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霞が関と大手5紙が応援する増税法案成立で明確になった選挙後の大連立/小泉進次郎に逆らえない自民党

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霞が関と在京大手5紙が応援する「増税法案成立」で明確になった「選挙後の大連立」目指す民自公と「反増税」中小野党の構図
現代ビジネス「ニュースの深層」2012年08月10日(金)長谷川 幸洋
 野田佳彦首相と自民党の谷垣禎一総裁、公明党の山口那津男代表の3党党首が消費税引き上げ法案の成立と「近いうち」の衆院解散・総選挙で合意した。「近いうち」がいつなのか、与野党で憶測が広がっているが、究極的には野田の腹の中にしか答えはない。
 野田と谷垣は二人だけのサシでも会っているので、谷垣はそれなりに感触は得ているのだろう。だが、野田が約束を裏切ってしまえば、それまでである。9月の民主党代表選まで野田が解散せず、自分が代表に再選されなければ、解散権は新しい首相の手に渡ってしまう可能性もある。
 つまり、野田と谷垣、山口の間では「近いうち」に解散・総選挙で合意したとはいえ、実際に解散になるかどうかはタイミングだけでなく、政権自体の行方も含めて、まだ流動的とみるべきだ。
 それよりも、はっきりしたのは野田と谷垣、山口の3党首はいずれ近い将来にある総選挙の後、次の政権も民自公の3党で担う構えであるらしい、という点である。閣内か閣外かなど連立、連携の形はともかく、事実上の自公民連立政権を目指す意向とみて、ほぼ間違いないのではないか。
■霞が関は自公民3党の連立政権であれば大歓迎
 3党は消費税引き上げと社会保障制度改革、さらに減災・防災を大義名分にした公共事業への資金配分など政策の重要課題で意見がだいたい一致している。加えて、それぞれ党内の反対意見を抑えて、衆院での内閣不信任案と参院での問責決議案の可決阻止でも一致した。
 外交防衛安保政策をめぐってはどうか。ここでも野田政権は自民党の最有力ブレーンだった森本敏拓殖大学大学院教授を防衛相に起用した時点で、自民党の政策をそのまま丸飲みすることがはっきりしていた。沖縄へのオスプレイ配備が象徴するように、鳩山由紀夫政権時代の中国を含めた東アジア重視姿勢から決別し、日米基軸路線を鮮明にしている。
 こうしてみると、内政外交の重要課題をめぐって3党はほとんど一致している。むしろ違いを見出すのが難しいほどだ。今回の3党合意は社会保障と税をめぐる合意から、さらに一歩踏み込んで、将来の連立を暗黙のうちに約束したとみるべきだ。
 実際にもし3党がまとまれば、解散・総選挙になった場合、現状では衆院で過半数を制する可能性が高い。たとえば固くみて自民党が170議席、民主党が70としても公明党を足せば、240の過半数をやすやすと超えてしまう。「自民党は200を超える」という予測もあるらしいから、そうなれば、ますます固い。
 加えて民自公3党には強力なサポート部隊がいる。それは財務省を筆頭にした霞が関だ。消費税引き上げの第1弾となる2014年4月までには必ず総選挙があるので、次の政権こそが増税断行を決める。だから財務省は次の政権も必ず増税支持政権になってもらいたい。そのためには、ポスト野田にもはや民主党政権を望めないとすれば、自公民3党の連立政権であれば大歓迎なのだ。
 3党合意に至る経過ともっともらしい数合わせで見る限り、自公民連立政権の誕生はほぼ確実のように見える。では、それ以外の展開はないのか。
■増税派の3党と反増税派の「中小野党」
 鍵を握るのは、民主、自民双方で次第に先鋭化しつつある反主流派の動向だ。
 自民党内では、土壇場の攻防で小泉進次郎衆院議員ら若手が谷垣に増税3党合意の破棄と解散への強硬路線を求めた。小泉だけでなく安倍晋三元総理など党内には強硬路線を求める声が出ている。それは9月の総裁選を控えて「谷垣降ろし」の大きな流れに合流する可能性がある。
 意外に思われるかもしれないが、増税法案の立役者になった伊吹文明衆院特別委員会筆頭理事も実は民主党との連立に反対している。自公民連立政権が現実味を帯びる一方、いざ実際にやるとなると、党内の不協和音は高まるだろう。
 一方の民主党でも、野田が「近いうち」の解散を約束したことで反発が広がっている。内閣支持率と民主党支持率が低迷する中、できるだけ解散を先送りしたい議員が党内の大勢を占めている。野田さえ降ろしてしまえば「近いうちの解散」話は消えてしまう。自民、民主ともに党内に火種を抱えているのだ。
 野田と谷垣、山口の執行部はそれぞれ将来の連立を視野に手を握ったものの、一皮むけば、山口はともかく野田も谷垣も肝心の足元がどうなるかわからない状況である。
 それは皮肉にも、解散権を握る野田がぐずぐずと解散を引き延ばせば引き延ばすほど、時間が味方して勢いを増す可能性が高い。谷垣は「約束したはずの解散が実行されないじゃないか」という批判に直面する。野田は原発再稼働やオスプレイ問題など難問をいくつも抱えて当面、支持率が高まる要素が見当たらないからだ。
 永田町を離れて国民の目から見ると、増税に賛成か反対かは別にして、今回の3党合意は政治の見取り図が見やすくなったという点で評価できる。3党ははっきり増税派である。しかも野田政権の不信任案に反対している。棄権も欠席も賛成ではない。
 これに対して3党以外の中小野党(いつのまにか、こういう呼び名が生まれた)は増税に反対である。消費税という対立軸でみる限り、実に明解だ。次の総選挙では原子力エネルギー問題と並んで消費税は必ず焦点になるので、分かりやすくなったのはありがたい。
 分かりやすくなったのは、永田町だけではない。新聞も同じである。政局がヤマ場を迎えた最終局面でも、東京新聞を除く在京5紙(朝日、読売、毎日、産経、日本経済)はそろって3党合意の順守と増税法案成立を社説で呼びかけた。世論調査では消費増税に反対する意見が半分前後を占めているにもかかわらず、これは注目に値する。
 読者は永田町を見る目と同じように、新聞についても評価しやすくなっただろう。(文中敬称略)
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これで2回目 進次郎「造反」でも処分ナシの異常
日刊ゲンダイ2012年8月10日 掲載
「地方票」握られ誰も逆らえない
 9日行われた内閣不信任案の採決で、自民党の小泉進次郎(31)が仲間6人と一緒に“造反”した。「欠席」という党の方針を無視して“賛成票”を投じた後も、悪びれもせず「これ以外の選択肢はあり得ない」と、平然と言い放った。谷垣総裁は完全にコケにされた格好である。
 ところが、自民党は、一切処分をしない方針だ。
 「進次郎が造反したのは、これで2回目です。4月にも〈郵政改革法案〉の採決で反旗を翻している。ところが“厳重注意”でお茶を濁し、今回も処分ナシで済ませる予定です。なぜ造反したのか、尋問もしない。そもそも、進次郎を処分対象にしないために、事前に“党議拘束”もかけなかった。1年生議員の行動に、ここまで執行部が神経を使うのは異常です。進次郎は、誰も文句を言えない“聖域”になっています」(自民党事情通)
  いまや、進次郎と一緒に造反すれば処分されないと、自民党議員は安心している始末だ。ここまで執行部が気を使うのは、進次郎を敵に回したくないからだ。
 「選挙になったら、進次郎は応援弁士の人気ランキング1位でしょう。長老でもプライドを投げ捨て、1年生の進次郎に応援を頼むとみられています。それ以上に、谷垣総裁や、“ポスト谷垣”を狙う連中が脅威を感じているのは、進次郎が“地方票”をガッチリ押さえ始めていることです。進次郎は『青年局長』という役職を最大限に利用して、全国の都道府県連のメンバー、つまり優秀な地方議員とのネットワークを急速に広げている。恐らく、父親の純一郎から『地方に仲間をつくっておけ』と言われたのでしょう。自民党の総裁選は、地方票がカギを握るだけに、進次郎に嫌われたくないのがホンネです」(自民党関係者)
 まだ31歳の男に誰も逆らえないのだから、自民党も末期的だ。
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内閣不信任否決 政策を競い合わぬ茶番 中日〈東京〉新聞 社説 2012-08-10 | 政治 
一体改革法案 成立へ〜谷垣氏×野田総理 打算むき出し【中日〈東京〉新聞 核心・社説】2012.08.08/09 2012-08-09 | 政治 


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