シリア 北朝鮮からミサイル購入
NHK NEWS WEB 8月29日4時14分
シリアのアサド政権が、ことし春、北朝鮮から短距離ミサイルおよそ40基を購入したことが明らかになり、化学兵器を使ったとされる問題で欧米諸国から攻撃された場合、報復としてこのミサイルを使って隣国イスラエルを攻撃する可能性も排除できないとみて、アメリカなどが警戒を強めています。
日本や韓国の外交筋がNHKに対して明らかにしたところによりますと、シリアが、ことしの春、射程100キロ余りの短距離ミサイルおよそ40基を北朝鮮から購入したのをアメリカ政府が確認したということです。
ミサイルはいったんシリアの隣国レバノンまで貨物船で運ばれ、そこから、陸路でシリアに運び込まれたとみられています。
アサド政権が化学兵器を使ったとされる問題で欧米諸国から攻撃を受けた場合、報復として、このミサイルでイスラエルを攻撃する可能性も排除できないとみて、アメリカなどが警戒を強めています。
また、これとは別に、ことし4月には、リビア船籍の貨物船が北朝鮮からシリアに向けて、自動小銃やライフル銃など合わせて1400丁、それにガスマスクなどを運んだことも確認されたということです。
シリアと北朝鮮は、以前から軍事面での結びつきが強いことで知られていますが、北朝鮮は国連安全保障理事会の制裁決議で軍事物資の輸出入を禁じられており、今回明らかになった取り引きは、いずれも安保理決議違反に当たるとみられます。
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◇ 『帝国の終焉 「スーパーパワー」でなくなった同盟国・アメリカ』日高義樹著 2012/2/13第1刷発行 2012-10-02 | 読書
p149〜
日本では、アメリカの軍事力が中国を封じ込めているので日本は安全だと信じられてきたが、情勢は逆転しつつある。中国国内の政治が不安定になれば、中国の新しい戦略が発動されて、日本を脅かす危険は十分にある。しかも中国だけでなく、北朝鮮も軍事力を強化している。ワシントンの軍事消息筋は、北朝鮮がすでに数十発の核弾頭を保有し、地対地ミサイルや小型艦艇に装備したミサイルで日本を攻撃する能力を持ったと見ている。
p150〜
北朝鮮はすでに述べたように、世界各国にノドン、テポドンといったミサイルを売り、核爆弾の材料である濃縮ウランの製造にも協力をしている。北朝鮮は、軍事技術の輸出国として莫大な資金を稼ぎ始めているが、その北朝鮮の仮想敵国はまぎれもなく日本である。北朝鮮は中国の政治的な支援を背景に、日本を攻撃できる能力を着実に高めている。
中国と北朝鮮だけではない。いったんは崩壊したと見られるロシアが再びプーチン大統領のもとで軍事力を増強し、極東の軍事体制を強化している。
p151〜
ソビエトは共和国を手放し、ロシアと名を変えたが、冷戦が終わって資源争奪戦の時代に入るや、国内に大量に保有している石油や地下資源を売って経済力を手にし、それによって軍事力を強化し始めている。(略)
ロシアは現在、石油や地下資源で稼いだ資金をもとに、新しい潜水艦やミサイルの開発に力を入れ、ヨーロッパではNATO軍に対抗する姿勢を取り始めている。2009年と10年には、日本海で新しい潜水艦の試験航海を行ったのをはじめ、偵察機や爆撃機を日本周辺に飛ばしている。
ロシアもまた、極東における新たな軍事的脅威になりつつある。ロシアの究極の敵は国境をはさんだ中国といわれているが、海軍力では中国に勝るロシアが、日本列島を越えて中国と海軍力で対立を深めていくのは当然のことと思われる。
p152〜
中国はアメリカに対抗するため、大陸間弾道弾や核兵器の開発に力を入れている。すでに55発から65発の大陸間弾道弾による態勢を確立している。この大陸間弾道弾のなかには、固形燃料で地上での移動が可能な長距離ミサイルや、液体燃料を使う中距離ミサイルなどがある。
中国は潜水艦から発射するミサイルの開発も終わっている。これは中国の核戦略の対象がアメリカであることを示しているが、日本を攻撃できる射程3,000キロのミサイルの開発にも力を入れている。日本が中国の核ミサイルの照準になっていることに、十分注意する必要がある。
中国がアメリカに対抗できる核戦略を持ち、アメリカの核抑止力が日本を守るために発動されるかどうか分からなくなっている以上、日本も核兵器を持つ必要がある。「日本が平和主義でいれば核の恫喝を受けない」という考えは、世界の現実を知らない者の世迷い言に過ぎない。
すでに述べたように、中国は、民主主義や自由主義、国際主義といった西欧の考え方を受け入れることを拒み、独自の論理とアメリカに対抗する軍事力によって世界を相手にしようとしている。第2次大戦以降続いてきた平和主義の構想がいまや役に立たないことは明らかである。日本を取り巻く情勢が世界で最も危険で過酷なものになっているのは、中国が全く新しい論理と軍事力に基づく体制をつくって、世界の秩序を変えようとしているからである。
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