前原政調会長のナンバー2 桜井政調会長代理が看破したTPPの本質
日刊ゲンダイ2011年11月4日
反対派勉強会に登場
<米国による乗っ取りの最後の仕上げ>
前原政調会長といえば、ガチガチのTPP推進論者。「不満が残る人に配慮していたら責任与党といえない」とか言って、反対派の怒りに油を注いでいたが、その前原は直属の“部下”からも反旗を翻されている。政調ナンバー2の桜井充政調会長代理が今月2日、反対派の山田正彦前農相が主催する勉強会に登場。交渉能力のない日本がTPPに参加した場合、米国のいいようにやられてしまう懸念を図解入りで、極めて具体的に指摘したのである。前原もこれじゃあ、形無しだ。
桜井が指摘したのはこれまでの日米交渉の歴史だ。「建築基準法の改正」「労働派遣法の制定」「会社法の改正」「大店立地法の制定」「司法制度改革」「第3分野の保険への外資の参入」。すべてが米国の圧力によって、米国に利するように改正、制定、開放されたもので、その結果、例えば、輸入住宅は1300戸→10万戸に増えた。労働派遣法で非正規雇用が増え、そうしたら、男の30%、女の20%が結婚できなくなった。正規雇用から非正規雇用に切り替えた大企業は浮いた金を株主に還元し、外国人に金が流れた。大店立地法でウォルマートが進出し、地方が廃れた。第3分野の保険は日本企業が扱えず、米国企業に独占され、日本の「危ない生保」はことごとく、外資に買収されてしまった。
桜井はこうした歴史的事実を取り上げて、「米国は非常に戦略的にやってきている。TPPの最大の問題は、日本の交渉力のなさなのです。TPPは交渉に勝てれば参加するべきです。交渉事で勝てないから、この辺を考えなければいけないのです」と結んだのだ。
自由貿易というと聞こえはいいが、そんな甘っちょろい話じゃない。日本は負け続け、どんどん、経済が廃れている。これが現実なのである。それが前原らにはわかっちゃいない。というより、前原を筆頭に霞が関の役人どもは、みんな米国ベッタリだ。そこが問題なのである。桜井政調会長代理に改めて聞いてみた。
「日本にとって守らなければいけない分野はどこか。そこを守るためにどうやって、交渉能力のなさを補うのか。議会の承認を得るようにするのも、交渉担当者にプレッシャーを与える方法のひとつです。こういう工夫を考えなければいけません」
そんな工夫ができればいいができっこない。だから、参加はダメなのである。
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TPP参加 中小企業でリストラ、廃業進むと森永卓郎氏指摘
NEWSポストセブン2011.11.05 07:00
賛成だ、反対だ、と政治家の間でも意見が分かれているTPP。テレビのニュースを聞いても、新聞を読んでも、やたら難しくて…という人が多いのでは。TPPに参加した場合、生活への影響もかなり大きそうな気配だが、日本経済を支える屋台骨である製造業には、どのような影響があるのだろうか。
まず、関税が廃止されることで車や家電などがいまよりも安く海外で販売できるようになり、輸出がさらに伸びることが予想される。
例えば、日本からアメリカへ自動車を輸出する場合、現在は2.5%の関税がかかっている。テレビの場合、最大で5%。
「TPPの参加には基本的に賛成」という立場から、慶応義塾大学大学院教授の岸博幸さんがいう。
「貿易を自由化することによって、GDP(国内総生産)は確実に増える。それはこれまで貿易を自由化した他国がGDPを伸ばしたという歴史が証明しています。もちろん農業などでデメリットもありますが、輸出を拡大できるメリットのほうが大きい」
お隣・韓国はすでにアメリカ、EUとの間で自由貿易協定を結び、関税は0%になっている。ただでさえ、ウォン安で韓国製品の人気が高まっているなか、日本としてはこれ以上価格で差をつけられたくない思惑もある。
内閣府は、TPPに参加することによってGDPが2.7兆円アップすると予測している。また、経済産業省は、もしTPPに参加しなければ、GDPが10.5兆円減少し、81万人以上の雇用が失われると予測して、TPP参加への旗を振っている。しかし、TPPで大企業は世界に市場を広げ輸出で稼ぐことができるが、中小企業は販売先が国内のまま。逆に海外企業との競争にさらされる。
経済評論家の森永卓郎氏は、こう指摘する。
「輸出で儲かるのは体力のある大企業だけです。一方で、中小企業が海外との競争に敗れると、リストラ、廃業が進む。TPPでは、安い人件費で働く外国の単純労働者の受け入れも自由化される可能性があり、雇用にとってプラスの影響はありません」※女性セブン2011年11月17日号
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政調ナンバー2 桜井充政調代理が看破したTPPの本質/これまで総て米国が利するように改正、制定、開放
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