【風を読む】「アフリカは中国との愛から目を覚まさなければならない」 論説副委員長・西田令一
zakzak2013.03.26
習近平中国国家主席の初外遊の出ばなをくじくように、歴訪先のアフリカから中国に対し異議申し立ての狼煙(のろし)が上がった。
3月12日付英紙フィナンシャル・タイムズ(アジア版)に載った、ナイジェリアのラミド・サヌシ中央銀行総裁の寄稿は容赦ない。
「(原油の対中輸出により)莫大な資源を費やして国内製造すべき消費財を中国から輸入する」自国の現状を嘆きつつ、中国のアフリカ進出のやり方を糾弾している。
アフリカ広域でインフラを建設して「自国から持ち込んだ機材と労働力を使い技術を現地に移転しない」と指摘し、その手法を「新型帝国主義」「アフリカの非工業化と低開発の元凶」と断罪している。
興味深いのは歴史がのぞくくだりである。寄稿者は、父親が1970年代の駐中国大使当時に毛沢東を崇拝し、後に外務次官となり中国の影響を受けて政策を立案したとし、アフリカでは「愛中の姿勢は極めて一般的だ」と述懐している。
だから、見出しもずばり、「アフリカは中国との愛から目を覚まさなければならない」である。
同紙はさらに、この寄稿を「(中国に対する)見解を変えるアフリカ高官が増えていることの反映」と位置付けて、1面トップ記事で紹介する異例の紙面作りをした。
親中派の中国専門家デービッド・シャンボー米ジョージ・ワシントン大教授も、3月18日付米紙ニューヨーク・タイムズへの寄稿で、中国に関する否定的な見方が世界各地で広がっているとし、「関係が概して肯定的であり続けたアフリカでも過去3年で中国のイメージは悪化している」と論じているほどだ。
そういえば、中国が世界中に人を送り込み資源漁(あさ)りしている実態を、アフリカを手始めに現地から伝えた「巨竜むさぼる」を産経新聞が通年で連載して、3年になる。
「愛中」幻想から覚めつつある目にようやく、「巨竜」という正体が見えだしたということか。
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◆ 国家主席就任直後の習近平がロシアの次にアフリカ諸国の歴訪を選んだわけ 2013-03-26 | 国際/中国/アジア
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◆軋む世界 米中 新たな火種 【?】南スーダン/資源・安保で覇権争い
中日新聞2011/07/26Tue.
「中国の方々から毎日、油田開発のオファーがありますよ」。今月9日、アフリカ54番目の国として誕生した南スーダン。建国の興奮冷めやらぬ中、南部政府の高官は、本紙の取材に、既に中国側の熱烈な営業攻勢を受けていると明かした。
北部スーダンの3倍に上る油田を抱え独立した南部。道路や水道、電気などインフラ整備への支援の申し出が、中国側から続々と届く。「全てわれわれから石油開発(参入)への協力を取り付けるためだ」と、意図を高官は見透かす。
舗装道路の総延長がわずか60キロ、電気や水道も未発達という国で、中国の存在感は際立つ。地元の記者によると、首都ジュバは中国系ホテルが10軒余に急増。「政府役人の大半の家は、中国企業が特別価格で建設したという話だ」と記者は声を潜めた。
中東の衛星放送アルジャジーラなどによると、分離前のスーダンは、1983年から20年余に及ぶ南北内戦が続き、米石油大手シェブロンが撤退。国際テロ組織アルカイダの指導者ウサマ・ビンラディン容疑者(今年5月に米国が殺害)が91年からスーダンを拠点にしたのを受け、米国は93年、スーダンをテロ支援国家に指定し、経済制裁を科す。欧米勢と入れ替わるように進出したのが中国国営石油会社だった。
「走出去(ソーチューチー・海外に出よう」。中国政府は今世紀に入って、自国企業に海外進出を一段と促す。国策と一体の企業はリスクや政治問題を度外視し、実利優先んで事業を拡大するのが強み。日量約50万バレルとされる南北スーダンの石油生産の3分の2が、中国向けとされた。
2005年、南北和平合意が実現し、黒人キリスト教徒の多い南部でアラブ系イスラム教徒中心の北部からの独立の機運が高まると、中国は北部ばかりか南部の有力者へも接近を開始する。
南スーダンの当局者によると、09年、南部の幹部候補らが多数、北京へ招かれ、研修を受けた。「その大半は、今や新政府の指導的立場。中国は親中派を育てようとしたのだろう」
この資源豊かな新国家で、覇権争いに名乗りを上げたもう一つの大国が、米国だ。
南北和平合意の後、スーダンにインフラ整備や食糧支援など60億?(約4千8百億円)もの資金を投入。「アメとムチ」と言われる見返りと圧力の両面で、北部バシル政権を揺さぶり、南部分離を認めさせた。
南スーダンは、アフリカ北部イスラム圏と中部キリスト教圏との境にあり、地政学的に重要な位置を占める。中東・アフリカのイスラム圏を中心に「対テロ戦争」にあえぐ米国にとって、この地域で親米国家を獲得する意味は、安全保障上も大きい。
9日の独立式典に駆けつけた米国のライス国連大使は「独立は、与えられたのではない。あなた方が勝ち取ったのだ」と持ち上げてみせた。だが、米外交の勝利ともいえる。
長い内戦を経て、悲願の新国家樹立に沸き返る南スーダン。グローバル経済と対テロ戦争での勝利をもくろむ大国の思惑が、激しくぶつかる最前線となりつつある。(カイロ・今村実)
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23日の東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)でも、焦点の南シナ海領有問題をめぐり米中両国は歩み寄りの姿勢を示さなかった。激しさを増す資源争奪や情報戦など、世界各地での2大国の新たな火種を探った。
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【風を読む】「アフリカは中国との愛から目を覚まさなければならない」
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