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奈良女児殺害事件から10年 有山楓さんの父親が手記「地域の安全を願う」/小林薫元死刑囚2013年2月執行

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奈良女児殺人10年:地域の安全を願う 父親が手記
  毎日新聞 2014年11月17日 07時30分 
 2004年11月に奈良市で起きた小1女児誘拐殺人事件から17日で10年となり、被害者の有山楓ちゃん(当時7歳)の父茂樹さん(40)が奈良県警を通じて報道機関に手記を寄せた。10年の歳月を経てなお続く苦しみ、子供たちが安全に暮らせる地域への願いを訴えた。全文は次の通り。【芝村侑美】
 今年で楓が被害にあったあの日から10年が経(た)ちました。10年は長くも感じますが変わることのない悲しみや苦しみはあの日のままです。
 あの明るい笑顔や仲の良かった姉妹、事件がなければ今はどんな毎日を送っていたのだろうと考えてしまいます。家族を守れなかった後悔はこれからも消えることは決してないと思います。普通に過ごす毎日がどんなに幸せか、何気ない会話がどれだけ楽しいか、奪われた命が私たちにとってどれだけ大きく大切であったかを痛感する毎日です。楓が生きていれば今は高校2年生です。楓の妹も時々高校生の楓と遊んだ夢をみます。きっと賑(にぎ)やかな毎日で、たくさんの友達と遊び、色々やりたいことに取り組んでいたのだろうと思います。これからも忘れることはありませんし、今も私たちの思いの中で生き続けています。
 小林(薫)元死刑囚の死刑執行から1年9ケ月が経とうとしています。裁判は私たちが求めたものとなりました。しかし、小林元死刑囚が真摯(しんし)に罪を受け止め8年余りを過ごしたのか、楓の無念を少しでも晴らしてやれたかは今も分かりません。楓の命が奪われただけでなく、数多くの恐怖や苦しみを受け、そして多くのものを失いました。これを一つずつ乗り越えてこそ初めて区切りといえるのだろうと思います。
 今も子どもが被害にあう事件が後を絶ちません。子どもの安全を守るには地域の繋(つな)がりが不可欠です。そこから親も子も安心感が生まれるのだと思います。罪のない子ども達が被害にあう事件が二度と起こらない、子ども達の笑顔のあふれる「安心・安全」な社会になることを心より願います。
 ◎上記事の著作権は[毎日新聞]に帰属します
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奈良女児殺害10年:楓ちゃん 忘れぬ笑顔
 毎日新聞 2014年11月14日 07時00分 
■同級生ら「「事件を風化させない」
 2004年11月に奈良市の小学1年生、有山楓(かえで)ちゃん(当時7歳)が誘拐、殺害された事件から17日で10年となる。事件は、高校生となった同級生らに今も深い傷を残している。今年に入っても、7月に岡山県倉敷市で小5の女児が連れ去られたり、9月には神戸市で小1女児が殺害されたりするなど、女児を狙う事件は後を絶たない。「事件を風化させたくない。二度と同じ悲しみを繰り返さないために」。楓ちゃんを知る2人の女子生徒が取材に応じた。【芝村侑美】
 「今でも車に乗るのを止められていたらと後悔している。もやもやは晴れない」
 楓ちゃんの1学年上だった高校3年の女子生徒(18)=奈良市=は当時、奈良市立富雄北小学校の2年生。04年11月17日午後、自宅近くで楓ちゃんが小林薫元死刑囚の車に乗るのを見た最後の目撃者の一人だ。
 女子生徒は事件の日、友達と2人で下校中だった。楓ちゃんが自分を走って追い越した。少し先に車が止まっており、一瞬、男の横顔が見えた。「知ってる人かなと、その時は思った」。翌18日未明、奈良県平群町で遺体が発見された。母親(44)に車のことを話した。「登校すると、1年生の教室の楓ちゃんの机に花が置かれ、先生が突っ伏して号泣していた」
 12月30日、小林元死刑囚が逮捕された。警察署に呼ばれ、目撃した男と風貌が同じかどうか確認する「面通し」をしたが、よく分からなかった。その後、家族で平群町の遺棄現場を訪れた。事件の日の昼休み、ブランコの順番を巡って下級生の楓ちゃんを注意したことが心に引っ掛かっていた。「ごめんね」と書いた手紙を置いた。
 連れ去り現場には事件後の09年、楓ちゃんをしのぶカエデの木が植えられた。女子生徒は言った。「事件から10年がたち、先生や児童も当時を知る人はほとんどいないと思う。危機感が薄れて、いつ同じことが起きるか分からない。楓ちゃんのことを風化させてはいけないし、事件のことを伝えていかないといけないと思う」と訴えた。
   *  *
 「笑った顔しか思い出せない。ブランコが大好きな子だった」。高校2年の女子生徒(17)=奈良市=は楓ちゃんと同じクラスだった。「自分が話すことで事件を思い出し、誰かの意識が変わってほしいと思った」と取材に応じた理由を語る。
 事件翌日の18日朝のことははっきり覚えている。母親が事件を伝えるテレビを見て泣いていた。「私は幼すぎて、亡くなるということがどういうことか分からなかった。母に『もう会えないんだよ』と説明され、初めて涙が出た。教室はしんとして、先生や友達はみんな泣いていた」
 女子生徒は「今も似たような事件が起きている。ニュースを見るたび、楓ちゃんの事件が風化し、無駄になっているのではと思ってしまう」と心情を語った。命日の11月17日は毎年、必ず楓ちゃんのことを考える時間を作る。同級生は互いに楓ちゃんに関するつぶやきをツイッターに投稿する。「忘れないよ」「これからも富雄の町を見守っていてね」。そんなツイートが並ぶ。事件から10年たつが、心には今も楓ちゃんが生き続けている。
 「1年に1度は大人になっても必ず思い出すと思う。忘れたらいけないし、忘れられないと思う」
■奈良小1女児誘拐殺人事件
 2004年11月17日、奈良市立富雄北小1年、有山楓ちゃん(当時7歳)が下校中に行方不明になり、奈良県平群町の道路側溝で遺体で見つかった。母親の携帯電話に楓ちゃんを撮影したメールを送り付けるなど凶悪な手口も社会に衝撃を与えた。県警は12月30日、元新聞販売所従業員、小林薫元死刑囚(当時36歳)を逮捕。小林元死刑囚は06年9月、奈良地裁でわいせつ目的誘拐や殺人などの罪で死刑判決を受け、自ら控訴を取り下げて確定。昨年2月に死刑が執行された。
 ◎上記事の著作権は[毎日新聞]に帰属します
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関連: 生き直そうとした小林薫さん FORUM90 VOL.128 2013年3月30日発行
     奈良女児誘拐殺害事件
      望んだ「極刑」に揺れる心「奈良女児誘拐殺人」 
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