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脱原発 小泉元首相のしたたかメディア戦略

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脱原発で読売新聞社説に反論し、寄稿 小泉元首相のしたたかメディア戦略
 J-CASTニュース 2013/11/20 11:34
   「安倍晋三首相が決断すれば『原発ゼロ』はできる」――。小泉純一郎元首相が2013年11月12日、東京・内幸町の日本記者クラブで行った会見が波紋を広げている。3.11後に開眼したという脱原発を主張する元首相の攻勢に菅義偉官房長官らは火消しに躍起だ。
   元首相の人気、世論への影響力は少なくないようで、安倍政権といえども小泉発言を完全に無視とはいかないのは間違いない。
*「原発即ゼロは無責任だ」と異を唱えたのは、産経社説
   小泉氏の主張をめぐり、翌13日付の朝刊各紙は賛否が分かれた。朝日新聞、毎日新聞、東京新聞が1面で大きく取り上げ、小泉氏の主張を前向きに評価したのに対して、読売新聞は4面、日本経済新聞と産経新聞は3面で地味な扱いだった。原発推進の読売、日経、産経の中で、小泉氏に「原発即ゼロは無責任だ」と異を唱えたのは、産経の社説(14日付)くらいだった。
   これには理由がある。小泉氏によると、元首相の脱原発発言が注目されるようになったのは、毎日新聞の山田孝男専門編集委員が8月、コラム「風知草」で取り上げてからだ。その後、注目されだした小泉氏の脱原発発言に、正面から異を唱えたのは読売新聞で、社説「小泉元首相発言『原発ゼロ』掲げる見識を疑う」(10月8日付)で、(1)原発の代替策について「知恵ある人が必ず出してくれる」と語るのは楽観的で無責任、(2)火力発電で燃料の輸入が増え、電気料金は上昇を続けている、(3)使用済み核燃料や放射性廃棄物の処分法は技術的に決着している――などと主張した。
*「読売の社説の批判に対して、私がどう思っているかということから始めたい」
   これに対して、小泉氏は会見の冒頭、「読売の社説の批判に対して、私がどう思っているかということから始めたい」と、わざわざ名指しで反論。「原発ゼロという方針を政治が出せば、必ずいい案を作ってくれる。官僚も識者も集め、専門家の知恵を借りて進めていくべきだ」「原発をゼロにし、原発建設に向けた費用を再生可能エネルギーに振り向ければ、様々な代替エネルギーの開発が進んでいく」「日本で核のごみの最終処分場のめどをつけられると思う方が楽観的で無責任すぎる」などと、ボルテージを上げた。
   実は小泉氏は今回の会見よりも先に読売新聞に寄稿して社説に反論している(10月19日付朝刊)。元首相が新聞の社説に反論し、寄稿までするのは異例だ。2005年8月の解散・総選挙で、、刺客を擁立した小泉氏のしたたかさを彷彿とさせる。読売が小泉氏の主張を淡々と伝え、自民党の細田博之幹事長代行が「(小泉氏には)敬意を表するが(原発ゼロは)結論として正しくない」とコメントしたとの報道にとどめたのも、今なお人気の小泉氏との全面戦争を避けたいという思いがありそうだ。
   「最終的には国民ですね。世論は軽視できない。大きな底流となっている世論をどう読むかも政治家として大事」「国民の声が、本当に原発ゼロが望ましいというのがだんだん政府に届いていけば、総理だって気づいてくると思いますよ。それが民主主義じゃないでしょうか」――。小泉氏からのそんな言葉が安倍首相を動かす気配は今のところない。
 ◎上記事の著作権は[J-CASTニュース]に帰属します
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小泉氏の背後に見え隠れする石油メジャーとアメリカ 【安倍叩き】田中角栄氏、小沢一郎氏を潰したように 2013-11-13 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉 
 〈来栖の独白2013/11/13 Wed. 〉
 一体どうなっているんだろう、と(小泉、細川元首相の動きに)不審を募らせていたが、少し分かりかけてきた。やはり、石油メジャーによるプロパガンダだ。そこへ、安倍潰しを社是とする朝日新聞など、メディアが活気づいたのだろう。安倍潰しに、「脱原発」は、好材料、申し分ない戦略だ。
 ただ日本の石油メジャーだけでは、力不足。アメリカも、糸を引いているだろう。「日中友好」の田中角栄氏をロッキード事件で潰し、「日米中 正三角形」の小沢一郎氏を陸山会事件で潰したように。安倍晋三氏は昨年12月「日本を取り戻す」と云った。何から取り戻すのか。アメリカから、だと私は思う。憲法改正を悲願とする安倍さんだ。属国憲法を廃し、戦勝・占領国アメリカから日本の真の独立を取り戻す。そういう総理を、アメリカが潰しに掛かっている。親米の小泉氏をのせるのは、いとも容易かった。国民はこの珍現象を「小泉劇場」などとエンタメにせず、しっかりと深層に目を凝らさなければならない。そうしなければ、この国は再び失われてしまう。
 アメリカはシェールガス・オイル産出によって、エネルギー輸出国となる。日本が原発をやめてエネルギーに窮し、中東からも買えない、という最悪の事態を想定してみると、分かりやすい。原発をやめた日本の生殺与奪を握るのはアメリカである。68年前、アメリカから石油を止められ(禁輸)、日本は戦争に負けた。
 正に、原発の経済性と安全性の議論だけでは、なぜ、原発を持たなければならないのかを十分に議論することはできない。
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「原発ゼロ、総理の決断次第」〈小泉元首相の会見全文〉
 小泉純一郎元首相が12日、日本記者クラブで会見した内容は次の通り。
小泉氏「原発、即ゼロに」
 【原発ゼロ】
 本日はお招きいただき、ありがとうございます。総理を退任してからテレビ出演もしていないし、インタビューも全てお断りしてきた。毎日新聞の山田(孝男・専門編集委員)記者が8月、私のオンカロ(フィンランドの高レベル放射性廃棄物の最終処分場)視察をコラムで取り上げてくれた。短い文章だが、実にうまく要点を取り上げていた。あれから、一斉にマスメディアが私に注目し出した。3・11の事故が起きて以来、ずっと似たような話をしてきた。記者が来て何を書こうが勝手だった。毎日の記者が書くまでは無視していた。コラムが出てから、いろんな方から(インタビューの)申し込みがあってお断りするのも大変だった。
 最初に、原発問題だ。10月、読売新聞が社説で「『原発ゼロ』掲げる見識を疑う」と題して私の発言を批判していた。この批判に対する意見から始めたい。一つは、「原発ゼロ」にした後の代替策を出さないで発言するのは、楽観的で無責任だということだ。しかし、原発問題は広くて大きくて深い問題ですよ。国会議員だけで代案を出そうったってなかなかできない。まして私一人が代案をだすのは不可能だ。だから、政治が一番大事なのは、方針を示すことだ。「原発ゼロ」という方針を政治が出せば、必ず知恵のある人がいい案を出してくれる、というのが私の考えだ。「原発ゼロ」に賛同する専門家、文部科学省、環境省、官僚、識者を集めて、何年かけてゼロにするか、どういうふうに促進するのか、40〜50年かかる廃炉の技術者をどう確保するか、「原発ゼロ」後の地域の発展や雇用をどう考えるか。こういう問題を、国会議員、一政党、一議員だけで出せるわけないじゃないですか。だから、専門家の知恵を借りて、その結論を尊重して進めていくべきだというのが私の考えだ。
■新技術で代替エネルギー確保は可能
 もう一つの批判は、ゼロにすれば火力発電やさまざまな電源の調達のため電気料金が上がり、CO2の排出量が増えると。しかし、日本の技術は、時代の変化を読むのに非常に敏感だ。つい最近も、新日本石油の社長をしていた渡(文明)さんにお会いして、「数年以内に燃料電池車が実用化される。うちはもう水素供給スタンドを用意している」と。電気自動車よりも早く燃料電池車が実用化する、と自信を持った。燃料電池車はCO2を出さない。トヨタにしてもホンダにしても日産にしても、自動車会社はハイブリッド車を必死に開発している。夜中に寝ているうちに充電できる。できるだけCO2を出さない自動車の開発が進んでいる。LEDだってそう。設置費用が多少高くても、省エネの観点からLEDを使う家庭が白熱灯を使う家庭より多い。日本の国民は、実に環境に協力的だ。
 先日、清水建設にいった。去年建て替えた新本社になってから、CO2の排出量は7割削減したという。太陽光パネルにしたからだ。そして、本社内はすべてLEDを採用している。明るいときは太陽光パネルだけで仕事ができる。曇ればLEDの電気がつく。自動調節だ。なお、エネコン。輻射熱(ふくしゃねつ)によって音のしない、自動的に快適な温度にするエネコンを全社のビルにつけちゃった。今までは(エアコンの)風の音で騒音が入ってこなかったが、新本社で外の騒音が入ってくるようになっちゃったぐらい静かになった。そういう技術を持っている。新しいコンサートホールはいずれ、音のしないエネコンを導入するだろう。日本の技術力はたいしたもんだ。
 先日、三菱重工が石炭火力発電所を建設する際に大気汚染を防止する技術を開発したという記事が日経新聞にあった。さまざまな再生可能エネルギー、水力、太陽光、風力、地熱。原発の建設に向けた費用を、そちらにふり向ければいい。さまざまな代替エネルギーの開発技術を日本の企業は持っている。そういう企業に、日本国民は協力する。多少高くても。
 「原発ゼロ」政策を進めるドイツに8月行ってきた。太陽光、風力、バイオマスの施設に行って担当者と話したが、最初に会社を立ち上げるときは数名だった。お金がない、投資する人がいない。ところが政府が進めて、採算がとれるようになって大規模になった。だいたいが地産地消(のエネルギー)だ。地域の電力をまかなうためにつくればいい。バイオマスは、牛の糞(くそ)や馬の糞まで電気に変える。トウモロコシも電力用に分けてつくる。出た残りカスは地元農家の肥料となる。まさに地産地消態勢だ。日本だってこれはできる。廃材もバイオエタノールにできる。ブラジルにも行ったが、町の中にはガソリンスタンドと一緒に、砂糖キビからつくるバイオエタノールが併設され、同じスタンドで供給できる。さまざまな知恵がある。
 太陽光は日が陰ればダメ、風力は風がやんだらダメと言うが、太陽光も風力も蓄電技術が開発される。陸上だけじゃなくて洋上でもできる。地熱だって蒸気で電気が起こせる。専門家や発明家の知恵を借りていけば、今では想像できないような代替エネルギーが確保できるのではないか。
■核のごみ、原発必要論者こそ楽観的で無責任
 もう一つ、これが「原発ゼロ」批判の中心だが、核のごみ。(高レベル放射性廃棄物の最終処分場は)技術的に決着していて、問題は最終処分場が見つからないことだと。ここまでは原発必要論者とわたしは一緒だ。ここからが違う。必要論者は「処分場のめどがつかない」と言う。めどをつけるのが政治の責任ではないか。めどをつけないのがいけないんだ。
 私の結論から言うと、日本において、核のごみの最終処分場のめどをつけられると思う方が楽観的で無責任すぎる。10年前から技術的に決着している、10年以上かけて一つも見つけることができない、政治の責任で進めようと思ってもできなかった。原発事故の後、これから政治の責任で見つけなさいというのが、必要論者の主張だ。よっぽど、楽観的で無責任だ。
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 ◎上記事の著作権は[朝日新聞デジタル]に帰属します
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風知草:小泉純一郎の「原発ゼロ」=山田孝男
毎日新聞 2013年08月26日 東京朝刊
 脱原発、行って納得、見て確信−−。今月中旬、脱原発のドイツと原発推進のフィンランドを視察した小泉純一郎元首相(71)の感想はそれに尽きる。
 三菱重工業、東芝、日立製作所の原発担当幹部とゼネコン幹部、計5人が同行した。道中、ある社の幹部が小泉にささやいた。「あなたは影響力がある。考えを変えて我々の味方になってくれませんか」
 小泉が答えた。
 「オレの今までの人生経験から言うとね、重要な問題ってのは、10人いて3人が賛成すれば、2人は反対で、後の5人は『どっちでもいい』というようなケースが多いんだよ」
 「いま、オレが現役に戻って、態度未定の国会議員を説得するとしてね、『原発は必要』という線でまとめる自信はない。今回いろいろ見て、『原発ゼロ』という方向なら説得できると思ったな。ますますその自信が深まったよ」
 3・11以来、折に触れて脱原発を発信してきた自民党の元首相と、原発護持を求める産業界主流の、さりげなく見えて真剣な探り合いの一幕だった。
 呉越同舟の旅の伏線は4月、経団連企業トップと小泉が参加したシンポジウムにあった。経営者が口々に原発維持を求めた後、小泉が「ダメだ」と一喝、一座がシュンとなった。
 その直後、小泉はフィンランドの核廃棄物最終処分場「オンカロ」見学を思い立つ。自然エネルギーの地産地消が進むドイツも見る旅程。原発関連企業に声をかけると反応がよく、原発に対する賛否を超えた視察団が編成された。
 原発は「トイレなきマンション」である。どの国も核廃棄物最終処分場(=トイレ)を造りたいが、危険施設だから引き受け手がない。「オンカロ」は世界で唯一、着工された最終処分場だ。2020年から一部で利用が始まる。
 原発の使用済み核燃料を10万年、「オンカロ」の地中深く保管して毒性を抜くという。人類史上、それほどの歳月に耐えた構造物は存在しない。10万年どころか、100年後の地球と人類のありようさえ想像を超えるのに、現在の知識と技術で超危険物を埋めることが許されるのか。
 帰国した小泉に感想を聞く機会があった。
−−どう見ました?
 「10万年だよ。300年後に考える(見直す)っていうんだけど、みんな死んでるよ。日本の場合、そもそも捨て場所がない。原発ゼロしかないよ」
−−今すぐゼロは暴論という声が優勢ですが。
 「逆だよ、逆。今ゼロという方針を打ち出さないと将来ゼロにするのは難しいんだよ。野党はみんな原発ゼロに賛成だ。総理が決断すりゃできる。あとは知恵者が知恵を出す」
 「戦はシンガリ(退却軍の最後尾で敵の追撃を防ぐ部隊)がいちばん難しいんだよ。撤退が」
 「昭和の戦争だって、満州(中国東北部)から撤退すればいいのに、できなかった。『原発を失ったら経済成長できない』と経済界は言うけど、そんなことないね。昔も『満州は日本の生命線』と言ったけど、満州を失ったって日本は発展したじゃないか」
 「必要は発明の母って言うだろ? 敗戦、石油ショック、東日本大震災。ピンチはチャンス。自然を資源にする循環型社会を、日本がつくりゃいい」
 もとより脱原発の私は小気味よく聞いた。原発護持派は、小泉節といえども受け入れまい。5割の態度未定者にこそ知っていただきたいと思う。(敬称略)(毎週月曜日に掲載)
 ◎上記事の著作権は[毎日新聞]に帰属します *強調(太字・着色)は来栖
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軽率で無責任な小泉氏の「原発即ゼロ」発言 非核保有国の中で再処理を認められているのは、日本だけ 2013-11-14 | 政治/原発 
【主張】小泉会見 「原発即ゼロ」は無責任だ
 産経ニュース2013.11.14 03:15 [主張]
 国のエネルギー政策の根幹に関わる問題であるにもかかわらず、あまりにも軽率で無責任な発言にすぎないか。
 小泉純一郎元首相が行った記者会見での主張である。国内の原発について「すぐゼロにした方がよい」と述べた。
 論拠は、原子力発電で生じる高レベル放射性廃棄物を地中深く埋める最終処分場が決まっていないことにあるようだ。「10年以上かけて1つも見つけられない」と批判した。
 この問題を小泉氏が考えることになった契機は今夏、フィンランドの最終処分場を見学したことにあるという。岩盤を深度400メートルまで掘った地下施設だ。日本も同様の地層処分を計画しているが、火山や地震が多い日本列島での実現性に疑問を持ったらしい。
 国内での最終処分は、法律に基づいて平成12年に設立された原子力発電環境整備機構(NUMO)が担当している。第1次小泉内閣発足とほぼ横並びの誕生だ。
 今になって最終処分場の立地難を、その小泉氏が問題提起をするのは不可思議でならない。
 最終処分場の候補地選びは反対運動もあって遅れ気味だ。以前に内閣府が行った世論調査では、回答者の8割が処分地決定の必要性を認めたが、自分の市町村や近隣への設置となると同じく8割が反対した。それほど機微な要素がある。安易な批判は遅滞を招く。
 会見では核燃料サイクルの中止も提案したが、これもまずい。非核保有国の中で再処理を認められているのは、日本だけであるという事実を忘れてはなるまい。原子力を他のエネルギーと同列に扱うことは、日米関係や国際情勢とも齟齬(そご)を来す。
 小泉氏の言説に従って原発即時ゼロの道を歩めば一挙に廃炉のコストが膨らみ、再生可能エネルギー開発に回す余力も消える。その奇抜な提案は「ハーメルンの笛吹き男」に通じる危うさがある。
 氏は科学的知見に基づいて物を言っているのか。
 エネルギー資源の最貧国に等しい日本が台頭するアジアに伍(ご)して経済発展を続けるには、安定供給を可能にする原子力の利用が不可欠であることは自明だろう。
 ただし、安倍晋三政権も原発を含めた日本のエネルギー比率をまだ定めていない。小泉発言に惑わされることなく、全原発の早期再稼働を即決してもらいたい。
 ◎上記事の著作権は[産経新聞]に帰属します
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〈来栖の独白〉
 同感。
>論拠は、原子力発電で生じる高レベル放射性廃棄物を地中深く埋める最終処分場が決まっていない
 小泉氏の「錯覚」である、と池田信夫氏は言う。 おまけに、卑見だが、石油メジャーやアメリカのハンドラーズに踊らされている。とんでもない調子者、と云わざるを得ない。
 原発は、経済性と安全性の問題だけで考えていては、いけない。なぜ、多くの国が原発をやろうとするのか、「原発保有国の本音」に聞いてみることが肝要だ。
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中韓が狙う「使用済み燃料再処理技術=核兵器に転換可能なプルトニウム抽出」〜日本しか認められていない 2013-04-08 | 政治/原発
韓国が羨む「使用済み核燃料の再処理特権」 六ヶ所の稼働を急げ 金子熊夫 2013-07-08 | 政治/原発
核兵器に転用可能なプルトニウム/日米再処理交渉1977年/「核武装 疑念晴れず」×「エネルギー源 期待」 2012-01-24 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉
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原発保有国の語られざる本音 / 多くの国は本音の部分では核兵器を持ちたいと思っているようであり2011-05-10 | 政治〈国防/安全保障/領土〉
  知らないのは日本人だけ? 世界の原発保有国の語られざる本音
  JB PRESS 2011.05.10(Tue)川島博之〈東京大学大学院農学生命科学研究科准教授〉
 4月の最終週に、ドバイ経由でエチオピアに出張した。出張ではホテルのロビーなどで外国人と何気ない会話を交わすことも多いのだが、今回出会った人々は、私が日本人と分かると、異口同音に「FUKUSHIMA」について聞いてきた。世界の人々が原発事故に関心を寄せているのだ。福島は広島、長崎と共に、広く世界に知られた地名になってしまった。
 日本はこれからも原子力発電を続けるべきであろうか。それとも、原発は取り止めるべきなのだろうか。
 報道各社による直近の世論調査では、賛否はほぼ拮抗している。多くの人が、地震が多い日本で原子力発電を行うことはリスクが伴うが、便利な生活を送るためには仕方がないと考えているのだろう。
 現在は、原発から漏れている放射性物質の封じ込めや津波で破壊された町の復興に関心が集まっているが、一段落つけば、これから原発とどう付き合うか、真剣に議論しなければならなくなる。
 その議論を行う前に、世界の原発事情についてよく知っておくべきだ。フランスが原発大国であることを知っている人は多いと思うが、その他の国の事情については、よく知られていないと思う。
 筆者の専門はシステム分析だが、システム分析ではデータを揃えて広い視野から先入観を持たずに現実を直視することが第一歩となる。そこで本稿ではIEA(国際エネルギー機関)のデータを基に、世界の原発事情について考えてみたい。そこからは原発の意外な一面が見えてくる。
*原発を所有する国の意外な顔ぶれ
 原発は最先端の科学技術を利用したものであるから、先進国にあると思っている人が多いと思う。しかし、調べて見るとどうもそうとは言い切れない。
 現在、31カ国が原発を所有している。原発による発電量が最も多い国は米国であり、その発電量は石油換算(TOE)で年に2億1800万トンにもなる(2008年)。
 それにフランスの1億1500万トン、日本の6730万トン、ロシアの4280万トン、韓国の3930万トン、ドイツの3870万トン、カナダの2450万トンが続く。日本は世界第3位だが、韓国も第5位につけており、ドイツを上回っている。
 その他を見ると、意外にも旧共産圏に多い。チェルノブイリを抱えるウクライナは今でも原発保有国だ。石油換算で2340万トンもの発電を行っている。その他でも、チェコが694万トン、スロバキアが440万トン、ブルガリが413万トン、ハンガリーが388万トン、ルーマニアが293万トン、リトアニアが262万トン、スロベニアが164万トン、アルメニアが64万トンとなっている。
 旧共産圏以外では、中国が1780万トン、台湾が1060万トン、インドが383万トン、ブラジルが364万トン、南アフリカが339万トン、メキシコが256万トン、アルゼンチンが191万トン、パキスタンが42万トンである。
 その他では、環境問題に関心が深いとされるスウェーデンが意外にも1670万トンと原発大国になっている。また、スペインが1540万トン、イギリスが1370万トン、ベルギーが1190万トン、スイスが725万トン、フィンランドが598万トン、オランダが109万トンとなっている。
 原発を保有している国はここに示したものが全てであり、先進国でもオーストリア、オーストラリア、デンマーク、アイルランド、イタリア、ノルウェー、ニュージーランド、ポルトガルは原発を所有していない。
 ここまで見てくると、一概に原発は先進国の持ち物と言うことができないことが分かろう。
*多くの国は本音で核兵器を持ちたがっている
 東欧諸国は旧共産圏時代に建設し、今でもそれを保有している。しかし、台湾やインド、ブラジル、南アフリカ、パキスタンになぜ原発があるのだろうか。韓国の発電量がなぜドイツよりも多いのであろうか。また、G7の一員でありながら、なぜイタリアには原発がないのか。
 原発の有無は、その国の科学技術力や経済力だけでは決められない。
 ある国が原発を所有する理由を明確に知ることは難しい。その国の人に聞いても、明確な答えは返ってこないと思う。しかし、原発を持っている国名を列記すると、その理由がおぼろげながら見えてくる。原発は国家の安全保障政策に関係している。
 原子力による発電は原子力の平和利用であるが、ウランを燃焼させることにより生じるプルトニウムは原子爆弾の原料になる。また、原発を製造しそれを維持する技術は、原爆を製造する技術につながる。原発を持っている国は、何かの際に短時間で原爆を作ることができるのである。
 北朝鮮が原爆の所有にこだわり、それを手にした結果、米国に対して強い立場で交渉できる。この事実は広く知られている。そのために、イランも原爆を欲しがっている。
 米国が主導する世界では、世界の警察官である国連の常任理事国以外は核兵器を所有してはいけないことになっている。それ以外の国が原爆を持つことは、警察官以外が拳銃を持つようなものであり、厳しく制限されている。
 しかし、各国の利害が複雑にぶつかり合う世界では、金正日が米国に強気に出ることができるように、核兵器を持っていることは外交上で有利に働くと考えられている。
 多くの国は、本音の部分では核兵器を持ちたいと思っているようであり、原発保有国のリストと発電量を見ていると、その思いの強さが伝わってくる。
*フランスが原発大国でイギリスの原発が小規模な理由
 日本では、フランスが原発大国であることはよく報じられるが、その理由が語られることはない。フランスが原発に舵を切ったのは、地球環境問題がやかましく言われるようになった1990年代以前のことである。フランスはCO2を排出しない発電方法として原発を選んだわけではないのである。
 それには、西側にいながら米国と一線を画したいと考えるドゴール以来の外交方針が関連していると考えるべきであろう。同様の思いは、国防に関心が深いスウェーデンやスイスにも共通する。また、フィンランドは常にソ連の脅威にさらされてきた。
 そう考えると、西側の中でもイギリスの原発発電量がスウェーデンよりも少なく、フランスの約1割に過ぎないことがよく理解できよう。イギリスの外交方針が米国と大きく異なることは多くない。原子力の力を誇示して、ことさらに米国と一線を画す必要はないのである。
 韓国に原発が多いことも理解できる。米国が作り出す安全保障体制の中で原爆を持つことは許されないが、北朝鮮が持っている以上、何かの際に原爆を作りたいと考えている。
 その思いは台湾も同じである。旧共産圏に属する小国が、多少のリスクに目をつぶって原発を保持し続ける理由もそこにある。東西の谷間に埋もれるなかで、少しでもその存在感を誇示したいと思っているのだ。
*「絶対安全」とは言えない原発の所有を国民にどう説明するか
 このような力の外交の一助として原発を位置づけるという考え方は、多くの国で国民にそれなりの理解を得ているようだ。だから、フランスや韓国や台湾、ましてパキスタンで反原発のデモが繰り返されることはない。
 しかし、日本、ドイツ、イタリアではそのような考え方は国民のコンセンサスとはなり難い。言うまでもなく、この3国は第2次世界大戦の敗戦国であり、多くの国民は力による外交を毛嫌いしている。そのために、原発の所持を安全保障の観点から国民に説明することが難しくなっている。
 この3国では原発所持の理由を、経済性や絶対安全であるとする観点から説明することになる。しかし、それだけでは、使用済み燃料の最終処理に多額の費用を要し、また、福島の事故で明らかになったように、絶対安全とは言えない原発の所有を国民に説明することはできない。
 イタリアはチェルノブイリ原発事故の後に国民投票を行い、原発を廃止した。また、ドイツも緑の党などが強く反対するために、福島の事故を受けて、原発の保有が大きな岐路に立たされている。
 ここに述べたことを文書などで裏付けることは難しい。しかし、原発の保有国リストや発電量を見ていると、自然な形で、ここに述べたようなことが見えてくる。世界から見れば、日本の原子力政策も潜在核保有力の誇示に見えていることであろう。
 これまで、日本における原発に関する議論は、意識的かどうかは分からないが、本稿に述べた視点を無視してきた。
 しかし、原発の経済性と安全性の議論だけでは、なぜ、原発を持たなければならないのかを十分に議論することはできない。福島の事故を受けて、今後のエネルギー政策を考える際には、ぜひ、タブーを取り除いて議論すべきであろう。
 戦後66年が経過しようとしている。少子高齢化も進行している。そろそろ、老成した議論を始めてもよいのではないであろうか。(背景の着色は来栖)
〈筆者プロフィール〉
川島 博之 Hiroyuki Kawashima
 東京大学大学院農学生命科学研究科准教授。1953年生まれ。77年東京水産大学卒業、83年東京大学大学院工学系研究科博士課程単位取得のうえ退学(工学博士)。東京大学生産技術研究所助手、農林水産省農業環境技術研究所主任研究官、ロンドン大学客員研究員などを経て、現職。主な著書に『農民国家 中国の限界』『「食糧危機」をあおってはいけない』『「食糧自給率」の罠』など
・世界の中の日本 メイド・イン・ジャパンの製品を世界中に売りまくりジャパンバッシング(日本叩き)が沸き起こっていたのは遠い過去の話となった。今では何を求めても反応すらしない国(ジャパンミッシング)として世界から忘れられようとしている世界第2位の経済大国ニッポン。国際社会から孤立しないためには何をすべきなのか。海外に張り巡らされた日本人随一のネットワークを生かして、日本の取るべき針路を考察する。
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