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集団的自衛権の行使3要件 横畠内閣法制局長官「合理的な解釈の範囲内のもの」 / 首相「機雷除去も該当」

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横畠長官、新3要件はこれまでの議論と整合
  TBS News 2014/7/14 Mon. 
 横畠内閣法制局長官は、集団的自衛権の行使を認める際の新たな3要件について「これまでの憲法をめぐる議論と整合する合理的な解釈の範囲内のもの」と明言し、憲法違反にはあたらないという認識を示しました。
  「今般の閣議決定は、憲法第9条のもとでも極限的な場合に限っては、例外的に自衛のための武力の行使が許されるという。昭和47年の政府見解の基本論理を維持し、その考え方を前提としたものでございます。その意味で、これまでの憲法第9条をめぐる議論と整合する合理的な解釈の範囲内のものであり、憲法の基本原則である平和主義を、いささかも変更するものではないと考えております」(横畠裕介内閣法制局長官
 また、日本が集団的自衛権を行使する際の新たな3要件のうち、「我が国の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される明白な危険がある場合」という定義について、「武力を用いた対処をしなければ、国民に、我が国が武力攻撃を受けた場合と同様な、深刻、重大な被害が及ぶことが明らかな状況」と答弁。実際にその事態が新3要件に当たるかどうかの判断は、「事態の個別具体的な状況に即して総合的に考慮し、我が国に戦禍が及ぶ蓋然性、国民が被ることとなる犠牲の深刻性、重大性などから客観的に、合理的に判断することになる」と述べました。
 一連の答弁について質問した公明党の北側副代表は、「政府の恣意的な判断が入る余地はないということで、今後、法整備をしていくにあたっての基本となる答弁で重要な意味を持つ」と強調しました。(14日19:03)
 ◎上記事の著作権は[TBS News]に帰属します *強調(太字・着色)、リンクは来栖
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首相「中東での機雷除去も集団的自衛権に該当」
  TBS News 2014/7/14 Mon. 
 集団的自衛権をめぐる衆議院予算委員会の集中審議で、安倍総理大臣は、中東での機雷除去の活動も、日本が集団的自衛権を行使する際の新たな3要件に該当するという考えを示しました。
  「ホルムズ海峡、わが国のエネルギー安全保障の観点から、極めて重要な輸送経路となっていると言えます。仮に、この海峡の地域で紛争が発生し、機雷が敷設された場合、誰かがその機雷を除去しなければ、日本に向かってやってくる原油の8割がそこを通るんですから」(安倍首相)
 安倍総理はこのように述べた上で、「ホルムズ海峡を経由した石油の供給が回復しなければ、国民の幸福追求の権利が根底から覆されることになる事態が生じ得る」と語り、中東での機雷除去活動も日本が集団的自衛権を行使する際の新たな3要件に該当するという考えを示しました。
 また、横畠内閣法制局長官は、集団的自衛権の下、日本が機雷除去活動を始めた後、国連安保理の決議が出されて、国際的には、集団安全保障の措置になった場合の対応について、「法理上は、わが国が新3要件を満たす武力の行使をやめなければならないということにはならないと考えられる」と答弁して、活動を継続できるという認識を示しました。(14日18:26)
  ◎上記事の著作権は[TBS News]に帰属します *強調(太字・着色)は来栖
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首相 3要件満たせば機雷掃海など可能
 NHK NEWS WEB 7月14日 19時35分 
 安倍総理大臣は衆議院予算委員会の閉会中審査で、集団的自衛権を巡って、武力行使の新たな3要件を満たせばシーレーン=海上交通路での機雷の掃海活動など政府が先に示した具体的な8つの事例のいずれでも行使できるという考えを示すとともに、日米同盟に関する事態は3要件に該当する可能性が高いという認識を示しました。
 政府が集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を行ったあと初めての国会論戦となる衆議院予算委員会の閉会中審査が行われました。この中で自民党の高村副総裁は、シーレーン=海上交通路で武力攻撃が発生した際の国際的な機雷の掃海活動について、「国の存立を危うくし国民の権利を根底から覆す明白な危険があるような場合にはできるし、そこに至らない場合はできない。具体的にどういうところまでいったらできるのか」と質問しました。
 これに対し安倍総理大臣は、「ホルムズ海峡はわが国のエネルギー安全保障の観点から極めて重要な輸送経路となっており、仮にこの海峡の地域で紛争が発生し機雷が敷設された場合、その段階で相当の経済危機やエネルギー危機が発生したと言える。わが国の存立が脅かされ国民の生命・自由及び幸福追求の権利が根底から覆されることとなる事態が生じうる」と述べ、武力行使の新たな3要件を満たせばホルムズ海峡での機雷の掃海活動は可能になるという認識を示しました。
 公明党の北側副代表は、武力行使の新たな3要件について、「単に密接な他国に武力攻撃があったというだけではだめだ。国民の権利が根底から覆される状況や明白な危険がある事態はどのような要素から判断されるのか」とただしました。
 これに対し横畠内閣法制局長官は、「他国に対する武力攻撃が発生した場合において、国家としての究極の手段である武力を用いた対処をしなければ、国民にわが国が武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害が及ぶことが明らかな状況であると解される。明白な危険というのは単なる主観的な判断や推測等ではなく、客観的かつ合理的に疑いなく認められるというものであると解される」と述べました。
 民主党の岡田前副総理は、「日米同盟に影響を与えるのであれば武力行使の新たな3要件があてはまる可能性があるというのならば、何の限定もしていないのに等しい。白紙で内閣に委任するような話で、国会として許し難く、見直すべきだ」と指摘しました。
 これに対し安倍総理大臣は、「日米同盟は死活的に重要なので、日米同盟の関係で起こりうる事態は3要件に当てはまる可能性が高い。ただ自動的に当てはまるわけではなく、わが国の事態に発展していく可能性が高いものを国際的な状況などを判断しながら決めていく。行政だけの判断ではなく、当然国会の承認がなければできず、国会の判断を頂いて初めて自衛隊は行動できる」と述べました。
 日本維新の会の橋下共同代表のグループの松野代表は、シーレーンで武力攻撃が発生した際の国際的な機雷の掃海活動について、「機雷を置いた国に対する武力攻撃であり海外での武力攻撃であるわけだから、『海外派兵はしない』というロジックと全然違うのではないか」とただしました。
これに対し安倍総理大臣は、「機雷を掃海する行為は武力行使に当たり戦闘行為であるが、機雷の除去というのは派兵といっても受動的、限定的な行為だ。掃海艇自体がまったく攻撃的なものではなくぜい弱なものであり、事実上、そこで戦闘行為がまさに行われている状況のところに自衛隊を派遣して掃海を行うことは考えていないわけで、性格はずいぶん違う」と述べました。
 結いの党の柿沢政策調査会長は、集団的自衛権の行使容認について、「歴代の内閣法制局長官が憲法上認められないと口をそろえて言っているが、これまでの憲法解釈の変更と今回の変更では、なぜこんなにも違う反応を引き出しているのか」とただしました。
 これに対し安倍総理大臣は、「歴代の長官の発言を論評するつもりは全くない。法制局ではもっぱら憲法との関係を議論していると思うが、私たちは憲法の規範を変えずに整合性と法的安定性をしっかり担保したうえで閣議決定を行った。憲法との関係で今までの議論にだけこだわって、国際法上、非常識なことをするのか、そこに隙間があっても、放っておくのかということを考えた」と述べました。
 日本維新の会の石原共同代表のグループが発足させる次世代の党の山田幹事長は、集団的自衛権の行使に関係するとして政府が先に示した具体的な8つの事例について、「今回の憲法解釈の変更で8つの事例はクリアできるのか」と質問しました。
 これに対し安倍総理大臣は、「集団的自衛権の行使はあくまでも武力行使の新たな3要件に当てはまるかどうかで、3要件に当てはまれば武力行使ができるということになる。個別的自衛権においても、かつての3要件に当てはまるかどうかで武力行使ができるかどうかということであったわけで、今回は集団的自衛権も含めて武力の行使は3要件というふうになる」と述べました。
 みんなの党の浅尾代表は、「武力行使の新3要件の中に『わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生した場合』とあるが、この『他国』はアメリカ以外も含まれるのか」と質問しました。
 これに対し安倍総理大臣は、「一般に外部からの武力攻撃に対し共通の危険として対処しようという共通の関心を持ち、わが国と共同して対処しようとする意思を表明する国を指すと考えている。あらかじめ特定されるものではなく、武力攻撃が発生した段階で個別具体的な状況に即して判断されるべきだ。同盟国であるアメリカは基本的に当たると考えているが、アメリカ以外の国が該当する可能性は現実には相当限定されると考えている」と述べました。
 共産党の笠井・政策副委員長は、「今回の閣議決定で自衛隊の活動はさらに拡大し、従来、戦闘地域と言ってきた場所にも行くことがある。戦闘中のアメリカ軍などを支援している自衛隊が攻撃の対象になる危険があるのではないか」とただしました。
 これに対し安倍総理大臣は、「今後日本が行う支援活動は現に戦闘行為が行われている現場では実施しないことで武力行使の一体化の問題は生じないと考えている。仮に状況の変化によって日本が支援活動を実施している場所が現に戦闘を行っている現場となる場合には、ただちに支援活動を中止、中断するという考え方を基本として法整備を進めていく」と述べました。
 生活の党の村上・安全保障調査会長は、「日本の戦後体制を大きく変えていこうという思いがあることは承知しているが、集団的自衛権の行使容認は戦後の安全保障政策の大転換であり、当然国民に信を問うべきではないか」と指摘しました。
 これに対し安倍総理大臣は、「私は自民党の総裁選挙に立候補した時から集団的自衛権の行使について憲法解釈の変更を訴えてきた。また、衆議院選挙や参議院選挙の際に自民党が発表した政策集にも書き込んでおり、私たちはそこで勝利を得て政権を維持している。現段階で衆議院の解散を考えているわけではない」と述べました。また、安倍総理大臣は、集団安全保障に関係する武力行使について、「国連決議がなされて集団安全保障の行為に移っていくなかで、そこでやめるのかといえば、あくまでも武力行使の新3要件との関係で判断する。新3要件にそぐわなくなればやめるが、合う状況であれば、当然、集団的自衛権が集団安全保障の措置に変わったとしても続いていく」と述べました。
 一方、安倍総理大臣は、アメリカで起きた同時多発テロ事件に関連して、「ワールドトレードセンターが破壊されたが、こういう行為に対してわが国が集団的自衛権を行使して武力を行使するか否かは武力行使の新3要件には当てはまらない」と述べました。
 ◎上記事の著作権は[NHK NEWS WEB]に帰属します
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「滋賀」敗北から一夜、「集団的自衛権」国会で論戦
  TBS News 2014/7/14 Mon. 
 安倍政権は滋賀県知事選で痛い敗北を喫しました。安倍総理は、14日の政府・与党の幹部会でも、集団的自衛権に関する国民の理解が十分でないと、自ら説明不足を認めたということです。
  滋賀県の知事選挙から一夜明けて当選した三日月大造元衆議院議員が、嘉田由紀子知事の元に挨拶に訪れました。「卒原発」を訴えて、原発再稼働を進める安倍政権の方針に真っ向から挑んだ三日月氏。自民党は、菅官房長官や石破幹事長らを投入する国政選挙並みの態勢で臨みましたが、敗れました。自民党関係者からは、連立を組む公明党の動きが鈍かったという声が出ています。
 「公明党支持者が投票に行ってくれなかった。原因は一つしかない。集団的自衛権の議論の影響が出たんだろう」(自民党関係者)
 安倍総理自身も、1日に閣議決定した集団的自衛権の問題が、選挙結果に影響したという見方を示しました。
 「集団的自衛権の議論が影響していないということを申し上げるつもりは毛頭ございません」(安倍首相)
 閣議決定後、初めて開かれた14日の衆議院予算委員会。「平和の党」を掲げながら最終的に憲法解釈の変更を認めることになった公明党の北側副代表は、集団的自衛権の行使を認める場合の新たな3要件が、十分な歯止めになっていると強調しました。
 「憲法の枠内でしかできませんから、新しい3つの要件のもとで、できる場合はしっかり果たしていくと。国民を守るための万全の備えをしていくということが、やはり大切であるんだと思います 」(公明党 北側一雄副代表)
 「政府として我が国の防衛の基本的な方針として、専守防衛を維持していくことに変わりはありません」(安倍首相)
 安倍総理も、今回の閣議決定は、憲法との整合性から極めて限定的に集団的自衛権の行使を認めるもので、それ以上の容認には憲法改正が必要になるという考えを強調して、理解を求めました。
 これに対し、滋賀県知事選の勝利で、安倍政権に一矢報いた格好の民主党・海江田代表は「新たな3要件は歯止めになっていない」と安倍総理を追及しました。
 「政府が総合的に判断すると、そうするとまさにこの歯止めにならないんですよ」(民主党 海江田万里代表)
 「国会においてもご判断ご議論をいただくことになるわけでありますから、この歯止めはきっちりとした歯止めであると」(安倍首相)
 安倍総理は、このように受け流したものの、岡田元代表もアメリカとの関係を持ち出して追及を重ねます。
 「日本が限定した集団的自衛権を行使しないことで、日米同盟が深刻な影響を受けると、こういう場合にはこの3要件に該当するんですか?」(民主党 岡田克也元代表)
 「米軍に対する武力攻撃。これはそれ以外の国に対する武力攻撃の場合に比較しても、この新3原則に当てはまる可能性は高いと考えなければならないと思っております」(岸田文雄外相)
 「そんなことを言ったら、日米同盟が危なくなる場合には、常に日本はできるということになりますよ。何のためにこの新3要件作ったんですか?総理、どうなんですか?」(民主党 岡田克也元代表)
 舌鋒鋭く迫る岡田氏に対して、安倍総理は「国会の承認が大前提だ」と繰り返す一方でした。
 「国会の判断を頂いて、初めて自衛隊は行動ができる」(安倍首相)
 また、2001年に起きたニューヨークの同時テロのような攻撃があった場合、集団的自衛権を行使するのかという質問に対し、安倍総理は「3要件には当たらない」と述べて、行使の対象にはならないという考えを示しています。
 集団的自衛権をめぐる閣議決定後に、内閣支持率が急降下した安倍政権。滋賀県知事選挙の敗因を早急に分析して、政権運営への影響を点検する姿勢ですが、今後は、これまで以上に国民への丁寧な説明が求められることになります。(14日17:16)
  ◎上記事の著作権は[TBS News]に帰属します
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集団的自衛権行使 首相「国連憲章で各国に認められているものと同様の行使が憲法上許されるわけではない」 2014-07-15 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉 
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集団的自衛権「機雷掃海」能力=抑止力 / ホルムズ海峡〜マラッカ海峡 南シナ海 死活的に重要なシーレーン 2014-06-18 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉  
 エネルギー確保 中東安定化 積極的平和主義…「機雷掃海」譲れぬ安倍首相
 産経ニュース 2014.6.18 00:16
 安倍晋三首相が並々ならぬ意欲を示す集団的自衛権の行使としての戦闘下でのシーレーン(海上交通路)の機雷掃海。中東情勢が悪化するたびに不安定化するペルシャ湾・ホルムズ海峡での活動は日本にとって欠かすことができないと首相は判断している。ただ、集団的自衛権の行使対象を朝鮮半島有事など日本周辺に限定したい公明党との歩み寄りはまだ道半ばだ。
 17日の「安全保障法制整備に関する与党協議会」で自公両党は機雷掃海をめぐり真っ向から対立した。
 山本順三参院自民党幹事長代理「国民も機雷除去はやっていいと思っている」
 北側一雄公明党副代表「戦闘下の機雷掃海は武力行使だ。そうだろ政府!」
 山本氏が報道各社の世論調査データをもとに理解を求めようとすると、北側氏は食ってかかった。
 首相がホルムズ海峡の機雷掃海にこだわるのは、就任1年半での外遊先からも読み取れる。
 首相は昨年4月〜今年1月にかけて、ペルシャ湾沿岸の湾岸協力会議(GCC)加盟6カ国を全て訪問し、安全保障対話の強化を打ち出した。ペルシャ湾の入り口となるホルムズ海峡は、日本の輸入原油のうち85%が通過するシーレーンの要衝だ。首相はホルムズ海峡が機雷で封鎖されれば、「経済的なパニックが起き、日本は決定的に被害を受ける」と指摘する。首相の経済政策「アベノミクス」を成功させるためにも安定したエネルギー供給が不可欠となる。
 集団的自衛権の行使が可能になれば、「世界の中の日本」として中東の安定化に向け、積極的な関与もできる。高い掃海能力をもつ海上自衛隊は、先の大戦中に米軍が日本周辺海域に敷設した機雷を処理してきたほか、1991年の湾岸戦争後、ペルシャ湾での掃海任務にも就き、硫黄島などで実際の機雷を用いた訓練も常時行っている。
 海自掃海艇部隊は装備や技術面で米軍や英軍に匹敵するとされるが、日本が集団的自衛権を行使しない現状では、機雷除去は戦闘行為停止後の「遺棄機雷」の除去に限定されている。
 政府関係者は「国際的に海自の活動要請があるにもかかわらず、集団的自衛権の行使が認められないため、その要請に応えられないでいる」と指摘しており、首相が掲げる「積極的平和主義」にも逆行する。
 与党協議会で集団的自衛権の行使対象を大幅に限定させたい公明党は今のところ譲る気配を見せていないが、首相の意を受ける自民党の高村正彦副総裁は公明党側にこう念を押した。
 「ここは(首相の)意志は固いですよ」
 ◎上記事の著作権は[産経新聞]に帰属します 
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【主張】集団的自衛権 機雷除去は日本の国益だ
 産経ニュース 2014.6.18 03:09
 集団的自衛権をめぐる与党協議は、政府が行使容認の閣議決定原案を提示し、大詰めの段階を迎えているが、自衛隊の活動範囲をめぐる自公両党間の立場の違いがより際立ってきた。
 象徴するのは、海上交通路(シーレーン)に敷設された機雷を除去する掃海活動に、公明党が強い難色を示している点だ。
 ペルシャ湾のホルムズ海峡の近隣で有事が発生した際に、機雷掃海を集団的自衛権に基づき実行することは、日本の平和と繁栄を守るために必要だ。だが、公明党は自衛隊の活動を日本周辺にとどめるなど、行使容認の範囲を極力限定したい意向だ。
 日米同盟を強化し、日本の国益と安全を守るために何が必要かが与党協議に問われている。真に意味のある合意づくりへ、ぎりぎりまで調整を続けてほしい。
 ホルムズ海峡は世界の原油の3〜4割が運ばれるタンカー銀座だ。日本の輸入原油の大半もここを通る。機雷で封鎖されれば世界経済への影響は重大なだけに、国際的な掃海活動が行われることになるだろう。掃海能力が高く、年3千隻超の関係船舶が航行する日本に参加要請が来ることは当然考えておくべきだ。
 1991年の湾岸戦争時、イラクがペルシャ湾に機雷を敷設した際、集団的自衛権の行使ができない日本は、停戦発効後に掃海部隊を派遣した。停戦前から掃海に従事した米英などに比べ、高い評価を得られなかった経緯もある。
 今の中東情勢から「機雷敷設の可能性は低い」として、集団的自衛権から外すよう求める意見もあるが、事が起きた際の影響の大きさを考え、中長期的なリスクに備えておかねばならない。
 守るべきシーレーンは中東に限らない。インド洋からマラッカ海峡、南シナ海を経て日本近海まで、日本にとって死活的に重要なシーレーンが通っている。掃海能力を発揮できると示しておくことが抑止力にもなる。
 公明党は、閣議決定原案で「国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆されるおそれがある」という行使容認の条件から、「おそれ」を外して一層限定的なものにしたいという。
 政府や自衛隊の手足を縛れば平和的になるとの発想だろうか。事態が起きてからあわてても遅い、という発想へ転換すべきだ。
 ◎上記事の著作権は[産経新聞]に帰属します 
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『アメリカの新・中国戦略を知らない日本人』日高義樹著 PHP研究所 2013年2月27日第1版第1刷発行 2013-02-28 | 本/(演劇) 
  (抜粋)
p113〜
  日本が輸入している石油のほとんどは、ペルシャ湾からインド洋を経由してマラッカ海峡を通り、東シナ海を経て日本に運ばれてくる。このルートを防衛するための司令部を横須賀に集中することは、当然といえば当然である。
p168〜
第5部 アメリカは中東石油を必要としない
 アメリカが中東の石油を必要としなくなる。これはまさに歴史的な出来事と言える。その理由はいくつかあるが、最大の理由は、これからアメリカの石油の産出高が増えること、やがてアメリカがサウジアラビアを超える最大の石油産出国になろうとしていることである。
  第2の理由は、周辺の国々のメキシコ、カナダ、コロンビア、ベネズエラが産出する石油が増え、アメリカ国内の産出高の不足を補えるようになっていることである。
  第3の理由は、すでに述べたように天然ガスと原子力発電によるエネルギーの産出が増え、エネルギーの自給体制が確立しようとしているからだ。
p169〜
  中東の石油にまず手を出したアメリカの政治家は、フランクリン・ルーズベルト大統領だった。ルーズベルトはイギリスのチャーチルに対して、「イランをイギリスに与える代わりにサウジアラビアをアメリカのものにする」と主張し、話し合いをつけた。
  第2次世界大戦後はイランを牛耳るイギリスと、サウジアラビアを手にしたアメリカが中心となって、ソビエトとの冷戦が戦われた。その冷戦が終わったあとは、中東がアルカイダを含むイスラムの反米勢力との戦いの場となった。
p170〜
  ロシアはエジプトに触手を伸ばした。エジプトの人々は、ヨーロッパと並んで近代化を図ろうとした矢先、イギリスに騙され、植民地化されてしまったのに腹を立てていたが、第2次大戦では再びアメリカ、イギリス連合軍の手中に落ちてしまった。
  エジプトの青年将校たちがその後革命を行い、ソビエトとの同盟体制を強化したが、アメリカが入り込み、ソビエトを追っ払った。やがてイランが人民革命に成功し、パキスタンは独自の核兵器をつくり、アメリカによるイラク戦争、アフガニスタン戦争が始まり、現在に至っている。
  そうしたなかでサウジアラビアの石油帝国の位置は揺るがなかったが、油田そのものが古くなっている。日産100万バレルという巨大な油田を有するものの、サウジアラビア全体で1日1300万バレル以上を掘り出すことは不可能になっている。
  世界経済の拡大とともに石油産出国の立場が強くなり、OPECの操作で石油危機が起き、アメリカをはじめ世界が中東の石油カルテルに振り回されてきたが、その状況が終わろうとしている。しかし中国やインド、日本が依然として中東の石油を必要としているため、アメリカの中東離れによって、さらに複雑な国際情勢が描き出されようとしている。
  はっきりしているのは、中東の石油を必要としなくなった結果、世界の軍事的安定の要になっているアメリカが、中東から軍事力を引き揚げようとしていることだ。
p171〜
  アメリカは2014年、アフガニスタンから戦闘部隊をほぼ全て引き揚げることにしている。すでにイラクからは戦闘部隊を引き揚げており、このまま事態が進めば、中東におけるアメリカの軍事的支配が終わってしまう。
p172〜
  アメリカは、優れた衛星システムと長距離攻撃能力、世界規模の通信体制を保持している。アメリカが強大な軍事力を維持する世界的な軍事大国であることに変わりはない。
p173〜
  だが中東からアメリカ軍が全て引き揚げるということは、地政学的な大変化をもたらす。
  アメリカ軍の撤退によって中東に力の真空状態がつくられれば、中国、日本、そしてヨーロッパの国々は独自の軍事力で中東における国家利益を追求しなくてはならなくなる。別の言葉でいえば、中東に混乱が起き、戦争の危険が強まる。
  日本は、中東で石油を獲得し、安全に持ち帰るための能力を持つ必要が出てくる。この能力というのは、アメリカの専門家がよく使う言葉であるが、軍事力と政治力である。簡単に軍事力と政治力というが、軍事力だけを取り上げてみても容易ならざる犠牲と経済力を必要とする。
  中東で石油を自由に買い求め、安全に運んでくるための軍事力を検討する場合、現在の世界では核兵器を除外することはできない。あらゆる先進国は、自国の利益のために軍事力を強化している。核戦争を引き起こさない範囲で自国の利益を守ろうとすれば、軍事力行使の極限として核兵器が必要になる。先進国が核兵器を保有しているのはそのためである。
  韓国や台湾、それにベトナム、シンガポールといった東南アジアの国々が、いわゆる世界の一流のプレーヤーと見なされないのは、軍事力行使の枠組みになる核兵器を保持していないからだ。日本は日米安保条約のもと、アメリカの核兵器に頼っている。
p174〜
  東南アジアの国々と立場は違うが、いまやその立場は不明確になりつつある。
  中国についても同じ原則が当てはまる。中国は軍事力を背景に、アメリカの力がなくなった中東で政治力を行使することが容易になる。いま世界でアメリカを除き、ロシア、インド、パキスタン、イランそしてヨーロッパの国々も中国とは軍事的に太刀打ちできなくなっている。
  中国が中東で好き勝手をやるようになり、石油を独占して日本やインドなどに損害を与えるようになった場合、日本はインド洋からマラッカ海峡、南シナ海から東シナ海を抜けて日本へ至るシーレーンを自らの軍事力で安全にしなければならない。この際、欠かせなくなってくるのが、やはりアメリカの協力であり、アメリカの決意なのである。(略)
 中東には、石油の問題だけでなく、核兵器を持とうとしているイランの問題がある。イランのアフマディネジャド大統領はユダヤ人国家イスラエルの存在を認めておらず、核兵器で壊滅させるという脅しをかけている。宗教的に対立するサウジアラビアに対しても軍事対決を迫る構えを崩していない。
p175〜
  石油大国サウジアラビアとイスラエルは世界経済を大きく動かしている。この両国がイスラム勢力によって消滅させられるようなことがあれば、第2次大戦以来、比較的安定して続いてきた世界は大混乱に陥る。
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