日本未来が109人公認 公約に卒原発、脱増税
産経新聞2012.12.2 19:27
日本未来の党代表の嘉田由紀子滋賀県知事は2日、都内のホテルで記者会見し、衆院選公約を発表した。10年以内に原発ゼロを実現する「卒原発」を柱とし、デフレ下での消費税増税を凍結する「脱増税」も盛り込んだ。その後、代表代行の飯田哲也・環境エネルギー政策研究所長を山口1区、小沢一郎氏を岩手4区、亀井静香氏を広島6区などとする小選挙区の第1次公認候補109人も発表した。
候補者は、小沢氏が率いた「国民の生活が第一」と、亀井氏が幹事長だった「減税日本・反TPP・脱原発を実現する党」の前議員が大半を占めた。3日に小選挙区の2次公認や比例代表単独の候補を発表する見通しだ。
嘉田氏は会見で「旧勢力に対抗し、日本の政治に未来への安心を埋め込みたい」と強調した。
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未来公約 卒原発や子育て支援
NHK NEWS WEB 12月2日 19時21分
日本未来の党は衆議院選挙の公約を発表し、遅くとも10年以内に、すべての原発が廃炉となる「卒原発」への道筋を作ることや、子育てを支援するため、年間31万円余りの手当を支給することなどを盛り込みました。
日本未来の党の嘉田代表は東京都内で記者会見し、衆議院選挙の公約を発表しました。
公約では、まず、「原発のない再生可能エネルギー社会」を実現するため、原発の稼働をゼロとし、遅くとも10年以内に、すべての原発が確実に廃炉となる「卒原発」への道筋を作るとしています。
そして、福井県敦賀市の高速増殖炉「もんじゅ」や、青森県の六ヶ所村の使用済み核燃料の再処理工場を廃止し、青森県の大間原子力発電所を含む原発の新設や増設も禁止する「卒原発プログラム」を定めるとしています。
子ども・女性のための政策としては、子ども1人当たり中学校卒業まで、年間31万2000円の手当を支給し、その一部を「子育て応援券」というクーポン券とするとしているほか、高校授業料の無償化などを堅持するとしています。また、社会保障政策では、年金制度の一元化や、最低保障年金の創設、それに後期高齢者医療制度の廃止を目指すとしています。
消費税については、「デフレが続くなかでの増税は、消費を冷え込ませ、中小企業の倒産などを招く」などとして、消費税率引き上げ法は凍結するとしています。
そして、社会保障などに必要な財源は、特別会計の全面的な見直しをはじめとする行財政改革や地域主権改革などによって捻出することなどが盛り込まれています。
また、外交政策では、TPP=環太平洋パートナーシップ協定の交渉参加に反対する一方、FTA=自由貿易協定などは積極的に推進するなどとしています。
■未来への安心を
日本未来の党の嘉田代表は記者会見で、「東日本大震災以降も、日本の転換点を自覚せず、今までの政治を進めようとする旧勢力に対し、未来への安心を埋め込む政治を作り出していきたい。福島を忘れてはならず、10年後を目指して原発から卒業する」と述べました。
また嘉田代表は、「子どもと女性の声を政治に生かし、子育ては社会が支援する。民主党は失敗したが、私たちは現金支給だけでなく、保育所の利用券として出すなど、失敗しない仕組みを入れている。この政策は、政権交代のときに国民が求めたということで、民主党の子ども手当とつながりがないわけではない」と述べました。
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未来の党 飯田代表代行に聞く 脱原発 政治と市民つなぐ
東京新聞2012年12月2日 朝刊
「卒原発」を掲げて結党した日本未来の党(代表・嘉田(かだ)由紀子滋賀県知事)の飯田哲也代表代行は本紙のインタビューで、結党までの経緯や原発ゼロに向けての道筋などを語った。(聞き手・岩崎健太朗、宮尾幹成)
−新党の準備は、どのように進んだのか。
「『脱原発』で一票投じられるような政治が必要だという市民側の動きがあった。一方で政治家の側にも脱原発『オリーブの木』を模索する動きがあった。その間を嘉田さんと私がつなごうとした」
−脱原発を求める市民と政治がつながったと。
「民主党政権からは言葉でごまかす『原発ゼロ』政策が出た。自民党は安倍晋三さんが総裁になり明らかに原発維持に戻る流れが出た。日本維新の会の橋下徹さんも、石原慎太郎さんの太陽の党とくっついて原発推進勢力になった。こちら側のまとまりが、ますます必要だと感じた」
−決断したのはいつか。十一月二十四日に嘉田氏が国民の生活が第一を率いていた小沢一郎氏と会談したそうだが。
「その日に、大枠は決まった。しかし、嘉田さんは県庁や県議会関係者、支援者らから反対され悩んでいた。最後の最後の決断は記者会見で結党を発表した二十七日当日。朝、私が『ここまで来たら突っ込みましょう』とメールで背中を押した」
−嘉田氏は「二〇二二年の原発ゼロ」と踏み込んでいる。
「原発稼働ゼロから出発して、本物のゼロに持って行くカリキュラムをつくるのが『卒原発』。十年後どころか、できることなら、このままゼロだ」
−具体的な道筋は。
「関西電力大飯原発(福井県おおい町)を動かしながら活断層調査をするのは安全神話そのもの。今の原子力規制委員会では、まともな安全基準ができそうにない。まだ国会同意していないので人事を見直す。基準を見直してバックフィット(再適用)すれば、全国五十基のうち二十基は止まる。さらに原子力損害賠償や使用済み核燃料の総量規制の問題。これらを全部テーブルに出して議論していけば、そのまま限りなく原発ゼロになる」
−未来の党は、事実上の小沢新党との指摘がある。
「今回の結集は、小沢さんが身を捨てて、すべて嘉田さんに委ねるところから初めて実現した。潔い人だと思った。そんなに心配していない」
<オリーブの木> 1996年のイタリア総選挙で勝利し、連立政権を発足させた中道左派連合の名称。以降、複数の政党が(1)政権の枠組み(2)任期中に実行する政策(3)首相候補−で合意し、候補者も調整し一つの枠組みとして選挙を戦う方式として知られるようになった。日本では98年に民主党代表だった菅直人氏が提唱。小沢一郎氏も民主党離党後、脱原発や消費税増税反対を旗印にした連携を模索していた。
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混迷の先:’12師走・衆院選 日本未来の党 嘉田氏、一時結党断念 飯田氏説得「突っ込もう」
毎日新聞 2012年11月28日 大阪夕刊
衆院選公示の1週間前に新党「日本未来の党」結党を宣言した嘉田由紀子・滋賀県知事は、結党の決断に数日揺れ動き、結党宣言直前には断念会見まで検討していたことが関係者の話で分かった。周囲は嘉田知事の突然の決断に驚き、県議会や職員らからは「県政に支障が出る」「大きな実験だ」など困惑と期待の声が上がっている。【加藤明子、姜弘修】
「いろいろごめん。このままでは県が動かなくなる」。27日に結党宣言した嘉田知事は同日朝、側近にメールでこう漏らしていた。しかし、間もなくして判断は一転。新党の代表代行となる飯田哲也(てつなり)・大阪府市特別顧問から「ここまで来たら後退はない。突っ込もう」とのメールを受け、新党結成を決めた。
関係者によると、嘉田知事らは当初、衆院選は来年春ごろとみて水面下で準備。しかし突然の解散で一時白紙になった。嘉田知事のグループでは「もう無理やな」とあきらめムードだった。今週に入って嘉田知事の新党結成を目指す動きが報道され、県議会で少数与党の嘉田知事は、議会各派への根回しが済まない前に報道が出たことに苦慮した。
「幕引きの仕方を教えて」。一時、結党断念の方向に傾いた嘉田知事は周囲にこう漏らし、27日に国政断念を表明する方向で検討に入っていたという。
嘉田知事は27日夜、報道陣に結党への経緯を振り返り、「仲間がいてこそ、右腕がいてこそ。飯田さんの決断は大きいです」と話した。
一方、県議会の佐野高典議長は「知事は24時間では足らないくらい行政課題の解決に当たらないといけない。県政に大きな支障が出る。それなら石原(慎太郎)前都知事のように、お辞めになって党首に専念すればという県民の声もある」と語り、28日、議長として嘉田知事に真意を問う申し入れをする意向を示した。
嘉田知事の今回の行動に対し、県幹部は「なぜ国政なのか。公務との両立は不可能。県議会も始まるのに」と漏らした。別の幹部は「遠くなった感じ。地方から国政に対して挑戦する壮大な実験を間近で見られ、こちらとしても刺激になる。今までは地域のスターだったが、日本を動かす人になるのだろう」と受け止めていた。
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「日本未来の党」公約=卒原発や子育て支援 公認=109人/飯田哲也氏「小沢さんが身を捨てて実現した結集」
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