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日本のジャーナリストの怠慢と堕落 南京大虐殺や百人斬りの虚報も朝日新聞だけの責任か 森 清勇

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安全保障
日本のジャーナリストの怠慢とジャーナリズムの堕落 南京大虐殺や百人斬りの虚報も朝日新聞だけの責任か
 Jbpress 2014.11.17(月) 森 清勇  
 筆者は自衛隊に愚直に勤務し、現役時代は従軍慰安婦などに関心を寄せる余裕はなかった。定年後の余暇を利用して、吉田清治の著書やクマラスワミ報告などを読むと、著述や言動には矛盾や不自然さが多すぎることに気づく。
 「日本のクオリティ紙とみられてきた朝日新聞(以下朝日、ほか同)によって、慰安婦問題は「日本の名誉」、並びに軍人および慰安婦など「関係者の尊厳」を汚辱にまみれさせた。
 8月5日、朝日が吉田証言の虚偽を認めて以降は、新聞や週刊誌は朝日攻撃に熱心である。しかし、自分たちはどう対応してきたかという反省はほんの一部の新聞を除いて見えてこない。ジャーナリズムの退廃と言っては言い過ぎであろうか。
 事後法的な物言いで面映ゆいが、日本の国益とマスコミ界の健全な発展を願って、筆者の勤務に関連して回顧してみたい。
■自衛官に着せられた汚辱
 最大規模の人員と機材を提供する災害派遣などでも、新聞やテレビは「警察や消防等」と言って「自衛隊」を隠し、もちろん隊員の写真を映し出すこともほとんどなかった。
 そうした状況が変わったのは東日本大震災において、陛下がビデオ・メッセージで「自衛隊、警察、消防、海上保安庁をはじめとする国や・・・」と自衛隊を筆頭に挙げられてからのことである。
 管理面においても、同一敷地内にある大蔵省と防衛庁(共に当時)の官舎を比べると、防衛庁官舎は狭く貧弱であったし、予算査定時期になると、他の省庁ではあり得ないような庁舎のコンクリート床に毛布を敷いて寝泊まりした。
 一般の公務員や会社員などには理解されない自衛隊特有の旅費体系で、出張においても旅費や日当などの現金は一切支給されない。「運搬費」という形で目的地までの切符が渡される。給食・宿泊は部隊で行い、諸々の経費には自分の給料から出す仕儀となる。
 また業務用でありながら自前で訓練用品や筆記具などを準備することもしばしばであった。自衛隊の場合、戦車、艦船、戦闘機などの兵器・装備が優先で、処遇には「武士は食わねど高楊枝」の心境で耐えてきたという思いが強い。
 こうした隊員の生活や訓練に密着した現実直視の報道に関心が高かったのは産経新聞で、他紙はそれほどでもなかったようである。
 栗栖弘臣統合幕僚会議議長(当時)の「超法規発言」や田母神俊雄航空幕僚長(当時)の「論文」問題は、責任ある立場から国の安全を想う危機感の吐露であった。
 栗栖議長は自衛隊制服組の最高責任者として法的欠陥を指摘し、「現行の自衛隊法には穴があり、首相の防衛出動命令が出るまで動けない。第一線部隊指揮官が超法規的行動に出ることはありえる」と有事法制の整備を促したのだ。しかし、超法規発言として政治問題化し解任された。
 当時はソ連の道北侵攻がかなり現実味のある脅威となっていた。議長は在仏防衛駐在官の後、帯広で普通科連隊長として隊員の錬成に尽力されていた。筆者は同連隊の隣接部隊で勤務し、隊員の誰よりも見事な擬装をした連隊長をしばしば見かけた。
 田母神問題は結果的には日本人、特に若い人たちに「現在の日本」や「歴史認識」を考えさせる動機となった。ここでは論文応募の経緯が問題とされ、空幕長(4つ星)から空将(3つ星)に降格して解任される屈辱を受けた。
■安保や国益に消極的なジャーナリズム
 栗栖氏の解任では「シビリアン・コントロール」の視点からジャーナリストは真摯に受け止め、防衛上の法体制問題に正面から立ち向かうべきであったが、そのようにはならなかった。こうした結果、有事法制の整備等は30年ばかり遅れることになった。
 田母神論文問題ではシビリアン・コントロールに加えて、「言論の自由」も議論すべき課題であったが、ここでもそうはならなかった。
 「日本のジャーナリスト界を牛耳るのが東大新聞研で、マスコミ学会も内幸町の新聞協会も、同じ系統に入る。この組織の幹部はだいたい朝日、共同、NHKで占められて」おり、「朝日はリベラルでモダレートで、信頼度も日本の新聞では一番高い」(高山正之著『日本人が勇気と自信を持つ本』)となれば、安全保障や防衛に関わる前向きの議論が等閑視されるのは当然だったかもしれない。
 こうした結果、尖閣諸島の防衛問題ばかりでなく、小笠原諸島周辺での大々的な宝石サンゴの密漁などの取締りさえできない現実に直面している。
 河野談話の基になった慰安婦たちの証言もかなりあやふやであったことが分かっている。
 実際、インタビューを重ねるにつれて、インタビュアが期待する方向に証言が変わっていくことはしばしばである。ましてや、何らかのインセンティブがあるとなれば、なおさら事実は歪曲されていく。
 朝日の一連の報道が、河野談話を発出させ、韓国を勇気づけ、韓国系米国人や米国議会さえも動かした。無責任なNGOの主張を取り入れたクマラスワミ報告やマクドウーガル報告にまで記載され、国際社会に広まってしまった。
 日本の名誉を汚し、日本人、就中旧軍人や「性奴隷」のレッテルを貼られた慰安婦にさえ恥辱と苦痛を与えている。
 大上段から日本を諫めんばかりの朝日の姿勢、即ち日本の人道軽視という視座が、無道な南京大虐殺や百人斬りをも真実であるかのように広めた罪も大きい。
■ジャーナリストの感性欠如
 8月5日に朝日が慰安婦問題で検証記事を書いて以降、新聞や週刊誌を主体に、朝日攻撃が精力的に行われている。それは、虚偽の吉田証言を流し続けた報いである。
 しかし、国際社会の問題になる以前に、どのマスコミも、日本の名誉は「我がこと」という意識に至らなかったのだろうか。「我がこと」となれば、何とかしなければという思いに駆られるに違いない。
 その意識は→事案をはっきりさせたい→現地調査や資料に当たる必要がある、などいろいろな思考の発展につながったであろう。こうした努力や思いの1つも浮かばなかったのだろうかという疑問が先に立つ。
 「朝日のスクープ」であったことは事実であるが、朝日だけの問題ではなかったはずだ。国益や国家の名誉に関わる問題を、産経を除き多くの紙誌は等閑視してきたわけで、ジャーナリズムとジャーナリストの感性や資質の欠如と思われる。
 朝日が1982年に吉田清治を紙面で取り上げてから7年後(89年8月)には現地記者が済州新聞で事実無根を報じた。さらに2年余後には秦郁彦氏が現地調査(92年3月)して同様の見解に至り、産経が報道(同4月)している。
 その間の1992年1月11日、朝日が「慰安所 軍関与示す資料」「政府見解揺らぐ」などの見出しで大々的に報道した記事は、5日後に迫っていた宮沢喜一首相の訪韓を慌てさせる。
 しかし、しっかり読めば軍の強制連行ではなく、「関与」を示すものでしかないし、資料の出所も資料源も明示されており、他のマスコミも容易に確認できたはずである。
 すでに植村隆朝日記者の挺身隊と慰安婦の同一視報道(1991年8月)や韓国人慰安婦の提訴(同12月)も行われていた。
 慰安婦問題がクローズアップされるこの時点で、マスコミが感性を働かせて防衛研究所の資料を確認すれば、一連の朝日報道への疑問が起こり、ドミノ現象のように吉田証言への懐疑となり、宮沢首相訪韓時(1992年)の謝罪や河野談話発出(93年)の抑止へとつながったかもしれない。
 その後に続く、「日本軍性奴隷」とした国連のクマラスワミ報告(1996年)や「強姦所」としたマグドウーガル報告(98年)における日本糾弾も避け得たであろう。
 こう考えると、朝日だけではなく、マスコミ界全体の大失態と言わずに何と言えようか。
■産経こそがクォリティ紙に相応しい
 大新聞の朝日が報道していたにせよ、以下に見るように「これは?」という疑問が沸くことばかりである。最初の吉田著書(1977年刊)では女子挺身隊を慰安婦としていたし、この70年代にはいくらでも確認できる人物がいたと思われる。
 また、朝鮮で集めた慰安婦を、吉田は6000人(朝日・1992年5月)と言い、また2000人(ニューヨーク・タイムズ・同8月)と言い、大きな食い違いも見せていた。
 さらに、1冊目を『朝鮮人慰安婦と日本人』という表題にしながら、暴力的に200人を済州島で集めた慰安婦狩りについては一切言及せず、その1年後に穏やかな形で100人集めた状況を書くなど、記述の前後に不自然さが目立つ。
 最初の著作段階では「強制連行」の発想がなく、その後にストーリーがまとまったと見る人もいる。強制連行の場面とされた済州島では、強制連行はなかったことが確認されており、正しく「創作」小説を書いたわけである。
 1996年5月29日付『週刊新潮』は、『私の戦争犯罪』(吉田の2冊目の著書)の出版元(三一書房)はNHKの問いに「あれは小説です」と答え、吉田自身も嘘と認めたと書いている。
 このように著書や発言には信憑性を疑わせるものが多いし、そもそも暴力的に集める方法は日本人の性向にそぐわない。こうした数々の不都合がある中で、惜しむらくは、なぜマスコミ界には吉田証言への懐疑が起きなかったかということである。
 2013年の「世界新聞・ニュース発行者協会」による新聞発行部数の1、2位は読売、朝日で、毎日、日経、中日(東京)もトップ10に入っている。失礼を顧みず言わせてもらえば、読売と朝日を横綱に例えると、産経は小結か前頭筆頭くらいに比定されるほど、格の違いがあった。
 しかし、産経は従軍慰安婦問題に敢然と立ち向かい、福島原発事故では朝日の誤報を糺すきっかけを作った。広告や景品で部数を稼ぐのではなく、報道の姿勢とクオリティで凱歌をあげた産経の孤軍奮闘はダイヤモンドのように輝いて見える。
■おわりに
 ソ連の崩壊で、全体主義や共産主義の恐怖は去ったかに見えたが、いままた、一党独裁国家・中国の脅威が増大している。
 冒頭で述べたように、自衛隊に愚直に勤務してきた筆者はマスコミ界のことは不明で、果敢にも一斉休刊日の不都合をJBpressで指弾(「非常態勢時に「一斉休刊日」を設ける見識を問う 国家の存亡報道よりも社員の休養が大切か」)した。今でもなぜ一斉なのか理解できない。マスコミ界にはタブーに属することかもしれない。
 しかし、元時事通信記者で現在政治評論家の加藤清隆氏が「新聞は相互批判して業界全体を盛り上げていかないと、新聞、あるいは紙の媒体は消滅してしまうのではないか」(『WiLL』2014年12月号)と書いている。
 「朝日新聞」を名指ししないまでも、産経が従軍慰安婦や福島原発事故に関した吉田昌郎調書でやってきたように、朝日の見方と異なる報道をすれば、慰安婦問題は32年間も放置されなかったのではないだろうか。
 今後のマスコミ界が世界から信頼され、かつ世界を動かすメディアに発展されんことを祈念してやまない。
 ◎上記事の著作権は[JBpress]に帰属します *リンクは来栖
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