【主張】集団的自衛権 国守る憲法解釈を第一に
産経新聞2013.9.19 03:30
安倍晋三首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)」が論議を再開した。
憲法解釈を見直して集団的自衛権の行使を包括的に容認する提言のまとめを急ぎ、首相は政府の憲法解釈変更と法整備に乗り出すべきだ。
安倍首相は17日の安保法制懇で「憲法解釈は国民の生存や国家の存立を犠牲にするような帰結となってはならない」と述べた。憲法改正には一定の時間がかかる。国と国民を守るためには解釈変更を急がなければならない。首相は、国民や与党内の理解を深めるためにも、指導力を発揮してもらいたい。
安保法制懇が今回とほぼ同じメンバーでまとめた平成20年6月の報告書は、(1)公海上で攻撃された米艦船の防護(2)米国に向かう可能性のある弾道ミサイルの迎撃−などの4類型について、集団的自衛権の行使容認などの憲法解釈変更で可能にするよう提言した。
しかし、限定された事例に備えるだけでは平和は保てなくなっている。中国の軍拡や海洋進出、北朝鮮の核・弾道ミサイル開発など安全保障環境の悪化を考えれば、日米同盟や友好国との安全保障関係の強化が必要だ。
そのためには20年に示した類型にとどまらず、集団的自衛権行使の状況を限定せず、包括的に容認することが欠かせない。
今回の安保法制懇でも新たな検討が行われている。エネルギーの安定供給を考えれば、シーレーン(海上交通路)のパトロールや機雷除去での米国や友好国との共同行動が課題となる。サイバー攻撃に他国と共同対処する必要性も出てくる。安全保障上の問題は複雑多岐であり、「想定外」の出来事に機動的に対応する余地を残しておかなければならない。
行使容認が日米同盟を堅固にする意義も大きい。米国の艦船や航空機、部隊が攻撃され、自衛隊が応戦、防護できる立場にいながら見過ごしたとしたら、米国民がどう考えるかを想像してほしい。
安全保障の基軸である日米同盟は、破綻するだろう。
行使を憲法上、包括的に容認すれば「戦争につながる」との反対論もある。だが、日本がどう動くかは国民の負託を受けた国会と内閣が対応することだ。そのために、どのような歯止め策を設けるかも論じればよい。
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◇ 「国守れぬ憲法は無意味」奥野誠亮元法相/『防衛省と外務省 歪んだ二つのインテリジェンス組織』福山隆著 2013-07-28 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉
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「憲法解釈は国民の生存や国家の存立を犠牲にするような帰結となってはならない」安倍首相 安保法制懇で
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