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[与党の勝ちではなく野党の負け 溺れる小沢一郎氏が掴んだ藁~2014年12月の衆院選挙] 平沢勝栄氏

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「絶対に総理大臣にしてはダメ」な人物の比例復活 与党の勝ちではなく野党の負け、噴飯ものの選挙批判、溺れる小沢氏が掴んだ藁~平沢勝栄氏
 ずばり勝負 2015.01.09(金) JBpress  
マット安川 年始め、新春スペシャルとして自民党衆議・平沢勝栄さんをお迎えして、2015年の政界展望はじめ、外交、経済、憲法改正など、詳しくお聞きしました。
■政権を奪うのが野党の役目、解散・選挙批判は噴飯もの
平沢 昨年12月の衆院選挙は、投票率の低さに象徴されるように盛り上がらなかったのは、ひと言でいえば野党が不甲斐なかった、だらしなかったということです。
 相撲で言えば、自民党に対して、野党は四つに組んで戦おうという気概があまり感じられなかった。ですから有権者の関心がぐんと下がった。つまり今回の選挙は自民党が勝ったのではなくて、野党が負けたということだと言えます。
 その中で共産党が議席を伸ばしたのは、底力があったわけではなく、自民党以外にしっかりした野党がなかったから、反対の一部の票が流れただけです。反自民の票をどこに入れるかという時に、ほかに選択肢がなかった。
 国民のみなさんも共産党が政権を取ることはないと分かっているから共産党に入れたわけでしょう。共産党は「たしかな野党」などと言っていますけど、たしかな野党ではなくて、政権を取りにいく野党にならなければいけないと思いますね。
 今回の解散については、野党から多くの批判を受けました。国民のみなさんの中にもそういう声がありました。ただ、解散は総理の専権事項ですし、政権発足から2年経っています。そもそも戦後23回総選挙が行われた中で、4年の任期満了までいったのは三木武夫内閣(1976年)の1回しかないんです。平均2年10カ月くらいです。
 昨年9月にあるテレビ番組で民主党の枝野(幸男)幹事長と一緒になりまして、その時に枝野さんは11月に解散があると思うので自分たちは準備しているとはっきり言われた。ところが実際に解散が行われたら、ケシカランと言う。確かに選挙は12月で時期が少しズレましたけど、枝野さんが解散を批判するのはおかしい。
 だいたい野党というのは、選挙を1日でも早くやってくれと言うものです。早く政権を取って、自分たちの政策を実現したいというのが野党です。ところが選挙を早くやりますと言ったら、ケシカラン、ケシカランと騒ぐ。そんな野党は初めて見ました。噴飯ものというか、喜劇というか、信じられないですね。
■景気回復は道半ば、消費税増税の先送りは正しい選択
 今回の選挙では、野党からアベノミクスは失敗だという攻撃をずいぶん受けました。確かに昨年4月に消費税率が上がって経済が落ち込みました。消費、設備投資も落ち込んで、景気が停滞したのは事実です。
 デフレから脱却している途中に増税したのが大きく影響したと思います。やはり3%上げるというのはたいへんなことなんです。その駆け込み需要の反動が大きく出た。
 私の地元の声として圧倒的に多いのは、景気をよくしてほしいというものです。アベノミクスで日本経済はよくなっていると言われていますが、その恩恵は地方や中小企業にはぜんぜん来ていない。東京でも私の地元である葛飾や江戸川などには来ていない。
 一部の大企業、しかも輸出、製造業に限って恩恵を受けていて、中小企業では円安で原材料費などが上がり、国民も賃金が上がらないのに物価が上がり悲鳴を上げている方が大勢いる。
 安倍政権にとって最大の課題は、アベノミクスの恩恵が中小企業や地方に行きわたるかどうかです。来年は参議院選挙が行われますから、来年の春くらいまでに景気がよくならなかったら、安倍政権にとっては大きな反動が来ると思います。
 ですから今回、消費税増税を1年半先延ばしにしたのは正しい選択だと思います。昨年の駆け込み需要の反動が落ち着いてきた今年は、景気は徐々に上向いていくと思います。
 ただ、増税によって落ち込んだことをとらえて、アベノミクスは失敗だというのはいかがなものかなと思います。この間、株価は大きく上がり、一部の人たちだけが儲かっていると言いますけど、年金などは株で運用している部分も大きく、それによって25兆円くらいの収益が出ている。これは国民全体の財産です。
 ですからアベノミクスはマイナスだけではないと思います。もちろん、アベノミクスの恩恵が地方や中小企業には行きわたっていないのは確かです。お風呂のお湯も上から温まるんです。いま一番上が温まっていますから、かき混ぜて全体が温まるようにしなければならない。それが3本目の矢です。
■安倍政権継続で対日戦略の練り直しを迫られる中国・韓国
 今回の選挙は世界中が注目していました。なかでも一番関心を持っていて、一番ガッカリしたのが中国と韓国ではないでしょうか。両国は安倍政権が負けてくれればとおそらく祈っていたと思いますが、続行することになった。そのために対日外交の戦略を練り直さなければいけなくなった。
 日本は変わる必要がなく、変わってはダメで、いままでどおりでいいと思います。主張すべきことはきちんと主張していかなければいけない。安倍政権は国民の信任を得て大きな力を与えられたわけですから、いままでどおり毅然とした外交を続けてもらいたいと思います。変わらざるを得ないのは中国と韓国です。
 これまでの対中国・韓国外交において、問題だったのは日本の外交姿勢、とりわけ外務省が悪かったと思います。外務省は外国に言うべきことを言わなかった。その点でこれまでの自民党政権も反省すべきです。
 安倍政権になって毅然とものを言うようになり、外務省も変化してきています。米国の新聞などに安倍政権や慰安婦問題などで批判的な報道があると、駐米大使や総領事が寄稿して反論しています。いままではあまりなかったことです。中国・韓国もおそらく戸惑っているんじゃないでしょうか。いままでの日本と違うぞと。
 そういった海外での広報予算も来年度は大幅に増やして500億円つける予定です。これから日本の外交は変わっていくと思います。
■小沢氏はこれで終わり、民主党は菅元首相らがいる限りダメ
 小沢(一郎)さんはこれで終わりだと思います。山本太郎参院議員を入れて新党(生活の党と山本太郎となかまたち)をつくりましたが、まさに「溺れる者は藁をも掴む」です。
 民主党については今回の選挙でつくづく思いましたが、なぜ民主党がダメなのか。約3年の政権時代に大失敗して、国民はその記憶がある。だったらメンバーを替えなければダメですよ。昔の人がそのまま出てきて、特に菅(直人、元首相)さんのような人が出てきて、民主党はどこが悪かったのか反省して総括しますと言っても、誰も信用しません。
 民主党は菅さんなどがいる限りダメだと思います。総理大臣までされた方がやっと比例復活でビリッケツでひっかかった。恥ずかしくないのかなと。なぜお辞めにならないのか不思議で不思議でしょうがない。
 ちなみに、私の師である後藤田(正晴、元副首相)さんは、菅さんだけは絶対に総理大臣にしてはダメだと言われていた。その菅さんが総理大臣になった。結果として何が起こったのかは、みなさんご承知の通りです。あの間に日本の国益は大きく失われた。後藤田さんの言われたことはまったく正しかったということです。
「マット安川のずばり勝負」2015年1月2日放送
*平沢 勝栄(ひらさわ・かつえい)氏
 衆議院議員(自民党中央政治大学院学院長) テレビ・ラジオにも多数出演。葛飾区 柴又在住。『もう黙っていられない!』(徳間書店刊)『政治家は楽な商売じゃない』(集英社刊)『拉致問題』(PHP研究所刊)など著書多数。

 ◎上記事の著作権は[JBpress]に帰属します
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