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北朝鮮はなぜ反撃を受けて壊滅しかねない危険を冒してまで、好戦的な言動を続けるのか 古森 義久

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日本をも標的とする北朝鮮 そのとき自衛隊は反撃できるのか
JBpress2013.04.03(水)古森 義久
 北朝鮮の軍事挑発がエスカレートしてきた。韓国や米国を相手に戦争も辞さないという態度を様々な言動で示し始めた。米国側もついに最新鋭のB2戦略爆撃機までを飛行させるという強硬な有事対応の措置を取るに至った。
  北朝鮮はなぜ自国が全面反撃を受けて壊滅しかねない危険を冒してまで、これほどの好戦的な言動を続けるのか。実際の軍事衝突や戦争の可能性はどの程度まであるのか。米国側の専門家たちの分析を紹介しよう。
  その分析の中では、北朝鮮による日本へのミサイル攻撃がかなり順位の高いシナリオとして挙げられている点に、切迫した懸念を感じさせられた。
 *韓国、米国との全面戦争に突入する危険性も
  米国のCIA(中央情報局)の元専門官集団が中心になって組織した国際安全保障の民間調査機関「リグネット」は、北朝鮮の脅威についての調査報告をこのほど発表した。この報告は北朝鮮の2月の核開発実験の後から3月終わりまでの戦争を辞さないような好戦的な言動について、北朝鮮が過去にも似たような好戦的な態度を見せてはきたが、「米国の情報機関や軍の専門家たちは、今回は朝鮮半島での実際の軍事衝突の可能性がこれまでになく高くなったと見ている」と述べている。
  同報告は北朝鮮自身も、もし全面戦争になった場合、自国が確実に破壊され、敗北することは認識しているが、一部の限定的な軍事攻撃で大きな成果を得られる可能性をもなお信じている、という分析をも示した。その種の一部の限定的な軍事攻撃が韓国や米国の側の大規模な反撃で全面戦争にエスカレートする危険はこの数十年でもかつてなく高まった、ともいう。
  しかし北朝鮮はなぜこんな危険な言動を取るのか。リグネットの調査報告は以下のような趣旨の理由を指摘する。
 「第1に、北朝鮮の新最高指導者の金正恩第一書記が軍部の忠誠と信頼を強めるために、『先軍』政策(編集部注:すべてにおいて軍事を優先させる政策)を過激化させていることが考えられる。北朝鮮の政権は普通の共産主義政権と異なり、個人崇拝のカルト的な要素が強いため、軍部の絶対服従が不可欠となる。そのために軍部の最強硬派の求める路線を推進する構えを取っていると見られる。
  第2には、北朝鮮は対外的に経済的利益を増やそうとして軍事強硬路線を取っている可能性がある。1つには、北朝鮮が輸出できるごく少数の生産物というのは兵器や軍事技術だけであり、核やミサイルの開発促進はその目的に合う。イランやシリアという無法国家への軍事技術や兵器の輸出は、軍事強硬路線により質量ともに拡大できるという計算が窺える。さらには、好戦的な軍事恫喝により威圧を受けた相手から経済援助をとりつけるという実績を北朝鮮は古くから重ねてきた」
  では北朝鮮はこの好戦的な言辞から具体的にどのような軍事行動を取るに至るのか。リグネットの報告は次のような趣旨の見通しを述べる。
  「北朝鮮はまず韓国の艦艇に攻撃をかける可能性が高い。同時に前回の延坪島への砲撃のような地上への限定的な攻撃をかけ、韓国側からの反撃による、より規模の大きい軍事衝突をも覚悟している気配がある。北朝鮮は韓国や米国との全面戦争は望まない。とはいえ、局地の軍事衝突で敵に最大限の被害を与えて、できるだけ早く交渉に持ち込むことを狙うだろう。その交渉で米国、韓国から経済的な援助や外交的、政治的な譲歩を最大限、獲得しようとする」
 *日本が反撃すると韓国が反発?
  しかし日本にとって注目せざるを得ないのはリグネット報告書の以下の骨子の記述だった。
  「北朝鮮が局地的な攻撃を加え、韓国側が反撃に出た際、北朝鮮の巧妙なエスカレート作戦は日本を巻き込むことだろう。日本の都市に通常弾頭の弾頭ミサイルを撃ち込むか、あるいは日本の港に爆弾搭載の船舶を突入させるという方法が考えられる。
 北朝鮮の国営通信はすでに『朝鮮半島で戦争が起きて、もし日本が自国には関係がないと思ったならば、それは致命的なミスだ』と伝えた。日本へ攻撃をかけ、日本の自衛隊がもし反撃してきた場合は、年来の日韓の対立から韓国が日本に反発するだろう。その動きは北朝鮮を利することになる」
  北朝鮮は日本の動きへの韓国の反発というところまで読んで、日本への軍事攻撃をも考えている、というのである。
  日本としては、万が一にも北朝鮮の軍事攻撃を受けた場合、どう対応すべきか。
  北朝鮮は現実に日本領土に届く通常弾頭装備の弾道ミサイルは数百基の単位で保有し、配備している。そのミサイルの危機に備える方法は、まずミサイル防衛網の構築を急ぐこと、となるのだろう。しかし現状では十分な防衛システムなど存在しないことはあまりに明白である。
  日本の主要都市が北朝鮮の弾道ミサイルに直撃された場合はどうだろうか。普通ならば、この攻撃は戦争の開始となる。いくら自国の防衛を自縄自縛にしている日本でも、自国領土に外国のミサイルが撃ちこまれ、日本国民多数が死傷すれば、戦争を挑まれたことになる。ミサイルを発射した北朝鮮に対して反撃を加えるのは、わが自衛隊の当然の責務だろう。
  だが自衛隊はそんな有事にきちんと反撃ができる体制になっているのだろうか。北朝鮮と韓国や米国との緊張関係の高まりは、日本の国のあり方、特に日本の自国の防衛の方法について新たな課題を突きつけてくるのである。
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北朝鮮 原子炉再稼働を宣言 2013-04-03 | 国際/中国/アジア 
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