死刑制度 法相が負う職責とは
信濃毎日新聞[信毎web]社説 2012/04/04(水)
死刑制度をめぐる小川敏夫法相の発言が気になっている。
「法相の職責として執行すべきだ」と、就任当初から死刑執行に前向きだった。
1年8カ月ぶりに3人の死刑を執行した3月、「刑罰権は国民にある。裁判員裁判でも死刑が支持されている」と述べている。執行の責任を国民に転嫁しているようにも受け取れる。
各種世論調査で、国民の大半が死刑を容認している。けれど、制度についての確かな情報は乏しい。国の情報公開があまりに不十分なためだ。
民主党は2009年の政策集に、死刑の存廃を「国会内外で幅広く議論する」と明記していた。法相は、情報公開を進め、議論を深める場をつくることに、大きな職責を負っている。
3人の死刑を執行した後の記者会見で「なぜ、この3人なのか」「なぜ、この時期なのか」という質問に、法相は「特別な理由はない」と答えていた。
法務省は1998年になってようやく、執行の事実と人数の公表を始めた。07年からは氏名と刑場を示しているが、対象者の選定理由は説明していない。
再審請求の有無、死刑の確定時期がより古い、心身ともに健康―などが条件とされるが、正確なことは分からない。
04年、再審請求を準備していた死刑囚が執行候補者になっていたことが判明した。命令直前に回避されたものの、同じような事例はほかにもなかったのだろうか。
小川法相が執行した死刑囚の1人は、再審請求に前向きだったという。死刑廃止を求める市民団体のアンケートに「本当の真実を伝えるまでは死ねません」と記していた。何を言いたかったのか、知るすべはなくなった。
裁判員裁判で死刑が支持されているという法相の見解も疑問である。死刑判決に関わった裁判員の多くが「一生悩み続ける」と苦しい胸の内を明かしている。死刑廃止を訴える人もいた。裁判員経験者の多様な声を、存廃論議に生かさなければならない。
法相は、法務省内にあった死刑制度の勉強会を打ち切った。「議論は出尽くした」と理由を述べている。ならば、問題点を整理し、一つ一つに対する見解を分かりやすく示す必要がある。
死刑を維持するとしても、“秘密主義”のまま続けることは認められない。果たすべき役割は、情報の開示と議論の進展にあることを忘れてはならない。 *リンクは、来栖
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◆再審準備中にもかかわらず死刑(リスト)に/宮崎知子死刑囚に「再審の理由はない」=富山地検 2012-04-03 | 死刑/重刑/生命犯 問題
松田死刑囚 生前にメッセージ「真実を伝えるまで死ねません」
29日に死刑が執行された3人のうち松田康敏死刑囚(44)は2008年に市民団体「死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム90」(東京)が実施したアンケートに、「本当の真実を伝えるまでは死ねません」と再審請求への執着心を明かしていた。
松田死刑囚は09年2月17日付で回答。カエルの子が親におぶさるイラストも添えている。
回答では「今年も1月29日に4名の執行があったニュースを聞きましたが、そのうちで私の文通仲間も入っていて、とっても落ち込んだ私でした」と他の死刑囚が執行された事実を伝え聞いた心情を吐露。
「次は我が身と考えて、本当の真実を伝えるまでは死ねません」と続けた。
死刑制度について「これから死刑を言いわたされる人たちには、死刑執行という刑にならないように法律を改正してほしいと強く願っています」と反対の立場だと記した。
また11年6月に実施したアンケートには「私が、今こうして生きてる事、生かされてる事に感謝します。全国の皆さん、気持ちをしっかり持って元気に頑張りましょう。私の似顔絵自画像初公開で〜す」と回答した。
[スポニチアネックス 2012年3月29日 16:41]
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◆法務大臣には死刑執行の法的義務は存在しない=安田好弘/死刑執行1年、千葉景子元法相決断の背景 2011-07-29 | 死刑/重刑/生命犯 問題
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◆「自分の子どもが殺されても同じことが言えるのか」と書いた人に訊きたい 2012-04-03 | 死刑/重刑/生命犯 問題
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死刑制度 法相が負う職責とは/法務省 98年から執行事実と受刑者の人数、07年から氏名と刑場を公表
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