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田代政弘検事 ウソの捜査報告書作成=検察審査会「起訴相当」議決に影響/小沢一郎氏裁判 第9回公判

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小沢氏逆転?石川議員捜査報告書に“ウソ”記事を印刷する
 資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる収支報告書虚偽記入事件で、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表小沢一郎被告(69)の第9回公判が15日、東京地裁で開かれた。石川知裕衆院議員を取り調べた検事が証人として出廷。適正な取り調べを強調しながらも、事実と異なる捜査報告書を作成したことを認める証言もした。起訴相当と判断した検察審査会に提出された報告書の信頼性が損なわれる状況となり、公判の行方に大きな影響を及ぼしそうだ。
 証人として出廷したのは「特捜部は恐ろしいところ」と石川議員に迫ったとされる田代政弘検事。焦点になったのは、昨年5月17日に、石川議員がICレコーダーで隠し録音した取り調べの内容だった。田代検事は、その内容をまとめた報告書に、石川議員が小沢元代表の関与を認めた理由を「11万人以上の有権者に選ばれた国会議員が、やくざの手下が親分を守るようなうそをついてはいけない」と言われたのが効いたと供述した、と記した。
 ところが隠し録音にこのやりとりはなかった。「内容虚偽の報告書を作ったのでは」と問われた田代検事は「思い出しながら作成したので記憶が混同した」と釈明。この報告書が提出され、小沢元代表を起訴相当とした検察審査会への影響を指摘されると「可能性は(ある)」と、認めた。
 事実と異なるやりとりを記した以外にも、取り調べ中の田代検事の不用意な発言がやり玉にあがった。土地購入のため、元代表が用立てたとされる4億円の出どころが問われる中、「(4億円が)汚いカネというのは検察が勝手に言っている。証拠はない」と発言していると指摘されると、「勢いで言ってしまった。『証拠がない』というのは事実に反します」とこちらも認めた。「勢いで言うことか」と突っ込まれると、「うそはついていないが言いすぎた。証拠があるのに後悔している」と、きまり悪そうに答えた。
 さらに「(石川議員が)供述を認めれば、小沢元代表が起訴されない」と発言したことについて裁判官から「少し危険な取り調べという自覚はあったか」と問われた。「録音を知っていたら、言わなかったか」と聞かれると、「言わなかったと思います」と答えた。
 石川議員の公判では、録音内容を根拠に威迫や誘導があったとして、元代表の関与を認めた調書が証拠採用されなかったが、報告書の信用性も問われる事態になった。小沢元代表はこの日、顔をしかめながらやりとりを見守っていた。
[2011年12月16日8時30分 nikkansports.com]
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小沢一郎氏裁判 第9回公判〈前〉/証人 田代政弘検事「特捜部は恐ろしいところだ」=報告書に虚偽の記事2011-12-15 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア 
 〈前・中段 略〉
 弁護人「(打ち合わせで)録音(石川議員が取り調べを隠し撮りしたテープ)は再生しましたか」
 証人「1回あったと思います」
 弁護人「今までその時以外に、聞いた機会はありましたか」
 証人「あります」
 弁護人「いつごろですか」
 証人「録音が存在すると分かった直後に説明を求められたので、そのときに聞きました」
 弁護人「通して聞いたのはそのときだけですか」
 証人「その1回です」
 弁護人「あなたが、陸山会事件にかかわったのは、21年7月から22年5月下旬でよろしいですか」
 証人「はい」
 弁護人「この事件は、収支報告書の虚偽記載と不記載についてと、ゼネコンからのお金の授受ということで、2つの事件があったのですか」
 証人「(小沢被告が提供した)4億円の原資が問題になっていたので、収支報告書の内容とゼネコンからの金銭授受について両方問題になっていました」
 弁護人「裏付けの過程で、水谷建設(の1億円の話)が出てきたのですか」
 証人「はい」
 弁護人「水谷建設のお金の授受について、検察は事件として立件しましたか」
 証人「立件してないと認識しています。客観的にはどうか分かりませんが」
 弁護人「地検の同僚が、ほかの関係者の取り調べをしているというのは知っていましたか」
 証人「ゼネコンや下請けの関係者は多く呼ばれていると思っていたので、聴取は行われていると思いました。しかし、いつ誰が、誰を調べているかは分かりませんでした」
 弁護人「石川さんの周囲にいる秘書に対する聴取は聞いたことがありますか」
 証人「全く知りませんでした」
 弁護人「あなたは石川さんに対して『この事件はどう収めるかだ』と言ったことはありますか」
 証人「ありません」
 弁護人「『特捜部はこわい』『捜査が広がる』『何するか分からないぞ』というような、石川さんにそう理解されるような言葉を言ったことはありますか」
 証人「言ったことはありません」
 弁護人「22年5月17日の取り調べの反訳書の72ページで『地検の怖さは身をもって分かりました』と石川さんが言っていましたが、石川さんがそう感じてるとは思いましたか」
 証人「思いませんでした」
 弁護人「石川さんは『地獄の20日間』と言っていますが、石川さんがそういう状況にいると感じたことはありますか」
 証人「現職の国会議員ですし、相当つらい期間ではあると思っていました。とくに最初の5日間は相当落ち込んでいました」
 弁護人「『特捜部が納得しないと、他にも強制捜査を及ぼさないといけなくなる』というようなことを石川さんに言ったことはありますか」
 証人「言ったことはありません」
 弁護人「直接的ではなくても、そう取られることを言ったことはありませんか」
 証人「ありません」
 《弁護側は反訳書を○○検事に見せる》
 弁護人「(石川議員の再逮捕について)『組織として本気になったときに、全くできない話かっていうとそうでもないわけじゃない』と言いましたか」
 証人「言いました」
 弁護人「それに類する話を、(石川議員の)身柄拘束中に言っていませんか」
 証人「石川さんが再逮捕を心配して、私に聞いてきたことがありました。私は『分からない、やれる可能性がないとは言えない』と客観的な意見を言いました」
 弁護人「平成22年5月17日の取り調べで、あなたは捜査報告書を書いていますね」
 証人「書きました」
 弁護人「何日に書きましたか」
 証人「5月17日に書き始めまして、何日かかけて完成させたと思います」
 弁護人「何ページの報告書ですか」
 証人「5、6ページだったでしょうか」
 弁護人「あなたが書いたものでしょう」
 証人「5、6ページか、もう少し多い10ページだったか。いずれにしましてもそれくらいだったと思います」
 弁護人「それを何日もかけたのですか」
 証人「別の仕事もしながら、合間、合間に作成しましたので…」
 弁護人「中身は覚えていますか」
 証人「だいたいは把握しています」
 弁護人「1ページ目にあなたの署名と押印があるが、間違いありませんか」
 証人「はい」
 弁護人「東京地検特捜部長あてになっているが」
 証人「そうです」
 《続いて、男性弁護士は捜査報告書の中身を示す。石川議員は11万人の有権者の投票を受けて当選したが、大半は「小沢一郎の秘書」というのではなく、個人を信頼して投票したはずだと、○○検事に言われたことを契機に、調書のサインに応じた−とする内容が具体的なやり取りとともに記載されている。だが、実際の録音にはこうしたやり取りは残っていない》
 弁護人「やり取りがないのに、どうして(捜査報告書には)記されているのですか」
 証人「やり取りがあったと認識して書いた」
 弁護人「実際のやり取りと異なるのが、記載されたことですか」
 証人「この日の取り調べを一言一句記載したのではなく、思いだし、思いだし記載した。拘留中に話したことや、保釈後に話したことの記憶が混同していたと思う」
 弁護人「もう一度聞きますが、5月17日から数日で書いたのですね」
 証人「はい」
 弁護人「5月17日には、どこまで書いたのですか」
 証人「それは記憶にはありません」
 弁護人「虚偽の捜査報告書を書いたのではありませんか」
 証人「そうではありません」
 《続いて、弁護人は○○検事が石川議員に「(虚偽記載を認める供述を覆し)逆の供述をすれば、火に油を注ぐことになる」などと話したことを追及していく》
 弁護人「(任意聴取の際には)こう伝えたことがありましたね」
 証人「はい」
 弁護人「繰り返し述べましたね」
 証人「それは、石川さんが従前通りの主張だといいながら、実際に調書のサインの段階になると、『4億円を隠すつもりはなかった』などと覆す。その中で何度かやり取りがあった」
 弁護人「何のために捜査報告書を作っていたのですか」
 証人「調べが終われば、作るように、と指示されていました」
 弁護人「指示はだれからか」
 証人「主任検事です」
 弁護人「あなたは、何日かかけて作るうちに、記憶が混同して、やり取りのない内容を記したということでしたね」
 証人「かいつまんで言えばそうです」
 弁護人「これが検察審査会の小沢さんの起訴議決にも影響を与えた可能性があったと分かっていましたか」
 証人「協議の内容については、分かりません」
 弁護人「可能性の話ですよ」
 証人「可能性の話ならば…」
 《男性弁護士は、検察審査会の議決の理由に、捜査報告書の内容を挙げている点を紹介し、追及していく》
 弁護人「理由に捜査報告書の内容が挙がっていることは認識していましたか」
 証人「議決自体は見ていないが、報道レベルでは知っていました」
 《○○検事が任意聴取の際に「石川さんの供述がさ、やっぱり功を奏したんでしょ…」などと言った隠し録音の部分を紹介した》
 弁護人「功を奏するというのは?」
 証人「小沢さんが起訴されないことを指したと思います」
 弁護人「なぜ、そんなことを言ったのか」
 証人「石川さんに同調するように言っただけで、事実だという趣旨で言ったのではありません」
 《○○検事は、石川議員を取り調べる際、「フェアプレーで本当のことを言ってほしい」と約束していたとされる》
 弁護人「フェアプレーであると言いながら、あなた自身は事実を認識できないことを話すのですか」
 証人「客観的な事実は分からない。(小沢被告の)起訴を望んでいなかった石川さんに同調した形で話しただけです」 ⇒[小沢一郎氏裁判 第9回公判〈後〉]  *強調(太字・着色)は来栖 
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「特捜部は恐ろしいところだ」ストーリー通りの供述を取らなければ、という強いプレッシャー〈陸山会事件〉2011-07-11 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
 NCNニコニコニュース 2011年7月11日(月)16時39分配信
 小沢一郎民主党元代表の資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐり、政治資金規正法違反罪で起訴された小沢氏の元私設秘書、石川知裕衆院議員は2011年7月10日、ニコニコ生放送の特別番組に出演し、東京地検による取り調べの際、担当検事が「特捜部は恐ろしいところだ」と発言したときの様子を語った。また、元検事の市川寛氏は、自らの体験を基に同発言が出た理由を推測した。
 陸山会事件とは、小沢氏の資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐり、政治資金収支報告書に虚偽記入や不記載があったとして、石川議員を含む小沢氏の元秘書3人が政治資金規正法の罪に問われている事件。今年の2月に行われた初公判では3人とも無罪を主張。裁判の行方が注目される中、東京地裁は6月30日、検察側が証拠請求した石川議員ら元秘書3人の供述調書の一部について「威圧的な取り調べや利益誘導があった」などと任意性を否定し、証拠として採用しないことを決めた。裁判所の判断の根拠となったのは、担当検事が発したとされる「特捜部は恐ろしいところだ」という言葉だ。
 石川議員は取り調べ中に東京地検特捜部の田代政弘検事から「特捜部は恐ろしいところだ。何でもできるところだぞ。捜査の拡大がどんどん進んでいく」と言われたと主張。これに対し、田代検事は否定したが、東京地裁は石川議員の主張を認め、「威迫ともいうべき心理的圧迫があった」として供述調書の証拠採用を却下した。決め手となったのは石川議員が保釈後の再聴取のときに録音していた取り調べのやり取りの様子。そこでは、田代検事が同発言を認める様子が記録されていた。
 田代検事がこのような発言をした理由について、個人的に田代検事を知っているという元検事で弁護士の市川寛氏は
「彼(田代検事)自身は追い込まれて、石川さんから所定の供述を取らなければいけないというプレッシャーがあったので、そういう言葉を使わなければいけなかったのではなかったのか」
と、検察官当時に自分が置かれていた立場に重ね合わせて語り、上層部が描いたストーリーに沿った供述を取らなければいけないという強いプレッシャーが検察内部にあることを指摘した。市川氏は冤罪事件として知られる佐賀市農協事件に主任検事として関わった際、事情聴取した元組合長に対して「ぶち殺すぞ!この野郎!」と暴言を吐いたことが原因となり検事を辞職している。
 市川氏の発言に対し、石川議員も
「罵倒して脅すように『恐ろしいところだ。何でもできる』と言ったわけではなかった。田代さんが私に言ったのは『(検察は)こういう恐ろしいところだから、どうなるかわからない。(特捜部を)止められるかわからない』というセリフ。恐らくそういう組織の中で、結果を出さなければいけない。一人一人が追い詰められていくのはそういうところなんじゃないか」
と述べた。(三好尚紀) 

検察を支配する「悪魔」 田原総一朗+田中森一(元特捜検事・弁護士
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小沢氏強制起訴/「4億円が汚い金というのは検察が勝手に言ってるだけ。証拠がない」と担当検事2011-02-02 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
 これを「誘導」「圧力」と言わずに何と言うのか。政治資金規正法違反罪で逮捕、起訴された石川知裕衆院議員(37)が「録音」した再聴取の全容が31日明らかになった。共同通信が報じたのだが、なぜか大新聞テレビは“黙殺”したままだ。
 繰り返し言うが、昨年5月に行われたこの再聴取は、石川議員を起訴し、その「保釈後」に行われた。起訴後の被告に対して検察が証言を強要したり、誘導したりすることは絶対にあってはならない。法治国家として当然だ。ところが、石川議員の再聴取では随所に検事の“問題尋問”が行われているのだ。東京地検特捜部の検事が話した内容はざっとこんな感じだった。
「従前の供述を維持するのが一番無難だって。今までの話を維持している限り、(小沢は)起訴にはならないんだろうと思うんだよ」
「ここ(再聴取)で全部否定することは火に油を注ぐことになるよね。ここで維持することが彼ら(審査員)の気持ちをどう動かすかだよね」
 石川議員に執拗に供述維持を迫る検事。これほど“強要”する姿勢は異常だ。筋書きありきで突っ走った検察捜査の正当性を保ちたいという考えがミエミエだ。続いて、検事は最初の供述の一言一句を確認する手段に出た。
「小沢先生が政治活動の中で何らかの形で蓄えた簿外の資金であり、表に出せない資金であると思った」などと調書を読み上げたのだ。しかし、これには石川議員が大反論した。
「4億円を隠したいがためっていうのがね、どうしても引っ掛かるんですよ。4億円がいかがわしいお金だなんて、実際どうつくられたかなんて私には分かりません」
「汚いお金だから4億円を何が何でも露見したくないっていうのは今でも違うと言いたい」
 こう石川議員が懸命に食い下がると、検事はこう言い切ってみせた。
「汚いお金だっていうのは、検察が勝手に言ってるだけで、別に水掛け論になるから相手にしなくていいんだよ。証拠ないんだから」
 自ら所属する検察に対して「勝手に言っているだけ」「証拠ないんだから」とは、あまりにデタラメ過ぎる。こんないい加減な聴取で国会議員を逮捕、起訴するなんて本当にフザケた話ではないか。こうまでもヒドイ人権侵害の話を報じないメディアの罪も重い。今の大手メディアは小沢一郎を抹殺するためだけに存在するのか。
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石川知裕秘書の証人採用を裁判所が留保〜10時間の取り調べは「事件と関連性、必要性がない」!? 2011年02月01日 10時00分 Infoseek 内憂外患編集部
 1月31日、資金管理団体「陸山会」の収支報告書虚偽記載事件で、政治資金規正法違反の罪に問われている小沢一郎民主党元代表の強制起訴が決まった。検察から2度の「不起訴処分」が出たにも関わらず、検察審査会で「起訴相当」とされ、強制起訴された政治家はこれまでなく、異例中の異例、な裁判がこれから始まることになる。
 同じくこの罪に問われた小沢元代表の元秘書の石川知裕衆議院議員に対し、1月27日、公判前整理手続きが行われた。ここでは、石川議員の今後の裁判の中で争点となる事柄について、検察・弁護側双方がどのような証拠・証人を出し、公判を進めるかについて話し合われた。
 ここで、弁護側は石川知裕事務所の女性秘書を証人として採用するよう求める意見書を提出した。通常、この段階でどちらかがその意見書に対し、「待った」を掛けることは少ないと言われている。しかし、いま、この証人申請が検察側の強い拒否を受け、裁判所から留保されている状態だという。検察の意図はなにか、そして、なぜ証人申請留保となっているのか。これについて、石川事務所の女性秘書本人から話を聞いた。
■必要性も関連性もない?――裁判所が証人申請に対して保留している、とのことですが
 1月27日、公判前整理手続きで弁護団側が私を証人申請しましたが、裁判所は現在その採用について、留保しています。
 検察側が「石川議員の起訴に対して、私が証人として証言する内容は必要性も関連性もない」と強く主張していることが要因です。
 私が証言する予定の内容は、「私への取り調べのあり方」についてです。そこから、「その様子の話を聞いた石川が不利な供述をせざるを得ない状態だった」ということを主張したいということです。
 まず、週刊朝日などで取り上げられていた通り、私は押収物の返却という言葉を受け、30分程度の事務手続きと思い、検察に向かいました。しかし実際は、事情聴取として、10時間も拘束されました。これはおかしなことです。
 でも、そこまでしたのに検察側は「必要性も関連性もない」と主張しています。この言葉には憤りを感じます。
 ある弁護士に私への検察の取り調べについて相談したところ「ひどいの一言だ」と言い、民事訴訟なら勝てる、という言葉をもらいました。いつのタイミングかは分かりませんが、人権問題として訴える用意もあります。
――なぜ、検察は「必要性も関連性もない」と主張しているのでしょうか? 弁護団はそれについて、どういった見方をしていますか?
 私への事情聴取のあり方を公にすることで、「取り調べの可視化」を求める世論が高まることを恐れているのではないか、と見ています。
 私の個人的な意見として、ですが、特捜案件の取り調べについては絶対に可視化はやるべきだと思います。私の取り調べについても出してほしいと思います。もしご覧頂ければ、取り調べの違法性が示せると思います。
 正直なところ、あの取り調べの話はしたくないし、聞かれたくもなかったです。今でも石川議員とその話はしていません。でも、今回、別の理由ならさておき、「(石川議員の裁判に対して、女性秘書の事情聴取は)必要性も関連性もない」と言われたことで、「あれは何だったんだ!?」と思うようになりました。
■取り調べの様子――取り調べの一部始終について、お聞かせいただけますか?
 監禁、という言葉がピッタリな感じです。まず、任意での事情聴取なのに、おかしなことだらけでした。
 例えば、トイレに行きたい、と言うと、事務官が付き添ってくるんです。そして、前で待っているんですね。
 私は、もう疲れてしまっていて、トイレで休憩を取りたいと思っていたのですが、「大きい方と思われたら嫌だ」とか「携帯電話で外部とやりとりしている」と誤解されたら嫌だ、と思い、本当に用を足すだけで出てこざるを得ない状態でした。
 精神的にも追い詰められ、本当はトイレで泣きたかったんですが、そうしても状況は変わらない。だったら泣くだけ損だ、と思いました。
 他にも、「自分がおなかがすいているからお前も食事をしろ」と言われるんです。私が「食事は子どもたちとしたいから」と言うと、「帰れるかどうかはあなた次第だ」と言われました。「じゃあ、何をしゃべればいいんですか」と言うと、なにも聞かない。きっと極限状態になれば、何かしゃべるだろう、という意図があったんだと思います。
 10時間たって、やっと外に出たときはコートも何もないし、タクシー代すら持ってない。1月26日の寒い時期だったこともあり、建物を出るなり、歯がガチガチガチガチ! と震えるほどでした。
 それに、聴取されているときから、片耳がボワボワして聞こえづらくなったり、立ちくらみがしたり、しばらくは仕事をする気も起きなくなりました。でも、週刊朝日が検察に出した抗議文に対して、検察は「適正な捜査だった」と言うわけです。
 私は、石川知裕の政策秘書としてやってきました。だから、それなりに知識もあるはずなのに、そんな私ですら、あるべき権利を主張しても聞き入れられない状況のなかで、だんだん洗脳されていくんです。「弁護士に電話を掛けさせてほしい」といっても「その弁護士はおまえが選任届を出したのか」といわれて、「もしかして、本当は私にはそんな権利なかったんじゃないか」と思うわけです。
 取調中は、背筋を伸ばし、手を上下に重ねていなければ怒られる。そんな姿勢で10時間近くいると、だんだん頭が朦朧としてきます。休憩したい、と言っても受け入れられず、何を話して良いのか分からないのに「話してください」と言われ続ける……。
 私への事情聴取について、彼らは調書一つ取れなかったわけですが、あんなところで長時間いるくらいなら、「帰りたいからハイハイと言ってしまえ」と思ってしまうと思います。
 この状況下、石川議員は「検察に妥協して、容疑を認めてしまった」と主張している。女性秘書の証人申請について、最終的に採用するかどうかの判断は2月1日、午後出されるという。
――どうしてそうまでして耐えられたんですか?
 安田弁護士が会見で、石川議員の取り調べの記録を出していました。それを見ていたので、その取り調べの時間を超えるまでは、という気持ちがありました。
 それに、「30分出かける、といった人間がいつまでたっても戻らなければ誰かが助けてくれる」と思ったんです。でも、民野検事に「人生そんなに甘くない」と言われ、実際にだれも助けてくれない。10時間も経つと、倒れそうになります。
「石川の心証が悪くなる」と言われ続け、子どもが寝る時間を過ぎているから帰らせてほしいと懇願しても「座りなさい」と抑制される。それでも帰ろうとすると、「座りなさい」という声がだんだん大きくなってくるんですね。
 もう限界、と弁護士に電話しようと携帯電話の電源をオンにすると、また「何を勘違いしているんだ! 電源を入れて良いとは言ってない」と言われる。
 でも、絶対におかしいと思って、弁護士に電話をして「私が帰っちゃいけない理由がありますか?」と聞きました。もちろん弁護士は「そんな理由はないし、今すぐにでも帰って良い。でも、念のため主任検事に連絡するから少し待っててください」と言われました。
 しばらくするとまた電話があり、「主任検事は民野検事から、8時半にあなたは帰った、と報告を受けていると聞いていると言っている」と教えてくれました。そこで、民野検事に電話を替わったのですが、そこでものらりくらりとしている。
 電話を切って、「もう帰ります」と言ったんですが、まだ「ダメだ」と民野検事は言うんです。「今すぐ帰っても良いはずです」「石川がどうなってもいいのか? 心証が悪くなるぞ」というやりとりをしていました。「どう心証が悪くなるんですか?」と言うと、そこは口ごもるんですね。そうしているうちに、部屋の電話が鳴って、たぶん主任検事からの電話なんだと思いますが、切ったらころっと態度が変わりました。
 でも、「同じ時間に明日、来ると約束しろ」と言うんです。私はそんな約束は必要ない、と思ったのですが、弁護士のアドバイスを聞き、約束して帰れることになりました。
――次の日も行ったんですか?
 帰ったのは良いんですが、もう弁護士からの電話も、検察からのものも、事務所からの電話も出られず、家に引きこもっていました。本当に逮捕されそうな勢いだったんです。それに、住所変更をしていない、といった小さな罪でも逮捕できるわけです。
 だから、今度は弁護士を立てて、日程調整をしてもらい、聴取の日には一緒に検察にも行ってもらいました。だけど、たとえ弁護士が同行して、検事も変わっても、前の聴取のことがあったので、あまりの緊張でひどい腹痛になりました。あまりに痛くて、パニックになるほどでした。どうしてもこの建物から出たい、30分でもいいから、と懇願して、それは聞き入れてもらいました。
 でも、戻る際、弁護士に「理由を検事に伝えてください」と言われました。だから調書にはどうして30分外出したか、という理由が書いてあると思うのですが、知らない人にそんなことを言うのは本当に凄く嫌なことでした。
 そのくらい、精神的に相当な圧迫感だったんです。前の10時間の聴取があまりに酷すぎて、怖かった。だから、普通に生活している人が同じような体験をしたら、絶対に追い詰められると思います。同じ空間にいたら取り乱すし、こんな嫌な空気のこんな部屋からは抜け出したい、と考えるでしょう。そこまでして酷い思いをしたのに「必要がない」なんていわれたら「どういうこと!?」となります。
* *
 この証人申請が認められれば、石川議員の政治資金収支報告書虚偽記載に関する事件の裁判において、「自身の秘書の取調べの様子を聞くことで、自身に不利な証言をせざるを得なかったか」という主張の妥当性などが問われることになる。
 また、それは、検察による取調べが「いかに個人の意思や思いをかき乱したのか」を明らかにすることにも繋がるだろう。当然、「取調べの可視化」について、改めてその必要性が問われることになる。


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