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TPP参加の防衛・安全保障の側面に目を向けよ 経済面の議論だけにとらわれては真の国益は生まれない

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TPP参加の防衛・安全保障の側面に目を向けよ 経済面の議論だけにとらわれては真の国益は生まれない
JBpress2013.03.01(金)神戸発:ラジオ政論
 2月24日放送の『中山泰秀のやすトラダムス』(Kiss FM KOBEで毎週日曜24:00-25:00放送)は、中山氏がTPP交渉参加問題について解説したほか、竹島問題をめぐる日韓関係などについて語った。
 ■TPPのルール作りに参加しなければ、反対すら主張できない
中山 ワシントンを訪れていた安倍(晋三)首相が2月24日、オバマ大統領との初の日米首脳会談を終えて帰国しました。
  焦点のTPP(環太平洋パートナーシップ協定)について両首脳は、「交渉参加に際し、一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束することを求められるものではない」などとした共同声明を発表。安倍首相は、聖域なき関税撤廃が前提ではないことが確認されたとして、早期に交渉参加を決断したい考えだと報じられました。
  今回の日米首脳会談に関する報道は、各国のメディアによって大きく異なるようです。例えば、中国メディアは安倍首相が米国側に冷遇されたとする否定的な報道ぶりである一方、韓国のあるメディアは日米関係の改善によって、米韓あるいは日米韓の関係にもプラスになると評価しています。
  色々な意見がありますが、私は前民主党政権の3年3カ月で崩れた日米関係を再構築する良いきっかけになったと思います。米国政府は安倍首相をリラックスした雰囲気で歓迎してくれたと感じましたし、会談も和やかなムードで進み、両首脳が歩み寄る様子も見られました。
  普天間基地移設問題をめぐる鳩山(由紀夫)元首相の「トラストミー」発言をはじめ、民主党政権の失政の繰り返しで日本の信用が損なわれていた中、オバマ大統領も久々に“打てば響く”相手が来たと感じたのではないでしょうか。
  国内では、日本がTPP交渉参加の場に引きずり出されたのでは、という意見もありますが、私はそうは思いません。自民党の政権公約集(Jファイル)には「聖域なき関税撤廃を前提条件とする以上は交渉に参加しない」と明記しており、安倍首相はその国民との約束にのっとって判断するとオバマ大統領に伝えてから会談に臨んでいます。
  ですから、今後もしっかりと議論を重ねていくことが大事だと思います。また一方、食料自給率がカロリーベースで約40%と、多くを輸入に依存している日本が、今後いかに食料を安定的に供給すべきなのかを考える必要があります。
  そのためにも、まずは世界に出てルール作りから参加し、決まったルールの中で国として最大限の利益を追求すべきではないでしょうか。例えば自分の住む街でも、より良い地域づくりをしようと思ったら、自治会の会合を開いて参加するのは当然です。
 それと同じで、日本だけが世界のルール作りの議論にすら参加しないのは、現代の国際社会の常識では通用しないでしょう。賛成と反対のどちらを主張するにせよ、まずは意見を述べられる場所に参加しなければ何も始まらないと私は思います。
 ■TPPは単なる経済連携協定ではなく、日本の安全保障にも資する
  そもそもTPPは、環太平洋周辺の国々の間でヒト、モノ、カネ、サービスの移動をほぼ完全に自由化しようという多国間の国際協定を指します。
  TPPは、米国主導の経済連携という側面ばかりが注目されがちですが、実は経済の協定を結ぶことで「軍事的アライアンスが強化される」ことも大きな意味を持っているのです。
  日本が戦後の高度経済成長を成し遂げてきた背景には、日米安全保障条約の存在があることを忘れてはなりません。つまり、「日本に何かあったら米国が助けてくれる」という後ろ盾があったからこそ、日本のビジネスマンたちは世界各地で経済活動を営み、活躍することができたのです。
  世界を見渡すと、中国は1997年と99年の香港・マカオ返還以降、一国二制度のもと共産党一党独裁でありながら市場経済化を進めています。また、91年にはペレストロイカによってソ連が崩壊し、新たに自由主義・市場経済の国家としてロシア連邦が誕生しました。
  すなわち、ベルリンの壁が崩壊し冷戦が終結して以降、かつての旧共産圏諸国が自由主義圏に組み込まれていった。このことによって経済連携協定や自由貿易の枠組みが、軍事的にも影響を及ぼす可能性があるのです。
  日本は今後、日米同盟の下で米国の経済圏に入るのか、あるいは地政学的に近い中国が経済連携を持ちかけてきた時にその経済圏に入るのか。2つに1つの選択を迫られた場合に、人的・法的な価値観を踏まえるとどちらが有益なのかをしっかり考えるべきです。
  ですから、経済的な議論だけで世論を分けるのではなく、もっとフレキシブルに考えて平和ボケにならないような議論をする必要があります。
  ただでさえ近年は、ミサイル発射実験を行った北朝鮮や軍事力を拡大し続ける中国、領空侵犯を繰り返すロシアなど、日本を取り巻く周辺環境は決して安心できるものではありません。TPPが単なる経済連携協定ではなく、日本の防衛アライアンスや安全保障にも資するということ。その認識を持つことが大切ではないでしょうか。
 ■韓国は竹島の領有権を主張するならば、国際司法裁判所に出てくるべし
  2月22日、島根県松江市で8回目の「竹島の日」記念式典が開催され、島尻(安伊子)内閣府政務官が政務三役として初出席し、私も出席しました。
  周知の通り、日本政府と韓国政府の間には竹島の領有権をめぐる問題が存在します。この問題について我が国は1954年以来、国際司法裁判所に付託することを韓国に提案してきましたが、韓国側は反対の姿勢を示し続けています。
  もし竹島が本当に自分たちの領土だとするならば、韓国は正々堂々と国際司法裁判所に出てきて世界中の国々の前で証拠を見せるべきではないでしょうか。その上で決着をつける方が彼らにとっても意味があるはずです。
  1952年に当時の李承晩韓国大統領が「李承晩ライン」(海洋主権宣言)を国際法に反して一方的に設定し、竹島が不法占拠されてから1965年の日韓基本条約締結までの間、日本人2791名が拿捕抑留され、5名が韓国官憲による銃撃を受けて死亡しています。
  私が実際に抑留された方とお会いして話を聞いたところ、3年半以上にわたって監禁に近い状態に置かれ、ほとんど食事が与えられずにやせ細ってしまったと当時の様子を振り返っておられました。
  不法占拠から60年以上が経つ今、こうした歴史的事実を忘れることなく、日本政府は竹島が我が国固有の領土であるという意志やメッセージを示し、解決に向けた取り組みを進めることが大事です。
  今回の式典には島尻政務官が政府を代表して出席しましたが、来年はこの式典を国のイベントにすることも1つの手立てではないでしょうか。
 『中山泰秀のやすトラダムス』 2月24日 24:00-25:00放送
 ※Kiss FM KOBE "中山泰秀の「やすトラダムス」" は、radiko.jpでも聴取できます(関西地方のみ)。auの対応機種では、LISMO WAVEを利用すると、日本全国で聴取可能です。また、「ドコデモFM」のアプリでは、日本全国でスマートフォン(ドコモのAndroid搭載端末、auとsoftbankのiPhone)で聴取できます。
*中山 泰秀(なかやま・やすひで)氏
 衆議院議員(自由民主党所属)。1970年大阪市北区生まれ。電通勤務を経て政治の道へ入る。2003年衆議院総選挙で初当選、2007〜2008年8月まで外務大臣政務官を務める。自民党・国防部会長
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