オウム中川死刑囚を証人尋問
REUTERS 2014年 01月 21日 10:43 JST
公証役場事務長拉致事件の逮捕監禁罪などに問われたオウム真理教元幹部平田信被告(48)の裁判員裁判で東京地裁は21日、元幹部中川智正死刑囚(51)の証人尋問を実施した。確定死刑囚の法廷での証人尋問は極めて異例だ。
中川死刑囚は冒頭「この場をお借りしておわびしたい。誠に申し訳ありませんでした」と遺族や被害者に謝罪した。
東京地裁は傍聴席から姿が見えないよう証言台の後ろについたてを設置。傍聴席の前に防弾パネルを設け、法廷に多数の警備担当職員らを配置して厳戒態勢を敷いた。
証人尋問には仮谷さんの長男実さん(53)も被害者参加。
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◇ オウム平田被告初公判 2014.1.16 裁判員裁判 東京地裁(斉藤啓昭裁判長) 詳報 2014-01-17 | 死刑/重刑/生命犯 問題
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◇ 〈オウム平田信被告の公判〉 井上嘉浩・中川智正・小池(旧姓 林)泰男確定死刑囚の証人尋問 公開で 2013-06-18 | 死刑/重刑/生命犯 問題
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◇ オウム 中川智正死刑囚が俳句同人誌 独房の内省詠む 2012-11-09 | 死刑/重刑/生命犯 問題
オウム中川死刑囚が俳句同人誌 独房の内省詠む
東京新聞2012年11月4日 朝刊
地下鉄サリン事件など一連のオウム真理教事件を主導した元教団代表・麻原彰晃死刑囚(57)=本名・松本智津夫=の側近だった中川智正死刑囚(50)が、俳人の江里昭彦さん(62)と二人だけの俳句同人誌「ジャム・セッション」を創刊した。拘置所の独房で日々を過ごす中川死刑囚は、セミや花に心境を託した句など十八句を寄せている。(石井敬)
「この小誌を『ジャム・セッション』と名づける。同人は中川智正氏と私のふたりだけである」
冒頭、江里さんの「創刊に当たって」に、こうある。「ジャム・セッション」とは、ジャズなどで打ち合わせなしに始める即興演奏のこと。死刑が確定して面会禁止となった中川死刑囚とは「ぶっつけ本番」にならざるを得ないためだ。
ふたりの出会いは、江里さんが京都府立医科大の職員だった一九八六年にさかのぼる。大学祭の実行委員長だった中川死刑囚が学生課によく出入りし、顔見知りとなった。
一時は疎遠となったが、逮捕を知って驚いた江里さんが中川死刑囚の家族に連絡。本人の求めに応じて本を差し入れてきた。
二〇〇六年秋、約二十年ぶりに東京拘置所で面会。裁判の法廷に出て、障害者のボランティアをするなど温厚で誠実だった学生時代の印象を述べた。
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拘置所で俳句などを作っていた中川死刑囚は、死刑が確定すると面会禁止になる直前、歳時記の差し入れを求めた。詩歌を作り続ける意思表示と受け止めた江里さんは、昨年暮れの最後の面会で「ふたりだけで同人誌を出そう」と提案した。
歌手の美空ひばりさんの評伝「ひばり伝」などで知られる俳人の斎藤慎爾さん(73)も趣旨に賛同し、ゲストとして十句を出した。
刑決まり去私には遠く漱石忌
中川死刑囚のこの句には「二〇一一年一二月九日に、最高裁から判決訂正申立書の棄却決定書が届く。刑確定。この日は夏目漱石没後九五年の命日」との説明が付いている。私心を捨て去る「則天去私」は、漱石が「理想の境地」とした言葉。刑の確定に揺れる心境が読み取れる。
* *
春一番吹かず十七年目の忌
これは地下鉄サリン事件から十七年の一二年三月二十日に詠んだ句だ。
金網の殻見事なり蝉(せみ)生きよ
運動場の小さい穴を見て、羽化したセミに思いをはせる句も。
同人誌は今後、年二回発行の予定。江里さんは取材の申し込みに対し、書簡で「中川氏のために『考察と自己凝視の場』として同人誌が必要だと考えた」と説明。ただ「オウム真理教への拒絶感情はいまも強烈であり、かつての被告が文章や詩歌を発信することそのものを不快視する人は少なくない」と面会での取材には応じなかった。
<中川智正死刑囚とオウム真理教事件> オウム真理教は、麻原彰晃死刑囚の主導で坂本堤弁護士一家殺人事件(1989年)、松本サリン事件(94年)、地下鉄サリン事件(95年)など相次いで事件を引き起こし、27人の命を奪った。中川智正死刑囚(50)は麻原死刑囚の主治医を務めた側近で、自らも両サリン事件などで殺人罪などに問われ、昨年12月に死刑が確定した。法廷では「一人の人間として、医師として、宗教者として失格でした」と述べ、罪を認めた。
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◇ 恐ろしき 事なす時の 我が顔を 見たはずの月 今夜も静(さや)けし/元オウム中川智正被告 18日上告審判決 2011-11-17 | 死刑/重刑/生命犯 問題
「恐ろしき 事なす時の 我が顔を…」 元オウム幹部の中川被告が短歌3首 最高裁で18日判決
産経ニュース2011.11.17 19:35 [殺人・殺人未遂]
地下鉄、松本両サリン事件や、坂本堤弁護士一家殺害事件などで殺人罪などに問われ、1、2審で死刑とされた元オウム真理教幹部、中川智正被告(49)が17日、弁護人を通じて短歌を発表した。最高裁は18日、中川被告に上告審判決を言い渡す。
短歌は「恐ろしき 事なす時の 我が顔を 見たはずの月 今夜も静(さや)けし」など3首。
「りんご樹を この世の底で 今植える あす朝罪で 身は滅ぶとも」という1首は、死刑執行への覚悟をうかがわせる。
また、「遺(のこ)しおく その言の葉に 身を替えて 第二の我に 語りかけたし」という1首について、弁護人は「(中川被告は)自分のような者を出さないために、精神科医などの協力を得て手記を書いている」との解説を加えている。
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オウム裁判終結へ、中川被告からの手紙
TBS News 2011.11.17. 16:51
あわせて189人が起訴されたオウム真理教による一連の事件は、まもなくすべての刑事裁判が終わります。サリン製造の中心的な役割を果たし、一審、二審で死刑を宣告され、18日、最高裁判決を受ける元幹部が反省の気持ちと、一方で今も抱える教祖への割り切れない思いを手紙に綴りました。
「被害者の方々、ご遺族の方々にはこの場をお借りいたしまして、心からおわび申し上げます。誠に申し訳ございませんでした」(中川被告の手紙)
中川智正被告(49)。京都の医大に在学中にオウムに入信。麻原彰晃、本名、松本智津夫死刑囚の主治医として仕え、サリンの製造などで中心的な役割を果たしたとして、11の事件で殺人などの罪に問われ、一審と二審で死刑を言い渡されました。
「ただ、ただ、頭を下げて、おわび申し上げるだけでございます」(中川被告の手紙)
17日、弁護士を通してJNNの記者に届けられた中川被告からの手紙には、ただひたすら謝罪の言葉が重ねられていました。
その中川被告と、事件の被害者という立場にありながら、ずっと向き合ってきた男性がいます。オウム真理教家族の会・会長の永岡弘行さん(73)。
永岡さんは16年前、オウム真理教に入信した長男を脱会させようと奔走していた矢先、猛毒のVXガスを背後から吹き付けられ、意識不明の重体となりました。その後、長男は教団から脱会しましたが、永岡さんの体は今も右半身がマヒしたままです。
「(中川被告に恨みは?) 恨みはない。本当にそうなんです。大人である我々が(事件を)阻止することができなかった」(永岡弘行さん)
永岡さんを襲ったVXガスを製造した男。それこそが中川被告でした。中川被告は、なぜ犯罪に手を染めたのでしょうか。永岡さんは法廷を傍聴し、拘置所での面会を続けて来ましたが、最後の判決を目前にした中川被告の変化に驚いたといいます。
「大きく変わったのは最後。穏やかな顔つきになっていた」(永岡弘行さん)
しかし、かつての教祖、松本死刑囚に対しては、今も割り切れない思いを抱いています。
「麻原氏が何も話さずに裁判を終えてしまったことは、個人的な感情を抜きにしても、同じような事件を2度と起こさないという目的からして、残念でしょうがありません。彼しか分からないことが沢山あったのです」(中川被告の手紙)
教団への本格捜査から16年余り。松本死刑囚は何も語らぬまま、これまでに11人の死刑が確定しました。
「何よりも罪の重さを自覚しつつ、自己を見失わずに残りの人生を終わりたいと思います」(中川被告の手紙)
来週、月曜日の元幹部の裁判で、一連のオウム裁判は事実上終結します。(TBS News 17日16:51)
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◇ 坂本弁護士一家殺害事件が終結/中川智正被告「宗教が背景に・・・恥ずかしく、また申し訳なく思う」2011-11-18 | 死刑/重刑/生命犯 問題
◇ オウム裁判終結と「1963年矯正局長通達」/ 死刑について、他人事とせず、自分のこととして考える 2011-11-25 | 死刑/重刑/生命犯 問題
〈来栖の独白 2011/11/25 〉
オウム裁判終結と「1963年矯正局長通達」を考える
今月11月18日、21日、オウム事件の上告審判決があり、オウム裁判は終結した。
裁判終結に伴って、オウム関連の報道記事が氾濫した。私の心に掛かったのは、被告の母親の姿であった。例えば次のような記事。
弁護弁護士一家殺害審理終了:募るやり切れない思い
カナロコ(神奈川新聞)2011年11月19日
判決が言い渡された最高裁第2小法廷には中川智正被告の母(76)の姿があった。
傍聴席の最前列、死刑を告げる判決をじっと目を閉じて聞き、閉廷の際には小さな体を折り曲げ、正面におじぎをした。
覚悟して久しいことを示すように開口一番、「当然の結果です」と言った。
遠く西日本の地方都市から拘置所の息子への接見に向かい、その際には鎌倉・円覚寺の坂本弁護士一家の墓に参ることもあった。それでも救われない心。
この日も「たった一人の命ですが、少しでも償いになれば。でも、大勢の命を奪い、償いにはなりませんが」。自らに向けるように「わが子を(死刑で)失い、少しでもご遺族の気持ちに近づくことができれば」と静かに話し、タクシーに乗り込んだ。
オウム真理教家族の会代表の永岡弘行さん(73)は、1カ月前に中川被告と接見したことを明かした。「太ったなあ、表情が穏やかになったなあ、と声を掛けると、笑みを浮かべていた」
かつて自身の長男も入信。わが子を教団から取り戻す親たちの運動の先頭に立ち、中川被告の母とも行動を共にした。やがて母は「加害者の母」に。一方の永岡さんはVXガスで教団に殺されかかった。この日、目に涙をため「一連の事件を食い止められなかったわれわれ大人の責任。死刑判決に申し訳ない気持ちだ。お母さんにも掛ける言葉がない」とやり切れなさを募らせていた。 *強調(太字・着色)は来栖
今回初めて、中川被告が私と同郷であると知った。岡山大学付属小中から名門朝日高校、そして京都府立の医学部へ進んだ。中川氏入信から逮捕・起訴、上告棄却と、中川氏のお母上には心の休まる日はなかったであろう。わが子が人を殺め、裁判にかけられ、死刑判決を受ける。これほど辛い母は、いない。遠く岡山の地から、わが子を案じて東京小菅へ通う。裁判は、人の心身を根こそぎ疲弊させる。
>「たった一人の命ですが、少しでも償いになれば。でも、大勢の命を奪い、償いにはなりませんが」
胸、裂ける思いで、このように云われたに違いない。これほどに悲しい母を私はこの世で知らない。
オウムの裁判が終結した今、メディアが旗振り役となって、国民の関心は死刑執行へと移った。これまでは、死刑確定しているといえども、未決の被告人と大差なかった。全員が確定するまでは死刑の執行はない。しかし全員が確定者となれば、死刑執行に対して完全に無防備となる。
加賀乙彦著『死刑囚の記録』から抜粋したい。少し古くて、1980年12月に書かれた<あとがき>である。
中公新書 『死刑囚の記録』
ただ、私自身の結論だけは、はっきり書いておきたい。それは死刑が残虐な刑罰であり、このような刑罰は禁止すべきだということである。
死刑の方法は絞首刑である。刑場の構造は、いわゆる“地下絞架式”であって、死刑囚を刑壇の上に立たせ、絞縄を首にかけ、ハンドルをひくと、刑壇が落下し、身体が垂れさがる仕掛けになっている。つまり、死刑囚は、穴から床の下に落下しながら首を絞められて殺されるわけである。
死刑が残虐な刑罰ではないかという従来の意見は、絞首の瞬間に受刑者がうける肉体的精神的苦痛が大きくはないという事実を論拠にしている。
たとえば1948年3月12日の最高裁判所大法廷の、例の「生命は尊貴である。一人の生命は全地球より重い」と大上段に振りあげた判決は、「その執行の方法などがその時代と環境とにおいて人道上の見地から一般に残虐性を有するものと認められる場合には勿論これを残虐な刑罰といわねばならぬ」として、絞首刑は、「火あぶり、はりつけ、さらし首、釜ゆで」などとちがうから、残虐ではないと結論している。すなわち、絞首の方法だけにしか注目していない。
また、1959年11月25日の古畑種基鑑定は、絞首刑は、頸をしめられたとき直ちに意識を失っていると思われるので苦痛を感じないと推定している。これは苦痛がない以上、残虐な刑罰ではないという論旨へと発展する結論であった。
しかし、私が本書でのべたように死刑の苦痛の最たるものは、死刑執行前に独房のなかで感じるものなのである。死刑囚の過半数が、動物の状態に自分を退行させる拘禁ノイローゼにかかっている。彼らは拘禁ノイローゼになってやっと耐えるほどのひどい恐怖と精神の苦痛を強いられている。これが、残虐な刑罰でなくて何であろう。
加賀氏は「死刑の苦痛の最たるものは、死刑執行前に独房のなかで感じるものなのである。死刑囚の過半数が、動物の状態に自分を退行させる拘禁ノイローゼにかかっている。彼らは拘禁ノイローゼになってやっと耐えるほどのひどい恐怖と精神の苦痛を強いられている。」と言う。
それに呼応するように(?)、行刑施設の管理運営上の指針ともいわれる1963年矯正局長通達「死刑確定者の接見及び信書の発受について」(「63年通達」)は、確定死刑囚処遇の基本を次のように言っている。
罪の自覚と精神の安静裡に死刑の執行を受けることとなるように配慮すべきであるので処遇に当たり、心情の安定を害するおそれとなる交通も制限される
死刑制度とは、施設(東京拘置所)職員にも、苦難を強いる制度といえる。
「罪の自覚と精神の安静裡に死刑の執行を受けることとなるように配慮」するのは、並大抵ではない。管理能力には限界がある。「精神の安静」という大前提のために外部との交通が狭めざるを得ないかもしれない。死刑囚への来信に精神の安静を損なうようなこと(情報)が書かれてあれば施設は困るであろうし、接見においても然りであろう。そうなれば、拘置所は外部との扉を徐々に閉ざしてゆくのではないか。
罪の自覚と精神の安静裡に死刑の執行を受けるために、人(死刑囚といえども、人)が人との交わりなしに、外界と隔離されて生きる・・・。
日々、そのような死刑囚に接し、挙句、死刑執行に直接手を下さねばならない刑務官の「精神」も苛酷であるに違いない。死刑存置賛成が大半を占めるこの国の国民は今や「オウムに死刑執行を」と口々に求めるが、次の意見から考えてみたい。
絞首刑は憲法36条の禁止する残虐な刑罰か/死刑の苦痛(残虐性)とは、死刑執行前に独房のなかで感じるもの
論壇時評【「神的暴力」とは何か 死刑存置国で問うぎりぎり孤独な闘い】(抜粋)
日本は、「先進国」の中で死刑制度を存置しているごく少数の国家の一つである。井上達夫は、「『死刑』を直視し、国民的欺瞞を克服せよ」(『論座』)で、鳩山邦夫法相の昨年の「ベルトコンベヤー」発言へのバッシングを取り上げ、そこで、死刑という過酷な暴力への責任は、執行命令に署名する大臣にではなく、この制度を選んだ立法府に、それゆえ最終的には主権者たる国民にこそある、という当然の事実が忘却されている、と批判する。井上は、国民に責任を再自覚させるために、「自ら手を汚す」機会を与える制度も、つまり国民の中からランダムに選ばれた者が執行命令に署名するという制度も構想可能と示唆する。この延長上には、くじ引きで選ばれた者が刑そのものを執行する、という制度すら構想可能だ。死刑に賛成であるとすれば、汚れ役を誰かに(法相や刑務官に)押し付けるのではなく、自らも引き受ける、このような制度を拒否してはなるまい。(大澤真幸 京都大学大学院教授)
オウム真理教の事件は多くの問題を国民に提起し、裁判では解明しきれず、司法の限界も感じさせた。加えて、死刑制度を存置するこの国の国民一人一人に、死刑について、他人事とせず、自分のこととして考えることを要請しているように思えてならない。裁判員・法務大臣・刑務官に丸投げするのではなく、自らが「判決」し、死刑執行命令書に「サイン」し、刑場に赴いて「執行」する。そうすることで初めて、死刑を自らのこととして考えうるのではないだろうか。
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【63年法務省矯正局長通達】
法務省矯正甲第96号 昭和38年3月15日
死刑確定者の接見及び信書の発受について
接見及び信書に関する監獄法第9章の規定は、在監者一般につき接見及び信書の発受の許されることを認めているが、これは在監者の接見及び信書の発受を無制限に許すことを認めた趣旨ではなく、条理上各種の在監者につきそれぞれその拘禁の目的に応じてその制限の行われるべきことを基本的な趣旨としているものと解すべきである。
ところで、死刑確定者には監獄法上被告人に関する特別の規定が存する場合、その準用があるものとされているものの接見又は信書の発受については、同法上被告人に関する特別の規定は存在せず、かつ、この点に関する限り、刑事訴訟法上、当事者たる地位を有する被告人とは全くその性格を異にするものというべきであるから、その制限は専らこれを監獄に拘置する目的に照らして行われるべきものと考えられる。
いうまでもなく、死刑確定者は死刑判決の確定力の効果として、その執行を確保するために拘置され、一般社会とは厳に隔離されるべきものであり、拘置所等における身柄の確保及び社会不安の防止等の見地からする交通の制約は、その当然に受忍すべき義務であるとしなければならない。更に拘置中、死刑確定者が罪を自覚し、精神の安静裡に死刑の執行を受けることとなるよう配慮さるべきことは刑政上当然の要請であるから、その処遇に当たり、心情の安定を害するおそれのある交通も、また、制約されなければならないところである。
よって、死刑確定者の接見及び信書の発受につきその許否を判断するに当たって、左記に該当する場合は、概ね許可を与えないことが相当と思料されるので、右趣旨に則り自今その取扱いに遺憾なきを期せられたい。
記
一、本人の身柄の確保を阻害し又は社会一般に不安の念を抱かせるおそれのある場合
二、本人の心情の安定を害するおそれのある場合
三、その他施設の管理運営上支障を生ずる場合
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