【オウム法廷再び】「頼まれて薬品運んだ」 菊地被告、化学知識の乏しさ主張
産経ニュース 2014.5.30 21:59
オウム真理教による平成７年の東京都庁郵便物爆発事件に関与したとして、殺人未遂と爆発物取締罰則違反の幇助（ほうじょ）罪に問われた教団元幹部、菊地直子被告（４２）の裁判員裁判の第１０回公判が３０日、東京地裁（杉山慎治裁判長）で開かれ、被告人質問が始まった。菊地被告は逮捕時の認識を「薬品を運ぶことを頼まれ、運んだというくらいの記憶」と説明した。
菊地被告は爆薬原料の「運搬役」として起訴されたが、「爆薬の原料であるとは知らなかった」と無罪を主張している。
被告人質問で菊地被告は、教団「厚生省」で担当したのは「雑用や掃除」と説明。その後、化学実験を手伝うようになったが、高校で化学を学んだのは１年までで、興味も「そんなになかった」と、化学知識の乏しさを主張した。
検察側は被告がＶＸ生成などの化学実験に関わったとしているが、被告は実験が「命に関わるとは思っていなかった」とし、実験で何ができるかについて説明は「なかった」という。
薬品運搬の際は検問などで見つかると「取り上げられると思い、厳重に隠した」と説明。運搬を指示した元幹部、中川智正死刑囚（５１）は薬品のリストを渡したと証言したが、被告は「紙を渡された記憶自体がない」と話した。
事件後は、小池（旧姓・林）泰男死刑囚（５６）とともに逃亡生活を開始。「林さんに『じゃ、行こうか』といわれ、付いていった」と説明した。
被告人質問の冒頭で菊地被告は被害者に「人生に多大な影響を与えてしまい、大変申し訳なく思っています」と改めて謝罪。入信した経緯も説明し、高校時代から教団の道場に通うようになり、「同じ価値観の人たちと話せるのがうれしかった」と振り返った。
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再開・オウム裁判:実験棟では「雑用役」 菊地被告、化学知識乏しさ主張
毎日新聞 2014年05月30日 東京夕刊
オウム真理教による東京都庁爆発物事件（１９９５年）で爆発物取締罰則違反と殺人未遂のほう助罪に問われた元信者、菊地直子被告（４２）の裁判員裁判は３０日、東京地裁（杉山慎治裁判長）で被告人質問が始まった。菊地被告は事件の被害者に対して「人の人生に多大な影響を与えてしまい本当に申し訳なく思っている」と謝罪した一方、実験棟での自身の役割について「雑用だった」と述べ、化学的な知識は乏しかったと主張した。
被告は初公判と同じグレーのスーツ姿。事件で左手指を失った元都庁職員の内海正彰さん（６３）に謝罪の言葉を述べた後、弁護側の質問に答えた。
説明によると、被告は小学生のころから周囲とうまくコミュニケーションが取れず、人と比べられる社会に違和感を持っていた。９０年に教団の本を読み、親の反対を振り切って出家。「煩悩を乗り越えるプロセスが他の宗教よりも具体的で感動した」という。
出家後は陸上部に所属、毎日４０〜６０キロ走って世界記録の達成を目指した。「１０キロの重りを背負って走った後にスクワットを１０００回することもあった。世界記録の達成の可能性が１％でも増えていくという気持ちで練習した」。質疑中に当時を思い出し、笑みがこぼれる場面もあった。
９４年夏ごろから化学兵器の実験などを行う教団の「厚生省」に配属され実験棟に出入りした。被告は「洗剤で実験器具を洗う作業や試薬の瓶のラベルはがし、掃除などの雑用を任された」と述べた。
神経剤ＶＸや麻酔薬の生成に関わったことは認めたが、教団元幹部の土谷正実死刑囚（４９）が示した実験方法に従っていただけだと主張。「実験をやってみたいとは思わなかった。分からないことがあると土谷さんに聞いていた。土谷さんがマスクや白衣を身に着けておらず、（危険性は）大丈夫なレベルだと思っていた」と説明した。
これまでの公判では、死刑囚３人を含む元信者ら１２人の尋問が行われた。被告人質問は６月３日まで計３日間予定されている。【島田信幸、川名壮志】
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オウム 菊地直子被告 第10回公判 2014.5.30 Fri. 被告人質問「頼まれて薬品運んだ」化学知識の乏しさ主張
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