【中国覇権主義に勝つ】チベットの悲劇は日本の近未来だ★(1)
zakzak2012.12.05
チベットで今、「焼身抗議」と呼ばれる抵抗運動が急増している。敬虔な仏教徒であるチベット人は「自殺」という言葉は使わない。2009年から始まった抗議は、昨年までは数件だったが、今年になって急増した。次世代の中国共産党指導者を決める党大会が開かれたこともあり、インド北部・ダラムサラのチベット亡命政府や米系メディアによると、先月だけで28人が焼身抗議に及んだという。
年齢も15歳の少年から40代の壮年まで幅広く、18歳の尼僧など、女性も多い。欧米メディアは積極的に報道しているが、日本の報道はなぜか散発的で、全体像は決して伝えられていない。
亡命政府などの発表では、09年以降、チベット内地で91人が焼身し、そのうち77人が死亡したという(11月末現在)。チベット外でも、インドで2人、11月15日には、フランスのチベット寺院で英国人のチベット僧も焼身抗議で亡くなった。
チベット内地と書いたのは、正確には、現在のチベット自治区でなく、隣接する青海省、甘粛省、四川省での焼身抗議が多いからだ。この3省は、もともと、チベット人が居住していた「本当のチベット」といえる。チベット自治区は、中国共産党が引いた区割りに過ぎない。だから、パンダは中国の動物でなく、チベットの動物なのだ。
安否未確認が少なくないのは、中国公安当局が家族が来る前に焼身者を強制的に運んでしまうからだという。チベット文化研究所名誉所長のペマ・ギャルポ氏は「満足な治療も施されることなく、ほとんどの人は死亡している。虐待を受けたとの情報もある」と語る。
なぜ、チベット人は自らの命を犠牲にしてまで、中国共産党への抵抗運動を続けるのか。それは、現在進行形の侵略行為と、「文化的虐殺がチベット人に行われているからだ」(チベット仏教最高指導者、ダライ・ラマ法王)。
チベット自治区以外の焼身抗議が多いのは、インターネット回線も比較的自由に使えて、「海外の人々に、自分たちの窮状を訴えることができるのでは」という、かすかな望みにかけているからだ。
11月13日、来日中のダライ・ラマ法王が国会内で、チベットを支援する超党派の国会議員約130人の前で講演を行った。ノーベル平和賞受賞者が訴えた悲劇について、日本のメディアはあまり大きく取り上げなかった。これは異常ではないか。
そこにこそ、チベットの悲劇の本質があるのだが、実は、日本が置かれている状況と非常によく似ている。
■西村幸祐(にしむら・こうゆう) ジャーナリスト。1952年、東京都生まれ。慶應義塾大学文学部中退。在学中、「三田文学」の編集を担当し、80年代後半から、作家、ジャーナリストとして活動。2002年日韓サッカーW杯取材後、拉致問題や歴史問題などにも、取材・執筆分野を広げる。アジア自由民主連帯協議会副会長。著書に「『反日』の構造」(文芸社文庫)、「幻の黄金時代」(祥伝社)など。
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◆ チベット族4人が焼身自殺図る 中国政策に抗議の焼身自殺が急増 2012-11-28 | 国際/中国/アジア
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