【精神科女医のつぶやき】片田珠美(89)「復讐願望」で遠隔操作…片山被告に墓穴掘らせたのは「懲罰欲求」
産経ニュース 2014.6.1 07:00
遠隔操作ウイルス事件は、無実を訴えていた片山祐輔被告が「真犯人」を装ったメールを送信した末に、「全部自分がやりました」と全面的に認める劇的な展開になった。一体なぜ墓穴を掘るようなことをするのかと、不思議に思われた方が多いのではないか。
もちろん、「母親から『いつ平穏な生活が戻るのか』と聞かれ、早く裁判を終わらせたいという気持ちになった」のは事実だろうし、有罪になることへの不安もあっただろう。
不安に駆られると、つい余計なことをしてしまうのが、人間の性(さが)である。かつてテレビで放映されていた「刑事コロンボ」というドラマでは、犯人が完全犯罪に成功しかけるものの、コロンボに「腑に落ちない点がある」「何となく妙」などといわれて不安になり、証拠隠滅を図ったり、別の真犯人を示唆するような小細工をしたりして、結局墓穴を掘るのが定番の筋書きだった。
また、4人が誤認逮捕されたと聞いて「『やった』という気持ちになった」と話しているところを見ると、警察や検察をおちょくって自分のほうが賢いと誇示したいという欲望が相当強そうである。捜査機関をぎゃふんと言わせて混乱させたいという復讐願望にも突き動かされていたように見える。
ただ、それだけでは説明しきれない。罰を受けたいという無意識の欲望もありそうだ。子供が罰を誘発するためにあえて「悪い子」になり、お仕置きされた後は、精神的負担が軽くなるのか、むしろおとなしくなることがあるが、それと同じである。
それでは、このような懲罰欲求は何に由来するのか? 「罪の意識から生じたのだ」とフロイトは述べている。片山被告の場合、冤罪だと信じてくれていた弁護士や支援者の方に対する罪の意識から、墓穴を掘ってしまったと解釈するのは、甘すぎるだろうか。
片山被告に対してどうしても甘くなってしまうのは、昨年、彼が逮捕された直後に、この連載で彼のことを「非モテ」と評して、読んだ方々から大バッシングを受けた苦い経験のせいかもしれない。懲罰欲求があると、自ら破滅を招くようなまねをしがちで、なかなか幸せになれない。今から考えると、私自身、片山被告を「非モテ」扱いすることで大バッシングを受けたいという懲罰欲求があったのかもしれない。
ところで、片山被告の精神鑑定を、という声があるみたいだけど、私にオファーしてくれないかしら?
*世間を騒がせたニュースや、日常のふとした出来事にも表れる人の心の動きを、精神科医の片田珠美さんが鋭く分析します。片田さんは昭和36(1961)年、広島県生まれ。大阪大医学部卒、京都大大学院人間・環境学研究科博士課程修了。著書に『無差別殺人の精神分析』(新潮選書)、『一億総うつ社会』(ちくま新書)、『なぜ、「怒る」のをやめられないのか』(光文社新書)、『正義という名の凶器』(ベスト新書)など。
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〈来栖の独白〉
>罰を受けたいという無意識の欲望
>冤罪だと信じてくれていた弁護士や支援者の方に対する罪の意識から
ちょっと違う、と私は考える。
あくまでも「捕まりたくない」という気持ちが強かった、と私は思う。また、冤罪だと信じてくれていた弁護士や支援者の方に対する思いが強ければ強いほど、「裏切りたくない」という思い、何としても嘘を貫き通そうという思いが強固になり、捕まりたくなかったのではないか。引くに引けない思いのなかにいたのでは、と私は思う。
いま一つ、知的ゲームに大半勝った自分を誇りたい気持ちも存在した(今も存在している)と思う。この面から見れば、片山被告は精神鑑定をむしろ拒否したいのではないだろうか。
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