閣僚横顔=安倍新政権
◇経済通の首相経験者=副総理兼財務・金融 麻生太郎氏
安倍晋三首相の盟友で、総裁選では真っ先に安倍氏支持を表明した。2008年9月に首相に就任すると、世界同時不況への対応に尽力。翌年7月に衆院解散を断行したが、自民党惨敗で政権から転落した。企業経営の経験があり、「経済が分かる政治家」が売り。首相経験者としては00年の第2次森改造内閣の橋本龍太郎氏以来の入閣。祖父は吉田茂元首相。漫画やアニメ好きで知られ、歯に衣(きぬ)着せぬ物言いが持ち味だが、失言を懸念する声も。72歳。(麻生派)
◇領土、ネット活動に熱心=総務 新藤義孝氏
安倍晋三首相を会長に超党派の保守系議員でつくる「創生『日本』」で副幹事長を務めるなど、安倍氏と政治信条が近い。領土問題に関心が強く、2012年1月に尖閣諸島の周辺海域を漁船で視察するなど行動派としても知られる。インターネットを使った政治活動に熱心で、党ネットメディア局長として、ネットユーザーを対象とした党のサポーターズクラブの結成に尽力した。祖父は硫黄島の戦いを指揮した栗林忠道陸軍大将。サッカーとスキーが趣味。54歳。(額賀派)
◇議長打診拒否して入閣=法務 谷垣禎一氏
自民党が2009年衆院選で大敗してから3年間、野党総裁として党再建に尽力した。今年8月には消費増税法成立に協力し、当時の野田佳彦首相に「近いうち」の衆院解散を約束させた。政権奪還へ「最後の壁をぶち破る」と総裁再選を目指したものの、党内で支持が広がらず、出馬を断念。首相を経験せずに総裁を退任した点では河野洋平氏と同じだが、河野氏が就いた衆院議長ポストの打診を蹴っての入閣。周囲は「まだ枯れる気はない」とみている。67歳。(無派閥)
◇外交の力量未知数=外務 岸田文雄氏
銀行員から、衆院議員だった父の故文武氏の秘書を経て政界入り。安倍晋三首相とは同じ1993年初当選組で親しい。第1次安倍改造内閣で沖縄・北方担当相として初入閣した経験を買われ、新内閣で米軍普天間飛行場移設問題に当たるが、外交面の経験は乏しく力量は未知数。旧古賀派のホープと期待され、古賀誠会長の辞任を受けて今年10月、同派を継承した。祖父も衆院議員で故宮沢喜一元首相は親類。体力づくりに熱心で、ジム通いを日課としている。55歳。(岸田派)
◇首相側近の教育改革論者=文部科学 下村博文氏
安倍晋三首相の側近中の側近で、熱心な教育改革論者。党教育再生実行本部長として、大学教育の強化や教育委員会制度見直しを提言。大学設置認可の厳格化には「数を減らす考え方は国力を弱める」と反論する。9歳で父を亡くし、交通遺児奨学金を受けて高校へ進学した経験から、「機会の平等」実現を志したのが政治家の原点。第1次安倍内閣の官房副長官時代には、従軍慰安婦問題を謝罪した「河野談話」について「軍の直接関与はなかった」と発言し、物議を醸したことも。58歳。(町村派)
◇「社会保障のプロ」自任=厚生労働 田村憲久氏
衆院厚生労働委員長や厚労政務官を務め、自他共に認める社会保障の専門家。谷垣執行部時代には影の内閣の厚労相に選ばれており、真価が問われる初入閣となる。消費増税をめぐる民主、公明両党との協議では、実務者として3党合意を取りまとめた。温厚で誠実な性格から他党の評価も高い。9月の総裁選では石原伸晃氏を支持する派閥の方針に従わず、党政調副会長時代に仕えた石破茂氏の推薦人に名を連ねた。元衆院議長の田村元氏を伯父に持つ。48歳。(額賀派)
◇異例の3回目入閣=農林水産 林芳正氏
政策通で知られ、2010年の参院予算委員会では、当時財務相だった菅直人氏を子ども手当の議論で追い詰めた。防衛相、経済財政担当相を歴任し、参院議員としては異例の3回目の入閣となった。9月の総裁選にも参院から初出馬した。父は林義郎元蔵相。祖父、高祖父も国会議員という名門出身でそつはないが、「親分の言いなりで甘い」との評も。党幹部のいる衆院山口3区へのくら替えを一時目指したが、党内の反発で断念した。趣味のギターはプロ級。51歳。(岸田派)
◇如才ない政策通=経済産業 茂木敏充氏
内政、外交問わず政策に明るい。9月の自民党総裁選では石原伸晃氏の推薦人だったが、安倍晋三総裁が設置した党日本経済再生本部の事務総長に起用され、衆院選公約の下地となるデフレ脱却策や成長戦略をまとめた。小泉内閣で当選3回ながらIT(情報技術)担当相に抜てき。金融担当相だった2008年にはリーマン・ショックを経験した。他派閥ながら中川秀直元幹事長や谷垣禎一前総裁に重用され、「気がつくと権力者の近くにいる」(中堅)如才なさも。57歳。(額賀派)
◇久々の表舞台に意欲=国土交通 太田昭宏氏
党代表として臨んだ2009年衆院選で落選、党全体も小選挙区全敗などで議席を減らし代表を退いた。今回の衆院選で返り咲くとともに、初入閣を果たし、久々の表舞台に意欲満々だ。京大大学院で土木工学を専攻。1964年の新潟地震で昭和大橋が崩落したことに衝撃を受け、耐震研究に打ち込んだ。公明新聞記者を経て、93年に国政に転じてからも、阪神大震災復興や学校の耐震化に尽力した。抑揚を利かせた演説には定評がある。学生時代は相撲部主将。67歳。(公明)
◇派閥継承し再起期す=環境・原子力防災 石原伸晃氏
安倍晋三首相らと争った9月の自民党総裁選では敗北。長老の支援を受けたが、当時の谷垣禎一総裁を出馬断念に追い込み、「平成の明智光秀」との批判も浴びた。衆院選後、旧山崎派を継承。派閥の長として再起を期す。金融政策に明るく、国土交通相や党政調会長、幹事長などを歴任。首相とは政策研究グループ「NAIS(ナイス)の会」を結成した間柄だ。胃ろう患者を「エイリアン」に例えるなど失言も多い。父は、前東京都知事で日本維新の会代表の石原慎太郎氏。55歳。(石原派)
◇若手の人望厚い外交通=防衛 小野寺五典氏
宮城県庁で水産資源の研究に従事、国政進出後は外務政務官、外務副大臣を務め、水産業と外交に精通する。2007年にイランで大学生が武装勢力に誘拐された際には、再三にわたって同国を訪問し解放に一定の役割を果たした。東日本大震災では、津波で地元の宮城県気仙沼市の事務所が崩壊。国会で復興の遅れを批判した。真面目で温和な人柄から中堅・若手の信頼を集める。09年の党総裁選では擁立の動きもあったが断念。迫力に欠けるとの評も。52歳。(岸田派)
◇たたき上げの首相懐刀=官房長官 菅義偉氏
2006年、12年の自民党総裁選で安倍晋三首相の勝利に貢献。「安倍氏の懐刀」といわれる。第1次安倍内閣では総務相を務め、今回は官房長官として手腕が試される。秋田県の農家出身で、高校卒業後に集団就職で上京。議員秘書、横浜市議を経て政治家になった「たたき上げ」だ。98年の総裁選では梶山静六元官房長官を支持し、当時の小渕派を離脱。その後の台頭に党内のやっかみも。09年の野党転落後に減量に励み、76キロあった体重を62キロに落とした。64歳。(無派閥)
◇安倍、麻生氏と気脈=経済再生・一体改革 甘利明氏
安倍晋三首相、麻生太郎元首相と気脈を通じ、党総裁選では両氏の推薦人をそれぞれ2度引き受けた。所属派閥会長の山崎拓元副総裁を長く支えたが、昨年は派閥横断グループを立ち上げた。労相、経済産業相などを歴任し、エネルギー政策に強く、「脱原発」や「反増税」の主張を「ポピュリズム」と切り捨てる。民主党が呼び掛けた消費増税協議に二の足を踏んだ谷垣禎一前総裁を、「協議しないでは通らない」と一喝したことも。最重要課題の経済再生で手腕が試される。63歳。(無派閥)
◇福島出身の政策通=復興 根本匠氏
安倍晋三首相や石原伸晃氏らと1998年に政策勉強会「NAIS(ナイス)の会」を結成して行動をともにした。第1次安倍内閣で首相補佐官を務め、航空自由化を柱とする「アジアゲートウェー構想」の取りまとめに尽力。2009年衆院選で苦杯をなめた後、同じ東北出身の落選議員と「東北志士の会」をつくり、政策提言を続けてきた。東日本大震災では地元福島の復興に汗を流した。旧建設官僚出身で政策全般に明るいが、押し出しが弱いとの評も。61歳。(岸田派)
◇ 「超保守」の女性論客=行革・公務員 稲田朋美氏
日本の戦争指導者らを裁いた東京裁判を「不当」とし、南京大虐殺は「なかった」との立場を貫く保守派の女性論客。従軍慰安婦問題を認めて謝罪した「河野談話」の撤回も主張しており、発言次第では中韓両国の反発を招きそうだ。弁護士出身。政界入りは2005年の衆院選で、当時自民党幹事長代理だった安倍晋三氏の要請で郵政造反組への「刺客」として立候補した。環太平洋連携協定(TPP)交渉参加には「日本が日本でなくなる」として反対している。53歳。(町村派)
◇消費者保護のエキスパート=少子化・消費者 森雅子氏
弁護士として消費者保護に長年取り組んできた。12歳の時に父親が全財産をなくし、弁護士に助けてもらったことをきっかけに自らも法曹の道へ。金融庁検査官などを経て、2007年参院選で初当選。野田内閣の山岡賢次消費者相がマルチ商法業界から献金を受けていた問題では「これでも適材適所か」と厳しく追及した。2児の母で、第1子の出産直後、米国の法科大学院に子連れで留学した経験も。福島県いわき市出身。原発事故の被災者支援にも力を注ぐ。48歳。(町村派)
◇拉致問題対応に精力的=公安・拉致・国土強靱化 古屋圭司氏
祖父は故古屋慶隆衆院議員、養父は故古屋亨元自治相という政治家の家系。安倍晋三首相は成蹊高、成蹊大の後輩に当たり、親しい間柄。首相とは共に、北朝鮮による日本人拉致問題の解決に向け精力的に取り組んできた。首相の父、故晋太郎外相(当時)の秘書を経て、政界入り。2005年に郵政民営化法に反対票を投じ、自民党離党を余儀なくされたが、06年の安倍内閣発足後に復党した。趣味はクラリネットで演奏会を開くほどの腕前。60歳。(無派閥)
◇参院自民の切り込み隊長=沖縄・北方・科学技術 山本一太氏
参院自民党の「切り込み隊長」として予算委員会などの質疑に立ち、鳩山、菅、野田各内閣を弁舌鋭く追及。答弁に納得できない場合、たびたび審議をストップさせてきたが、待望の初入閣で今後は立場が逆になる。安倍晋三首相に近く、9月の総裁選では安倍氏の再登板に尽力。旧国際協力事業団職員から、元農水相の父富雄氏の急死を受けて参院議員に。党の役職を離れても定例記者会見を開いたり、ブログを日に何度も更新するなど、発信意欲は旺盛。54歳。(無派閥)(時事通信2012/12/26-18:18)
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◆ 竹島問題を注視するロシア/日本政府が腰が引けた態度を取っていると、ロシアに足許を見られる 2011-08-16 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉
竹島問題を注視するロシア この問題に対して日本政府が腰が引けた態度を取っていると、ロシアに足許を見られる
佐藤 優 現代ビジネス2011年08月16日(火)
8月1日、鬱陵島の視察を目的に韓国を訪れた自民党の「領土に関する特命委員会」に属する3人の国会議員(新藤義孝衆議院議員、稲田朋美衆議院議員、佐藤正久参議院議員)が、金浦空港で入国を拒否された。本件について、産経新聞はこう報じた。
〈 韓国政府は入国管理法の「公共の安全を害する行動を起こす恐れがある」との規定に基づき入国を拒否したため、3氏は入国を断念し、同日深夜、帰国した。
日本の国会議員が入国拒否されるのは異例。新藤氏は1日夜、羽田空港で「テロリストに適用される法律で入国を拒否され、平和的な視察が認められず残念だ。静かな環境で友好的な視察ができるように外交努力が必要だ」と語り、今後も鬱陵島視察を目指す考えを示した。
3氏は2、3両日に鬱陵島を視察予定だったが、1日午前11時すぎ、金浦空港に到着直後、入国不許可を告げられた。在ソウル日本大使館は入国許可を韓国政府に要請したが認められなかった。
韓国外交通商省当局者は1日、3人の入国拒否について「混乱を招いて身辺の安全を保証できない。韓日関係を考慮した上での判断だ」と説明。「日本は韓国を刺激する行動をとり続けている」と批判した。〉(8月2日MSN産経ニュース)
視察団の1人である稲田朋美衆議院議員は、〈 「国と国の本当の友好は、自国の立場をきちんと主張し、相手方の主張もきちんと聞くことにある。今回韓国を訪問したのは日本の領土である竹島を実効支配している韓国の立場を冷静に客観的に認識しようということが目的であり、友好国である韓国が私たちの入国を認めなかったことは大変残念に思っている。/また、その理由がテロリストに適用する韓国の利益を脅かす危険な人物ということであり、それで拒否されたことは納得できない。大使を通じて韓国政府に見解を求めているので回答を待ちたい」 〉(8月1日MSN産経ニュース)と述べている。
稲田氏の主張には説得力がある。ここで興味深いのは、韓国による入国拒否について、稲田氏が「大変残念に思っている」「納得できない」という表現にとどめ、「われわれを入国させよ」という要求を韓国に突きつけていないことである。どの外国人を入国させるか否かの判断は国家主権に属する重要事項だ。韓国側に「わが国の主権事項に介入するのか」とつけ入る隙を与えないように、韓国側の対応が理不尽なので、それに対する釈明を求めるという稲田氏のアプローチは賢明である。
韓国は、独島(竹島に対する韓国側の呼称)は、韓国が実効支配する韓国領で、日本との間に領土問題は存在しないという立場を取る。東西冷戦期に北方領土問題に関してソ連がとった姿勢と同じだ。これに対して、ゴルバチョフ書記長がペレストロイカを進める過程で、領土問題の存在を認め、ソ連崩壊後のロシアは、択捉島、国後島、色丹島、歯舞群島からなる北方4島の帰属に関する問題を解決して、日本と平和条約を締結することについて合意し、今日に至っている。
領土は国家の礎だ。自国の領土を実効支配できない国家は、一人前とはいえない。北方領土がロシアによって、竹島が韓国によって不法占拠された状態にあるというのが日本政府の立場だ。領土問題に関しては、その存在を認め、交渉によって解決することに合意しているロシアの方が、問題の存在すら認めず、外交交渉に応じない韓国よりはマシだ。
今回、韓国の李明博大統領が〈 「身の安全が憂慮されることを日本政府に公式に伝えて協議するように」と外交通商省に指示した 〉(7月27日asahi.com)。「身の安全が憂慮される」というのは、身体に危害が加えられるということだ。一国の国家元首が、外国の国会議員に対してこのような警告をするのも尋常な事態ではない。大統領の警告、入国拒否などのエキセントリックな対応を韓国が示したことにより、国際社会では、日本と韓国の間に深刻な領土係争問題が存在するという認識が深まった。今回の韓国による常軌を逸した反応は、竹島問題の存在について国際社会の認知を進めることになり、結果として見れば、日本にとってプラスになった。
この状況を注意深く観察しているのが、北方領土問題を抱えるロシアだ。自民党視察団が韓国を訪れる前日の7月31日に国営ラジオ「ロシアの声」(旧モスクワ放送)が日本向け放送で、「竹島(独島)問題 ロシアの視点から」と題するリュドミラ・サーキャン氏の名前による興味深い論評を行った。「ロシアの声」は国営放送なので、個人名の論評でも、ロシア政府の見解に反する論評は行われない。興味深い内容なので全文を引用しておく。
〈 日本の最大野党自由民主党の議員4人(引用者註* 当初、視察団に参加する意向を表明していた平沢勝栄衆議院議員は直前になって訪問を取りやめたため、視察団員は3人になった)は近く、日韓双方が領有権を主張している竹島(独島)を近くの島から視察するため訪韓する考えだが、現在この計画が韓国内で、大きな抗議の嵐を呼び起こし、ソウルの日本大使館の建物前では、デモが行われている。イ・ミョンバク大統領は26日、韓国外交通商省に、日本人議員の訪問は市民グループの怒りの的になり、身辺安全上憂慮していると日本政府に通知するよう指示した。これを受けて韓国外交通商省報道官は「訪問は両国関係に肯定的な影響を及ぼさない」として議員達に対し、訪問を控えるよう求めている。
一方日本の枝野官房長官は「議員個人や市民の海外渡航計画に、政府はコメントする立場にはない」と述べた。
なぜ日本政府は、訪問が韓国においてどのような反響を呼び起こすか良く知っているにもかかわらず、それを止めさせないのか? ロシア科学アカデミー極東学研究所コリア研究センターのコンスタンチン・アスモロフ主任研究員は、新聞「イズヴェスチヤ」の取材に次のようにコメントした---
「領土問題をめぐる騒ぎは常に、政治家によって、彼らの人気を引き上げるために利用される。野党自由民主党の4人の議員の行動は、菅首相の退陣と選挙を目前に、まさにそうした目的の為なされている。それゆえ、南クリール(北方領土)問題も先鋭化する可能性がある。」
またソウル大学のアンドレイ・ラニコフ教授は、VOR(引用者註*「ロシアの声」)の取材に対し、次のように指摘している---
「韓国と日本の間の領土問題が、例えそれが韓国国内で極めて激しく受け止められたとしても、両国の経済的協同行動を妨げることはまずない。韓国では、南クリールの島々をめぐる領土問題がロシア国内で受け止められているよりも、はるかに激しい反応がある。 韓国人達は、独島(竹島)への日本のあらゆる行動に対して喜劇的で誇張されたように見えるほどの、一種お芝居やショーめいた反応を示す。争いは深刻だが、それが経済関係に影響することはない。
一方、ロシアと日本の間の領土争いは、また別だ。日本には、真剣勝負でロシアとの経済関係を発展させようという明確な関心はない。もしあれば、騒ぎがあったり何らかの行動がなされても、領土問題は忘れられるという事はないとしても、貿易やその他の交流を妨げることはないだろう。
例えば、韓国と中国の間には、領土問題ばかりでなく、韓国が極めて関心を抱いている密売・不法販売や労働力の問題なども存在している。そのため韓国人達は、そもそも、韓国と中国の間にいかなる領土問題が存在するのかに対し、あまり関心が向かないのだ。もちろん韓国人的な激した発言がなされ、騒がしい抗議行動は催されるが、それはその時だけの事だ。」
なお先日モスクワで行われたロ日協議では、南クリールにおける共同経済活動についての問題が提起された。日本側が、ロシアの提案に対し早急に、まして肯定的な回答をよせると期待する事は、おそらく難しいだろう。
しかし、国と国との間で領土問題が例えあったとしても、完全に正常な経済的協同行動を行う例、協力し合える例というものは、実際あるように思われてならない。なぜ、ロシアと日本は、そうした例に従って前へと進めないのだろうか。 〉(http://japanese.ruvr.ru./2011/07/31/53964577.html)
ロシア科学アカデミー極東研究所の朝鮮(コリア)研究センターは、韓国、北朝鮮の双方と交流するレベルの高いシンクタンクだ。この研究所には日本研究センターもあり、竹島問題に関しては2つのセンターが緊密に連絡をとって情勢を分析し、その結果をクレムリン(大統領府)に報告する。極東研究所は、自民党視察団が菅政権の退陣を選挙を想定した上で、ナショナリズムカードを切ったと分析している。そして、それが北方領土問題に飛び火するのではないかと警戒している。
さらに韓国の独島(竹島)をめぐる闘争について、ラニコフ教授は、「喜劇的で誇張されたように見えるほどの、一種お芝居やショーめいた反応を示す」という突き放した見方を示す。その上で、このような領土問題をめぐる激しい感情が噴出しても、それが日韓の経済関係に影響を与えていないことに注目する。
そして、日本が今後、北方領土問題をめぐりナショナリズムカードを弄ぶかもしれないが、竹島問題によって、日韓の経済関係が悪化しないことをロシアは参考にすべきであるという考えを示す。竹島問題に対して日本政府が腰が引けた態度を取っていると、ロシアに足許を見られる。
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◆ 進まぬ福島再生 悪者になる覚悟なき政治ごっこ 八方美人が復興阻み子供を犠牲にする〜森まさこ氏 2012-03-11 | 原発/政治
進まぬ福島再生、悪者になる覚悟なき政治ごっこ 未来が見えない。決断できない八方美人が復興阻み子供を犠牲にする〜森まさこ氏
JBpress ずばり勝負2012.03.09(金)
マット安川 今回は自民党参議院議員・森まさこさんが初登場。東日本大震災、東電福島第一原発事故から間もなく1年ですが、いまだ復興進まぬ地元・福島の実態と国のでたらめな対応を聞き、正直絶句しました。
■子どもを犠牲にして平気な日本国。国家として恥ずかしい
森 私は毎週末、また国会が終われば毎日、福島に帰っています。するとみんなに泣かれるんです。それくらい福島の状況は悪い。何も変わっていないどころか、むしろ悪くなっています。
そして県民が何よりも辛いのは、将来の姿が見えないことです。将来がまったく見えないから、希望を持って暮らすことができない。
これは人間にとって最も辛いことだということが私は身に染みて分かりました。それで涙が出るんです。その涙を持って国会に帰ってくるという辛い状況です。
その国会が、まったく動きません。私がいま全精力を注ぎ込んで取り組んでいるのが、「原発被害子ども救済法」です。福島県民はせめて子どもだけでも守ってほしいと思っています。
原子力は国が国策で進めてきたもので、もちろん自民党にもすごく責任がありますが、国はすべての責任を認めて、放射能を浴びた子どもが将来何かあった時に全力で守ってほしい。
30年後に急に何かがあった時に、法律がなければ守ることができません。この当たり前の法律がどうして通らないのか。本当に悔しくてしょうがないです。
野田(佳彦)総理は就任以来、「福島の再生なくして日本の再生なし」とおっしゃってこられた。1月7日に福島県にいらっしゃった時に、福島県知事(佐藤雄平氏)が県民みんなの思いを背負って、子どもたちの医療費はタダにしてくださいとお願いしたんです。
総理は、たいへん重要な問題だから持ち帰り検討すると期待を持たせておきながら、そのあと断ってきた。そのできない理由というのが、不公平だからだというんです。ほかの県と比べて不公平だからだと。私たちは納得できません。
ぜひ全国のみなさんに訴えたいんです。それって不公平ですか? 私の法案では、福島県だけでなく近隣県も含まれています。そういう危険な地域で放射線を浴びてしまった子どもたちの医療費を無料にすることが、それ以外の子どもたちと比べて不公平なことですか。
放射能を浴びた子どもの方がずっと不公平ですよ。例えば、広島と長崎の「被爆者援護法」では、いまでも医療費は無料です。福島県の場合、大人は我慢する、せめて子どもだけでもと言っているんです。
子どもを犠牲にするような国は、国じゃありません。世界に対して、国家として恥ずかしいです。
■政府の無策、無責任な対応で多くの避難民が放射能にさらされた
最近、民間事故調(福島原発事故独立検証委員会)の報告書が出ました。それによると、SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測システム)では3月12日正午の時点で、浪江町の避難者たちの移動経路が真っ赤になっていました。
つまり被害の大きなところを通されたわけです。当時、避難者を先導する消防担当の方々が、国に避難ルートをいくら聞いても示されないから、街の中を通った。
そこは放射能が一番濃いところだったわけです。このほかに4本くらい避難ルートがあり、放射線が薄いルートを使うよう指示があればよかったんです。
さらに、避難した津島支所には、ほかからも住民が集まってきていて1万人近い人が滞留していました。2回目の原発の爆発もここで受けています。ガソリンがなくここに滞留しているのに、政府からの助けは来なかった。
一番濃い放射能が降り注いでいる中で、3月16日まで置き去りにされたんです。おにぎりは外で配られます。放射性物質がくっついたおにぎりを子どもたちは口に入れていたのです。
SPEEDIについて、私は国会で何回も質問しましたが、菅(直人)前総理は知らなかったと言います。試算図を見たことがないと。
私は、官邸に試算図のファクスが届いているところまではつきとめましたが、そのファクス用紙を総理は見ていないと言う。こんな重要なものを見ていないこと自体、危機管理体制としておかしい。
SPEEDIは、ボタン一つで避難道路が出る機械です。何人収容できる施設がどこにあるといったことも分かる。これまでに多額の税金を費やし開発してきた、世界に誇る機械です。
なぜこれを使わなかったのか、非常に残念です。
■民主党の大臣たちは悪役になる覚悟で決断せよ
昨年12月、野田総理が原発事故の「収束宣言」を出しました。福島県民は誰一人収束したとは思っていません。この収束宣言は何のために出したかというと、1つは海外に対する言い訳、もう1つは作業員の危険手当が減るからです。
いま原発の現場に入っている作業員は地元の人間です。大手のゼネコンや東電の正社員が入るわけではない。孫請け、ひ孫請けの20代、30代の地元の若者です。これから結婚して子どもをつくるような人たちに一番危ない現場に入らせている。
その青年たちは、いま危険手当がほとんどもらえません。それでも危険なところに入っている。もちろん、ほかに仕事がないということもありますが、彼らはおカネではなく、とにかく自分の故郷を救いたいという一心なんです。
もう一つ、立ち入り禁止になっている原発の地域は、いま放ったらかしの状態です。東電の賠償金は月々わずかなもので、残してきた土地や家、会社の建物といったすべての財産の補償はない。
警戒区域内の若者は新しく自分の足で立ちあがりたいと考えていますが、そのためにも国は警戒区域内の土地や家を買い取るとか、新しいコミュニティーをつくる土地を示していただきたい。1年経ってもそういう将来ビジョンがまったくない。
国がいっこうに将来像を示さないのは、悪者になりたくないからです。
いまの政府はすべての人の意見を聞く、とてもいい人になっている。いい人すぎちゃって答えが出せない。政府にいい人は要らないんです。
何か案を示したら、反対する人が必ずいます。警戒区域を全部除染しろ、元通りにしろと言う人もいます。しかし、それは実現不可能だと謝罪し、新しい場所を用意するしかないんです。
中間貯蔵施設だって必要、仮置き場だって必要です。だけど地域住民は自分の隣の空き地に仮置き場を造られたら嫌です。だから県知事も首長も言えない。
それを国が、ここだと決める。文句を言うな、仮置き場がなければがれきを集められないんだと。もちろん、それを言った大臣は矢を受けますよ。悪者になる。だけどリーダーたる者、悪者になってもいいから決断すべきです。
民主党の大臣はみな決断ができない。それが本当に、福島弁で「ごせやける」んです。怒り心頭です。
「マット安川のずばり勝負」3月2日放送
<プロフィール>
森 まさこ(もり・まさこ)氏
自民党参議院議員、弁護士。福島県いわき市勿来生まれ。2006〜07年、金融庁(総務企画局)課長補佐・同(検査局)金融証券検査官を務め、賃金業法改正担当として与謝野馨大臣、後藤田正晴政務官、山本有二大臣、渡辺喜美副大臣に仕えた。2007年の参院選で初当選。
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閣僚横顔=安倍新政権
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