イスラム国、シリアのクルド地域に侵攻
産経ニュース 2014.9.19 21:13
【カイロ=大内清】ロイター通信などによると、イラク、シリアで攻勢を続けるイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」が18日、シリア北部のクルド人地域に侵攻し、トルコ国境近くの町アイン・アラブを包囲、周辺の村20カ所以上を制圧した。シリアのクルド勢力は、同国反体制派やトルコと対立関係にあることから対イスラム国有志連合による支援が進んでおらず、イスラム国は“隙”を突いて勢力を拡大した形だ。
イスラム国は2013年からクルド勢力と対立し、隣国イラクで北部モスルを掌握した今年6月以降は戦闘を優勢に進めていた。今回の攻勢には、イラク政府軍から奪った戦車や重火器が投入されたもようだ。
このため国際社会ではこのところ、イスラム国のこれ以上の支配地域拡大を阻止するためにはシリアのクルド勢力への支援が必要だとの指摘が出ていた。米軍制服組トップのデンプシー統合参謀本部議長は18日、AP通信に、クルドへの武器支援を検討していることを明らかにした。
ただ、シリアのクルド勢力はアサド政権と反体制派との戦闘では中立的な立場を取っており、「自由シリア軍」などの反体制派武装勢力の中には「クルド人は政権側に協力している」と敵視する声が強い。
また、シリアのクルド勢力は、トルコで武装闘争を展開してきたクルド労働者党(PKK)に拠点を提供するなど密接な関係にあるとされることから、トルコ政府とも対立している。
こうした事情から、トルコや反体制派には、同勢力が米国などからの軍事支援を受ければ、将来の自分たちへの脅威になり得るとのジレンマがある。それだけに支援実現に向けた今後の調整は難航が予想され、有志連合の足並みの乱れにつながる可能性もある。
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◇ 「イスラム国」勢力拡大の背景 2014-09-02 | 国際
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