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【連載企画・極刑の断層?】<最終回> 許せぬが、生きて償いを 母殺した死刑囚の父へ 大山寛人さん

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【連載企画・極刑の断層?】許せぬが、生きて償いを 母殺した死刑囚の父へ <最終回>
共同通信2013/05/13 16:40

   

 母を殺害した確定死刑囚の父に「生きて償いを」と話す大山寛人さん。手前には拘置所から届いた父の手紙が並ぶ=2012年11月、名古屋市内の自宅で
 日本の確定死刑囚は昨年末で133人と、年末時点では1949年以降最多となった。谷垣禎一法相は就任会見で、死刑執行について「裁判所の判断を尊重し、私が最終的に決める」と述べたが、死刑について国民が知り得る情報は限られている。死刑囚と死刑制度の今を探った。
 水面に浮かぶ母の姿とともに、絞首台に立つ父の姿を夢に見る。「自分の叫び声で目を覚ましてしまう」。名古屋市内に住む 大山寛人 (24)は母を父に殺された。父は死刑が確定し、執行を待つ身。だが、大山は父に生きて償いをしてほしいと願う。「被害者が望まない死刑だってある。そのことを分かってほしい」
  父の 清隆 (51)=広島拘置所在監=は、広島市で養父と妻を殺害し、事故を装って保険金計約7300万円を詐取したとして、殺人と詐欺などの罪に問われ、2011年6月に死刑が確定した。
 寛人は父に「母は海に転落して死んだ」と聞かされていたが、 中学2年のときに 父が目の前で逮捕。「連続保険金殺人事件」の見出しとともに、テレビに父の顔が映し出された。
 「信頼していた父に裏切られた」。その衝撃で寛人の生活は荒れた。酒やたばこに手を出し、万引や恐喝を繰り返した。高校は3日で辞め、公園のベンチやトイレで夜を明かした。
 寛人が父からの手紙を受け取ったのは、少年鑑別所だった。謝罪の言葉とともに「頑張れよ」と書かれていた。「自分がこうなったのはおまえのせいだ。許せない」。怒りで手紙を破り、トイレに流した。
 街で家族連れを見ると、胸が張り裂ける思いになる。「普通にある家族の姿が、なぜ自分にはないのか」。鑑別所を出た後、泣きながら風邪薬を大量に飲み、意識不明に陥ったこともある。
 父を心底から憎む気持ちが揺らいだのは、父が一審で死刑判決を受けたと知ったときだった。家族を壊した動機を父の口から聞きたい。そう思って拘置所に足を運んだ。
 逮捕から約3年半。久々に会った父はほおがこけ、やせ細っていた。「ごめんな、ごめんな」と泣き続ける父を前に怒りの言葉は出ず、自分も涙を流してうなずいた。
 その後、父とは200回以上の面会と、数百通の文通を重ね、事件の動機を少しずつ聞いていった。母を殺したことは許せない。だが、父が死刑になっても母は帰ってこない。「それならば、一生をかけて罪を償ってほしい」。二審では死刑回避を求め、自らも証人として法廷に立った。
 「被害者として、加害者を殺してやりたい気持ちは理解できる。死刑制度には反対しないが、毎朝、父が執行されるのではないかと考え、気持ちが休まることはない」と寛人は言う。世間には、自分の考えは受け入れてもらえないとも感じる。だが、問いは投げかけたい。「被害者の数だけ処罰感情がある。答えは一様じゃない」と。(敬称略、共同=佐藤大介)
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「生きて償いを」=母殺した死刑囚の父へ 大山寛人さん 2012-11-10 | 死刑/重刑/生命犯 問題 
 「生きて償いを」=母殺した死刑囚の父へ−交流重ね思い変化・息子大山さん
 時事通信2012/11/10-13:22
 「死刑は要らないとは言えない。でも、被害者の遺族が望まない死刑もあると知ってほしい」。母を父に殺害された大山寛人さん(24)は今、死刑囚となった父に「生きて償ってほしい」と望む。
 父の大山清隆死刑囚(51)は2000年3月、広島市内の自宅浴槽で妻=当時(38)=を殺害し、海への転落事故を装い保険金をだまし取った罪などに問われ、昨年6月に死刑が確定した。
 母は事故で死んだと聞かされていた。父が目の前で警察に連れて行かれたのは中学2年の時。身を寄せた親戚の家でテレビをつけると、「連続保険金殺人事件」のテロップと共に父の顔が映し出され、殺されたのだと知った。
 生活は一変した。中学にはほとんど行かず、近所のお好み焼き屋で昼間からビールを飲み、たばこを吹かした。「怒りのやり場がなく、暴れたかった」。けんかや万引きに明け暮れ、夜は公園のベンチやトイレで眠った。高校は3日で行くのをやめた。
 バイクを盗んで逮捕、入った少年鑑別所に、拘置所の父から突然手紙が届いた。並ぶ謝罪の言葉の最後に、「頑張れよ、寛人」とあった。「何が頑張れだ。全部おまえのせいでこうなったのに」。破いてトイレに捨てた。絶望の末、薬を大量に飲み自殺未遂を繰り返した。
 父に会おうと思ったのは、一審の死刑判決を報じる新聞記事を見たのがきっかけだった。「あんなに仲の良い家族だったのになぜ」。執行の前に、動機をその口から聞きたい。3年半ぶりに拘置所で会った父はやつれ果て、泣きながらひたすら謝り続けた。涙があふれ、ぶつけるつもりだった怒りと憎しみは言葉にならなかった。
 「保険金目的ではない」。面会を重ねるうち、父が語り出した「真実」は報道内容とは違った。200回以上に及ぶ面会や数百通の手紙のやりとりを通じ、その言葉に偽りはないと感じた。「死刑になれば、大切な家族がもう1人消えてしまう」。証言に立った二審の法廷で死刑回避を訴えた。
 死刑制度に反対しているわけではない。当初は父を「この手で殺してやりたい」と思っていた自分には、死刑を望む遺族の気持ちもよく分かる。「立場が違えば考え方も違ってくる。人の数だけ答えはあると思う」
 それでも講演などを通じ、経験や父への思いを語り続けるつもりだ。「確定した父の判決は変えられないが、自分と同じような思いをする人を1人でも減らしたい」。被害者遺族が望まない死刑もあることを伝え、死刑に関心を持つ人が増えてほしいと願っている。
 大山さんは10日午後、名古屋市で開かれたシンポジウムで「殺された母、そして死刑囚の父へ」と題して講演した。
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広島2人殺害、死刑確定へ
2011年06月7日 17:19 JST
 広島市で養父と妻を殺害し、事故を装って保険金計約7300万円を詐取したとして、殺人や詐欺などの罪に問われ、一、二審判決で死刑とされた元会社社長大山清隆被告(49)の上告審判決で、最高裁第3小法廷は7日、被告側の上告を棄却した。死刑が確定する。大谷剛彦裁判長は「事故死に見せ掛けて計画性も高く、犯行態様も冷酷、非道だ。2人の生命を奪った結果は重大で、死刑はやむを得ない」と指摘した。
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【連載企画・極刑の断層?】松田幸則元死刑囚 「どんな気持で死刑執行を」聞きたい思い抑えた母 2013-04-22 | 死刑/重刑/生命犯 問題 

    

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【連載企画・極刑の断層?】絞首刑は残虐か 進まない見直し論議 2013-04-22 | 死刑/重刑/生命犯 問題 

    

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◆ 【連載企画・極刑の断層?】 死刑と無期、その差大きく 終身刑導入に賛否 2013-05-07 | 死刑/重刑/生命犯 問題

     

絞首刑執行直後に免罪、命取り留める イラン
AFPBB News 2013年05月10日 12:35 発信地:テヘラン/イラン
【5月10日 AFP】イラン北東部マシャド(Mashhad)で、警察官を殺害した罪で死刑判決を受けた男が絞首刑にかけられたが、刑の執行直後に遺族が「許す」と叫んだため、一命を取り留めた。メヘル(Mehr)通信が9日、伝えた。
  報道によると、遺族が免罪を叫んだのは男が絞首台につるされた数秒後だったという。メヘル通信が公開した写真には、人々が男を支え、首から縄を外す様子が写されている。
  イランでは殺人被害者の遺族に、犯人を免罪する権利が認められている。免罪された犯罪者は360万円相当の賠償金を支払い、禁固刑に服すことになる。(c)AFP/siavosh GHAZI
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