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日本を「丸腰」にさせたがっている護憲派 抑止力なくして中国の膨張主義に立ち向かえるのか

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日本を「丸腰」にさせたがっている護憲派 抑止力なくして中国の膨張主義に立ち向かえるのか
 JBpress 2014.05.07(水)筆坂 秀世
 中国の膨張主義、覇権主義は、日本の領土である尖閣諸島周辺での日常化した領海侵犯や、スプラトリー諸島(南沙)やパラセル諸島(西沙)でのフィリピン、ベトナムとの領土紛争を見ても明白である。
 1991年、スービック海軍基地とクラーク空軍基地が返還され、米軍はフィリピンから撤退した。当時、日本国内ではフィリピンがアメリカに対して基地提供を拒否し、米軍基地を撤去させたというので、反安保勢力などは大いに意気高くしたものである。ただ実態は、基地の使用期限延長について交渉中の1991年6月、ピナトゥボ山が大噴火し、クラーク空軍基地が大量の火山灰などにより使用不能になり、米軍自身が放棄したものだった。スービック海軍基地については、アメリカは使用期限の延長を望んでいたが、フィリピン上院が拒否したため同年11月に返還された。
*米軍がいなくなったとたんにフィリピン領土を強奪
 米比相互防衛条約自体は解消されたわけではないが、アメリカが干渉する可能性はないと読んだ中国は、米軍が92年に撤退した後、95年にフィリピンが領有権を主張していた南沙諸島の環礁の1つであるミスチーフ礁に建造物を一方的に構築した。
 第2次大戦中に建造された旧式駆逐艦1隻しか保有していないフィリピン海軍は、中国海軍にとって敵ではなかった。フィリピンのマゼタ国防委員長は「フィリピン海軍としては軍事力による防衛は不可能で、戦わずに撤退せざるを得ない」と発言している。アメリカによる抑止の空白を突いた中国は、ミスチーフ礁において施設を拡充して軍隊を駐留させ、占領を続けている。
 さらに2012年4月からは、南シナ海・中沙諸島のスカボロー礁の領有権をめぐっても、フィリピンは中国と対決しているが、ここでも中国はその軍事力を背景に駐屯施設の基礎工事を始めていると言われている。
*米比が新軍事協定で中国を牽制
 中国はベトナムとの間でも膨張主義的行動を繰り広げている。このような中で先月、国賓として訪日したオバマ米大統領は、4月28日、アジア歴訪の最後の訪問国としてフィリピンを訪れ、アキノ大統領と首脳会談を行い、新軍事協定を締結した。
 その内容は、フィリピン国内基地の共同使用など米軍の事実上の駐留を認め、合同軍事演習を強化することが柱となっている。1992年に全面撤退した米軍が再び拠点を構築することで、軍事力を背景に南シナ海への海洋進出を強める中国を牽制する狙いがあることは明白だ。ただフィリピン憲法は外国軍の駐留を禁止しているため、米軍はローテーション形式で駐留し、協定にも「常駐」ではないことが明記されている。
 中国の南シナ海や東シナ海での国際法を無視した膨張主義に対しては、やはり国際法にのっとった解決と言うだけではなく、抑止力が必要ということだ。
*「抑止力」とは何か
 ところで抑止力とは何か。かつて、と言ってもほんの数年前、抑止力についてよく知らなかったという首相がいた。米軍普天間基地を「国外に、最低でも県外に」と公約した鳩山由紀夫当時首相だ。
 その後、辺野古への移転に賛成するが、その際、「日米同盟や近隣諸国との関係を考え、抑止力の観点から海外は難しいという思いになった」「米海兵隊の存在は、必ずしも抑止力として沖縄に存在する理由にならないと思っていた。学べば学ぶほど抑止力(が必要と)の思いに至った。(認識が)甘かったと言われれば、その通りかもしれない」と語った。
 鳩山氏がどこで、何を、どう学んだのかは知らないが、「抑止力」という言葉は実は必ずしも一般的ではない。旧知の松竹伸幸氏の『幻想の抑止力』(かもがわ出版)によると、『広辞苑』にも「抑止」という言葉あるが、「抑止力」というのはないそうだ。調べてみると確かにそうで、同辞典では、「抑止」について「おさえとどめること」というそのままの説明だけである。用途として「核―力」とあるだけだ。
 松竹氏は、同書の中で「核抑止力自体、核兵器が誕生した後に使われ出したものだから、抑止力はそれよりも新しい時代に生まれたものである。この言葉が何を意味するのかについて、学問の世界は別にして、誰もが理解できるような定義はいまだ存在しておらず、だからこそ広辞苑でも取り上げられていないのだ」と指摘している。
 松竹氏によれば、抑止力とは「軍事力を行使することによって、『抑え、止める』のではない。軍事力を実際には行使することなく、侵略があったら反撃するよ。打撃を加えることになるよという意思、能力を相手国に示すことによって、相手国の侵略を未然に防ごうというのが、抑止力のもともとの考え方」ということだ。
 まさしくその通りで「核抑止力」は、いざとなれば核兵器で反撃し、壊滅的な打撃を与えるよという意思を示すことによって、相手国の侵略を思いとどまらせようとするものである。
*抑止力は自衛力より強大
 ちなみに日本の自衛隊は、自衛隊法第3条第1項により「我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対し我が国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当たる」ものとされている。要するに「自衛のための必要最小限の実力組織」ということであり、抑止力は持たないのが建前となっている。
 松竹氏によると『国際政治辞典』(猪口孝也編、弘文堂)では、「抑止作動の条件」という項目で、その第一条件として「いかなる軍事攻撃にも即座に対応し、甚大な被害を攻撃国に与えることでその軍事目標を阻止することが可能な軍事能力を備え(ていること)」が挙げられているそうである。
 日米安保条約に基づいて、日本には米軍が駐留している。この米軍の最大の存在意義は、まさに抑止力にある。なかでも決定的な抑止力が、結局は核抑止力ということである。
*海兵隊の存在は明確な抑止力
 よくアメリカの海兵隊は日本防衛のためには役に立たないと言われる。確かに米海兵隊はそもそも防衛的な任務は持っていない。主な任務は、海外の紛争地点の基地を奪取するための上陸作戦である。したがって、普天間基地の辺野古移転に反対し在沖縄の海兵隊の撤去を求める勢力が言うように、直接的に日本防衛(沖縄防衛)の任務を持っているわけではない。
 だが、在日米軍は海兵隊だけではない。第7艦隊空母機動群など海軍、嘉手納、横田などの空軍、陸軍も駐留している。この全体が抑止力になっている。もし在日米軍が存在せず自衛隊だけであったなら、北朝鮮や中国の蛮行がいま程度に収まっていないことは、客観的に見れば反米軍基地、反安保の立場に立つ人でも認めざるを得ないだろう。
 ある国がもし日本を侵略すれば、その国には真っ先に海兵隊が上陸作戦を敢行するだろう。海軍も、空軍も、陸軍も投入される。その可能性があるからこそ日本の侵略を踏みとどまっているのだ。これが抑止力でなくて、なんと言うのだろうか。
 先般オバマ大統領が訪日した際、安倍首相との共同会見で尖閣諸島を含む日本国の施政権が及ぶ領土は、日米安保条約第5条の適用範囲であると明確にコミットした。尖閣が武力攻撃を受ければ、日米が共同で反撃するということだ。これまで国務長官、国防長官からは同趣旨の発言があったが、大統領発言だけにその意味は大きい。
 反基地論者、反安保論者の多くは、護憲派だ。海兵隊をはじめとする米軍基地はいらないと言う。自衛隊は憲法違反の軍隊だと言う。共産党などは、いずれは自衛隊は解消すると言う。結局、日本は丸腰になるということだ。この立場の人々は、「抑止力」というだけで目くじらを立てる。だが冷静に国際情勢を見てもらいたい。丸腰の日本という立場が、どれほど手前勝手で無責任な立場か分かるはずだ。
<筆者プロフィール>筆坂 秀世 Hideyo Fudesaka
 1948年兵庫県生まれ。元参議院議員、政治評論家。著書に『日本共産党』、共著に『自民党はなぜ潰れないのか 激動する政治の読み方』『参議院なんかいらない』『私たち、日本共産党の味方です』『どん底の流儀』などがある。

 ◎上記事の著作権は[JBpress]に帰属します 
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〈来栖の独白〉
 タイトルと筆者名を見て、目を疑った。再度見たが、筆者は紛れもなく筆坂秀世氏であった。真っ当なことを書いておられる。驚いた。
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石原慎太郎氏〜「野中広務は売国奴。福島瑞穂は『憲法を変えると戦争を始める』と言うバカみたいな女」 2013-06-25 | 石原慎太郎 
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