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検察改革 捜査・公判を根本から問え/陸山会事件〜検察側供述調書、地裁が証拠不採用

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検察改革 地道な捜査積み上げて
中日新聞 社説 2011年7月13日
 最高検は検察改革で、弁護士らを参与として新設の監察部門に入れると発表した。特捜部の軸足が独自捜査から脱税などの経済事件にも移る。検事は地道な捜査を積み上げるしか再生の道はない。
 特捜検察は捜査権限と起訴権限の二つを持つ。その強大な権限ゆえに、いったん暴走し始めれば、歯止めが利かない。厚生労働省の元局長を被告人にでっち上げた大阪地検の郵便不正事件では、検事による証拠改ざんの事実が、それを雄弁に物語る。
 今月上旬に最高検が発表した検察改革は、こうした不祥事の再発防止のためだ。
 特捜部の独自捜査部門を縮小することなどが柱だが、最高検内に監察指導部が新設されることも注目される。検事らのほかに元判事と弁護士が「参与」として加わる。取り調べで供述を強要していないか、証拠隠しや改ざんがないかを点検し、問題があれば指導する。内部通報も受け付ける。
 被疑者の弁護士から不当な取り調べなどの情報提供があれば、調査するともいう。そうした監察部門に参与という「外部の目」が入る意義は小さくない。
 閉鎖的な検察の体質に風穴をあける可能性を秘めるが、民間人の参与に果たしてどれだけの情報が与えられるかは未知数だ。秘密主義を貫けば、“お飾り”にすぎなくなり、改革は意味をなさない。「外部の目」は検察官と対等な立場で、不正情報にアクセスできることが不可欠といえよう。
 小沢一郎・民主党元代表の資金管理団体「陸山会」をめぐる元秘書らの公判では、東京地裁が供述調書の多くを証拠採用しなかった。取り調べの段階で「検事による威圧、誘導があった」と裁判官が判断したためだ。
 特捜部の暴走を食い止めるのは、裁判官の役目でもある。これまで検察官の調書は信頼性が高いと思い込んでいた裁判官は、認識を改めた方がよい。
 特捜部の独自捜査部門は縮小される一方、国税局や証券取引等監視委員会などからの告発を処理する財政・経済部門が強化される。こうした告発案件を着実にこなすことがまず必要だ。金融などに詳しい外部有識者の委員会も設けられる。専門的な捜査を担う基礎体力も養う必要がある。
 特捜部で独自事件を手掛けることは出世への階段でもあった。それが背伸びをした捜査に走らせる傾向を招いたのだとすれば、人事評価にも新基準がいる。 *強調(太字)は来栖
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捜査・公判を根本から問え
日本経済新聞 社説 2011/7/12付
 捜査から起訴、公判へと至る刑事司法はどうあるべきか。裁判員裁判の導入などで日本の司法が生まれ変わる中、手つかずで残されていたのがこのテーマだった。
 法相の諮問機関、法制審議会で刑事司法の見直しに向けた議論が始まった。来年中をメドに方向性を示す。抜本的な改革を期待したい。
 そもそも日本の捜査・公判は容疑者・被告の自供を前提にしている。同じ殺人でも犯意や認識で量刑が分かれ、収賄罪が成立するには賄賂と思っていたかどうかの解明が必要だ。このため取り調べの比重が大きく、自白するまで保釈されない「人質司法」もまかり通ってきた。
 こうした自白偏重の捜査が強引な取り調べや客観証拠を軽視する体質を生み、冤罪(えんざい)にもつながった。法制審での議論のきっかけとなった大阪地検特捜部の捜査資料改ざん・隠蔽事件は、まさにこうした体質を背景にして起きたものだ。
 裁判官が検察の調書を過度に信用し、99%の有罪率を維持してきた刑事裁判は大きく変わりつつある。市民である裁判員が求めるのは、捜査段階の調書より公判廷での本人の証言であり、客観的な証拠である。
 新時代の捜査や立証には、取り調べを録音・録画する可視化が不可欠だ。すべての事件を対象にすべきか検討を要するが、密室での強引な取り調べを排除し、調書頼みから脱却するために制度化が必要だろう。
 一方で供述に頼らない立証を目指すには、罪を認めれば刑を軽くする司法取引や幅広い通信傍受、おとり捜査など欧米が持つ捜査手法の導入が検討課題になる。法廷重視の実現には偽証罪の重罰化も考えられる。
 このような手法は日本になじまないとの指摘もある。だが、企業が自らのカルテルを公正取引委員会に通報し、その順番や状況に応じて課徴金が減免される制度は定着し、成果を上げている。刑事事件と同列には論じられないが、参考になる。
 もちろん法律や制度の見直しだけで状況は変わらない。最高検は独自捜査を縮小し、監察部門を新設する組織改革を発表した。検察・警察はおごりや特権意識を捨て、捜査の在り方を再構築するつもりで治安の維持と信頼の回復に努めるべきだ。
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「陸山会事件」異議を棄却/検察側は主要な調書を欠いたまま20日の論告求刑に臨むことになった2011-07-12 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
 陸山会事件、調書却下の検察側異議を棄却
日本経済新聞2011/7/12 19:44
 小沢一郎・民主党元代表の資金管理団体「陸山会」の政治資金規正法違反事件で、東京地裁(登石郁朗裁判長)は12日、衆院議員、石川知裕被告(38)ら元秘書3人の供述調書の大部分を不採用とした決定に対する検察側の異議申し立てについて、「理由がない」として棄却した。
 検察側は、小沢元代表の虚偽記入への関与を認めた石川議員らの調書など、主要な調書を欠いたまま20日の論告求刑に臨むことになった。
 同地裁は6月30日付の決定で、元秘書への東京地検特捜部の取り調べについて「威迫ともいうべき心理的圧迫や小沢氏の不起訴という利益誘導があった」と認定。検察側が証拠請求した38通の調書のうち、12通の任意性を否定した。


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