表は、「たぶん自分が行ったと思う」と答えたうえで、「プライベートな資金なので資金や金庫について秘書には関わらせていない」と述べました。さらに、指定弁護士が4億円を渡した状況について、「金庫から億単位の金を出すのは初めてなのに、具体的な記憶はないのか」と問いただすと、小沢元代表は、「具体的な個別の記憶はない」と答えました。小沢元代表は、検察官役の指定弁護士から執ような質問を受け、時折、いらだちを見せながら潔白だと強調していました。小沢元代表への質問は11日夕方まで行われ、最後には、裁判官が疑問に感じた点について質問することになっています。
.................................
小沢氏裁判(12)現金受け渡しは
NHKニュース1月11日 13時27分 
 小沢元代表への被告人質問の2日目。検察官役の指定弁護士は土地を購入する際に用意した4億円について、小沢元代表に質問しました。法廷での主なやりとりの概要は次のとおりです。
(指定弁護士)10月に石川さんに渡した4億円は、元赤坂タワーズで渡したということでいいですか。
(小沢元代表)そうだったと思います。
(指定弁護士)石川さんは『1億円ずつビニールコーティングされた状態で、4つの紙袋に分けられていた』と話しているが、それでいいですか?
(小沢元代表)私の記憶で、そう残っているわけではありません。1億円のパックもあったかもしれないが、バラのものと1つにまとめたものもあったかとも思い、正確には覚えていません。
(指定弁護士)全部がビニールの1億ずつとは断定できないわけですか?
(小沢元代表)記憶がはっきりしていないので、それを違うとも断定できません。
(指定弁護士)中には1億のパックもありましたか?
(小沢元代表)あったと思います。
(指定弁護士)包んだのは、あなたや関係者ですか?
(小沢元代表)いやそうではありません。
(指定弁護士)銀行から下ろしたときの状態?
(小沢元代表)だったと思います。
(指定弁護士)銀行から下ろしたままのものがあったということですか?
(小沢元代表)はい。
(指定弁護士)どの銀行ですか?
(小沢元代表)事情聴取を受けるに当たり、自分の手元に親から引き継いだ以外の現金も持っていました。しかし、手元にあったというのは客観的に明らかにできないので、金融機関に残っていないかと資料の問い合わせを要請しました。もう10年も、それ以上も前のことで、資料はないとのことだったが、なんとかしてくれと資料は出してもらいましたが、すべてを銀行側自体がよく分からないというところだったが、その中で確認できたのが、私が文京区の自宅を売って、世田谷に新しい土地を購入したこと。そのときはバブルの始まりのときで、思った以上に高い値段で旧来の自宅の売却ができました。その差額もかなりの額でありました。その出入りを示す資料を銀行から得られませんでした。そこで最小限の銀行からおろしたお金が2億円の出金の記録がありました。もう1つの銀行で、私が心臓でもって倒れて入院したあとと思いますが、万が一のことを当時、考えたと思いますが、銀行に預けていた分に手持ちの金を加えて預金しました。その預金は、確か金融危機のあたりでしょうか、そういったこともあり、その他、個人的事情もあり、解約しました。金額は3億円。その後、6000から7000万円も解約しました。この2つの記録が、せいいっぱい、銀行に要請して確認できたもので、合わせて5億6000万円から7000万円になります。
(指定弁護士)私はどこの銀行から下ろしたものかと聞いたのだが、そういった質問は検察官からも聞かれましたか?
(小沢元代表)それは検察官は、すべてを知っていましたので。
(指定弁護士)あなたに尋ねましたか?
(小沢元代表)質問の前後は覚えていません。私が言ったかもしれません。

小沢氏裁判(13)銀行取り引きは
1月11日 13時27分
(指定弁護士)4億円の原資について、1月23日付けの供述調書に『昭和60年に湯島の自宅を売却して、深沢の自宅の土地を購入し、建物を建てた際、残ったおよそ2億円を積み立てていた銀行の私の口座から、平成元年11月21日に引き出した現金2億円、信託銀行の家族名義の口座から平成9年12月15日に現金で引き出した合計3億円、同じ口座から平成14年4月3日に現金で引き出した6000万円の合計5億6000万円のうち、平成16年10月に元赤坂タワーズの事務所の金庫に残っていた4億数千万円のうちの4億円です』とありますが?
(小沢元代表)ご存じと思いますが、検察の事情聴取では、私が資料を持って話しているわけではありません。何月何日にどこの銀行で、というのは答えていません。それは検察の調査でそうなったのだろうし、私としては日付までは覚えていないので、調書はそういう記載になったのだと思います。
(指定弁護士)今、話したことは調書と同じ趣旨ですか?
(小沢元代表)はい、そうです。
(指定弁護士)信託銀行の3億円については、その日のうちに小沢和子さん名義の口座に2億9800万円が入金されていることが分かって、後に供述を変えたんですか?
(小沢元代表)変えていません。和子名義の口座に入金があったことについては具体的には分かってなかったと思います。
(指定弁護士)その後、検察が資金の流れを追っていったら、和子への入金が分かって、その後、あなたが供述を変えたことはありますか?
(小沢元代表)和子に振り込まれた金が安田の3億円そのものであるかどうかは私は分かりません。
(指定弁護士)これは一問一答の調書ですが、あなたは『信託銀行から出金した3億円について、銀行の和子さん名義の口座に2億9800万円の振込があることが確認できましたので、その振込は信託銀行から出金した3億円の中から振り込んだものだと思います。3億円の出金は私が指示をして和子が入れたのかもしれません』と供述しています。また、別の調書では『私としては4億円が自己資金に由来するものであることは間違いないと言える』と供述しています。こういうやりとりが検察官との間でなされたことはありましたか?
(小沢元代表)そうかもしれないが、正確な記憶はありません。信託銀行の金そのものという認識はありませんでした。
(指定弁護士)4億円の出どころについて、あなたは調査はしましたか?
(小沢元代表)銀行に再三、金の出入りの明細や資料を教えてくれと言いましたが、銀行もないのか分かりませんが、そういう古いものはないということでした。
(指定弁護士)信託銀行から出金した3億円が、石川さんに渡した4億円に含まれるという見解ですか?
(小沢元代表)手持ちの金もあったが、客観的資料でお示しできるものではないので、金融機関に尋ねたわけです。しかし、結果として詳細な資料はありませんでした。私としては信託銀行からおろした金も金に色はついていませんので、トータルの原資になったと思います。
(指定弁護士)あなたはこれまで金融機関から億単位の引き出しをしたことは、ままあったのでしょうか?
(小沢元代表)はっきりしたのは自宅の転居の際の売買代金です。しかし、売買代金を出した記録は銀行からもらえませんでした。湯島の自宅を売って、世田谷の自宅を購入した際の差額はかなりあったと思いますが、銀行から出てきたのは2億円。そのほかもあったと思いますが、説明できる資料はありません。
(指定弁護士)じゃあ、こういう聴き方をしましょうか。4億円の現金は元赤坂タワーズにいつごろからあったんでしょうか?
(小沢元代表)年月日までは分かりません。しかし、現金を手元に置くのはずっと以前からそうしていました。4、5億円の現金が元赤坂にいつからあったかは分かりませんが、かなり前からあったと思います。
(指定弁護士)感覚の違いかも知れないが、私からすると億単位の現金を自宅に置いておくというのは想像ができない。現金を置いておくのはどういう考えからなのですか?
(小沢元代表)一つは何かの必要があるときにすぐに対応できる。感覚の違いとおっしゃいましたが、手元にあることは安全でもあるし、私どもの感覚としてはそれほど離れたことではないと思います。
(指定弁護士)話を変えます。平成16年10月に銀行の衆議院支店に個人口座をお持ちでしたよね?
(小沢元代表)いつからかは分かりませんが、もっておったと思います。
(指定弁護士)あなたの事務所で通帳を管理していたんですか?
(小沢元代表)はい。ずっとそうだったと思います。
(指定弁護士)その口座にはどういうお金が入るんですか?
(小沢元代表)歳費。それと顧問をしている会社の顧問料。新聞、雑誌の出演料というのか執筆料もそこに振り込まれていました。まとまったのでいうと、日本改造計画の印税も何冊かの本を出した印税もかなりの額に上ったと思います。
(指定弁護士)あなたの収入は基本的にはこの口座に振り込まれるのか?
(小沢元代表)はい、そうだと思います。
(指定弁護士)石川さんに渡した4億円は、この口座からも出ていますか?
(小沢元代表)通常使っていた口座からではないと思います。記録がないので客観的資料に基づいていませんが、売買代金には違う口座を使ったのではないかと資料から判定できるので、その口座は解約されているので一時的な臨時の口座でした。売買の最後の2億円しか資料からは提示されませんでしたので。

小沢氏裁判(14)金の取り扱い
1月11日 16時5分 
(指定弁護士)4億はビニールパックであって、紙袋に詰めて渡したということだが、事務所の金庫には、紙袋に入った状態であったのですか?
(小沢元代表)それは記憶しておりません。
(指定弁護士)では聞き方を変えましょう。金庫から出してから紙袋に入れたのですか?
(小沢元代表)ですから具体的な状況は記憶しておりません。紙袋であったのか、私が詰めたのか、明確な記憶はありません。
(指定弁護士)あなたといえども、金庫から億単位の金を出したことはないんですよね?
(小沢元代表)はい。
(指定弁護士)それなのに具体的な記憶がないんですか?
(小沢元代表)具体的な個別の記憶はありません。
(指定弁護士)1億は10キロありますよね?
(小沢元代表)分かりません。
(指定弁護士)紙袋に入れる前はどういう状態なのですか?持ちやすい?
(小沢元代表)持ちやすい状態かというと、そうではないと思います。
(指定弁護士)石川さんは「4億はビニールパックで新聞紙に包まれ、外から分からない状態だった」ということだが、誰がそういう状態にしたのですか?
(小沢元代表)それはたぶん、僕だと思います。その日にしたかどうか分かりません。
(指定弁護士)1億は10キロと重いものだが、紙袋に入れて新聞に見れなくするという作業を、どうして秘書にさせないんですか?あなたは忙しいのに。
(小沢元代表)私のプライベートな資金ですので、それについて秘書に金庫についても秘書にはさせておりませんでした。今は通帳を持っていますが、以前は通帳もはんこも預けていたのではなく、私の机の鍵のかかっていないところに一緒にしていて、見ようと思えば見ることができました。
(指定弁護士)通帳やはんこを秘書が使った場合、報告はあるのですか?
(小沢元代表)いや必要な作業であれば、なかったと思います。付随して、今思い出したので言いますが、土地を購入する際の四百数十万円の金利について検事に言われましたが、それが私個人の口座から出ていたというのも、この事件まで知りませんでした。
(指定弁護士)平成19年に4億は返された?
(小沢元代表)平成19年かどうか覚えていませんが、しばらくして返してもらったと思います。
(指定弁護士)現金で?
(小沢元代表)だと思います。
(指定弁護士)どこで?
(小沢元代表)元赤坂だったのかなと。
(指定弁護士)誰が返したのですか?
(小沢元代表)石川か池田だったと。
(指定弁護士)石川さんは、このとき秘書をやめていますよ?
(小沢元代表)では池田です。
(指定弁護士)あなたの指示だと思いますか?
(小沢元代表)元赤坂という場所からすると、そうだと思います。
(指定弁護士)現金で返すように、とも?
(小沢元代表)格別「現金で」とは言っていません。現金で用立てたので、感覚としては現金で返すのだろうと私も秘書も思ったと思います。
(指定弁護士)感覚の違いと言われるかもしれないが、銀行に戻ってきた金なら、あなたの、りそな銀行に振り込めばよかったのではないかと思いますが?
(小沢元代表)先ほども申し上げましたとおり、手元にいつ何があっても使い勝手がいいようにある程度の現金を持っていました。従って、現金で返してもらっても不自然ではありません。
(指定弁護士)これも感覚の違いと言われればそれまでなのかもしれませんが、陸山会の口座に入っていた金を現金にして届けたようですが、銀行の口座からあなたに金を移すなら、あなた個人の口座に振り込めばよいと思うのですが、なぜ現金にしたのですか?
(小沢元代表)先ほど申し上げたとおり、手元にいつ何があっても使い勝手がいいように、いつも手元にある程度の現金を持っていました。したがって、手元に現金で返させたことは不自然ではありませんし、銀行の口座は一定の収入についての口座として使っているので、現金で金を受け取るというのは不自然さも違和感もない。

小沢氏裁判(15)秘書は“家族”
1月11日 16時43分 
(指定弁護士)土地の代金を支払うまでの間に石川議員たちは売り主や仲介役とさまざまな交渉をしていますが、その経緯については聞いていないのですか?
(小沢元代表)聞いていません。
(指定弁護士)私の感覚だと、あなたの意見も聞かずに登記を翌年にずらしたり、その一方で、予定どおりにお金を支払ったりすることを秘書が決めるというのは不自然だと思うのですが?
(小沢元代表)法廷でも申したところでございますが、役所や企業の上下関係とは違って、本当にひたすら人間の信頼関係で成り立っているのが政治家と秘書であります。私の秘書は学生時代から書生として寝食をともにしてきた者たちがほとんどでありまして、その意味では家族のような存在です。政治家の仕事という意味でも、秘書の裁量や能力でできることなら任せるものなのです。そうしないと、本来の天下国家のことに集中できません。そういった両面からの意味でも事務的なことは彼らの裁量に任せていました。
(指定弁護士)10月29日付けの融資申し込み書を示します。あなたがサインしたもので間違いないですか?
(小沢元代表)はい。
(指定弁護士)2つは同じときにサインしたものですか?
(小沢元代表)そうかもしれないし、そうでないかもしれないし、場所時期については正確に分かっていません。
(指定弁護士)サイン以外の部分は、すでに記載されていましたか?
(小沢元代表)さあ。分かりません。
(指定弁護士)約束手形の4億円という金額は記載されていましたか?
(小沢元代表)覚えていません。
(指定弁護士)サインを求めてきたのは、石川さんですか?
(小沢元代表)何となくの記憶では、石川と銀行の人が一緒のような明確ではありませんが、そんな記憶を持っています。
(指定弁護士)4億円を借りる書類だということは分かっていましたか?
(小沢元代表)私が借りるという認識を持っていたわけではありません。ただ、こういう形式を取る、そのために私のサインが必要なんだという認識です。
(指定弁護士)書類を見れば借りる書類だと分かるのでは?
(小沢元代表)書類を正確に見たかどうかは分かりません。サインしろと言うからしたということだと思います。
(指定弁護士)形式的には、サインはあなただが実質は違うという説明はありましたか?
(小沢元代表)ありません。
(指定弁護士)石川さんからなぜサインが必要か説明がなかったのですか?
(小沢元代表)ありません。以前にも形のうえで、私が金を借りることはあったと思いますので、また、銀行との間でそういうことになったのかなあというだけの話です。
(指定弁護士)石川さんは預金担保で金を借りて不動産の支払いにしますなどと説明したと証言していますが、(説明が)なかったのですか?
(小沢元代表)細かい説明を受けた記憶はありません。ただ、銀行と仕組みを考え、その結果、サインが必要になったのだろうと考えただけです。
(指定弁護士)どんな仕組みだと理解しましたか?
(小沢元代表)私が決済の債務者、責任者ということでしょうから、そういうやり方だろうと思ったが、いずれにせよ、細かなことにはまったく関心がありませんでした。
(指定弁護士)(サインをするときに)売買代金は払われていると思いましたか?まだ払われていないと思いましたか?
(小沢元代表)具体的なことは考えていません。
(指定弁護士)金を借りるためのものということは分かるでしょう?
(小沢元代表)具体的な中身は任せた以上、彼らが相談してやったことだと思っただけです。法的にどうとかどういう手続きだとか、一切関係ありません。
(指定弁護士)これから融資を受けるための書類だということも分からなかったんですか?
(小沢元代表)多分、分かっていたと思うが、そういう類のことに注意関心がなく、したがって記憶にないということだと思います。
(指定弁護士)(サインの)直前に代金を支払っていることを今はご存知ですよね。
(小沢元代表)この法廷で証言を聞いたことだったんでしょうか。申し訳ありません、覚えが悪くて。
(指定弁護士)同じ日の9時半から10時の間に関係者が銀行に集まって、代金を支払っているが、今もご存知ない?
(小沢元代表)ええ。聞いたような気はしますが、明確に関心をもっているわけではないので、記憶はありません。
(指定弁護士)金を払ったことすら石川さんは言ってないんですか?
(小沢元代表)聞いておりません。
(指定弁護士)石川さんが隠さなくてはいけない理由はあるんですか。
(小沢元代表)聞かされていないし、聞く必要性も感じていないです。
(指定弁護士)これから融資を求めるということは、何らかの説明があったのでは?
(小沢元代表)ずっと前に署名したことで残る話ではないので、署名のときの話をされても。
(指定弁護士)石川さんが銀行から融資を受ける話は以前からありましたか?
(小沢元代表)なかったと思います。
(指定弁護士)初めてということですか?
(小沢元代表)お願いしますということだったと思います。

小沢氏裁判(16)4億円の金利は
1月11日 17時3分 
(指定弁護士)銀行から4億円を借りることの利払いだが、利払いを払うのは、陸山会と考えていいか?
(小沢元代表)だろうと思います。
(指定弁護士)そうすると、当然、負担は、小沢さんではなくて、陸山会が負担する?
(小沢元代表)日常の政治家と秘書の間で、話したとおり事務は任せていたので、いろいろと考えた記憶はない。
(指定弁護士)任せても、むだなことは任せていませんよね?
(小沢元代表)金利のことですか?
(指定弁護士)コピーの裏用紙を使うことも許さなかった?
(小沢元代表)許さなかったとか、主従の関係ではない。倹約や環境、当たり前のことを言っただけです。
(指定弁護士)厳格に対応していた?
(小沢元代表)そうです。むだにしないようにやっていたと思う。
(指定弁護士)金利負担について、疑問があれば秘書に任せる問題ではなかったとは分からないのですか?
(小沢元代表)いいえ。実際の融資を受けて金利を支払うことは別次元の話。現実に金融機関との話し合いでそうなることで、それと日常のむだ遣いとは次元が違う話だ。
(指定弁護士)4億円を用立てるのに年何百万円の金利を支払う借入の合理性はどう考えていたか?
(小沢元代表)何度も言いますが、理詰めで考えていない。実際の実行にあたり、金融機関と相談して、そういう手法を取ったので、不合理、おかしいという認識はない。
(指定弁護士)秘書がやったことの合理性は考えなかったのですか?
(小沢元代表)意味が分かりませんが。
(指定弁護士)それについてのチェックはしなかったのですか?
(小沢元代表)金利うんぬんとか、石川うんぬんとかいう疑念は一切もちませんでした。
(指定弁護士)4億円の返済はどうするつもりだったのですか?
(小沢元代表)私は、特別考えていませんでした。
(指定弁護士)定期預金から2億円を返し、残りの2億円は平成18年3月に定期預金を解約して返しているが、こうした予定だったのですか?
(小沢元代表)それはまったく分かりません。

小沢氏裁判(17)供述の“変遷”
1月11日 17時23分
(指定弁護士)確認書の日付は平成17年1月7日だが、あなたは調書中の供述で「確認書の日付は平成17年1月7日となっているが、記憶では代金を支払ってから、そんなに遠くないときに作成したと思います」と供述していますが?
(小沢元代表)記憶にありません。とにかく確認書がないと秘書から聞かされ「それは作っておきなさい」といったもので、いつやったかという明確な記憶はありません。
(指定弁護士)事情聴取の際にその記憶はありました?
(小沢元代表)あったと思います。
(指定弁護士)自分の記憶通り検察官に話しましたか?
(小沢元代表)ですから何年も前、何十年も前の記憶はありません。しかし、検察官との問答のときは「そうだったかなあ」と思って話したこともあったと思います。
(指定弁護士)1月23日の調書では、確認書を公表直前に作成したとの問いに「そうではない」と答えた記憶はありますか?
(小沢元代表)ありません。
(指定弁護士)やりとりは覚えていないですか?
(小沢元代表)はい。
(指定弁護士)このような供述の変更をしたことを記憶していますか?
(小沢元代表)ありません。私の記憶に残っていることは、公表しようという時期については分からないが、確認書がないと知らされた時点で、とにかく早く作れ、と言って確認書が出来たとの記憶。
(指定弁護士)質問を変えます。収支報告書のことを尋ねているが、収支報告書は形だけ整っていればいいと考えていましたか?
(小沢元代表)収支報告書が大事ではなく形だけのものと言っているわけではない。最終的に国民の閲覧に供するものであり、きちんとしたものを作成するのは当然だが、中身の作業を見れば普通の人であればできることであるし、秘書がきちんとできる能力を備えていたと思うので任せていた。私の関心事はもっともっと大事なことに集中するということです。
(指定弁護士)正確でなければいけないとは強く思っていたということですが、その思いは秘書も持っていた?
(小沢元代表)はい。そう思います。
(指定弁護士)これは「週刊文春」から、あなた宛の取材のお願いに対して、池田さんの名前で回答したものです。この書面はご存じですか?
(小沢元代表)文春と特定して来ているということは分かりません。いろいろな週刊誌やTVなど、何かの折には来ると聞いています。
(指定弁護士)事前に目を通して意見を言ったりは?
(小沢元代表)ないと思います。
(指定弁護士)池田さんは、この原稿をあなたが見て電話で訂正を指示されたかと聞かれて「確かにそうだったと記憶しています」と答えていますが?
(小沢元代表)文春のこの問い合わせに対し、池田に対して電話で何かを指示した記憶はありません。ただ、当時は事務所費公開の前後の不動産の所有について、マスコミを中心に騒がれていた時期だったので、これらの問い合わせがたくさんきていると聞いていました。一度や二度は、最初のころは趣旨で聞いたことはありましたが、正確な記憶があるわけではありません。
(指定弁護士)回答の第2項で「金融機関からの借り入れで預金を担保に」と答えていますが、あなた個人の金が提供されたことが記載されていないが、4億円の提供を隠す意思があったのですか?
(小沢元代表)それはちょっと邪推だと思います。石川が担当のときは石川に、池田のときは池田に問い合わせに応じて作成し、顧問弁護士に相談して作成された回答書です。池田はそういうことを理解して回答したと思います。

小沢氏裁判(18)情報公開の姿勢
1月11日 17時51分
(指定弁護士)あなたが石川さんに提供した4億円は公表していませんよね?
(小沢元代表)はい。していません。
(指定弁護士)石川さんが4億円を口座に入金する際に多数口にわけて入金したと証言したことは聞いていますか?
(小沢元代表)聞いたと思います。
(指定弁護士)その理由として、政治家が多額の資金を持っていることが露見してしまうことへの警戒感があったと言ったこともご存じですか?
(小沢元代表)先ほども申し上げたとおり、自分が仕えている議員に少しでもマイナスがないよう、言われなき誹謗中傷がされないように今回の件というわけではありませんが、あらゆる仕事でそうしたことを心がけてやることは、少しもおかしくないことだと思います。
(指定弁護士)私はおかしいかどうか聞いているのではなくて、石川議員がそう証言したことは知っているのですよね?
(小沢元代表)ですから、入金したという趣旨の話は聞いたと思います。
(指定弁護士)現金で返却されたことを公表していないのも事実ですよね?
(小沢元代表)と、思います。
(指定弁護士)資産公開でも、定期預金でも、個人の資産でも、どちらの形でもいいのですが、4億円については公開していませんよね?
(小沢元代表)それは何に対しての?国会に対してのものですか?
(指定弁護士)はい。
(小沢元代表)確か定期預金でなければ報告しなくていいということになっていたと思います。
(指定弁護士)メディアへの回答書でも4億円は触れていませんよね?
(小沢元代表)はい。
(指定弁護士)回答書では、小沢議員の資産を担保にする必要もないと否定していますけども?
(小沢元代表)池田が作った回答書も、これは推測にすぎませんが、定期預金もあとで知ったことですが、私の名義ではなかったから、そのようにしたのではないでしょうか。いずれにしろ分かりません。彼が考えたものです。
(指定弁護士)いずれも、巨額の資金を持っていることが公にならないように一貫して説明してるのではないですか?
(小沢元代表)メディアへの回答書と関連づけて、そのような言い方をされるのは腑に落ちません。だいたい、自分の預金がいくらあると世間に発表する人はいないですし、秘書の場合、同じ不動産を購入したりするケースは他にも散見されるのに私の場合はたたかれる、という世間の状況を知っているわけです。ですから、ふだんからの心がけで、マスコミに揚げ足を取られることが少しでもないように心がけるのは、ごく当たり前のことです。
(指定弁護士)平成16年の収支報告書は、今も見ていないんですよね。
(小沢元代表)はい。
(指定弁護士)池田さんが、公判で4億円は平成16年の収支報告書に記載されていないと思っていたと証言したのは記憶にありませんか?
(小沢元代表)そういう報告書や記載の内容については覚えていません。
(指定弁護士)あなたが今まで16年分の収支報告書をご覧になっていないということを前提とすると、池田さんが4億円は16年の報告書に記載されていないと思っていたと証言しているのはご存じでしょうか?
(小沢元代表)そういう報告書や記載の関係は覚えておりません。
(指定弁護士)第三者が見ても4億円を出さない、第三者が見ても気づかれないようにしたという方針は、あなたが指示したのではないでしょうか?
(小沢元代表)ことばは悪いですが言いがかり、邪推だと思います。そのようなことを指示した覚えはありません。
(指定弁護士)石川さんが登記を遅らせたことについて、代表選を意識したということをおっしゃっていたと思うが、それで記載を17年にすることは、あなたから見て合理性はあるんでしょうか?
(小沢元代表)担当者の石川ができるだけということで、彼の判断でやったことなので、私は彼の行為をどうこう批判する気持ちはありません。

小沢氏裁判(19)収支報告見ない
1月11日 18時23分 
(指定弁護士)あなたは陸山会の収支報告書の内容について秘書から一切報告を受けていないと?
(小沢元代表)はい。
(指定弁護士)その理由としては、信頼が成り立つことが前提で、秘書を信頼した以上、すべてを任せる、また収支報告書についても収入と支出を記載するだけで単純な作業だからということでよろしいのでしょうか?
(小沢元代表)はい、主な理由はその2つだと思います。(指定弁護士)あなたはご自身の信条として、仕事のうえで一般的に他人を信頼して行動すると?
(小沢元代表)はい。
(指定弁護士)石川秘書についても信頼していたということですか?
(小沢元代表)もちろんです。
(指定弁護士)それについては、特段の理由というのはあるんでしょうか?
(小沢元代表)特別の理由ではないですが、いわゆる書生という形でやっているのは昔は数多くあらゆる分野であったでしょうが、今日ではたぶん私のところだけではないかと思っていますが、彼はたしか学生のときから私のそばでいろいろと面倒を見てくれたのがほかの者よりも長かったと思います。どの秘書もそうですが、長い間に互いに知り合い、その中で信頼関係がより深まったと思います。
(指定弁護士)池田さんについても同様か?
(小沢元代表)はい。同じようなケースだったと思います。
(指定弁護士)2人の収支報告書の処理に間違いはなかったですか?
(小沢元代表)2人は法律に沿って正しく処理していると思います。
(指定弁護士)収支報告書を見ていないということだが、見ていないのにどうしてそう言えるのですか?
(小沢元代表)根本は、私の秘書を信じているということです。付随的には報告書の内容は複雑で難しいものではなく、誰でもできる程度のものだからです。
(指定弁護士)収支報告書の作成について、石川と池田に任せているということだったが、収支報告書の作成を信頼して任せていたとしても収支報告書は政治家の1年の動向を把握するためにも、あなたにとって大切な資料ではないか?
(小沢元代表)私が申し上げているのは、収支報告書が大事じゃないと言っているわけではありません。何度も申し上げています。正確に記載し、最終的に国民の閲覧に供する大事なものだと、そのことについては否定していません。
(指定弁護士)陸山会の代表者や岩手県の支部の代表者、ほかに代表者を務めている団体が3つあり、それらの政治団体の収支を把握することは大事なことじゃないですか?
(小沢元代表)運営がスムーズにいっていることが分かればそれでいいと思っています。あとは、何度も申し上げていますが、読み書きそろばんができれば収支報告書は作成できます。ですから秘書に任せておけばいいと。
(指定弁護士)秘書に任せることじゃなくて、政治団体の動向、支出がどうかとかを知ることは、あなたにとって大事じゃないですか?
(小沢元代表)それについては、年末に政治活動のために運営がうまくいっているかどうかのやりとりはしていたと思います。
(指定弁護士)年末に収入や支出の数字を確認するんですか?
(小沢元代表)数字とは言っていません。うまくいっているかどうかと。
(指定弁護士)寄付についても数字は確認するんですか?
(小沢元代表)それはほとんどありません。うまくいっているかどうかというやりとりで分かり合える、それは当たり前の政治家と秘書の関係だと思います。
(指定弁護士)収支報告書というのは、収入と支出の記載だけだから簡単な作業だとあなたは言っていますね?
(小沢元代表)はい。専門家の先生もそう証言されたと思います。
(指定弁護士)政治団体には寄付の額に制限があるのは知っていますよね?
(小沢元代表)はい。
(指定弁護士)寄付を受けていいかどうか判断がつかないこともあるんじゃないですか?
(小沢元代表)ハンドブックを見たり、総務省に聞けば分かることだと思います。もし仮にどうしたらいいかなということがあっても、役所に聞けば分かります。

小沢氏裁判(20)個人口座は
1月11日 18時45分
(指定弁護士)銀行から借り入れた4億円についておたずねします。あなたを主体にして10月29日に4億円を借りて、その後、平成17年に2億円を返して、平成18年に2億円を返していますが、そのことは理解していますか?
(小沢元代表)いいえ。金融機関との具体的な取り引きについては秘書に任せていますから、秘書の裁量の範囲内でやれというだけです。どういう話になっているかは分かりません。
(指定弁護士)銀行の4億円について、利息分が個人口座から出たんだと分かったと言っていたと思うが?
(小沢元代表)はい、そうなります。
(指定弁護士)利息分は上乗せして陸山会に振り込まれたと理解?
(小沢元代表)いえ、そういう理解でやったわけではない。その話は最近聞いた。利息も私の個人口座から払われていると聞きました。
(指定弁護士)誰から?
(小沢元代表)覚えておりません。相当たってから何かの拍子に聞いたということだと思います。
(指定弁護士)裁判になってから?(小沢元代表)なってからかその前か、そんなに古い話ではありません。
(指定弁護士)あなたの口座から利息が払われていたことはどうなった?
(小沢元代表)笑い話でみたいに聞いたが、個人の口座で払われているようだよと聞いて「えー」となりました。後日返還されたという話だったが、いつ返されたのかは分かりません。
(指定弁護士)どこに振り込まれたのですか?
(小沢元代表)たぶん個人の口座ではないかと。
(指定弁護士)個人口座を見たりしないのですか?
(小沢元代表)ほとんどしません。秘書が手続きでやっていたりするので。利子が個人口座から出ているとは知らなかったので、あとで人から聞いて「払われていたよ」と。それなら、そうなのかなと思いました。
(指定弁護士)収支報告書には「平成17年10月31日返済」とあるが、その日?
(小沢元代表)だろうとしか言えません。先生のお話を聞いて。
(指定弁護士)あなたの個人口座にはこの日確かに返還されているが、あなたは知っていたのでは?
(小沢元代表)知っていません。私は最初から知らないと申し上げているのではないでしょうか。つい最近になって聞いた話です。
(指定弁護士)平成17年10月31日に返還したと収支報告書には記載されているが、平成19年3月に実際に戻っているのでは?
(小沢元代表)私は分からないということです。
(指定弁護士)陸山会の平成17年分の収支報告書には、平成17年10月31日に返還したことになっていますが?
(小沢元代表)私はまったく知らない。
(指定弁護士)いつ返したのかということは、いつ聞いたのか?
(小沢元代表)いつ返したのかの話は聞いておりません。あまり適切ではないことば遣いでしたが、笑い話のように聞かされたので。

小沢氏裁判(21)4億円の返還
1月11日 20時3分
(指定弁護士)平成17年10月に銀行からの2億円の借入を継続していることはご存じないですか?
(小沢元代表)明確な記憶はありません。
(指定弁護士)この2億円についての証言は、聞いていますか?
(小沢元代表)まったく聞いていません。
(指定弁護士)通帳の写しを示します。3月9日に平成17年分の利息支払いがされていて、個人口座から返還されていますが、それについては知りませんか?
(小沢元代表)知りません。
(指定弁護士)平成19年3月は、本件のことで小沢事務所として、いろいろ対応している時期ではありませんでしたか?
(小沢元代表)年月日を言われても分かりませんので。
(指定弁護士)事務所費の問題や確認書の件で、平成19年2月20日に記者発表をしていますね?そして2月に週刊文春に説明しています。石川に渡した4億円の返済を受けたのは5月です。つまり、平成19年の2月〜5月は、小沢事務所ぐるみで、いろいろ対応していた時期ではありませんか?
(小沢元代表)事務所費の公開は私1人が行ったことですが、このときにはいろいろ事務所費の問題が起きていて、陸山会の不動産もいろいろ指摘されていたときだと思います。私は一切を公表したほうがいいと思って、池田に「領収書はそろっているか」と聞いたら「そろっている」との返事だった。じゃあ、やましいことはないので公開しようと決めたのです。
(指定弁護士)あなたも加わって4億円の返還を決めたことはなかったのですか?
(小沢元代表)事務所費の問題は、確かいろいろな政治家でも騒ぎになった頃で、私は「ちゃんと領収書その他はそろっているのか、大丈夫か」と聞いたら「ちゃんとあります」という返事だったので、じゃあ公開しようと決めたんです。
(指定弁護士)池田さんは「小沢先生から、利息がもったいないので半年で返還したらどうか」と言われたと証言していますが?
(小沢元代表)先ほども2億円のことについて聞かれましたが、その記憶がないし、今の指摘の内容は聞いていません。
(指定弁護士)あなたの口座からの金で返還されていますが?
(小沢元代表)私の口座で利息を払ったこと自体、私は知りませんので。
(指定弁護士)個人口座には講演料、TV出演料など入っていますよね。こうした口座から、どうして必要経費を出していいと秘書におっしゃってたんですか?通帳や印鑑も渡して。
(小沢元代表)今、通帳は自分で持っていますが、いつごろからか分かりませんが、秘書の判断で通帳や実印を使っていいと。たぶん当選してからずっとそんな感じだったと思います。
(指定弁護士)利息が銀行の口座から払われるのは、あなたの意に沿った行動なんですか?
(小沢元代表)意に沿ったという意味が分かりません。そのこと自体知らなかったので。なんと答えていいか分かりませんが、陸山会との取り引きですので、そう言われれば陸山会から払ってしかるべきものではないかと思います。
(指定弁護士)マンションに現金を保管しているのは緊急のときに使用できるからということですが、4億数千万円全額を手元に置く必要はないのでは?
(小沢元代表)それはそのとおりですけど、できるだけ結果として手元に置いておきました。
(指定弁護士)あなたは、きのう政治団体から政治資金が流出しないために不動産を購入されたといったんですよね?
(小沢元代表)それも一つの理由であります。
(指定弁護士)私のほうで計算すると、石川さんが担当するようになってから5団体の六十数%が不動産に支出されているが、これはあなたの考えですか?
(小沢元代表)手当として出せば人件費が増大するし、賃料の支出も増える。ローンを組めるならそっちのほうがいいだろうという結論になったと思います。
(指定弁護士)陸山会は、あなたの後援会ですよね?あなたが政治活動をやめたときはどうする予定ですか?
(小沢元代表)今、辞めたときのことは答えようがありませんが、第一線を引いたあとには若い人たちのためにできることを全力で支援したいと考えています。
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〈来栖の独白2012/01/11 Wed.〉
 当然のことながら、指定弁護士の努力にもかかわらず、「水谷」の文字は遠く、出てこない。しかしながら、私は強い不安を禁じ得ない。
>現金を手元に置くのはずっと以前からそうしていました。4、5億円の現金が元赤坂にいつからあったかは分かりませんが、かなり前からあったと思います。
 この言葉に幾人の国民が共感するだろう。「国民の生活が第一。」とのフレーズが、私の胸に空疎に響く。「疑惑」に関与していないとの主張に力点を置きすぎたか。裁判とは恐ろしい生きものだ。このような陥穽が待っている。
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カレル・ヴァン・ウォルフレン氏は小沢一郎裁判をどう見ているのか2011-10-27 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
 日刊ゲンダイ2011年10月24日
小沢氏のカネの出所?「それがどうした」と言いたい<司法と大メディアによる「人物破壊」>
「誰が小沢一郎を殺すのか?」(角川書店)――オランダ人のジャーナリスト、カレル・ヴァン・ウォルフレン氏は今春、この本を出して話題を呼んだ。小沢一郎という異能の政治家を検察、メディアがよってたかって潰そうとしている実情を描き、日本の特殊性、異常を浮き彫りにしたのである。さて、その後、陸山会事件では元秘書3人に有罪判決が下り、小沢氏本人の裁判も佳境を迎える。司法判断、それを報じるメディアの姿勢、小沢氏本人の対応について、改めて、冷徹なジャーナリストに聞いてみた。
 私が最初に小沢氏に会ったのは90年代半ばで、サンデー毎日誌上でやった対談でした。実は、その後も、彼をずっと追い続けていたわけではありません。むしろ個人的には菅氏との方が親しいくらいです。
 2010年の暮れ、小沢氏と再会しました。そのとき、素直にこう言ったものです。
「はっきり言って、あなたのことはよく知らない。どういう人なの?」
 そして今夏、再び長い時間、話をする機会があって、彼が本当に強いリーダーであることを再認識しました。
 何が言いたいのかというと、私は小沢氏本人に人間的な興味があるわけではないのです。小沢氏の所業に対する司法当局とマスコミの扱い方。これは大変異常なものです。これに多大の関心を寄せているのです。
 今、小沢氏を標的にして進行していることは「人物破壊」です。長年かかって築き上げてきた既得権益を破壊しようとする人物に銃口を向け、そして引き金を引く。体制にとって、新種の人間というのはいつの時代も脅威なのです。
 日本の政治史を眺めると、建設業者から領収書のないカネが政治家の元へ流れるというのは、半ば常識化していて、システムとして組み込まれていました。特に小選挙区制に移行する前は顕著でした。これで小沢氏を有罪にするなら、自民党議員の多くも同罪です。
 小沢氏はたぶん、そうした資金を受領していたのでしょう。私がここで指摘したいのは「それがどうしました?」ということです。真の問題点は小沢氏や秘書が金を受領していたかどうかではないのです。
<先進国ではありえない>
 小沢一郎氏の初公判で考えなくてはいけないのは、捜査、逮捕、起訴、裁判が先進国として、きちんとバランスのとれたものであったかということです。
 昨年暮れ頃から、検察に対する不信感が市民の間で増幅してデモが行われたりしていましたが、大手メディアは黙殺したままでした。そこに大震災がきたので、しばらく小沢問題はないがしろにされてしまいました。
 その間にも大手メディアは小沢氏の「人物破壊」を続けました。司法が一人の政治家を撲殺しようとし、それに大手メディアが加担した。それによって、多くの国民が小沢氏=悪者のイメージを持つに至ったのです。
 検察と裁判所の不健全な関係も問題です。日本では起訴された被告は99%以上の確率で有罪になってしまう。こんなことは世界中どこにもありませんが、その検察に小沢氏は完全に狙い撃ちにされたという事実です。 一度は不起訴になったが、検察審査会という新しい手続きが持ち出され、結局は強制起訴された。
 小沢公判の前に秘書3人が有罪判決を受けた陸山会裁判がありましたが、あの判決にも驚きました。これも世界では例がないものでした。(インタビュアー・堀田佳男)
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小沢一郎氏裁判 12回公判 NHK全/(1)秘書との関係は〜(11)秘書の裁量2012-01-10 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア

小沢一郎氏裁判 13回公判 《後》/(22)法律を巡って〜 (29)何ら不正ない

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小沢一郎氏裁判 12回公判 NHK全/(1)秘書との関係は〜(11)秘書の裁量2012-01-10
小沢一郎氏裁判 13回公判/4、5億円の現金を手元に置くのは以前からそうしていました/使い勝手がいい2012-01-11 からの続き

小沢氏裁判(22)法律を巡って
NHKニュース1月11日 20時3分
(指定弁護士)政治資金規正法についてお聞きします。法律があることはご存じですか?
(小沢元代表)はい。
(指定弁護士)政治団体の代表者は、相当の注意を払うことが前提とされている。代表者は会計責任者の選任について、相当な注意を払うべきだとされているが、あなたは相当な注意を払ったのですか?
(小沢元代表)逐条まで読んでいるわけではありませんけど、質問に対するお答えとしては、秘書がそれぞれ能力があると思っていますが、たまたま会計責任者というものでなくて、さらにその業務をやる者たちもしっかりやってくれるものと信じて頼んでいます。池田は学生のころから私のそばにいましたし、大久保は地元で政治活動をやって私のところに来た人。これらについてはずっと見ているので、人物、間違いないと評価しておりました。
(指定弁護士)次に秘書との関係について。秘書の裁量で行わせ、報告や了承はなかったということか?
(小沢元代表)はい。
(指定弁護士)大久保さんは被告人供述で、土地の売買が行われ石川さんが報告をしたと言っていて、あなたの供述と食い違っている。聞いたことがありますか?
(小沢元代表)それは聞いておりませんから何と言ったか分からないが、聞いてないと思います。
(指定弁護士)4億円、現金で石川さんに渡した4億円について聞きます。いざというとき、緊急に対応できるためだった?
(小沢元代表)それも大きな理由の一つです。
(指定弁護士)本件の土地の売買で、4億円を用立てると言ったのは、石川さん、大久保さんの証言から見ると平成19年9月のこと。実際に渡したのが10月11日ころ?日数が空いていますが?
(小沢元代表)私はが9月に言ったかどうか記憶にありませんが、用立てるという趣旨のことは言いました。現実、用立てた。いつ必要かどうかは担当の者が連絡するという話だと思いますけど、今言うことが事実だとしても、別におかしいことではないんじゃないでしょうか。
(指定弁護士)10月5日に売買契約の連絡があって、4億円を交付したのではないですか?(小沢元代表)いいえ。売買契約の報告は受けていないし、彼らも必要ないと思って自分の裁量でやっていたと思います。
(指定弁護士)10月11日ごろに4億円が必要になると担当者から連絡があったということですか?
(小沢元代表)そう申し上げていないつもりです。先生が言うのが、そのとおりだとしても、期日が空いても必要になれば、ごくごく当たり前のことです。

小沢氏裁判(23)土地について
1月11日 19時55分
(弁護士)書生というのは、現在の政治家にあっては珍しいことなのですか?
(小沢元代表)現在では珍しいことです。
(弁護士)書生というのは、多くを語らなくてもよいものなのでしょうか?
(小沢元代表)長年一緒にいるので、互いのかたぎ、気質も分かるので、いわゆることばでいう必要がない。一言で言えば、そんたくできる家族というか、僕から見れば子どもみたいなものだが、そういう気持ち。
(弁護士)秘書が毎朝、深沢に来て、ミーティングをしていたんですか?
(小沢元代表)はい。
(弁護士)秘書に任せている事務的な報告というのはミーティングではされるのですか?
(小沢元代表)個別の事務的なことは私の性格も知っているし、「おまえに任せた」と言った以上は余計な口出しはしませんでした。報告はほとんどなかったと思います。
(弁護士)これまでの証言によると、4億円の原資の基本は相続ということで、銀行口座の調査にも手をつけたけれど、はっきりしたのは湯島の土地と銀行の3億円の引き出しということだった。湯島について聞きますが、どのくらいの値で売却したんですか?
(小沢元代表)当時、不動産が上がっていたので、14億円か15億円くらいの値だと思います。
(弁護士)そのときに世田谷の土地も買っているが、こちらの購入価格はいくらでしたか?
(小沢元代表)これは、たまたまラッキーでしたが、当時はまだ価格が上がっていなかったので、坪200万円よりも安かった。少なくとも9億円前後だったと思います。
(弁護士)ということは単純に5億か6億円残ったということですか?
(小沢元代表)はい。
(弁護士)ほかにも不動産を持っていて売った事実はありますか?
(小沢元代表)現金と不動産を含めて親から相続したと言いましたが、湯島のほかにも都内の不動産を相続しています。しばらくして売却しました。
(弁護士)場所は?
(小沢元代表)上野広小路の松坂屋からちょっと上野駅よりの大通りに面した土地でした。
(弁護士)それはどのくらいの値で売れましたか?
(小沢元代表)40年以上も前のことなので、よく覚えていませんが、場所も場所なので当時でも1億円前後で売れたと思います。
(弁護士)3億円を引き出した日にほぼ同額を妻名義の口座に振り込んでいる、と検察官とのやりとりであったことは覚えていますか?
(小沢元代表)はい。
(弁護士)妻の口座の金が、その後どうなったと述べましたか?
(小沢元代表)それは記憶にありません。
(弁護士)妻名義の口座から平成10年7月3日に現金が出金されたとなっていますが?
(小沢元代表)確かその記録はあったかと思います。預金された3億円がまったくその金かどうかは分かりませんが。
(弁護士)銀行口座の金を、ときに現金で出金することはありましたか?
(小沢元代表)はい。
(弁護士)億というのはあまりないかもしれないが、1000万円単位とか100万円単位とかもあったのですか?
(小沢元代表)はい、時々引き出しておりました。
(弁護士)トータルでいくら引き出しましたか?
(小沢元代表)「日本改造計画」だけで8000万円くらいの印税があり、ほかにもいろいろ収入があって、引き出したのはおそらく倍以上、1億7000万円から8000万円くらいあったと記憶しています。
(弁護士)平成16年10月に4億円を用立てた際に小沢さんの各政治団体の手持ち資金が合計いくらあったか聞いたことはありますか?
(小沢元代表)それは聞きませんでした。全部かき集めると土地が買えるが、なくなると活動資金に支障をきたすということでした。
(弁護士)こちらですべて合算すると7億円くらいありますが、それは知らなかった?
(小沢元代表)まったくそのことは知りませんでした。法廷で7億円という数字を聞いてとまどったくらいでした。
(弁護士)石川さんが約束手形と融資申込書を持ってきてサインを求めたと思うが、約束手形はすぐに分かった?
(小沢元代表)はい。
(弁護士)融資申込書はサインする前に検討したか?
(小沢元代表)たぶん見ていなかった。手形はパッと見て分かるが、もう一方は字面を追ってサインしたということはなかった。
(弁護士)石川さんに言われて用向きが分かったのでサインしたということ?
(小沢元代表)そうです。
(弁護士)確認書について平成22年1月23日の検察官調書では確認書の作成を指示していたとなっていて、深沢8丁目の土地の確認書も作成したはずですと言っているが、この発言の趣旨は?
(小沢元代表)もともと不動産の所有について、つまらぬ疑念を持たれてはいけないので、契約をきちんと政治団体で契約すること、そのうえ自主的に個人のものではないと念のために確認する書類を作っておけと前から言っておいたつもりで、その意味で確認書があればそれを提示するものだが、結果的に作っていなかったのでそれで作成した。
(弁護士)週刊文春の回答に「陸山会がためてきた資金」という表現があるが、それがそのことに関係してるんでしょうか?
(小沢元代表)そのために池田はそう解釈したのではないかと思います。

小沢氏裁判(24)調書の内容
1月11日 20時15分 
(指定弁護士)確認書について、調書の記載を読んでいくと「作成したはずです」という答えのあと、確認書の写しを示し、調書の末尾に添付することとしたというのが入りました。その後、「この確認書は平成17年1月7日となっていますが、私の記憶では代金を払ってそんなに遠くない時期だったと思います」というのを記憶していませんか?
(小沢元代表)記憶にございません。
(指定弁護士)単に「はずだ」というだけではなく、調書の流れを見ると、あなたは示されたものを実際に見て、確認書の日付けは1月7日になっているけど、土地代金支払いからそう遠くない時期に作成したと思うと供述している。そのような供述の流れだったという記憶はありますか?
(小沢元代表)記憶にありません。私としては確認書は不動産購入の際に作っておけということでスタートしているので、「あった」という頭の中にそういう感覚があったのは事実です。
(指定弁護士)それは代金支払いの期日がいつだったという前提で?
(小沢元代表)分かりません。私が4億円を用立てたのは10月中旬ごろという話が検察官とのやりとりの中でも聞いていたので、金が必要だというのは代金決済のために必要だとの感覚は持っていたと思う。
(指定弁護士)検察官とのやりとりの中で、当時は確認書を作っていなくて、事務所費の公表前にそれがないことが分かって作った確認書だと分かっていましたか?
(小沢元代表)検察官とのやりとりのとき、確認書が深沢の土地については作ってなかったというのは記憶していたと思います。
(指定弁護士)確認書を作成するよう指示したのはいつですか?
(小沢元代表)分かりません。「作っておけ」「作っておこう」という会話だったと思います。
(指定弁護士)平成7年に最初に陸山会が不動産を購入したときではないのですか?
(小沢元代表)記憶にありません。
(指定弁護士)平成7年ごろに最初の不動産購入時に作成されたあとは確認書は作成されていないのですが、作成は事あるごとに指示していた?
(小沢元代表)事あるごとには指示していません。

小沢氏裁判(25)裁判官の質問
1月11日 20時42分
(裁判官)秘書との関係についてですが、収支報告書や資産公開について提出した内容を把握したうえで正しいと言っているのではなくて、内容を把握せずに正しいということ?
(小沢元代表)はい。資産の報告については把握していました。
(裁判官)というのは?
(小沢元代表)はい。沖縄の土地を買ったときもそれを報告しました。
(裁判官)新たなことがあれば、あなたから情報提供をしていたということ?
(小沢元代表)はい。
(裁判官)収支報告書を把握していないというのは国会議員が多忙だからというのもあるのですか?
(小沢元代表)はい。
(裁判官)あなたは今は把握していないということですが、最初からこういうスタイルだったのか、それともある頃から把握しなくなったのですか?
(小沢元代表)報告書については最初から関与していませんでした。大多数の議員がそうだと思います。
(裁判官)大きな役職についている人だけじゃなく、初当選の議員とかもそうですか?
(小沢元代表)そうだと思います。政策秘書が導入されたので、政策秘書のたぐいに任せる人が多いのではないかと思います。これは推測ですが。
(裁判官)弁護士や指定弁護士からの質問で、検察の取り調べで「無断」というのはちょっと違うというのがあったが、収支報告書の作成を任せていたが把握していない、これは無断とも違う?
(小沢元代表)無断という単語の響きは、秘書との関係を示すのに適切ではありません。任せていたこと、判断裁量でやっていたというほうが適切なのでそういった。
(裁判官)秘書のやったことの責任を代議士が責任を問われるという意識は持っていますか?
(小沢元代表)基本的に法律に違反するたぐいの行為を、選挙のことなんかありますけれども、特に私の場合、無理するなと、表現はあれだが、法律に反することをしてまですることないというのは常々話していますし、私自身そう思っていますし、きちんと筋道を通ったことをしないといけないと自分自身をいさめています。
(裁判官)秘書の裁量に任せているというのは分かりますが、4億という大きな取り引きでも秘書に任せていて不安はないですか?
(小沢元代表)この法廷で申す1つの例としては、選挙の際に同志への支援を行ったが、そのトータルは4億4000〜5000万円になると思います。それらを候補者に渡すことはすべて秘書に任せていますので、本当に信頼して任せているという関係です。
(裁判官)個人資産を管理する秘書はいますか?
(小沢元代表)いません。
(裁判官)例えば自宅の光熱費の支払いとか細々したことは誰がやっているのですか?
(小沢元代表)そういうたぐいは、たぶん最初に自分の口座で自動引き落としになっているので、いちいち振り込みは必要なかったと思います。
(裁判官)平成16年10月ごろ、石川さんに4億円を渡したときのあなたの考えを改めて聞きます。秘書寮を建てる不動産として購入するとなると、本来、陸山会の政治資金でやるものだが、個人資産を出す気持になったのはなぜですか?
(小沢元代表)一つは秘書が十数人いて、結婚適齢期が3人、家族も増えるとのことで、身近なところに寮をという気持でありました。ただ、最初から個人のお金でという意志はまったくなく、政治団体で購入すべきものと頭では分かっていたが、運転資金に困るというので、じゃあと手持ちがありましたから、自分が用立てることになりました。
(裁判官)あくまで一時的なものという認識でいい?
(小沢元代表)寄付するというものではなかったと思います。
(裁判官)4億という巨額の金額を用立てることに一般国民がすぐに飲み込めないということでの質問ですが、いつ返ってくるのかなどについて気にはならないのですか?
(小沢元代表)書生から秘書の話を話しましたが、その意味は私からすれば家族同様の気持を持っている連中ですから心配はまったくしていませんでした。
(裁判官)いずれ戻してもらえるとの見通しでしたか?
(小沢元代表)はい、いずれは戻してもらえると思っていました。
(裁判官)4億はあくまで土地取得のために限った話との認識?
(小沢元代表)はい。
(裁判官)陸山会で一般的に使っていいということではない?
(小沢元代表)はい、そうです。
(裁判官)石川さんもそう理解していた?
(小沢元代表)分かっていると思います。そもそも運転資金に困るというから用立てるという話であり、その趣旨は分かっていたと思います。
(裁判官)石川さんと大久保さんが頼んできたのは、その経緯から?
(小沢元代表)経緯というか実情として出すと困ると、それなら「じゃあ」となったと思います。
(裁判官)石川さんや大久保さんが、あなたの個人資産がどれくらいあるか知識あったと思いますか?
(小沢元代表)具体的にはないと思うが、私がずっと使ってきた銀行の通帳のことに関しては、およそ分かっていたと思います。歳費もその他も、大体分かっていたと思うので。
(裁判官)元赤坂タワーズの金庫に、どれくらいの余剰金額があるか話をしたことは?
(小沢元代表)ありません。彼らが私のところで仕事を始めたときには自宅の売却も終わっており、そのことも知らないし、その当時いれば知り得たかもしれないが、僕がいくら持っていたかは知らなかったと思います。
(裁判官)大久保さんや石川さんが、あなたに期待する事情は?望みがなければ相談しないと思うが?
(小沢元代表)具体的にいくらとかは全然知らないと思うが、報告すればなんとか返事があるのではないかとのことは思っていたかもしれません。

小沢氏裁判(26)手形のサインは
1月11日 21時3分 
(裁判官)場面が変わります。日付けは記憶がないということですが、平成16年10月29日に銀行から4億円の融資を受けた際に書類にサインをした場面です。このとき、あなたの法廷での答えだと、預金を担保にして金を借りるんだなと思ったということですが、それでよろしいですか?
(小沢元代表)手形にサインをしたわけですので、そういうたぐいのことだとは頭の中にありました。
(裁判官)その際の石川議員とのやりとりについては?
(小沢元代表)記憶にありませんし、たぶんほとんど会話はなかったと思います。
(裁判官)ただ無言でサインをしてくれというのは、不自然だと思います。最低限の説明はあったのではないですか?
(小沢元代表)無言というのはありえません。ただ、私の記憶にあるイメージでは、石川と銀行の担当者が一緒に来たような記憶があります。石川が「そうじゃない」というのであれば、違うのかもしれませんが。金を私が出して、それに基づく手続きだということはすでに分かっていましたので、どういうことばを交わしたかは覚えていませんが、簡単なものだったと思います。
(裁判官)融資が陸山会の名義なのか、個人の名義なのかについての認識はありましたか?
(小沢元代表)当時は分かりませんでした。今はいろいろ聞いているので分かりますが。
(裁判官)平成16年10月29日の当時、預金の名義について認識していましたか?
(小沢元代表)聞いていないというか、覚えていません。
(裁判官)例えば石川さんから説明はされたが、聞き流してしまったということではないのですか?
(小沢元代表)その可能性は薄いと思います。これは石川が任されたことですので、そういうことは考えられません。
(裁判官)細かいことは、あなたに説明しないということですか?
(小沢元代表)任せた以上は自分の判断でやれという私の気質を石川はよく知っていますので、細かいことを報告する必要はないと意識していたのだと思います。
(裁判官)そうした意識はあなたの認識ですか?それとも石川さんもそう思っていたということですか?
(小沢元代表)石川も私も両方そういう認識だったと思います。
(裁判官)約束手形にサインをして銀行から4億円の債務を負い、陸山会に貸し付けることになるということは漠然と認識していましたか?
(小沢元代表)私が用立てた金を活用してやることは当然分かる。方法論として銀行と話したうえでそうなっただけのことですので、深く理詰めで考えたことはありませんでした。
(裁判官)普通だと4億円を借りる手形に署名をするとなれば、慎重になると思いますが、それも秘書との信頼関係があったので、任せていたということですか?
(小沢元代表)相手が銀行ですから。そういう意味では変な工作はないと私は思っていますし、銀行と信頼する秘書がやることですから、何の疑念もありませんでした。
(裁判官)平成17年3月に平成16年の収支報告書が提出されますが、この内容については把握していないということですね?
(小沢元代表)そうです。
(裁判官)この報告書に4億円の貸付だけが計上されていることが今は分かると思いますが、今、石川さんからそういう経理処理を相談されたら、あなたはどうしますか?
(小沢元代表)それは仮定の話ですけれど、私は法律的なことは分からないし、石川や池田が職務でまかされていたことですので、公正にやっていると思っています。
(裁判官)法律に従うことを前提に「よし」となるいうことですか?
(小沢元代表)中身は詳しく知りませんし、中身まで聞く間柄でもないですし、任せた立場のうえでもないことです。石川からこういう形で報告するとあった場合には石川の判断でやるということになると思います。
(裁判官)例えば8億円分の貸付を記載して提出したいと言われたらどうしていましたか?
(小沢元代表)8億円と聞こえてきますが、私としては用立てたのは4億円ですし、あとは分かりません。
(裁判官)逆に4億円だと言われれば腑に落ちることになる?
(小沢元代表)中身については想像しておりませんでした。私の頭と行為は陸山会に4億円用立てたということで、あとは担当者が行うことで考えたこともありません。
(裁判官)今、改めて考えたらどうかということですが、8億円ならばどうですか?また4億円ならばどうですか?
(小沢元代表)私は融資の仕組みとか分からないわけで、担当者の考えることですので、事実行為として4億円用立てたとしか答えようがないです。
(裁判官)これも記憶があるかどうかですが、平成17年10月に銀行に4億円返済のために取り崩して支払ったことがあると思いますが、どの程度の記憶ですか?
(小沢元代表)まったく意識としては薄れておりました。確かに先ほど指定弁護人に見せられたのは自分がサインした手形だと思います。しかし、記憶としてはその経過はありません。
(裁判官)もし石川さんから、あなたからの個人的な4億円を土地の購入に使ったと書かなければいけない、収支報告書でも資産報告書でもいいんですが、と相談されたらどう答えましたか?
(小沢元代表)自分の資金なので人に知られても一向にかまいません。何に書くかは別にして、公にするということは一向にかまいません。

小沢氏裁判(27) 融資の認識は
1月11日 21時3分
(裁判官)収支報告書に関する秘書らの報告の点ですが、そうしますと年末にあなたのほうから「うまく回っているか」と尋ね、それに秘書が答えていたということですね。
(小沢元代表)はい。
(裁判官)あなたは秘書にお任せして報告を受けていなかったと供述していましたが、お任せしたものは報告を受けていないのですか?
(小沢元代表)私の考えでは、秘書や議員にこの件は任せたということについては、そのものの判断、裁量にまかせる。でなければ、物事がうまく進まないと考えていますので、その主義でやってきました。報告や細かい数字の報告は受けていません。政治活動に必要な政治資金がうまく回っていれば問題ないということだと思います。
(裁判官)石川さんが作ったノートに先生にお伺いを立てる、報告という記載がある。一切、任せていたのではなくて、この点についてとか、留保をつけて任せていたことはありませんか?
(小沢元代表)ないです。あるとすれば、彼のほうから私のほうに問い合わせたことがあったのかなと思います。
(裁判官)政治団体の代表と個人と別の人格だということですが、その別の主体であるのに貸し借りについての理解がないというのは理解できないのですが?
(小沢元代表)別人格は間違いないですが、実態として代表の私と個人の私は同一人物です。期日を決めてというたぐいのような意識はまったくなかったということでございます。
(裁判官)主尋問では石川さんが持参した融資申込書と手形に署名して、融資の形でと理解と供述していたが、反対尋問では仕組みは分からなかったと供述している。当時の認識としては融資と理解していたのですか?
(小沢元代表)はい。基本的には任せていたので分かりませんが、手形が来るのだから分かっていたと思います。
(裁判官)どのような認識だったのか、もう一度話して下さい。
(小沢元代表)どういう仕組みかは知らないし、報告を受けていないので分かりませんが、手形を書くのだから私に支払い義務が生じる。以前も自分が借受人になった例があるので、そういう形だろうと思った。深くは考えていません。
(裁判官)以前も預金担保融資で二重に原資が。以前も同じようなことがあったのですか?
(小沢元代表)自分で手形を書いて形のうえで支払い義務者になり、自分を通してということが前にもあったので疑問はなかった。
(裁判官)4億円のうえにさらに融資で金を借りるという理解ですか?
(小沢元代表)全然違います。私が出したのは4億円。8億円との話もあるが4億が8億になるわけはないので。どういう形か分からないが、いろいろ利用してそうなったのだろうと。
(裁判官)やりとりはなかった?
(小沢元代表)なかったと思うが、絶対になかったかというと否定する根拠はない。覚えていない、記憶にないと言い換えてもいいと思います。
(裁判官)記憶にないということですか?
(小沢元代表)実態として同様。あえて峻別しろといわれれば記憶にないということです。
(裁判官)2億円の返済について、池田さんから署名を求められたことも記憶がないとのことですが、利息の話を聞いてもったいないと思ったというのも記憶はありませんか?
(小沢元代表)記憶にない。記憶にありません。
(裁判官)石川さんから10月に話を聞いて、融資申込書や手形に署名したあと、本件土地や秘書寮のことを秘書から報告を受けたのはいつ、誰からですか?
(小沢元代表)報告はありません。土地の購入が目的ではなく、秘書の寮を建てるのが目的ですから。4億円というのも4億数千万の土地に建物を建てれば、そのくらいとの粗々の話ですから。その後の推移は分かりません。

小沢氏裁判(28)“私の責任”
1月11日 21時36分 
(裁判官)土地に建物が建つまで秘書から経過報告はなかったのですか?例えば建築が始まったとか登記されたとか。
(小沢元代表)報告というよりも建物ができれば秘書が住むからそういう現象で分かります。引っ越しとか。
(裁判官)石川に4億円を渡したあと、お任せになっていたと言うが、秘書に全面的に任せていた場合、仮に秘書が不相当なことをして大きな損失が出たりとか、誤って違法なことをやって監督責任に問われるおそれがあるのでは?
(小沢元代表)秘書がそういうことをやるのはまったく頭になかった。何か不祥事が起きたとか、金がなくなったとか、持って行ったとか、自分の範ちゅうのことで、自分が使っていた人間なので不徳の致すところというしかない。私の責任のことだと思います。
(裁判官)収支報告書の提出前に見て、確認したり口頭で報告を受けていなかったというが、政治団体の責任者が責任監督を怠ったら処罰される。政治資金規正法も記入に誤りがないよう求めていることに議員の立場では天下国家だけではなくて、政治団体の代表者としての責務もあるが?
(小沢元代表)当然あると思います。ただ、実態論として、ややこしい事務ではなくて、この人物なら正確にやれるとしてやってもらっているので、いちいち注意はしなかった。
(裁判官)その程度のものだからいったん目を通すとか口頭で報告を受けるとか、煩雑なことではないと思うが?
(小沢元代表)自分の責任を逃れるために言うわけではないが、収支報告書に目を通す議員はほとんどいないと思う。しっかりやれとお叱りを受けるかもしれないが、いちいち目を通す必要はないという意識だった。
(裁判長)石川さんに4億円を用立てると答えたときに、いつごろ用立てるとか話をしたのですか?
(小沢元代表)まったくしていません。手持ちがあったので、必要なときにもらえると。
(裁判長)石川さんらもそういう認識か?
(小沢元代表)僕が用立てるといったから彼らもそういう認識だったと思います。
(裁判長)売買が10月5日に決まって、10月29日に実行することになっていた。石川さんは10月29日には少なくとも代金が必要なことを知っている。代金が必要になる時期について、石川さんから話はなかったか?
(小沢元代表)ありません。私が了解した以上、大丈夫だと彼らは思っているから。
(裁判長)陸山会が不動産を買うかどうか、最終的には小沢さんの決済が必要か?
(小沢元代表)はい。
(裁判長)購入にゴーサインを出したあと、不動産を契約した報告も一切なかったか?
(小沢元代表)はい。
(裁判長)秘書は報告するとも考えられますが?
(小沢元代表)報告しない理由は考えられませんが、用立てるといったことを彼らは分かっているので、あとは任せるということですので、それを彼らは十分分かっているということです。
(裁判長)不動産契約の実行については報告を受けていないですか?
(小沢元代表)そういう記憶はありません。
(裁判長)銀行の融資の書類について一点確認したいことがあります。小沢さんの個人名義で融資を受けることは分かっていましたか?
(小沢元代表)はい。手形に名前を書いたので。
(裁判長)どうして陸山会で融資を受けないのか、疑問に感じませんでしたか?
(小沢元代表)それは感じませんでした。任せていたことと、自分自身手形を書いて債務者になったこともあり、何も疑問を感じませんでした。
(裁判長)年末に政治団体の経理状況について報告を受けているということですが、時間はどのくらい?
(小沢元代表)ほんのわずかの数分のことと思います。
(裁判長)陸山会以外にも各団体分の報告を受けるのですか?
(小沢元代表)トータルとしてうまくいっているかどうかの会話があります。
(裁判長)各年末ともそういう方法でやるのですか?石川さんか、池田さんに変わったが?
(小沢元代表)池田になったときにあいまいなところがあったので、そのときには「それくらいは分かっていないとダメ」と言って、その結果、彼が再計算したのでしょうが、メモにして持ってきたことはありました。
(裁判長)それは池田さんに代わって最初の年?
(小沢元代表)最初か2年目か分かりません。
(裁判長)年末の報告の際に別のこと、団体が個人分を立て替えた分の報告することがありますね。それは時間はどのくらいかけるのですか?
(小沢元代表)たいした時間ではない。飲食代や出張代など、個人で支払うべきものと後援会で払うべきものとを分別して、私の分は私がお金を出すと、そんなに長時間かけることもなかった。
(裁判長)1年分やるわけですか?
(小沢元代表)1年か、半年かは分かりませんが。
(裁判長)大久保さんが陸山会の会計責任者だという認識はありましたか?
(小沢元代表)はい。
(裁判長)会計事務について大久保さんが、どういう役割か、一切関与していないという認識を持っていたのですか?
(小沢元代表)本人と話していたわけではありませんが、たぶんやっていないという認識はありました。実務は石川か池田だろうと思っていました。
(裁判長)以前からそういうことになっていたのですか?
(小沢元代表)そうなっていたことが多かったと思います。
(裁判長)収支報告書は、最後に会計責任者が署名することになっていますが、大久保さんではなく、石川さんや池田さんが書いていたということがあったといいますが、どう考えますか?
(小沢元代表)この間、それを示されて分かりましたが、決していいことだとは思いませんが、実態としては公正にできていれば、それほど、とがめだてすると言うことではないという認識です。

小沢氏裁判(29)何ら不正ない
1月11日 21時36分 
(裁判長)確認書の件ですが、土地を購入した際ではなく、あとで作らせたという認識だということでよろしいですね?
(小沢元代表)はい。
(裁判長)その際、担当者にどういう指示をしたのですか?
(小沢元代表)「最初から作ることになっていたのに、なんで作っていないのか」ということは言ったと思います。
(裁判長)確認書は、関係団体と個人の資産をしゅん別するものですよね。秘書を厳しく叱責するようなことはありましたか?
(小沢元代表)叱責というほどではないですが、なんで作っていないのかということは言っただろうと思います。ただ、確認書は疑念を持たれないように、われわれが積極的に作ったものですので、作っていないことが分かった段階で作ってもいいものですので、忘れていたからといって厳しく叱責するものではありません。
(裁判長)今回の事件では、平成22年1月に石川さんが逮捕され、その前にも陸山会を巡って様々な報道がありましたが、それは把握していましたか?
(小沢元代表)まぁ、まぁ。
(裁判長)報道されたときには石川さんから経理処理の方法について報告は受けていないということでしたが、報道のあと、石川さんを呼んで経理処理について詳しく説明を求めたことはありませんでしたか?
(小沢元代表)一連の事件については、私も事務所も何ら不正はありませんし、なぜこうなるのかと強く思っていました。収支報告書に関しても石川や池田がきちんと正確に報告していると信じていましたし、そのことについては、弁護士ときちんとやっていると報告を受けていましたので、やましいことはありませんし、特別、石川や池田を呼んだりはしませんでした。
(裁判長)今回の事件で、石川さんたちが、政治状況を考慮して深沢の土地の登記を平成16年から平成17年にずらしたと証言しています。深沢の土地の登記をずらすという秘書の行動についていまはどう思っていますか?
(小沢元代表)私も秘書も申し上げましたが、彼らは彼らなりに、少しでもマイナスにならないように、よかれと思ってやったことだと思います。収支報告書についても、きちんとやっていますので、彼らに対して叱るというたぐいの感情は持っていません。最後に、小沢元代表側の弁護士と検察官役の指定弁護士がそれぞれ質問しました。
(弁護士)総選挙の際に、同志の議員に500万円ずつ渡したと証言されていますが、領収書はもらっていますか?
(小沢元代表)もちろんです。きちんともらっています。
(弁護士)それは、陸山会宛の領収書ですか?
(小沢元代表)そうです。
(弁護士)小沢さんは、経理や会計の経験はあるのですか?
(小沢元代表)ありません。
(弁護士)それでは収支報告書を見て正しいか、間違っているか判断できるのですか?
(小沢元代表)私は書式もわかっていませんので、ポンと見せられても分かりません。
(弁護士)深沢8丁目の土地は、平成17年1月に本登記がされました。確認書を後から作ったのは平成19年2月、そして平成22年4月に検察官から調べを受けましたよね?今から考えると、5年前の土地購入について、3年前に確認書を作ったということです。それを正確に思い出せたのですか?
(小沢元代表)私の頭の中には、1つは、確認書を念のために作ろうということでスタートした。確認書があるものという意識が頭の中にはあったと思います。あとになって、公開するとき作っていないものがあることが判明したので、そのときに作ったものもあったわけでございまして、そのへんの年月日、行動についてはっきりした記憶はなかったと思います。
(弁護士)確認書は、権利とか義務とか発生するものではないから、あえて特別ごまかすという意識はないのではないですか?
(小沢元代表)確認書は契約書でちゃんとやっているもので、作る必要はないが、念には念を入れて私どもの積極的な努力でやろうということで確認書を作ろうということを始めたわけで、自分としては、その都度できているものと思い込んでいましたが、たまたま作っていないものもあるということで、公開のときに作っていました。それを忘れていたというのは、その時点ですぐ作ればよかったが、きちんとしてくれていれば、とやかく言われる筋合いはないと思っています。
(指定弁護士)あなたの銀行の口座の預金の出入りが尋ねられている。個々のものに記憶はありますか?
(小沢元代表)具体的行為の記憶はありませんが、そこからかなりの額の金額を引き出したのは覚えています。
(指定弁護士)弁護士に開示している出入金の元帳示します。口座番号分かりますか?
(小沢元代表)分かりません。
(指定弁護士)16年10月の分を見てもらえば分かると思います。
(弁護士)小沢元代表本人が見たこともない書類を、証拠申請されていない、公判前整理手続きで出ていない書類を出すことは、賛成していない。
(指定弁護士)では、弁護士が不同意なのであれば撤回します。
(裁判長)それでは終わりました。元の席に戻ってください。 小沢元代表 引き続き潔白を強調
NHKニュース1月11日 18時23分  
 民主党の小沢元代表の裁判で最大の山場となる被告人質問が、2日間にわたって行われました。小沢元代表は、みずからの潔白を強調し、4億円の出どころなど、検察官役の指定弁護士が不自然だと主張した数々の指摘について、問題はなく、潔白だという主張を繰り返しました。
 民主党の元代表、小沢一郎被告(69)は、資金管理団体が土地を購入する際に提供した4億円を巡り、収支報告書にうその記載をしたとして、検察審査会の議決によって強制的に起訴され、10日と11日の2日間にわたり、小沢元代表本人への質問が行われました。質問では、4億円の出どころについて小沢元代表がどう説明するかが焦点となり、小沢元代表は、10日、「両親から不動産や現金を相続したほか、議員報酬や本の印税などでそれなりの現金を持っていた」と述べ、個人の資産でやましい金ではないと主張しました。これについて、検察官役の指定弁護士が、11日、4億円の出どころの説明を検察の事情聴取の中で変えたのかと質問すると、小沢元代表は「変えていない」と否定したうえで「銀行の資料で最小限、確認できたものについて説明しただけだ」と主張しました。しかし、具体的な内訳については「銀行に記録はなく、正確な記憶もない」と述べ、それ以上の説明はしませんでした。また、この4億円を銀行に預けずに手元に保管していたことについては「ずっと以前からそうしていた。何かの必要があるときにすぐに対応できるし、手元にあるのは安全でもある。私の感覚としてはそれほど離れたことではない」と述べ、不自然なことではないと強調しました。また、最大の焦点となっていた収支報告書への関わりについては、10日の弁護団の質問に対し、「私の関心は天下国家の話で、それ以外のことはすべて秘書に任せていた」と述べたうえで、「収支報告書は今まで一度も見たことはなく、秘書から説明を受けたことも指示したこともない」として関与を否定し、改めて無罪を主張しました。11日は、最後に裁判官が疑問に感じた点について、1時間以上にわたって質問しましたが、小沢元代表は、これまでと同じ主張を繰り返して不自然な点はないと強調しました。裁判は11日で実質的な審理は終わりました。来月17日には「うその記載について小沢元代表に報告し、了承を得た」と供述した元秘書らの捜査段階の供述調書を採用するかどうか、裁判所が決定することになっています。判決は、論告求刑や最終弁論を経て、ことし4月末にも言い渡される見通しで、小沢元代表の2日間にわたる発言の内容や調書の信用性について、裁判官がどう判断するか注目されます。
 2日間にわたった被告人質問が終わり、小沢元代表の弁護団が会見を開きました。この中で、小沢元代表への質問を担当した弘中惇一郎弁護士は、「小沢さんは、法廷で質問を受けるという経験がないので多少心配でしたが、2日間を通じて証言がぶれたことはありませんし、びっくりする話を突きつけられることもなかったので、裁判官に主張を十分理解していただけたのではないかと思います」と話していました。一方、検察官役の指定弁護士を務める大室俊三弁護士は、この2日間を振り返って「質問が成功したかどうか述べる立場にないが、小沢元代表の受け答えはおおむね予想どおりだった。事実に照らしてその回答でいいのか、私はおかしいと感じている」と述べました。
 元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士は「消化不良のすっきりとしない内容で、有罪・無罪どちらかに傾くようなやりとりは出てこなかった」と述べました。そのうえで、検察官役の指定弁護人からの質問について「収支報告書を作成する際に小沢元代表は、秘書と何らかの話をしているだろうという常識的な感覚に基づいており、すべてを秘書に任せていたという小沢元代表の説明の不自然さを浮き彫りにすることはできた」と述べました。一方で「刑事裁判では、不自然だというだけで有罪にはならない。小沢元代表に報告し、了承を得たとする石川議員の供述調書が証拠として認められなければ、有罪は難しいだろう」と指摘しました。

パイプオルガン コンサート

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〈来栖の独白2012/01/12 Thu.〉
 昨日は愛知県芸術劇場のパイプオルガン コンサートへ行った。吉田文さんの演奏。新年らしい選曲だが、ムソルグスキーの『展覧会の絵』を聴くと、私はきまって辻井伸行さんを想う。目の見えない彼が、お母上の助けを借りて『展覧会の絵』に挑む。見事な演奏で愉しませてくれた。これ以上の演奏はないと思う。
 吉田さんが丁寧に、讃美歌『アメイジング・グレイス』やラヴェルの『ボレロ』など、リクエストに応える由来について述べられたが、これは、無いほうがよい。芸文という大きなホールで時間が限られている。もったいない。個々人のリクエストの理由を聞いても、心に触れてくる何もない。                  

小沢一郎氏裁判/検察の「小沢許すまじ」の執念に始まり、マスコミを引き連れ、起訴にまで持ち込んだ

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小沢一郎元代表への被告人質問でヤマを越した「陸山会事件」の持つ意味と露呈した刑事司法改革の難しさ
現代ビジネス「ニュースの深層」2012年01月12日(木)伊藤 博敏
 読まされる方も報道する方も、いささか食傷気味だった「陸山会事件」が、10日、11日の両日、行われた小沢一郎元民主党代表への被告人質問でヤマを越した。
  事件発生から3年が経過、最初は小沢事務所の巨大裏ガネ疑惑を追及していたが、途中で諦め、最後は秘書宅取得資金の4億円が政治資金規正法違反にあたるか否かを問う事件となった。
  小沢一郎という日本を左右する大物政治家の「政治とカネ」に関する事件だけに、意味がないとは言わないが、検察の「小沢許すまじ」といった執念から始まり、マスコミを引き連れ、ようやく起訴にまで持ち込んだという背景を考えれば、「小沢叩き」に与する気が失せる。
  むしろ国民は、検察が主導してきた刑事司法が、特捜検察の制度疲労によって改革の時を迎えているだけに、「陸山会事件」は、その岐路を象徴する事件だと理解すべきではないだろうか。
  実際、「小沢逮捕」にかける検察の執念は異様だった。その"見立て"が間違っていたことは、12月16日、第10回公判で法廷に立った前田恒彦元大阪地検特捜部検事(証拠隠滅罪で実刑確定)が、「私が裁判官なら無罪判決を書く」と述べたことでも明らかだ。
  検察に切られ、地位と身分を失った前田元検事に怖いものはない。前田元検事は、「初日に主任検事から『特捜部と小沢の全面戦争。小沢をあげられなかったら特捜部の負けだ』と言われた」といい、当時、「4億円は複数の企業からもらったという"妄想"を抱く幹部がいた」と、辛辣に批判した。
  つまり、「小沢逮捕ありき」で捜査は進み、裏ガネがあると"妄想"した検察幹部によって、事件が組み立てられていった。「小沢公判」に先立つ「秘書公判」で、検察が水谷建設からの1億円の裏ガネを立証したかったのは、事件に関係はなくとも、「小沢事務所はクロ」と印象付けたかったからだ。
 特捜検察が手がける事件の多くが「強引なシナリオ捜査」で仕掛けられると指摘されてきたが、検察の"身内"がそれを暴露したことになる。
  小沢元代表は、検察には起訴されなかったが、検察審査会に強制起訴された。それは、強引に取られた調書によって審査員に「おかしなカネ集めをする事務所」という意識が刷り込まれていたからだと主張した。
  10月の初公判の「意見陳述」で、「本件が特に許せないのは、国民の負託を受けていない検察が、議会制民主主義を踏みにじり、国民主権を冒涜したことだ。(中略)恣意的な権力行使が許されるなら、民主主義国家とはいえない」と、小沢元代表は検察をののしった。当否はともかく"怒り"は理解できる。
  しかし、だからこそ「検察改革」なのである。取り調べの全面可視化も含め、検察は変わろうとしている。前田元検事が犯した大阪地検特捜部事件と合わせ、東京地検特捜部の「陸山会事件」は、明らかな行き過ぎであり捜査の失敗。その修正は始まっている。
  まず検察は、特捜部が手がける独自捜査を少なくし、「ノルマに縛られない捜査」を目指すことになった。むしろ国税当局、公正取引委員会、証券取引等監視委員会など外部と連動、時には警視庁と組む。
  同時に、有罪率100%を目指し、強引な自白調書を散るような取り調べはしない。調書至上主義からの脱却。また、全面可視化を目指すことも決めており、白黒は法廷でつければいいと考えるようになった。
  その分、有罪率は低下するが、起訴すればほとんど有罪。有罪率99・9%という数字が間違っていたのであって、裁判所は、検察側最終弁論で判決文を書くような"手抜き"が許されなくなる。
  検察が無理をしないということは、裁判所に被告が否認している案件が数多く持ち込まれるということだ。裁判官は、有罪を前提に量刑だけ決めればいいというこれまでの刑事司法から一転、自分の頭で公判資料を読み込み、尋問をし、自ら判断を下さねばならなくなった。
  「陸山会事件」の秘書公判で、東京地裁の登石郁朗裁判長は、特捜部の強引で恣意的な捜査を批判、供述調書の主要部分を認めず、「検察に対立するのか」と、訴訟指揮の評判は悪かった。しかし、「反検察」だったわけではない、裁判所もまた変わろうとしていた。
  それは、検察と"癒着"することで成り立つヤメ検弁護士の世界にも変化をもたらす。ヤメ検と言えば、罪を認めさせる代わりに、保釈を早くし、執行猶予判決を取ることが主な"役割"だった。だが、それは正しい刑事司法の姿ではない。
 争うべきは争う---。そう発想する人権派弁護士への依頼が増え、小沢元代表に就いたのが、冤罪の村木厚子事件で無罪を勝ち取った弘中惇一郎弁護士であるところに、それは表れている。
  司法マスコミもそうである。裁判所にタダ同然で記者クラブを置き、検察と一体となって報じていればいい記事、社内で評価の高い記事が書けていたのだから、検察と一心同体だった。だが、村木事件と小沢事件を経て、ネットジャーナリズムが雑誌ジャーナリズムと連帯、「検察べったりの司法マスコミ」を批判するようになった。
  検察自身が、制度疲労を認め、変革しようとしているのだから、司法マスコミも自立しなくてはならない。かつては考えられないことだが、検察批判、裁判批判が堂々と論じられるようになった。
  そういう意味で、「陸山会事件」は、法曹3者に司法マスコミも加えた刑事司法の関係者が、自立を始めるきっかけとなった事件であり、公判だと位置づけられよう。
  むろん素人を裁判に巻き込む裁判員裁判と合わせ、定着は容易ではない。自立を目指していた秘書公判の登石裁判長は、結局、検察の主張通りの判決を下したし、司法マスコミは横一線で形式犯に過ぎない「陸山会事件」を、微に入り細に入り報じ、「なぜ、いつまでも裁判が続いているのか」という、国民の声には答えていない。
  それだけ刑事司法改革は難しく、検察がすべてのシナリオを描く司法を郷愁する向きもある。だが、回り始めた歯車は元に戻せない。国民も含め、それそれが自分の頭で刑事事件を考えるしかなく、そうすることが、冤罪を生む強引な捜査からの決別になると信じたい。
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小沢一郎氏裁判/国民の代表である政治家と「全面戦争する」と言う特捜=国民主権を認めない組織〈検察〉2011-12-19 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
小沢一郎氏 初公判 全発言/ 『誰が小沢一郎を殺すのか?』2011-10-06 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
「小沢裁判」は小沢を抹殺するために行われている政治裁判/ 「国家権力」という化け物と、我々は戦っている2011-12-24 |
「小沢一郎氏 裁判」=検察官による「虚偽捜査報告書作成事件」 郷原信郎氏2011-12-21 |
小沢一郎氏裁判/“はぐれ検事”前田恒彦・元検事の爆弾証言でハッキリした「検察審は解散が必要」2011-12-21
小沢一郎氏裁判 第10回公判〈後〉前田恒彦元検事「私が裁判官なら小沢さん無罪」「検察、証拠隠しあった」2011-12-17
小沢一郎氏裁判 第10回公判〈前〉/前田恒彦元検事「上司から『特捜部と小沢の全面戦争だ』と言われた」

小沢一郎氏裁判 13回公判 《後》/(25)裁判官の質問〜(29)裁判長、弁護士の質問

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小沢一郎氏裁判 12回公判/〈NHK 前〉「4億円原資は両親からの不動産や現金の相続、印税、議員報酬」2012-01-10
小沢一郎氏裁判 12回公判 NHK/(1)秘書との関係は〜(11)秘書の裁量2012-01-10
小沢一郎氏裁判 13回公判 《前》/4、5億円の現金を手元に置くのは以前からそうしていた/(12)〜(16) 2012-01-11
小沢一郎氏裁判 13回公判 《中》/(17)供述の変遷〜(24)調書の内容 2012-01-11

小沢氏裁判(25)裁判官の質問
(NHKニュース)1月11日 20時42分
(裁判官)秘書との関係についてですが、収支報告書や資産公開について提出した内容を把握したうえで正しいと言っているのではなくて、内容を把握せずに正しいということ?
(小沢元代表)はい。資産の報告については把握していました。
(裁判官)というのは?
(小沢元代表)はい。沖縄の土地を買ったときもそれを報告しました。
(裁判官)新たなことがあれば、あなたから情報提供をしていたということ?
(小沢元代表)はい。
(裁判官)収支報告書を把握していないというのは国会議員が多忙だからというのもあるのですか?
(小沢元代表)はい。
(裁判官)あなたは今は把握していないということですが、最初からこういうスタイルだったのか、それともある頃から把握しなくなったのですか?
(小沢元代表)報告書については最初から関与していませんでした。大多数の議員がそうだと思います。
(裁判官)大きな役職についている人だけじゃなく、初当選の議員とかもそうですか?
(小沢元代表)そうだと思います。政策秘書が導入されたので、政策秘書のたぐいに任せる人が多いのではないかと思います。これは推測ですが。
(裁判官)弁護士や指定弁護士からの質問で、検察の取り調べで「無断」というのはちょっと違うというのがあったが、収支報告書の作成を任せていたが把握していない、これは無断とも違う?
(小沢元代表)無断という単語の響きは、秘書との関係を示すのに適切ではありません。任せていたこと、判断裁量でやっていたというほうが適切なのでそういった。
(裁判官)秘書のやったことの責任を代議士が責任を問われるという意識は持っていますか?
(小沢元代表)基本的に法律に違反するたぐいの行為を、選挙のことなんかありますけれども、特に私の場合、無理するなと、表現はあれだが、法律に反することをしてまですることないというのは常々話していますし、私自身そう思っていますし、きちんと筋道を通ったことをしないといけないと自分自身をいさめています。
(裁判官)秘書の裁量に任せているというのは分かりますが、4億という大きな取り引きでも秘書に任せていて不安はないですか?
(小沢元代表)この法廷で申す1つの例としては、選挙の際に同志への支援を行ったが、そのトータルは4億4000〜5000万円になると思います。それらを候補者に渡すことはすべて秘書に任せていますので、本当に信頼して任せているという関係です。
(裁判官)個人資産を管理する秘書はいますか?
(小沢元代表)いません。
(裁判官)例えば自宅の光熱費の支払いとか細々したことは誰がやっているのですか?
(小沢元代表)そういうたぐいは、たぶん最初に自分の口座で自動引き落としになっているので、いちいち振り込みは必要なかったと思います。
(裁判官)平成16年10月ごろ、石川さんに4億円を渡したときのあなたの考えを改めて聞きます。秘書寮を建てる不動産として購入するとなると、本来、陸山会の政治資金でやるものだが、個人資産を出す気持になったのはなぜですか?
(小沢元代表)一つは秘書が十数人いて、結婚適齢期が3人、家族も増えるとのことで、身近なところに寮をという気持でありました。ただ、最初から個人のお金でという意志はまったくなく、政治団体で購入すべきものと頭では分かっていたが、運転資金に困るというので、じゃあと手持ちがありましたから、自分が用立てることになりました。
(裁判官)あくまで一時的なものという認識でいい?
(小沢元代表)寄付するというものではなかったと思います。
(裁判官)4億という巨額の金額を用立てることに一般国民がすぐに飲み込めないということでの質問ですが、いつ返ってくるのかなどについて気にはならないのですか?
(小沢元代表)書生から秘書の話を話しましたが、その意味は私からすれば家族同様の気持を持っている連中ですから心配はまったくしていませんでした。
(裁判官)いずれ戻してもらえるとの見通しでしたか?
(小沢元代表)はい、いずれは戻してもらえると思っていました。
(裁判官)4億はあくまで土地取得のために限った話との認識?
(小沢元代表)はい。
(裁判官)陸山会で一般的に使っていいということではない?
(小沢元代表)はい、そうです。
(裁判官)石川さんもそう理解していた?
(小沢元代表)分かっていると思います。そもそも運転資金に困るというから用立てるという話であり、その趣旨は分かっていたと思います。
(裁判官)石川さんと大久保さんが頼んできたのは、その経緯から?
(小沢元代表)経緯というか実情として出すと困ると、それなら「じゃあ」となったと思います。
(裁判官)石川さんや大久保さんが、あなたの個人資産がどれくらいあるか知識あったと思いますか?
(小沢元代表)具体的にはないと思うが、私がずっと使ってきた銀行の通帳のことに関しては、およそ分かっていたと思います。歳費もその他も、大体分かっていたと思うので。
(裁判官)元赤坂タワーズの金庫に、どれくらいの余剰金額があるか話をしたことは?
(小沢元代表)ありません。彼らが私のところで仕事を始めたときには自宅の売却も終わっており、そのことも知らないし、その当時いれば知り得たかもしれないが、僕がいくら持っていたかは知らなかったと思います。
(裁判官)大久保さんや石川さんが、あなたに期待する事情は?望みがなければ相談しないと思うが?
(小沢元代表)具体的にいくらとかは全然知らないと思うが、報告すればなんとか返事があるのではないかとのことは思っていたかもしれません。

小沢氏裁判(26)手形のサインは
1月11日 21時3分
(裁判官)場面が変わります。日付けは記憶がないということですが、平成16年10月29日に銀行から4億円の融資を受けた際に書類にサインをした場面です。このとき、あなたの法廷での答えだと、預金を担保にして金を借りるんだなと思ったということですが、それでよろしいですか?
(小沢元代表)手形にサインをしたわけですので、そういうたぐいのことだとは頭の中にありました。
(裁判官)その際の石川議員とのやりとりについては?
(小沢元代表)記憶にありませんし、たぶんほとんど会話はなかったと思います。
(裁判官)ただ無言でサインをしてくれというのは、不自然だと思います。最低限の説明はあったのではないですか?
(小沢元代表)無言というのはありえません。ただ、私の記憶にあるイメージでは、石川と銀行の担当者が一緒に来たような記憶があります。石川が「そうじゃない」というのであれば、違うのかもしれませんが。金を私が出して、それに基づく手続きだということはすでに分かっていましたので、どういうことばを交わしたかは覚えていませんが、簡単なものだったと思います。
(裁判官)融資が陸山会の名義なのか、個人の名義なのかについての認識はありましたか?
(小沢元代表)当時は分かりませんでした。今はいろいろ聞いているので分かりますが。
(裁判官)平成16年10月29日の当時、預金の名義について認識していましたか?
(小沢元代表)聞いていないというか、覚えていません。
(裁判官)例えば石川さんから説明はされたが、聞き流してしまったということではないのですか?
(小沢元代表)その可能性は薄いと思います。これは石川が任されたことですので、そういうことは考えられません。
(裁判官)細かいことは、あなたに説明しないということですか?
(小沢元代表)任せた以上は自分の判断でやれという私の気質を石川はよく知っていますので、細かいことを報告する必要はないと意識していたのだと思います。
(裁判官)そうした意識はあなたの認識ですか?それとも石川さんもそう思っていたということですか?
(小沢元代表)石川も私も両方そういう認識だったと思います。
(裁判官)約束手形にサインをして銀行から4億円の債務を負い、陸山会に貸し付けることになるということは漠然と認識していましたか?
(小沢元代表)私が用立てた金を活用してやることは当然分かる。方法論として銀行と話したうえでそうなっただけのことですので、深く理詰めで考えたことはありませんでした。
(裁判官)普通だと4億円を借りる手形に署名をするとなれば、慎重になると思いますが、それも秘書との信頼関係があったので、任せていたということですか?
(小沢元代表)相手が銀行ですから。そういう意味では変な工作はないと私は思っていますし、銀行と信頼する秘書がやることですから、何の疑念もありませんでした。
(裁判官)平成17年3月に平成16年の収支報告書が提出されますが、この内容については把握していないということですね?
(小沢元代表)そうです。
(裁判官)この報告書に4億円の貸付だけが計上されていることが今は分かると思いますが、今、石川さんからそういう経理処理を相談されたら、あなたはどうしますか?
(小沢元代表)それは仮定の話ですけれど、私は法律的なことは分からないし、石川や池田が職務でまかされていたことですので、公正にやっていると思っています。
(裁判官)法律に従うことを前提に「よし」となるいうことですか?
(小沢元代表)中身は詳しく知りませんし、中身まで聞く間柄でもないですし、任せた立場のうえでもないことです。石川からこういう形で報告するとあった場合には石川の判断でやるということになると思います。
(裁判官)例えば8億円分の貸付を記載して提出したいと言われたらどうしていましたか?
(小沢元代表)8億円と聞こえてきますが、私としては用立てたのは4億円ですし、あとは分かりません。
(裁判官)逆に4億円だと言われれば腑に落ちることになる?
(小沢元代表)中身については想像しておりませんでした。私の頭と行為は陸山会に4億円用立てたということで、あとは担当者が行うことで考えたこともありません。
(裁判官)今、改めて考えたらどうかということですが、8億円ならばどうですか?また4億円ならばどうですか?
(小沢元代表)私は融資の仕組みとか分からないわけで、担当者の考えることですので、事実行為として4億円用立てたとしか答えようがないです。
(裁判官)これも記憶があるかどうかですが、平成17年10月に銀行に4億円返済のために取り崩して支払ったことがあると思いますが、どの程度の記憶ですか?
(小沢元代表)まったく意識としては薄れておりました。確かに先ほど指定弁護人に見せられたのは自分がサインした手形だと思います。しかし、記憶としてはその経過はありません。
(裁判官)もし石川さんから、あなたからの個人的な4億円を土地の購入に使ったと書かなければいけない、収支報告書でも資産報告書でもいいんですが、と相談されたらどう答えましたか?
(小沢元代表)自分の資金なので人に知られても一向にかまいません。何に書くかは別にして、公にするということは一向にかまいません。

小沢氏裁判(27) 融資の認識は
1月11日 21時3分
(裁判官)収支報告書に関する秘書らの報告の点ですが、そうしますと年末にあなたのほうから「うまく回っているか」と尋ね、それに秘書が答えていたということですね。
(小沢元代表)はい。
(裁判官)あなたは秘書にお任せして報告を受けていなかったと供述していましたが、お任せしたものは報告を受けていないのですか?
(小沢元代表)私の考えでは、秘書や議員にこの件は任せたということについては、そのものの判断、裁量にまかせる。でなければ、物事がうまく進まないと考えていますので、その主義でやってきました。報告や細かい数字の報告は受けていません。政治活動に必要な政治資金がうまく回っていれば問題ないということだと思います。
(裁判官)石川さんが作ったノートに先生にお伺いを立てる、報告という記載がある。一切、任せていたのではなくて、この点についてとか、留保をつけて任せていたことはありませんか?
(小沢元代表)ないです。あるとすれば、彼のほうから私のほうに問い合わせたことがあったのかなと思います。
(裁判官)政治団体の代表と個人と別の人格だということですが、その別の主体であるのに貸し借りについての理解がないというのは理解できないのですが?
(小沢元代表)別人格は間違いないですが、実態として代表の私と個人の私は同一人物です。期日を決めてというたぐいのような意識はまったくなかったということでございます。
(裁判官)主尋問では石川さんが持参した融資申込書と手形に署名して、融資の形でと理解と供述していたが、反対尋問では仕組みは分からなかったと供述している。当時の認識としては融資と理解していたのですか?
(小沢元代表)はい。基本的には任せていたので分かりませんが、手形が来るのだから分かっていたと思います。
(裁判官)どのような認識だったのか、もう一度話して下さい。
(小沢元代表)どういう仕組みかは知らないし、報告を受けていないので分かりませんが、手形を書くのだから私に支払い義務が生じる。以前も自分が借受人になった例があるので、そういう形だろうと思った。深くは考えていません。
(裁判官)以前も預金担保融資で二重に原資が。以前も同じようなことがあったのですか?
(小沢元代表)自分で手形を書いて形のうえで支払い義務者になり、自分を通してということが前にもあったので疑問はなかった。
(裁判官)4億円のうえにさらに融資で金を借りるという理解ですか?
(小沢元代表)全然違います。私が出したのは4億円。8億円との話もあるが4億が8億になるわけはないので。どういう形か分からないが、いろいろ利用してそうなったのだろうと。
(裁判官)やりとりはなかった?
(小沢元代表)なかったと思うが、絶対になかったかというと否定する根拠はない。覚えていない、記憶にないと言い換えてもいいと思います。
(裁判官)記憶にないということですか?
(小沢元代表)実態として同様。あえて峻別しろといわれれば記憶にないということです。
(裁判官)2億円の返済について、池田さんから署名を求められたことも記憶がないとのことですが、利息の話を聞いてもったいないと思ったというのも記憶はありませんか?
(小沢元代表)記憶にない。記憶にありません。
(裁判官)石川さんから10月に話を聞いて、融資申込書や手形に署名したあと、本件土地や秘書寮のことを秘書から報告を受けたのはいつ、誰からですか?
(小沢元代表)報告はありません。土地の購入が目的ではなく、秘書の寮を建てるのが目的ですから。4億円というのも4億数千万の土地に建物を建てれば、そのくらいとの粗々の話ですから。その後の推移は分かりません。

小沢氏裁判(28)“私の責任”
1月11日 21時36分
(裁判官)土地に建物が建つまで秘書から経過報告はなかったのですか?例えば建築が始まったとか登記されたとか。
(小沢元代表)報告というよりも建物ができれば秘書が住むからそういう現象で分かります。引っ越しとか。
(裁判官)石川に4億円を渡したあと、お任せになっていたと言うが、秘書に全面的に任せていた場合、仮に秘書が不相当なことをして大きな損失が出たりとか、誤って違法なことをやって監督責任に問われるおそれがあるのでは?
(小沢元代表)秘書がそういうことをやるのはまったく頭になかった。何か不祥事が起きたとか、金がなくなったとか、持って行ったとか、自分の範ちゅうのことで、自分が使っていた人間なので不徳の致すところというしかない。私の責任のことだと思います。
(裁判官)収支報告書の提出前に見て、確認したり口頭で報告を受けていなかったというが、政治団体の責任者が責任監督を怠ったら処罰される。政治資金規正法も記入に誤りがないよう求めていることに議員の立場では天下国家だけではなくて、政治団体の代表者としての責務もあるが?
(小沢元代表)当然あると思います。ただ、実態論として、ややこしい事務ではなくて、この人物なら正確にやれるとしてやってもらっているので、いちいち注意はしなかった。
(裁判官)その程度のものだからいったん目を通すとか口頭で報告を受けるとか、煩雑なことではないと思うが?
(小沢元代表)自分の責任を逃れるために言うわけではないが、収支報告書に目を通す議員はほとんどいないと思う。しっかりやれとお叱りを受けるかもしれないが、いちいち目を通す必要はないという意識だった。
(裁判長)石川さんに4億円を用立てると答えたときに、いつごろ用立てるとか話をしたのですか?
(小沢元代表)まったくしていません。手持ちがあったので、必要なときにもらえると。
(裁判長)石川さんらもそういう認識か?
(小沢元代表)僕が用立てるといったから彼らもそういう認識だったと思います。
(裁判長)売買が10月5日に決まって、10月29日に実行することになっていた。石川さんは10月29日には少なくとも代金が必要なことを知っている。代金が必要になる時期について、石川さんから話はなかったか?
(小沢元代表)ありません。私が了解した以上、大丈夫だと彼らは思っているから。
(裁判長)陸山会が不動産を買うかどうか、最終的には小沢さんの決済が必要か?
(小沢元代表)はい。
(裁判長)購入にゴーサインを出したあと、不動産を契約した報告も一切なかったか?
(小沢元代表)はい。
(裁判長)秘書は報告するとも考えられますが?
(小沢元代表)報告しない理由は考えられませんが、用立てるといったことを彼らは分かっているので、あとは任せるということですので、それを彼らは十分分かっているということです。
(裁判長)不動産契約の実行については報告を受けていないですか?
(小沢元代表)そういう記憶はありません。
(裁判長)銀行の融資の書類について一点確認したいことがあります。小沢さんの個人名義で融資を受けることは分かっていましたか?
(小沢元代表)はい。手形に名前を書いたので。
(裁判長)どうして陸山会で融資を受けないのか、疑問に感じませんでしたか?
(小沢元代表)それは感じませんでした。任せていたことと、自分自身手形を書いて債務者になったこともあり、何も疑問を感じませんでした。
(裁判長)年末に政治団体の経理状況について報告を受けているということですが、時間はどのくらい?
(小沢元代表)ほんのわずかの数分のことと思います。
(裁判長)陸山会以外にも各団体分の報告を受けるのですか?
(小沢元代表)トータルとしてうまくいっているかどうかの会話があります。
(裁判長)各年末ともそういう方法でやるのですか?石川さんか、池田さんに変わったが?
(小沢元代表)池田になったときにあいまいなところがあったので、そのときには「それくらいは分かっていないとダメ」と言って、その結果、彼が再計算したのでしょうが、メモにして持ってきたことはありました。
(裁判長)それは池田さんに代わって最初の年?
(小沢元代表)最初か2年目か分かりません。
(裁判長)年末の報告の際に別のこと、団体が個人分を立て替えた分の報告することがありますね。それは時間はどのくらいかけるのですか?
(小沢元代表)たいした時間ではない。飲食代や出張代など、個人で支払うべきものと後援会で払うべきものとを分別して、私の分は私がお金を出すと、そんなに長時間かけることもなかった。
(裁判長)1年分やるわけですか?
(小沢元代表)1年か、半年かは分かりませんが。
(裁判長)大久保さんが陸山会の会計責任者だという認識はありましたか?
(小沢元代表)はい。
(裁判長)会計事務について大久保さんが、どういう役割か、一切関与していないという認識を持っていたのですか?
(小沢元代表)本人と話していたわけではありませんが、たぶんやっていないという認識はありました。実務は石川か池田だろうと思っていました。
(裁判長)以前からそういうことになっていたのですか?
(小沢元代表)そうなっていたことが多かったと思います。
(裁判長)収支報告書は、最後に会計責任者が署名することになっていますが、大久保さんではなく、石川さんや池田さんが書いていたということがあったといいますが、どう考えますか?
(小沢元代表)この間、それを示されて分かりましたが、決していいことだとは思いませんが、実態としては公正にできていれば、それほど、とがめだてすると言うことではないという認識です。

小沢氏裁判(29)何ら不正ない
1月11日 21時36分
(裁判長)確認書の件ですが、土地を購入した際ではなく、あとで作らせたという認識だということでよろしいですね?
(小沢元代表)はい。
(裁判長)その際、担当者にどういう指示をしたのですか?
(小沢元代表)「最初から作ることになっていたのに、なんで作っていないのか」ということは言ったと思います。
(裁判長)確認書は、関係団体と個人の資産をしゅん別するものですよね。秘書を厳しく叱責するようなことはありましたか?
(小沢元代表)叱責というほどではないですが、なんで作っていないのかということは言っただろうと思います。ただ、確認書は疑念を持たれないように、われわれが積極的に作ったものですので、作っていないことが分かった段階で作ってもいいものですので、忘れていたからといって厳しく叱責するものではありません。
(裁判長)今回の事件では、平成22年1月に石川さんが逮捕され、その前にも陸山会を巡って様々な報道がありましたが、それは把握していましたか?
(小沢元代表)まぁ、まぁ。
(裁判長)報道されたときには石川さんから経理処理の方法について報告は受けていないということでしたが、報道のあと、石川さんを呼んで経理処理について詳しく説明を求めたことはありませんでしたか?
(小沢元代表)一連の事件については、私も事務所も何ら不正はありませんし、なぜこうなるのかと強く思っていました。収支報告書に関しても石川や池田がきちんと正確に報告していると信じていましたし、そのことについては、弁護士ときちんとやっていると報告を受けていましたので、やましいことはありませんし、特別、石川や池田を呼んだりはしませんでした。
(裁判長)今回の事件で、石川さんたちが、政治状況を考慮して深沢の土地の登記を平成16年から平成17年にずらしたと証言しています。深沢の土地の登記をずらすという秘書の行動についていまはどう思っていますか?
(小沢元代表)私も秘書も申し上げましたが、彼らは彼らなりに、少しでもマイナスにならないように、よかれと思ってやったことだと思います。収支報告書についても、きちんとやっていますので、彼らに対して叱るというたぐいの感情は持っていません。最後に、小沢元代表側の弁護士と検察官役の指定弁護士がそれぞれ質問しました。
(弁護士)総選挙の際に、同志の議員に500万円ずつ渡したと証言されていますが、領収書はもらっていますか?
(小沢元代表)もちろんです。きちんともらっています。
(弁護士)それは、陸山会宛の領収書ですか?
(小沢元代表)そうです。
(弁護士)小沢さんは、経理や会計の経験はあるのですか?
(小沢元代表)ありません。
(弁護士)それでは収支報告書を見て正しいか、間違っているか判断できるのですか?
(小沢元代表)私は書式もわかっていませんので、ポンと見せられても分かりません。
(弁護士)深沢8丁目の土地は、平成17年1月に本登記がされました。確認書を後から作ったのは平成19年2月、そして平成22年4月に検察官から調べを受けましたよね?今から考えると、5年前の土地購入について、3年前に確認書を作ったということです。それを正確に思い出せたのですか?
(小沢元代表)私の頭の中には、1つは、確認書を念のために作ろうということでスタートした。確認書があるものという意識が頭の中にはあったと思います。あとになって、公開するとき作っていないものがあることが判明したので、そのときに作ったものもあったわけでございまして、そのへんの年月日、行動についてはっきりした記憶はなかったと思います。
(弁護士)確認書は、権利とか義務とか発生するものではないから、あえて特別ごまかすという意識はないのではないですか?
(小沢元代表)確認書は契約書でちゃんとやっているもので、作る必要はないが、念には念を入れて私どもの積極的な努力でやろうということで確認書を作ろうということを始めたわけで、自分としては、その都度できているものと思い込んでいましたが、たまたま作っていないものもあるということで、公開のときに作っていました。それを忘れていたというのは、その時点ですぐ作ればよかったが、きちんとしてくれていれば、とやかく言われる筋合いはないと思っています。
(指定弁護士)あなたの銀行の口座の預金の出入りが尋ねられている。個々のものに記憶はありますか?
(小沢元代表)具体的行為の記憶はありませんが、そこからかなりの額の金額を引き出したのは覚えています。
(指定弁護士)弁護士に開示している出入金の元帳示します。口座番号分かりますか?
(小沢元代表)分かりません。
(指定弁護士)16年10月の分を見てもらえば分かると思います。
(弁護士)小沢元代表本人が見たこともない書類を、証拠申請されていない、公判前整理手続きで出ていない書類を出すことは、賛成していない。
(指定弁護士)では、弁護士が不同意なのであれば撤回します。
(裁判長)それでは終わりました。元の席に戻ってください。
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小沢一郎氏裁判/検察の「小沢許すまじ」の執念に始まり、マスコミを引き連れ、起訴にまで持ち込んだ2012-01-12
 小沢一郎元代表への被告人質問でヤマを越した「陸山会事件」の持つ意味と露呈した刑事司法改革の難しさ
現代ビジネス「ニュースの深層」2012年01月12日(木)伊藤 博敏
 読まされる方も報道する方も、いささか食傷気味だった「陸山会事件」が、10日、11日の両日、行われた小沢一郎元民主党代表への被告人質問でヤマを越した。
 事件発生から3年が経過、最初は小沢事務所の巨大裏ガネ疑惑を追及していたが、途中で諦め、最後は秘書宅取得資金の4億円が政治資金規正法違反にあたるか否かを問う事件となった。
 小沢一郎という日本を左右する大物政治家の「政治とカネ」に関する事件だけに、意味がないとは言わないが、検察の「小沢許すまじ」といった執念から始まり、マスコミを引き連れ、ようやく起訴にまで持ち込んだという背景を考えれば、「小沢叩き」に与する気が失せる。
 むしろ国民は、検察が主導してきた刑事司法が、特捜検察の制度疲労によって改革の時を迎えているだけに、「陸山会事件」は、その岐路を象徴する事件だと理解すべきではないだろうか。
 実際、「小沢逮捕」にかける検察の執念は異様だった。その"見立て"が間違っていたことは、12月16日、第10回公判で法廷に立った前田恒彦元大阪地検特捜部検事(証拠隠滅罪で実刑確定)が、「私が裁判官なら無罪判決を書く」と述べたことでも明らかだ。
 検察に切られ、地位と身分を失った前田元検事に怖いものはない。前田元検事は、「初日に主任検事から『特捜部と小沢の全面戦争。小沢をあげられなかったら特捜部の負けだ』と言われた」といい、当時、「4億円は複数の企業からもらったという"妄想"を抱く幹部がいた」と、辛辣に批判した。
 つまり、「小沢逮捕ありき」で捜査は進み、裏ガネがあると"妄想"した検察幹部によって、事件が組み立てられていった。「小沢公判」に先立つ「秘書公判」で、検察が水谷建設からの1億円の裏ガネを立証したかったのは、事件に関係はなくとも、「小沢事務所はクロ」と印象付けたかったからだ。
 特捜検察が手がける事件の多くが「強引なシナリオ捜査」で仕掛けられると指摘されてきたが、検察の"身内"がそれを暴露したことになる。
 小沢元代表は、検察には起訴されなかったが、検察審査会に強制起訴された。それは、強引に取られた調書によって審査員に「おかしなカネ集めをする事務所」という意識が刷り込まれていたからだと主張した。
 10月の初公判の「意見陳述」で、「本件が特に許せないのは、国民の負託を受けていない検察が、議会制民主主義を踏みにじり、国民主権を冒涜したことだ。(中略)恣意的な権力行使が許されるなら、民主主義国家とはいえない」と、小沢元代表は検察をののしった。当否はともかく"怒り"は理解できる。
 しかし、だからこそ「検察改革」なのである。取り調べの全面可視化も含め、検察は変わろうとしている。前田元検事が犯した大阪地検特捜部事件と合わせ、東京地検特捜部の「陸山会事件」は、明らかな行き過ぎであり捜査の失敗。その修正は始まっている。
 まず検察は、特捜部が手がける独自捜査を少なくし、「ノルマに縛られない捜査」を目指すことになった。むしろ国税当局、公正取引委員会、証券取引等監視委員会など外部と連動、時には警視庁と組む。
 同時に、有罪率100%を目指し、強引な自白調書を散るような取り調べはしない。調書至上主義からの脱却。また、全面可視化を目指すことも決めており、白黒は法廷でつければいいと考えるようになった。
 その分、有罪率は低下するが、起訴すればほとんど有罪。有罪率99・9%という数字が間違っていたのであって、裁判所は、検察側最終弁論で判決文を書くような"手抜き"が許されなくなる。
 検察が無理をしないということは、裁判所に被告が否認している案件が数多く持ち込まれるということだ。裁判官は、有罪を前提に量刑だけ決めればいいというこれまでの刑事司法から一転、自分の頭で公判資料を読み込み、尋問をし、自ら判断を下さねばならなくなった。
 「陸山会事件」の秘書公判で、東京地裁の登石郁朗裁判長は、特捜部の強引で恣意的な捜査を批判、供述調書の主要部分を認めず、「検察に対立するのか」と、訴訟指揮の評判は悪かった。しかし、「反検察」だったわけではない、裁判所もまた変わろうとしていた。
 それは、検察と"癒着"することで成り立つヤメ検弁護士の世界にも変化をもたらす。ヤメ検と言えば、罪を認めさせる代わりに、保釈を早くし、執行猶予判決を取ることが主な"役割"だった。だが、それは正しい刑事司法の姿ではない。
 争うべきは争う---。そう発想する人権派弁護士への依頼が増え、小沢元代表に就いたのが、冤罪の村木厚子事件で無罪を勝ち取った弘中惇一郎弁護士であるところに、それは表れている。
 司法マスコミもそうである。裁判所にタダ同然で記者クラブを置き、検察と一体となって報じていればいい記事、社内で評価の高い記事が書けていたのだから、検察と一心同体だった。だが、村木事件と小沢事件を経て、ネットジャーナリズムが雑誌ジャーナリズムと連帯、「検察べったりの司法マスコミ」を批判するようになった。
 検察自身が、制度疲労を認め、変革しようとしているのだから、司法マスコミも自立しなくてはならない。かつては考えられないことだが、検察批判、裁判批判が堂々と論じられるようになった。
 そういう意味で、「陸山会事件」は、法曹3者に司法マスコミも加えた刑事司法の関係者が、自立を始めるきっかけとなった事件であり、公判だと位置づけられよう。
 むろん素人を裁判に巻き込む裁判員裁判と合わせ、定着は容易ではない。自立を目指していた秘書公判の登石裁判長は、結局、検察の主張通りの判決を下したし、司法マスコミは横一線で形式犯に過ぎない「陸山会事件」を、微に入り細に入り報じ、「なぜ、いつまでも裁判が続いているのか」という、国民の声には答えていない。
 それだけ刑事司法改革は難しく、検察がすべてのシナリオを描く司法を郷愁する向きもある。だが、回り始めた歯車は元に戻せない。国民も含め、それそれが自分の頭で刑事事件を考えるしかなく、そうすることが、冤罪を生む強引な捜査からの決別になると信じたい。
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小沢一郎氏裁判/国民の代表である政治家と「全面戦争する」と言う特捜=国民主権を認めない組織〈検察〉2011-12-19 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
小沢一郎氏 初公判 全発言/ 『誰が小沢一郎を殺すのか?』2011-10-06 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
「小沢裁判」は小沢を抹殺するために行われている政治裁判/ 「国家権力」という化け物と、我々は戦っている2011-12-24 |
「小沢一郎氏 裁判」=検察官による「虚偽捜査報告書作成事件」 郷原信郎氏2011-12-21 |
小沢一郎氏裁判/“はぐれ検事”前田恒彦・元検事の爆弾証言でハッキリした「検察審は解散が必要」2011-12-21
小沢一郎氏裁判 第10回公判〈後〉前田恒彦元検事「私が裁判官なら小沢さん無罪」「検察、証拠隠しあった」2011-12-17
小沢一郎氏裁判 第10回公判〈前〉/前田恒彦元検事「上司から『特捜部と小沢の全面戦争だ』と言われた」

市民団体、田代政弘検事に対する虚偽有印公文書作成容疑などの告発状を最高検に提出

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石川議員取り調べの検事告発=「報告書にうそ記載」−市民団体
 小沢一郎民主党元代表の資金管理団体をめぐる政治資金規正法違反事件で、元秘書の石川知裕衆院議員の取り調べを担当した田代政弘検事(44)が、捜査報告書に事実と異なる記載をしていたとして、東京都内の市民団体が12日、田代検事に対する虚偽有印公文書作成容疑などの告発状を最高検に提出した。
 告発状によると田代検事は、小沢元代表を「起訴相当」とした検察審査会の議決を受けて石川議員を再聴取。聴取後に作成した捜査報告書に、「『選挙民を裏切ることになる』と(検事に)言われたんですよね。これは結構効いたんですよ」などと石川議員が話して調書作成に応じたという、実際には行われていないやりとりを記載したとされる。(時事通信2012/01/12-19:02)
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「小沢一郎氏 裁判」=検察官による「虚偽捜査報告書作成事件」 郷原信郎氏2011-12-21 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
 12月15日に東京地裁で開かれた公判において、元東京地検特捜部所属の田代政弘検事の証人尋問が行われ、昨年5月、同会元事務担当者の石川知裕衆院議員を保釈後に再聴取した際の状況について、石川被告が供述していない内容を捜査報告書に記載していたことが明らかになった。
 その報告書は小沢被告に対する起訴議決を出した東京第5検察審査会にも提出され、審査の資料とされ、議決書にも一部が引用されている。
 石川被告は昨年1月の逮捕後、田代検事の取り調べを受け、「小沢被告の了承を得て政治資金収支報告書に虚偽記入をした」との供述調書に署名した。そして、同年5月17日の任意の再聴取でも同様の内容の調書が作成され、同日付けの取調べ状況に関する捜査報告書とともに、検察審査会に捜査資料として提出された。この問題を、一面トップ、社会面トップで報じた16日付読売新聞朝刊によると、同報告書には、田代検事が小沢氏に対する報告とその了承について調査を録取した状況を質問したことに対する石川氏の供述として、以下のように記載されている。
 「私が『小沢先生は一切関係ありません』と言い張ったら、検事から、『あなたは11万人以上の選挙民に支持されて国会議員になったんでしょ。小沢一郎の秘書という理由ではなく、石川知裕に期待して国政に送り出したはずです。それなのに、ヤクザの手下が親分を守るためにウソをつくのと同じようなことをしたら、選挙民を裏切ることになりますよ。』と言われたんですよね。これは結構効いたんですよ。堪えきれなくなって、小沢先生に報告し、了承も得ましたって話したんですよね。」
 ところが、そのようなやり取りは、石川被告が再聴取を隠し取りした録音記録にはない。
 同日の証人尋問で、その点について、小沢被告の弁護人から追及された田代検事は、「数日をかけて、思い出しながら報告書をまとめる際、勾留中のやり取りなどと記憶が混同した。虚偽ではない」と釈明した。
 田代検事の行為は、検察官の作成名義の捜査報告書という公文書に虚偽の記載をしていたということであり、虚偽性についての認識があれば、虚偽公文書作成罪という犯罪に該当する。
 虚偽公文書作成という犯罪は、形式上犯罪に該当する行為であっても、可罰性の幅は非常に広い。公文書の内容に事実に反する点があったとしても、それが官公庁内部に止まるものであれば、実質的な処罰価値はない場合も多い。しかし、本件のようにその報告書が司法作用に重大な影響を及ぼすというのは、最も悪質・重大な虚偽公文書作成の事実と言えよう。
 検察官の取調べをめぐる問題は、郵便不正事件でも、小沢氏の元秘書3人が起訴された政治資金規正法違反事件でも問題になった。被疑者が実際の供述しているのとは異なる内容の供述調書が作成され、威迫、利益誘導、切り違えなどの不当な方法によって被疑者に署名をさせるという方法が問題にされ、供述調書の請求が却下されるという事例が相次いでいる。
 被疑者の供述を内容とする捜査報告書をめぐる今回の問題は、検察官の供述調書をめぐる問題とは性格を異にする。供述者の署名があって初めて書面として成立する供述調書とは異なり、捜査報告書は、検察官側が一方的に作成できる書面だ。あくまで捜査の状況を報告するための文書であり、その分、被疑者の供述内容を立証する証拠としての価値は低い。一般の刑事事件においては、捜査報告書によって被疑者の供述が立証され事実認定が行われることはほとんどない。
 しかし、検察審査会の審査員という素人の判断との関係では、捜査報告書の取扱いも全く異なってくる。証拠の種別、価値等について前提となる知識が乏しい審査員は、捜査報告書であっても、被疑者の供述として書面に記載されていれば、それなりに信用できるもののように判断することとなる。
 今回虚偽であることが明らかになった捜査報告書は、検察審査会に資料として提出され、審査会の判断の根拠とされたものであり、それを意図して行われた疑い、つまり、虚偽の捜査報告書が検察審査会をだます目的で使われた疑いがある。そこに、これまで供述調書に関して問題とされてきたこととは異なる重大な問題があるのである。
 そこで、まず問題となるのは、報告書に虚偽の記載が行われたことが意図的なものであるかどうかである。
 田代検事は、勾留中の取調べのやり取りと混同したという「過失」を主張しているが、起訴後、保釈で身柄非拘束の状況での取調べでのやり取りを、その直後に捜査報告書に記載する際に、3ヶ月前も前の勾留中のやり取りと混同するなどということ自体が考えられない。
 また、通常、被疑者の供述が変遷したのであれば、変遷の時点で理由を聞いているはずであり、3ヶ月以上も経った、釈放後に、勾留中の供述の理由を尋ねるということも、検察官の取調べの経過として考えられない。そのような常識では考えられないような質問を自分が行い、石川氏がそれに答えているという状況を、田代検事が「自らの記憶」として報告書に書いたとは考えられない。
 しかも、石川氏の勾留中の取調べの大半が、水谷建設からの裏献金の受領の問題に費やされたこと、特に、勾留延長後の10日間は、田代検事から担当副部長に取調べ検察官が交代し、もっぱら水谷建設からの裏献金の問題について聞かれていたことは、同氏自身が語っているところである。政治資金収支報告書の虚偽記入について小沢氏に報告をした旨の石川氏の供述調書に関して、田代検事がそのような供述をした理由を尋ね、石川氏が説明する、というような「勾留中のやり取り」は、いったいどの時点で行われたのであろうか。そもそもその「やり取り」自体が存在していなかった疑いが強い。だとすると、石川氏が、「ヤクザの手下が親分を守るためにウソをつくのと同じようなことをしたら、選挙民を裏切ることになる」と考えて小沢氏への虚偽記載の報告を認めた、という捜査報告書の記述自体が「創作」であり、石川氏の供述を捏造した疑いが濃厚と言うべきであろう。
 田代検事の「過失」の弁解は明らかに不合理であり、意図的で、しかも実害を伴う虚偽公文書作成罪の嫌疑が相当程度認められるのであるから、検察として、捜査或いは内部調査に乗り出すのは当然であろう(「うその報告書―検察は経緯を検証せよ」と題する12月18日の朝日新聞社説でも、「なぜうその報告書が作られ、チェックもできなかったのか、経過を解明・検証して国民に説明する作業が欠かせない」と説明を求めている)。
 検察には、今回の虚偽公文書作成の問題について、今のところ何の動きもない。この件について何の調査も捜査も行わないとすると、前田検事の故意の証拠改ざんを行った事実を知りながら、同検事の刑事事件について捜査し、検挙するなどの措置をとらなかったとして上司の大坪・佐賀両氏を犯人隠避罪に問おうとしている検察の主張は、根底から崩れる。調査を行ったとしても、田代検事の「過失」の弁解を、そのまま受け入れるようであれば同様である。それによって、先日、検察官の論告・求刑が行われた大坪・佐賀両氏の公判にも重大な影響を与えることとなる。大坪・佐賀両氏の弁護側から、公訴取消を求められた場合、検察はどう反論するのであろうか。
 本件の虚偽公文書作成の問題に関して重要なことは、それが、検察審査会の議決に大きな影響を与えたこと、つまり、刑事司法作用を害する結果になったことだ。
 前田元検事の事件では、フロッピーディスクのデータの改ざんが行われたが、データが改ざんされる前の正しいデータを記載した捜査報告書が弁護側に開示され証拠請求されたことから、公判の審理には結果的に影響を与えなかったのに対して、今回虚偽が明らかになった捜査報告書は、検察審査会に提出され、小沢氏を起訴すべきとする議決書にも引用されており、まさに、検察審査会が小沢氏の犯罪事実を認定する議決に大きな影響を与えている。
 しかも、その取調べの際、たまたま、石川被告が、隠し録音をしていたことから、虚偽報告が発覚したが、もし、録音が存在していなかったら、田代検事は、今回のような小沢氏の公判での証人尋問で、捜査報告書の通りに取調べ時のやり取りを証言していたであろう。それは田代検事が録取した石川氏の供述調書の信用性を肯定する根拠にされた可能性が高い。
 さらに重大な問題は、この虚偽捜査報告書の作成が意図的なものであったとすれば、それが田代検事個人の判断で行われたものとは考えにくいということだ。
 先に述べたように、勾留中の被疑者が検察官の取調べに対して新たに行った供述について、その理由を、起訴後3ヶ月も経った後の取調べでわざわざ質問し、それについて捜査報告書を作成するなどということは、通常の検察官の取調べではあり得ない。何らかの上司の指示がなければ、このような捜査報告書が作成されることはないと考えるのが合理的であろう。
 そもそも、この政治資金規正法違反事件について、小沢氏は、検察の処分としては、嫌疑不十分で不起訴となっており、検察の組織としては、犯罪事実の認定について消極の判断をしている。通常であれば、検察審査会で起訴相当議決や起訴議決が出されて検察の処分が覆されることは、検察にとって極めて不名誉なことであり、検察審査会の議決を受けて行われる再捜査において、わざわざ、検察の不処分が検察審査会の議決で覆される方向で捜査を行うこと自体、担当検察官個人の行動としてはあり得ない。石川氏の供述調書の信用性を補強する虚偽の捜査報告書を作成してまで、検察審査会に小沢氏の犯罪事実を認めさせようとする行動は、田代検事個人の意思によって行われたとは考えられない。
 検察組織全体の方針に反して、検察審査会の議決を検察の処分を覆す方向に向け、それによって小沢氏を政治的に葬ろうと考える一部の集団が検察組織内部に存在していて、田代検事はその意向に従って動いたとしか考えられない。
 検察審査会の審査員が小沢氏との共謀を認める石川氏の供述調書を信用し、小沢氏に対する起訴議決を行うようにするため、田代検事に虚偽の捜査報告書を作成させる、という行為が、東京地検特捜部内で組織的な背景を持って行われた疑いが濃厚である。そうなると、検察批判を繰り返してきた私にすら信じられないことではあるが、陸山会事件では、特捜部という検察組織の中の一部が、小沢氏不起訴という検察の組織としての決定に従わず、検察審査会という外部の組織を活用して検察の処分を覆させようとする「暴発」したと見ざるを得ないのである。
 田代検事の証人尋問の翌日の12月16日の公判で、証人として出廷した前田元検事が、「主任検事から『この件は特捜部と小沢の全面戦争だ。小沢をあげられなければ特捜の負けだ』といわれた」「検察が不起訴と判断した資料として検審に提出されるもので、証拠になっていないものがある」などと証言し、東京地検特捜部の陸山会事件捜査を厳しく批判した。証拠隠滅事件で実刑判決を受けて受刑中の前田元検事は、特捜部の問題とは利害関係がなくなっており、その供述の信用性を疑う理由に乏しい。そのような前田検事による、陸山会事件の捜査の内幕の暴露も、その捜査に一層疑念を生じさせるものとなった。
 昨年秋に表面化した問題は、大阪地検が中心だったが、今回の問題は特捜検察の本尊とも言える東京地検特捜部の問題だ。それだけに、特捜検察は、まさに、存亡の危機と言うべき状況にある。
 陸山会事件について小沢氏を起訴すべきとする検察審査会の議決は、政権交代によって成立した鳩山政権を退陣に追い込む大きな要因となり、その後の二度にわたる民主党代表選での争点を小沢氏の「政治とカネ」問題に集中させた。それ以降、反小沢の民主党主流派と小沢派との間の泥沼の党内対立によって、民主党は国民の支持を失っただけでなく、深刻な政治不信を招き、日本の政党政治は、もはや崩壊に近い状態とも言える一方で、東京地検特捜部の小沢氏に対する一連の捜査への対抗意識も動機の一つとなって、大阪地検特捜部が無理に無理を重ねた郵便不正事件は、村木氏の冤罪、証拠改ざんの発覚という最悪の結末となり、特捜部長、副部長の逮捕という異常な事態まで引き起こして検察の信頼は失墜した。他方、その発端となった小沢氏に対する東京地検特捜部の捜査も、不当な取調べによる供述調書の請求却下、そして、今回の虚偽報告書の作成問題と次々と問題を露呈し、検察への信頼は地に堕ちた。国家の最も枢要な作用と言うべき刑事司法の中核を担う検察は、今や危機的状況にある。
 このように、社会全体が、そして、検察という一つの権力組織が泥沼の状況に追い込まれていく契機となったという意味で、陸山会事件は、日本軍という権力組織、そして、日本という国が「日中戦争」の泥沼へと引きずり込まれていく契機となった「盧溝橋事件」と似ているとの見方もできよう。
 日本軍側、中国側のいずれが仕掛けたものであるのかについて、様々な見方の違いがあるが、いずれにしても、盧溝橋事件が、何者かの意図によって、予期せぬ軍事衝突が引き起こされ、それが日中戦争の引き金になっていったことには、ほぼ疑いがない。
 それと同様に、陸山会事件の検察審査会の起訴相当議決、起訴議決が、刑事司法関係者の予期せぬものであり、それが、その後の日本の政治、社会、そして検察組織に重大な影響を生じさせていったことは明らかである。
 歴史のベールに包まれた盧溝橋事件の真相を解明することは、今となっては極めて困難であろう。しかし、その後の日本の政治、社会に重大な影響を与えた検察審査会での起訴議決という「民意」の作出に大きく影響したと思われる虚偽の捜査報告書作成事件が、意図的なものであったのか、組織的背景があったのかを、捜査又は調査によって解明することは決して困難なことではない。捜査又は調査にただちに着手し、陸山会事件の検察捜査の真相を明らかにすることが、日本の社会を、そして、検察を救う唯一の道である。
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小沢一郎氏裁判 第9回公判〈前〉/証人 田代政弘検事「特捜部は恐ろしいところだ」=報告書に虚偽の記事2011-12-15 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
 弁護人「平成22年5月17日の取り調べで、あなたは捜査報告書を書いていますね」
 証人「書きました」
 弁護人「何日に書きましたか」
 証人「5月17日に書き始めまして、何日かかけて完成させたと思います」
 弁護人「何ページの報告書ですか」
 証人「5、6ページだったでしょうか」
 弁護人「あなたが書いたものでしょう」
 証人「5、6ページか、もう少し多い10ページだったか。いずれにしましてもそれくらいだったと思います」
 弁護人「それを何日もかけたのですか」
 証人「別の仕事もしながら、合間、合間に作成しましたので…」
 弁護人「中身は覚えていますか」
 証人「だいたいは把握しています」
 弁護人「1ページ目にあなたの署名と押印があるが、間違いありませんか」
 証人「はい」
 弁護人「東京地検特捜部長あてになっているが」
 証人「そうです」
 《続いて、男性弁護士は捜査報告書の中身を示す。石川議員は11万人の有権者の投票を受けて当選したが、大半は「小沢一郎の秘書」というのではなく、個人を信頼して投票したはずだと、○○検事に言われたことを契機に、調書のサインに応じた−とする内容が具体的なやり取りとともに記載されている。だが、実際の録音にはこうしたやり取りは残っていない》
 弁護人「やり取りがないのに、どうして(捜査報告書には)記されているのですか」
 証人「やり取りがあったと認識して書いた」
 弁護人「実際のやり取りと異なるのが、記載されたことですか」
 証人「この日の取り調べを一言一句記載したのではなく、思いだし、思いだし記載した。拘留中に話したことや、保釈後に話したことの記憶が混同していたと思う」
 弁護人「もう一度聞きますが、5月17日から数日で書いたのですね」
 証人「はい」
 弁護人「5月17日には、どこまで書いたのですか」
 証人「それは記憶にはありません」
 弁護人「虚偽の捜査報告書を書いたのではありませんか」
 証人「そうではありません」
 《続いて、弁護人は○○検事が石川議員に「(虚偽記載を認める供述を覆し)逆の供述をすれば、火に油を注ぐことになる」などと話したことを追及していく》
 弁護人「(任意聴取の際には)こう伝えたことがありましたね」
 証人「はい」
 弁護人「繰り返し述べましたね」
 証人「それは、石川さんが従前通りの主張だといいながら、実際に調書のサインの段階になると、『4億円を隠すつもりはなかった』などと覆す。その中で何度かやり取りがあった」
 弁護人「何のために捜査報告書を作っていたのですか」
 証人「調べが終われば、作るように、と指示されていました」
 弁護人「指示はだれからか」
 証人「主任検事です」
 弁護人「あなたは、何日かかけて作るうちに、記憶が混同して、やり取りのない内容を記したということでしたね」
 証人「かいつまんで言えばそうです」
 弁護人「これが検察審査会の小沢さんの起訴議決にも影響を与えた可能性があったと分かっていましたか」
 証人「協議の内容については、分かりません」
 弁護人「可能性の話ですよ」
 証人「可能性の話ならば…」
 《男性弁護士は、検察審査会の議決の理由に、捜査報告書の内容を挙げている点を紹介し、追及していく》
 弁護人「理由に捜査報告書の内容が挙がっていることは認識していましたか」
 証人「議決自体は見ていないが、報道レベルでは知っていました」

小沢一郎氏裁判/捜査報告書捏造 田代政弘元特捜検事は逮捕されるのか/捜査・調査、速やかに着手すべき2011-12-22
小沢一郎氏裁判/弁護側、虚偽の報告書を根拠にした起訴議決は無効だとして報告書証拠申請へ2011-12-25 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア

法相に小川敏夫氏の起用固まる

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法相に小川敏夫氏の起用固まる
NHK NEWS 1月13日 10時19分
 野田総理大臣は、13日に行う内閣改造人事で、新しい法務大臣に民主党の小川敏夫参議院幹事長を起用する意向を固めました。総理大臣官邸では、閣僚の辞表を取りまとめる閣議が終わり、午後、皇居での認証式を経て、野田改造内閣が発足することになります。
 野田総理大臣は、午前9時すぎに総理大臣公邸から官邸に入りました。その際、記者団が「満足いく内閣改造ができそうか」と質問しましたが、野田総理大臣は表情を変えず、無言のまま執務室に入りました。そして、午前9時半すぎから閣議が開かれ、野田総理大臣は、内閣改造に向けて閣僚の辞表を取りまとめました。これまでの調整の結果、野田総理大臣は、去年の臨時国会で問責決議が可決された一川防衛大臣と山岡国家公安委員長兼消費者担当大臣のほか、平岡法務大臣、中川文部科学大臣、蓮舫行政刷新担当大臣の合わせて5人を退任させる意向を固めました。そのうえで野田総理大臣は、新しい法務大臣には民主党の小川敏夫参議院幹事長を起用する意向を固めました。小川氏は、参議院東京選挙区選出の当選3回で、63歳。裁判官や検察官を経て弁護士になり、平成10年の参議院選挙で初当選しました。そして、小川氏は菅内閣で法務副大臣を務め、現在は党の参議院幹事長です。野田総理大臣としては、小川氏が法務行政に精通していることを踏まえ、法務大臣に起用することにしたものとみられます。また、新しい防衛大臣には民主党の田中直紀参議院議員を起用する意向を固めたほか、民主党の岡田前幹事長を副総理に起用し、野田総理大臣が最優先課題としている社会保障と税の一体改革と行政改革の担当大臣を兼務することが内定しました。さらに、平野国会対策委員長の文部科学大臣への起用も固まった一方、平野氏の後任の国会対策委員長には城島幹事長代理の起用が内定しました。官邸では昼前に組閣本部が設置され、藤村官房長官が閣僚名簿を発表し、閣僚の官邸への呼び込みが行われることになっています。そして午後、皇居での認証式を経て、野田改造内閣が発足することになります。野田総理大臣は、夕方、初閣議を開いたあと記者会見を行い、今回の内閣改造のねらいや今後の政権運営の方針について、みずからの考えを表明することにしています。
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小川 敏夫(おがわ としお、1948年3月18日 ‐ )は、日本の政治家、弁護士。現在、法務副大臣。参議院議員(3期)。立教大学法学部卒。北京オリンピックを支援する議員の会顧問。日韓議員連盟所属。前妻は市毛良枝。・・・・・


検察はメディアに「金丸悪玉」イメージを流させ/小沢一郎氏は「裁判で検察と徹底抗戦すべし」と進言した

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田中良紹の「国会探検」
政治家の金銭感覚

 強制起訴された小沢一郎氏の裁判でヤマ場とされた被告人質問が終った。法廷でのやり取りを報道で知る限り、検察官役の指定弁護士は何を聞き出したいのかが分からないほど同じ質問を繰り返し、検察が作り上げたストーリーを証明する事は出来なかった。
 検察が起訴できないと判断したものを、新たな事実もないのに強制起訴したのだから当たり前と言えば当たり前である。もし検察が起訴していれば検察は捜査能力のなさを裁判で露呈する結果になったと私は思う。従って検察審査会の強制起訴は、検察にとって自らが打撃を受ける事なく小沢一郎氏を被告にし、政治的打撃を与える方法であった。
 ところがこの裁判で証人となった取調べ検事は、証拠を改竄していた事を認めたため、強制起訴そのものの正当性が問われる事になった。語るに落ちるとはこの事である。いずれにせよこの事件を画策した側は「見込み」が外れた事によって収拾の仕方を考えざるを得なくなった。もはや有罪か無罪かではない。小沢氏の道義的?責任を追及するしかなくなった。
 そう思って見ていると、権力の操り人形が思った通りの報道を始めた。小沢氏が法廷で「記憶にない」を繰り返した事を強調し、犯罪者がシラを切り通したという印象を国民に与える一方、有識者に「市民とかけ離れた異様な金銭感覚」などと言わせて小沢氏の「金権ぶり」を批判した。
 しかし「記憶にない」ものは「記憶にない」と言うしかない。繰り返したのは検察官役の指定弁護士が同じ質問を何度も繰り返したからである。そして私は政治家の金銭感覚を問題にする「市民感覚」とやらに辟易とした。政治家に対して「庶民と同じ金銭感覚を持て」と要求する国民が世界中にいるだろうか。オバマやプーチンや胡錦濤は国民から庶民的金銭感覚を期待されているのか?
 政治家の仕事は、国民が納めた税金を無駄にしないよう官僚を監督指導し、国民生活を上向かせる政策を考え、謀略渦巻く国際社会から国民を守る備えをする事である。そのため政治家は独自の情報網を構築し、絶えず情報を収集分析して対応策を講じなければならない。一人では出来ない。そのためには人と金が要る。金のない政治家は官僚の情報に頼るしかなく情報で官僚にコントロールされる。官僚主導の政治が続く原因の一つは、「政治とカネ」の批判を恐れて集金を自粛する政治家がいる事である。
 今月から始まったアメリカ大統領選挙は集金能力の戦いである。多くの金を集めた者が大統領の座を射止める。オバマはヒラリーより金を集めたから大統領になれた。そう言うと「清貧」好きな日本のメディアは「オバマの金は個人献金だ」と大嘘を言う。オバマが集めたのは圧倒的に企業献金で、中でも金融機関からの献金で大統領になれた。オバマは150億円を越す巨額の資金を選挙に投入したが、目的は自分を多くの国民に知ってもらうためである。そうやって国民の心を一つにして未来に向かう。これがアメリカ大統領選挙でありアメリカ民主主義である。政治が市民の金銭感覚とかけ離れて一体何が悪いのか。
 スケールは小さいが日本の政治家も20名程度の従業員を抱える企業経営者と同程度の金を動かす必要はある。グループを束ねる実力者ともなれば10億や20億の金を持っていてもおかしくない。それが国民の代表として行政権力や外国の勢力と戦う力になる。その力を削ごうとするのは国民が自分で自分の首を絞める行為だと私は思う。
 日本の選挙制度はアメリカと同じで個人を売り込む選挙だから金がかかる。それを悪いと言うから官僚主義が民主主義に優先する。それでも金のかからない選挙が良ければイギリス型の選挙制度を導入すれば良い。本物のマニフェスト選挙をやれば個人を売り込む必要はなく、ポスターも選挙事務所も街宣車も不要になる。「候補者は豚でも良い」と言われる選挙が実現する。いずれそちらに移行するにせよ今の日本はアメリカ型の選挙なのだから金がかかるのをおかしいと言う方がおかしい。
 ところで陸山会事件を見ていると1992年の東京佐川急便事件を思い出す。金丸自民党副総裁が東京佐川急便から5億円の裏献金を貰ったとして検察が捜査に乗り出した。捜査の結果、献金は「金丸個人」ではなく「政治団体」へのもので参議院選挙用の陣中見舞いである事が分かった。しかも既に時効になっていた。要するに検察が描いたストーリーは間違っていた。
 ところが検察はメディアを使って「金丸悪玉」イメージを流した後で振り上げた拳を下ろせなかった。しかし金丸氏を起訴して裁判になれば大恥をかくのは検察である。検察は窮地に立たされた。そこで検察は取引を要求した。略式起訴の罰金刑を条件に、検察のストーリー通りに献金の宛先を「金丸個人」にし、献金の時期も時効にならないよう変更しろと迫った。「拒否すれば派閥の政治家事務所を次々家宅捜索する」と言って脅した。その時、小沢一郎氏は「裁判で検察と徹底抗戦すべし」と進言した。法務大臣を務めた梶山静六氏は検察との手打ちを薦めた。この対立が自民党分裂のきっかけとなる。
 金丸氏が取引に応じた事で検察は救われた。そして金丸氏は略式起訴の罰金刑になった。しかし何も知らない国民はメディアの「金丸悪玉説」を信じ、余りにも軽い処罰に怒った。怒りは金丸氏よりも検察に向かい、建物にペンキが投げつけられ、検察の威信は地に堕ちた。検察は存亡の危機に立たされ、どうしても金丸氏を逮捕せざるを得なくなった。
 総力を挙げた捜査の結果、翌年に検察は脱税で金丸氏を逮捕した。この脱税容疑にも謎はあるが金丸氏が死亡したため解明されずに終った。世間は検察が「政界のドン」を追い詰め、摘発したように思っているが、当時の検察首脳は「もし小沢一郎氏の主張を取り入れて金丸氏が検察と争う事になっていたら検察は打撃を受けた」と語った。産経新聞のベテラン司法記者宮本雅史氏の著書「歪んだ正義」(情報センター出版局)にはそう書かれてある。
 小沢一郎氏は金丸氏に進言したように自らも裁判で検察と徹底抗戦する道を選んだ。検察は土地取引を巡って小沢氏が用立てた4億円の原資に水谷建設から受け取った違法な裏金が含まれているというストーリーを描き、それを隠すために小沢氏が秘書と共謀して政治資金収支報告書に嘘の記載をしたとしている。それを証明する証拠はこれまでのところ石川知裕元秘書の供述調書しかないが、本人は検事に誘導された供述だとしている。
 その供述調書が証拠採用されるかどうかは2月に決まる。その決定は裁判所が行政権力の側か国民主権の側かのリトマス試験紙になる。そして小沢氏に対する道義的?責任追及も民主主義の側か官主主義の側かを教えてくれるリトマス試験紙になる。
投稿者:田中良紹 日時:2012年1月12日 23:53
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小沢一郎氏裁判 13回公判《前》/4、5億円の現金を手元に置くのは以前からそうしていた/(12)〜(16) 2012-01-11 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
 〈来栖の独白2012/01/11 Wed.〉
 当然のことながら、指定弁護士の努力にもかかわらず、「水谷」の文字は遠く、出てこない。
 しかしながら、私は強い不安を禁じ得ない。
>現金を手元に置くのはずっと以前からそうしていました。4、5億円の現金が元赤坂にいつからあったかは分かりませんが、かなり前からあったと思います。
>4億はビニールパックであって、紙袋に詰めて渡したということだが、事務所の金庫には、紙袋に入った状態であったのですか?
>それは記憶しておりません。
>金庫から出してから紙袋に入れたのですか?
>ですから具体的な状況は記憶しておりません。紙袋であったのか、私が詰めたのか、明確な記憶はありません。
>金庫から億単位の金を出したことはないんですよね?それなのに具体的な記憶がないんですか?
>具体的な個別の記憶はありません。
>1億は10キロと重いものだが、紙袋に入れて新聞に見れなくするという作業を、どうして秘書にさせないんですか?
>四百数十万円の金利について・・・それが私個人の口座から・・・、この事件まで知りませんでした。
>平成19年に4億は返された?
>しばらくして返してもらったと思います。
>4億円を借りる書類だということは分かっていましたか?
>書類を正確に見たかどうかは分かりません。サインしろと言うからしたということだと思います。
 これらの言葉に幾人の国民が共感するだろう。「国民の生活が第一。」とのフレーズが、私の胸に空疎に響く。4億円といえば巨額であるが、「4億円を借りる書類」について「書類を正確に見たかどうかは分かりません。サインしろと言うからした」と言う。
 「私の関心事は天下国家のこと」と云いながら「1億は10キロと重いものだが、紙袋に入れて新聞に見れなくするという作業を、どうして秘書にさせないんですか?あなたは忙しいのに」との指定弁護士の質問に「私のプライベートな資金ですので、それについて秘書に金庫についても秘書にはさせておりませんでした」と答え、然るに、「土地を購入する際の四百数十万円の金利について・・・それが私個人の口座から出ていたというのも、この事件まで知りませんでした」などとも云う。
 「疑惑」に関与していないとの主張に走りすぎて、破綻したか。裁判とは恐ろしい生きものだ。このような陥穽が待っている。
 元々検察は小沢氏を有罪に持ち込みたかったわけではない。小沢一郎という政治家の政治生命を断てば、目的は達せられる。
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小沢一郎氏「お見舞いに歩くのが政治家の仕事なのか?お悔やみを申し上げるのが政治家の仕事なのか?」 2012-01-05
 〈来栖の独白2012/01/04 Wed.〉
 東日本大震災と政局ということについて、短く感じたことを述べてみたい。
 昨年の民主党代表選、或いは先ごろの多数の民主党議員の離党・新党結成の折、「東日本で被災して多くの国民が苦しんでいるときに、政治家は、勢力・権力争いに明け暮れて・・・」との批判をメディア上で何度も目にした。(略)「今更来ても遅い。震災直後の惨状を見れば、党内で足の引っ張り合いをしてる場合じゃないと気づいてもらえたはず」と不満を漏らす女性の声が載っている。生活に切羽詰った被災者たちの感情として当然かなとも思うが、果たして、そうか。いや、これほどに困窮を極めた今日だからこそ、政治にしっかりしてもらわなくてはいけないのではないか。そんな気がする。
 小沢一郎さんは、以下(↓)のように言う。以下のように言いながら、小沢一郎という政治家のやさしさ、熱さは、公判を含めた過密日程の間隙を縫って被災地を訪れた。
 “マスコミ自体も、政治が何をすべきか、政治家が何をすべきかと(報じない)。お見舞いに現地を歩くのが政治家の仕事なのか? お悔やみを申し上げるのが政治家の仕事なのか? というふうに私はあえて憎まれ口をきくけれど、やはり政治の役割というのは、そういうことではないと思う。このような深刻な事態をどのようにして克服していくか、そのためには政治の体制はどうあるべきなのか、政治家はどうあるべきなのかと考えるのが、本当に国民のための政治家のあり方だと私は思っている。そういう意味で、今後もいろいろとご批判は頂きながらも、私の信念は変わらないので、その方向で頑張りたいと思う。”
 これは、媚びない姿勢がなくては言えない言葉だろう。またその前提として、日々の生活に窮する民の惨状を知り、それゆえに、政治の果たす役割が「国民の生活が第一。」と見極めた確かな眼がなくては、言えない言葉だと思う。確かな眼とは、「本物の政治家の眼」ということだ。
 当然のように、このような政治家が国民に理解されることは稀である。剛腕などと云われ、嫌われる。「災害があればいち早く現地に駆けつける」という動きの良さもないので、不可解である。ポピュリズムとは対極にある。
 この種の政治家は、国民からの人気がないばかりではない。既得権益といった旧弊にとらわれないので、官僚からも嫌われる。おまけに要領が悪いゆえ、エンタメ(メディア)に貢献するところなく、嫌われる。
 国民(検審)・官僚・メディアから嫌われれば、行き着く先は決まっていよう。かくて小沢一郎氏は、地元から帰京すれば、10日、11日の裁判(東京地裁 公判)が待っている。被告人質問である。
 東日本大震災という未曽有の苦難のなかで、この国はかくも、有為な政治家の手足を縛った。
 ところで、ここからは余談になるので後日に稿を改めたいと思うが、昨年より深く憂慮している一事がある。4月にも判決といわれている、小沢一郎さんの裁判である。
 陸山会事件登石郁郎裁判長の判決で思い知らされたが、裁判長には裁判長で、縛りがかけられているということだ。登石裁判長の下した判決は、郷原信郎氏のような専門家は無論のこと、私のような素人がみても、おかしな判決だった。なぜ、このような恥ずべき判決文を書かなければならなかったのか。まかり通ったのか。
 新藤宗幸氏はその著『司法官僚』〔裁判所の権力者たち〕(岩波新書)の中で、次のようにいう。
“司法官僚は全国の判決や訴訟指揮の情報を集める。それをもとに行使される人事権は全国3500名の裁判官たちに絶大な影響力をもつ。10年ごとの再任の有無、昇級、転勤を司法官僚が決める。事務総局が召集する「合同」と呼ばれる研究会も下級審の裁判内容を遠隔操作する結果を生む。
 裁判とは社会で周縁においやられた人々の、尊厳回復の最後の機会である。必死の訴えをする人々に遭遇したとき、裁判官は全人格的判断をもって救済に当たるべきだ。しかし、人々の目にふれぬところで、裁判官の内面までゆがめ、その存在理由をあやうくしているシステムがあるのだとすれば大問題である。
 政権交代とは闇を打破る時代のことであろう。本書の提言にかかる裁判所情報公開法などによって司法の実態にも光が当てられ、真の改革が着手されるべきだ。 ”
 ここでも“官僚”である。上の文脈によれば、小沢氏裁判で「無罪」と書いて大善文男裁判長個人に利するところがあるか。無い(だろう)。地方の簡裁か家庭裁判所へ飛ばされるのがオチであろう。
 前田元検事は「主任検事から『この件は特捜部と小沢の全面戦争だ。小沢をあげられなければ特捜の負けだ』といわれた」と証言している。裁判所にとって、被告人に利するか、はたまた長く利益を分かち合ってきた検察との仲を保つかを天秤にかけるなら、答えは歴然としていよう。
 そのことは、検察と一体となり走狗となって「小沢 クロ」と書いてきたメディアとっても同様である。ここで「小沢 無罪」が出たなら、メディアは、どう書けばいいのか。
 ことほど左様に、司法には司法の事情があり、裁判所と検察には判検(一体)の、検察とメディアには検察とメディアの、それぞれ譲れぬ事情がある。
 深く憂慮に堪えない。小沢氏無罪は、難しい。
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小沢一郎元代表の「暗黒人民裁判」は、実は「市民感覚=貧民感覚裁判」だった2012年01月12日
 板垣 英憲(いたがき えいけん)「マスコミに出ない政治経済の裏話」
 小沢一郎元代表の「暗黒人民裁判」は、1月10日、11日の被告人質問というクライマックスを終えた。
 この裁判の最大の特徴は、大多数の下層民(貧乏人)が、富裕層(金持ち)を裁判にかけて糾弾する構図にあった。
 それは、フランス革命の最中、ダントン、ロベスピエールなどの革命家が王族や富裕層を人民裁判にかけて糾弾し、どんどん有罪判決を下して断頭台に送った姿を彷彿とさせる。
 小沢一郎元代表にとって、「4億円」は、「たかだか4億円」にすぎない。自民党幹事長時代、東京都心の大企業をグルッと回って、20億円〜30億円を平気でかき集めてきていた。
 当時、政治資金規正法には、いまのように厳しい規制条項はなく、政治資金収支報告書も、限りなく大ざっぱに記載するよう選挙管理委員会が指導していたくらいである。
 この意味で、小沢一郎元代表自身が政治資金規正法の改正に関与しているうちに、「大ざっぱ」なことではできなくなったのは事実だ。
 政治資金規正法が厳しくなったのは、1993年5月23日、自民党羽田派44人が離党し、新生党(羽田孜、小沢一郎代表幹事)を結成して以降のことである。
 小沢一郎元代表は、「お金」に恵まれた人である。言い換えれば、「お金」がどんどん集まる運勢を持っている。親の資産はもとより、和子夫人の実家である「福田組」関係から集まる資金、大中小企業はもとより個人、あるいは多種団体からも勝手に資金が集まってくる。このほかにも、創価学会の池田大作名誉会長とは、英国など海外で資金運用をともにしていた時期もある。
ある時、不動産協会の役員が、私にこう明かしていた。
「役員2人で、小沢一郎さんの部屋に政治資金をもって行ったことがある。すると、秘書や事務所の人たちを全員部屋の外に出した。3000万円を入れた紙袋を手渡すと、中味を見ることなく、ただ一言『オッ』と言った。何かお言葉があると思ったが、それだけだったので、拍子抜けしたことがある」
 そのとき私は、
「それは、現金をを受け取ったとか、お礼を言うとか何か会話を交わすと、あとで問題になったとき、お互いに都合悪くなる。不動産協会には、業界団体としての要望をきちんと実現することでお返ししていることだろう」
と解説をしたところ、納得していた。
 この種の「お金」が湯水の如く集まってくるので、小沢一郎元代表本人には、「4億円程度のお金」は、決して大金ではなく、政治闘争、選挙活動の「軍資金」でしかない。私服をこやしてはおらず、ましてや、本人にしてみれば「4億円」の出入り内訳の詳細は、わからなくなっているはずである。つまり、いつ、だれからもらったお金であるかの区別はつかなくなっている。
 本人にも説明できない「お金」であるから、部外の人にわかろうはずもない。
 検事はもとより、今回の「暗黒人民裁判」で検察官役の指定弁護士も、「4億円」の中味について、具体的に不正を証明することも、出入りを証明することもできるわけがない。本人に聞いても、よくわからなくなっているので、説明が二転、三転するのは当然である。
 ということは、この裁判は、限りなく疑いは濃厚でありながら、「疑わしきは、被告人の利益に」という大原則を適用せざるを得ない類のものである。
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小沢一郎氏裁判/検察の「小沢許すまじ」の執念に始まり、マスコミを引き連れ、起訴にまで持ち込んだ2012-01-12
 小沢一郎元代表への被告人質問でヤマを越した「陸山会事件」の持つ意味と露呈した刑事司法改革の難しさ
 現代ビジネス「ニュースの深層」2012年01月12日(木)伊藤 博敏
 読まされる方も報道する方も、いささか食傷気味だった「陸山会事件」が、10日、11日の両日、行われた小沢一郎元民主党代表への被告人質問でヤマを越した。
 事件発生から3年が経過、最初は小沢事務所の巨大裏ガネ疑惑を追及していたが、途中で諦め、最後は秘書宅取得資金の4億円が政治資金規正法違反にあたるか否かを問う事件となった。
 小沢一郎という日本を左右する大物政治家の「政治とカネ」に関する事件だけに、意味がないとは言わないが、検察の「小沢許すまじ」といった執念から始まり、マスコミを引き連れ、ようやく起訴にまで持ち込んだという背景を考えれば、「小沢叩き」に与する気が失せる。
 むしろ国民は、検察が主導してきた刑事司法が、特捜検察の制度疲労によって改革の時を迎えているだけに、「陸山会事件」は、その岐路を象徴する事件だと理解すべきではないだろうか。
 実際、「小沢逮捕」にかける検察の執念は異様だった。その"見立て"が間違っていたことは、12月16日、第10回公判で法廷に立った前田恒彦元大阪地検特捜部検事(証拠隠滅罪で実刑確定)が、「私が裁判官なら無罪判決を書く」と述べたことでも明らかだ。
 検察に切られ、地位と身分を失った前田元検事に怖いものはない。前田元検事は、「初日に主任検事から『特捜部と小沢の全面戦争。小沢をあげられなかったら特捜部の負けだ』と言われた」といい、当時、「4億円は複数の企業からもらったという"妄想"を抱く幹部がいた」と、辛辣に批判した。
 つまり、「小沢逮捕ありき」で捜査は進み、裏ガネがあると"妄想"した検察幹部によって、事件が組み立てられていった。「小沢公判」に先立つ「秘書公判」で、検察が水谷建設からの1億円の裏ガネを立証したかったのは、事件に関係はなくとも、「小沢事務所はクロ」と印象付けたかったからだ。
 特捜検察が手がける事件の多くが「強引なシナリオ捜査」で仕掛けられると指摘されてきたが、検察の"身内"がそれを暴露したことになる。
 小沢元代表は、検察には起訴されなかったが、検察審査会に強制起訴された。それは、強引に取られた調書によって審査員に「おかしなカネ集めをする事務所」という意識が刷り込まれていたからだと主張した。
 10月の初公判の「意見陳述」で、「本件が特に許せないのは、国民の負託を受けていない検察が、議会制民主主義を踏みにじり、国民主権を冒涜したことだ。(中略)恣意的な権力行使が許されるなら、民主主義国家とはいえない」と、小沢元代表は検察をののしった。当否はともかく"怒り"は理解できる。
 しかし、だからこそ「検察改革」なのである。取り調べの全面可視化も含め、検察は変わろうとしている。前田元検事が犯した大阪地検特捜部事件と合わせ、東京地検特捜部の「陸山会事件」は、明らかな行き過ぎであり捜査の失敗。その修正は始まっている。
 まず検察は、特捜部が手がける独自捜査を少なくし、「ノルマに縛られない捜査」を目指すことになった。むしろ国税当局、公正取引委員会、証券取引等監視委員会など外部と連動、時には警視庁と組む。
 同時に、有罪率100%を目指し、強引な自白調書を散るような取り調べはしない。調書至上主義からの脱却。また、全面可視化を目指すことも決めており、白黒は法廷でつければいいと考えるようになった。
 その分、有罪率は低下するが、起訴すればほとんど有罪。有罪率99・9%という数字が間違っていたのであって、裁判所は、検察側最終弁論で判決文を書くような"手抜き"が許されなくなる。
 検察が無理をしないということは、裁判所に被告が否認している案件が数多く持ち込まれるということだ。裁判官は、有罪を前提に量刑だけ決めればいいというこれまでの刑事司法から一転、自分の頭で公判資料を読み込み、尋問をし、自ら判断を下さねばならなくなった。
 「陸山会事件」の秘書公判で、東京地裁の登石郁朗裁判長は、特捜部の強引で恣意的な捜査を批判、供述調書の主要部分を認めず、「検察に対立するのか」と、訴訟指揮の評判は悪かった。しかし、「反検察」だったわけではない、裁判所もまた変わろうとしていた。
 それは、検察と"癒着"することで成り立つヤメ検弁護士の世界にも変化をもたらす。ヤメ検と言えば、罪を認めさせる代わりに、保釈を早くし、執行猶予判決を取ることが主な"役割"だった。だが、それは正しい刑事司法の姿ではない。
 争うべきは争う---。そう発想する人権派弁護士への依頼が増え、小沢元代表に就いたのが、冤罪の村木厚子事件で無罪を勝ち取った弘中惇一郎弁護士であるところに、それは表れている。
 司法マスコミもそうである。裁判所にタダ同然で記者クラブを置き、検察と一体となって報じていればいい記事、社内で評価の高い記事が書けていたのだから、検察と一心同体だった。だが、村木事件と小沢事件を経て、ネットジャーナリズムが雑誌ジャーナリズムと連帯、「検察べったりの司法マスコミ」を批判するようになった。
 検察自身が、制度疲労を認め、変革しようとしているのだから、司法マスコミも自立しなくてはならない。かつては考えられないことだが、検察批判、裁判批判が堂々と論じられるようになった。
 そういう意味で、「陸山会事件」は、法曹3者に司法マスコミも加えた刑事司法の関係者が、自立を始めるきっかけとなった事件であり、公判だと位置づけられよう。
 むろん素人を裁判に巻き込む裁判員裁判と合わせ、定着は容易ではない。自立を目指していた秘書公判の登石裁判長は、結局、検察の主張通りの判決を下したし、司法マスコミは横一線で形式犯に過ぎない「陸山会事件」を、微に入り細に入り報じ、「なぜ、いつまでも裁判が続いているのか」という、国民の声には答えていない。
 それだけ刑事司法改革は難しく、検察がすべてのシナリオを描く司法を郷愁する向きもある。だが、回り始めた歯車は元に戻せない。国民も含め、それそれが自分の頭で刑事事件を考えるしかなく、そうすることが、冤罪を生む強引な捜査からの決別になると信じたい。
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小沢一郎氏 初公判 全発言/ 『誰が小沢一郎を殺すのか?』2011-10-06 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
「小沢裁判」は小沢を抹殺するために行われている政治裁判/ 「国家権力」という化け物と、我々は戦っている2011-12-24
「小沢一郎氏 裁判」=検察官による「虚偽捜査報告書作成事件」 郷原信郎氏2011-12-21 |
小沢一郎氏裁判/“はぐれ検事”前田恒彦・元検事の爆弾証言でハッキリした「検察審は解散が必要」2011-12-21
小沢一郎氏裁判 第10回公判〈後〉前田恒彦元検事「私が裁判官なら小沢さん無罪」「検察、証拠隠しあった」2011-12-17
小沢一郎氏裁判 第10回公判〈前〉/前田恒彦元検事「上司から『特捜部と小沢の全面戦争だ』と言われた」

小沢一郎氏裁判 石川知裕議員の取調べ担当だった田代政弘検事作成の捜査報告書、証拠採用の見通し

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捜査報告書を証拠採用へ=検事が事実でない記載―小沢元代表裁判
2012年1月13日(金)13:06
 資金管理団体「陸山会」の土地取引をめぐり、政治資金規正法違反(虚偽記載)罪に問われた民主党元代表小沢一郎被告(69)の裁判で、東京地裁は13日、検察官役の指定弁護士、弁護人と今後の進行などについて協議した。石川知裕衆院議員(38)の取り調べ担当だった田代政弘検事(44)作成の捜査報告書について、指定弁護士側が同意し、証拠採用される見通しとなった。
 田代検事は昨年12月の証人尋問で、小沢被告を「起訴相当」とした検察審査会の議決を受けた再聴取での石川議員とのやりとりについて、捜査報告書に事実と異なる記載をしたことを認めた。弁護側は、この報告書が小沢被告の起訴を決めた2回目の議決の根拠になったなどとして、証拠請求していた。[時事通信社]
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「小沢一郎氏 裁判」=検察官による「虚偽捜査報告書作成事件」 郷原信郎氏2011-12-21 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
 12月15日に東京地裁で開かれた公判において、元東京地検特捜部所属の田代政弘検事の証人尋問が行われ、昨年5月、同会元事務担当者の石川知裕衆院議員を保釈後に再聴取した際の状況について、石川被告が供述していない内容を捜査報告書に記載していたことが明らかになった。
 その報告書は小沢被告に対する起訴議決を出した東京第5検察審査会にも提出され、審査の資料とされ、議決書にも一部が引用されている。
 石川被告は昨年1月の逮捕後、田代検事の取り調べを受け、「小沢被告の了承を得て政治資金収支報告書に虚偽記入をした」との供述調書に署名した。そして、同年5月17日の任意の再聴取でも同様の内容の調書が作成され、同日付けの取調べ状況に関する捜査報告書とともに、検察審査会に捜査資料として提出された。この問題を、一面トップ、社会面トップで報じた16日付読売新聞朝刊によると、同報告書には、田代検事が小沢氏に対する報告とその了承について調査を録取した状況を質問したことに対する石川氏の供述として、以下のように記載されている。
 「私が『小沢先生は一切関係ありません』と言い張ったら、検事から、『あなたは11万人以上の選挙民に支持されて国会議員になったんでしょ。小沢一郎の秘書という理由ではなく、石川知裕に期待して国政に送り出したはずです。それなのに、ヤクザの手下が親分を守るためにウソをつくのと同じようなことをしたら、選挙民を裏切ることになりますよ。』と言われたんですよね。これは結構効いたんですよ。堪えきれなくなって、小沢先生に報告し、了承も得ましたって話したんですよね。」
 ところが、そのようなやり取りは、石川被告が再聴取を隠し取りした録音記録にはない。
 同日の証人尋問で、その点について、小沢被告の弁護人から追及された田代検事は、「数日をかけて、思い出しながら報告書をまとめる際、勾留中のやり取りなどと記憶が混同した。虚偽ではない」と釈明した。
 田代検事の行為は、検察官の作成名義の捜査報告書という公文書に虚偽の記載をしていたということであり、虚偽性についての認識があれば、虚偽公文書作成罪という犯罪に該当する。
 虚偽公文書作成という犯罪は、形式上犯罪に該当する行為であっても、可罰性の幅は非常に広い。公文書の内容に事実に反する点があったとしても、それが官公庁内部に止まるものであれば、実質的な処罰価値はない場合も多い。しかし、本件のようにその報告書が司法作用に重大な影響を及ぼすというのは、最も悪質・重大な虚偽公文書作成の事実と言えよう。
 検察官の取調べをめぐる問題は、郵便不正事件でも、小沢氏の元秘書3人が起訴された政治資金規正法違反事件でも問題になった。被疑者が実際の供述しているのとは異なる内容の供述調書が作成され、威迫、利益誘導、切り違えなどの不当な方法によって被疑者に署名をさせるという方法が問題にされ、供述調書の請求が却下されるという事例が相次いでいる。
 被疑者の供述を内容とする捜査報告書をめぐる今回の問題は、検察官の供述調書をめぐる問題とは性格を異にする。供述者の署名があって初めて書面として成立する供述調書とは異なり、捜査報告書は、検察官側が一方的に作成できる書面だ。あくまで捜査の状況を報告するための文書であり、その分、被疑者の供述内容を立証する証拠としての価値は低い。一般の刑事事件においては、捜査報告書によって被疑者の供述が立証され事実認定が行われることはほとんどない。
 しかし、検察審査会の審査員という素人の判断との関係では、捜査報告書の取扱いも全く異なってくる。証拠の種別、価値等について前提となる知識が乏しい審査員は、捜査報告書であっても、被疑者の供述として書面に記載されていれば、それなりに信用できるもののように判断することとなる。
 今回虚偽であることが明らかになった捜査報告書は、検察審査会に資料として提出され、審査会の判断の根拠とされたものであり、それを意図して行われた疑い、つまり、虚偽の捜査報告書が検察審査会をだます目的で使われた疑いがある。そこに、これまで供述調書に関して問題とされてきたこととは異なる重大な問題があるのである。
 そこで、まず問題となるのは、報告書に虚偽の記載が行われたことが意図的なものであるかどうかである。
 田代検事は、勾留中の取調べのやり取りと混同したという「過失」を主張しているが、起訴後、保釈で身柄非拘束の状況での取調べでのやり取りを、その直後に捜査報告書に記載する際に、3ヶ月前も前の勾留中のやり取りと混同するなどということ自体が考えられない。
 また、通常、被疑者の供述が変遷したのであれば、変遷の時点で理由を聞いているはずであり、3ヶ月以上も経った、釈放後に、勾留中の供述の理由を尋ねるということも、検察官の取調べの経過として考えられない。そのような常識では考えられないような質問を自分が行い、石川氏がそれに答えているという状況を、田代検事が「自らの記憶」として報告書に書いたとは考えられない。
 しかも、石川氏の勾留中の取調べの大半が、水谷建設からの裏献金の受領の問題に費やされたこと、特に、勾留延長後の10日間は、田代検事から担当副部長に取調べ検察官が交代し、もっぱら水谷建設からの裏献金の問題について聞かれていたことは、同氏自身が語っているところである。政治資金収支報告書の虚偽記入について小沢氏に報告をした旨の石川氏の供述調書に関して、田代検事がそのような供述をした理由を尋ね、石川氏が説明する、というような「勾留中のやり取り」は、いったいどの時点で行われたのであろうか。そもそもその「やり取り」自体が存在していなかった疑いが強い。だとすると、石川氏が、「ヤクザの手下が親分を守るためにウソをつくのと同じようなことをしたら、選挙民を裏切ることになる」と考えて小沢氏への虚偽記載の報告を認めた、という捜査報告書の記述自体が「創作」であり、石川氏の供述を捏造した疑いが濃厚と言うべきであろう。
 田代検事の「過失」の弁解は明らかに不合理であり、意図的で、しかも実害を伴う虚偽公文書作成罪の嫌疑が相当程度認められるのであるから、検察として、捜査或いは内部調査に乗り出すのは当然であろう(「うその報告書―検察は経緯を検証せよ」と題する12月18日の朝日新聞社説でも、「なぜうその報告書が作られ、チェックもできなかったのか、経過を解明・検証して国民に説明する作業が欠かせない」と説明を求めている)。
 検察には、今回の虚偽公文書作成の問題について、今のところ何の動きもない。この件について何の調査も捜査も行わないとすると、前田検事の故意の証拠改ざんを行った事実を知りながら、同検事の刑事事件について捜査し、検挙するなどの措置をとらなかったとして上司の大坪・佐賀両氏を犯人隠避罪に問おうとしている検察の主張は、根底から崩れる。調査を行ったとしても、田代検事の「過失」の弁解を、そのまま受け入れるようであれば同様である。それによって、先日、検察官の論告・求刑が行われた大坪・佐賀両氏の公判にも重大な影響を与えることとなる。大坪・佐賀両氏の弁護側から、公訴取消を求められた場合、検察はどう反論するのであろうか。
 本件の虚偽公文書作成の問題に関して重要なことは、それが、検察審査会の議決に大きな影響を与えたこと、つまり、刑事司法作用を害する結果になったことだ。
 前田元検事の事件では、フロッピーディスクのデータの改ざんが行われたが、データが改ざんされる前の正しいデータを記載した捜査報告書が弁護側に開示され証拠請求されたことから、公判の審理には結果的に影響を与えなかったのに対して、今回虚偽が明らかになった捜査報告書は、検察審査会に提出され、小沢氏を起訴すべきとする議決書にも引用されており、まさに、検察審査会が小沢氏の犯罪事実を認定する議決に大きな影響を与えている。
 しかも、その取調べの際、たまたま、石川被告が、隠し録音をしていたことから、虚偽報告が発覚したが、もし、録音が存在していなかったら、田代検事は、今回のような小沢氏の公判での証人尋問で、捜査報告書の通りに取調べ時のやり取りを証言していたであろう。それは田代検事が録取した石川氏の供述調書の信用性を肯定する根拠にされた可能性が高い。
 さらに重大な問題は、この虚偽捜査報告書の作成が意図的なものであったとすれば、それが田代検事個人の判断で行われたものとは考えにくいということだ。
 先に述べたように、勾留中の被疑者が検察官の取調べに対して新たに行った供述について、その理由を、起訴後3ヶ月も経った後の取調べでわざわざ質問し、それについて捜査報告書を作成するなどということは、通常の検察官の取調べではあり得ない。何らかの上司の指示がなければ、このような捜査報告書が作成されることはないと考えるのが合理的であろう。
 そもそも、この政治資金規正法違反事件について、小沢氏は、検察の処分としては、嫌疑不十分で不起訴となっており、検察の組織としては、犯罪事実の認定について消極の判断をしている。通常であれば、検察審査会で起訴相当議決や起訴議決が出されて検察の処分が覆されることは、検察にとって極めて不名誉なことであり、検察審査会の議決を受けて行われる再捜査において、わざわざ、検察の不処分が検察審査会の議決で覆される方向で捜査を行うこと自体、担当検察官個人の行動としてはあり得ない。石川氏の供述調書の信用性を補強する虚偽の捜査報告書を作成してまで、検察審査会に小沢氏の犯罪事実を認めさせようとする行動は、田代検事個人の意思によって行われたとは考えられない。
 検察組織全体の方針に反して、検察審査会の議決を検察の処分を覆す方向に向け、それによって小沢氏を政治的に葬ろうと考える一部の集団が検察組織内部に存在していて、田代検事はその意向に従って動いたとしか考えられない。
 検察審査会の審査員が小沢氏との共謀を認める石川氏の供述調書を信用し、小沢氏に対する起訴議決を行うようにするため、田代検事に虚偽の捜査報告書を作成させる、という行為が、東京地検特捜部内で組織的な背景を持って行われた疑いが濃厚である。そうなると、検察批判を繰り返してきた私にすら信じられないことではあるが、陸山会事件では、特捜部という検察組織の中の一部が、小沢氏不起訴という検察の組織としての決定に従わず、検察審査会という外部の組織を活用して検察の処分を覆させようとする「暴発」したと見ざるを得ないのである。
 田代検事の証人尋問の翌日の12月16日の公判で、証人として出廷した前田元検事が、「主任検事から『この件は特捜部と小沢の全面戦争だ。小沢をあげられなければ特捜の負けだ』といわれた」「検察が不起訴と判断した資料として検審に提出されるもので、証拠になっていないものがある」などと証言し、東京地検特捜部の陸山会事件捜査を厳しく批判した。証拠隠滅事件で実刑判決を受けて受刑中の前田元検事は、特捜部の問題とは利害関係がなくなっており、その供述の信用性を疑う理由に乏しい。そのような前田検事による、陸山会事件の捜査の内幕の暴露も、その捜査に一層疑念を生じさせるものとなった。
 昨年秋に表面化した問題は、大阪地検が中心だったが、今回の問題は特捜検察の本尊とも言える東京地検特捜部の問題だ。それだけに、特捜検察は、まさに、存亡の危機と言うべき状況にある。
 陸山会事件について小沢氏を起訴すべきとする検察審査会の議決は、政権交代によって成立した鳩山政権を退陣に追い込む大きな要因となり、その後の二度にわたる民主党代表選での争点を小沢氏の「政治とカネ」問題に集中させた。それ以降、反小沢の民主党主流派と小沢派との間の泥沼の党内対立によって、民主党は国民の支持を失っただけでなく、深刻な政治不信を招き、日本の政党政治は、もはや崩壊に近い状態とも言える一方で、東京地検特捜部の小沢氏に対する一連の捜査への対抗意識も動機の一つとなって、大阪地検特捜部が無理に無理を重ねた郵便不正事件は、村木氏の冤罪、証拠改ざんの発覚という最悪の結末となり、特捜部長、副部長の逮捕という異常な事態まで引き起こして検察の信頼は失墜した。他方、その発端となった小沢氏に対する東京地検特捜部の捜査も、不当な取調べによる供述調書の請求却下、そして、今回の虚偽報告書の作成問題と次々と問題を露呈し、検察への信頼は地に堕ちた。国家の最も枢要な作用と言うべき刑事司法の中核を担う検察は、今や危機的状況にある。
 このように、社会全体が、そして、検察という一つの権力組織が泥沼の状況に追い込まれていく契機となったという意味で、陸山会事件は、日本軍という権力組織、そして、日本という国が「日中戦争」の泥沼へと引きずり込まれていく契機となった「盧溝橋事件」と似ているとの見方もできよう。
 日本軍側、中国側のいずれが仕掛けたものであるのかについて、様々な見方の違いがあるが、いずれにしても、盧溝橋事件が、何者かの意図によって、予期せぬ軍事衝突が引き起こされ、それが日中戦争の引き金になっていったことには、ほぼ疑いがない。
 それと同様に、陸山会事件の検察審査会の起訴相当議決、起訴議決が、刑事司法関係者の予期せぬものであり、それが、その後の日本の政治、社会、そして検察組織に重大な影響を生じさせていったことは明らかである。
 歴史のベールに包まれた盧溝橋事件の真相を解明することは、今となっては極めて困難であろう。しかし、その後の日本の政治、社会に重大な影響を与えた検察審査会での起訴議決という「民意」の作出に大きく影響したと思われる虚偽の捜査報告書作成事件が、意図的なものであったのか、組織的背景があったのかを、捜査又は調査によって解明することは決して困難なことではない。捜査又は調査にただちに着手し、陸山会事件の検察捜査の真相を明らかにすることが、日本の社会を、そして、検察を救う唯一の道である。
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小沢一郎氏裁判/捜査報告書捏造 田代政弘元特捜検事は逮捕されるのか/捜査・調査、速やかに着手すべき2011-12-22
小沢一郎氏裁判/弁護側、虚偽の報告書を根拠にした起訴議決は無効だとして報告書証拠申請へ2011-12-25 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア 
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小沢一郎氏4月判決 大善文男裁判長<被告人主張は執拗に疑い、検察主張には信用できる部分を探し出す>2012-01-13 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
小沢一郎氏 裁判/大善文男裁判長は将来が約束されたエリート判事 登石郁郎裁判長以上に体制寄り2011-10-06 
小沢氏 初公判 10月6日/大善文男裁判長=極めて保守的で予定調和的な判決ばかり出してきた2011-08-12

小沢一郎氏4月判決 大善文男裁判長=トップクラスのエリート裁判官/体制寄り/予定調和的な判決ばかり 

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小沢裁判 判決は4月 大善エリート裁判長の気になる評判
日刊ゲンダイ
2012年1月13日 掲載
判決は日本の裁判所の公正と正義の判断基準となるだろう
 小沢一郎・元民主党代表(69)をめぐる世紀の「魔女狩り裁判」は、ヤマ場の被告人質問を終えた。4月に予定されている判決公判で、裁判長はどんな判断を下すのか。
  裁判を指揮しているのは大善文男裁判長(51)。早大法学部出身で、裁判官歴26年のベテラン。司法研修所教官、高松高裁事務局長を経て、10年4月から東京地裁刑事11部の部総括判事を務める。
 「外見は典型的な『バーコード頭』だが、83年に司法試験に合格した38期の司法官僚の中では、トップクラスのエリート裁判官です。柔和な表情で被告人に話しかけるのが特徴で、将来の最高裁判事は確実とみられています」(司法記者)
  13回に及ぶこれまでの裁判では、検察審査会(検察審)が小沢を強制起訴した“決め手”となった捜査報告書が検事の捏造だったことがバレ、事件自体がデッチ上げだった疑いが濃厚になった。「市民感覚」で考えれば「無罪確実」だが、大善裁判長はそんな当たり前の判決を書けるのか。約3300回の裁判を傍聴してきたジャーナリストの今井亮一氏はこう言う。
 「大善裁判官はニコニコしていて、まるで安アパートにでも住んでいそうないいオジサンという雰囲気ですが、判決は厳しいものになるでしょう。東京地裁で裁判長を務めるのはエリート中のエリート。よほどのことがない限り、警察や検察の筋書きを追認するのが普通です。つまり、被告人側の主張は執拗に疑い、検察側の主張は信用できる部分を探し出す。そうやって理屈をこねて検察側の筋書きに“お墨付き”を与えるのが一般的です」  実際、裁判官質問では、億単位のカネの管理を秘書に任せていた、とする小沢の姿勢を“疑う”ような発言が繰り返された。
  しかし、「疑わしきは被告人の利益」という刑事裁判の大原則が裏切られる結果になれば、日本の司法は死んだも同然だ。まして、小沢事件は、東京地検が「有罪にできない」と不起訴にしたものだ。4月の判決は裁判所が本来の役割である「公正」「正義」を取り戻せるかの判断基準となる。
小沢一郎氏「お見舞いに歩くのが政治家の仕事なのか?お悔やみを申し上げるのが政治家の仕事なのか?」 2012-01-05
 〈来栖の独白2012/01/04 Wed.〉
 --前段 略--
 当然のように、このような政治家が国民に理解されることは稀である。剛腕などと云われ、嫌われる。「災害があればいち早く現地に駆けつける」という動きの良さもないので、不可解である。ポピュリズムとは対極にある。
 この種の政治家は、国民からの人気がないばかりではない。既得権益といった旧弊にとらわれないので、官僚からも嫌われる。おまけに要領が悪いゆえ、エンタメ(メディア)に貢献するところなく、嫌われる。
 国民(検審)・官僚・メディアから嫌われれば、行き着く先は決まっていよう。かくて小沢一郎氏は、地元から帰京すれば、10日、11日の裁判(東京地裁 公判)が待っている。被告人質問である。
 東日本大震災という未曽有の苦難のなかで、この国はかくも、有為な政治家の手足を縛った。
 ところで、ここからは余談になるので後日に稿を改めたいと思うが、昨年より深く憂慮している一事がある。4月にも判決といわれている、小沢一郎さんの裁判である。
 陸山会事件登石郁郎裁判長の判決で思い知らされたが、裁判長には裁判長で、縛りがかけられているということだ。登石裁判長の下した判決は、郷原信郎氏のような専門家は無論のこと、私のような素人がみても、おかしな判決だった。なぜ、このような恥ずべき判決文を書かなければならなかったのか。まかり通ったのか。
 新藤宗幸氏はその著『司法官僚』〔裁判所の権力者たち〕(岩波新書)の中で、次のようにいう。
“司法官僚は全国の判決や訴訟指揮の情報を集める。それをもとに行使される人事権は全国3500名の裁判官たちに絶大な影響力をもつ。10年ごとの再任の有無、昇級、転勤を司法官僚が決める。事務総局が召集する「合同」と呼ばれる研究会も下級審の裁判内容を遠隔操作する結果を生む。
 裁判とは社会で周縁においやられた人々の、尊厳回復の最後の機会である。必死の訴えをする人々に遭遇したとき、裁判官は全人格的判断をもって救済に当たるべきだ。しかし、人々の目にふれぬところで、裁判官の内面までゆがめ、その存在理由をあやうくしているシステムがあるのだとすれば大問題である。
 政権交代とは闇を打破る時代のことであろう。本書の提言にかかる裁判所情報公開法などによって司法の実態にも光が当てられ、真の改革が着手されるべきだ。 ”
 ここでも“官僚”である。上の文脈によれば、小沢氏裁判で「無罪」と書いて大善文男裁判長個人に利するところがあるか。無い(だろう)。地方の簡裁か家庭裁判所へ飛ばされるのがオチであろう。
 前田元検事は「主任検事から『この件は特捜部と小沢の全面戦争だ。小沢をあげられなければ特捜の負けだ』といわれた」と証言している。裁判所にとって、被告人に利するか、はたまた長く利益を分かち合ってきた検察との仲を保つかを天秤にかけるなら、答えは歴然としていよう。
 そのことは、検察と一体となり走狗となって「小沢 クロ」と書いてきたメディアとっても同様である。ここで「小沢 無罪」が出たなら、メディアは、どう書けばいいのか。
 ことほど左様に、司法には司法の事情があり、裁判所と検察には判検(一体)の、検察とメディアには検察とメディアの、それぞれ譲れぬ事情がある。
 深く憂慮に堪えない。小沢氏無罪は、難しい。 ◆小沢一郎氏 裁判/大善文男裁判長は将来が約束されたエリート判事 登石郁郎裁判長以上に体制寄り2011-10-06 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
 小沢初公判 検察を痛烈批判「国家権力の乱用」「裁判打ち切れ」 傍聴希望者2146人が長い列
日刊ゲンダイ2011年10月6日
 小沢一郎・民主党元代表(69)と司法権力との最後の闘いが始まった。政治資金規正法違反罪に問われた小沢の初公判が6日、東京地裁(大善文男裁判長)で行われ、小沢は罪状認否で起訴内容を全面否認し、無罪を主張。その後、約10分間にわたって意見陳述を行い、検察の捜査のあり方を「国家権力の乱用」と痛烈に批判した。
 小沢は午前9時半前、東京地裁に歩いて入った。SP数人に先導され、9人の弁護士に囲まれながら、ゆっくりとした足取りで法廷に向かった。
 初公判は10時に始まった。検察官役の指定弁護士が起訴内容を読み上げた後、小沢は罪状認否で「指定弁護士が述べたような事実はありません」と述べ、起訴内容を全面否認した。
 ハイライトは罪状認否に続く意見陳述。小沢は「検察官の違法な捜査で得られた供述を唯一の証拠としており、直ちに打ち切るべきだ」と主張。「証拠もないのに特定の政治家を狙ったことは、国家権力の乱用で、法治国家では許されない」と検察の捜査を強く批判、全面対決の姿勢を見せつけた。
 続いて弁護側も意見陳述を行い、「虚偽記載はなく、元秘書との相談や、指示もなかった」と無罪を主張した。
 公判では、石川知裕衆院議員(38)=1審有罪、控訴=ら元秘書3人との共謀が最大の争点となる。虚偽記載が成立するかどうかや、起訴が適法かどうかも争われる。
 指定弁護士側は冒頭陳述で、小沢と元秘書との関係について、「重大な問題はすべて小沢被告の指示に従い、独断で事を運ぶことはなかった」と指摘した。
 弁護側は午後に冒頭陳述を行い、元秘書との共謀について、石川らの供述には任意性がないとした上で、「収支報告書の記載はすべて秘書に任せており、把握していなかった」と訴えるとみられる。
 東京地裁前には、朝早くから49の傍聴席を求めて2146人が抽選に並んだ。
<裁くのは体制ベッタリのエリート判事>
 公判を指揮する大善文男裁判長(51)とは、いかなる人物なのか。
 元秘書3人に妄想判決を下した登石郁朗裁判長(57)のように検察寄りで権力ベッタリなのか。
 判事の人間性によっては「民主主義国家では考えられない」判決が出る異常事態を見せつけられた直後だけに気がかりだが、大善裁判長は将来が約束されたエリート判事。登石裁判長以上に体制寄りなのだ。
「裁判官といっても、しょせんは官僚。常に判事同士で出世を争っています。大善裁判長の経歴をみれば出世コースを歩んでいるのは明らか。同期73人の判事の中でも『高裁事務局長』『司法研修所教官』を経験し、東京高裁刑事部の総括(裁判長)を狙える条件をクリアした数少ない判事です」(司法関係者)
<小沢意見陳述 要旨「私を抹殺することが目的」>
 小沢一郎民主党元代表が初公判で述べた意見の要旨は次の通り。
 検察の不当、違法な捜査で取られた調書を根拠に誤った判断がなされた。この裁判は打ち切るべきだ。百歩譲って裁判を続けるとしても、罪に問われるようなことは全くない。国民から何の負託も受けていない捜査機関が国家権力を乱用した。汚点として後世に残る。議会制民主主義を阻害する恐れがある。
 収支報告書の間違いは修正することで処理され、済まされてきているのに、私の団体のみ1年有余にわたり、実質的な犯罪の証拠はないのに強制捜査を受けた。もちろん収賄などの実質的な犯罪は全くない。なぜ私のケースだけ突然、強制捜査されねばならないのか。これでは公正で厳正な権力の執行とは言えない。実質的な犯罪がないと判明した時点で捜査を終結すべきだったのに、延々と捜査を続けたのは、明らかに常軌を逸している。小沢一郎を標的にしたもので、私を抹殺することが目的と推認できる。明白な国家権力の乱用で、到底許されない暴力行為であり、表舞台からの抹殺で残酷なものだ。
 選挙は国民が主権を行使する唯一の機会で、とりわけ2年前の総選挙は戦後初の本格的な政権交代が予想された。そのような時の恣意(しい)的な権力の行使は許されない。国家権力の介入を恐れる政治はもはや民主主義ではなく、戦前の過ちを繰り返すほかない。裁判長、裁判官の見識ある判断をお願いする。
..  ..  ..  ..  ..
〈来栖の独白 2011/10/06〉
 人には「生まれ合わせ」「運」というものがあるのかもしれない、と溜め息をついてしまう。小沢さんは、不運だ。この裁判は、恐らく敗けるだろう。とても勝ち目はない、この裁判長では。
 いま一つ。本件は、検察審査会が決定した強制起訴の第1号だ。検審の決定は、「市民(国民)による決定」を標榜している(事実はそうではないが)。ならば、エリート裁判官がおのが出世を棒に振ってまで小沢氏に肩入れする(「無罪」を与える)とは、考えられない。検審の強制起訴を受けて被告人を有罪とし、検審制度を意義足らしめる。そのポイントにより、大善文男判事は目出度くステージを一段上がるのである。こんなチャンスを棒に振る官僚はいない。
 小沢さんは、よくよく不運だ。恐ろしい国だ、この国は。
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関連:「広島女児殺害事件」司法官僚によって行使される人事権は全国の裁判官たちに絶大な影響力をもつ2010-08-07 | 死刑/重刑/生命犯 問題
 〈来栖の独白 2010/08/07〉
 憲法76条3項は「すべて裁判官は,その良心に従ひ独立してその職権を行ひ,この憲法及び法律にのみ拘束される。」と裁判官の職権行使の独立を認めている。が、ここ(当該事件裁判)で私が見たものは、司法制度改革へ舵を切った最高裁に逆らうものは出世の道から外される、という「官僚司法」のありようであった。司法制度改革とは、核心司法、拙速裁判である。最高裁は「当事者が立証しようとしていない点まで立証を促す義務はない」とし、本件の精密な審理を望んで地裁へ差し戻した楢崎康英高裁裁判長を家裁へ転任させている。(↓)
....   ...   ...
光市母子殺害事件(差戻し)・広島女児殺害事件控訴審裁判長だった楢崎康英氏が山口家裁所長・・・ 
〈来栖のつぶやき〉2009/10/14
  家裁とは・・・。しかも、広島家裁ではなく、(広島管区)山口とは。何があったのだろう。60歳ということだが、定年は65歳だ。光市事件差し戻し控訴審・広島女児殺害事件控訴審判決では、メディア・世論に評価されたと私は受け止めていたが。
 追記 2009/10/16Fri.
 本日、広島女児殺害事件上告審判断があった。高裁へ差し戻しということである。
 楢崎さんには、相手が悪かった。裁判員参加という不合理な制度を推進する大本山に立てついたような格好になった。楢崎さんは精密司法(1審へ差戻し)に「死刑」を展望していたのかもしれないが、最高裁の拙速志向(核心司法)とは相容れなかった、ということか。核心司法によって本件のように、今後いのちを得ること(死刑回避)になるのならいいけれど。 
 昨年だったか、東海テレビ「裁判長のお弁当」に登場した元裁判官下澤悦夫さん。若い頃、「青年法律家協会」に所属し、退会・退官勧告に従わなかったので、地方の家裁・簡裁を転々とさせられ、生涯一裁判官で終わった。「そりゃぁ、上に行きたいって気持はありましたよ。だけど・・・」と語っていた。ご自分の信念を曲げてまで・・、ということだろう。清廉な人格でいらっしゃると感服した。
 楢崎さんの場合、高裁刑事部で裁判長まで務めた人である。所長ポストであれ、家裁への異動はどうなのか・・・。存分に腕が振るえるとは思えない。簡裁であっても、同様である。
 「裁判官の独立」につき憲法は“良心に従い独立してその職権を行い、日本国憲法及び法律にのみ拘束される”と、謳っている。が、新藤宗幸著『司法官僚』〔裁判所の権力者たち〕(岩波新書)の中に、次のような文脈があった。
“司法官僚は全国の判決や訴訟指揮の情報を集める。それをもとに行使される人事権は全国3500名の裁判官たちに絶大な影響力をもつ。10年ごとの再任の有無、昇級、転勤を司法官僚が決める。事務総局が召集する「合同」と呼ばれる研究会も下級審の裁判内容を遠隔操作する結果を生む。
 裁判とは社会で周縁においやられた人々の、尊厳回復の最後の機会である。必死の訴えをする人々に遭遇したとき、裁判官は全人格的判断をもって救済に当たるべきだ。しかし、人々の目にふれぬところで、裁判官の内面までゆがめ、その存在理由をあやうくしているシステムがあるのだとすれば大問題である。
 政権交代とは闇を打破る時代のことであろう。本書の提言にかかる裁判所情報公開法などによって司法の実態にも光が当てられ、真の改革が着手されるべきだ。 ” ◆小沢氏 初公判 10月6日/大善文男裁判長=極めて保守的で予定調和的な判決ばかり出してきた2011-08-12 | 政治/検察/メディア/小沢一郎 
 来年4月判決 小沢「無罪」最大の難関は超カタブツ裁判長 日刊ゲンダイ2011年9月10日
 人生初の判断を下せるのか
 検察審査会に強制起訴された民主党の小沢一郎元代表に対する判決が、来年4月下旬に言い渡されることになった。
 司法関係者の間でも「無罪は確実」といわれ、政界をメチャクチャにした不毛な争いにはサッサとケリをつけて欲しいが、心配のタネがある。小沢裁判を担当する東京地裁の大善文男裁判長2 件(51)の存在だ。
 大善裁判長は1986年任官。東京地裁を皮切りに名古屋地裁、高松地裁、広島高裁の判事を経て、昨年4月に東京地裁刑事11部の総括判事となったベテランだが、司法界では「堅物判事」として有名だ。刑事事件が専門のある弁護士は「無罪判決を一度も出したことがないのでは」と言うほど、極めて保守的で予定調和的な判決ばかり出してきた。
 被告人が「無罪」を主張しようが、お構いなし。淡々と実刑判決を言い渡す。全面無罪を主張する小沢にとっては、ちょっと厄介な裁判長なのだ。
 大善裁判長のクールさが如実に表れたのは、昨年6月の裁判員裁判。都内で起きた2件の強盗事件を巡り、強盗致傷罪に問われた被告の事件への関与が争われたケースである。
「被告は、実行犯で知人の男に『強盗を指示した』として逮捕されたが、捜査段階から一貫して容疑を否認。唯一の証拠は『指示された』という実行犯の供述だけでしたが、その実行犯が公判の過程で『実は自分ひとりでやった』と供述を翻したのです。実行犯の捜査段階での供述と公判での証言のどちらが信用できるのか。判断の難しいケースですが、大善裁判長はアッサリと『捜査段階の供述の方が具体的かつ詳細に状況を述べている』と検察側の主張を支持。被告を『否認を続け、反省の態度が全く見られない』と断罪し、懲役9年の実刑判決を言い渡したのです」(司法記者)
 小沢の元秘書3人の裁判では、検察調書の大半が「任意性」を否定され、証拠として採用されなかったが、大善裁判長の手にかかると、どう転ぶか分からない。
 来月スタートの裁判で、カタブツ判事は小沢に“人生初”の無罪判決を言い渡すのか。常識的な司法判断を期待したい。 ◆検察はメディアに「金丸悪玉」イメージを流させ/小沢一郎氏は「裁判で検察と徹底抗戦すべし」と進言した2012-01-13
田中良紹の「国会探検」
政治家の金銭感覚

 強制起訴された小沢一郎氏の裁判でヤマ場とされた被告人質問が終った。法廷でのやり取りを報道で知る限り、検察官役の指定弁護士は何を聞き出したいのかが分からないほど同じ質問を繰り返し、検察が作り上げたストーリーを証明する事は出来なかった。
 検察が起訴できないと判断したものを、新たな事実もないのに強制起訴したのだから当たり前と言えば当たり前である。もし検察が起訴していれば検察は捜査能力のなさを裁判で露呈する結果になったと私は思う。従って検察審査会の強制起訴は、検察にとって自らが打撃を受ける事なく小沢一郎氏を被告にし、政治的打撃を与える方法であった。
 ところがこの裁判で証人となった取調べ検事は、証拠を改竄していた事を認めたため、強制起訴そのものの正当性が問われる事になった。語るに落ちるとはこの事である。いずれにせよこの事件を画策した側は「見込み」が外れた事によって収拾の仕方を考えざるを得なくなった。もはや有罪か無罪かではない。小沢氏の道義的?責任を追及するしかなくなった。
 そう思って見ていると、権力の操り人形が思った通りの報道を始めた。小沢氏が法廷で「記憶にない」を繰り返した事を強調し、犯罪者がシラを切り通したという印象を国民に与える一方、有識者に「市民とかけ離れた異様な金銭感覚」などと言わせて小沢氏の「金権ぶり」を批判した。
 しかし「記憶にない」ものは「記憶にない」と言うしかない。繰り返したのは検察官役の指定弁護士が同じ質問を何度も繰り返したからである。そして私は政治家の金銭感覚を問題にする「市民感覚」とやらに辟易とした。政治家に対して「庶民と同じ金銭感覚を持て」と要求する国民が世界中にいるだろうか。オバマやプーチンや胡錦濤は国民から庶民的金銭感覚を期待されているのか?
 政治家の仕事は、国民が納めた税金を無駄にしないよう官僚を監督指導し、国民生活を上向かせる政策を考え、謀略渦巻く国際社会から国民を守る備えをする事である。そのため政治家は独自の情報網を構築し、絶えず情報を収集分析して対応策を講じなければならない。一人では出来ない。そのためには人と金が要る。金のない政治家は官僚の情報に頼るしかなく情報で官僚にコントロールされる。官僚主導の政治が続く原因の一つは、「政治とカネ」の批判を恐れて集金を自粛する政治家がいる事である。
 今月から始まったアメリカ大統領選挙は集金能力の戦いである。多くの金を集めた者が大統領の座を射止める。オバマはヒラリーより金を集めたから大統領になれた。そう言うと「清貧」好きな日本のメディアは「オバマの金は個人献金だ」と大嘘を言う。オバマが集めたのは圧倒的に企業献金で、中でも金融機関からの献金で大統領になれた。オバマは150億円を越す巨額の資金を選挙に投入したが、目的は自分を多くの国民に知ってもらうためである。そうやって国民の心を一つにして未来に向かう。これがアメリカ大統領選挙でありアメリカ民主主義である。政治が市民の金銭感覚とかけ離れて一体何が悪いのか。
 スケールは小さいが日本の政治家も20名程度の従業員を抱える企業経営者と同程度の金を動かす必要はある。グループを束ねる実力者ともなれば10億や20億の金を持っていてもおかしくない。それが国民の代表として行政権力や外国の勢力と戦う力になる。その力を削ごうとするのは国民が自分で自分の首を絞める行為だと私は思う。
 日本の選挙制度はアメリカと同じで個人を売り込む選挙だから金がかかる。それを悪いと言うから官僚主義が民主主義に優先する。それでも金のかからない選挙が良ければイギリス型の選挙制度を導入すれば良い。本物のマニフェスト選挙をやれば個人を売り込む必要はなく、ポスターも選挙事務所も街宣車も不要になる。「候補者は豚でも良い」と言われる選挙が実現する。いずれそちらに移行するにせよ今の日本はアメリカ型の選挙なのだから金がかかるのをおかしいと言う方がおかしい。
 ところで陸山会事件を見ていると1992年の東京佐川急便事件を思い出す。金丸自民党副総裁が東京佐川急便から5億円の裏献金を貰ったとして検察が捜査に乗り出した。捜査の結果、献金は「金丸個人」ではなく「政治団体」へのもので参議院選挙用の陣中見舞いである事が分かった。しかも既に時効になっていた。要するに検察が描いたストーリーは間違っていた。
 ところが検察はメディアを使って「金丸悪玉」イメージを流した後で振り上げた拳を下ろせなかった。しかし金丸氏を起訴して裁判になれば大恥をかくのは検察である。検察は窮地に立たされた。そこで検察は取引を要求した。略式起訴の罰金刑を条件に、検察のストーリー通りに献金の宛先を「金丸個人」にし、献金の時期も時効にならないよう変更しろと迫った。「拒否すれば派閥の政治家事務所を次々家宅捜索する」と言って脅した。その時、小沢一郎氏は「裁判で検察と徹底抗戦すべし」と進言した。法務大臣を務めた梶山静六氏は検察との手打ちを薦めた。この対立が自民党分裂のきっかけとなる。
 金丸氏が取引に応じた事で検察は救われた。そして金丸氏は略式起訴の罰金刑になった。しかし何も知らない国民はメディアの「金丸悪玉説」を信じ、余りにも軽い処罰に怒った。怒りは金丸氏よりも検察に向かい、建物にペンキが投げつけられ、検察の威信は地に堕ちた。検察は存亡の危機に立たされ、どうしても金丸氏を逮捕せざるを得なくなった。
 総力を挙げた捜査の結果、翌年に検察は脱税で金丸氏を逮捕した。この脱税容疑にも謎はあるが金丸氏が死亡したため解明されずに終った。世間は検察が「政界のドン」を追い詰め、摘発したように思っているが、当時の検察首脳は「もし小沢一郎氏の主張を取り入れて金丸氏が検察と争う事になっていたら検察は打撃を受けた」と語った。産経新聞のベテラン司法記者宮本雅史氏の著書「歪んだ正義」(情報センター出版局)にはそう書かれてある。
 小沢一郎氏は金丸氏に進言したように自らも裁判で検察と徹底抗戦する道を選んだ。検察は土地取引を巡って小沢氏が用立てた4億円の原資に水谷建設から受け取った違法な裏金が含まれているというストーリーを描き、それを隠すために小沢氏が秘書と共謀して政治資金収支報告書に嘘の記載をしたとしている。それを証明する証拠はこれまでのところ石川知裕元秘書の供述調書しかないが、本人は検事に誘導された供述だとしている。
 その供述調書が証拠採用されるかどうかは2月に決まる。その決定は裁判所が行政権力の側か国民主権の側かのリトマス試験紙になる。そして小沢氏に対する道義的?責任追及も民主主義の側か官主主義の側かを教えてくれるリトマス試験紙になる。
投稿者:田中良紹 日時:2012年1月12日 23:53 ◆小沢一郎元代表の「暗黒人民裁判」は、実は「市民感覚=貧民感覚裁判」だった2012年01月12日
 板垣 英憲(いたがき えいけん)「マスコミに出ない政治経済の裏話」
 小沢一郎元代表の「暗黒人民裁判」は、1月10日、11日の被告人質問というクライマックスを終えた。
 この裁判の最大の特徴は、大多数の下層民(貧乏人)が、富裕層(金持ち)を裁判にかけて糾弾する構図にあった。
 それは、フランス革命の最中、ダントン、ロベスピエールなどの革命家が王族や富裕層を人民裁判にかけて糾弾し、どんどん有罪判決を下して断頭台に送った姿を彷彿とさせる。
 小沢一郎元代表にとって、「4億円」は、「たかだか4億円」にすぎない。自民党幹事長時代、東京都心の大企業をグルッと回って、20億円〜30億円を平気でかき集めてきていた。
 当時、政治資金規正法には、いまのように厳しい規制条項はなく、政治資金収支報告書も、限りなく大ざっぱに記載するよう選挙管理委員会が指導していたくらいである。
 この意味で、小沢一郎元代表自身が政治資金規正法の改正に関与しているうちに、「大ざっぱ」なことではできなくなったのは事実だ。
 政治資金規正法が厳しくなったのは、1993年5月23日、自民党羽田派44人が離党し、新生党(羽田孜、小沢一郎代表幹事)を結成して以降のことである。
 小沢一郎元代表は、「お金」に恵まれた人である。言い換えれば、「お金」がどんどん集まる運勢を持っている。親の資産はもとより、和子夫人の実家である「福田組」関係から集まる資金、大中小企業はもとより個人、あるいは多種団体からも勝手に資金が集まってくる。このほかにも、創価学会の池田大作名誉会長とは、英国など海外で資金運用をともにしていた時期もある。
ある時、不動産協会の役員が、私にこう明かしていた。
「役員2人で、小沢一郎さんの部屋に政治資金をもって行ったことがある。すると、秘書や事務所の人たちを全員部屋の外に出した。3000万円を入れた紙袋を手渡すと、中味を見ることなく、ただ一言『オッ』と言った。何かお言葉があると思ったが、それだけだったので、拍子抜けしたことがある」
 そのとき私は、
「それは、現金をを受け取ったとか、お礼を言うとか何か会話を交わすと、あとで問題になったとき、お互いに都合悪くなる。不動産協会には、業界団体としての要望をきちんと実現することでお返ししていることだろう」
と解説をしたところ、納得していた。
 この種の「お金」が湯水の如く集まってくるので、小沢一郎元代表本人には、「4億円程度のお金」は、決して大金ではなく、政治闘争、選挙活動の「軍資金」でしかない。私服をこやしてはおらず、ましてや、本人にしてみれば「4億円」の出入り内訳の詳細は、わからなくなっているはずである。つまり、いつ、だれからもらったお金であるかの区別はつかなくなっている。
 本人にも説明できない「お金」であるから、部外の人にわかろうはずもない。
 検事はもとより、今回の「暗黒人民裁判」で検察官役の指定弁護士も、「4億円」の中味について、具体的に不正を証明することも、出入りを証明することもできるわけがない。本人に聞いても、よくわからなくなっているので、説明が二転、三転するのは当然である。
 ということは、この裁判は、限りなく疑いは濃厚でありながら、「疑わしきは、被告人の利益に」という大原則を適用せざるを得ない類のものである。 ◆小沢一郎氏裁判/検察の「小沢許すまじ」の執念に始まり、マスコミを引き連れ、起訴にまで持ち込んだ2012-01-12
 小沢一郎元代表への被告人質問でヤマを越した「陸山会事件」の持つ意味と露呈した刑事司法改革の難しさ
 現代ビジネス「ニュースの深層」2012年01月12日(木)伊藤 博敏
 読まされる方も報道する方も、いささか食傷気味だった「陸山会事件」が、10日、11日の両日、行われた小沢一郎元民主党代表への被告人質問でヤマを越した。
 事件発生から3年が経過、最初は小沢事務所の巨大裏ガネ疑惑を追及していたが、途中で諦め、最後は秘書宅取得資金の4億円が政治資金規正法違反にあたるか否かを問う事件となった。
 小沢一郎という日本を左右する大物政治家の「政治とカネ」に関する事件だけに、意味がないとは言わないが、検察の「小沢許すまじ」といった執念から始まり、マスコミを引き連れ、ようやく起訴にまで持ち込んだという背景を考えれば、「小沢叩き」に与する気が失せる。
 むしろ国民は、検察が主導してきた刑事司法が、特捜検察の制度疲労によって改革の時を迎えているだけに、「陸山会事件」は、その岐路を象徴する事件だと理解すべきではないだろうか。
 実際、「小沢逮捕」にかける検察の執念は異様だった。その"見立て"が間違っていたことは、12月16日、第10回公判で法廷に立った前田恒彦元大阪地検特捜部検事(証拠隠滅罪で実刑確定)が、「私が裁判官なら無罪判決を書く」と述べたことでも明らかだ。
 検察に切られ、地位と身分を失った前田元検事に怖いものはない。前田元検事は、「初日に主任検事から『特捜部と小沢の全面戦争。小沢をあげられなかったら特捜部の負けだ』と言われた」といい、当時、「4億円は複数の企業からもらったという"妄想"を抱く幹部がいた」と、辛辣に批判した。
 つまり、「小沢逮捕ありき」で捜査は進み、裏ガネがあると"妄想"した検察幹部によって、事件が組み立てられていった。「小沢公判」に先立つ「秘書公判」で、検察が水谷建設からの1億円の裏ガネを立証したかったのは、事件に関係はなくとも、「小沢事務所はクロ」と印象付けたかったからだ。
 特捜検察が手がける事件の多くが「強引なシナリオ捜査」で仕掛けられると指摘されてきたが、検察の"身内"がそれを暴露したことになる。
 小沢元代表は、検察には起訴されなかったが、検察審査会に強制起訴された。それは、強引に取られた調書によって審査員に「おかしなカネ集めをする事務所」という意識が刷り込まれていたからだと主張した。
 10月の初公判の「意見陳述」で、「本件が特に許せないのは、国民の負託を受けていない検察が、議会制民主主義を踏みにじり、国民主権を冒涜したことだ。(中略)恣意的な権力行使が許されるなら、民主主義国家とはいえない」と、小沢元代表は検察をののしった。当否はともかく"怒り"は理解できる。
 しかし、だからこそ「検察改革」なのである。取り調べの全面可視化も含め、検察は変わろうとしている。前田元検事が犯した大阪地検特捜部事件と合わせ、東京地検特捜部の「陸山会事件」は、明らかな行き過ぎであり捜査の失敗。その修正は始まっている。
 まず検察は、特捜部が手がける独自捜査を少なくし、「ノルマに縛られない捜査」を目指すことになった。むしろ国税当局、公正取引委員会、証券取引等監視委員会など外部と連動、時には警視庁と組む。
 同時に、有罪率100%を目指し、強引な自白調書を散るような取り調べはしない。調書至上主義からの脱却。また、全面可視化を目指すことも決めており、白黒は法廷でつければいいと考えるようになった。
 その分、有罪率は低下するが、起訴すればほとんど有罪。有罪率99・9%という数字が間違っていたのであって、裁判所は、検察側最終弁論で判決文を書くような"手抜き"が許されなくなる。
 検察が無理をしないということは、裁判所に被告が否認している案件が数多く持ち込まれるということだ。裁判官は、有罪を前提に量刑だけ決めればいいというこれまでの刑事司法から一転、自分の頭で公判資料を読み込み、尋問をし、自ら判断を下さねばならなくなった。
 「陸山会事件」の秘書公判で、東京地裁の登石郁朗裁判長は、特捜部の強引で恣意的な捜査を批判、供述調書の主要部分を認めず、「検察に対立するのか」と、訴訟指揮の評判は悪かった。しかし、「反検察」だったわけではない、裁判所もまた変わろうとしていた。
 それは、検察と"癒着"することで成り立つヤメ検弁護士の世界にも変化をもたらす。ヤメ検と言えば、罪を認めさせる代わりに、保釈を早くし、執行猶予判決を取ることが主な"役割"だった。だが、それは正しい刑事司法の姿ではない。
 争うべきは争う---。そう発想する人権派弁護士への依頼が増え、小沢元代表に就いたのが、冤罪の村木厚子事件で無罪を勝ち取った弘中惇一郎弁護士であるところに、それは表れている。
 司法マスコミもそうである。裁判所にタダ同然で記者クラブを置き、検察と一体となって報じていればいい記事、社内で評価の高い記事が書けていたのだから、検察と一心同体だった。だが、村木事件と小沢事件を経て、ネットジャーナリズムが雑誌ジャーナリズムと連帯、「検察べったりの司法マスコミ」を批判するようになった。
 検察自身が、制度疲労を認め、変革しようとしているのだから、司法マスコミも自立しなくてはならない。かつては考えられないことだが、検察批判、裁判批判が堂々と論じられるようになった。
 そういう意味で、「陸山会事件」は、法曹3者に司法マスコミも加えた刑事司法の関係者が、自立を始めるきっかけとなった事件であり、公判だと位置づけられよう。
 むろん素人を裁判に巻き込む裁判員裁判と合わせ、定着は容易ではない。自立を目指していた秘書公判の登石裁判長は、結局、検察の主張通りの判決を下したし、司法マスコミは横一線で形式犯に過ぎない「陸山会事件」を、微に入り細に入り報じ、「なぜ、いつまでも裁判が続いているのか」という、国民の声には答えていない。
 それだけ刑事司法改革は難しく、検察がすべてのシナリオを描く司法を郷愁する向きもある。だが、回り始めた歯車は元に戻せない。国民も含め、それそれが自分の頭で刑事事件を考えるしかなく、そうすることが、冤罪を生む強引な捜査からの決別になると信じたい。
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小川敏夫法相:死刑執行「職責 果たしていきたい」/日弁連「死刑廃止検討委員会」顧問に杉浦正健氏

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法相 死刑巡り“職責を果たす”
NHK NEWS 1月13日 21時30分
 小川法務大臣は、13日夜、総理大臣官邸で就任後初めての記者会見を行い、死刑の執行について、「大変つらい職務だが、法務大臣としての職責をしっかり果たしていくのが責任だと思っている」と述べました。
 死刑制度を巡っては、去年は19年ぶりに死刑が1件も執行されず、死刑囚は、12日までで130人とこれまでで最も多くなっています。これに関連して、小川法務大臣は記者会見で「死刑という刑罰そのものは人の生命を断つという大変重い、厳粛な刑罰なので慎重に考えなければならないと思うが、一方で、それが法律で定められている法務大臣の職責でもある。大変つらい職務だが、わたしはその職責をしっかりと果たしていくのが責任だと思っている」と述べました。また、小川大臣は、オウム真理教の元幹部の平田信容疑者の逮捕が、麻原彰晃、本名松本智津夫死刑囚ら13人の死刑囚の執行に影響するかどうかについて、「平田容疑者が被告人となり、弁解のあり方によっては、死刑囚の証言を聞く必要が一般論としてはあると思うので、考慮する必要がある」と述べ、執行に影響することもありうるという認識を示しました。
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小川法相「職責を果たしたい」死刑執行の可能性言及
 小川敏夫法相は13日、就任記者会見で、死刑について「大変つらい職務だが、しっかりと職責を果たしたい」と述べ、執行の可能性に言及した。
  執行が長期にわたって見送られ、確定囚が戦後最多の130人となったことに触れ「執行されないまま確定死刑囚がどんどん増えていくのは法律の趣旨には合っていない」との見解を示した。
  オウム真理教元幹部平田信容疑者の逮捕が教団の死刑確定囚に与える影響については「(確定囚から)証言を聞くこともあり得る。その点を考慮する必要はある」と述べ、死刑執行を当面保留する可能性を示唆した。
  広島刑務所の受刑者脱走事件は「あってはならないことで本当に申し訳ない」と謝罪。「そう簡単に脱走できないと思っていたが、肝に銘じて、なぜ起きたかを検証する」と話した。
(2012年1月13日22時03分  スポーツ報知)
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〈来栖の独白〉2012/01/14 Sat.
 どの報道も、必ずといって「確定囚が戦後最多の130人となった」ことに触れる。「命」を、「人間」を、数でとらえ、その多さを苦にしているようだ。養うのに血税が費消される、と苦にするのだろうか。「どんどん増えていく」、まるでゴミか何かのような言い回しである。一旦道を踏み外せば命であっても鴻毛のごとし、常人のそれとの「価値」は厳しく峻別される。
>執行されないまま確定死刑囚がどんどん増えていくのは法律の趣旨には合っていない
 法律の、どの条文だろう。門外漢の私には思い当たらない。
 ところで、一昨年死刑執行された尾形英紀氏が、2008年にフォーラム90のアンケートに答えた原稿で以下のように言っておられる。少し、私の感じたことを記してみたい。
 裁判に関しての氏の失望は大変よくわかる気がする。が、「将来のない死刑囚には反省など無意味」との考えはいかがなものだろう。
 人は、死ぬその日まで、「人」でありたいものではないだろうか。『論語』は、“あしたに道みちを聞きかば、夕ゆうべに死しすとも可なり”と言う。
 「反省の心をすてました」とは、被害者に対しても、如何にもむごい。「死を受け入れるかわりに」と言うが、死刑がそれほどのモノか、との反発が私に兆す。
 イエスは言う。「からだを殺しても、魂を殺すことのできない者どもを恐れるな。むしろ、からだも魂も地獄で滅ぼす力のあるかたを恐れなさい」(マタイによる福音書10章28節)
尾形英紀死刑囚「死を受け入れるかわりに反省の心をすてました。将来のない死刑囚には反省など無意味」2010-12-25 | 死刑/重刑/生命犯 問
尾形英紀さん(東京拘置所)
熊谷男女4人拉致殺傷事件(2003.8.18)
1977年7月20日生まれ
2007年4月26日 さいたま地裁(飯田喜信)にて死刑判決
2007年7月18日 控訴取下げにより死刑確定
 死刑囚の気持ちや考えを聞いてもらえる機会を与えてくれてありがとうございます。
 事件を起こしてから現在に至るまで、考える事や納得のいかない事が数多くありすぎて、それをすべて書いていたのでは、何十枚も書くことになってしまうので簡単に書きます。
 まず、事件についてですが、見張り程度しかしていない共犯が2人います。
 すべて俺のやった事ですが、4人を殺そうとして2人を殺害、2人は殺人未遂の事件です。
 事件当時の俺は、かなりの酒を飲んでいたためと、あまりにも興奮していたので、ほとんど記憶がありません。ただ、あまりにも強烈な印象がある部分だけが、はっきりと記憶に残っています。
 しかし、それでは警察も検事も都合が悪いので、事件当日の行動の大まかな所は、共犯の記憶などを総合して作り、もっとも大事な部分は刑事と検事が作りあげたストーリーが裁判で認められてしまいました。それは最初から殺害の話し合いをしてから殺しに行ったというのですが、全くのウソなのです。
 裁判では、不利になるのは分かっていましたが、殺意を持った事を認め、いつの時点で殺意を持ったかも証言しました。
 実際には暴行している時に被害者が死にそうになった時にはじめて「それなら殺してしまえ」と思ったのです(その時の精神状態では、そのようにしか考えられなかったのです)。それ以前は殺意はもちろん、死ぬ可能性すら考えもしませんでした。
 しかし、検事と刑事の調書にははじめから殺意を持って行動したとなっていました。何でその様な調書になったのかと言うと共犯も証言していますが、共犯2人が事実と違うのは分かっていたけど無理やりにサイン・指印をされ、俺の調書は最後のページのサインがある所以外を差し換えられました。警察と検事はあたり前の様に不正をしているのが現状で、不正をかくすためには裁判の証人尋問で平気でウソをついています。しかも裁判も全くの茶番で検事の言う事をすべて認定してしまいました。
 殺意についての証人尋問で刑事と検事の言っている事がくい違い、苦しまぎれに少しだけ、俺の言っている事が正しいと刑事が証言したにも関わらず、俺の言っている真実は都合が悪いからはじめから聞く気がありませんでした。完全に結果ありきの裁判です。
 一審で2度にわたり精神鑑定を受けました。一度目は裁判所が認定した先生でした。その先生はよく調べてくれ、調書よりも俺の証言の方が信用できると証言してくれました。それは俺の言っている方が精神医学上もふくめ自然であり、しかも俺の証言は自分にとって不利になる事まですべてを言っているからです。その結果、部分的ではあるが(1人目殺害)、責任能力がいちじるしく低下していたと判断されました。
 その為に検事が納得せずに2度目の鑑定となったのです。2度目の先生は検事の推薦した人であり、検事の犬になり下がった人でした。当時の俺の考えなどは1度も聞く事もなく、ただ事件の経過を聞いただけで、すべて検事や刑事の調書を参考に鑑定書を作ったのです。
 はじめからやる気のない鑑定士を採用し、驚くことに裁判では、一度目に真面目にやった先生の鑑定を棄却し、やる気のない検事の犬の鑑定を採用したのです。
 俺は責任を逃れたいのではなく、今の日本の裁判や刑事や検事のやっている事が許せないのです。一般の人は信じないと思うけど、今の刑事は事件のでっちあげも日常的にやっているし、まして調書の改ざんなんてあたり前にやっているのです。だけど無実を訴えても今の裁判では無罪になる事はないし、たとえ無罪を勝ち取っても年月がかかりすぎるから、懲役に行った方が早く出れるので皆、我慢しているのです。俺の殺人などは事実は変わりませんが、事件の内容はかなりでっち上げなのです。だから俺は100%無罪の死刑囚は何人もいると思っています。
 検事の主張ばかり聞く裁判は不公平ですが、一般の人から見れば刑事や検事の言ってる事は無条件で信じられるのだから、来年から始まる裁判員制度では冤罪も今まで以上に多くなると思います。
 事件に関して長くなってしまいましたが、死刑囚が考える死刑制度について、一般市民の考えているものとは違う所もあるかと思うので書かせてもらいます。
 収容者と話す事はありませんが、他の死刑囚を見ると本当に殺人をやった人なのかと疑えるほど普通の人です。俺はぐれ始めてから、ヤクザやその他のアウトローを社会や少年院、刑務所で数多く見てきましたが、それらの人達と比べてもかなり気の弱くおとなしい印象です。きっと心から反省しているので、そう見えるのかもしれませんが、俺はそれだけでなく、本当に普通の人達なのだと思います。
 どの様な事件を起こしたのか知りませんが、色々な理由により精神状態が乱れ、普段ならまともに判断できる事が出来なかっただけなのだと思います。だから、誰にでも死刑囚になる可能性はあると思います。
 自分の気持ちは後で書きますが、本当に心から反省している死刑囚を執行する事で本当に罪を償う事になるのでしょうか? 罪を背負って生きていく事が、本当の意味での償いになるのではないかと思います。日本人の美徳として死者に対して悪く言ったり思ったりしない所がありますが、何か問題を起こしたり、犯罪を犯した後に自殺をする人達に対して、一般の人の中には責任を感じての自殺、アウトローの人の中にはケジメをつけたという考えをする人がいます。本当に自分自身でケジメをつけたと思える人もいるので、すべてを否定はしませんが、俺には、つらい事から逃げただけにしか思えない事のほうが多いと思います。被害者や遺族の感情は自分で犯人を殺したいと思うのが普通だと思います。今は連絡を取っていませんが、両親・姉・元妻との間に二人の娘がいます。俺だって家族が殺されたら犯人を許すことはないし、殺したいと思うのがあたり前です。
 しかし、それでは、やられたらやり返すという俺が生きてきた世界と同じです。死刑という名の殺人を国家権力がやっているにもかかわらず、国民にどんな理由があろうと殺人を禁ずるのはどういうわけだ。世界では色々な所で国家による虐殺があったようだが、それと日本の死刑とどこが違うのか?日本の法律にのっとり死刑があるように、虐殺のあった国にもその国の法律(権力者)にのって死刑にしただけだろう。
 色々と考えながら書いているので、ちょっと興奮してしまいました。
 死刑囚を助ける活動をしている先生に対して言う事ではないし、やつあたりの様な事を書いてしまったので、書きなおそうとなやみましたが、俺の考えでもあるので、失礼は承知のうえ、このまま続けさせて頂きます。話を戻します。
 俺の考えでは死刑執行しても、遺族は、ほんの少し気がすむか、すまないかの程度で何も変わりませんし、償いにもなりません。
 俺個人の価値観からすれば、死んだほうが楽になれるのだから償いどころか責任逃れでしかありません。死を覚悟している人からすれば、死刑は責任でも償いでも罰ですらなく、つらい生活から逃してくれているだけです。だから俺は一審で弁護人が控訴したのを自分で取り下げたのです。
 死を受け入れるかわりに反省の心をすて、被害者・遺族や自分の家族の事を考えるのをやめました。
 なんて奴だと思うでしょうが、死刑判決で死をもって償えと言うのは、俺にとって反省する必要ないから死ねということです。人は将来があるからこそ、自分の行いを反省し、くり返さないようにするのではないですか。将来のない死刑囚は反省など無意味です。
 もちろん他の死刑囚は日々反省していることと思います。俺は、ただでさえ東拘には人権など全くないし、24時間カメラで監視され独居にいて、執行されるのを待っている中で、事件や遺族・自分の家族の事を考えていたのでは気がおかしくなるし、ストレスだらけで、そんな余裕すら1秒もありません。  
 俺のように反省する気がない死刑囚もいる中で、ほとんどの死刑囚は日々反省し、被害者の事も真剣に考えていると思います。そういう人達を抵抗できないように縛りつけて殺すのは、死刑囚がやった殺人と同等か、それ以上に残酷な行為ではないのですか?
 俺が執行されたくないのではありませんが、その様な事などを考えれば、死刑制度は廃止するべきです。
 言いたい事が色々と多く長くなってしまいましたが、切りがないので、この辺で失礼します。今の気持ちを伝える機会を頂き、ありがとうございました。
 追伸
 最近、執行が多くなりましたが、執行について意見があります。
 執行時に求刑・判決を出した検事・裁判官それに法務大臣らが自ら刑を執行するべきです。それが奴らの責任だと思います。
 それと執行時・その後に死刑囚の希望があった場合、絶対に経をあげてはいけないようにして下さい。俺は宗教が嫌いだし、経は死者に対してではなく、生きている人達の気やすめでしかありません。俺の執行時・執行後は絶対に宗教関係の事はやらないようにお願いします。
------------------------------ ◆法務大臣には死刑執行の法的義務は存在しない=安田好弘/死刑執行1年、千葉景子元法相決断の背景2011-07-29 | 死刑/重刑/生命犯 問題
 ◎法務大臣には死刑執行の法的義務は存在しない
「千葉景子法相による死刑執行に抗議する」弁護士・フォーラム90 安田好弘
〈2010年7月28日の執行・執行抗議集会から〉

 今回、千葉さんが、「死刑執行するのは法務大臣の義務だ」と言っています。実は、過去、法務省はそのようには言っていませんでした。これを言い始めたのは、後藤田元法相です。彼が1993年3月に死刑執行を再開した後に、自己の行為の正当化のために言い出したことです。彼に対しては、志賀さんや倉田哲治弁護士などが直接会って、執行をしないようにと話をし、彼はそれに対してよく考えてみるとか、団藤さんの本も実際に読んでみるとか、言っていたわけです。ところが彼は死刑を執行し、法務大臣には死刑執行をする法的義務がある、だから執行しないのは怠慢だし、執行しないならば法務大臣を辞めるべきだと、そもそも執行しない者は法務大臣に就くべきではない、と言い出したのです。今回の千葉さんも、詰まるところ同じことを言っているのです。
 私たちはその当時から、法務大臣には死刑執行の法的義務はないのだと言い続けてきました。これはスローガンとして言っていたわけではなく、法的根拠を持って言ってきたわけです。刑事訴訟法の475条第1項を見ていただければわかりますが、死刑執行は法務大臣の命令による、としか書いてないわけです。法務大臣が死刑執行をしなければならない、とは書いていません。これは法務大臣以外の者が死刑執行を命令してはならないという制限規定です。第2項に6ヵ月以内に執行命令を出さなければならない、となっていますが、これは法務省自らが訓示規定と言っているわけでして、絶対に守らなければならないというものではないわけです。
 法務省が言っていますが、法務大臣の死刑執行はどういう法的性質のものかというと、死刑執行を法務大臣の権限としたのは(権限です。義務とは言っていない)、死刑執行は極めて重要な刑罰なので、政治的責任を持っている人間しか命令してはならないものだ。法務大臣は政治的責任を負っているのだから、いろいろの社会的状況を考慮して、政治的な決断として執行を命令するのだ、という言い方をしています。ここからは義務だという発想は出てこないのです。法務省設置法という法律がありまして、法務省の責任や役目を示したものですが、3条、4条にはっきり書いてありますが、法務省の任務に、「基本法制の整備」、「刑事法制に関する企画立案」とあります。彼らの責務として法体制を改革したり改善したり、法律を新しく制定したり、法律を改正したり、ということがあるわけです。ですから法務大臣は死刑執行をすることが義務ではなく、死刑制度について改善したり、新しい死刑制度に関する企画を出したり、その企画が通るまで死刑執行を停止すると、いったようなことが法務大臣の義務としてあるわけです。千葉さんの発言は、これを完全に無視した発言であるわけです。
 さらに言いますと、官吏服務紀律という勅令がありまして、昭和22年に一部改正されており、国務大臣はこれに従わなければならないとされています。その1条には「国民全体の奉仕者として誠実勤勉を主とし法令に従い各職務をつくすべし」とあって、権限を行使する場合は、公僕として法律に則って職務を果たせという職務規範はあっても、死刑執行を命令しなければならないというような、羈束(キソク=つなぎとめる、拘束する)的に、必ず一定の行為を行わなければならないというような職務規範は予定されていないわけです。このように、法の規定からしても、また過去の法務省の理解ないしは解説からしても、法務大臣に死刑執行命令をする義務があるというのは、間違い以外何ものでもないと考えます。この点についても議論しなければならないと、私は思っています。 ◆オウム全裁判が年内に終結/震災・原発・沖縄・死刑、いずれも軽重区別をつけてはならない命の問題 2011-06-18 | 死刑/重刑/生命犯 問題
  オウム遠藤被告、9月に弁論=死刑上告で最後−最高裁
 地下鉄、松本両サリン事件など4事件で殺人罪などに問われ、一、二審で死刑とされたオウム真理教元幹部遠藤誠一被告(51)について、最高裁第1小法廷(金築誠志裁判長)は16日までに、弁論期日を9月29日に指定した。
 教団をめぐる一連の事件で死刑が言い渡されたのは13人。このうち11人が確定し、上告中の中川智正被告(48)も9月16日の弁論が決まっている。(時事通信2011/06/16-17:54)
〈来栖の独白2011/06/18 Sat.〉
 全裁判が終結、確定すれば、オウムの場合、次に来るものはかなり早期と予想される。国にとって最も効果的な時期、状況を選んで行われるだろう。
 昨年7月28日、千葉法相(当時)は東京拘置所在監の2名に対して死刑を執行した。私はこれを法務官僚に半ば屈した末の命令と受け止めたが、某テレビ番組で千葉氏と側近が語っていたところによれば、千葉氏は法相就任の極めて早い時期に執行命令の決断はしていたという。さまざまなことがあって命令の時期が遅れただけ、ということだった。命令書に判を押さないで済ませる気はなかった、と。
 死刑廃止思想の持ち主でいらしたから、執行について煩悶があったことは疑う余地はないだろう。が、氏は法相として死刑執行の決断はしていた、ということだ。なぜ、執行するか。彼女の云うことによれば、「死刑についての議論を国民の間で起してほしいから」ということであった。
 死刑囚2人に命を差し出させることで願った、死刑制度に関する国民的議論。その結果はどうだったか。一時的に騒いだだけではなかったろうか。
 3・11以降は東日本大震災以外のことを話題にすれば、顰蹙を買いかねない風潮である。ましや、「死刑」の議論など、ごくわずかの変人のすること、不謹慎の極みであろう。
  (略)
 3・11以降、揺るがせにできない問題は数々起きた。中国は新規原発を稼働させたし、北方領土の問題、また沖縄については、それこそ国民が一緒になって考えねばならない問題をアメリカは提起してきている。それらすべて命の問題である。
 いかなる状況にあっても、不断にしっかりと考え、取り組んで「ここに問題があります」と言ってゆかねばならない。東日本大震災の問題も原発の問題も、そして沖縄、防衛・安全保障のことも死刑も、いずれも軽重区別をつけてはならない問題であると思う。
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日弁連顧問に死刑反対派の杉浦氏 元法相、執行せず
 日弁連が死刑廃止に向けた議論の場として新設した「死刑廃止検討委員会」の顧問に、自民党政権で法相を務めた杉浦正健元衆院議員(77)が14日までに就任した。
 杉浦氏は在任中、「信条」などを理由に一度も死刑執行を命じなかった自民党政権としては異例の法相。日弁連は死刑廃止を政府や国会など各界に働き掛ける上で、死刑存置派の議員が多い自民党や法務省などへの影響力に期待している。
 死刑廃止委はこのほか、委員長に元日弁連副会長の加毛修弁護士、副委員長には、山口県光市の母子殺害事件で殺人罪などに問われた元少年の弁護に当たった足立修一弁護士ら8人を選出した。 2012/01/14 09:22【共同通信】
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小沢一郎氏「暗黒人民裁判」/政治家の金銭感覚を問題にする「市民感覚」=官僚主導の政治が続く原因

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“豪腕”小沢、驚愕の資産30億円!その中身を全公開
zakzak2012.01.13
 民主党の小沢一郎元代表(69)は陸山会裁判で「私の関心は天下国家の話だ」といい、焦点の4億円について「秘書に任せていた」「記憶にない」と繰り返した。東京地裁の判決が注目されるなか、月刊誌「文芸春秋」2月号に「公開質問・小沢一郎『全財産目録』」を寄稿したジャーナリストの松田賢弥氏がインタビューに応じた。松田氏は、小沢氏の31億円もの財産目録を示しながら、「小沢氏が知らないはずがない。私は資産が100億円あっても驚かない」と話した。
 東京地裁で10、11日に行われた小沢氏の被告人質問は、いくつもの不自然さが露呈した。裁判官質問でも取り沙汰された4億円の原資について、小沢氏はこう説明している。
 (1)両親から相続した東京・湯島の自宅を約14−15億円で売却し、東京都世田谷区の自宅を約9億円前後で購入した差益5−6億円(2)相続した東京・上野の土地を売却して得た約1億円(3)著書「日本改造計画」の印税収入など約1億6000万円(4)41年間の議員歳費(約8億2000万円)。
 これらを合計すると約17億円になるが、松田氏は「4億円だけなら足りるかもしれないが、明らかになっている小沢氏や妻の和子さん名義の資産は約31億円、土地だけで約28億円ある。小沢氏が説明した額ではまったく足りない。これも説明できないと意味がない」と話す。
 《検察官役の指定弁護士によると、小沢氏の印税や議員報酬の振込先口座から億単位の出金はなかったという》
 一体、小沢氏の資産はどれくらいあるのか。
 松田氏が、「文芸春秋」で公表した資産の詳細は別表の通り。事件の舞台となった東京都世田谷区の秘書寮や、米軍普天間飛行場の移転先とされる辺野古周辺の土地もある。さらに、小沢氏が陸山会に貸し付けていた4億円の現金も加わる。確かに、帳尻は合わない。
 小沢氏関連の注目すべき資金の流れについて、松田氏は、▽政党交付金制度が始まったのが1994年で、小沢氏が政治資金でマンションを買い始めたのも同じ年である▽小沢氏が党首などを務めた「新生党」と「自由党」が解党した際、両党に残っていた政治資金計約23億円が、小沢氏関連の2つの政治団体に移動されていた▽小沢氏が民主党幹事長だった2006年−08年に、使途を報告する義務がない組織対策費計23億円が支出されていた−などと列挙し、こう続けた。
 「政党交付金制度を主導したのは小沢氏だ。しかも、当時の細川護煕首相は『将来的に企業献金を禁止する』と約束したのに、いまだに企業献金は続いている。(国会議員は)二重取りに成功したのだ。小沢氏は政治資金などで不動産を買い、資産を増やしていった。自ら法律を作っているのだから、朝飯前だ」
 国会議員の資産公開では、議員名義の普通預金、タンス預金、家族名義の預貯金はブラックボックスになっている。小沢氏も当然そうだ。
 松田氏は「国会議員の多くは、家族名義などで資産を分散させている。小沢氏もそうだろう。私は100億円を超えても驚かない。和子夫人の預貯金だけでも、光を当てるべきではないか」と話した。
 それにしても、4億円の土地登記を04年から05年にズラし、政治資金収支報告書も虚偽記載したことについて、小沢氏は被告人質問で「何も聞いていない」「(秘書が)よかれと思ってやったことだと思う。彼らを叱る感情はない」といい、「秘書の独断」という姿勢を貫いた。
 松田氏は「小沢氏は被告人質問で、自分で4億円の札束を新聞紙で包んだことを認めた。言い換えれば金庫番は小沢氏自身だ。その後の処理について、秘書から何も聞かないというのは信じられない」と疑問を呈した。
 小沢氏の元秘書の高橋嘉信氏も夕刊フジのインタビューで、「先生はよく、『大将からの金は10円でも押し頂け(=うやうやしく受け取れ)』と語っていた。秘書だけで虚偽記載など考えられません」と話している。
 4月下旬、小沢氏にどんな判決が下るか。
 ■松田賢弥(まつだ・けんや) 1954年岩手県北上市生まれ。業界誌記者を経てジャーナリストに。小渕恵三首相元秘書官のNTTドコモ株疑惑をはじめ、政界をえぐるスクープ記事を多数執筆。いち早く小沢氏の「西松疑惑」を報じた。主な著書に『無情の宰相 小泉純一郎』、『角栄になれなかった男 小沢一郎全研究』(いずれも講談社)などがある。
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小沢一郎元代表の「暗黒人民裁判」は、実は「市民感覚=貧民感覚裁判」だった2012年01月12日
 板垣 英憲(いたがき えいけん)「マスコミに出ない政治経済の裏話」
 小沢一郎元代表の「暗黒人民裁判」は、1月10日、11日の被告人質問というクライマックスを終えた。
 この裁判の最大の特徴は、大多数の下層民(貧乏人)が、富裕層(金持ち)を裁判にかけて糾弾する構図にあった。
 それは、フランス革命の最中、ダントン、ロベスピエールなどの革命家が王族や富裕層を人民裁判にかけて糾弾し、どんどん有罪判決を下して断頭台に送った姿を彷彿とさせる。
 小沢一郎元代表にとって、「4億円」は、「たかだか4億円」にすぎない。自民党幹事長時代、東京都心の大企業をグルッと回って、20億円〜30億円を平気でかき集めてきていた。
 当時、政治資金規正法には、いまのように厳しい規制条項はなく、政治資金収支報告書も、限りなく大ざっぱに記載するよう選挙管理委員会が指導していたくらいである。
 この意味で、小沢一郎元代表自身が政治資金規正法の改正に関与しているうちに、「大ざっぱ」なことではできなくなったのは事実だ。
 政治資金規正法が厳しくなったのは、1993年5月23日、自民党羽田派44人が離党し、新生党(羽田孜、小沢一郎代表幹事)を結成して以降のことである。
 小沢一郎元代表は、「お金」に恵まれた人である。言い換えれば、「お金」がどんどん集まる運勢を持っている。親の資産はもとより、和子夫人の実家である「福田組」関係から集まる資金、大中小企業はもとより個人、あるいは多種団体からも勝手に資金が集まってくる。このほかにも、創価学会の池田大作名誉会長とは、英国など海外で資金運用をともにしていた時期もある。
ある時、不動産協会の役員が、私にこう明かしていた。
「役員2人で、小沢一郎さんの部屋に政治資金をもって行ったことがある。すると、秘書や事務所の人たちを全員部屋の外に出した。3000万円を入れた紙袋を手渡すと、中味を見ることなく、ただ一言『オッ』と言った。何かお言葉があると思ったが、それだけだったので、拍子抜けしたことがある」
 そのとき私は、
「それは、現金をを受け取ったとか、お礼を言うとか何か会話を交わすと、あとで問題になったとき、お互いに都合悪くなる。不動産協会には、業界団体としての要望をきちんと実現することでお返ししていることだろう」
と解説をしたところ、納得していた。
 この種の「お金」が湯水の如く集まってくるので、小沢一郎元代表本人には、「4億円程度のお金」は、決して大金ではなく、政治闘争、選挙活動の「軍資金」でしかない。私服をこやしてはおらず、ましてや、本人にしてみれば「4億円」の出入り内訳の詳細は、わからなくなっているはずである。つまり、いつ、だれからもらったお金であるかの区別はつかなくなっている。
 本人にも説明できない「お金」であるから、部外の人にわかろうはずもない。
 検事はもとより、今回の「暗黒人民裁判」で検察官役の指定弁護士も、「4億円」の中味について、具体的に不正を証明することも、出入りを証明することもできるわけがない。本人に聞いても、よくわからなくなっているので、説明が二転、三転するのは当然である。
 ということは、この裁判は、限りなく疑いは濃厚でありながら、「疑わしきは、被告人の利益に」という大原則を適用せざるを得ない類のものである。
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検察はメディアに「金丸悪玉」イメージを流させ/小沢一郎氏は「裁判で検察と徹底抗戦すべし」と進言した2012-01-13
 田中良紹の「国会探検」政治家の金銭感覚
(前段 略)もはや有罪か無罪かではない。小沢氏の道義的?責任を追及するしかなくなった。
 そう思って見ていると、権力の操り人形が思った通りの報道を始めた。小沢氏が法廷で「記憶にない」を繰り返した事を強調し、犯罪者がシラを切り通したという印象を国民に与える一方、有識者に「市民とかけ離れた異様な金銭感覚」などと言わせて小沢氏の「金権ぶり」を批判した。
 しかし「記憶にない」ものは「記憶にない」と言うしかない。繰り返したのは検察官役の指定弁護士が同じ質問を何度も繰り返したからである。そして私は政治家の金銭感覚を問題にする「市民感覚」とやらに辟易とした。政治家に対して「庶民と同じ金銭感覚を持て」と要求する国民が世界中にいるだろうか。オバマやプーチンや胡錦濤は国民から庶民的金銭感覚を期待されているのか?
 政治家の仕事は、国民が納めた税金を無駄にしないよう官僚を監督指導し、国民生活を上向かせる政策を考え、謀略渦巻く国際社会から国民を守る備えをする事である。そのため政治家は独自の情報網を構築し、絶えず情報を収集分析して対応策を講じなければならない。一人では出来ない。そのためには人と金が要る。金のない政治家は官僚の情報に頼るしかなく情報で官僚にコントロールされる。官僚主導の政治が続く原因の一つは、「政治とカネ」の批判を恐れて集金を自粛する政治家がいる事である。
 今月から始まったアメリカ大統領選挙は集金能力の戦いである。多くの金を集めた者が大統領の座を射止める。オバマはヒラリーより金を集めたから大統領になれた。そう言うと「清貧」好きな日本のメディアは「オバマの金は個人献金だ」と大嘘を言う。オバマが集めたのは圧倒的に企業献金で、中でも金融機関からの献金で大統領になれた。オバマは150億円を越す巨額の資金を選挙に投入したが、目的は自分を多くの国民に知ってもらうためである。そうやって国民の心を一つにして未来に向かう。これがアメリカ大統領選挙でありアメリカ民主主義である。政治が市民の金銭感覚とかけ離れて一体何が悪いのか。
 スケールは小さいが日本の政治家も20名程度の従業員を抱える企業経営者と同程度の金を動かす必要はある。グループを束ねる実力者ともなれば10億や20億の金を持っていてもおかしくない。それが国民の代表として行政権力や外国の勢力と戦う力になる。その力を削ごうとするのは国民が自分で自分の首を絞める行為だと私は思う。
 日本の選挙制度はアメリカと同じで個人を売り込む選挙だから金がかかる。それを悪いと言うから官僚主義が民主主義に優先する。それでも金のかからない選挙が良ければイギリス型の選挙制度を導入すれば良い。本物のマニフェスト選挙をやれば個人を売り込む必要はなく、ポスターも選挙事務所も街宣車も不要になる。「候補者は豚でも良い」と言われる選挙が実現する。いずれそちらに移行するにせよ今の日本はアメリカ型の選挙なのだから金がかかるのをおかしいと言う方がおかしい。
 ところで陸山会事件を見ていると1992年の東京佐川急便事件を思い出す。金丸自民党副総裁が東京佐川急便から5億円の裏献金を貰ったとして検察が捜査に乗り出した。捜査の結果、献金は「金丸個人」ではなく「政治団体」へのもので参議院選挙用の陣中見舞いである事が分かった。しかも既に時効になっていた。要するに検察が描いたストーリーは間違っていた。
 ところが検察はメディアを使って「金丸悪玉」イメージを流した後で振り上げた拳を下ろせなかった。しかし金丸氏を起訴して裁判になれば大恥をかくのは検察である。検察は窮地に立たされた。そこで検察は取引を要求した。略式起訴の罰金刑を条件に、検察のストーリー通りに献金の宛先を「金丸個人」にし、献金の時期も時効にならないよう変更しろと迫った。「拒否すれば派閥の政治家事務所を次々家宅捜索する」と言って脅した。その時、小沢一郎氏は「裁判で検察と徹底抗戦すべし」と進言した。法務大臣を務めた梶山静六氏は検察との手打ちを薦めた。この対立が自民党分裂のきっかけとなる。
 金丸氏が取引に応じた事で検察は救われた。そして金丸氏は略式起訴の罰金刑になった。しかし何も知らない国民はメディアの「金丸悪玉説」を信じ、余りにも軽い処罰に怒った。怒りは金丸氏よりも検察に向かい、建物にペンキが投げつけられ、検察の威信は地に堕ちた。検察は存亡の危機に立たされ、どうしても金丸氏を逮捕せざるを得なくなった。
 総力を挙げた捜査の結果、翌年に検察は脱税で金丸氏を逮捕した。この脱税容疑にも謎はあるが金丸氏が死亡したため解明されずに終った。世間は検察が「政界のドン」を追い詰め、摘発したように思っているが、当時の検察首脳は「もし小沢一郎氏の主張を取り入れて金丸氏が検察と争う事になっていたら検察は打撃を受けた」と語った。産経新聞のベテラン司法記者宮本雅史氏の著書「歪んだ正義」(情報センター出版局)にはそう書かれてある。
 小沢一郎氏は金丸氏に進言したように自らも裁判で検察と徹底抗戦する道を選んだ。検察は土地取引を巡って小沢氏が用立てた4億円の原資に水谷建設から受け取った違法な裏金が含まれているというストーリーを描き、それを隠すために小沢氏が秘書と共謀して政治資金収支報告書に嘘の記載をしたとしている。それを証明する証拠はこれまでのところ石川知裕元秘書の供述調書しかないが、本人は検事に誘導された供述だとしている。
 その供述調書が証拠採用されるかどうかは2月に決まる。その決定は裁判所が行政権力の側か国民主権の側かのリトマス試験紙になる。そして小沢氏に対する道義的?責任追及も民主主義の側か官主主義の側かを教えてくれるリトマス試験紙になる。
投稿者:田中良紹 日時:2012年1月12日 23:53
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小沢一郎被告裁判 東京地裁、虚偽記載の捜査報告書を証拠として採用へ
 民主党元代表・小沢一郎被告(69)が強制的に起訴された裁判で、元秘書を取り調べた検事が虚偽の内容を記載した捜査報告書について、東京地方裁判所が証拠として採用する見通しとなった。
小沢被告の裁判では、2011年12月、元秘書を取り調べた検事の証人尋問が行われた際、元秘書が小沢被告への報告と了承を認めた理由について、検事が捜査報告書に実際には供述していない内容を記載していたことが判明している。
 弁護側は「虚偽の捜査報告書を根拠とした検察審査会の議決は無効」として、起訴の取り消しを求めるとともに、この報告書を裁判で証拠として採用することも求めていた。
 13日に開かれた検察官役の指定弁護士と弁護側と東京地裁による3者協議で、指定弁護士が証拠採用に同意したことから、東京地裁が採用する見通しとなった。
 また、東京地裁は検察に対して、捜査報告書を証拠として検察審査会に提出していたかどうかを確認することも決めた。(FNNニュース2012/01/13 23:03)
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小沢一郎氏4月判決 大善文男裁判長=トップクラスのエリート裁判官/体制寄り/予定調和的な判決ばかり 2012-01-13 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
小沢裁判 判決は4月 大善エリート裁判長の気になる評判
日刊ゲンダイ
2012年1月13日 掲載
判決は日本の裁判所の公正と正義の判断基準となるだろう
 小沢一郎・元民主党代表(69)をめぐる世紀の「魔女狩り裁判」は、ヤマ場の被告人質問を終えた。4月に予定されている判決公判で、裁判長はどんな判断を下すのか。
 裁判を指揮しているのは大善文男裁判長(51)。早大法学部出身で、裁判官歴26年のベテラン。司法研修所教官、高松高裁事務局長を経て、10年4月から東京地裁刑事11部の部総括判事を務める。
「外見は典型的な『バーコード頭』だが、83年に司法試験に合格した38期の司法官僚の中では、トップクラスのエリート裁判官です。柔和な表情で被告人に話しかけるのが特徴で、将来の最高裁判事は確実とみられています」(司法記者)
 13回に及ぶこれまでの裁判では、検察審査会(検察審)が小沢を強制起訴した“決め手”となった捜査報告書が検事の捏造だったことがバレ、事件自体がデッチ上げだった疑いが濃厚になった。「市民感覚」で考えれば「無罪確実」だが、大善裁判長はそんな当たり前の判決を書けるのか。約3300回の裁判を傍聴してきたジャーナリストの今井亮一氏はこう言う。
「大善裁判官はニコニコしていて、まるで安アパートにでも住んでいそうないいオジサンという雰囲気ですが、判決は厳しいものになるでしょう。東京地裁で裁判長を務めるのはエリート中のエリート。よほどのことがない限り、警察や検察の筋書きを追認するのが普通です。つまり、被告人側の主張は執拗に疑い、検察側の主張は信用できる部分を探し出す。そうやって理屈をこねて検察側の筋書きに“お墨付き”を与えるのが一般的です」  実際、裁判官質問では、億単位のカネの管理を秘書に任せていた、とする小沢の姿勢を“疑う”ような発言が繰り返された。
 しかし、「疑わしきは被告人の利益」という刑事裁判の大原則が裏切られる結果になれば、日本の司法は死んだも同然だ。まして、小沢事件は、東京地検が「有罪にできない」と不起訴にしたものだ。4月の判決は裁判所が本来の役割である「公正」「正義」を取り戻せるかの判断基準となる。
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小沢一郎氏 裁判/大善文男裁判長は将来が約束されたエリート判事 登石郁郎裁判長以上に体制寄り2011-10-06 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
小沢氏 初公判 10月6日/大善文男裁判長=極めて保守的で予定調和的な判決ばかり出してきた2011-08-12 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
小沢一郎氏裁判/検察の「小沢許すまじ」の執念に始まり、マスコミを引き連れ、起訴にまで持ち込んだ2012-01-12
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