大飯原発の再稼働「妥当」=安全性確認、電力不足懸念―福井に協力要請へ・閣僚会合
2012年4月13日20:46 JST
野田佳彦首相と枝野幸男経済産業相ら3閣僚は13日、首相官邸で原発の再稼働を協議する6回目の会合を開き、関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の運転再開を「妥当」と判断した。会合では、関電が安全対策の工程表を提示した同原発の安全性を最終確認。大幅な電力不足が懸念される今夏の需給状況を踏まえ、福井県に再稼働への協力を早期に要請することを決めた。
枝野経産相は会合終了後の記者会見で「大飯3、4号機の安全性について最終的に確認した」と語り、同原発の安全を宣言。さらに「(今夏は)非常に厳しい電力不足に直面している」と説明し、「(同原発の)再稼働には必要性が存在する」と強調した。
さらに「地元をはじめとする国民の理解をお願いするプロセスに入りたい」とも述べ、福井県の西川一誠知事らを早期に自ら訪ね、再稼働を認める方針を説明して理解を求める考えを示した。
[時事通信社]
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〈来栖の独白 2012-04-13 21:20:17 〉
相も変らぬ北朝鮮のミサイル発射のニュースをメディアに流させ(国民の注意をそちらに向けさせ)、目を盗むようにして「チーム仙谷」は、大飯の再稼働を決めた。もう少し手間暇かけてアリバイ作りをし、5月5日ぎりぎりに決めるのかと私は思っていたが、内閣としては「大飯」ばかりやっているわけではないので、可及的速やかにケリをつけたかったか。
しかし、大阪の橋下氏は「大飯の『地元』は100?圏」とも云い、闘志満々。橋下氏は、「大飯」を国政への強力なカードに使う。
この世は、いつも、そのようだ。最も尊重されねばならない「いのち」、懐かしい「山河」、そして生きとし生ける総てのものの「未来」が、出世や利権のカードとなる。そういう処だ、この世は。
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◆小沢一郎氏 新しい政策研究会会合で「PAC3配備 ナンセンス」 2012-04-12 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
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◆再稼働5人組「チーム仙谷」枝野・細野・古川元久・斎藤勁/霞が関(財務省 勝栄二郎)・財界(米倉)同調 2012-04-11 | 地震/原発/政治
再稼働「5人組」仙谷氏ら
中日新聞 朝刊2面 2012年4月11日Wed.
関西電力大飯(おおい)原発の再稼働問題で、野田佳彦首相と関係三閣僚が頻繁に会合を開き、議論している。だが、再稼働問題は実質的には仙谷由人党政調会長代行が中心となる通称「五人組」が、水面下で議論を仕切っている。そして首相らの四者の協議は、それを追認するような形だ。まさに政府・与党、さらに財界、霞が関が一体となって「再稼働ありき」を進めようとしている構図が浮かび上がる。(城島建治、関口克己)
野田首相、藤村修官房長官、枝野幸男経済産業相、細野豪志原発事故担当相。この四人の協議が再稼働を決める。
だが四者協議の議論を先導し、事実上政権内をまとめる枠組みが、昨年秋、非公式に出来上がっている。
四者協議のメンバーでもある枝野、細野の両氏と、仙谷氏、古川元久国家戦略担当相、斎藤勁官房副長官の五人組。リーダー格は仙谷氏で「チーム仙谷」とも呼ばれている。
仙谷氏は国家戦略担当相、官房長官、党代表代行などの要職を歴任。枝野氏、古川氏も一員の前原誠司政調会長を支持するグループを束ねている。昨年八月の党代表選では決選投票で野田氏支持に回り、首相誕生の立役者となった。その政策力と政治的腕力には野田首相も一目置く。
仙谷氏は菅政権で官房長官、副長官としてエネルギー政策を担当し、官邸を去った後も仕切り役を続ける。野党時代から電力会社とのつながりがあり、霞が関や党内ににらみが利く仙谷氏が頼られ続けている格好だ。
野田首相と藤村氏は昨年末以来、消費税増税問題に忙殺されてきた。そのこともあり再稼働問題は長い間、五人に任されてきた。
五人の議論は人目につきにくいホテルなどが選ばれる。東京電力をどう再建するか。電力会社の地域独占体制をどう破るか。そして再稼働問題。政府の新成長戦略の旗振り役を担ってきた仙谷氏は、電力不足は経済成長の阻害要因になると考えている。早い再稼働を前提に議論を進めてきた。そして、一連の議論は党内でも、知る人は少数にとどまる。
■仙谷氏ら、4者協議お膳立て
五人が出す方向性を正式に認める形の四者協議も再稼働を前提として生まれた。
昨年七月。九州電力玄海原発2、3号機(佐賀県玄海町)の再稼働が政治日程に上っていた時だ。
当時の菅直人首相は閣内に根回しなく「新たなルールを作って、国民が納得できる判断が出るよう指示する」と表明。再稼働を考えていた他の閣僚と衝突した。当時の菅氏は、脱原発を進めて延命を図る野心もあり、衆院解散も頭をよぎっていた。
この時は当時官房長官だった枝野氏が、再稼働の決定は、首相だけでなく官房長官、経産相、原発相を含めた四人で決定することを提案。菅首相にのませた。つまり四者協議は脱原発に走る菅氏を止めるためにできた。再稼働のツールだった。
四者の協議は四月三日の初会合後、九日までに計四回、慌ただしく回数をこなしているが、各回の所要時間は平均約一時間。首相が枝野氏に求めた新しい安全基準も、関西電力に求めた安全対策の工程表も、指示を待っていたかのように次の会合までに提出されるなど、出来レースを思わせる展開が続いている。
■霞が関・財界同調
経団連の米倉弘昌会長ら財界首脳は「安定した電力供給がなければ、生産拠点の海外移転が加速する」などと、政府に圧力をかけ続けている。
そんな経済界の動きを、経産省は歓迎している。監督官庁として稼働する原発をゼロにしたくない。五月五日、北海道電力泊原発3号機が停止するまでに大飯原発が再稼働しなければ全国で五十四基ある原発は一基も動かなくなり「原発なしでも大丈夫」という機運が高まる。
その事態を避けたいという利害では財界と一致する。
経産省だけでなく財務省も後押ししている面がある。総合特別事業計画で、政府は今夏に一兆円規模の公的資金を投入する方針だが、再稼働しなければ、東電は安定経営ができず、さらに税金投入が必要になると想定しているからだ。財務省の勝栄二郎事務次官も野田首相に直接、再稼働を働きかけている。
オール財界、オール霞が関が、もともと再稼働をめざす政権を後ろから押している。
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◆大飯原発 100?圏 広がる「地元」 大阪府市/滋賀県/京都府/三重県/〜足元の福井県 2012-04-13 | 地震/原発/政治
大飯原発 広がる「地元」 100?圏同意 関西の首長支持
中日新聞《 特 報 》2012/4/12Thu.
関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働をめぐり、野田政権と関西の首長たちの対立が際立ってきた。大阪府市が提示した「再稼働の八条件」の他の首長も同調。国民的人気の高い橋下徹大阪市長の動向には中央政界も無視はできない。同意が必要な「地元」の範囲は政治的には拡大しつつある。(秦淳哉・中山洋子)
再稼動 政府との対立鮮明
■大阪「8条件」
「効力はない。選挙で国民がどっちを取るか判断してもらう材料だ」。橋下大阪市長は、大阪府市統合本部が了承した大飯原発再稼働の八条件について、こう言ってのけた。「独立性の高い原子力規制庁の設立」などの条件は法的拘束力はないが、次期衆院選に向けた「政治的メッセージ」だというのだ。
八条件を記した文書には刺激的な言葉が列挙されている。
前文で「『原子力ムラ』と呼ばれる、推進と規制の一体体制から生じた安全軽視の文化と社会構造の一掃」と明記。「原発事故『A級戦犯』ともいえる原子力安全・保安院や原子力安全委員会」、「この国の原発事故への緊急事対応は、まったくの無為・無策・無能」。使用済み核燃料については「消費税増税のときは将来世代にツケを回さないといいながら原発はそれ以上のツケを回している」と野田政権の姿勢を批判している。
八条件は、いずれも大阪府市の特別顧問で、元経済産業省官僚の古賀茂明氏とNPO法人「環境エネルギー政策研究所」の飯田哲也所長の二人が中心となってまとめた。飯田氏は「再稼働のプロセスがいかにナンセンスか浮かび上がらせる」と強調する。
八条件には「百?圏内の住民の同意を得て、府県と安全協定を締結する」という項目も含まれる。政府にとっては極めて高いハードルで、事実上、早期の再稼働は不可能になる。
藤村修官房長官は、橋下氏の発言に対し、「支離滅裂なところがある」と切って捨ててみせたが、内心は穏やかではない。
もともと橋下氏率いる地域政党「大阪維新の会」は、大阪都構想実現を図るため、地方自治法改正を主要政党に働き掛けてきた。大阪都実現が聞き入れらない場合、次期衆院選で三百人の候補者を擁立する意向を示している。
各種世論調査で国民的人気が高い橋下氏。次期衆院選でも台風の目になろうとしている。
ここで、橋下氏を無視して敵に回せば、政権は大きなダメージを受けることにもなりかねない。政権にとっては、対立が鮮明になるのは避けたいのが本音だ。
橋下氏と歩調を合わせる大阪府の松井一郎知事は「安全性を担保する設備が完成する前に、工程表というペーパーだけで再稼働を承認するのは問題だ」と政権の手続きに強い疑問を呈した。
「本当に電気が足りないのか。情報開示なしに再稼働したら民主党政権はもたない」。再稼働に関する橋下氏の野田政権批判は激烈だ。橋下氏にとって、「脱原発」の姿勢を示すことは、民主党や自民党との「違い」を国民にアピールできるという計算も見え隠れする。
橋下氏 民自打倒の好機に
■衆院選の争点
大阪発の「八条件」には、関西を中心に同調する自治体が広がっている。
滋賀県の嘉田由紀子知事は十一日の記者会見で「大阪は核燃料サイクルの問題まで含めて(条件を)出している。中長期的にはあの通り」と評価した。
滋賀県は大飯原発の百?圏に全域が入る。独自に放射性物質拡散シミュレーションも試算。関西の水源である琵琶湖も含め、三十?を超える地域でも屋内退避が必要なレベルの汚染が予測されており、県内の危機感は強い。今後、滋賀県独自で、福井の原発の安全性を協議する専門委員会も設置するという。
三十?圏内に六万八千人が住む京都府の山田啓二知事は「政府は急ぎ過ぎている」と拙速な再稼働の動きを批判してきた。十一日には大飯原発の再稼働を判断するための専門家会議を開催。政府が示した新安全基準について検証を始めた。
県北部が百?圏にかかる三重県の鈴木英敬知事も「百?圏内の自治体と協定を結ぶというのは、同調できる」と話した。
再稼働に前のめりな政府の姿勢に、批判的なのは関西の自治体だけではない。とりわけ、藤村官房長官の「再稼働には必ずしも地元同意が必要ではない」とした発言への反発は大きく、新潟県の泉田裕彦知事は六日の会見で、定期点検中の東京電力柏崎刈羽原発について「新潟では必ず地元の同意を取ってもらう」と念を押した。
一方で、沈黙を守っているのが、大飯原発の足元の西川一誠福井県知事。政府が示した新安全基準への評価も含め、コメントを避けている。
大阪府市統合本部は、六月の株主総会で関西電力に「脱原発」を提案することも決めた。速やかに全原発を廃止することや、国などからの天下り禁止、発電又送配電部門の売却などを求める。
定款を変更するには、株主総会で三分の二以上の賛同が必要。大阪市は株式の約8・9%を持つ筆頭株主。同じ関西電力管内の京都、神戸両市の保有株式を含めれば約12・5%に上る。
橋下氏らは両市と共同で提案したい考えだが、三分の二を超えるには、両市だけではなく多くの個人株主らの協力を得ることも必要で、成立までは見通せていない。
NPO法人原子力資料情報室の西尾漠共同代表は、近隣自治体などの動きについて「再稼働に前のめりになっている政府のブレーキになり、判断が注目されている福井県にも影響するだろう」と指摘する。「福島第一原発事故の実態を踏まえると、大阪が示した八条件には極めて真っ当な内容だ。現実的には原発から百?圏内の全住民の同意を得るのは難しいが、それぐらいでないと運転再開に納得できる住民はいない」
政治評論家の森田実氏は「関西の大多数の住民は、安全対策を厳しくしないうちの再稼働に反対している。橋下市長にとって、大飯原発の再稼働に反対する以外の選択肢はない」とみる。次期衆院選では、消費税増税と原発の是非が、二大争点になると指摘。「橋下市長にとっては増税と再稼働に賛成する民主と自民の二大政党を倒し、政局を握る好機。民主党政権の危機感の薄さは驚くほどだ」と説明し、予測した。
「関西で、福井の原発再稼働に賛成する候補は、間違いなく落ちる。民主、自民両党の候補全滅も有り得る」
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◆政府、早期再稼働を優先「地元の同意不要」/大飯 ベント対策など、再稼働是非の暫定基準に含めない方針 2012-04-05 | 地震/原発
原発安全基準を決定=大飯再稼働に適用、判断は週明け以降
2012年4月6日20:36 JST
野田佳彦首相と枝野幸男経済産業相ら3閣僚は6日夕、原発再稼働の関係閣僚会合を首相官邸で開催し、運転再開を判断するための安全基準を最終決定した。新たな基準は関西電力大飯原発(福井県おおい町)の3、4号機に適用する。枝野経産相は会合後、首相官邸で記者会見し、同原発の再稼働について「判断は週明け以降に行う」と語った。
枝野経産相はまた、関電に対し、安全対策の実施計画の提出や事業への取り組み姿勢の報告を求める考えを表明。全電源喪失の防止策などで、地元を説得できるだけの安全性が確保されているかを確認する。
[時事通信社]
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原発再稼働、地元同意義務ない 藤村官房長官
2012年4月5日 15時17分
藤村修官房長官は5日午前の記者会見で、定期検査により停止中の原発の再稼働に関し、地元の同意は必ずしも前提条件にならないとの認識を示した。「法律などの枠組みで同意が義務付けられているわけではない」と述べた。これまで原発の再稼働には地元の同意が必要としてきた姿勢を軌道修正した形で、原発の地元や周辺自治体などの反発は必至だ。
政府は、関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働に向けた手続きを進めているが、周辺自治体が反対・慎重な立場を崩していないためとみられる。法律上の「同意」は不要との立場を強調し、再稼働実現への地ならしを図る狙いがあるようだ。(共同)
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ベント対策など除外 大飯 早期再稼働を優先
中日新聞 2012年4月5日 朝刊1面
政府は四日、関西電力大飯(おおい)原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働問題で、格納容器の圧力を下げるベント(排気)時に放射性物質を取り除くフィルターの設置など時間がかかる対策は、再稼働の是非を判断する暫定基準に含めない方針を固めた。非常用電源車の配備や建屋内の浸水対策などが進んでいることを強調し、フィルターなどは中期的に取り組むことを説明することで、理解を求めていく。
暫定基準は、大飯原発がある福井県やおおい町が要望しており、野田佳彦首相が三日の関係三閣僚との会合で策定を指示。藤村修官房長官は四日の記者会見で、基準の策定について「一日二日、相当鉢巻きを巻いてやる」と話し、経済産業省原子力安全・保安院が検討を進めている。
保安院は、東京電力福島第一原発事故を踏まえ、全電源喪失や冷却設備の機能喪失にならないよう三十項目からなる報告書をまとめている。基準はこれがベースになる。
再稼働の条件となる安全評価(ストレステスト)の一次評価が進む大飯原発や四国電力伊方3号機は比較的新しい上に、福島第一原発に比べると格納容器が大きく、圧力が高まりにくいため安全性は高いとされる。非常用電源車の配備や、炉心への代替注水機能の確保などの対策も既に終わっている。ただ、ベントフィルターの設置や緊急時に大量の作業員が寝泊まりできる免震施設の建設など時間がかかる対策も残っている。これらをすべて満たすには「少なくとも三、四年はかかる」(保安院幹部)という。
フィルター設置なども暫定基準に含めてしまうと、再稼働の時期が大幅に遅れることになる。このため、政府は三十項目のうち多くの安全対策が進んでいることを確認し、残る対策も計画が進んでいることをアピールしていく考え。
ただ、原子力安全委員会が「一次評価だけでは不十分」と疑問を投げかけ、免震施設の重要性を強く訴えている。こうした中、骨抜きとも受け取れる基準で政府が再稼働を認めようとすれば、地元を含め広く反発が出る可能性もある。
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◆大飯原発/「福島」と同じ大混乱を招く恐れ/いざ事故が起きたときの肝心の対策がほとんど改善されていない 2012-04-12 | 地震/原発/政治
大飯 遅れる防災 OFC改善未定 ヨウ素剤確保も
東京新聞2012年4月12日 朝刊
政府は原発の再稼働に向け突き進むが、関西電力大飯(おおい)原発(福井県おおい町)をめぐっては、いざ事故が起きたときの対策拠点の見直しや被ばくを防ぐ安定ヨウ素剤を住民にどう配るかなど、肝心の対策がほとんど改善されていないことが本紙の取材で分かった。こんな状況で再稼働させ、事故が起きれば、東京電力福島第一原発事故時と同じような大混乱を招く恐れがある。
まず問題なのは、住民の避難など対応策を決めるオフサイトセンター(OFC)をどうするかが決まっていない点だ。
福島の事故ではOFCが原発から五キロと近すぎ、放射性物質への防護も不十分で使い物にならなかった。大飯原発のOFCは原発から八キロで、敷地の高さは海抜わずか二メートル。仮に原発が津波に耐えても、OFCが水没する可能性が高い。
ここが使えなかった場合は、関電高浜原発(福井県高浜町)のOFCを使うことになっているが、こちらも海抜四メートルにある。
福井県の担当者は「両方のOFCがだめになっても、まだ敦賀、美浜両原発の二つのOFCが県内にはある。万一のときはそのどちらかを使うことも考えられる」とする。
確かにこれら二つは海抜十数メートルにあり、津波には耐えられるかもしれないが、県内四つのOFCとも放射性物質を除去するフィルターはなく、非常用電源も十五時間しか使えない。外部電源が失われれば、ただのコンクリートの箱と化す。
県の担当者は、国のOFCの見直し方針が定まっていないことを理由にしているが、これらの弱点は福島事故から一年以上過ぎてもまったく改善されていなかった。
一方、事故の影響は当初の想定より大幅に広かったことを受け、重点的に防災対策を実施する区域が、従来の八〜十キロ圏から三十キロ圏にまで拡大されることが固まっている。
しかし、内部被ばくを防ぐ安定ヨウ素剤の備蓄や配布計画の作成は進んでいない。
福井県は原発がある市町以外にもヨウ素剤を確保することを決めたものの、肝心の追加分のヨウ素剤は確保されていない。二万二千人分は確保されているが、区域拡大に伴って対象人数も膨れあがるため、二十二万八千人分が不足している。
大飯原発の三十キロ圏には滋賀県や京都府が新たに入るが、ヨウ素剤はまだ確保されていない。
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