【守れ!国境の島】閉塞した沖縄の言論空間 基地に激し尖閣には冷淡なメディア(4)
ZAKZAK 2013.05.17
「沖縄の言論空間は閉塞状況だ」という指摘がある。それは米軍基地問題で、主要マスコミの論調が全く同じスタンスであるためだ。反対意見を表明する機会は極めて限られている。
米軍普天間飛行場(宜野湾市)移設問題で、4月に沖縄入りした菅義偉官房長官は「県民の声を聞きたい」と県内の主要マスコミ5社を回った。そこで5社の幹部が異口同音に長官に訴えたのは、同飛行場の県外移設と、4月28日に政府が開く「主権回復の日」式典への抗議だった。
沖縄には、もう1つ大問題がある。尖閣諸島問題だ。領海侵犯する中国公船に威嚇され、石垣島の漁業者などが安心安全に漁をする環境が失われているが、報道されている限りでは、菅長官との面会で尖閣問題に言及したマスコミ幹部は皆無だった。それを指摘し、懸念を示したのは、むしろ菅長官の方だったのだ。
沖縄の2大紙「沖縄タイムス」「琉球新報」を読むと、基地問題に関してはまるでプロパガンダ紙だ。県民が基地の重圧を押しつけられ、本土から差別されている−と訴え、日米両政府を糾弾する記事に満ちている。
ところが、国境の島々が中国の脅威にさらされている現実については、両紙とも「尖閣問題は、一部メディアによって在沖米軍基地の維持強化を図る論理に利用されている」(沖縄タイムス社説)などと冷淡だ。尖閣問題を突っ込むと、沖縄に軍事力は不要だという論理が通用しなくなってしまうからだ。
石垣島の住民からは、大手マスコミのこうした姿勢に「沖縄は本土から差別されていると言うが、自分たちこそ国境の離島を差別しているのではないか」と憤る声も出ている。
沖縄本島で県内各地の市議会議長が一堂に会する会議が開かれた際、石垣市が尖閣諸島の実効支配強化を求める決議を提出したところ「議論が不十分」として継続審議になった。そのくせ、米軍の新型輸送機MV22オスプレイを非難するような決議には同調を求められるのだ。
私が編集長を務める「八重山日報」では、尖閣問題、特に中国の脅威を積極的に取り上げるように心がけているが、他のマスコミからは「右翼新聞」と陰口をたたかれる始末である。
ただ、近年はフェイスブックやブログなどを通じ、大手マスコミを正面から批判する県民も増えてきた。マスコミが情報発信を独占する時代は終わったのだ。ネットの時代が閉塞空間に風穴を開けつつある。
*仲新城誠(なかあらしろ・まこと)
1973年、沖縄県石垣市生まれ。琉球大学卒業後、99年に石垣島を拠点にする地方紙「八重山日報社」に入社。2010年、同社編集長に就任。同県の大手メディアが、イデオロギー色の強い報道を続けるなか、現場主義の中立的な取材・報道を心がけている。著書に「国境の島の『反日』教科書キャンペーン」(産経新聞出版)など。
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◆ 八重山日報 「日本を守る沖縄」「正しい歴史教育」「他国の侵犯を断固許さない姿勢」へ 2013-05-11 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉
「日本を守る沖縄」へ 兼次 映利加 2013年5月 在京OL悲しみの日
八重山日報 2013/5/9
進学のために那覇市から上京して、ちょうど10年が経ちました。ふるさとをとりまく環境は、わたしが沖縄に暮らしていた頃のそれとは全く異なるものになったと感じます。以前から問題であった米軍基地返還・移設問題、教科書採択問題、そして尖閣領海侵犯問題…。問題が解決しないうちに新たな問題が起こり、まさに山積状態です。
「なぜ、悲惨な地上戦を経験した沖縄に基地が必要なのか」
「なぜ、育鵬社の教科書が採択されたのか」
「なぜ、中国の領海侵犯に機敏に対応しなくてはならないのか」
これは県内外を問わず人々が抱く自然な疑問だと思います。かわいい我が子にこのような質問をなげかけられたときに、どれだけの大人がはっきりと答えることができるでしょうか。
それは、自分の身を守るためであり、自虐史観から脱し子どもの尊厳を守るためであり、父祖が築いたこの土地を守るためです。
社会生活において強盗事件が起こればわたしたちは警察を呼びます。しかし例えば沖縄の船が攻撃を受けたとき、あるいは島民が命の危機にさらされて自衛隊の助けが必要なとき、今の憲法では自衛隊を即座に出動させることはできません。実際にそのような事態に陥ったとき、わたしたちには解決の術がないのです。それは、大事な仲間や家族の危機を黙って傍観するしかないということを意味します。
沖縄は平和を愛する島ですが、自衛隊や基地をなくせば平和が訪れるのでしょうか。平和を重んじ、武力を持たなかったチベットという国は、1950年以降隣接する中国に侵攻され、たくさんの人が虐殺され、今なお弾圧は続いています。沖縄から基地を追い出し、自衛を放棄することは、新たな侵略の歴史を自ら招き入れるのと同じことです。
長い歴史のなかで、大和との統一やアメリカによる統治を経験した沖縄ですが、わたしたち県民はこの日本という国家の庇護と、アメリカの力に守られて、連綿と続いてきた祖先とのつながりを今日まで維持することができました。
一方チベットやウイグル(東トルキスタン)は、今まさに民族と文化がまるごと消滅の危機にあります。彼らが抱いているであろう、祖国を失う恐怖と喪失感をわたしたちはよく知っています。
それを鑑みたとき、先祖代々のウチナーンチュが現在も沖縄に平和に暮らしていられることは、当たり前のように思えますが、実はとても有り難いことだとわかります。このことに気づき、わたしたちは尊い使命を果たしていかなくてはいけません。
その使命とは、抑止力としての米軍基地受け入れであり、正しい歴史教育であり、他国の侵犯を断固許さないという姿勢です。
人々に愛されるわたしたちの故郷は、「守られる沖縄」から、「日本を守る沖縄」へと変化の時期を迎えているように思います。(東京都)
(この連載は不定期で掲載します)
*上記事の著作権は[八重山日報]に帰属します。
http://www.yaeyama-nippo.com/2013/05/09/%E3%82%A2%E3%82%B8%E3%82%A2%E3%82%92%E5%AE%88%E3%82%8B%E6%B2%96%E7%B8%84-%E3%81%B8-%E5%85%BC%E6%AC%A1-%E6%98%A0%E5%88%A9%E5%8A%A0/
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◆ 沖縄“左翼”世論、真実に目覚めよ / 「屈辱の日」という言葉はすでに沖縄で風化している 2013-05-07 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉
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◆ 「主権回復の日」〜賛成派の沖縄の声に耳を貸さず、声の大きな反対派ばかりを大々的に取り上げる報道 2013-04-28 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉
4月28日
産経新聞2013.4.28 03:18[産経抄]
昨日の続きのような話だが、沖縄県の仲井真弘多知事は「主権回復の日」の式典を欠席するという。沖縄では「抗議集会」も開かれる予定だ。それだけ聞けば沖縄には反政府や反米の声だけが渦巻いているように思うが、どうもそうではないらしい。▼本紙18日付のコラム「沖縄の風」によれば、米軍普天間飛行場の周囲のフェンスに巻き付けられた赤いテープを、市民たちが剥がしている。オスプレイ配備などに異議を唱える反対派が巻き付けたテープだ。米軍関係者も加わり毎週末行われるクリーン活動である。▼景観を損なうからだけではない。テープの中にガラス片や針金が巻き込まれていることもあり、危険極まりないのだそうだ。一部かもしれないが、ほかにも米軍関係者の車をプラカードでたたくなどといった、反対派の過激な行動が頻繁に起きているという。▼実はこのコラム、読者の方から大きな反響をいただいている。「基地とともに生きている人も多いとわかって胸打たれました」という50代女性の声があった。「基地反対派の声だけを伝える報道にはうんざり」という男性からは「貴重な記事だ」と評価してもらった。▼それもそのはずである。基地反対派以外の市民の運動が伝えられることはまずない。反対派の過激な行動についてもほとんど報じられないからだ。「沖縄の風」によれば、飛行場の警備担当者が反対派の男性に殴られケガをしたが、そのことも一切報道されなかった。▼昭和35年の日米安保改定をめぐっても、過激な反対運動に批判的だったり、改定に賛成だったりという人も少なくなかった。それでも当時の報道は耳を貸さず、声の大きな反対派ばかりを大々的に取り上げた。同じ過ちは繰り返したくない。
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◆ 【沖縄の風】地元では報道されないオスプレイ反対派の実力行使/沖縄が持つ語られざる顔 2013-04-18 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉
【沖縄の風】地元では報道されないオスプレイ反対派の実力行使
zakzak2013.04.18
オスプレイ配備に反対する市民グループがフェンスに巻き付けた赤いテープを剥がすボランティアの住民たち=普天間飛行場【拡大】
前日までの陽気さが失(う)せ、一転して肌寒い一日となった14日。沖縄県宜野湾(ぎのわん)市野嵩の米軍普天間飛行場の野嵩ゲート前に早朝から、老若男女が集まり出した。全員、カッターナイフとポリ袋を手にしている。米軍関係者の姿も。
「そろそろ始めましょうか」
午前9時前、そぼ降る雨の中、全員が飛行場を取り巻くフェンスにへばりつくようにして、フェンスに巻き付けられている赤いテープを剥がし始めた。
昨年、同飛行場にオスプレイが配備されて以降、市民グループらがフェンスに赤いテープを巻き付け、オスプレイ配備反対と同飛行場の閉鎖を訴える抗議活動を展開している。
■「反対派のやり方許せぬ」
この日集まったのは、こうした市民グループの運動に異を唱える住民たちだ。フェンスクリーンプロジェクト。昨年9月に若者が独自にテープの撤去を始めたが、ツイッターやフェイスブックなどで活動は口コミで広がり、メンバーは50人から60人に。昨年末、正式にプロジェクトとして活動を始めた。今では、毎週末、清掃を続けているという。年齢層も20代から60代と幅広い。
主宰者の一人の女性翻訳家(46)はカッターナイフでテープを剥がしながら「フェンスに巻き付けられた赤いテープは景観を損ねることも問題だが、それにもまして反対派のやり方が許せない」と話す。
彼女によると、赤いテープの中にガラス片や針金が巻き込まれていることがあり、剥がすときに手を切ってけがをすることも多いというのだ。
雨脚が強くなってくるが、住民の数は減らない。米軍関係者と家族の姿も多い。同飛行場の司令官、ジェームス・フリン大佐は「市民のボランティアを知って参加するようになった。フェンスは宜野湾市民のもの。自分は責任のある立場。市民と一緒に清掃するのは意味がある」と話した上で、こう続けた。
「反対派の抗議活動は激化している。(米兵の)通勤時間帯を狙って集まり、車に砂や土を投げつけたり、道路に寝そべったりして、暴力的、攻撃的な嫌がらせ、通行妨害などの行動に出るものもいる」
■米兵への“攻撃事件”
“事件”が起きたのは3月27日午前10時半ごろ。同飛行場の警備を担当しているパトリック・アダムス氏(50)が、野嵩ゲートで反対派の活動をチェックしていたところ、2人の男性が突然、走り寄ってきて、1人がいきなりアダムス氏の左胸をめがけて殴りかかってきた。同氏は反撃せず、全治1週間のけがを負った。
「抗議をするのは自由だから構わないが、暴力は絶対にだめだ。自分に手を出した男は、以前にも、警察官や海兵隊に攻撃的な行動に出ている。それは写真も動画も撮影している」
アダムス氏は診断書をつけ警察に被害届を出したが受理されていないという。“事件”は一切報道されなかった。
アダムス氏によると、反対派の過激な行動は頻繁に起きるという。
「信号で止まっている車の窓からメガホンを突きつけて、怒鳴りつけたり、プラカードで車をたたいたり、フロントガラスに押し付けたり…」
関係者によると、米海軍兵士が同飛行場から国道に出ようとしたところ、反対派の通行妨害に遭い、視界を失い、追突事故を起こしたこともあるという。
同飛行場ゲート前で展開される抗議活動は大きく伝えられる。だが、同時並行で展開されているクリーン活動や米兵に対する過激な抗議活動は伝えられることはない。沖縄が持つ語られざる顔である。(那覇支局長 宮本雅史)
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◆ 【沖縄が危ない】市民運動の域を越えた反基地運動とオスプレイ (6) 左翼集団が取りつけた違法設置物 2013-03-03 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉
【沖縄が危ない】市民運動の域を越えた反基地運動とオスプレイ★(6)
zakzak2013.03.03
昨年暮れ、私は元極左の活動家から、絶対に名前を公表しないことを条件に次のことを打ち明けられた。
「20年ほど前、県内の左翼活動家が本島の山岳地帯に集められて、対米軍基地テロ訓練を受けた。指導員の中には、明らかに中国語を話すものがいた」
この事実は、公安当局も把握しているはずだ。
最近、沖縄における米軍基地反対運動は市民運動の域を越えている。「中国軍の三戦(世論戦・心理戦・法律戦=2012年版防衛白書より)」を実践するかのように、巧妙に統制がとれている。これで爆発物が使用されれば明らかにテロの域に達する。
一方、彼らの活動の焦点は、米軍普天間飛行場封鎖と新型輸送機「オスプレイ」の配備阻止に集中している。われわれ、元軍人(海自士官)からみれば、その目的は一目瞭然である。島嶼(とうしょ)奪還戦の切り札、米海兵隊の撤退、または無力化にあるのだ。
現在、中国民兵または人民解放軍による沖縄県・尖閣諸島上陸の可能性は日に日に高まっている。万が一、彼らが上陸すれば、直ちに反撃して奪還しなければならない。尖閣に対空ミサイルなどを敷設されると、奪還に要する負担は一挙に10倍以上に跳ね上がる。
従来の海兵隊主力ヘリCH46は、作戦行動半径が170キロ、長崎県・佐世保を母港とする揚陸強襲艦に搭載して尖閣沖に向かうには最短でも10日を要する。一方、オスプレイは、行動半径600キロ、約50分で普天間飛行場から尖閣に直行して帰還できるのである。また仮に朝鮮半島で有事が発生しても、オスプレイであれば速やかに対応できるのだ。
普天間飛行場は国連指定基地である。日本国民はこの機能を理解していないが、朝鮮半島有事をにらんでいるのだ。もしも、北朝鮮が停戦協定を破って南下すれば、米軍は日本政府との事前協議なしに核を持ち込めるのみか、戦闘地域に直接兵力を投入できる。
そのような臨戦態勢の基地を、民間団体が約1日封鎖したということは、米国への宣戦布告に等しいのである。しかも、沖縄県警への反対派排除の要請は本来、行政官である沖縄県知事が行うべきであったが、仲井真弘多知事は一切対応しなかった。
普天間飛行場の進入路付近で、反対派がたこや風船を揚げる行為が恒常化しているが、最近、飛行場のフェンスに廃品やゴミを貼り付けて嫌がらせも行っている。
近隣に住む市民たちが見かねてクリーン作業を行ったところ、触れれば指先を切り裂けるように、ガラス片やカミソリがテープで巧妙に仕掛けられていた。また、傾斜地のフェンスには、触れれば岩が落下する巧妙な仕掛けが施されていた。
たこや風船を揚げるのは、航空危険行為処罰法違反、フェンスの仕掛けでけが人が出れば傷害罪に抵触する可能性がある。基地反対運動は法律を無視して展開されている。
有事になれば、フェンスの各所で起爆または発火装置が施されることは火を見るより明らかである。=おわり *強調(太字・着色)は来栖
■惠隆之介(めぐみ・りゅうのすけ) 1954年、沖縄県コザ市生まれ。78年、防衛大学校卒業、海上自衛隊幹部候補生学校、世界一周遠洋航海を経て、艦隊勤務。82年に2等海尉で退官し、銀行へ就職する。97年 米国国務省プログラムで国際金融、国家戦略などを研修。現在、拓殖大学客員教授、八重山日報論説委員長。著書に「誰も語れなかった沖縄の真実」(WAC)など。3月中旬、「沖縄が中国になる日」(扶桑社)を緊急出版する。
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◆ 左翼集団が取りつけた違法設置物 http://ameblo.jp/team-okinawa/entry-11442308751.html
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◆ 【沖縄が危ない】市民運動の域を越えた反基地運動とオスプレイ (6) 左翼集団が取りつけた違法設置物 2013-03-03 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉
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◆ 【沖縄が危ない】抹消された「米軍の功績」… 劇的に改善した衛生事情 (5) 2013-03-03 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉
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◆ 【沖縄が危ない】語られなかった米軍との諜報戦 (4) 2013-03-01 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉
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◆ 【沖縄が危ない】旧軍人の名誉回復が必要(3) 左翼や地元マスコミは、沖縄戦の史実を改竄して・・・ 2013-02-28 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉
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◆ 【沖縄が危ない】習近平氏が進めてきた沖縄と日米の分断工作 (2) 2013-02-27 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉
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◆ 【沖縄が危ない】中国万歳!? 沖縄で勢い増す「反日」「反米」世論 (1) 2013-02-26 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉
【沖縄が危ない】中国万歳!? 沖縄で勢い増す「反日」「反米」世論 ★(1)
zakzak2013.02.26
沖縄ではいま、「反日」「反米」の機運が異常に高まっている。これまで沖縄政局といえば、保守と左翼(革新)に分かれ、「米軍基地との共存共栄」か「基地撤去」かで拮抗していたが、いまや沖縄本島を中心に「オスプレイ配備阻止」「普天間飛行場県内移設反対」という世論で一色である。
オスプレイ配備に少しでも肯定的な発言をすれば、これまで政治的発言をしてこなかった町内会やPTAのメンバーからも糾弾される。まさに、「沖縄VS日米」という対立構図になりつつある。
こうした運動の中心になっているのが、那覇市の翁長雄志(おなが・たけし)市長(62)である。昨年9月に開催された「オスプレイ配備反対県民大会」の共同代表でもあった。
翁長氏は、那覇市議と沖縄県議を2期ずつ務め、現在、那覇市長4期目。かつては自民党沖縄県連幹事長として、普天間飛行場の県内移設を推進していたが、現在は「安全保障は日本全体で考えるべきだ」と県内移設反対に転じた。
国民新党の自見庄三郎代表は先月30日、こうした沖縄の雰囲気について、「(政府が普天間の県内移設を強行すれば)沖縄が独立国家になる」「国内ゲリラは分離独立運動が原因で起きる。国のかじ取りによっては、東京でも爆弾テロが発生する」と危機感をあらわにした。
「反日」「反米」世論が勢いを増す半面、沖縄では「中国拝跪(はいき=ひざまずいておがむこと)熱」が高まっている。
首里城公園で1月2日、琉球王国時代の旧正月の儀式を再現するイベント「新春の宴」が催された。式典の最後で、王府高官を演じる役者は大声で「ワン・ワン・ワンスーィ(=中国万歳)」と叫んだ。残りの役者たちも直前、高官の号令に併せて「ワン・ワン・ワンスーィ」と合唱し、一斉に北京に向かって合掌、黙礼したのである。
これを見ていた中国人観光客は「やはり沖縄は中国のものだ、1日も早く解放せねば」と語っていたという。
沖縄のNHKはこの日のニュースで、このイベントを何度も放送していた。皇居・宮殿では同じころ、新年恒例の一般参賀が行われていた。奄美大島(鹿児島県)以北のNHKでは、天皇陛下が新年のお言葉を述べられる様子が繰り返し放送されたが、沖縄での放送は少なかった。
天皇、皇后両陛下は昨年11月17日、沖縄県をご訪問された。18日夜には、那覇市内で県民による「天皇皇后両陛下奉迎提灯大パレード」が行われ、約8000人の県民が参加した。ところが、沖縄の新聞やテレビは、このパレードをほとんど報道しなかった。
沖縄のメディアが最も熱心に報道していたのは、18日朝に発生した酩酊した米海兵隊将校による民家侵入事件だった。
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『沖縄が中国になる日』恵隆之介著 育鵬社 2013年4月2日 初版第1刷発行
p2〜
まえがき
今年(平成25年)1月19日、30日と、中国海軍艦艇が沖縄本島西北西約300km(尖閣列島北方約120km)の東シナ海で、我が国の海上自衛隊の航空機、艦艇に対し射撃管制レーダーをそれぞれ照射した。宣戦布告に等しい行為であったが、日本政府はこの事実を2月5日になってようやく公表した。
国内が未だ騒然としている中、2月7日の北方領土の日、今度はロシア空軍戦闘機2機が北海道利尻島南西沖の我が国の領空を侵犯した。さらに2月12日には、北朝鮮が地下核実験を行った。
我が国は今や、危機の真っただ中にいる。その中で沖縄の地政学的価値は一層高まってきている。にもかかわらず、メディアは相変わらず沖縄県民“被害者論”に偏重した報道を続けている。それが国民に、「沖縄に負担を強いている」という拭いがたい贖罪意識を植え付け、そこから生まれる空気が、日本政府を正に金縛り状態に陥らせてきた。
p3〜
この度、私は本書で、「平和運動家」を装う一部の県民が中国や北朝鮮と内通し、我が国の安全保障に重大な脅威を与えつつあることを詳細にリポートした。
このような状態で我が国は有事に対応できるのであろうか。何より沖縄に展開する米軍の運用さえ困難になってきているのだ。
昨年12月13日、中国政府航空機が、尖閣諸島の魚釣島南方15kmの日本領空を、自衛隊に一切探知されずに約30分にわたって侵犯した。しかし、米軍関係者が問題を起すと、沖縄県および各市町村議会は直ちに抗議決議を行うにもかかわらず、中国政府に対しては一切、抗議決議は行われなかった。
思えば平成9(1997)年、当時の橋本龍太郎首相が在沖米軍基地反対運動に対し、補助金(沖縄振興開発費)の増額で鎮静化を図ったときから、私は、「米軍基地政策は統制不能に陥る」と直言し続けてきた。
米国政府は沖縄県尖閣諸島海域の情勢を、「同島は既に中国公船の包囲下にある」と分析しており、我が国以上に事態を深刻に受け止めている。
* * *
p4〜
ところで私が本書を執筆したもうひとつの動機がある。
昨年暮れ、私は那覇市内で、昭和35(1960)年に台湾から沖縄に移住してきた台湾出身者に会った。私は彼の話を聞いているうちに、「沖縄は苦難を背負わされているのか?」という疑問が瞬時に霧散するのを覚えたのである。
昭和30年代といえば、台湾は戒厳令下にあった。国共内戦に敗れて台湾へ逃れて来た国民党軍が、住民を徹底的に弾圧していたのである。2・28事件である。
「2・28事件」とは、1947年2月28日、台湾住民が中国国民党の支配に抵抗したため、報復として2万8000人以上が殺害され、遺体までも抹消された事件である。
その台湾出身者は、沖縄に移住して10年ほど経った昭和45年頃、沖縄の住民が米軍基地ゲート前で、「基地撤去!」のピケを張っているのを見て、改めて「平和な島に来た」と安堵したという。「台湾でこういうことをしたら国民党軍に一晩で粛清されました」と言うのだ。
また、その年の12月20日には、コザ市(現・沖縄市)で夜間に暴動が起こり、基地外に駐車していた米軍人の私有車量72台が焼き討ちされる事件が起きた。
間近でこの光景を見ていたその台湾出身者の父は、「2・28事件もこうして起こった」と語った。「米軍が間もなく報復を開始するだろう」。しかし、米軍は一切報復しなかった。
p5〜
余談になるが、その頃、中国大陸では1958年に毛沢東が提唱した大躍進運動が既に頓挫しており、4000万人以上の餓死者を数えていた。その後も、1966年より10年間、文化大革命が吹き荒れ、毛沢東に批判的な知識人、政治家など合計3000万人以上が紅衛兵によって殺害されている。
もし当時、尖閣を含む南西諸島に米軍の影響力がなければ、沖縄の運命はどうなっていたであろうか。
* * *
その中国で、中国共産党の最高責任者である習近平総書記は、共産党幹部中、最も沖縄に関心を寄せている人物だ。
彼は、沖縄県と歴史的に関係の深い福建省に、1985年以来17年間勤務していた。この間、度々沖縄を訪れており、沖縄県の現状と県民性を知り尽くしている。
そればかりか、反米軍運動で顕著な活動をする2人の代表的な首長、翁長雄志那覇市長、桃原正賢元宜野湾市長(昭和60年〜平成8年在任、平成16年6月22日死去)に、それぞれ「福州市名誉市民」「廈門(あもい)市名誉市民」の称号を与えて影響下に置いていたのだ。
p6〜
習氏と交際した地元関係者の話を総合すると、「他の中国共産党幹部と異なり、もの静かで温厚、律儀である」と、人気は極めて高い。
彼らは、習氏が2009年7月に、中国の西端に位置する新疆ウイグル自治区で発生した騒乱で、3000人以上を虐殺して鎮静平定した事実など知る由もないのである。
「歴史はほぼ100年単位で繰り返す」と言われている。明治24(1891)年、清国海軍は日本を威嚇するため、2隻の巨艦を主力とする艦隊を編成して我が国に度々寄港した。しかも、このときも沖縄では中国拝跪熱が高かったのである。今や我が国は、当時の日清戦争前夜を彷彿とさせる環境に突入したと言える。
* * *
私は、拙著が我が国の現政権の政策決定に寄与できることを念じて執筆した。安倍内閣が国家の危機に的確に対処し、また戦後政治の負の連鎖を断ち切ることを祈念してやまないのである。
p228〜
あとがき
時代は、沖縄政策の転換を迫っている。
沖縄県の歴史観は廃藩置県以降、沖縄戦および米国統治時代を含む現代までのすべての事象を、被害者史観でくくっている。そこに左派勢力や第3国が巧みに入り込み扇動してきたため、今や沖縄と本土の関係は、日本と朝鮮半島の関係のように対立の構図へと拡大しているのだ。
一方で、沖縄県財政の国家依存率は実質80%を越えており、毎年、県知事が首相に直接面会し、振興策(補助金)を要求するシーンは、国民意識をもった県民から見れば恥ずかしい限りである。
ところで我が国は、戦後政策で2つの重大な過失を放置してきた。それは、
? 国家が大東亜戦争を総括することなく、沖縄や中国、朝鮮に謝罪を繰り返すため、それらの集団は何度も謝罪と補償を我が国に求めている。加えて、我が国の戦後世代までもが、自虐史観に苛まれており、外交上、劣勢な立ち位置にある。
? 戦後、元帝国陸海軍の高級将校たちが、極東国際軍事裁判判決に反論することなく、あらゆる開戦責任を背負ってこの世を去っていった。
対照的にドイツは戦後、元軍人が戦争責任の是々非々を主体的なビジョンで総括した。その結果、軍人の地位は回復し、再軍備を果たした。今や、ドイツ軍はNATO軍の中核を占めるに至っている。
一方、中国の軍拡は、加速度的に増大している。今後、中国共産党が人民軍を統御するのが困難になる恐れがある。
そこで我が国は一刻も早く憲法を改正し、真の再軍備を果たしつつ、自立国家を建設していく必要があるのだ。(以下略)
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■惠隆之介(めぐみ・りゅうのすけ)
拓殖大学客員教授、『八重山日報』論説委員長。
昭和29(1954)年、沖縄県コザ市生まれ。昭和53年、防衛大学校管理学専攻コース卒業、海上自衛隊幹部候補生学校、世界一周遠洋航海を経て、護衛艦隊勤務。昭和57年退官。その後、琉球銀行勤務。平成9(1997)年米国国務省プログラムで国際金融、国家戦略等研修。著書に「誰も語れなかった沖縄の真実」(WAC)など。
*アソシエイト
http://www.ryunosuke-megumi.com/
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書評 産経新聞2013.4.7 08:34
『沖縄が中国になる日』惠隆之介著
反米反日ムードが広がる沖縄を取り込もうと、中国が工作活動を進めてきた現実の一端を暴く。前知事、現知事とも中国帰化人の子孫であることを掲げて当選しており、かの習近平氏が何度も沖縄を訪問している事実は見逃せない。金正恩第1書記の就任パーティーが堂々と開かれるなど、沖縄と北朝鮮とのつながりが深いことにも驚かされる。沖縄のマスコミによる親中報道も相当に根が深い。
元海自士官の著者が描く中国による沖縄離島侵攻作戦のシミュレーションは相当に現実味がある。実行を未然に防ぐため、県民・国民が危機感を共有する必要がありそうだ。(育鵬社・1365円)
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