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岸信介とCIAの密接な関係 自民党にも金の流れ?

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岸信介とCIAの密接な関係 自民党にも金の流れ?
dot.(ドット) 2013年05月17日07時00分 
 米国の戦後アジア政策は、米国の権益を守ってくれる、その国の「ストロングマン」を探し出すことから始まる。巣鴨プリズンを釈放された岸信介(後に首相)は、「強い男」として米国保守派に見いだされ、CIAの庇護を受け続けていた。
 実態を垣間見ることのできる「聖地」がワシントン郊外にある。米国国立公文書館別館。米軍諜報組織や米中央情報局(CIA)の機密解除書類を手に取って読むことができる。「岸信介」ファイルの閲覧を請求すると、30分ほどでひとつの箱が出てきた。そこには一体何が入っているのか。しかし、その中身は意外に拍子抜けのするものだった。
 書類の束は薄く、CIAが作成した資料はわずか5枚しかなかった。しかも岸の政治的プロフィルの紹介ばかりで、CIAとの深い関連が指摘される人物のファイルとは到底思えないようなものだった。
 しかし、実を言えばこのこと自体が、研究者には意味をもっている。「岸のCIA関係資料はほんの薄いものです。しかし、われわれにしてみれば、逆にそのことが両者の深い関係を疑わせるに十分なものになっているのです」。こう語るのは、一橋大学名誉教授の加藤哲郎だ。
 CIA内部では、各国の諜報エージェントや諜報対象者について暗号名で呼び合う。日本関係には「PO」を頭につける。解明されているものの一部を挙げると、自由党総裁だった緒方竹虎はPOCAPON、読売新聞社社主で原子力委員会委員長などを務めた正力松太郎はPODAM、あるいはPOJACKPOT‐1、などだ。
 しかし、岸については暗号名すらわかっていない。
 加藤は、緒方や正カの分厚いCIA関係資料を手に取って見せた。緒方は1千枚近く、正力は500枚ほどもある。戦後の日本政界とCIAとの関係を追究してきた加藤は、岸のCIA関係資料はまだ、ほとんどが機密指定を解除されていないとみている。「岸資料の5枚目のあとには、『not declassified』、まだ公開されない、という紙が1枚だけ挟まっている。この1枚の紙の後ろには、何百枚もの秘密資科があるかもしれないのです」。
 岸とCIAの知られざる関係を追って、米アリゾナ州ツーソンに飛んだ。アリゾナ大学の歴史学研究室で教鞭を執る同大教授、マイケル・シャラーは、歴史資料と学生たちのリポートの束に囲まれていた。シャラーは米国務省の歴史外交文書諮問委員会委員を務め、非公開資料にも目を通していた。文書を公開するかどうか国務省に参考意見を述べる立場にあった。
――岸元首相に対してCIAから資金提供があったという話をどう思いますか?
「そういう証拠はあると思う。賄賂的な意味合いよりは、派閥の運動資金や政治キャンペーン資金というような形で提供されたと理解している」
――資金はどのような形で渡されたのでしょうか?
「当時、CIAから経済団体や企業を通じて岸のほうに資金が流れたという記述を米国側の書類で私は目にしたことがある」
――経済団体とは経済団体連合会のことですか?
「それも一つだと思う。それから個々の企業と何かしらの契約を結んで資金を流していくということがあったと思う」
 シャラーは、委員として知りえたことは具体的には明らかにしなかったが、研究者として発掘した機密解除資料については明確に語った。その概略はシャラーの著書『「日米関係」とは何だったのか』にも記されている。シャラーによれば、のちに岸内閣の蔵相になる岸の実弟、佐藤栄作は1957年、米国に対し何度も秘密の資金提供を要請していた。
 このため、CIAから自民党にカネが流れ、「CIAによる資金は、1958年5月の衆議院選挙運動をはじめ、さまざまな方面に使われた」(『「日米関係」とは何だったのか』)。
※週刊朝日 2013年5月24日号
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「日米関係」とは何だったのか :マイケル・シャラー著  出版社:草思社 価格:¥ 3,360
(書評)[評者]中西寛(京都大学教授)
Book.asahi.com 2004年09月12日
 Altered States:The United States and Japan Since the Occupation
 対日政策の変容を詳細に追う
  戦後初期のアメリカの対日政策を専門とする外交史家による、戦後日米関係史の分析である。ただし、一九七〇年代初頭までの時期が全体の九割を占めていることが示すように、表題からイメージされるような概説的通史ではなく、研究書としての性格が強い。
 97年に発刊された原書の題名「Altered States」は「変えられた国(日本)」と「変化した状態=日米関係」を掛けた言葉である。そこにある問題意識は、アメリカが同盟国として成長させようと必死だった戦後日本が、アメリカを追い抜くまでの経済大国になってしまったというもので、アメリカ帝国論や日本の衰退論が隆盛する今日の感覚とは少しずれがある。
 それでも読む価値があるのは、本書が手堅い実証に支えられているからである。一九五〇年代まで、アメリカがどれほど日本の政治的、経済的安定に意を尽くしたか。たとえば「反共の騎士」ダレス国務長官は、日本からの繊維製品の輸入に対して導入されようとした州レベルの規制に対して、アジアの共産主義封じ込めと日米の経済利益のためにその撤回を説いた。こうした姿勢はもちろん冷戦期アメリカの自己利益に基づいた行動だったが、それが個別的な国内利害を乗り越えさせ、日本の国際社会への復帰、経済的繁栄に貢献したことも否定しがたい。国際政治においては高い視点からの利己主義の方が利他主義よりも長続きする事が多いが、その分、実現は難しい。著者はアメリカ外交に批判的な視角を持つが、今から思えば戦後対日政策は高いレベルにあったと感じる。
 そうしたアメリカの姿勢もニクソン政権の頃から変わってくる。佐藤政権との繊維交渉に象徴されるように、アメリカはあからさまに狭い利益を追求しはじめた。同時に、米中の和解やアメリカの防衛分担要求など、日本を取り巻く環境も複雑化した。この時期以降の本格的な実証研究は今後の研究を待つほかないが、情報公開資料を一部とり入れた本書の分析は今後の研究への道標ともなるだろう。
    *
 市川洋一訳、草思社・533ページ・3360円/Michael Schaller 米国の歴史学者。著書に『マッカーサーの時代』など。
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安倍首相の土産 パター/対米自主派「岸信介・田中角栄・小沢一郎」〜『アメリカに潰された政治家たち』 2013-02-25 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉 
 オバマ大統領の“譲歩” 「強い日本」への期待が背景に
2013.2.25 03:10 [産経抄]
 安倍晋三首相はオバマ大統領への土産としてゴルフのパターを持っていったそうだ。会談では祖父の岸信介元首相が昭和32年に訪米したとき、アイゼンハワー元大統領とゴルフをしたエピソードも披露した。その結果を尋ねられると「国家機密」と答え爆笑を誘ったという。▼「国家機密」をバラして申し訳ないが、岸組とアイゼンハワー組は引き分けだった。工藤美代子さんの『絢爛(けんらん)たる悪運 岸信介伝』によれば「極めて外交的な結果」である。プレー自体米国側から持ちかけられた「外交的」なもので、2人は一緒にシャワーも浴びた。▼アイゼンハワーは元軍人だが、柔らかな外交感覚も持ち合わせていた。東西冷戦構造の中、経済復興著しい日本の重要性を認め、岸を最大限にもてなしたといえる。日米はこのときの首脳会談を機に安保条約を改定、同盟関係の強化に向かっていく。▼オバマ大統領は米国内で「クールというよりコールド」と言われているそうだ。余計なジョークやサービスは嫌いな人らしい。だから安倍首相をゴルフに誘うこともなかった。だがTPP交渉参加問題では、日本にとって望外なほど譲歩してみせた。▼関税撤廃に「例外」があり得ることを認めた上、そのことを共同声明で裏付けた。厳しい決断を迫られるとみられた首相にとっても「救い」となったはずだ。しかしそれはサービスなどではなく、岸の時代と同様に「強い日本」への期待と受け止めるべきだ。▼だから今後、経済でも安全保障でも「強い日本」を放棄する行為に出れば、たちまちその期待を裏切る。「冷たい米国」に立ち返ること請け合いだ。政治家や経済人ばかりでなく日本人みんなが心すべきことである。
.......
〈来栖の独白 2013/2/25 Mon. 〉
 上記[産経抄]を一読、思わず気持ちが昂った。岸氏は大方の国民の認識に反して、対米自主・自立の政治家だった。アイゼンハワーとのゴルフも、岸氏の外交上の戦略だったようだ。
 岸氏は、実に怜悧な頭脳の持ち主で、非常な切れ者だった。1945年、A級戦犯として逮捕され、巣鴨拘置所に拘置、有罪判決を受けて処刑を待つだけの身であった頃、「アメリカとソ連の対立が深まれば、アメリカは日本を利用するために、自分の力を借りに来るだろう」と予測し、そこに望みを託した。「冷戦」という言葉自体、まだなかった時代である。「冷戦の推移は、巣鴨でのわれわれの唯一の頼みだった。これが悪くなってくれば、首を絞められずに(死刑にならずに)すむだろうと思った」と、『岸信介証言録』にある。“昭和の妖怪”と称される岸氏の凄味の片鱗が現れている。現実はその通りに推移した。
 ところで、[産経抄]冒頭の岸とアイゼンハワーのエピソードなどは、オバマ大統領にとって関心は薄いだろう。辛うじて再選されたとはいえ、彼を取り巻く状況は、内政、外交ともに厳しい。再選が黒人やヒスパニックの支持によってなされ、白人や共和党の支持を得ていない片肺飛行で、日中の問題に対処してゆかねばならない。
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