中日春秋
中日新聞 朝刊 2014年11月17日
死んでしまった飼い犬たちはどこへ行くのだろうか。「レインボーブリッジ」のたもとと聞く
▼同じ名の橋が東京の臨海部に実在するが、無論、そこではない。「虹の橋」は天国に行く手前の「こちら側」にあるという。ペットロス症候群に悩む方に助言する米国のウェブサイトに教えてもらった。自分も八年前にそれを読んだ
▼その場所は暖かい。食べ物も水も豊富にある。死に至った病気やけがもすっかり治る。そこで犬たちは飼い主を待っている。飼い主がそこへやって来ると再会を喜んで一緒に橋を渡る。作者は分からぬ。世界中に広がった一種の都市神話というが、「あいつ」が待っている、再び会えると思えば、悲しみも少しは和らぐものだ
▼犬たちが「虹の橋」ではなく、寂しい山中に大量に捨てられている。業者が生きたまま放置した疑いがある。年を重ね、繁殖に不向きになった犬を壊れた機械のように捨ててしまう
▼捨てた方へ。殺すのが忍びなくて放置したのではありませんか。それでも山中に置いてきぼりにされれば、犬は死んでしまう
▼犬はどんな目に遭わされても、裏切られても懐かしい飼い主に会えば、大喜びで尻尾を振る。ひどい仕打ちをしたあなたにも、「虹の橋」で再会すれば、飛びつき、顔をなめてくれるはず。その犬にあなたは何と声をかけるつもりですか。考えましょうよ。手はあるはず。
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犬はどんな目に遭わされても、裏切られても懐かしい飼い主に会えば、大喜びで尻尾を振る
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