陸山会事件:小沢元代表に禁錮3年求刑 「反省の情ない」
資金管理団体「陸山会」の土地購入を巡り、政治資金規正法違反(虚偽記載)で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)に対し、検察官役の指定弁護士は9日、東京地裁(大善文男裁判長)の論告公判で禁錮3年を求刑した。指定弁護士は全面無罪を主張する元代表について「周到な準備と巧妙な工作を伴った計画的で悪質な犯行。刑事責任を回避するため不合理な否認を繰り返し、反省の情はまったくない。規範意識の鈍磨とあいまって再犯の恐れは大きい」と指弾した。
次回19日に弁護側が最終弁論を行い、元代表が最終意見陳述をして結審する。判決は4月下旬の見通し。
起訴状によると、小沢元代表は(1)会計責任者だった大久保隆規元秘書(50)や事務担当者だった石川知裕衆院議員(38)と共謀し、04年10月12日ごろ、4億円を陸山会に提供し、同会が同29日までに東京都世田谷区の土地購入費として約3億5200万円を支払うなどしたのに、04年分政治資金収支報告書に記載せず(2)大久保元秘書や石川議員の後任の池田光智元秘書(34)と共謀し、土地購入を05年1月7日と偽って05年分報告書に記載し−−それぞれ総務相に提出したとされる。
同法の虚偽記載・不記載の法定刑は5年以下の禁錮か100万円以下の罰金。元秘書3人の公判では検察側が大久保元秘書に禁錮3年6月、石川議員に同2年、池田元秘書に同1年を求刑。判決ではいずれも執行猶予付きの禁錮刑を言い渡され、3人は控訴した。【和田武士】
毎日新聞 2012年3月9日 15時05分(最終更新 3月9日 15時58分)
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〈来栖の独白〉
>周到な準備と巧妙な工作を伴った計画的で悪質な犯行。
>不合理な否認を繰り返し
>反省の情はまったくない。
>規範意識の鈍磨とあいまって再犯の恐れは大きい
いやぁ、ひどい。検察とあなたたち(指定弁護士さん)のことじゃないですか。もはや裁判の体を成していない。メルトダウンもいいとこ。私の人生で、こんなお粗末なのは、聞いたことがない。
・・・ ・・・ここまで詰まってくると、近々に小川さんは判を押すだろう。年度内の死刑執行が現実味を帯びてきた。
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陸山会事件:具体的証明ない…元代表側が不快感 論告公判
「政治資金規正法の軽視は明らか」。東京地裁で9日開かれた民主党元代表、小沢一郎被告(69)の第15回公判で、検察官役の指定弁護士は論告で政界実力者の「政治とカネ」への姿勢を非難し禁錮3年を求刑した。「法の独自の解釈」「規範意識の鈍磨」と厳しい言葉を浴びせかける内容に、元代表は表情を変えることなく指定弁護士を見据え、弁護団は「具体的な証明がない」と不快感を隠さなかった。公判は全面対決の様相のまま19日の最終弁論で結審する。
「禁錮3年に処するのを相当と思料する」。午後2時45分、指定弁護士がそう言って論告朗読を終え、裁判長が「次回は最終弁論と最終意見陳述で結審します」と宣言すると、小沢元代表は二、三度うなずいた。3時間超の公判で元代表はぶぜんとしたような表情を変えなかった。
元代表の弁護団は閉廷後の記者会見で「(元秘書らとの)共謀の具体的な日時も場所も証明できていない」と論告を批判。元秘書らの供述調書の多くが証拠採用を却下されている点を強調し、弘中惇一郎弁護士は「あれだけ証拠能力が否定され、採用された調書の信用性にも疑問が投げかけられているのに、論告には調書を全面的に引用している部分もあった」と疑問視した。
一方、指定弁護士の大室俊三弁護士も取材に応じ、「間接事実(客観的事実)の積み重ねに基づき、言うべきことは言えた」と調書却下の影響は少ないとの見方を示した。元秘書で衆院議員の石川知裕被告(38)の東京地裁判決(禁錮2年、執行猶予3年)を上回る求刑をしたことについては「元代表は虚偽記載を止めるべき立場にいたにもかかわらず自ら加担した。国会議員の職責と大きく乖離(かいり)する」と説明した。【野口由紀、島田信幸】
◇解説…供述調書不採用、「次善」の論告に
指定弁護士の論告は複数の客観的事実のほか、小沢元代表の法廷供述と石川知裕衆院議員ら元秘書の証言内容との食い違いなどを基に、元代表が不正に関与した構図を描いた。ただし、元代表を起訴すべきだとした検察審査会の議決の根拠で、有罪立証の柱だった石川議員の供述調書が証拠採用されなかったことから「次善」の論告となった印象は残る。
石川議員ら3人の公判でも検察の取り調べ手法が問題視され、多くの供述調書が採用されなかった。検察側は「推認」を多用する苦しい論告を強いられたが、地裁は客観的事実などを総合的に考慮して全員を有罪とした。
捜査段階の供述調書に依存した立証構造や多数の調書却下という経緯で二つの公判は類似するが、元代表の公判の最大の争点は「虚偽記載」の行為者である元秘書たちとの共謀をどう裏付けるかにある。政治資金規正法上、会計責任者の監督義務などが規定されているにとどまる政治団体代表者(小沢元代表)の共謀立証はハードルが高いといえる。
論告では共謀の時期や場所、やりとりについて具体性のある言及はなく、暴力団の特異な上下関係などを前提に「『暗黙の了解』だった場合も共謀共同正犯が成立し得る」と判断した最高裁決定(03年5月)を引用するなど、「石川調書」を使えなかった苦しさがうかがえる。
検察審査員の判断に従って起訴し、捜査機関が集めた証拠を使って公判活動を行わなければならない指定弁護士。強制起訴された公判で論告が行われたのはまだ2例目だが、元代表の判決内容によっては検察審査会制度のあり方にも影響を与えそうだ。【和田武士】
毎日新聞 2012年3月9日 23時20分(最終更新 3月9日 23時22分)
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小沢元代表、法廷:大詰め迎え廷内緊張 書面100ページ超、読み上げ
昨年10月に東京地裁で始まった民主党元代表、小沢一郎被告(69)の公判は9日、大詰めの論告を迎えた。これまでに計14回開かれた法廷で取り調べられた証拠を基に、100ページを超える膨大な書面で政界実力者の有罪を訴える、検察官役の指定弁護士。緊張感が張り詰めた法廷に響く朗読に、元代表、弁護団、裁判官がじっと耳を傾けた。【石川淳一、山本将克】
午前10時、東京地裁104号法廷。大善文男裁判長に促され、指定弁護士が朗読を始めた。「起訴の適法性についての弁護人の(違法との)主張に理由がないことを明らかにした上、収支報告書の記載の虚偽性、被告の共謀について弁護人の(共謀がないとの)主張に理由がないことを論証し、被告に科されるべき刑について意見を述べます」
淡々とした口調ながら、元代表提供の4億円の虚偽記載を「全てが被告の指示、了解の下に行われた不記載に端を発し、その隠蔽(いんぺい)、偽装工作として(元秘書により)実行された」と厳しく指摘。公判で虚偽記載を否定した元秘書の衆院議員、石川知裕被告(38)の証言を「公判に至って趣旨不明の供述をするのは自己の罪を逃れつつ荒唐無稽(むけい)な弁解をしているに過ぎず、検討に値しない」と一蹴した。
小沢元代表は紺のスーツに青色ネクタイ姿で、弁護人に挟まれる形で着席。論告読み上げ前には分厚い書面が弁護人席に配布され、元代表の前にも置かれた。
だが、元代表は書面に手を伸ばさず、読み上げ中は厳しい表情を浮かべたまま。正午過ぎの休廷までほとんど身動きしなかった。
◇強気の指定弁護士 複数の客観事実存在
有罪立証の柱だった元秘書で衆院議員、石川知裕被告(38)の供述調書の証拠採用を却下された検察官役の指定弁護士だが、この日の公判でも強気の構えを崩さず論告を淡々と読み上げた。再構築した立証の柱は、小沢元代表との間の「報告・了承」を認めた元秘書、池田光智被告(34)の一部調書のほか、元代表の関与をうかがわせる複数の客観的事実の存在、それに基づく法廷での証言などだ。
問題となった土地を購入する際、元代表は4億円を提供しながら自分名義の同額の銀行融資の書類に署名・押印。この銀行融資を指定弁護士は「石川議員が4億円提供を隠すために行った偽装工作」と位置付けている。
石川議員は昨秋の証人尋問で「『お預かりした4億円で預金担保を組み、それでお支払いします。預金担保の書類です』と(元代表に)説明した」と証言。だが、元代表は1月の被告人質問で「(石川議員から)サインしろと言われたからサインした」「具体的な説明を受けた記憶がない」「銀行とどうするかとかは担当者の裁量の範囲内」などと説明し、石川議員の証言とのズレが鮮明になった。
また、指定弁護士の冒頭陳述によると、巨額の「事務所費」が問題となった後の07年2月、元代表の事務所は週刊文春から土地問題の取材を受け、池田元秘書が作成した回答書案に目を通した元代表は「購入原資は銀行融資」と修正させた。池田元秘書は証人尋問で修正指示を認めたが、元代表は被告人質問で「池田に何かを指示した記憶はない」と否定。「当時は不動産所有に関しマスコミから多数問い合わせがあり、正確な記憶があるわけではない」と述べた。
指定弁護士は冒頭陳述の約3分の1を客観的事実の提示に費やし、証人尋問や被告人質問でも時間を割いた。地裁がどのように評価するかが注目される。【和田武士】
■小沢元代表の関与をうかがわせると指定弁護士が主張する客観的事実
・陸山会の不動産購入で元代表が自己資金を提供したのは問題の土地だけ
・元秘書らは問題の土地購入の前年までの不動産購入や賃料払いをほぼ正確に収支報告書に記載していた
・元代表は土地購入の際に4億円を提供しているのに、同額の銀行融資の申込書類に署名・押印している
・4億円を提供したのに国会議員の資産報告書に記載しなかった
・元秘書らには、元代表提供の4億円を政治資金収支報告書に記載しなかったり土地登記の延期や銀行融資を受ける動機はない
・問題の土地が元代表名義になっていることについて「政治資金を使った蓄財」と報道され、07年2月の記者会見で自分が土地の所有権を持たないとする偽の「確認書」を公表した
・07年2月に週刊誌から土地問題を質問され、元秘書が作成した回答書に目を通した上で「購入原資は銀行融資」と修正した
・週刊誌報道などの後の07年5月、陸山会など関連政治団体に返済余裕がないのに4億円が返済され、07年分収支報告書に記載されなかった
・05年3月にも陸山会に現金4億円を交付し、同年5月に返済を受けたがいずれも簿外処理された
■証拠採用された池田元秘書の検察官調書の内容
・05年分収支報告書の提出前に「04年に支払った土地代金を05年分収支報告書に記載している」と説明すると、元代表は「ああ、そうか」と了解した(10年1月20日付調書)
毎日新聞 2012年3月9日 東京夕刊
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◆小沢一郎インタビュー/「被告人質問では、同じことを何度も何度も聞いてくるんです」2012-01-28 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
小沢一郎・独占インタビュー第2弾 「官邸は能天気だ!」(上)
消費増税の行方と解散時期
週刊朝日2012年01月27日号配信
最大の山場だった民主党の小沢一郎元代表(69)の被告人質問が終わり、陸山会裁判の実質的な審理は終了した。その直後、野田政権は発足からわずか4カ月で内閣改造を断行し、消費増税法案の年度内提出に向けて狙いを定めた。政局はにわかに動き出している。"剛腕"は何を考え、狙っているのか。被告人質問の夜、本誌の単独インタビューに答えた。
−−陸山会裁判の山場である小沢さん自身の被告人質問が、1月11日に終わりました。率直な感想を聞かせてください。
小沢:一連の捜査は最初からすべて、僕が「不正なカネ」を受け取ったということを大前提にして進められてきたので、僕自身も、この事件で逮捕・起訴された僕の元秘書3人も、この3年間、非常にしんどい思いをし、無念の思いできました。
それでも昨年12月の公判で、元東京地検特捜部の田代政弘検事による捜査報告書の「捏造」疑惑などが飛び出し、あらぬ疑いがいろんな形で晴れてきたので、まあ、忍耐、苦労のしがいがあったと思います。国民みんなが徐々にわかってきてくれたということで自分を慰めて、自己満足するしかないかな、という気持ちですね。(笑い)
−−被告人質問では、裁判の焦点の一つとなっている「現金4億円」の原資について、(1)両親から相続した東京・湯島の自宅を14億〜15億円で売却し、現在の自宅を9億円前後で購入した残金(2)東京・上野の土地を相続し、売却した1億円前後(3)著書の印税8千万円などの収入計1億6千万〜7千万円−−などと具体的に説明しました。
小沢:すべて説明しましたよ。そもそも、検察が強制捜査をしても、不正は何もなかったんです。「不正なカネ」を取ったということを前提とした「見込み捜査」から始まっているから、何ともしようがないんですが、結果として、国民の皆さんもだんだんと真相がわかってきてくれているようだから、それで「よし」とする以外にないですね。
−−2日間の被告人質問で、話すべきことは話したという感触はありますか。
小沢:検察官役の指定弁護士もほかに聞くことがないからだろうけれど、同じことを何度も何度も聞いてくるんです。裁判官の質問にも答えましたが、政治資金収支報告書をいちいち細かく見ている国会議員なんていません。法律の趣旨に照らしてどうかと聞かれても、確かにそれがいいというわけじゃないけれど、現実問題として、収支報告書の中身を細かく把握する物理的・精神的余裕はない。
それに、これも裁判で何度も言いましたが、収支報告書は、1年間の資金の出入りを書くという非常に単純な作業です。普通の能力を持っている人間ならば誰でもできることで、それを秘書に任せているわけです。議員がすべてを検証するのは不可能だし、議員自身が検証しなければならないのなら、秘書は必要ないということになります。 (続き⇒)
〈来栖の独白〉2012/01/28 Sat.
>同じことを何度も何度も聞いてくるんです。
ほんとうに、そう。その度に小沢氏が「わかりません」「忘れました」と答える。それをメディアが悪印象として報道する。
ところで余談に当たるかもしれないが、被告人質問の公判で非常に非常に不快だった質問がある。
> 指定弁護士「最終学歴は?」
被告「日本大学大学院法学研究科です。中退しました」
指定弁護士「何を学んでいましたか」
被告「特別なテーマはありません。司法試験を目指して勉強していました。大学は経済学部でしたが」
指定弁護士「何年在籍しましたか」
被告「1年間です」
指定弁護士「昭和44年12月に衆議院議員になった」
被告「12月27日」
一国の総理になるに最も近いところにいた人に、「最終学歴は?」とは、何事だ? 「何を学んでいましたか」とは、何事だ。それに対して小沢氏がいとも素直に「司法試験を目指して勉強していました」と答える。小沢氏を愚弄するのもいい加減にせい。小沢氏の人の善さと質問者の姑息が際立つ。こんなにも人が好くて無防備な人間を「権力」はメディアという卑しい走狗を駆使させて、陥穽に嵌める。
4月には有罪がでるだろう。ダメだ、この国は。
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◆検察はメディアに「金丸悪玉」イメージを流させ/小沢一郎氏は「裁判で検察と徹底抗戦すべし」と進言した2012-01-13 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
田中良紹の「国会探検」
政治家の金銭感覚
強制起訴された小沢一郎氏の裁判でヤマ場とされた被告人質問が終った。法廷でのやり取りを報道で知る限り、検察官役の指定弁護士は何を聞き出したいのかが分からないほど同じ質問を繰り返し、検察が作り上げたストーリーを証明する事は出来なかった。
検察が起訴できないと判断したものを、新たな事実もないのに強制起訴したのだから当たり前と言えば当たり前である。もし検察が起訴していれば検察は捜査能力のなさを裁判で露呈する結果になったと私は思う。従って検察審査会の強制起訴は、検察にとって自らが打撃を受ける事なく小沢一郎氏を被告にし、政治的打撃を与える方法であった。
ところがこの裁判で証人となった取調べ検事は、証拠を改竄していた事を認めたため、強制起訴そのものの正当性が問われる事になった。語るに落ちるとはこの事である。いずれにせよこの事件を画策した側は「見込み」が外れた事によって収拾の仕方を考えざるを得なくなった。もはや有罪か無罪かではない。小沢氏の道義的?責任を追及するしかなくなった。
そう思って見ていると、権力の操り人形が思った通りの報道を始めた。小沢氏が法廷で「記憶にない」を繰り返した事を強調し、犯罪者がシラを切り通したという印象を国民に与える一方、有識者に「市民とかけ離れた異様な金銭感覚」などと言わせて小沢氏の「金権ぶり」を批判した。
しかし「記憶にない」ものは「記憶にない」と言うしかない。繰り返したのは検察官役の指定弁護士が同じ質問を何度も繰り返したからである。そして私は政治家の金銭感覚を問題にする「市民感覚」とやらに辟易とした。政治家に対して「庶民と同じ金銭感覚を持て」と要求する国民が世界中にいるだろうか。オバマやプーチンや胡錦濤は国民から庶民的金銭感覚を期待されているのか?
政治家の仕事は、国民が納めた税金を無駄にしないよう官僚を監督指導し、国民生活を上向かせる政策を考え、謀略渦巻く国際社会から国民を守る備えをする事である。そのため政治家は独自の情報網を構築し、絶えず情報を収集分析して対応策を講じなければならない。一人では出来ない。そのためには人と金が要る。金のない政治家は官僚の情報に頼るしかなく情報で官僚にコントロールされる。官僚主導の政治が続く原因の一つは、「政治とカネ」の批判を恐れて集金を自粛する政治家がいる事である。
今月から始まったアメリカ大統領選挙は集金能力の戦いである。多くの金を集めた者が大統領の座を射止める。オバマはヒラリーより金を集めたから大統領になれた。そう言うと「清貧」好きな日本のメディアは「オバマの金は個人献金だ」と大嘘を言う。オバマが集めたのは圧倒的に企業献金で、中でも金融機関からの献金で大統領になれた。オバマは150億円を越す巨額の資金を選挙に投入したが、目的は自分を多くの国民に知ってもらうためである。そうやって国民の心を一つにして未来に向かう。これがアメリカ大統領選挙でありアメリカ民主主義である。政治が市民の金銭感覚とかけ離れて一体何が悪いのか。
スケールは小さいが日本の政治家も20名程度の従業員を抱える企業経営者と同程度の金を動かす必要はある。グループを束ねる実力者ともなれば10億や20億の金を持っていてもおかしくない。それが国民の代表として行政権力や外国の勢力と戦う力になる。その力を削ごうとするのは国民が自分で自分の首を絞める行為だと私は思う。
日本の選挙制度はアメリカと同じで個人を売り込む選挙だから金がかかる。それを悪いと言うから官僚主義が民主主義に優先する。それでも金のかからない選挙が良ければイギリス型の選挙制度を導入すれば良い。本物のマニフェスト選挙をやれば個人を売り込む必要はなく、ポスターも選挙事務所も街宣車も不要になる。「候補者は豚でも良い」と言われる選挙が実現する。いずれそちらに移行するにせよ今の日本はアメリカ型の選挙なのだから金がかかるのをおかしいと言う方がおかしい。
ところで陸山会事件を見ていると1992年の東京佐川急便事件を思い出す。金丸自民党副総裁が東京佐川急便から5億円の裏献金を貰ったとして検察が捜査に乗り出した。捜査の結果、献金は「金丸個人」ではなく「政治団体」へのもので参議院選挙用の陣中見舞いである事が分かった。しかも既に時効になっていた。要するに検察が描いたストーリーは間違っていた。
ところが検察はメディアを使って「金丸悪玉」イメージを流した後で振り上げた拳を下ろせなかった。しかし金丸氏を起訴して裁判になれば大恥をかくのは検察である。検察は窮地に立たされた。そこで検察は取引を要求した。略式起訴の罰金刑を条件に、検察のストーリー通りに献金の宛先を「金丸個人」にし、献金の時期も時効にならないよう変更しろと迫った。「拒否すれば派閥の政治家事務所を次々家宅捜索する」と言って脅した。その時、小沢一郎氏は「裁判で検察と徹底抗戦すべし」と進言した。法務大臣を務めた梶山静六氏は検察との手打ちを薦めた。この対立が自民党分裂のきっかけとなる。
金丸氏が取引に応じた事で検察は救われた。そして金丸氏は略式起訴の罰金刑になった。しかし何も知らない国民はメディアの「金丸悪玉説」を信じ、余りにも軽い処罰に怒った。怒りは金丸氏よりも検察に向かい、建物にペンキが投げつけられ、検察の威信は地に堕ちた。検察は存亡の危機に立たされ、どうしても金丸氏を逮捕せざるを得なくなった。
総力を挙げた捜査の結果、翌年に検察は脱税で金丸氏を逮捕した。この脱税容疑にも謎はあるが金丸氏が死亡したため解明されずに終った。世間は検察が「政界のドン」を追い詰め、摘発したように思っているが、当時の検察首脳は「もし小沢一郎氏の主張を取り入れて金丸氏が検察と争う事になっていたら検察は打撃を受けた」と語った。産経新聞のベテラン司法記者宮本雅史氏の著書「歪んだ正義」(情報センター出版局)にはそう書かれてある。
小沢一郎氏は金丸氏に進言したように自らも裁判で検察と徹底抗戦する道を選んだ。検察は土地取引を巡って小沢氏が用立てた4億円の原資に水谷建設から受け取った違法な裏金が含まれているというストーリーを描き、それを隠すために小沢氏が秘書と共謀して政治資金収支報告書に嘘の記載をしたとしている。それを証明する証拠はこれまでのところ石川知裕元秘書の供述調書しかないが、本人は検事に誘導された供述だとしている。
その供述調書が証拠採用されるかどうかは2月に決まる。その決定は裁判所が行政権力の側か国民主権の側かのリトマス試験紙になる。そして小沢氏に対する道義的?責任追及も民主主義の側か官主主義の側かを教えてくれるリトマス試験紙になる。
投稿者:田中良紹 日時:2012年1月12日 23:53
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◆小沢一郎氏裁判 第12回公判《前》/「4億円はどういうことで?」「両親からの相続・印税・議員報酬」被告人質問 2012-01-11 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
◆小沢一郎氏裁判 12回公判《後》「元赤坂タワーズで石川さんに渡した4億円は、どんな金」「個人の金です」被告人質問2012-01-11 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
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