民主激震シナリオ!小沢&問責閣僚は消費増税の“いけにえ”か
ZAKZAK 2012.05.29
野田佳彦首相(55)と民主党の小沢一郎元代表(70)の直接会談は30日午前、党本部で行われる。消費税増税法案をめぐる政局の天王山を前に、野田首相は「乾坤一擲(けんこんいってき)」という言葉を使って、自らの決意をあらわにした。会談前から「議論は平行線になる」などと挑発的な態度を取る小沢氏に対し、法案採決で造反すれば「除名=小沢切り」という覚悟を固めたのか。
「お会いする以上は乾坤一擲だ。一期一会のつもりでご理解をいただく」
野田首相は28日、内閣記者会のインタビューで、こう語った。「乾坤一擲」とは、天下をかけて一度さいころを投げる意から、「運を天にまかせて大勝負をする」こと。直接会談は1回限りと受け取れる。
さらに、小沢氏が「増税反対」を唱えていることについて、野田首相は「意見があるだろうが、党議を実現する基本線を理解してもらう」「(法案採決時に)党議に反した行動を取れば、党として対応を取るのが基本だ」と述べ、除籍(除名)を含め厳正に対処する考えを示した。
これまで、小沢氏と自民党との間で「二股愛」と揶揄される態度を取り続けてきた野田首相だが、ついに腹を固めたのか。
一方の小沢氏は、直接会談が決まった直後から、「議論は平行線になるかもしれない」「私は変わらない」などと決裂の可能性を示唆してきた。28日夜には、党幹部に対して「(会談は)何回でもやる」と述べ、1回での決着は難しいとの認識も示した。
小沢氏の真意について、「小沢グループの議員を処遇するなど野田首相の譲歩を引き出すか、会談を複数回にすることで時間を稼いで、増税法案を今国会で採決できなくして、9月の代表選で勝負をかける」(小沢氏周辺)戦略が背景にあるとみられる。
しかし、野田首相が会談を1回で打ち切り、小沢氏を切り捨ててでも法案採決をする覚悟を示したことで、情勢は変わりつつある。
野田首相に近い民主党中堅議員は「首相が小沢氏に『先輩議員の意見を虚心坦懐(たんかい)にお聞きしたい』と下手に出たのに、小沢氏はすぐに『平行線』と言った。当初は29日にやるはずだった会談も1日ずれて、小沢氏は外で民主党批判を繰り返した。一国のリーダーが一兵卒に会うために、なぜ、これほど時間と手間がかかるのか。温厚な野田首相も堪忍袋の緒が切れたのでは」と心境を推測した。
総勢100人を超える小沢グループだが、官邸周辺は「衆院採決で造反するのは多くて20−30人」とタカをくくっているフシもある。
野田首相による、自民党や公明党への配慮もにじむ。
参院で野党が過半数を占める状況で、増税法案を成立させるためには自民党などの協力が絶対に必要だ。野田首相にとって、小沢氏との融和を優先しても法案の成立が見通せるわけではない。むしろ自民党の反発によって成立は極めて厳しくなる。
自民党の谷垣禎一総裁は「『政治生命を懸ける』覚悟をみせてほしい」といい、(1)問責2閣僚の更迭(2)小沢切り(3)社会保障政策の自民党案丸呑み(4)早期の衆院解散−を求め、拒否し続けるなら、参院への首相問責決議案の提出を検討し、野田政権を追い込む構えを見せている。「小沢切り」の環境整備をしているのだ。
政治評論家の浅川博忠氏は「野田首相は『いつでも小沢氏を切れる』という姿勢を見せて、小沢氏を牽制する一方で、自民党に秋波を送っている。選挙をすれば、小沢氏を抱えた民主党は不利だ。小沢氏が増税に反対し続けるなら切り、自民党と手を組む可能性が高い。その場合、問責2閣僚の更迭は避けられず、民主党の輿石東幹事長も党内融和と衆院選先送りに腐心し続けるようなら交代だろう」と話した。
野田首相は、どこまで腹をくくったのか。30日、明らかになる。
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野田首相、小沢氏と協議継続の意向=消費増税めぐり、30日に会談
野田佳彦首相と民主党の小沢一郎元代表が30日午前、党本部で会談する。会談には輿石東幹事長も同席。首相は消費増税関連法案の今国会成立に向け理解を求める考えだが、法案に反対する小沢氏は「考えは変わらない」と譲らない構えだ。会談が決裂した場合、党分裂につながる見通しも広がる中、首相は29日、会談を1回で終わらせず、複数回にわたって小沢氏の説得を試みる考えを示した。
首相は29日夕、首相官邸で民主党中間派の田中慶秋副代表らと会談。田中氏によると、何回でも小沢氏と会談して理解を求めるよう要請したのに対し、首相は「あすはゆっくり話をして、その後も十分話をしたい」と語ったという。
首相は28日の内閣記者会のインタビューに「会う以上は、乾坤一擲(けんこんいってき)だ。一期一会のつもりでしっかり説明したい」と述べ、会談を1回で終わらせる意向を示唆。これに対し、小沢氏は同日夜の民主党議員との会合で「(会談は)何回でもやる」と強調していた。
首相と小沢氏の会談に関し、岡田克也副総理は29日の記者会見で「一度で結果を出したいというのが首相の思いだ」と指摘した。前原誠司政調会長も会見で「6月21日の会期末までの衆院採決を考えると、何度もやるような話ではない。一発勝負でやってもらいたい」と強調。「小沢氏と妥協する余地は全くない。(妥協すれば)首相の求心力が急速に低下する」と述べた。
一方、自民党の石原伸晃幹事長は29日の総務会で「小沢氏と決別する覚悟が首相にあるのか、注視していきたい」と表明。会談が複数回に及ぶ場合、自民党は首相が採決引き延ばしに加担したとみて、対決姿勢をより強める構えだ。(時事通信2012/05/29-20:21)
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◆野田首相・小沢一郎氏会談の一方で、森喜朗氏「谷垣さんは消費増税に賛成してしっかり副総理に入ればいい」 2012-05-29 | 政治
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◆野田総理と小沢一郎氏の会談が揣摩臆測を呼んでいる 会談はそれを狙って設定された 「消費税の政治学2」 2012-05-29 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
消費税の政治学2
野田総理と小沢元代表の会談が揣摩臆測を呼んでいる。揣摩臆測を呼ぶのは当然で、会談はそれを狙って設定されたと私は見ている。周囲を疑心暗鬼にさせながら、誰がどう言うか、世の流れはどうかを見極めて、両者はそれぞれ対応を考えるのである。野田総理が輿石幹事長に命じて設定させたというところを見ると、会談を必要としているのは野田総理である。
両者を対立軸でしか見る事のないメディアは、会談が決裂するか、合意するか、協議継続となるかの三通りをシミュレーションして、民主党が分裂するか、野田総理が窮地に陥るかどうかだけを見ている。そして増税推進の立場から、野田総理が自民党と手を組み小沢切りを決断すべきだと主張する。しかし両者がのっぴきならない対立関係にあるならそもそも会談は設定されない。そうでない事を前提にすれば自民党分裂とか自公分断とかのシナリオが出てくる可能性もある。
とにかく予算を成立させて国民生活に支障が出ないようにするのが最大使命の通常国会で、予算執行に欠かせない赤字国債発行法案が成立してもいないのに、増税の議論をしているのだからこの国会は普通でない。だから普通でない事が起きても不思議ではない。二人の会談が行なわれる週には、他の重要法案の審議が始まる事もあり、会談はその行方とも当然に絡んでくる。
先週の国会は「社会保障と税の一体改革特別委員会」の審議を中心に動いたが、野党が追及していた点を私なりに整理してみる。まず野党は野田総理が「法案成立に政治生命を賭ける」という言葉とは裏腹に全く本気度を見せていない事を追及した。
「ねじれ国会」だから法案成立のためには野党の協力が絶対に必要である。しかし野田総理にその姿勢がまるでない。参議院で問責を受けた2閣僚の更迭を迫っても応じない。増税は09年総選挙のマニフェスト違反であるのにそれも認めない。与野党間には社会保障政策に違いがあるのにひたすら協力を迫ってくる。成立させる気があるならば民主党の法案を撤回して自民党案を丸呑みにしろと野党第一党の自民党は迫った。
町村信孝議員は激しい調子で「言葉だけで行動が伴わない松下政経塾流政治家」と野田総理をこき下ろし、竹下亘議員は「兄の竹下登が消費税を導入した時は所得税減税もやり、トータル2兆6千万円の減税だった。橋本内閣が消費税を上げた時はプラスマイナスゼロ。今回は13兆円を越える初めての大規模増税だが、全く国民に説明する努力がない」と今回の増税がこれまでとは違う純粋の増税であることを強調した。
こうした議論を聞くとメディアが言うように野田総理が自民党と組んで消費税法案を成立させる事も難しいように思える。自民党は民主党が09年に国民を騙した事を認めて国民に謝罪をした上で自民党案を丸呑みしない限り協力しないと言っているのである。民主党は自民党に吸収されてしまえと言わんばかりである。
しかし一方で自民党は野田総理の「不退転の決意」を千載一遇の好機と捉えている。特別委員会の自民党筆頭理事である伊吹文明議員は「野田総理が勉強されて我々と同じところに来ていただいた事を大歓迎している」と評価した上で、消費税問題で自民党の司令塔となっている立場からタテマエではない本音の部分を開陳した。
まず消費税は社会保障のためではない。財政赤字を解消するために行なわなければならない。社会保障費がどんどん伸びてきて国民には分かり易いから社会保障のためと言うだけで、お金に色がついているわけではない。 本当は小泉政権が人気があった時に消費税を上げておくべきだった。ところが税金を上げないで社会保障費をカットしてしまった。これが自民党の大失敗である。09年の選挙でいつもは選挙に来ない子供づれの若夫婦が大勢来た。そして自民党が選挙に負けた。
自民党が消費税法案に協力する見返りに「話し合い解散」をするなどという子供じみた話を私はしない。野田総理は今国会で消費税法案を通すと言っているが実施の前に総選挙が必ずある。そこで民主党が負けると消費税は実施できなくなる。だから民主党案では駄目なので、野田総理は自民党案を成立させる方法でしか消費税を上げることは出来ない。
つまり伊吹氏は野田総理が消費税法案を成立させる時に、中身は自民党案でなければ実施にたどり着けないと言っている。だったら自民党は民主党政権を終らせて、自分で消費税法案を提案すれば良いと思うが、それは出来ないのだ。それをやると自民党が選挙に負けてしまう。だから「不退転の決意」の野田総理に成立までやらせ、民主党が選挙に負けて自民党が政権についても、中身を自民党案にしておけば継続して実施できると考えている。野田総理に選挙の防波堤になれと言っているのである。
自民党の税制調査会長である野田毅議員は、自自連立の時に小沢氏が作らせた消費税増税案の内容を示して、野田―小沢会談で総理が小沢氏を説得する材料に使うようアドバイスしたが、「総理は小沢さんを説得しきらんと思う」と悲観的見通しを述べた。そして「民主党内から66人が造反すると消費税法案は衆議院も通らない」と小沢グループに対する警戒感を露にし、野田総理には厳しい選択が待ち受けていると同情してみせた。
こうした議論から見えてくるのは「社会保障と税の一体改革」とは国民向けの目くらましであり、実体は民主党が無駄を削る事をやめた事と、金融市場の動向を恐れて財政均衡に走る政府の姿である。要するに国際社会の恫喝に恐れをなしている話である。
また「話し合い解散」も「大連立」もメディアの願望に過ぎず、与党も野党も政治家は消費税と選挙が絡まる事を恐れ、誰も野田総理の本気度を信用していないのに、それに付け入るしかないと考え、一方で消費税を推進してきた小沢氏が反対する真意を読み解いてはいないという事である。政局の入り口でみなまだ手探りしている。
田中良紹2012年5月28日03:46
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小沢&問責閣僚は消費増税の“いけにえ”か / 野田首相、小沢氏と協議継続の意向
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