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ようやく「まともな国」へ、大きな一歩を踏み出せる。集団的自衛権行使容認の政治決断が、行われる。

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【日曜に書く】責任ある「まともな国」になる 論説委員・中静敬一郎
 産経ニュース 2014.5.11 03:09
 ようやく「まともな国」へ、大きな一歩を踏み出せる。集団的自衛権行使容認の政治決断が来月以降、行われるからだ。
 限定的な容認にせよ、「一国平和主義」の色彩が濃い戦後日本を根幹から変えていく。
 「日本はまた、安全保障を確保するために積極的に国際的な役割を果たそうとしないことについて、いつも欧米諸国の政府の物笑いの種になっていた」
 「鉄の女」と呼ばれた故サッチャー英元首相の回顧録(日本経済新聞社発行)の一節だ。
 元首相が回顧録を執筆したのは1993年。2年前の湾岸戦争で、日本はフセインの侵略に対決する国際共同行動に加わろうとしなかった。
 元首相は具体的な中身に触れていないが、日本が国際社会の平和と安定を享受する一方、責任とリスクに背を向けていることへの違和感が読み取れる。
*「不思議な世界」の産物
 こうした嘲笑を受けていた要因が、集団的自衛権に対し「国際法上、権利は保有するが、憲法上、行使できない」という現行政府解釈だ。なにせ、日本だけにしか通用しない「不思議な世界」の産物なのである。
 それは、相手には守ってもらうのに、自分は相手を守らないというものだ。理由は、自衛力の必要最小限度を超えるとしている。他国が理解できるものではない。
 集団的自衛権を国際司法裁判所は国際法上確立している権利とし、いずれの国も国家固有の権利と位置付けている。国際社会の解釈と隔絶した日本の理屈は「利己主義」とみられよう。
 定義にも無理がある。「保有しているが、使えない権利」だ。25歳以上の日本人は、衆議院選挙の被選挙権を保有している。立候補という被選挙権の行使は、だれもが行うわけではないが、行使はできる。権利の保有と行使は一体のものだ。
 国際政治学者の高坂正堯は遺稿(「21世紀の国際政治と安全保障の基本問題」)で「(集団的自衛権はあっても行使はできないと聞くとき)私は室町以降の“公卿”の言葉を連想する。それは行動する世界の人々の言葉とほとんどなんの関係もない」と喝破している。
 ただ、詭弁ともいえる解釈が確立したのは昭和56(1981)年の政府答弁書であり、それ以前は様相を異にしている。
*集団自衛の行使を明記
 岸信介首相は「一切の集団的自衛権を持たない、こう憲法上持たないということは私は言い過ぎだと、かように考えています」(昭和35年3月31日、参院予算委員会)と答弁したように、制限的保有論だった。
 8年ほど遡った27年4月に発効した旧日米安保条約はさらに踏み込んでいた。
 「平和条約は、日本国が主権国として集団的安全保障取極を締結する権利を有することを承認し、さらに国際連合憲章は、すべての国が個別的及び集団的自衛の固有の権利を有することを承認している」としたうえで、「これらの権利の行使として、日本国は、その防衛のための暫定措置として、日本国に対する武力攻撃を阻止するため日本国内及びその附近にアメリカ合衆国がその軍隊を維持することを希望する」。
 お気付きだろうか。集団的自衛の固有の権利の「行使」が明記されているのである。当時、集団的自衛権行使は所与のものと認識されていたといえる。
 だからこそ、対日平和条約(27年発効)、4年後の日ソ共同宣言、現安保条約(35年発効)は「(日本国が)個別的又は集団的自衛の固有の権利を有する」とうたったのである。
*「共に守り合う」関係に
 砂川事件の最高裁判決も旧安保条約下の34年12月16日に下されている。集団的自衛を固有の権利と判断していた時代背景を考えれば、判決文の「必要な自衛のための措置」に集団的自衛権の行使が含まれるのはごく自然である。
 要は、自らを守るためにあらゆる手立てを講ずることに尽きる。そのための方策として「共に守り合う」関係である集団的自衛権がある。本質は、「他衛」より「自衛」なのだ。
 問題は、行使に伴うコストとリスクに向き合えるかどうかだ。向き合わない限り、日本の平和と安全は守れない。
 安倍晋三首相とオバマ米大統領がまとめた日米共同声明は「積極的平和主義」を盛り込んだ。「無責任な情けない国」から「責任あるまともな国」への転換宣言だ。容易ではないが、一歩ずつ踏み固めていこう。(なかしず けいいちろう)

 ◎上記事の著作権は[産経新聞]に帰属します 
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安倍首相の土産 パター / 『アメリカに潰された政治家たち』 第1章 岸信介 2013-02-25 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉 
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