「日本一新の会」ホームページより転載
「日本一新運動」の原点―98 日本一新の会・代表平野貞夫
『議会政治の誕生と国会』(信山社刊)の刊行にあたって、日本一新の会・会員の皆さんには、格別のご高配をいただいております。
まずもって厚く御礼を申し上げます。
■「小沢強制起訴裁判」は120年の議会史で最悪の事件だ!
わが国の議会政治誕生までと、議会史120年の通史をまとめる目的のひとつに、「小沢強制起訴裁判」のような議会民主政治を崩壊させる事件があったかどうかを検証することがあった。類似の事件はあったが、同様の事件はなく、120年の日本議会政治を崩壊させたことにおいては歴史的不祥事といえる。そこで、類似の代表的事件の概要を説明し、わが国のありかたを歴史の中から学びたい。
帝国人絹事件
昭和9年、齋藤実内閣で起こった軍部を背景に政党の内紛を利用して検察が政治に干渉し、齋藤内閣が倒された事件である。
同年2月7日衆議院本会議で、政友会の岡本一巳が台湾銀行の所有株売却に関し政府を追及したことをきっかけに、検察が乗り出し、前閣僚や大蔵省幹部、財界人ら16人が逮捕、起訴された事件である。
鳩山文部大臣らが議会で追及され、マスコミで批判を受け、鳩山文相は辞任する。逮捕された高木帝人社長が検察の追求に抗しきれず、「虚偽の自白」を強いられ、一大疑獄事件が組み立てられた。5月19日に黒田大蔵次官が起訴され、高橋是清蔵相の進退まで及び、7月3日、小山司法相が「現職大臣の起訴もあり得る」と閣議で報告、齋藤内閣は総辞職した。その後、わが国は急速に軍事国家体制となり、先の大戦へと突き進んで甚大な犠牲者を生み出し、国民は奈落の底を見たのである。
この事件の背後には、軍部と検察が当時の齋藤内閣が満州問題をめぐって国際的孤立を是正し、軍部の力の拡大を抑えようとしたための倒閣であった。事件は、足かけ4年がかりで266回にわたり公判が行われた。公判で、藤沼庄平警視総監が「起訴は司法省・行政局長の塩野季彦が内閣倒壊の目的を持って仕組んだ陰謀だった」と証言したことから真相が判明した。判決は、「被告人全員無罪、証拠十分にあらず、犯罪の事実なきなり」ということであった。軍部が司法省のドン、平沼騏一郎に働きかけたといわれ、後世「検察ファッショ」と呼ばれ、近代国家の汚点であるとさえいわれている。
小沢氏の西松事件・陸山会事件との比較
新憲法下、平成21年3月から始まった小沢一郎(当時民主党代表)の西松事件や陸山会事件(以下、小沢事件)の背景や展開を検証して、「帝国人絹事件」と比較すると、問題の本質が見える。
(1)事件の背景
「帝国人絹事件」の背景は、軍部と検察が共謀して齋藤内閣の国際協調による軍部の力の拡大を抑えようとした方針に対する倒閣運動であった。
小沢事件の背景は、当時麻生政権(自公連立)が、民主党への政権交代を阻止するため、当時民主党代表であった小沢一郎氏の政治資金をめぐり、内閣の指示(?)で検察が行った「政治捜査」であった。麻生首相→森法相→漆間内閣官房副長官→樋渡検事総長の主導で行われたものである。私は森英介元法相から直接・間接の言動による傍証証拠をもっている。両事件とも、議会民主政治を否定する「政治捜査」であることで共通する。小沢氏を政界から排除することで、わが国の政治は劣化を極めている。
(2)捜査の展開
「帝国人絹事件」は高木帝人社長が追い詰められ「虚偽の自白」を行い、一大疑獄事件に組み立てられた。前閣僚や官僚、財界人ら16名が逮捕起訴された。取り調べにあたった黒木検事は「俺たちが天下を是正しなければ、いつまで経っても世の中はきれいにならない」と豪語したといわれている。
「小沢事件」は、小沢氏への裏金を立件するため、政治資金収支報告虚偽記載の容疑で、国会議員の元秘書と秘書二名を逮捕までして起訴した。小沢氏は虚偽記載の共謀で捜査されたが、不起訴となった。この種の収支報告書で強制捜査が行われたのは始めてであった。検察の狙いは、ゼネコンから小沢氏へ渡したとされる「裏金」を立件することであった。そのため捜査範囲を全国へ拡げ、約50社に対し、任意、強制を問わず徹底的な取調べを繰り返した。
しかし、事情聴取を受けたゼネコンの関係者は、『たった一人』を除いて、全員がこれを否定した。この段階で特捜部の見込み捜査は大きく揺らいだのだが、その『たった一人』が水谷建設の川村社長であった。当時ゼネコン業界ではこんな話が出ていた。それは水谷建設の川村社長には個人的に金銭問題があったというもの。親しい女性にお金を渡したり、ギャンブルの精算費用を捻出するために会社のお金を利用していたとのこと。その際、政治家の名前を経理担当者に告げて、「裏金を●●先生に渡す。領収書はもらえないよ」といって、会社の口座から現金を出金させていたらしいとの噂である。そしてこの川村社長ただ一人が、「小沢氏の秘書に裏金を渡した」と証言したのである。
秘書を取り調べた検事について不正違法な行為があったことは、当初から知られていた。検事の捜査に協力しないとして、秘書に「小沢が不起訴になっても検察審査会の強制起訴がある」との恐喝的発言もあった。結局、特捜部は小沢氏の不正を立件できるだけの、証拠も証人も集められるはずもなく、嫌疑不十分により不起訴を決定した。
しかし、特捜検事の予言どおり、法改正によって「強制起訴権」を得た東京第五検察審査会により、この事件は「不起訴不当」とされ、指定弁護士によって小沢氏は起訴されたのである。
さらに、小沢氏を「強制起訴」に追い込んだ検察審査会の人々は、「良識ある一般市民」ではなかった。なぜなら審査請求・審査員の選任、補助弁護人の選任、審査の実体、検察側の資料提出や、説明等々が適法に行われたかどうか、議決の効力は法定手続きからいって「無効」ではないのか等、数々の重大な疑惑が発覚している。
さらに深刻な問題は、政権交代した民主党政権の有力閣僚が、最高裁や法務省のスキャンダルを握りつぶし、その「貸し」を利用して、「小沢元代表排斥計画」に持ち込んだという情報がある。この情報は目下のところ、精査中ではあるが、さまざまな情況証拠が整いつつある。
当然この問題は国会で追及されるべきであるが、明らかになれば「帝国人絹事件」とは比較にならないほどの議会民主政治を崩壊させる歴史的不祥事である。立法・行政・司法という国家統治の3権が、談合・癒着して法治国家を冒涜する行為である。国民の国家統治への不信は計り知れなくなった。
(3)公判の状況
「帝国人絹事件」では、藤沼庄平警視総監が公判で「起訴は司法省・行政局長の塩野季彦が内閣倒壊の目的を持って仕組んだ陰謀だった」と証言したことから事件の真相が判明。判決は16人全員無罪となった。
では「小沢事件」はどうか。元秘書3名が一審判決で「有罪」とされた。政治資金報告書の出納帳への記載時期がずれていたことを「虚偽記載」とされたのである。日本を代表する会計学の権威が、実務としては「これは虚偽ではなく、むしろこの記載時期の方が正しい」と証言したにもかかわらずである。
さらに驚くべきは、水谷建設からの裏金について証拠も示さず「あったと推認される」と判示した。おかしなことに、それに対する罪は問わなかった。ちなみに、この「裏金」については特捜部でさえ立件を求めていない。
これに対し、多くの国民から「法と証拠にもとづかない裁判」で「裁判官の暴走」との批判が噴出した。当然、3名は直ちに控訴した。
小沢氏の強制起訴裁判は、昨年10月6日から公判が始まり、3月9日論告求刑、3月19日最終弁論、4月26日判決の予定である。
公判の中で、我々が想定した以上の検察の不祥事が判明した。
大善裁判長は2月27日の公判で石川元秘書の供述調書の大半を証拠として採用することを却下した。その中には田代検事が捏造した疑惑のある検察審査会の強制起訴の前提となる資料があった。
「健全な法治国家のために声をあげる市民の会」(代表・八木啓代氏)の告発もあり、検察側が田代問題を調査中である。
大善裁判長をして、田代検事らの取り調べに、利益誘導や不適切なものがあり、「個人的なものではなく、検察の組織的なもの」と断定している。
また、応援捜査で参加していた大阪地検特捜部の前田元検事は、この公判において「非常に重要な証言」をするに至る。「小沢氏への裏金提供の事実はない」と証言しているゼネコン関係者の調書、捜査報告書、捜査メモなどがあったとしたのである。さらに当時、東京地検特捜部の検事たちの大勢は、「小沢事件に関して厭戦ムードが漂っており、上層部だけが立件へ強い意欲を示していた」。つまり「検察上層部からの強い圧力」があったことを示唆したのである。小沢弁護団は公訴棄却を主張している。
しかし、前田元検事の証言は、帝国人絹事件における藤沼庄平警視総監ほどの重みを持つまでに至っていない。
「小沢事件」の公判を通じて噴出した検察や裁判所のあり方について、国民的批判が沸き上がる中で、最高裁事務総局が発注した「検察審査員選定ソフト」の談合疑惑や、裏金づくりが報道されるようになってきた。
本来であれば、その権能を発揮すべき国会が機能不全に陥っており、国民はわが国の統治機構に強い不信を持つまでに至っている。
■笠間検事総長が日本の統治機構を建て直す『鍵』をもっている
「検察が健全でないと日本の社会正義は揺らぐ。検察官は、世の中の人々に嫌われながら苦労している。平野君、どうか検察の仕事を理解してやってくれ」。これは昭和46年7月の上旬、病床に伏していた私の人生の師、元法務大臣・元衆議院議長、前尾繁三郎氏の遺言である。
私は衆議院事務局退職後、12年間参議院議員を勤めたが、約11年間は前尾先生の遺言を生かすべく、法務委員会に所属し、司法改革を中心に法務・検察・司法行政に尽力してきた。今、私は前尾先生が逝去された76歳と同じ年齢となった。「村木事件」や「小沢事件」など、最近の司法・検察の実態を考えるに、自分の人生が何であったのか、自責の念に堪えかねている。
漏れ聞くところによると、笠間検事総長が現在の検察界では最も高い見識を持つ人物とのこと。検事総長に就任されるまでに、さまざまな不正義と闘い、現場から叩き上げてここまできた良識の人との評判である。仄聞によれば、部下からの信任も厚く、人の痛みがわかる大物検事であるとのこと。さらに、大きな病気を克服され、その闘病生活中も検察の健全化を憂い、否認事件には慎重な姿勢を持ち続けてこられたことも重々承知しており、私は国民の一人として心から敬意を表している。
このままの検察・司法を続けるなら、わが国は再び奈落の底に落ち、国民に塗炭の苦しみを強いることは必定である。笠間検事総長の崇高な見識が、日本を再生させる礎となることを確信しているのは私ひとりではない。検察が持つ、本来の社会正義確立への義務を果たすことは多くの国民の願いであり、私の生涯をかけた、議会民主政治確立への道であることも改めて訴えて、今号の筆を置きたい。
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◆小捜検察 姑息な組織防衛シナリオ/「けもの道」の闇が更に深くなった/笠間治雄検事総長/小沢一郎氏裁判2012-02-29 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
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◆「小沢事務所の秘書逮捕、あれは私が指示した事件だ」=森英介元法相/ 平野貞夫氏告発(YouTube) 2012-01-21 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
◆陸山会事件公判 水谷建設の元運転手証言「川村尚元社長を裏金5千万円受渡し現場へ送った記憶、ない」2011-05-24 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
◆ロッキード事件に酷似 陸山会事件公判 (川村尚)証人が具体的に述べれば述べるほど低下するリアリティ2011-04-28 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
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◆小沢一郎氏裁判/“はぐれ検事”前田恒彦・元検事の爆弾証言でハッキリした「検察審は解散が必要」2011-12-21 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
小沢裁判でハッキリした やっぱり検察審は「解散」が必要
日刊ゲンダイ2011/12/19
「検察の証拠隠しがあった。検察審はすべての証拠を見ていない。証拠が全部出れば、小沢氏は無罪だ」――“はぐれ検事”の爆弾証言でハッキリしたのは検察審査会制度の致命的な欠陥だ。「市民目線」と称する検察審を悪用すれば検察の意のままに誰もが犯罪者に仕立て上げられる恐怖のシステム。検察審は即刻解散が必要だ。
*検察の追認機関にすぎない正体不明の組織
「ゼネコン献金は夢物語。検察幹部の妄想だ」
16日の小沢裁判に証人として出廷した前田恒彦・元検事(44)は冗舌だった。赤裸々な捜査批判や暴露話の連続に、法廷の小沢一郎も思わず身を乗り出したほどだ。
前田が証拠隠しの例に挙げたのは、検察幹部の「夢物語」に関する現場検事の「捜査メモ」だ。
例の土地購入費4億円について、「妄想」を抱いていたのは当時の佐久間達哉特捜部長と大鶴基成次席検事、木村匡良主任検事のみ。佐久間部長が現場の陣中見舞いに訪れ、「4億のうち、水谷建設から5000万、○○社から1億、××社から2億」と持論を展開するのを聞き、前田は「何だそれ、夢を語っているのか」と思ったという。
なぜなら、当時は地方から20人近くの検事が東京地検へ応援に駆り出され、小沢の地元・岩手の胆沢ダムム工事を受注したスーパーゼネコンや下請け業者を総がかりで聴取した。ところが、水谷建設以外から全く供述は得られず、「小沢側に現金を渡していない」と語る業者ばかりだった。
「特捜部は想定と違う話は調書にせず、(証拠にならない)取り調べメモとしてワープロでまとめ、捜査班内で配って共有する。当時は『金を渡していない』という建設業者の供述メモが大量に出回っていた」(前田)
5000万円を受け取ったとされる元秘書の石川議員もかたくなに否定。石川を調べた吉田正喜副部長(当時)でさえ、「アイツ、受け取っていないんじゃないか」と前田に漏らし、前田は「妄想ばかりで、現場は厭戦(えんせん)ムードが漂っていた」と証言した。
小沢の裏金捜査は、現場レベルでは「シロ」という判断だったのだ。
*はぐれ検事 前田の告発がなければ闇から闇の世の中…
しかし、一般人11人が集まった検察審査会の議決書には「小沢氏の4億円の出どころの説明は著しく不合理だ」とある。検察幹部の妄想に引きずられた結果だ。実は取り調べメモは保管義務の対象外で捜査後に廃棄されてしまう。建設業者の「裏金を渡していない」という大量のメモは、従って検察審の目に触れられない。
前田は「審査員がメモを見ていれば、水谷の話の信用性は低くなって違った判断が出ていたはず」と、力説した。
強制起訴の最大の根拠となった石川調書も同じだ。検察は検察審査会に石川議員の取り調べを巡る弁護人からの抗議文を提供していない。審査員が抗議文を見れば、「小沢氏に虚偽記載を報告し、了承を得た」という調書の信用性は低下していた。
しかも、再捜査時に石川議員を取り調べた田代政弘検事はウソの捜査報告書を上司に提出。調書なら、調べられた当人の石川議員の署名が必要だが、報告書は検事が署名するだけ。検察審はウソの報告書を踏まえ、「再捜査で、石川自身が有権者から選ばれた議員であることなどを理由に合理的に説明している」と判断、石川調書を信用したのだ。
前田は自分の公判でフロッピーディスク改ざん事件の動機について、「失敗が許されない捜査で強いプレッシャーを感じた」と語った。この日は田代検事について、「相当プレッシャーがあったと思う」と証言し、故意の捏造をにじませたが、さらに問題なのは検察審の隠蔽体質だ。
小沢弁護団が再三、検察審に渡った検察証拠の情報開示を求めても、一切応じないという。100%密室の中、検察のさじ加減ひとつで、いとも簡単に検察審の判断がコントロールできるなんて、恐ろしい。ジャーナリストの魚住昭氏は「致命的な欠陥が明るみに出た以上、検察審査会制度は即刻やめるべきだ」とこう言う。
「検察側が、素人である検察審にどんな証拠を出し、どんな証拠を隠すのか。極めて恣意的な判断で、証拠が足りなくて起訴できなかった人物でも、検察審を経由することで、裁判にかけられてしまう。しかも、捜査現場で『見立てが、どうも違うぞ』と判断した事件ですら、一部の検察幹部が“妄想”に執着すれば検察審で起訴できてしまうのです。本当に恐ろしい制度です」
検察組織を追われた、はぐれ検事の“告発”がなければ、闇から闇の世が続いていた。小沢を強制起訴した平均年齢34・55歳の審査員も「検察にだまされた」と不明を恥じるなら、「私たちが間違っていました」と、名乗り出て小沢に土下座すべきだ。
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◆小沢一郎氏裁判 第10回公判〈前〉/前田恒彦元検事「上司から『特捜部と小沢の全面戦争だ』と言われた」2011-12-16 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
証人「話すと5、6時間かかりますが、端的に言うと、検察の体面を保つことと、自身の保身のためです」
指定弁護士「主任検事として大きなプレッシャーを感じていたのですか」
証人「はい」
指定弁護士「本件でもそうですか」
証人「それは全然違います」「厚生労働省の事件では、大阪高検検事長が積極的で、単独犯ではあり得ないという雰囲気があった。一方で、本件では(ゼネコンからの)裏献金で小沢先生を立件しようと積極的なのは、東京地検特捜部特捜部長や■■主任検事(法廷では実名)など一部で、現場は厭戦(えんせん)ムードでした。東京高検検事長も立件に消極的と聞いていましたし、厚労省の事件とは比較になりませんでした」「大久保さんを取り調べましたが、『とても無理ですよね』と感じました。小沢先生を土曜日に取り調べて、当時の特捜部長だった佐久間(達哉)さんらが東京拘置所に陣中見舞いに来ました。そのとき、私と○○検事(法廷では実名)、△△検事(同)が向かい合って座っていました。佐久間さんは『雰囲気を教えてくれ』ということを言われました」「(前田元検事の上司だった)大阪地検の特捜部長であれば、怒鳴られて言えないけど、佐久間さんはそんなことはなかった。『大久保はどう?』と聞かれたので、『頑張ってみますけど難しいです』と暗に立件は無理と伝えました。他の検事も同じようなことを言っていたと思います。一部積極的な人もいたが、小沢先生まで行くことはないと思いました」
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◆小沢一郎氏裁判 第10回公判〈後〉前田恒彦元検事「私が裁判官なら小沢さん無罪」「検察、証拠隠しあった」2011-12-17 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
弁護人「証拠隠しって何ですか」
証人「要は、私が裁判官なら、『無罪』と判決を書く。証拠がすべて出されたとしても…」
弁護人「いや、『隠された証拠』ってなんなんですか」
証人「私が思っているだけですけどね。判決では検察審査会の起訴議決が妥当だったかどうかも審理されるわけですよね。そこで検察が不起訴と判断した資料として検審に提出されるもので、証拠になっていないものがあるわけですよ。例えば、(自分が取り調べを担当した)大久保さんの調書には全くクレームがないけど、石川さんの調書にはあるんです。弁護士からのクレーム申入書が。でも(指定弁護士との)打ち合わせのときに、指定弁護士は知らなかった。検審に提出された不起訴記録に入っていないから」「私はクレームが来ていないから胸を張って任意性がある、と言えるんですけど。石川さんの調書に問題があったんじゃないですかね。(石川議員の取り調べに対する)クレームはバンバンあったくらいの印象がある。指定弁護士も調査したら1、2通見つかったと言っていたが、私の印象ではもっとあると思いました。それが証拠に含まれていれば、審査会が見て、調書の信用性は減殺されるわけですよね」「それに、この事件では捜査態勢が、途中でものすごく拡充されたんですよ。(元秘書ら逮捕者の取り調べを行う『身柄班』に対して)『業者班』。ゼネコンや下請けの捜査員を増やした。でも、(作成された)調書が、まー、ないでしょ? 大久保さん、小沢さんに裏金を渡しているという検察の想定と違う取り調べ内容は、証拠化しないんです。どうするかといえば、メモにしている。手書きのその場のメモということでなく、ワープロで供述要旨を整理していた」「水谷(建設)で言えば、4億円の原資として5千万円は水谷かもね、となっても、残りの3億5千万円については分からない。何十人の検察官が調べて、出てこない。検審にそれが示されれば、水谷建設の裏献金の信用性も、減殺されていたはず。想定に合わなければ証拠にならないというのがこれまでの検察で、私も感覚がずれていて、厚労省の(証拠改竄)事件を起こすことにもなった」
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◆小沢氏起訴議決検察審査会=11人の愚か者が下衆(げす)の感覚によって国民生活の足を引っ張る判断をした2010-10-07 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
11人の愚か者が1億3千万人の国民生活の足を引っ張る判断をした。政治を裁く事の重みを知らない下衆(げす)の感覚によって、この国の政治は混乱させられ、世界に類例のない「痴呆国家」になろうとしている。
検察審査会の議決を「市民目線」と評価したり、「小沢氏は議員辞職すべきか」と質問したり、小沢氏を国会に証人喚問すべきだなどと主張する馬鹿がこの国にはいる。今回の容疑事実を知り、検察審査会の仕組みを知ったら、恐らく世界はその馬鹿馬鹿しさに驚くに違いない。しかしその愚かさに気付こうとしないのだから「痴呆」と言うしかない。
やはりこの国は驚くべき未熟政治国家である。何故そうなるのか。私は国民が全く「政治教育」を施されていないからではないかと考える。子供の頃から教えられるのは、日本は民主主義で、三権分立であり、国会が国権の最高機関であるという建前の話だけである。現実の政治がどのように動いていて、建前と現実との間にどのような乖離があるかなど絶対に教えてもらえない。
建前しか教えられていないから、日本人は民主主義を「素晴らしい制度」だと思い込み、その上で「反権力であることが民主主義」だとか、「庶民感覚を大事にする事が民主主義」だとか、とんでもない嘘を吹き込まれている。国民が投票で選び出した政治権力は国民と一体の筈であり、諸外国の謀略に打ち勝たなければならない政治家に庶民感覚を求めても意味がない事を知ろうとはしない。
その庶民は、政治にとって最も大事な権力闘争を「汚れた行為」と捉え、物事を実現するために権力を集中させれば「反民主主義」と叫び、民主主義のかけらもない官主主義の国を民主主義国だと信じ込む。政治家を口を極めてののしるかと思えば、まるで芸能人を見るかのようにあがめ奉る。民主主義は衆愚政治と紙一重だが、この国では官主主義が国民を愚かにしている。
英国のチャーチル元首相に言わせれば民主主義は「最悪の政治制度」であり、政治は人間の欲望がむき出しになる世界である。そういう事をこの国では決して教えない。学校は政治教育を忌避し、教える教師もいない。国民に主権を発揮されては困る官僚にとって、政治教育がない事は何よりである。国民が目覚めて本当の民主主義をうち立てられては困るからだ。
かつて私が提携したアメリカの議会中継専門放送局C−SPANは、国民に対する政治教育を目的に設立された。議会の審議を放送する一方で、選挙権のない若者に対する政治教育に力を入れていた。議会審議のビデオテープを学校教育に使うように全米の大学と高校に働きかけている。
私は実際に議会審議のテープを授業に使用しているイリノイ州の大学を取材したことがある。教授が選んだ審議の映像を学生達に見せ、それを巡って学生が討論を行うという形の授業だった。現実の政治家の議論が教材になっていた。そしてC−SPANは中継車で全米の大学と高校を回り、学生達の政治討論番組を生中継している。
ある時、テレビを見ていたレーガン大統領が高校生の討論に電話で飛び入り参加した。それが全米で話題となり、私は素直に「素敵な話だ」と思った。日本にもC−SPANのようなテレビ局を作りたいと思った。勤務していたテレビ局を辞め、開局の準備を進めながら、まずは文部省に協力を求めに行った。
アメリカの例を説明しながら、日本で「国会テレビ」を開局したら、高校と大学だけでなく義務教育の中学校にも普及させたいと言った。すると役人から「社会党と共産党の発言しか見せない先生がいるから」とすげなく協力を断られた。
アメリカの大学の卒業式では決まって政治家が卒業生へのはなむけのスピーチをする。その時に党派が問題になることなどない。しかし日本では大学が政治家にスピーチを頼む事は滅多にない。そもそも政治家は国民の投票で選ばれた国民の代表である。にもかかわらず政治家は反教育的存在と見なされる。こうした事に私は長い官僚主導国家の岩盤の存在を感ずる。
そういう国の国民だから、検察審査会の議決で政治を裁く事の重みなど感じない。愚かな11人は極めて非論理的で情緒的な判断を下した。公開の場の裁判で白黒をはっきりさせて欲しいなどという「願望」で政治を混乱させている。裁判で白になっても時間は戻らない。政治を混乱させた罪はどうなるのか、国家的損失をどう償う事が出来るのか。これは日本の司法の一大汚点となるのではないか。
検察審査会制度はGHQの占領政策の一環である。特捜部と相前後して生まれた。独立したにもかかわらず、日本はいつまでアメリカの占領政策を引きずるのか。いつになったら自前の国造りが出来るのか。とても不思議で仕方がない。
しかもその検察審査会が強制起訴まで出来るようになったのは、政権交代の総選挙を前に、それを阻止しようと思ったのか、東京地検特捜部が西松建設事件を、大阪地検特捜部が郵便不正事件の捜査に着手して民主党の代表と副代表をターゲットにした「でっち上げ」捜査を行っていた矢先である。「でっち上げ」が上手くいかなくなっても、素人の国民をちょっと洗脳すれば強制起訴に持ち込めると考えたとしても不思議でない。
目的は以前から何度も書いてきたように小沢氏を有罪にする事ではない。民主党を分断することである。だから鳩山由紀夫氏は白で小沢氏は黒の流れになる。私の知る法曹関係者はみな「鳩山が白なら小沢はもっと白だ」と言う。一連の捜査は刑事目的ではなく政治目的なのである。小沢氏が無罪になっても十分に目的は達せられる。しかしこんな馬鹿をやっている暇は今の日本政治にはない筈だ。まさに「痴呆」と言うしかない。
<筆者プロフィール>
田中良紹 ジャーナリスト
1945年宮城県仙台市生まれ。1969年慶應義塾大学経済学部卒業。同年(株)東京放送(TBS)入社。ドキュメンタリー・デイレクターとして「テレビ・ルポルタージュ」や「報道特集」を制作。また放送記者として裁判所、警察庁、警視庁、労働省、官邸、自民党、外務省、郵政省などを担当。ロッキード事件、各種公安事件、さらに田中角栄元総理の密着取材などを行う。 1990年にアメリカの議会チャンネルC-SPANの配給権を取得して(株)シー・ネットを設立。TBSを退社後、1998年からCS放送で国会審議を中継する「国会TV」を開局するが、2001年に電波を止められ、ブロードバンドでの放送を開始する。2007年7月、ブログを「国会探検」と改名し再スタート。
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◆小沢一郎氏裁判/国民の代表である政治家と「全面戦争する」と言う特捜=国民主権を認めない組織〈検察〉2011-12-19 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
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