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オウム平田信被告 第11回公判 2014.2.5 林(現姓・小池)泰男死刑囚に対する証人尋問 (午前)

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【オウム法廷再び 林死刑囚尋問(1)】「麻原」犯罪路線への不満、平田被告と「かなり言い合った」
 産経ニュース 2014.2.5 13:46
 《平成7年の目黒公証役場事務長、仮谷清志さん=当時(68)=拉致事件など3事件に関わったとして逮捕監禁罪などに問われたオウム真理教元幹部、平田信被告(48)の裁判員裁判の第11回公判が5日、東京地裁(斉藤啓昭裁判長)で始まった。この日は、林(現姓・小池)泰男死刑囚(56)に対する証人尋問が実施される》
 《極めて異例となる確定死刑囚への証人尋問は、今公判では、1月21日の中川智正死刑囚(51)と、2月3、4の両日にわたって行われた井上嘉浩死刑囚(44)に続き3人目だ》
 《平田被告は元教祖の麻原彰晃死刑囚(58)=本名・松本智津夫=らと共謀し、平成7年2月に目黒公証役場事務長だった仮谷さんを東京都内の路上で車に押し込んで拉致したとして逮捕監禁罪で起訴されたほか、都内の宗教学者の元自宅マンション爆破事件や、教団施設への火炎瓶事件で爆発物取締罰則違反罪などに問われている》
 《中川死刑囚は、仮谷さん拉致事件で仮谷さんに麻酔薬を打って死亡させたとされ、井上死刑囚は、3事件の指揮役とされたため、証人尋問を受けた》
 《林死刑囚については、マンション爆破事件で、平田被告と一緒に確認役をしたとされたため、尋問を受けることになった》
 《爆破事件について、弁護側は「指示や打ち合わせはなかった」として無罪を主張している。だが、井上死刑囚は検察側尋問で「(教団施設の)こたつの部屋での打ち合わせに平田さんもいた」「平田さんと林さんに一緒に役割を指示した」と証言した。真っ向から対立する主張について、林死刑囚がどう証言するかが注目される》
 《東京地裁最大の104号法廷では、この日も、襲撃など不測の事態に備え、傍聴席の前に透明の防弾パネルが設置され、傍聴人に姿が見えないよう証言台と傍聴席との間に遮蔽板が設置されている》
 《午前9時57分。向かって左手の扉から、スーツ姿の平田被告が入ってきた。これまで通り、斉藤裁判長に一礼した後、左手のいすに座った。男性1人、女性5人の裁判員も入廷し、裁判官3人とともに一礼をした後、斉藤裁判長が声を上げた》
 裁判長「おはようございます。それでは開廷することにします。証人の方の準備をお願いします」
 《係官らは左手の扉から白いアコーディオンカーテンを設置し、傍聴人から林死刑囚が入廷する様子を見えなくした。林死刑囚が入ってきたようだ》
 《林死刑囚は、父親の死をきっかけに死後の世界に関心を持ち始め、麻原死刑囚の著書を読んだことから、昭和62年、教団の前身である「オウム神仙の会」に入会。平成6年に「科学技術省」次官になった。平田被告と仲が良く、教団内で頻繁に行動をともにしたといい、約1年7カ月の逃亡中にも名古屋市で平田被告と会っていたとされる》
 《地下鉄サリン事件の実行犯で、他の実行犯より1袋多い3袋のサリンを自ら志願してまくなど、麻原死刑囚への忠誠心が強く、教団の“殺人マシン”と言われた。だが、裁判では「いずれも麻原の命令と分かっていたので逆らえなかった」とかつての教祖を呼び捨てにし、「自分の愚かな行為を後悔し反省しています」と述べていた》
 裁判長「林さんですね」
 証人「はい」
 《林死刑囚はかすれた小さな声で答える》
 《斉藤裁判長が、林死刑囚に、嘘を述べないことを誓う宣誓書の読み上げを求め、林死刑囚が宣誓した》
 裁判長「のどがあまり調子よくないのですか」
 証人「ええ。そうなんです」
 《斉藤裁判長は林死刑囚にマイクに口を近づけて証言するよう求めた》
 《斉藤裁判長が検察官に尋問を始めるよう指示し、男性検察官が立ち上がった》
 検察官「証人はいわゆる地下鉄サリン事件などで起訴され、死刑判決を受け、死刑が確定して拘置所にいますね」
 証人「はい」
 検察官「事件当時はオウム真理教の出家信者でしたね」
 証人「はい。そうです」
 《検察官は早速、宗教学者の元自宅マンション爆破事件について聞いていく》
 検察官「平成7年3月19日午後7時25分ごろ、杉並区のマンションで爆弾が爆発した事件を知っていますか」
 証人「知っています」
 検察官「爆発を実際に見ましたか」
 証人「はい。現場で見ています」
 検察官「誰と一緒にいましたか」
 証人「平田さんと一緒にいました」
 検察官「爆発を見たとき、どこにいましたか」
 証人「爆発があった現場のすぐ前です。駐車場に止めてあった車の中です」
 検察官「証人は当時、被告とどういう間柄でしたか」
 証人「同じ出家信者仲間というか友人でした」
 検察官「親しくなったのはいつごろですか」
 証人「徐々になので、特にいつごろというのはないです。そうですね…」
 検察官「特にこのような時期にというのは?」
 証人「うーん、教団がヴァジラヤーナという活動をするようになってから、より仲良くなりました」
 検察官「ヴァジラヤーナとは簡単に言うと?」
 証人「うーん。うまく説明できないのですが、例えば犯罪に関わることを含むものです」
 検察官「それはいつごろのことですか」
 証人「6年に入ったころです」
 検察官「6年ごろにロシアに行かれていますね」
 証人「はい」
 検察官「どのようなことをされたのですか」
 証人「射撃体験ツアーです」
 検察官「被告も参加しましたか」
 証人「はい」
 検察官「それもヴァジラヤーナの路線に入っていましたか」
 証人「その通りです」
 検察官「ヴァジラヤーナの路線、方針は誰が決めたのですか」
 証人「基本的には教祖だった麻原です」
 検察官「証人や被告はヴァジラヤーナに対して、どう考えていましたか」
 証人「かなり不満を持っていました」
 検察官「教団、麻原が決めた方針に不満を述べることは一般的に許されていたのですか」
 証人「麻原に直接述べることはかなりタブーでした」
 検察官「一般の信者同士の間で不満を述べることは?」
 証人「あったと思います」
 検察官「証人と被告との間では?」
 証人「かなり自由に不満を述べていました」
 検察官「不満を述べても麻原の耳に入らないという信頼関係があったのですか」
 証人「ええ、ありました」
 《検察官は爆破事件と翌日の地下鉄サリン事件について聞いていく》
 検察官「(山梨県の)上九一色村(当時)をいつ出発しましたか」
 証人「3月18日だったと思います」
 《林死刑囚は日付を間違えたため、検察官は地下鉄サリン事件を起こした3月20日の前日で、爆破事件と同じ19日だと正す。林死刑囚も間違いに気付いて納得した》
 検察官「誰と一緒に東京に行きましたか」
 証人「平田、O(法廷では実名)、杉本(繁郎受刑者)、豊田(亨死刑囚)、広瀬(健一死刑囚)、横山(真人死刑囚)です」
 検察官「何をするために東京に行ったのですか」
 証人「地下鉄サリン事件というのを私たちは起こしたんですが、その準備のためです」
 検察官「簡単に言うとどんな計画だったのですか」
 証人「5路線の地下鉄車内にサリンをまくという話です」
 検察官「なんのためにまくのですか」
 証人「(刺殺された元最高幹部の)村井(秀夫)からは、捜査の攪乱といわれていました」
 検察官「当時、強制捜査が入ると思っていましたか」
 証人「はい。ある程度思っていました」
 検察官「どのような事件で入ると?」
 証人「いろいろなことが重なっていて、一番近いところでは仮谷さん事件があって、報道で教団の関与が疑われていました」
 検察官「どうしてサリンをまくと捜査の攪乱になるのですか」
 証人「捜査の目がそちらに向くということだったと思います」
 《検察官は事件の具体的中身に踏み込んでいく。平田被告は背筋を伸ばして聞き入っている》
 検察官「どういうメンバーが集まったのですか」
 証人「地下鉄サリン事件の実行犯のメンバーと、運転手役が仮に選ばれました」
 検察官「証人はどのような役割だったのですか」
 証人「私は実行役です」
 検察官「ほかの実行役は?」
 証人「豊田、広瀬、横山です」
 検察官「東京への出発時点で、被告はどのような形で加わったのですか」
 証人「仮の運転手といわれていました」
 検察官「ほかに運転手といわれていたのは?」
 証人「Oと杉本です」
 検察官「運転手はどのような役割ですか」
 証人「まだ仮ということできちんと決まっていなかったですが、実行役を駅に送り迎えすることです」
 検察官「出発する時点で、地下鉄サリン事件の計画を被告に伝えていましたか」
 証人「おそらく伝えていなかったと思います」
 検察官「概要、一部を含めて全く伝えていなかったという趣旨ですか」
 証人「彼らはまだ仮の運転手で、交代するかもしれなかったので、事件の詳しい内容は言っていなかったと思います」
 検察官「3月20日に何かを実行すると被告に伝えていましたか」
 証人「はっきりとした記憶はないです」
=(2)に続く
 ◎上記事の著作権は[産経新聞]に帰属します 
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【オウム法廷再び 林死刑囚尋問(2)】「平田とは破戒仲間」「2人でよく村井の愚痴を言った」 
 産経ニュース 2014.2.5 14:52
 《林死刑囚は教団の「科学技術省」次官を務め、地下鉄、松本両サリン事件など3事件に関与。13人が死亡した平成7年の地下鉄サリン事件では、散布犯として最多の8人殺害に直接関与したと確定判決で認定されている》
 《男性検察官が、地下鉄サリン事件の前日に東京都杉並区の教団施設などで行われた事件の準備について聞いていく》
 検察官「証人が(教団施設に)着いたとき、井上(嘉浩死刑囚)はいましたか」
 証人「いいえ、いませんでした。はじめ井上が帰ってくるのを待っていましたが、そのうち待ち疲れて(地下鉄サリン事件のための)買い物とか下見とかをやっていこうという話になりました」
 検察官「買い物は何を買おうという話になったのですか」
 証人「(地下鉄)サリン事件に使う衣類を買うということです。(犯行時間が)朝8時なので、サラリーマン風の姿で犯行ということになっていました。サラリーマン風の装いを買うことになっていました」
 検察官「何を買ったのですか」
 証人「スーツや靴…。あとカツラも買っています。私たちの髪形はかなり髪が短かったので、サラリーマンにしてはおかしな頭髪でしたから」
 《その後、林死刑囚は、平田被告のほか地下鉄サリン事件のメンバーら7人で新宿に買い物に。このときまでは、平田被告は地下鉄サリン事件の運転手役として名前が挙がっており、「仮の運転手」として買い物にも参加したという》
 《林死刑囚は平田被告と仲が良く、教団内で頻繁に行動をともにしていたことで知られる。この日の証言内容からも2人の親密さが垣間見える》
 検察官「買い物を終えた後、証人たちはどうしましたか」
 証人「杉本(繁郎受刑者)、O(法廷では実名)、広瀬(健一死刑囚)ら4人は下見に行きました。私と平田は豊田(亨死刑囚)を車に残して新宿をぶらぶらしました。デパートの地下でジュースとかチーズを買いました」
 検察官「なぜジュース、チーズを?」
 証人「サリン事件の計画の中にジュースの容器を使うというのがあって、下見に行かない口実のために買いました」
 検察官「なぜ豊田を車に残したのですか」
 証人「被告と2人になりたかったからです。被告とは破戒仲間というか、自由に好きな物を食べたりできる間柄でしたから」
 検察官「被告と2人でどのような話をしたのですか」
 証人「おぼろげですが、(刺殺された)村井(秀夫元最高幹部)の愚痴とか。こうして買い物とかいろいろ行動しているわけですけど、うまくいかないだろうとか、途中で(計画が)なくなるだろうとか。村井の愚痴については、ことあるごとに話したと思います」
 《林死刑囚と平田被告は、新宿で買い物をした後、杉並区の教団施設に戻った。教団施設では、井上死刑囚から地下鉄サリン事件についての追加指示があったという》
 検察官「井上は(教団施設の)どこに来ましたか」
 証人「私がこたつの部屋にいたので、こたつの部屋に来ました」
 検察官「井上はこたつの部屋に入ってきて何をしましたか」
 証人「そこにいた(地下鉄サリン事件の)メンバーに『運転手が変わった』とか、『場所を移動して渋谷に行くように』とか、そのような話を井上から聞きました」
 検察官「運転手のメンバーは誰が変わったのですか」
 証人「平田は変わったと知らされました。井上から一通りの指示があった後に、私が個人的に『私は誰とペアになったの?』と聞いたら、井上が『杉本』と。『誰が決めたの』と聞いたら、井上は麻原だと言っていました」
 検察官「仮の運転手に被告が選ばれていたのはなぜですか」
 証人「私と井上の間でそういう話があったからです。平田はアタッシェケース事件などで(非合法の)ワークに慣れていましたから」
 検察官「被告が運転手を外れたと知って証人はどうしましたか」
 証人「『外れてよかったね。上九(山梨県旧上九一色村)に戻っていいよ』と言ったと思います。平田がそういうのを嫌がっていると知っていましたので」
 《検察官の質問は、平田被告が関与したとして起訴されている宗教学者、Bさん(法廷では実名)の元自宅マンション爆破事件へと移る。この爆破事件をめぐっては、弁護側が「指示や打ち合わせはなかった」として無罪を主張する一方、3、4の両日に証人として出廷した井上死刑囚は「打ち合わせに平田さんもいた」と証言している》
 検察官「(教団施設で)証人が井上から(マンション爆破事件に)誘われた場面ですが、そのとき証人はどこにいましたか」
 証人「台所です」
 検察官「井上には何と声をかけられましたか」
 証人「『ちょっとよかったら一緒に来ない?』と言われました」
 《検察官が林死刑囚に、教団施設内部の図面を差し出し、台所で声をかけられた際の林死刑囚と井上死刑囚の位置を赤色のペンで書き込むよう促す》
 《図面が法廷内の左右に設置された大型モニターに写し出される。平田被告は自身の目の前にある卓上モニターに表示された図面を見ながら、何かメモを取っている》
 検察官「証人は井上に『ちょっとよかったら一緒に来ない?』といわれてどう思いましたか」
 証人「『面白いことがあるから一緒に来ない?』という言い方でしたので、お茶でもしにいくのかなと思いました」
 検察官「証人にとっては、お茶をしにいくことが面白いことなのですか」
 証人「そうですね」
 検察官「証人が『一緒に行く』と答えた後、井上はどうしましたか」
 証人「言葉的にははっきりしないが、地図のようなものを見せられて『ここに行く』というような話をしていました」
 検察官「それに対して証人はどうしましたか」
 証人「地図を見せながら井上は説明を始めようとしましたが、私が説明するのをたって、『一緒に行くからいいよ』というようなことを言いました」
 検察官「説明を聞かずに話を遮った理由は」
 証人「強いて言えば、お茶に行くのかなと思ったのだけども、そうじゃなかったとわかって…。何か別の井上のワークの手伝いをさせられるのかなと思ったから、なんかやだなと思って聞くのを遮ったというのもあります」
 検察官「何をやると思ったのですか」
 証人「そのころ私は盗聴を専門で長いことやっていて、井上と一緒にやることが多かったので、それかなと」
 《林死刑囚の期待を裏切り、井上死刑囚が誘ったのはマンション爆破事件だった。井上死刑囚は今公判の証人尋問で、井上死刑囚がタイマー式の爆発物を仕掛けた後、爆発したかどうか確認する役などとして、林死刑囚に声をかけたと証言。検察官は、林死刑囚と平田被告が爆破事件の現場に行くまでの経緯を確認していく》
 検察官「その後、証人は井上と2人で(教団施設を)出たのですか」
 証人「平田も一緒に行くことになりました」
 検察官「被告も一緒に行くとなぜわかったのですか」
 証人「何も覚えていません」
 検察官「(教団施設を)出た後はどうしたのですか」
 証人「平田と私は私の車、チェイサー(乗用車)に乗って、井上はワゴン車に乗って。ワゴン車についていきました」
 検察官「チェイサーを運転したのは誰ですか」
 証人「記憶がはっきりしないが、平田だと今は思っています」
 検察官「ワゴン車はどこへ着きましたか」
 証人「Bのいたマンションの近くです」
 《検察官が、Bさんのマンション周辺の地図にワゴン車と乗用車の2台の停車位置を書き込むよう林死刑囚に促す。平田被告は、地図にペンを走らせる林死刑囚の様子をじっと見つめていた》
=(3)に続く
 ◎上記事の著作権は[産経新聞]に帰属します 
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【オウム法廷再び 林死刑囚尋問(3)】何も知らされず現場で爆発 「私と平田は麻原から不満分子扱い」
 産経ニュース2014.2.5 15:47
 《検察官は東京都杉並区にあった宗教学者、Bさん(法廷では実名)の元自宅マンション爆破事件のときの様子について質問していく。杉並区にある教団の活動拠点「今川の家」で、打ち合わせしている場面だ》
 検察官「井上(死刑囚)とはどういうやりとりをしましたか」
 《林死刑囚は当時の記憶をたぐり寄せているのか、少し沈黙した後、答える》
 証人「趣旨としては、マンション前の駐車場に車を止め、井上たちがすることを見ていてほしいという感じでした」
 検察官「見ていてほしいことは、井上たちがすることだけですか」
 証人「はっきりしません。(井上は)マンションに紙袋を置いて去っていきましたが、その紙袋のことも含まれていたかもしれません」
 検察官「駐車場には車を止めましたか」
 証人「はい」
 検察官「どのように止めましたか」
 証人「マンションの正面あたりに止めました」
 《検察官は林死刑囚に、車を止めた位置を図面に記入するよう促す。林死刑囚が図面に記入する間、法廷内が沈黙する》
 検察官「車の中からマンションの玄関を見るのに邪魔になるものはありましたか」
 証人「ありませんでした」
 検察官「なぜこのマンションなのか聞いていましたか」
 証人「聞いていませんでしたが、後でBさんが住んでいると聞きました」
 検察官「Bさんの(住んでいる)マンションだといつ知りましたか」
 証人「(事件後)渋谷に移った晩です」
 検察官「その後はどのような動きがありましたか」
 証人「P(法廷では実名)と井上がT字路からマンションへ歩いてきました」
 検察官「車を止めてからどのぐらいの時間がたっていましたか」
 証人「ほんの数分です」
 《林死刑囚はかすれた声で質問に答える。傍聴人は聞き漏らすまいと集中する》
 検察官「なぜその場に残っていたのですか」
 証人「『見ておけ』と言われたので残っていました」
 検察官「被告とは何を話しましたか」
 証人「『どうしたらいいんだろうね』と話していました」
 検察官「2人とも、どうしたらいいかわからない状態だったのですか」
 証人「そうです」
 検察官「その後は何かありましたか」
 証人「2、3分で紙袋が爆発しました」
 検察官「何を見ましたか」
 証人「ドーンという音がして火柱が上がりました」
 検察官「その後はどうしましたか」
 証人「車を降りて井上に文句を言おうと思いましたが、(井上死刑囚が)爆発したと喜んでいたので、Uターンして今川の家に戻りました」
 《平田被告はこれまで爆破事件への関与については「現場近くにいたが、計画は知らなかった。指示や打ち合わせはなかった」として無罪を主張している》
 検察官「証人は井上に何も言っていないのですか」
 証人「爆発するならあらかじめ言ってほしかったと言ったかもしれません」
 《林死刑囚は記憶を呼び起こしながら質問に答えていく》
 検察官「今川の家に戻ってどうしましたか」
 証人「残っていたメンバーを連れて渋谷に向かいました」
 検察官「その中に被告は入っていますか」
 証人「入っていません」
 検察官「被告の言動で何か覚えていることはありますか」
 証人「何もありません」
 《斉藤裁判長が休廷を告げる。約30分の休憩後、平田被告が視線を落としたまま入廷する。裁判員が入り、白いアコーディオンカーテンが設けられ林死刑囚が入ってきたようだ》 
 《男性検察官が質問を再開する》
 検察官「マンション爆破事件について証人の処分はどうなっていますか」
 証人「不起訴になっています」
 検察官「理由の説明は受けましたか」
 証人「死刑が確定しているので、それ以上罪に問う必要はないということでした」
 《検察官は教団での被告の様子について質問する》
 検察官「被告は(教団の教えである)ヴァジラヤーナには不満を持っていたと言っていましたが」
 証人「はい」
 検察官「被告はどんな話をしていましたか」
 証人「仮谷さん拉致事件の直後に『井上のもとで犯罪に関わるようなワークをしているのはもう嫌だ。井上といると息もできなくなる』と話していました」
 検察官「(被告と所属する省庁の異なる)井上のもとで、被告がワークをする理由は知っていましたか」
 証人「なんらか聞いたと思います」
 《黒いスーツ姿の平田被告は硬い表情を崩さない。時折、林死刑囚の方を見るが、ほとんど視線を落としたままだ》
 検察官「被告が仮谷さん事件に関わっていたことは聞いていましたか」
 証人「聞いたと思いますが、内容は思い出せません」
 検察官「証人から違法なワークについて被告と話すことはありましたか」
 証人「盗聴活動をやっていた時期のことをいろいろと話したような記憶があります」
 検察官「教団が松本サリン事件に関わっていることは被告に話しましたか」
 証人「はっきりしたことは言っていませんが、事件の後で『教団が起こしたことではないだろうか』と言ったかもしれません」
 《林死刑囚はかすれた声のまま質問に答えていく。ただ、記憶がはっきりしないのか、答えにはあいまいな部分もある》
 検察官「被告は麻原から不満分子とされていたのですか」
 証人「はい」
 検察官「被告がヴァジラヤーナに不満を持っていることについて証人は知っていましたか」
 証人「麻原が『ヴァジラヤーナについていけない者は申し出よ』と言ったとき、平田が『もうついていけません』と言っていました」
 検察官「不満分子と言われるきっかけは何だったのですか」
 証人「ロシアに射撃体験ツアーに行った私や平田がまじめにトレーニングしなかったからです。『やってられない』と言っていたことが責任者の新実(智光死刑囚)から麻原に報告されました。麻原から『3人の不満分子がいる』と言われたそうです」
 検察官「証人も被告もヴァジラヤーナには不満だったということですか」
 証人「はい」
 検察官「被告に(オウム真理教に対する)信仰心はありましたか」
 証人「私より真面目に修行していたと思います」
 検察官「教団にいた当時、被告とは親しい仲だったようだが、今も変わりませんか」
 証人「20年近く会っていませんので、何とも言えません」
 検察官「被告をかばうために事実と違うことを証言したことはありませんか」
 証人「多くの人をあやめました。彼(平田被告)も事件で人が亡くなっています。とてもそういう気持ちにはなれません」
 《林死刑囚は消え入りそうな声で答えている》
 《検察官は、マンション爆破事件やアタッシェケース事件について、林死刑囚の記憶にズレがないかただす。林死刑囚は「記憶の信用度は落ちています」と当時の記憶があいまいであることを認める》
 検察官「被告に不利になる証言はしないということではないのですか」
 証人「そういうつもりがないわけではありません。しかし、犯した罪のことがありますので」
 《正午を回ったため、斉藤裁判長が休廷を告げる。林死刑囚、裁判員に続き、平田被告が一礼して法廷を後にした》
=(4)に続く
 ◎上記事の著作権は[産経新聞]に帰属します

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