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契約期間外の指導と“オレ流”/落合GMの協約違反疑惑への賛否/NPBは、今こそ明確な基準と運営を

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契約期間外の指導と、“オレ流”。NPBは、今こそ明確な基準と運営を!
 Number Web 1月19日(日)16時31分配信
現役時代から“オレ流”指導には定評があるだけに、今回の騒動がもどかしい。野球協約の信頼性を取り戻すためにも、NPBにははっきりとした結論を出してほしい。
 そこんとこははっきりして欲しいし、しなければいけないのではないのか――。
 年明け早々に中日・落合博満GMの行動が物議を醸した。
 1月7日、ナゴヤ球場の視察に訪れた同GMが、たまたま室内練習場で自主トレをしていた松井佑介外野手に対し、100分間にも渡って指導した。
 このことが「球団又は選手は」選手契約期間外の12月1日から1月31日のポストシーズンは「いかなる野球試合又は合同練習あるいは野球指導も行うことはできない」と規定している「野球協約第173条」に抵触するのではないかと問題になったわけである。
 当の落合GMは「オレはユニフォームを着ていない。それは監督、コーチのこと。協約は全部、確認している」と説明。また中日球団も「わざわざ集めたわけではなく、選手が自由意志で聞いている。法の精神を考えれば協約に違反する話じゃないと思っている」(西山和夫球団代表)と問題はないという見解を示してNPBに報告した。
 報告を受けた熊崎勝彦新コミッショナーも「文言だけを見たら(野球協約)違反じゃないかというが、色々な角度から見ていかなければならない。球界の実情に合うにはどうしたらいいか……」と「173条」の在り方そのものを含めて、含みを持たせた考えを示している。
 以上が落合GMの“協約違反疑惑”に関する事実経過である。
*そもそも、この「173条」は今の時代に合うのか。
 さて、この一連の事実経過で、問題はいくつかある。
 大きな部分では、この「173条」が今の時代に合ったものなのかどうかということだ。
 すでに新人選手については、プロの練習方法などが分からないため1月からトレーニングコーチによる指導は認められている。また、キャンプイン直前に各球団の選手会が、自主的に選手を集めて合同練習をするのも当たり前の風景となっている。
 そうした流れから入団5年以内の若手選手には、本人が希望すればコーチが指導してもいいのではないか、という声は前々からあるのも事実だ。その点を踏まえて熊崎コミッショナーも「球界の実情に合うにはどうしたらいいか……」と含みを持たせた考えを示したわけだ。
*現在あるルールは、それでも守らなければならない。
 だからこの「173条」そのものが、時代に沿うものかどうか、改訂の必要があるのかどうか。今回の騒動が提起した大きな問題はそこにあるわけだ。
 ただ、である。
 その一方で、たとえ実情にそぐわなくなっているとはいえ、現状では「173条」という協約は、まだ球界における厳然としたルールである。
 そのルールを守らなければ、それなりの罰則を受けるのは当たり前で、もし落合GMの行為が抵触すると判断されるなら、NPBからの注意なり、なんらかの“処分”が出なければおかしなこととなるだろう。
 例えば昨年、球界を揺るがした統一球問題も、アグリーメントの反発係数に反するボールが使用されていたのだから、そのボールを正規のボールに変更した行為自体は正しかった。しかしいくら行為が正しくとも、正しい手続きを踏まずに、極秘裏に行なったことで責任は追及されて然るべきだったわけである。
 そう考えると偶発的だったとか、強制的ではなかったということは、根本的な問題ではないはずだ。問題は落合GMの行為そのものが野球協約違反だったのかどうか。その点をNPBは明確に示す義務があるはずなのだ。
*GMやフロント関係者は「球団」に含まれるか?
 そして、ここで注目しなければならないのは、当事者である落合GMの発言である。
 「オレはユニフォームを着ていない。それは監督、コーチのこと」
 この発言から落合GMも、GMという立場だからセーフで、逆に言えば同じことを監督、コーチなどのユニフォーム組がやったらアウトだと認めていることになる。要は行為そのものは「173条」に違反する指導にあたるが、行為者が協約で規定されていない立場だからセーフだという見解なのである。
 だとすれば、今度はGMないしはフロントの職員は選手の指導をしてもいいのかどうか、ということを明確にしなければならない。
 「173条」は「球団又は選手は」と指導する側と指導される側を一緒に括って、ポストシーズンの禁止行為を規定している。
 常識的に考えれば、「球団」という部分にはフロント関係者も含まれるはずだ。そうでなければ例えばスカウトが新人を指導する、また前年までコーチだった人間が、フロント入りしたら選手を指導できるということになってしまう。
*抜け道を塞ぐためにも、はっきりさせて欲しい。
 昨オフから阪神のGM付育成&打撃コーディネーターに就いた掛布雅之さんは、やはりオフの指導を巡ってNPBに問い合わせたという。
 すると「判断は任せるが、これが前例としてまかり通ると、今後、他球団も評論家に対してアドバイザーなりのグレーな肩書きを与えてオフの指導を行なうようなことが日常化してしまう可能性も出てくる」という回答だったため、指導は控えたと語っている(詳しくはTHE PAGE「落合GMの協約違反疑惑への賛否」を参照)。
 ましてや落合GMは完全に球団に所属し、しかもやっかいなのは年俸を査定して選手と交渉する立場にあるということだ。
 もしGMだから指導が許されるということになれば、強制しなくても指導を受け、GMにアピールする(それが査定に響くかもしれないと考える選手がいてもおかしくない)ために選手が、いつ来るか分からない室内練習場に集まるような事態も考えられる。それはある意味、パワハラ、無言の強制ということにもなりかねない。
 別に今回の件で落合GMに重罰を科す必要などないとは思う。ただ、同GMが語るように、ユニフォームを着ていないフロント組ならば指導しても「173条」には抵触しないのかどうかについては、NPB及び熊崎新コミッショナーはきちっと見解を明らかにすべきである。
 そこをはっきりしないで今回の問題をうやむやにしてしまっては、NPBはこれまでの何も出来ない組織のまま、ということになってしまうのではないだろうか。(「プロ野球亭日乗」鷲田康 = 文)
 ◎上記事の著作権は[Yahoo!JAPAN ニュース]に帰属します
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落合GMの協約違反疑惑への賛否(文責・掛布雅之/野球評論家)
  THE PADE 2014.1.10 09:00
 中日の落合博満GMが名古屋の室内練習場で、自主トレ中だった松井佑介外野手に打撃指導したことに関して「野球協約違反ではないか」という声が上がっている。コミッショナー事務局は、今回の落合GMの行動を不問にする見解を示しているようだが、プロ選手会は、まだ態度を明らかにしていない。
 ここまでの経緯を報道でしか知らないことを断っておくが、今回、落合GMが起こした騒動に関して2つのことを考えた。「落合GMの行動の是非」と、「現在のポストシーズン制度を見直すべきではないか」という議論だ。*若手選手からは“指導”の要望があった
 私は、阪神のGM付育成&打撃コーディネイターとして高知県・安芸で行われた秋季キャンプで、若手野手への指導を行ったが、指導者の立場からすれば、12、1月の2か月という空白が非常に不安なものに感じた。選手自身も、秋季キャンプでつかんだ感覚を忘れたくなかったようで「明日にも開幕を迎えたいんです」という話をしていた。
 秋季キャンプ中には、ホテルに素振り部屋を一室用意してもらい、そこで伊藤隼太、森田一成、中谷将大という3人の選手を一人ずつ呼んで、1対1の空間でスポンジボールを打たせながら教えた。彼らは、そこで何かのヒントをつかんだようで、「12、1月のオフにも同じような指導をお願いできないでしょうか」というリクエストがあった。
*野球協約で禁止されている選手への指導
 野球協約の173条(別項)では「球団または選手は、毎年12月1日から翌年1月31日までの期間においては、いかなる野球試合または合同練習あるいは野球指導も行うことは出来ない。ただし、コミッショナーが特に許可した場合(海外キャンプのケースが該当)はこの限りではない。なお、選手が球団の命令にもとづかず自由意思によって基礎練習を行なうことを妨げない」と明記されている。
 私にはコーディネイターという球団の役職と同時に野球評論家という立場がある。正確に言えば、コーチでもフロントでもない。落合GMは「ユニホームを着ていないから」と、球団フロントの人間が、ポストシーズンに選手を教えることに問題はないという独自理論を語ったらしいが、私は、第三者を通じてコミッショナー事務局に「私のような立場の人間がポストシーズンに選手を教えていいものか」ということを問い合わせた。

 その答えは、白でも黒でもなくグレーというものだった。
  ”しかし、このことが前例としてまかり通ると、今後、他球団も評論家に対してアドバイザーなりのグレーな肩書きを与えて、オフの指導を行うようなことが日常化してしまう可能性も出てくる。掛布さんの判断に任せるが、そういうことを承知しておいて欲しい”という見解だった。私は、現状のルールに照らし合わせて、グレーであるならば、球団及び選手に迷惑がかかることを考えて行動を控えた。
*落合氏の勝手な解釈は間違っている
 そういう経緯があっただけにGMという立場にある落合氏の行動には、非常に違和感を覚えた。勝手に協約を解釈してしまうことは間違っている。落合GMなりに野球協約を読み込み、解釈がグレーであることと、ポストシーズンのあり方への議論を喚起させるためのメッセージとして、あえて問題行動をしたのかもしれないが、そのやり方も間違っている。GMという立場にある人間ならば、なおさら野球界のルールには神経を尖らせて遵守しなければならないだろう。実力行使をする前に、まずコミッショナーサイド、選手会サイドと、堂々と議論、協議をすべきである。
*ポストシーズンは選手会が勝ち取った権利
 そもそも、この野球協約173条のポストシーズンを遵守する問題は、私が中畑監督と共にプロ野球労組・選手会の幹部をしていた時代に勝ち取った権利だ。プロ野球選手は、2月から11月までの10か月の報酬しかもらっていないが、報酬のないオフの2か月間も球団に強制されるキャンプまがいの合同自主トレが横行していた。我々は、FA、10年選手制度の復活などの権利獲得を目指していたので、その前段階として「給料をもらっていない期間に球団の拘束を受けるのはおかしいでしょう」と、選手の権利確立を目指した。まずは、うやむやになっていた野球協約173条の遵守を12球団に通達したのである。結果、合同自主トレは廃止、現在に至っている。
*時代が変わった今、ポストシーズンを見直すべき
 落合GMの気持ちを理解できる部分もある。私も、選手会としてFAなどの権利を得た現在、ポストシーズンに関しては、見直すべき時期ではないかと考えている。レギュラー獲得を狙う若手の選手からすれば、成長の機会を阻害される邪魔なルールだ。プロの“イロハ”がわからぬ新人選手に関しては、指導者がいなければ、故障発生などの支障があるため、特別に新人合同自主トレが認められているが、若手もベテランも同じルールに当てはめることは考え直していい。
 例えば、入団5年目以内の選手に関しては、本人が指導を受けたい旨を事前に申請しておけば、球団フロント及びユニホーム組との接触、指導を認めるなどの新しい解釈、もしくは改正を考えてもいいのではないか、合同自主トレなどの集団的な指導の再開ではなく、あくまでも若手選手主体の“レッスン”であれば容認すればどうだろう。選手の全体的なレベルアップ、プロ野球界の底上げのためにも考えるべき案件である。
*選手会からも行動を
 本来、これらの改正案は、球団側からだけでなく選手会サイドからも提案すべき筋合いの話だろうとは思うが……。中日の選手会が、今回の落合GMの行動を「自然な偶発的な形で球団フロントが選手を教えることに問題がない」と問題視しないのならば、中日の選手会が最初に、そういう声を挙げてもいいだろう。
(文責・掛布雅之/野球評論家/構成・本郷陽一)
 ◎上記事の著作権は[THE PADE]に帰属します 
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